JP3970174B2 - 発電プラント、ボイラの稼動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭類を燃焼させるボイラを有した発電プラントおよびボイラの稼動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、火力発電所等の発電プラントの一般的な構成を示すものである。この図3に示すように、石炭等の化石燃料(以下、単に石炭と称する)は、粉砕機1にて、投入された石炭が粉砕されて微粉末状のいわゆる微粉炭となる。この微粉炭は空気とともにボイラ火炉2に送り込まれて燃焼し、その排ガスは、脱硫装置や集塵機(図示無し)等を経て、煙突3から大気中に排出される。
【0003】
このような発電プラントにおいて、石炭を燃焼させると、排ガス中に水銀等の微量金属が含まれる。
排ガス中の微量金属のうち、特に毒性の強い水銀は、脱硫装置および集塵機にて、その総量の50〜70%程度が除去されるが、残りの30〜50%は、排ガスに混入したまま、煙突3から放出されてしまう。
【0004】
ところで、ボイラ火炉2からの排ガス中の水銀は、純金属のHgや、水銀が石炭中の塩素と化合してHgCl2となった形態となっている。集塵機では、純金属のHgよりも化合物のHgCl2の方が捕集されやすい。
この特性を利用して排ガス中からの水銀の回収率を高めるため、予め石炭に塩素系化合物を添加しておき、これをボイラ火炉2に投入してボイラ火炉2中の塩素濃度を高めることで、水銀と塩素の化合を促進させ、集塵機における水銀の捕捉効率を高める技術が既に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−325747号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような技術でも、水銀の捕捉が十分であるとは言い切れず、より一層水銀の捕捉効率を高めることのできる技術が望まれていることに変わりは無い。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、大気中に放出するボイラの排ガスのクリーン度を高めることのできる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的のもと、本発明の発電プラントは、石炭類から水銀を除去するため、粉砕機で粉砕した石炭類に、乾留処理部にて乾留処理を施し、この乾留処理が施された石炭類をボイラで燃焼させることを特徴とする。石炭類に乾留処理を施すことで、石炭類に含有される微量金属、特に、有害な水銀を放出することができる。
ここで、乾留処理とは、石炭類を加熱することで、石炭類に含まれる水銀を放出される処理を言う。
乾留処理部では、乾留処理を施すことによって、石炭類の粒子から可燃性ガスおよび水銀が放出されるが、この粒子と、可燃性ガスおよび水銀とを分離装置にて分離するのが好ましい。さらに、可燃性ガスから水銀除去部にて水銀を除去し、この、水銀が除去された可燃性ガスをボイラに供給することもできる。
また、乾留処理部では、ボイラから排出される排ガスを熱源として乾留処理を施すことができる。このとき、ボイラから排出される排ガスを粉砕機に送り込むようにしても良い。
【0008】
本発明は、石炭類を粉砕する工程と、石炭類から水銀を除去するため、粉砕された石炭類を、粒子温度が所定温度以上となるよう加熱する工程と、加熱された石炭類をボイラに投入して燃焼させる工程と、を有することを特徴とするボイラの稼動方法として捉えることもできる。粒子温度が所定以上となるように加熱することで、石炭類から水銀を放出することができるので、この水銀を除去するのが好ましい。
また、石炭類を加熱すると、石炭類を粒子と可燃性ガスに分離することもできる。
このような方法は、発電プラントに限らず、石炭類をボイラで燃焼させるプラントであれば適用が可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における発電プラントの概略構成を説明するための図である。
この図1に示すように、発電プラントは、石炭を微粉状に粉砕して微粉炭とし、これを空気と混合して送り出す粉砕機1、粉砕機1から送り込まれた微粉炭から石炭中の水銀を除去する水銀除去装置(乾留処理部)10、水銀除去装置10を経た微粉炭を燃焼させるボイラ火炉(ボイラ)2を備えている。そして、ボイラ火炉2から排出された排ガスは、排ガス中から硫黄化合物(SO2)を除去する脱硫装置、排ガスを加熱するエアヒータ、排ガス中の粒子状物を回収する集塵機(いずれも図示無し)等を経て、煙突3から大気中に排出される。
【0010】
水銀除去装置10は、微粉炭をボイラ火炉2に送り込む前に加熱することで微粉炭に含まれる水銀を放出させて除去するものである。この水銀除去装置10は、混合ボックス11と粒子分離機(分離装置)12を備える。
混合ボックス11には、粉砕機1で粉砕され、空気と混合した微粉炭が送り込まれる。またボイラ火炉2から排出される排ガスの一部が、ファン13および排ガス供給管14を介し、この混合ボックス11に送り込まれるようになっている。
また、混合ボックス11と粒子分離機12は、所定長を有した配管15によって接続されている。これにより、混合ボックス11において、粉砕機1から送り込まれた空気および微粉炭と、ボイラ火炉2から送り込まれた排ガスとが混合し、配管15を介して粒子分離機12に送り込まれるようになっている。
【0011】
このとき、混合ボックス11から配管15を通して移送される間、微粉炭が高温の排ガスを熱源として加熱される。水銀は、沸点が356℃と金属としては低く、微粉炭の粒子温度が200℃程度から水銀が放出される。微粉炭を高温の排ガスによって加熱することで水銀を放出させ、いわゆる乾留処理を施すのである。ところで、微粉炭を加熱すると、微粉炭に含まれる可燃性ガスが放出され、水銀は、この可燃性ガス中に放出される。
なお、配管15の長さは、粉砕機1から送出される微粉炭の量、ボイラ火炉2から送り込まれる排ガスの量や温度等の条件に応じ、微粉炭からの水銀の放出が十分に行われるような長さに適宜設定するのが好ましい。
【0012】
粒子分離機12では、微粉炭を加熱することで発生した可燃性ガスと微粉炭の粒子(チャー)を分離する。このとき、微粉炭から放出された水銀は、可燃性ガスとともに粒子から分離される。
そして、粒子分離機12で分離したチャーは、供給管16を介し、そのままボイラ火炉2に燃料として供給される。一方、粒子分離機12で分離した、水銀を含む可燃性ガスは、水銀吸着部(水銀除去部)18に送り込まれる。
【0013】
水銀吸着部18は、水銀を吸着する水銀吸着剤等が収められた構成、あるいは還元気化装置等によって構成されている。この水銀吸着部18にて、可燃性ガスに含まれる水銀が除去され、可燃性ガスのみが供給管17を介し、ボイラ火炉2に燃料として供給される。
【0014】
ボイラ火炉2は、供給管16から供給されたチャーと、供給管17から供給された可燃性ガスを燃料として燃焼させる。そして、ボイラ火炉2から排出される排ガスは、脱硫装置、エアヒータ、集塵機(いずれも図示無し)等を経て、煙突3から大気中に排出される。
【0015】
上述したような構成によれば、ボイラ火炉2の前段側で、微粉炭を加熱して乾留処理を施すことで、微粉炭中に含まれる水銀を事前に除去するようにした。これにより、煙突3から大気中に排出される排ガスのクリーン度を高めることが可能となる。しかも、塩素系化合物を別途添加したりする必要もないので、運用コストを抑えることができる。また、水銀吸着部18で処理するガス量を、ボイラ火炉2の後流側で水銀の吸着除去処理を行う場合に比較して抑えることができ、装置のコンパクト化を図ることができる。これは、ボイラ火炉2の後流側で水銀の吸着除去処理を行う場合、水銀の吸着除去処理を行う部分では、ボイラ火炉2に送り込まれる可燃性ガス、ボイラ火炉2で燃料を燃焼させるための空気、ボイラ火炉2で発生する燃焼ガスなど、処理する空気量が非常に多いからである。
また、乾留処理により、水銀は微粉炭に含まれる可燃性ガスとともに放出されるが、水銀吸着部18にて水銀を除去した後、可燃性ガスをボイラ火炉2に燃料として供給するようにしたので、エネルギの有効利用が図れる。
さらに、微粉炭を乾留処理するための熱源として、ボイラ火炉2からの排ガスを利用するようにしたので、熱エネルギの有効利用が図れる。しかも、排ガスを供給することで、微粉炭(石炭)の自然発火が起きない低酸素濃度の環境下で、乾留処理に必要な高温条件を実現することができる。
【0016】
なお、上記の実施の形態では、微粉炭を乾留処理するための熱源として、ボイラ火炉2からの排ガスを用い、この排ガスを粉砕機1の後段側の混合ボックス11にて微粉炭と接触させる構成としたが、これに限るものではなく、他の箇所にて微粉炭と接触させるような構成とすることも可能である。
例えば、図2に示すように、ボイラ火炉2からの排ガスを粉砕機1に供給する構成とすることもできる。このような構成では、排ガスとの接触後、上記と同様にして配管20を通して移送される間、微粉炭に対し、高温の排ガスを熱源として乾留処理が行われ、微粉炭の粒子に含まれる可燃性ガスと水銀がガス中に放出されるので、粒子分離機12にて、可燃性ガスおよび水銀と、微粉炭のチャーとを分離し、水銀吸着部18で可燃性ガスに含まれる水銀を吸着除去した後、可燃性ガスとチャーとをボイラ火炉2に燃料として供給する。この場合、粉砕機1内で排ガスと微粉炭とが混合されるので、図1に示した構成のような混合ボックス11は省略することもできる。また、この場合、水銀除去装置10は、粉砕機1と粒子分離機12とによって構成されることになる。
加えて、この構成では、粉砕機1に排ガスが供給されることで、粉砕機1内をイナート化し、水銀のガス中への放出を安定して行うことできる。
なお、図2に示した構成において、図1に示した構成と共通するものについては同符号を付してその説明を省略している。
【0017】
また、上記実施の形態では、ボイラ火炉2から排出される排ガスを熱源として微粉炭の乾留処理を行う構成としたが、熱源はこれに限るものではなく、例えば
ボイラ火炉2等で発生させる蒸気等、他の熱源を利用することもできる。
この他、上記実施の形態では、粒子分離機12で分離した可燃性ガスをボイラ火炉2に供給する構成としたが、水銀を除去するという観点のみからすれば、この構成は必ずしも必須では無い。しかし、エネルギの有効利用のためには、上記構成を採用するのが好ましい。
加えて、発電プラントに粉砕機1、ボイラ火炉2、脱硫装置、エアヒータ、集塵機、煙突3を備える構成を例に挙げたが、これはあくまでも一例に過ぎず、例えば脱硫装置を省略したり、他の装置を追加する等、適宜変更を加えた構成の発電プラントであっても、上記と同様の効果を得ることが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ボイラ火炉の前段側で石炭類を加熱することで、石炭類に含まれる水銀を事前に除去するようにした。これにより、大気中に排出される排ガスのクリーン度を高めることが可能となる。また、水銀は微粉炭に含まれる可燃性ガスとともに放出されるが、この可燃性ガスから水銀を除去した後に、可燃性ガスをボイラ火炉に燃料として供給することで、エネルギの有効利用が図れる。さらに、微粉炭を加熱するための熱源として、ボイラ火炉からの排ガスを利用すれば、熱エネルギの有効利用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態における発電プラントの概略構成を示す図である。
【図2】 発電プラントの他の構成の一例を示す図である。
【図3】 従来の発電プラントの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1…粉砕機、2…ボイラ火炉(ボイラ)、3…煙突、10…水銀除去装置(乾留処理部)、11…混合ボックス、12…粒子分離機(分離装置)、14…排ガス供給管、15、20…配管、16、17…供給管、18…水銀吸着部(水銀除去部)
Claims (7)
- 石炭類を燃焼させる発電プラントであって、
前記石炭類を粉砕する粉砕機と、
前記石炭類から水銀を除去するため、粉砕された前記石炭類に乾留処理を施す乾留処理部と、
乾留処理が施された前記石炭類を燃焼させるボイラと、
を備えることを特徴とする発電プラント。 - 前記乾留処理部で乾留処理が施された前記石炭類の粒子と乾留処理によって当該石炭類から放出される可燃性ガスおよび水銀とを分離する分離装置と、
前記可燃性ガスから水銀を除去する水銀除去部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。 - 前記水銀除去部で水銀が除去された前記可燃性ガスを、前記ボイラに供給することを特徴とする請求項2に記載の発電プラント。
- 前記乾留処理部は、前記ボイラから排出される排ガスを熱源として乾留処理を施すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発電プラント。
- 前記乾留処理部は、前記ボイラから排出される排ガスを、前記粉砕機に送り込むことを特徴とする請求項4に記載の発電プラント。
- 石炭類を粉砕する工程と、
前記石炭類から水銀を除去するため、粉砕された前記石炭類を、粒子温度が所定温度以上となるよう加熱する工程と、
加熱された前記石炭類をボイラに投入して燃焼させる工程と、
を有することを特徴とするボイラの稼動方法。 - 前記石炭類を加熱することで当該石炭類から放出される水銀を除去する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のボイラの稼動方法。
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