JP3970057B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、挿入部の先端に湾曲可能な湾曲部を有する内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の種類としては、例えば医療用や工業用のものがある。医療用内視鏡は、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、例えば体腔内の臓器を観察等するために用いられている。一方、工業用内視鏡は、ボイラー、ガスタービンエンジン、科学プラント等の配管、自動車エンジン等の内部の傷、腐食等の観察や検査等に広く用いられている。
【0003】
一般的に、これらの内視鏡は、管腔内に挿入される挿入部の先端部近傍に湾曲可能な湾曲部を備えている。この湾曲部では、軸方向に沿って複数の節輪が直列に並設されている。前後の節輪間はリベットによって湾曲自在に連結されている。また、節輪の内空には、ワイヤ挿通部が突設されている。この挿通部には牽引ワイヤが挿通されている。内視鏡の手元側の操作部には湾曲操作機構が配設されている。この湾曲操作機構には、牽引ワイヤが連結されている。湾曲操作機構には湾曲ノブが配設されている。湾曲ノブを操作することにより、牽引ワイヤの一端を牽引して上下左右方向の所望の方向に湾曲することができるようになっている。
【0004】
さらに、このような湾曲部は節輪内空の有効断面積を広げるために、例えば特開昭62−192134号公報に開示されている技術がある。この技術は、節輪内空のリベットの頂部を避ける位置にワイヤ挿通部を設け、かつ、節輪内空に突出する突出部ができるだけ小さくなるようになっている。
【0005】
また、実開昭60−190301号公報に開示されている技術がある。この技術は、リベットで連結される連結部を挿入部外径方向に突出させている。そして、節輪内側にリベット頂部が突出することを防止して挿入部外径の細径化と内蔵物の高密度充填を両立させている。
【0006】
また、特開2000−296103号公報に開示されている技術では、可撓性を有する挿入部の湾曲部に複数の節輪が直列的に並設されている。各節輪には、ワイヤ挿通部および回動支点となる隆起部が形成されている。各節輪のワイヤ挿通部には、牽引ワイヤが挿通されている。そして、節輪の隆起部が隣接する節輪に順次当接されて、節輪同士のリベットによる連結をなくしたものである。この技術によれば、従来は節輪内に突出していたリベット頂部などの接合部を必要としないので、その空間を利用して飛躍的に挿入部の細径化と内蔵物の高密度化とを実現することができる。その結果、操作性の良い内視鏡を提供することが実現できている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭62−192134号公報に開示された技術の湾曲部では、隣接する節輪を接続するリベットの強度が低下するため、突出部の小型化には構造的に限度がある。また、実開昭60−190301号公報に開示された技術の湾曲部では、挿入部外径方向に局部的な膨らみができるため、内視鏡の挿入性に支障をきたす可能性があるなどの欠点があった。
【0008】
また、例えば、内視鏡挿入部を管腔内に挿入した場合、挿入部の長手方向軸周りに挿入部を回転させることがある。このような場合、特開2000−296103号公報で開示された技術の内視鏡では、節輪同士が機械的に接続されていないので、挿入部近傍が、管腔の内壁との摩擦などによって動きが規制されると、内視鏡挿入部の回転に追従し難くなることがある。すなわち、この場合、内視鏡先端部には湾曲部全長にわたって内視鏡挿入部の軸周り方向にスパイラル状に捻じれが生じるおそれがある。したがって、湾曲部内に設けられた節輪と内蔵物との間および/もしくは内蔵物同士が干渉するおそれがあった。
【0009】
(目的)
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、例えば内視鏡挿入部をその長手方向軸周りに回転させた場合に、内視鏡湾曲部内に挿通されている内蔵物と節輪との間および/もしくは内蔵物同士の干渉を抑制することができる内視鏡を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(手段)
上記課題を解決するために、この発明に係る内視鏡は、内視鏡先端部と、この内視鏡先端部の基端側に設けられた湾曲部と、この湾曲部の基端部に設けられた細長い硬性のパイプとを軸方向に沿って有する挿入部を具備し、前記挿入部に細長い複数の内蔵物が挿通された内視鏡であり、前記内視鏡先端部には、中央側に少なくとも1つの第1の内蔵物の先端が固定されて前記湾曲部側に延出され、前記第1の内蔵物よりも外側に少なくとも1つの第2の内蔵物の先端が固定されて前記湾曲部側に延出されており、前記第2の内蔵物は、前記第1の内蔵物と同じかそれよりも柔らかく、前記湾曲部は、軸方向に沿って互いに対して揺動可能な複数の節輪を有する節輪群を備え、前記節輪群は、前記節輪の一側面に回動支点となる一対の隆起部を他の節輪の他側面に順次当接させて形成され、最先端側の節輪の所定の位置には複数の牽引ワイヤの先端部がそれぞれ接続され、この節輪よりも後端部側に配列した節輪は、これら牽引ワイヤを貫通するようにワイヤ挿通穴を有し、かつ、前記節輪は、前記牽引ワイヤが挿通されるワイヤ挿通穴の周囲壁を前記節輪の内空側に突出させた複数の仕切壁と、前記仕切壁の頂部に内接する仮想円内に設けられ、前記第1の内蔵物を収容する第1の内蔵物収納部と、前記仕切壁に隣接する仕切壁との間に設けられ、前記第2の内蔵物を収容する第2の内蔵物収納部とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、前記第1の内蔵物は撮像ケーブルおよび/もしくは鉗子チャンネルであり、前記第2の内蔵物はライトガイドおよび/もしくはイメージガイドファイバであることが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の好ましい実施の形態の一例について図1ないし図6を用いて説明する。
【0013】
(構成)
図1に示すように、この実施の形態にかかる内視鏡1は、細長の内視鏡挿入部2と、この挿入部2の基端部に接続された内視鏡操作部3とからなる。
【0014】
内視鏡挿入部2の最も先端には硬質の内視鏡先端部8が設けられ、さらに、この先端部8の基端には、上下左右方向に湾曲自在な軟質の湾曲部9が設けられている。この湾曲部9の基端には、長尺で例えばステンレス鋼材製などの硬性パイプからなる硬性部10が設けられている。さらに、この硬性部10の基端側には、上述した操作部3が連結されている。
【0015】
また、内視鏡挿入部2には、主に湾曲部9を保護するため、保護シース13が挿入部2の全体にわたって装着可能に形成されている。この保護シース13は可撓性の高いチューブ状のシース16と、このシース16の基端部に設けられた口元部17とが接続されてなる。この口元部17は開口を有し、この開口の内壁には、例えば一対の突起状の係合凸部17aが形成されている。内視鏡挿入部2の先端部8を口元部17から保護シース13内に順次挿入すると、係合凸部17aが後述するグリップ凸部12aを乗り越えて係合される。したがって、保護シース13が内視鏡挿入部2の外周部に取り付けられる。
【0016】
一方、操作部3の先端には、上述した内視鏡先端部8側に向けて先細に形成されてこの挿入部2を支持するテーパ状の支持部26が設けられている。この支持部26の外周部に沿ってリング状でかつ、凸状に形成されたグリップ凸部12aが設けられている。この支持部26の基端部には、術者が把持する把持部としてグリップ12が設けられている。このグリップ12には図示しないVTRなどの映像記録装置や図示しないカメラコントロールユニット(以下、CCUという)などを遠隔操作するリモートスイッチ61が設けられている。また、このグリップ12の基端部には、上述の湾曲部9を例えば上下方向および左右方向にそれぞれ湾曲自在に操作する湾曲操作レバー14,15が設けられている。一方の湾曲操作レバー14に隣接する位置には、この湾曲操作レバー14を所望の位置で固定し、湾曲部9の湾曲状態を所望の状態で固定する湾曲固定レバー50が設けられている。また、同様に、他方の湾曲操作レバー15に対応して、湾曲固定レバー(図示せず)が設けられている。
【0017】
そして、この操作部3の後端部には、後述する光や様々な信号などを伝達可能なユニバーサルケーブル4の一端部が装着されている。このユニバーサルケーブル4の他端部には、図示しない光源装置が接続されるライトガイドコネクタ5が配設されている。このライトガイドコネクタ5の側部からは、カメラケーブル6の一端が延出されている。また、このカメラケーブル6の他端には、図示しないCCUが接続されるカメラコネクタ7が配設されている。なお、このCCUには、図示しないモニタが接続される。したがって、被検部の光学像が後述する固体撮像素子で撮像されると、CCUでその信号が処理され、モニタでその被検部の画像が表示される。
【0018】
また、ライトガイドコネクタ5の側部には、内視鏡1の内外の連通および閉塞の選択が可能な通気口金11が設けられている。このため、内視鏡1の水漏れ検査が行なえるようになっている。通常、通気口金11は閉塞されて、内視鏡1の内部に水が浸入しない水密構造となっている。
【0019】
次に、図2ないし図6を用いて、内視鏡挿入部2の先端部8、湾曲部9および硬性部10の内部構造について説明する。
【0020】
図2に示すように、この実施の形態にかかる内視鏡挿入部2の内部には、例えば2束のライトガイド19や撮像ケーブル27などの内蔵物が挿通されている。
【0021】
2つのライトガイド19は、図1に示す内視鏡挿入部2から操作部3およびユニバーサルケーブル4を介してライトガイドコネクタ5に接続され、さらに光源装置(図示せず)に接続されて照明光学系としてなる。このため、光源装置、ライトガイドコネクタ5、ユニバーサルケーブル4および操作部3を介してライトガイド19の先端に配設されている図2に示す後述する照明窓18から例えば体腔内などの被検部を照明する照明光が導光される。
【0022】
また、ライトガイド19と同様に、撮像ケーブル27は、内視鏡挿入部2から操作部3およびユニバーサルケーブル4を介してライトガイドコネクタ5に接続されている。そして、カメラケーブル6およびカメラコネクタ7を介して図示しないビデオプロセッサ等に接続される。
【0023】
また、図2に示すように、内視鏡先端部8の内部には撮像ケーブル27の先端に図示しない電子回路基板を介して撮像ユニット23が設けられている。この撮像ユニット23は、対物レンズ系21と撮像部22とを備えている。この対物レンズ系21は複数のレンズが組み合わされている。また、撮像部22の内部には、例えばCCDなどの図示しない固体撮像素子が内蔵されている。ライトガイド19による照明光が照射された被検部像が対物レンズ系21に導入される。そして、この像が撮像部22内で固体撮像素子に結像される。この画像信号が撮像ケーブル27、操作部3、ユニバーサルケーブル4、ライトガイドコネクタ5、カメラケーブル6およびカメラコネクタ7を順に介してビデオプロセッサに入力される。
【0024】
そして、図2および図3に示すように、内視鏡先端部8は、主に先端円筒部材28と先端本体29と先端枠30とからなる。
【0025】
図2に示すように、先端円筒部材28は、金属材製で薄肉円管状に形成されている。この先端円筒部材28の基端は、先端円筒部材28の先端よりも細径に成形されて段付細径部28aとなっている。
【0026】
また、図2および図3に示すように、先端本体29は、樹脂材やセラミック材などの絶縁材料によって成形されている。また、この先端本体29の一端面側、すなわち先端部8の先端面側には、フランジ部29bが設けられている。この先端本体29のほぼ中央には、対物収納孔29aが設けられている。この対物収納孔29aには、撮像ユニット23の先端部の対物レンズ系21が嵌入されて水密的に固定されている。また、図2に示すように、この対物収納孔29aの軸方向、すなわち内視鏡挿入部の長手方向軸に直交してネジ穴が成形されており、側方からビス32によって撮像ユニット23が固定されている。このビス32の固定後、ネジ穴にはさらに充填材が充填されて、水密が確保されている。
【0027】
ところで、先端枠30は、金属材製で薄肉円管形状に形成されている。図2に示すように、この先端枠30の内壁部には、先端本体29のフランジ部29bが嵌入される当接部30aが設けられている。また、先端枠30の外壁部には、先端円筒部材28に前記先端枠30を嵌入した際、先端円筒部材28端部が当接する段付部30bが形成されている。
【0028】
そして、図2および図3に示すように、先端円筒部材28の先端に先端枠30を嵌入した状態で接着固定されている。また、先端枠30の内部には、先端本体29のフランジ部29bが当接部30aに当接され、かつ、接着固定されている。これら先端円筒部材28、先端本体29および先端枠30が互いに接着固定されて一体化されている。なお、先端枠30と先端本体29との内視鏡挿入部2の先端面は、ほぼ平坦となっている。
【0029】
さらに、図2および図3に示すように、先端本体29と先端枠30とを組み合わせてなる空間には、ライトガイド19の先端部が好ましくは矩形状に成形されて配置されている。そして、ライトガイド19の先端部には例えば平板ガラスなどからなる照明窓18が装着され、透明な接着材などによって水密的に固定されている。
【0030】
次に、図2を用いて内視鏡挿入部2の硬性部10について説明する。
【0031】
図2に示す筒状の硬性部10の先端部の内周面には、雌ねじ部10aが設けられている。また、湾曲部9の基端部には筒状の先端口金部54が湾曲部9の基端部に嵌合されるとともに接着によって固定されている。この先端口金部54の外周面には、上述した雌ねじ部10aに螺合される雄ねじ部54aが設けられている。そして、これら雄ねじ部54aおよび雌ねじ部10aが螺合されるとともに接着されて硬性部10と湾曲部9とが接続固定されている。
【0032】
図2に示すように、硬性部10の内部には、それぞれ独立して牽引ワイヤ42が挿通される4つのコイルシース20が内挿されている。これらコイルシース20の先端は、先端口金部54に対して例えば銀ろうやはんだなどでそれぞれ固定されている。これらコイルシース20に牽引ワイヤ42がそれぞれ挿通されているので、牽引ワイヤ42が進退することによるライトガイド19や撮像ケーブル27などの内蔵物の損傷は防止される。なお、これらコイルシース20の基端は、内視鏡操作部3の近傍で図示しない嵌合部材に嵌合されて保持されている。
【0033】
次に、図2および図4ないし図6を参照して内視鏡湾曲部9の構成について説明する。
【0034】
湾曲部9の内部には、図2および図4に示すように、複数の節輪36が内視鏡挿入部2の軸方向に沿って一列に並べられている。
【0035】
図4ないし図6に示すように、各節輪36は板状で、かつ、円環状に形成されている。節輪36の肉部41の軸方向の肉厚は、後述する隆起部44を除いてほぼ均一厚に形成されている。すなわち、節輪36の軸方向の前後の両端面は基本的にほぼ平坦である。また、図5に示すように、この節輪36の内周とほぼ同一の周上には、牽引ワイヤ42が挿通されるワイヤ挿通穴40が設けられている。節輪36の内周面には、このワイヤ挿通穴40の周囲に節輪36の内側に突出させた突設部43が形成されている。また、この突設部43は、節輪36の円周をほぼ4等分した位置、すなわち、節輪36の中心に対して約90°ずつ異なる位置にそれぞれ配置されている。そして、これら4つの位置に牽引ワイヤ42が節輪36の厚さ方向に進退自在に貫通されている。すなわち、これら牽引ワイヤ42は節輪36の両端面に対して直交して挿通されている。なお、節輪36の突設部43以外の部分では、外周部肉部41と同様な厚さに形成されていることが好適である。
【0036】
また、図4および図6に示すように、これら4つの突設部43のうち、節輪36の中心線に対して対角線上に向かい合う一対の突設部43には、節輪36の軸方向に向けて断面が円弧状に隆起して回動支点となる隆起部44が形成されている。これら隆起部44は、節輪36の一端面にのみ形成されている。
【0037】
そして、複数の節輪36が配列される場合、節輪36の隆起部44がある面側は同一の方向に並べられている。また、節輪36の隆起部44は隣接する節輪36に対して例えば90°回転した位置に交互に配置されて節輪群37が形成されている。したがって、互いに隣接する節輪36同士は隆起部44で当接されて節輪群37が直列に形成されている。なお、湾曲上下方向と左右方向との湾曲可能角度を変えた湾曲部9が形成される場合、隣接する節輪36の隆起部44の配置を90°回転させず適宜同じ配置として混在させても良い。
【0038】
ところで、各節輪36は例えばSUS303やSUS304等のステンレス鋼材製であることが好適で、切削加工によって形成される。また、メタルインジェクションモールド製法により成形されていてもよく、SUS303、SUS304、SUS316、SUS630等のステンレス鋼材製の紛体を用いることも好適である。
【0039】
図2に示すように、このような節輪群37は湾曲部9の骨格部としてなる。さらに、この節輪群37の外周部には、湾曲部網管38が被覆されている。また、この湾曲部網管38のさらなる外周部には、屈曲自在な軟性のチューブ体39が被覆されている。
【0040】
一方、上述したように、図2および図5に示すように、湾曲部9内、すなわち節輪群37内には、2束のライトガイド19と、撮像ケーブル27とが挿通されている。これらライトガイド19や撮像ユニット23などの内蔵物の先端部は、内視鏡挿入部2の上述した先端部8で規定位置に固定されて、湾曲部9内でそれぞれの配置が決定される。
【0041】
このような配置によって、各節輪36に設けられた隣接する突設部43同士の間には、内蔵物の収容空間24が形成されている。各収容空間24間の突設部43によって、例えばライトガイド19同士の干渉を抑制する干渉抑制手段である仕切壁が形成されている。この実施の形態の隣接する2つの収容空間24には、柔軟性を有するライトガイド19が節輪36などの周囲に対して十分な余裕をもって1束ずつ配置されている。すなわち、ライトガイド19と節輪36との間の干渉が抑制される。また、4つの突設部43のそれぞれの頂部に内接して仮想円25が仮想的に設けられている。この仮想円25の内側には、比較的可撓性が高い撮像ケーブル27が周囲に対して十分な空間をもって収められている。このため、仮想円25内は、撮像ケーブル27と節輪36との間の干渉を抑制する抑制手段となっている。
【0042】
このように柔軟性を有する内蔵物は、上述した収容空間24に、可撓性の高い内蔵物が仮想円25内に配置(収容)されている。なお、図示しないが、例えば光学画像がイメージガイドファイバーによって伝達される内視鏡では、柔軟性を有するイメージガイドファイバーが収容空間24に配置される。また、例えば鉗子などの処置具類が挿通される可撓性の高い鉗子チャンネルが内蔵される内視鏡では、鉗子チャンネルは仮想円25内に配置される。
【0043】
また、内視鏡湾曲部9の先端には、口金部56が設けられている。この口金部56の基端には、最も先端側に配設された節輪36が装着されている。この口金部56の先端には、内視鏡先端部8に嵌合する嵌合部が形成されている。この嵌合部は先端円筒部材28の段付細径部28aに嵌合され、かつ、接着固定されている。さらに、この口金部56の内周部には、牽引ワイヤ42の係止部31が取り付けられている。この係止部31に、牽引ワイヤ42の先端部が挿通され、銀ろうなどで固定される。なお、これら牽引ワイヤ42の基端部は、図1に示す操作部3に設けられている湾曲操作レバー14,15などの湾曲操作機構に連結されている。
【0044】
(作用)
次に、このような内視鏡1の操作部3を操作して、湾曲部9を所望の方向に湾曲させて対象物の観察を行なう場合について図面を参照しながら説明する。
【0045】
図1に示す内視鏡操作部3の手元側の湾曲操作レバー14,15を操作して図4および図5に示す牽引ワイヤ42を所望の方向に牽引して、先端側の節輪36を操作部3側に引っ張る。この結果、牽引ワイヤ42を引っ張った方向に回転モーメントが発生し、各節輪36の隆起部44の当接部分を支点として各節輪36が回動する。各節輪36の回動が組み合わされて、湾曲部9全体が操作した方向に湾曲する。
【0046】
続いて、観察中や洗滌中など、挿入部先端部8近傍を保持、あるいは何らかの要因により挿入部先端部8の動きを規制した状態において、操作部3を挿入部2の長手方向を軸周りに回転させる操作をした場合について説明する。
【0047】
このような内視鏡先端部8が動き難い状態で、図1に示す操作部3を挿入部2の長手方向軸周りに回転操作すると、この操作部3に対して一体的に設けられた硬性部10の先端部に固定された湾曲部9に捻じり力が伝達される。そして、湾曲部9には全長にわたって捻じれが発生する。このとき、図4に示す節輪36の内面は長手方向に沿ってスパイラル状となっている。そして、柔軟性のあるライトガイド19は、スパイラル状の収容空間24に沿って、十分な余裕を持って収容されるとともに、突設部43により、ライトガイド19が隣接するライトガイド19と同じ収容空間24に入り込んでしまうことが防止される。
【0048】
また、撮像ケーブル27は突設部43に内接する仮想円25の内側に位置される。このため、湾曲部9が捻じれても、突設部43の頂部と撮像ケーブル27との干渉が抑制される。
【0049】
(効果)
以上説明したように、この実施の形態について以下のことがいえる。
【0050】
ライトガイド19等の柔軟性を有する内蔵物の一束ずつを隣接する突設部43の間に設けた収容空間24に配置することによって、湾曲部9に捻じれが生じた場合であっても十分な収容空間を維持することができ、さらに、突設部43の頂部が収容空間24に収容された内蔵物19の移動を規制するので、隣接する内蔵物19との干渉を抑制することができるので、内装物(内蔵物)を保護することができる。
【0051】
また、撮像ケーブル27等の可撓性の高い内蔵物27を突設部43の頂部に内接する仮想円25の内側に配置することによって、湾曲部9に捻じれが生じた場合であっても突設部43が内蔵物27に直接干渉することを防止することができる。したがって、内蔵物19,27は湾曲部9の捻じれ形状に沿って十分なスペースを確保した状態で湾曲部9内に収容することができる。また、湾曲部9の捻じれによって内蔵物19,27が煽られて挿入部先端部8と内蔵物19,27との固定部分が分離する可能性を抑えることができる。
【0052】
また、この実施の形態にかかる内視鏡湾曲部9では、機械的な連結構造を有しておらず、全体的に柔軟性に富む構造をしているので、挿入部先端部8に意図しない外力が加えられた場合に応力集中を防止することができる。
【0053】
したがって、この実施の形態によれば、湾曲部9の外径の細径化と内蔵物19,27の高充填率化との両立を図ることができる湾曲管構造を提供することができる。また、湾曲部9に捩じれが生じた場合であっても、湾曲管9内部の空間24,25形状が常に余裕を持って内蔵物19,27を収納できるように構成されているため、内蔵物同士19,27の干渉を抑制することができる。また、内蔵物19,27と湾曲部9との間の干渉を抑制することができる。
【0054】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0055】
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
【0056】
[付記]
(付記項1) 牽引ワイヤを操作することで挿入部先端を所定の方向に湾曲させる湾曲部を有し、この湾曲部内に観察像および照明光の伝達手段などの内蔵物を内蔵した内視鏡において、
前記湾曲部の湾曲節輪内空に、前記牽引ワイヤが挿通するワイヤ挿通部を突設するとともに、前記湾曲部がその長手方向を軸として捻じれたとき、前記内蔵物が前記ワイヤ挿通部を含む節輪内部によって圧迫を受けないようにするための空間を前記湾曲部内に設けたことを特徴とする内視鏡。
【0057】
(付記項2) 前記湾曲部は、複数の湾曲節輪を、各々の湾曲節輪のワイヤ挿通部に前記牽引ワイヤを進退自在に挿通させて直線的に配列し、各々の節輪が当接した状態でその外周部を柔軟性のある被覆部材で覆うとともに、前記被覆部材を前記節輪の前端側と後端側とに固定していることを特徴とする付記項1に記載の内視鏡。
【0058】
(付記項3) 前記湾曲部に連接する挿入部は、硬性パイプからなることを特徴とする付記項1に記載の内視鏡。
【0059】
(付記項4) 前記牽引ワイヤが挿通されるワイヤ挿通部が、ほぼ90゜の角度を成して4箇所設けられていることを特徴とする付記項2に記載の内視鏡。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、内視鏡湾曲部内に挿通されている内蔵物と節輪との間および/もしくは内蔵物同士の干渉を抑制することができる内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この実施の形態にかかる好ましい内視鏡を示す概略的な斜視図。
【図2】図1に示す内視鏡挿入部の先端部近傍における長手方向の概略的な断面図。
【図3】図2に示す内視鏡挿入部の先端面を示す概略的な正面図。
【図4】節輪の配列状態を示す概略的な斜視図。
【図5】図2に示す内視鏡挿入部の先端部近傍をA−A線で切断してこれを矢印方向から見た場合の概略的な断面図。
【図6】図5に示す節輪の1つを示す概略的な斜視図。
【符号の説明】
1…内視鏡、2…内視鏡挿入部、3…内視鏡操作部、8…挿入部先端部、9…内視鏡湾曲部、10…硬性部、19…ライトガイド、24…空間、25…仮想円、27…撮像ケーブル、28…先端円筒部材、36…節輪、37…節輪群、38…湾曲部網管、39…チューブ体、40…ワイヤ挿通穴、42…牽引ワイヤ、43…突設部、44…隆起部
Claims (2)
- 内視鏡先端部と、この内視鏡先端部の基端側に設けられた湾曲部と、この湾曲部の基端部に設けられた細長い硬性のパイプとを軸方向に沿って有する挿入部を具備し、前記挿入部に細長い複数の内蔵物が挿通された内視鏡であって、
前記内視鏡先端部には、中央側に少なくとも1つの第1の内蔵物の先端が固定されて前記湾曲部側に延出され、前記第1の内蔵物よりも外側に少なくとも1つの第2の内蔵物の先端が固定されて前記湾曲部側に延出されており、
前記第2の内蔵物は、前記第1の内蔵物と同じかそれよりも柔らかく、
前記湾曲部は、軸方向に沿って互いに対して揺動可能な複数の節輪を有する節輪群を備え、
前記節輪群は、前記節輪の一側面に回動支点となる一対の隆起部を他の節輪の他側面に順次当接させて形成され、
最先端側の節輪の所定の位置には複数の牽引ワイヤの先端部がそれぞれ接続され、
この節輪よりも後端部側に配列した節輪は、これら牽引ワイヤを貫通するようにワイヤ挿通穴を有し、かつ、
前記節輪は、
前記牽引ワイヤが挿通されるワイヤ挿通穴の周囲壁を前記節輪の内空側に突出させた複数の仕切壁と、
前記仕切壁の頂部に内接する仮想円内に設けられ、前記第1の内蔵物を収容する第1の内蔵物収納部と、
前記仕切壁に隣接する仕切壁との間に設けられ、前記第2の内蔵物を収容する第2の内蔵物収納部と
を具備することを特徴とする内視鏡。 - 前記第1の内蔵物は撮像ケーブルおよび/もしくは鉗子チャンネルであり、
前記第2の内蔵物はライトガイドおよび/もしくはイメージガイドファイバであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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