JP3967976B2 - 推進工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル工事に使用される推進工法において、その補助工法である凍結工法を用いたときの推進管の推進を容易にし、かつ、推進管を正確に埋設する推進工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、推進工法を用いてトンネル工事を行うときは、その工事を行う場所により補助工法を用いて施工の安全性と正確性、及び確実性を確保する場合があった。推進工法には、刃口推進工法と密閉型推進工法と小口径管推進工法などがあり、特に、刃口推進工法に関しては、推進管の先端に先導体として刃口を用い、人力により掘削及びずり出しを行う工法として知られている。このとき、補助工法として凍結工法を採用して刃口推進工法によるトンネル工事を行う場合は、掘削する領域よりも広い領域の地盤を凍結装置により凍結させて地盤改良し、該地盤が安定したところで掘削を行うことになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の凍結工法を採用する推進工法においては、高硬度である凍結地盤(以下、「凍土」という。)の管底部の先行掘削を正確に行うことが困難であるため、推進管の埋設精度が悪くなるという問題があった。また、凍土の管底部の先行掘削を正確に行えたとしても、推進管と凍土の間に凍着力が生じてしまい、この凍着力が推進管を推進させるときに大きな摩擦力として作用するため、推進管の推進を困難にさせるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、トンネル工事に用いられる推進工法において、その補助工法である凍結工法を用いたときの推進管の推進を容易にし、かつ、推進管を正確に埋設することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記問題を解決するために、第1の発明の推進工法は、トンネル工事で用いられる、凍結工法を必要とする推進工法において、地盤を凍結した後に推進管の推進に用いる軌道を形成するために軌道設置空間を掘削する軌道設置空間掘削工程と、前記推進管の推進方向に対して左右一対のレール材を配置するレール材配置工程とを備え、前記推進管を前記レール材上に配置し推進させることを特徴とする。
【0006】
第1の発明によれば、軌道設置空間掘削工程により、凍土であり、軌道設置空間となる領域を推進管の推進より先行して掘削する。軌道設置空間掘削工程により掘削した床面上に、レール材配置工程により推進方向に対して左右一対のレール材を配置する。このようにして形成した軌道上に推進管を配置し、推進させる。又は、形成した軌道上に前回から推進させている推進管をさらに推進させる。
【0007】
第2の発明は、前記軌道設置空間の床面に不陸調整材を敷設する不陸調整工程と、前記不陸調整工程により敷設した前記不陸調整材を凍結させる凍結工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の発明によれば、不陸調整工程により軌道設置空間の床面に不陸調整材を敷設して転圧をかけて締め固めを行い不陸調整材の上面を平面にする。前記不陸調整工程で平面にした不陸調整材を凍結工程により凍結させて、枕木材に位置変化を起こさせないようにする。
【0009】
第3の発明は、前記レール材配置工程により配置された前記各レール材の長手方向の上面に前記推進管を滑動可能とするための滑動補助材を固着する滑動補助材固着工程を備えることを特徴とする。
【0010】
第3の発明によれば、レール材配置工程で配置したレール材の上面に滑動補助材固着工程により滑動補助材を固着させる。滑動補助材の長手方向は、レール材の長手方向と同じ向きにレール材の上面に配置され、その後に固着される。
【0011】
ここでレール材には、H形鋼を用いることができ、H形鋼のフランジ部を上下にして、枕木材の上部に固定させる。レール材にはH形鋼の他に角形鋼材を用いることも出来る。
【0012】
枕木材には、C形鋼を用いることができ、C形鋼の開口部を下向きにして、不陸調整材の平面上に布設される。また、C形鋼の他に角形鋼材を用いることも出来る。
【0013】
不陸調整材には、砂材を用いることができる。この砂材は、砂粒の大きさにかかわらず用いることができる。
【0014】
滑動補助材は、丸鋼材を用いることができる。この丸鋼材は、直径の大きさにかかわらず用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の実施の形態の推進工法を示す概略図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の実施の形態の推進工法の施工手順を説明するフローチャートである。
【0016】
図1及び図2に示すように、本発明は、トンネル工事で用いられる推進工法において、掘削する地盤が不安定な場合に用いられる凍結工法で掘削する地盤を予め凍結させてから、凍結した地盤を掘削し、推進工法により推進管1を推進させていく推進工法である。
【0017】
本発明は、軌道設置空間掘削工程により軌道を設置する空間を掘削し、不陸調整工程により軌道設置空間7に砂材(不陸調整材)6を敷設し締め固めて形成した平面に、枕木材布設工程によりC形鋼(枕木材)5を布設し、このC形鋼5の上部にレール材配置工程によりH形鋼(レール材)3を配置している。このH形鋼3の長手方向の上面に丸鋼固着工程により丸鋼材(滑動補助材)4を固着させて軌道を設ける。ここで、再敷設締固工程によりC形鋼5の上部まで砂材6を敷設し、締め固める。この締固められた砂材6を凍結工程により凍結させる。そして、この軌道上に推進管1を配置して推進管1を推進させる。この推進管1は、所定の直径を有し、その底部には、推進管1の推進を先導するための推進先導管2が推進管1よりも推進方向前方に突出して設けられており、推進管1の外形と推進先導管2の内径が一致し密着している(以下、「推進管」という。)。以下、各工程について図3を用いて説明する。
【0018】
[軌道設置空間掘削工程]
軌道設置空間掘削工程は、凍土であり、軌道設置空間となる領域を先行して掘削する役割を果たす。
まず、掘削する地盤を図示しない凍結装置により凍結させる(S1)。地盤の凍結が不十分な場合は(S2)、再び、凍結装置により地盤を凍結させ(S1)、地盤の凍結が十分な場合は(S2)、軌道設置空間掘削工程により凍結した地盤から軌道設置空間7の掘削を行う(S3)。
【0019】
推進工法において、推進管1を推進させるためのトンネルの掘削形状は、推進管1の半径より大きくなるように掘削するが、推進管1の下半部の掘削は、上半部の掘削径よりも小さくなるようにする。そして、推進管1の底部の推進方向前方に軌道設置空間7を掘削する。この軌道設置空間7の掘削の深さは、凍結工法により形成した凍土の厚さを超えない程度に地盤を掘削し、掘削の距離は、凍土が崩壊しない程度の距離を掘削する。
【0020】
ここで、推進管1の推進を向上させるために、推進管1の下半部の掘削面にグリス等の凍結しない滑材を塗布することができる。このようにすることで、凍土の凍着力による推進の影響を回避することができるようになっている。
さらに、推進管1の上半部の掘削面には、グラスウール等の断熱材8を取り付けることができる。このようにすることで、凍土が温度上昇により解凍されることがなくなるようになっている。
【0021】
[不陸調整工程]
不陸調整工程は、前記軌道設置空間掘削工程により軌道を設置するために掘削された軌道設置空間7の床面の不陸を、砂材6を用いて平面を形成して不陸調整を行う役割を果たす。
軌道設置空間7を掘削する際において、掘削地盤は凍結工法により凍結されているので、掘削後の軌道設置空間7の床面は、不陸のある表面となっていることがある。この不陸となる軌道設置空間7の床面に砂材6を敷設する。敷設された砂材6を所定の高さとなるように転圧により締め固めを行い、砂材(不陸調整材)6の上面に平面を形成して不陸調整を行う(S4)。
【0022】
[枕木材布設工程]
不陸調整工程により平面に形成された砂材6の上面にC形鋼5を所定の間隔で布設する役割を果たす。
不陸調整して平面となった砂材6の上面にC形鋼5を布設する位置を決定し、開口する面を下向きにして所定の間隔でC形鋼(枕木材)5を布設する(S5)。C形鋼5の長手方向は、推進管1の推進方向に対して直行する方向に向けて布設される。このとき、平面となった砂材6の上面が再び不陸となった場合は(S6)、C形鋼5を一時的に撤去し、不陸調整工程により不陸調整を行う(S4)。平面となった砂材6の上面が不陸とならない場合は(S6)、後述するレール材配置工程を行う(S7)。布設したC形鋼5に、H形鋼3を配置する位置の印を設けておくと、後述するレール材配置工程を容易に行うことができる。
【0023】
[レール材配置工程]
枕木材布設工程により布設したC形鋼5の上部にH形鋼3を配置する役割を果たす。
H形鋼3の長手方向は、C形鋼5の長手方向と直交する方向に向けられ、H形鋼3のフランジ部が下になるように配置される(S7)。C形鋼5の上部に配置されたH形鋼3は、C形鋼5と固定され、推進管1の推進により位置の変化を起こさせないようになっている。また、H形鋼3と推進方向前方の掘削面との間にある隙間を、この隙間と同じ大きさの鋼材9を嵌めこむ。C形鋼とH形鋼との固定は、好ましくは溶接により行うことができる。そして、左右一対の向かい合う各H形鋼の凹み内部にリブを予め取り付けておき推進管1の重量に耐えられる強度を確保することもできる。
【0024】
ここで、2回目以降のH形鋼3の配置は、前回配置したH形鋼3と接続し、固定される。このとき、前回のH形鋼3の配置により嵌めこまれた鋼材9は、不陸調整工程のときに取り除かれる。
【0025】
[滑動補助材固着工程]
レール材配置工程により配置されたH形鋼3の上面に丸鋼材4を固着させる役割を果たす。
この丸鋼材(滑動補助材)4は、丸鋼材4の長手方向をH形鋼3の長手方向に合わせて、H形鋼3の上面に固着する(S8)。推進管1をこの丸鋼材4の上部に配置して滑動させたときに、新たに配置されたH形鋼3と前回配置されたH形鋼3の接合部において、推進管1の推進で新たに配置したH形鋼3の配置位置に変化を起こさせないようになっている。また、推進管1がH形鋼3の接合部に当り、推進の妨害を予防することができるようになっている。丸鋼材4とH形鋼3との固着は、好ましくは溶接により行うことができる。この工程を終えると推進管1が推進する軌道の設置が完成する。
【0026】
[再敷設締固工程]
設置された軌道において、C形鋼5の上部まで砂材6を敷設し、所定の高さとなるように転圧により締め固めを行う役割を果たす。
布設したC形鋼5の上部まで砂材6を敷設し、締め固めて(S9)、C形鋼5の位置固定の準備を行うようになっている。
【0027】
[凍結工程]
軌道設置空間7に敷設し、締め固められた不陸調整工程による砂材6と、再敷設締固工程による砂材6とを凍結させる役割を果たす。
締め固められた砂材6を凍結工程により図示しない凍結装置を用いて凍結させる(S10)。砂材6の凍結が不十分な場合は(S11)、再び、凍結工程により砂材6を凍結させる(S10)。これにより、布設されたC形鋼5を強固に固定するようになっている。
【0028】
十分に砂材6が凍結した場合は(S11)、推進管1を推進させ(S12)、所定の位置まで推進させる。以後、軌道設置空間掘削工程から作業を繰り返すことにより、推進管1を順次、推進させることができるようになっている。また、繰り返し各工程を行うことで、推進管の推進を容易に行うことができ、かつ精度の良い推進管の埋設ができるようになっている。
【0029】
以上、本発明について、好適な実施形態の一例を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
【0030】
例えば、図示しないが、左右一対のH形鋼3にローラーを横架させる。このローラーは、推進管1の推進方向に対して直行するように回動することができるようになっている。このローラー上に推進管1を配置することにより、推進管1の推進を容易にすることができるようになっている。
【0031】
【発明の効果】
したがって、本発明の請求項1に記載の推進工法における推進管の推進方法によれば、推進管が凍土に接触しないことにより推進管と凍土とが凍着することがなく、推進管の推進を容易に行うことができる。また、推進管の推進を容易に行うことにより、推進管の埋設精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の推進工法を示す概略図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の推進工法の施工手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 推進管
2 推進先導管
3 H形鋼(レール材)
4 丸鋼材(滑動補助材)
5 C形鋼(枕木材)
6 砂材(不陸調整材)
7 軌道設置空間
8 断熱材
9 鋼材
Claims (3)
- トンネル工事で用いられる、凍結工法を必要とする推進工法において、
地盤を凍結した後に推進管の推進に用いる軌道を形成するために軌道設置空間を掘削する軌道設置空間掘削工程と、
前記推進管の推進方向に対して左右一対のレール材を配置するレール材配置工程とを備え、
前記推進管を前記レール材上に配置し推進させることを特徴とする推進工法。 - 前記軌道設置空間の床面に不陸調整材を敷設する不陸調整工程と、前記不陸調整工程により敷設した前記不陸調整材を凍結させる凍結工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の推進工法。
- 前記レール材配置工程により配置された前記各レール材の長手方向の上面に前記推進管を滑動可能とするための滑動補助材を固着する滑動補助材固着工程を備えることを特徴とする請求項2に記載の推進工法。
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