JP3969001B2 - ボールねじ用ナットの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールが転動あるいは転走する螺旋状のボール転走溝が形成されたボールねじ用ナットおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじは、円柱外面に螺旋状のボール転走溝を備えたシャフトと円筒内面に螺旋状のボール転走溝を備えたナットと、対向する2つのボール転走溝内で転動する複数のボールからなり、シャフトあるいはナットの回転を並進運動に変換する(又はその逆の変換をする)機械要素である。
【0003】
従来、このボールねじ用のナットは、大略、図1に示されるような7つの工程を経て製造される。最初、(P01)熱間又は冷間鍛造によってほぼ円柱状の素材を得る。(P02)円柱状の素材の中心に、例えばドリルによって、貫通孔をあける。(P03)素材の外側面および中心孔内周面を切削バイトで仕上げ加工する。(P04)切削バイト又はミーリング工具によって素材の中心穴内面側に螺旋状のボール転走溝をつくる(切削する)。(P05)素材に熱処理、例えば浸炭焼入、をする。(P06)ボール転走溝を仕上加工、例えば研削又はラッピング、する。(P07)素材を表面処理、例えば防錆処理、する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の製造方法によるとき、次のような問題が生じる。
【0005】
1 切削によってつくられた(P04)ボール転走溝の表面の表面粗度は、仕上げ加工なしにボール転走面として使用するためには粗すぎる。このため、表面仕上げ加工(P06)が必要である。
【0006】
2 円柱状の素材の中心に、例えばドリルによって、貫通孔をあける(P02)とき、および、素材の中心孔内周面を切削バイトで仕上げ加工する(P03)とき、比較的孔が深いため、中心孔から切りくずを排出することが困難である。
【0007】
3 このため、孔あけおよび中心孔内周面の加工に時間がかかる。
【0008】
4 また、素材の中心孔内周面を切削バイトで仕上げ加工する(P03)とき、この孔に入れることが可能なように、小さい切削バイトを使用しなければならない。小さい切削バイトは強度が低いため、大きな切り込み量でもって切削することができず、作業能率が悪い。
【0009】
5 切削バイトに代えてヘリカルブローチを使用することは可能である。しかしながら、ヘリカルブローチの製造と保守は煩わしく、また、このための費用がかかる。
【0010】
6 切削バイトは、摩耗、欠けが生じるので、安定した加工ができない。また、このため不良品を発生しやすい。上記2から4の問題は、中心孔の径が小さくなるほど顕著に現れる。
【0011】
7 ボール転走溝を切削によってつくった場合、メタルフローが切断される。メタルフローの切断はその表面強度を低下させる。このため、ナットの、また、これを使用したボールねじの耐久性が低い。
【0012】
本発明は、上記種々の問題に鑑み、ボールねじ用のナットにおけるボール転走溝を切削によらないでつくることによってメタルフローの切断を起こさず、また、場合によりボール転走溝を仕上げ加工する必要をなくした製造方法およびこの製造方法によったボールねじ用のナットを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段によって、解決される。すなわち、
第1番目の発明の解決手段は、ボールが転動するための螺旋状のボール転走溝がその中心孔の内周面に形成されているボールねじ用ナットの製造方法であって、この製造方法は、予め孔があけられたナット素材を準備する工程と、上記ナット素材の外面の拡張を内面側にクラウニングが形成された拘束ダイスによって拘束する工程と、上記ナット素材の外面の拡張を拘束した状態で、螺旋状の畦をもったパンチと上記ナット素材の間の相対的な運動であって、上記孔の中心軸方向の並進運動と中心軸周りの回転運動を同時に与える運動によってボール転走溝の冷間鍛造を行う工程と、上記ボール転走溝の表面に焼き入れする焼き入れ工程とを備える。
【0014】
第2番目の発明の解決手段は、第1番目の発明のボールねじ用ナットの製造方法において、上記ボール転走溝の表面を、更に、上記焼き入れの後の研削によって仕上げるものである。
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図2は、本発明のボールねじ用のナット1の一例を示す縦断面図である。ナット1は、孔1eをその中心に有し、この孔1eは3つの円筒状孔部分1f、1g及び1hからなっている。中央の円筒状孔部分1gの内周面1cには螺旋状のボール転走溝1dが形成されている。ナット1は更に円筒状外周部1bとフランジ部1aを備えている。
【0017】
図3は、本発明のボールねじ用ナットの製造方法を実施するためのダイユニットの概略説明図である。また、図4、図5、図6、図7、図8及び図9は、図3の要部拡大図であり、それぞれ、本発明のナットの製造過程における各部材の位置及び状態を順番に示すものである。
【0018】
ダイユニット100は、下方ユニット101と上方ユニット102とからなり、上方ユニット102は下方ユニット101から延在する枠体(不図示)によって、上下動可能に支持されている。下方ユニット101は、下基台10、ホルダー8、シリンダー7、ピストン6を備えている。下方ユニット101は、下基台10を介してプレスのベッド(不図示)に固定される。ホルダー8及びシリンダー7はそれぞれ適宜の固着手段、例えばボルト、により下基台10及びホルダー8に固定される。ホルダー8から円筒部8bが突出しており、この円筒部8bの外周面とシリンダー7の内周面とでなす空間にはピストン6が嵌装されている。このピストン6によって隔てられる2つの空間のそれぞれには油路7a及び7bが接続しており、油路7a及び7bは不図示の油圧源に接続されている。
【0019】
ピストン6は環状断面を備えており、その上部にはピストン上部板6aを備えている。ピストン上部板6aの中央部には、穴があけられており、ブランク2および後述のパンチ3はこの孔を通過可能である。また、ピストン上部板6aの穴の縁の位置には、環状のくさび5が下方に向かって取り付けられている。くさび5は孔を備えており、この孔の内周は下方に向かって広がるテーパ面5aに形成されている。くさび5には拘束ダイス4が嵌合する。拘束ダイス4の外側には、くさび5のテーパ面5aにほぼ相補的な、密着可能なテーパ面4aが形成されている。この拘束ダイス4にはさらに貫通孔が設けられており、この貫通孔内にブランク2が納められる。
【0020】
拘束ダイス4の貫通孔は、これにブランク2を装填、排出可能なようにブランク2の外径より若干大きく作られており、装填されたブランク2を把持するために、縮径可能となっている。また、これだけでなく、冷間鍛造の進行時、すなわち後述のパンチ3がブランク2内に侵入するときに、内部から受ける力によって外側に向かってブランク2が膨れないように、ブランク2を外部から強い力で拘束する。このようにすることの意味については後述する。
【0021】
拘束ダイス4は縮径できるように、本体を薄肉の構造とする、あるいは、本体に軸方向の複数のスリットを入れた構造とすることができるが、冷間鍛造時にかかる荷重によって塑性変形しないために充分な硬度あるいは強度をもたせる必要がある。また、ブランク2を拘束するため、拘束ダイス4は環状のくさび5を介して円筒部8bによってバックアップされるので、円筒部8bはその壁の厚さを厚くする等により頑強な構造としなければならない。
【0022】
なお、上には、ブランク2を把持及び拘束するためにシリンダー7を使用する例を示したが、トグル機構を用いたクランプ機構を採用することも可能である。要するに、ブランク2の把持と冷間鍛造時にブランク2が膨らむことを防止するための強固な拘束が実現されればよい。
【0023】
なお、ノックアウトピン9は、不図示プレス装置に設けられているものであって、冷間鍛造終了後、ブランク2を拘束ダイス4から排出するために、適宜のタイミングで下方からブランク2を突き上げる。
【0024】
上方ユニット102は、パンチホルダー11、パンチハウジング14、上基台21、及びモーター17からおおむね構成される。上基台21にはパンチハウジング14が適宜の手段により固定される。パンチハウジング14内には、パンチホルダー11がベアリングを介して回転可能に支持される。パンチ3は、パンチホルダー11の下端にパンチ取付板12等の適宜の固着構造によって固定される。
【0025】
パンチホルダー11の上方部にはホルダー側プーリー15が固定されており、モーター17の出力軸にはモーター側プーリー15aが固定されている。ベルト16がホルダー側プーリー15とモーター側プーリー15aに巻き掛けられているので、上基台21に固定されたモーター17によって、パンチホルダー11とこれに固定されたパンチ3を回転させることが可能になっている。
【0026】
上基台21には、更に、ラックバー18が固定されている。一方、下基台10にはエンコーダー支持部材10aが設けられている。エンコーダー支持部材10aの先端側にはエンコーダー20が取り付けられており、エンコーダー20の入力軸にはピニオン19が固定されていて、ラックバー18のラック歯と噛合している。この構成によって上基台21の上下方向の動きの量をエンコーダー20によって検出することができる。
【0027】
エンコーダー20によって検出された上基台21の動き量に応じて、モーター17の回転量が制御される。したがって、プレスの上下動に伴い、パンチが並進(軸方向の運動)すると同時に回転する。この回転と並進の関係はパンチ3の外周に設けられた畦が描く螺旋軌跡に対応する関係に設定される。つまり、回転とプレスの上下動の関係は、ボールねじのボール溝の進み角に対応するように設定される。
【0028】
このような回転と並進の関係は別の構成によって実現することができる。例えば、パンチ3とブランク2との運動の相対的な関係であるから、パンチ3を回転させる代わりにブランク2を回転させるようにすることもできる。また、エンコーダー20を使用することなく、プレスの上下動をラック−ピニオン機構などの機械的伝動機構により直接パンチ3あるいはブランク2の回転に変換する構成を採ることができる。更に、エンコーダー20に代えてリニアスケールなどの別の位置測定手段を使用することもできる。
【0029】
以上に説明したダイユニット100によって実行される各プロセスを図4から図9までを用いて説明する。なお、これらのプロセスの間、ブランク2には、外部から加熱されることはない。
【0030】
図4は加工前のダイユニット100の状態を表している。ピストン6はシリンダー7の油路7aに高圧の作動油を送ることにより上昇しており、それに伴ってくさび5も上昇し、くさび5の内面側のテーパ面5aと拘束ダイス4の外面側のテーパ面4aとは離れた状態になり、拘束ダイス4の内面側は半径方向に聞いた状熊になっている。パンチ3は拘束ダイス4の上方に離れている状態で待機している。
【0031】
パンチ3と拘束ダイス4はお互いの軸芯が一致するように保たれている。この状態でブランク2は拘束ダイス4内に挿入される。このとき、拘束ダイス4は開いた状態であるため、容易にブランク2を拘束ダイス4内に挿入することができる。挿入されたブランク2はフランジ部2aが拘束ダイス4の上面に接触した状態で安定し、停止する。なお、図2は鍛造加工が終了した製品としてのナットを示しており、これと区別するために、図3以降では鍛造加工の前、途中、後にかかわらず、ブランクとその部分の符号は2とそのサフィックスによって表されている。
【0032】
ブランク2が拘束ダイス内に挿入された後、シリンダー7の油路7bに作動油を送ることによりピストン6は下降し、それに伴ってくさび5が下降し、くさび5のテーパ面5aが拘束ダイス4のテーパ面4aに接触し拘束ダイス4が縮径する。拘束ダイス4の縮径によってブランク2が把持される。この状態を図5に示す。この時ブランク2は拘束ダイス4により同芯のまま保持されるため、ブランク2とパンチ3も同芯が保たれる。
【0033】
プレスのラムが下降を開始すると、上方に待機していたパンチ3が回転しながらブランク2の内面に突入する。この時図3に示したエンコーダー20によりモーター17の回転が制御されているので、パンチ3の軸方向の運動とその回転運動の量は比例する。このため、パンチ3は螺旋状の畦(突状部)3aの進み角に見合った回転と軸方向の動きをしながらブランク2の内面に突入する。パンチ3は回転を継続しながらブランク2内を進み続ける。この動作によってパンチ3の畦(突状部)3aの形状がブランク2の内面に転写される。この動作の最終状態を図6に示す。
【0034】
この冷間鍛造時に、ブランク2はパンチ3から強い回転力を受けるが、前述のように拘束ダイス4により強く把持されているので、ブランク2が回転することはない。また、パンチ3の軸芯とブランク2の軸芯は一致しているので、成形された螺旋溝はブランク2の軸芯に関して正確に成形される。
【0035】
パンチ3は必ず強制回転をさせなければならない。特にボールねじのピッチが小さい(リード角が小さい)場合には強制回転なしにねじ溝の成形ができない。つまり、強制回転なしの場合には軸方向の力の分力によって生じる回転力よりもパンチ3とブランク2との間で発生する摩擦力が大きいので、いわゆるセルフロック状態になって、パンチ3が自然に回転するようなことはない。したがって、ねじ溝は形成されない。
【0036】
一方、大きいリード角の場合には、特に強制回転を与えなくてもパンチ3は自然に回転(相手にしたがって連れ回りする状態)可能であり、ねじ溝を成形することができる。しかしながら、パンチ3の自然回転に任せる冷間鍛造法によって得られたナットは、リード誤差がどうしても大きくなるため、実質的にボールねじの部品(ナット)として使用することができない。このため、本発明では、パンチ3とブランク2との間に相対的な回転と並進を与えることを要件としている。
【0037】
プレスのラムのストロークエンドに至って、パンチ3の動きが停止し、続いてパンチ3は逆回転しながら上昇する。この時のパンチ3の回転もパンチ3の螺旋状の畦(凸条部)3aの角度に見合った角度で逆回転するため、パンチ3とブランク2とは干渉することなく抜け出て円滑に分離できる。この状態を図7に示す。
【0038】
パンチ3が上昇した後、シリンダー7の油路7aに作動油を送ることによりピストン6およびくさび5が上昇し、それに伴いくさび5と拘束ダイス4の拘束がなくなり、ブランク2が拘束ダイス4の把持から解放される。この状態を図8に示す。
【0039】
その後ノックアウトピン9が上昇することによりブランク2は拘束ダイス4より上方に持ち上げられる。この状態を図9に示す。ここで、鍛造成形完了したブランク2はユニット外に排出される。この後、ノックアウトピン9は下降し、次のブランク2が挿入され、初期の状態(図4の状態)に戻る。
【0040】
鍛造完了後、ブランク2に熱処理(浸炭焼入)を施し、防錆処理を経て組立工程に送られる(一般ボールねじの場合)。図10に本発明による一般用(汎用)ボールねじ用ナットの加工工程を示す。工程P11から工程P13までは、先の図1、P01からP03までの説明と同様である。外側および中心孔内周面をバイトで仕上げ加工したブランク(P13)の中心穴内面には、上に説明した冷間鍛造によって螺旋溝が形成される(P14)。形成された螺旋溝を熱処理(浸炭焼入)する(P15)。従来一般用(汎用)ボールねじ用ナットでも行われていたボール転走溝の仕上げ加工(研削又はラッピング)が、次に説明する理由から省略されており、直ちにナットの表面(防錆)処理が行われ(P16)て、製品のナットとなる。
【0041】
冷間鍛造用パンチ3の成形面(螺旋状の畦、凸条部)の面粗度はブランクに転写される。このため、この面粗度が良好な場合には、加工されたボール転走溝は一般ボールねじ用のナットとして使用するために充分に良好な面粗度を有している。そして、表面硬度を高めるためにボール転走溝に熱処理を施したとしても、一般ボールねじに必要な程度の寸法精度はほぼそのまま維持することができる。したがって、ブランクのボール転走溝をこの冷間鍛造法で加工したとき、特にボール転走溝を研削仕上げ等をすることなく、そのまま一般ボールねじ用のナットの転走面として使用できる。これにより、ナットの製造コストを引き下げることが可能になる。
【0042】
高精度ボールねじの場合は、冷間鍛造後にボール転走溝を熱処理したとき生じた精度の狂いを取り除く必要があるため、研削(又はラッピング)仕上げをする。この場合研削仕上げを省略できるという効果は期待できないけれど、それ以外、例えば、加工時間の短縮、あるいは、研削代がきわめてわずかですむためメタルフローの切断による表面強度の低下がほとんど生じないという効果が期待できる。
【0043】
加工条件が悪いとき、冷間鍛造中にブランク2とパンチ3との間にかじりや焼き付きが発生することがある。これは潤滑油を充分に供給することによってある程度防止できるが、これでも不十分な場合、更に、パンチ3の形状に工夫が必要である。以下にこの工夫の一例を示す。
【0044】
図11は、この工夫をしたパンチ3とブランク2の一部拡大断面図である。パンチ3の突状部3aの表面とブランク2の溝部2dの表面とは鍛造するためには接触しなければならないが、それ以外の表面、ここではブランク2の円筒状内面2cとパンチの円筒状外面3dの間には間隙δが形成されている。これによりブランク2とパンチ3の接触面積が少なくなり成形荷重が減少し、更に、この間隙δを通して潤滑油が上記円筒状内面2cと円筒状外面3dとの間に供給されるので、いっそう成形荷重を減らすことができる。
【0045】
図12は、パンチ3の畦の形状に工夫を施した他の例を示すものであって、図3にA−Aで示す切断面でみたパンチ3の断面図である。パンチ3は、その軸方向からみたときにおおよそ四角形状の外縁を有している。このため、冷間鍛造時にブランク2の被加工部分からみたとき、凸部(高い幅の広い部分)3bと凹部(低く幅の狭い部分)3cが交互に向かってくる。凸部3bは成形を行い、凹部3cは成形の逃げの役割を果たす。また、凹部3cと、ブランク2との間には間隙が形成されるので、この間隙によって潤滑油が運ばれ、成形箇所に供給される。これによって成形荷重を減らすことができる。また、ブランク2とパンチ3は凸部3bのみで接触し、ブランク2とパンチ3の接触面積が少なくなるので、成形荷重が減少する。外縁の形状は4角形以外に3あるいは5、6角形と適宜の形状とすることができる。
【0046】
パンチ3がブランク2の穴内に進入するときブランク2の内側から外側に向かって拡張させようとする(膨らまそうとする)力が発生する。この力に任せて自由にブランク2が拡張するとすれば、パンチ3の畦の寸法を如何に正確に作成したとしても、拡張によってブランク2が逃げるため、溝は正確に加工されない。
【0047】
本発明では、拘束ダイス4がブランク2をその周囲全方向から強い力で拘束するためブランク2が拡張するのが防止されている。3つ爪チャックを用いたときのように単に部分的にブランク2を把持するだけの場合にはどうしてもブランク2の拡張が避けられないが、本発明ではブランク2の拡張が防止されているのでボール転走溝を精度良く加工することができる。
【0048】
このようなブランク2の拡張が引き起こす精度低下は、ブランクの形状に起因する場合がある。図13は、このような精度低下を説明するための説明図である。図13(a)は図2と同様であり、図13(b)は冷間鍛造されたブランクのボール転走溝の底の半径位置の誤差(半径誤差)を表すグラフであり、図13(c)は拘束ダイス4の内面の形状を誇張して示した図である。
【0049】
冷間鍛造後、ボール転走溝の底部を測定すると、図13(b)に示すように上部Hを基準として、高さ位置に応じた半径誤差Δrの分布が認められる。半径誤差Δrは中央部Cで大きく、下部Lでは比較的少なくなっている。これは上部Hではフランジ部1aの剛性の影響を受けて拡張量(逃げ)が少なく、下部Lでは下に延長する円筒部1jの剛性の影響を受けて比較的拡張量が少なくなるのに対し、中央部Cでは剛性に影響を及ぼす構造を備えていないからと考えられる。
【0050】
本発明では、このような半径誤差Δrを除去するため、この半径誤差に見合うだけのクラウニング(膨らみ)CRが拘束ダイス4の内面側に形成されている。クラウニングCRによってボール転走溝の底が等しい半径位置に来るように加工される。
【0051】
上記半径誤差Δrはブランク2の形状のみならず、拘束ダイス4、くさび5、円筒部8b及びその他の形状と剛性の綜合作用によって生じるので、拘束ダイス内面側に与える上記クラウニングCRの量と形状は試行錯誤によって決定しなければならない。
【0052】
その他、a、パンチ3の成形部の面粗度を上げる。b、パンチ3の表面にTiN、TiCNなどのハードコーティングを施す。c、パンチ3の導入部の形状や長さを最適なものに工夫する。d、強制潤滑などの潤滑方法を工夫する。e、パンチに回転方向の超音波振動を重畳させて成形荷重を低滅させる。などの手段を単独あるいは組み合わせて適宜適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明は以上に述べた通り、ボールねじナットの製造に際し、冷間鍛造によってナットのボール転走溝を成形するようにしたので、それほど精度の高くない一般用のボールねじでは、ボール転走溝の研削仕上げ又はラップ仕上げを省略できるというメリットがある。またボール転走溝を切削によらないで作るため、切削に伴う煩わしいトラブルを避けることが出来るというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のボールねじ用のナットを製造する概略工程を説明するための、説明図である。
【図2】 本発明のボールねじ用のナットの一例を示す縦断面図である。
【図3】 本発明のボールねじ用ナットの製造方法を実施するためのダイユニットの概略説明図である。
【図4】 図3のダイユニットの要部拡大図であり、図5、図6、図7、図8及び図9とともに、本発明のナットの製造過程における各部材の位置及び状態を順番を追って示す。
【図5】 図4と同様に、図3のダイユニットの要部拡大図である。
【図6】 図4と同様に、図3のダイユニットの要部拡大図である。
【図7】 図4と同様に、図3のダイユニットの要部拡大図である。
【図8】 図4と同様に、図3のダイユニットの要部拡大図である。
【図9】 図4と同様に、図3のダイユニットの要部拡大図である。
【図10】 本発明による一般用(汎用)ボールねじ用ナットの加工工程を説明するための説明図である。
【図11】 パンチ3の形状に工夫をしたパンチ3とブランク2の一部拡大断面図である。
【図12】 畦の形状に工夫を施した他の例を示すパンチ3の断面図である。
【図13】 精度低下を説明するための説明図であって、(a)は図2と同様であり、(b)は冷間鍛造されたブランクのボール転走溝の底の半径位置の誤差(半径誤差)を表すグラフであり、(c)は拘束ダイス4の内面の形状を誇張して示した図である。
【符号の説明】
1 ナット
1a,2a フランジ部
1b 円筒状外周部
1c 内周面
1d ボール転走溝
1e 孔
1f、1g 円筒状孔部分
1j 円筒部
2 ブランク
2c 円筒状内面
2c 上記円筒状内面
2d 溝部
3 パンチ
3a 突状部
3b 凸部
3c 凹部
3d 円筒状外面
4 拘束ダイス
5a、4a テーパ面
6 ピストン
6a ピストン上部板
7 シリンダー
7a、7b 油路
8 ホルダー
8b 円筒部
9 ノックアウトピン
10 下基台
10a エンコーダー支持部材
11 パンチホルダー
12 パンチ取付板
14 パンチハウジング
15 ホルダー側プーリー
15a モーター側プーリー
16 ベルト
17 モーター
18 ラックバー
19 ピニオン
20 エンコーダー
21 上基台
100 ダイユニット
101 下方ユニット
102 上方ユニット
CR クラウニング

Claims (2)

  1. ボールが転動するための螺旋状のボール転走溝がその中心孔の内周面に形成されているボールねじ用ナットの製造方法であって、この製造方法は、
    予め孔があけられたナット素材を準備する工程と、
    上記ナット素材の外面の拡張を内面側にクラウニングが形成された拘束ダイスによって拘束する工程と、
    上記ナット素材の外面の拡張を拘束した状態で、螺旋状の畦をもったパンチと上記ナット素材の間の相対的な運動であって、上記孔の中心軸方向の並進運動と中心軸周りの回転運動を同時に与える運動によってボール転走溝の冷間鍛造を行う工程と、
    上記ボール転走溝の表面に焼き入れする焼き入れ工程と、
    を備えることを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。
  2. 請求項1に記載されたボールねじ用ナットの製造方法において、
    上記ボール転走溝の表面を、更に、上記焼き入れの後の研削によって仕上げること
    を特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。
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