JP3967743B2 - 同軸共振器型帯域通過フィルタ - Google Patents
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Description
このBPFとして、同軸共振器を用いた同軸共振器型BPF、例えば、4次同軸共振器型BPF、有極型の4次同軸共振器型BPF、6次同軸共振器型BPF、有極型の6次同軸共振器型BPFが使用されている。
このような変調方式による変調波を通過させるBPFでは、通過帯域の振幅偏差が大きいと、ビット誤りを発生させることになる。
しかしながら、前述の各同軸共振器型BPFは、通過帯域内の振幅偏差が大きく、前述したような変調方式による変調波を通過させるBPFには適していないという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、同軸共振器型帯域通過フィルタにおいて、従来のものよりも、通過帯域内の振幅偏差を少なくすることが可能となる技術を提供することにある。
前述の目的を達成するために、本発明は、同軸共振器型帯域通過フィルタであって、nを6以上の整数とするとき、入力端子と出力端子との間に、1番目からn番目の順番に配置されるn個の同軸共振器を有し、i(1≦i≦n)番目の同軸共振器の無負荷Qu(i)とするとき、Qu(1)<Qu(2)<・・・<Qu(n/2)、Qu(n/2+1)>Qu(n/2+2)>・・・>Qu(n)を満足することを特徴とする。
また、本発明は、同軸共振器型帯域通過フィルタであって、nを6以上の整数とするとき、入力端子と出力端子との間に、1番目からn番目の順番に配置されるn個の同軸共振器を有し、i(1≦i≦n)番目の同軸共振器の筐体における、信号経路に沿った方向に平行な一辺の長さをS(i)、i番目の同軸共振器の内部導体の直径をd(i)、Cを定数とするとき、d(i)=S(i)/C、S(1)<S(2)<・・・<S(n/2)、S(n/2+1)>S(n/2+2)>・・・>S(n)を満足することを特徴とする。
本発明によれば、同軸共振器型帯域通過フィルタにおいて、従来のものよりも、通過帯域内の振幅偏差を少なくすることが可能となる。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、同軸共振器を説明するための模式図であり、同図(a)は正面から見た図、同図(b)は上から見た図である。図1において、1は内部導体、2は筐体である。なお、筐体2は、所定の厚みを有する金属板で構成されるが、図1では単なる線で表している。
一般的に、同軸共振器の共振長(即ち、内部導体1の長さ)Lは、λo/4に設定される。ここで、λoは、同軸共振器の使用中心周波数(fo)の自由空間波長である。
今、共振長(L)が、L≒λo/4の場合に、同軸共振器の筐体2の一辺の長さ(S)と、内部導体1の直径(d)との比は、約3(S/d≒3)とされる。
このような条件を満たす同軸共振器の無負荷Q(Qu)は、下記(1)式で求められる。
[数1]
Qu≒42×S(cm)×√fo(MHz) ・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
ここで、foは、同軸共振器の使用中心周波数である。
図1に示す同軸共振器は、図2に示すような等価回路で表される。なお、図2(a)は、並列共振回路で表現した場合の等価回路、図2(b)は直列共振回路で表現した場合の等価回路である。
一方、共振回路の総合伝送損失特性関数(Li)は、下記(2)式で求められる。
[数2]
Li=10log{1+〔QL/(QL−Qu)〕2+x2} ・・・・・・ (2)
ここで、x=QL(f/fo−fo/f)、また、QLは負荷Q、foは、共振器の使用中心周波数、fは任意の周波数である。
図3において、10は外部導体、11は隔壁、15は入力(または出力)端子、16は出力(または入力)端子、R1〜R6は、共振長がλo/4の同軸共振器、1a〜1fは内部導体である。なお、外部導体10、隔壁11は、所定の厚みを有する金属板で構成されるが、図3、および後述する図4、図10、図11、図13、図14、図16、図17では単なる線で表している。
ここで、外部導体10と、隔壁11とは、各同軸共振器の筐体を構成する。また、入力端子15、および出力端子16は、それぞれ、例えば、同軸接栓より成り、各同軸接栓を形成する外部導体が、共振器を構成する外部導体10に接続される。
図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFでは、入力端子15と出力端子16との間に、1番目から6番目の順番に、6個の同軸共振器(R1〜R6)がコの字状に配置され、図3のM12,M23,M34,M45,M56に示すように、各同軸共振器(R1〜R6)間は、磁気結合回路で主結合される。
また、図3のM16に示すように、同軸共振器(R1)と同軸共振器(R6)との間が磁気結合回路で、さらに、図3のMC25に示すように、同軸共振器(R2)と同軸共振器(R5)との間が容量結合回路で副結合されている。
[数3]
d(i)≒S(i)/3
S(1):S(2):S(3)=0.6:1:1.4
S(4):S(5):S(6)=1.4:1:0.6
・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)
ここで、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFにおいて、i(1≦i≦6)番目の共振器の無負荷Qを、Qu(i)とするとき、Qu(1)、Qu(3)は、下記(4)式で求められる。
[数4]
Qu(1)≒42×S(cm)×√fo(MHz)×√(0.6)
Qu(3)≒42×S(cm)×√fo(MHz)×√(1.4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)
したがって、下記(5)式が成立する。
[数5]
Qu(1)<Qu(2)<Qu(3)
Qu(4)>Qu(5)>Qu(6)
Qu(3)=Qu(4)
・・・・・・・・・・・・・・・・ (5)
一方、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFにおいて、i(1≦i≦6)番目の共振器の負荷Qを、QL(i)とするとき、負荷Qは、一般的に、下記(6)式のように設定されている。
[数6]
QL(1)<QL(2)<QL(3)
QL(4)>QL(5)>QL(6)
・・・・・・・・・・・・・・・・ (6)
従来の有極型の6次同軸共振器型BPFは、i(1≦i≦6)番目の同軸共振器の筐体における、信号経路に沿った方向(図4の矢印Aの方向)に平行な一辺の長さをS(i)、i番目の同軸共振器の内部導体1の直径をd(i)とするとき、S(i)は全て同じ長さであり、また、d(i)も全て同じ大きさ(d≒S(i)/3)とされる。
したがって、図4に示す従来の有極型の6次同軸共振器型BPFでは、i(1≦i≦2n)番目の共振器の無負荷Qを、Qu(i)とするとき、前述の(1)式から分かるように、Qu(i)は全て等しくされる。
但し、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFと、図4に示す従来の有極型の6次同軸共振器型BPFとは、図3、図4から分かるように、体積は同じとされる。
また、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFと、図4に示す従来の有極型の6次同軸共振器型BPFの等価回路の一例を、図5に示す。
この図6において、周波数が470.343MHz(図6の点2)のときの減衰量は、約−0.9dBであり、周波数が475.943MHz(図6の点3)のときの減衰量は、約−0.9dBである。
図7は、図6に示すグラフを拡大して示すグラフであり、横軸のメモリ間隔が2MHz、縦軸のメモリ間隔が1dBである。
この図7のグラフから分かるように、周波数が470.343MHz(図7の点2)から475.942MHz(図7の点3)の間で、その減衰量の偏差は、約0.7dB以内となっている。
図8は、図4に示す従来の有極型の6次同軸共振器型BPFの一例の減衰特性を示すグラフであり、横軸は周波数(MHz)でメモリ間隔は2MHz、縦軸は減衰量(dB)でメモリ間隔は5dBであり、また、中心周波数は557.0MHzである。
この図8において、周波数が554.2MHz(図8の点2)のときの減衰量は、−1.9095dBであり、周波数が559.8MHz(図8の点3)のときの減衰量は、−1.947dBである。
図9は、図8に示すグラフを拡大して示すグラフであり、横軸のメモリ間隔が2MHz、縦軸のメモリ間隔が1dBである。
この図9のグラフから分かるように、周波数が554.2MHz(図9の点2)から559.8MHz(図9の点3)の間で、その減衰量の偏差は、約1.7dBとなっている。
これは、以下の理由によるものと考えられる。
図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFでは、同軸共振器(R3、R4)の無負荷Q(Qu)が、図4に示す従来の有極型の6次同軸共振器型BPFの同軸共振器(R3、R4)の無負荷Q(Qu)よりも大きくされる。したがって、前述の(2)式において、〔QL/(QL−Qu)〕の値が小さくなるので、減衰量(Li)が小さくなる。
そして、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFの同軸共振器(R3、R4)は、通過帯域のエッジ部分(foを中心周波数とするとき、fo±2.8MHzの周波数の領域)の特性に主に係わっているため、通過帯域内の振幅偏差が、図4に示す従来の有極型の6次同軸共振器型BPFよりも小さくなっているものと考えられる。
図10は、本発明の実施例の6次同軸共振器型BPFの概略構成を示す模式図である。
図10に示す6次同軸共振器型BPFは、同軸共振器(R1)と同軸共振器(R6)との間を副結合する磁気結合回路、および、同軸共振器(R2)と同軸共振器(R5)との間を副結合する容量結合回路が省略されている点で、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFと相違するが、その他の構成は、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFと同じであるので、再度の詳細な説明は省略する。
図10に示す6次同軸共振器型BPFと対比する意味で、従来の6次同軸共振器型BPFの概略構成を示す模式図を図11に示す。
さらに、図10に示す6次同軸共振器型BPFと、図11に示す従来の6次同軸共振器型BPFの等価回路の一例を、図12に示す。
図13に示す有極型の4次同軸共振器型BPFでは、入力端子15と出力端子16との間に、1番目から4番目の順番に、4個の同軸共振器(R1〜R4)がコの字状に配置され、図13のM12,M23,M34に示すように、各同軸共振器(R1〜R4)間は、磁気結合回路で主結合される。
また、図13のMC14に示すように、同軸共振器(R1)と同軸共振器(R4)との間が容量結合回路で副結合されている。
そして、i(1≦i≦4)番目の同軸共振器の筐体における、信号経路に沿った方向(図13の矢印Aの方向)に平行な一辺の長さをS(i)、i番目の同軸共振器の内部導体1の直径をd(i)とするとき、S(i)、d(i)は、下記(7)式のように設定される。
[数7]
d(i)≒S(i)/3
S(1):S(2)=0.6:1.4
S(3):S(4)=1.4:0.6
・・・・・・・・・・・・・・・・ (7)
図13に示す有極型の4次同軸共振器型BPFと対比する意味で、従来の有極型の4次同軸共振器型BPFの概略構成を示す模式図を図14に示す。
従来の有極型の4次同軸共振器型BPFは、i(1≦i≦4)番目の同軸共振器の筐体における、信号経路に沿った方向(図14の矢印Aの方向)に平行な一辺の長さをS(i)、i番目の同軸共振器の内部導体1の直径をd(i)とするとき、S(i)は全て同じ長さであり、また、d(i)も全て同じ大きさ(d≒S(i)/3)とされる。
但し、図13に示す有極型の4次同軸共振器型BPFと、図14に示す従来の有極型の4次同軸共振器型BPFとは、図13、図14から分かるように、体積は同じとされる。
また、図13に示す有極型の4次同軸共振器型BPFと、図14に示す従来の有極型の4次同軸共振器型BPFの等価回路の一例を、図15に示す。
図16に示す4次同軸共振器型BPFは、同軸共振器(R1)と同軸共振器(R4)との間を副結合する容量結合回路が省略されている点で、図13に示す有極型の4次同軸共振器型BPFと相違するが、その他の構成は、図13に示す有極型の4次同軸共振器型BPFと同じであるので、再度の詳細な説明は省略する。
図16に示す4次同軸共振器型BPFと対比する意味で、従来の4次同軸共振器型BPFの概略構成を示す模式図を図17に示す。
さらに、図16に示す4次同軸共振器型BPFと、図17に示す従来の4次同軸共振器型BPFの等価回路の一例を、図18に示す。
以上説明したように、本実施例のBPFでは、通過帯域内の振幅偏差を、従来のものより少なくすることが可能である。
また、本実施例では、入力端子15および出力端子16側の共振器の一辺の長さを、他の共振器よりも短くすることができるので、BPFの体積を小さくすることができる。
また、本実施例のBPFでは、電力印加時に、各共振器の体積当たりの損失比を平均化することができるので、局部的な温度上昇を防止して、信頼性を向上させることが可能となる。
この場合に、同軸共振器の数をn個、i(1≦i≦n)番目の同軸共振器の無負荷Qを、Qu(i)とするとき、下記(8)式を満足するように、i番目の同軸共振器の無負荷Qを設定すればよい。
[数8]
Qu(1)<Qu(2)<・・・<Qu(n/2)
Qu(n/2+1)>Qu(n/2+2)>・・・>Qu(n)
Qu(n/2)=Qu(n/2+1) ・・・・・・・・・・・・・・・・ (8)
即ち、i(1≦i≦n)番目の同軸共振器の筐体における、信号経路に沿った方向に平行な一辺の長さをS(i)、i番目の同軸共振器の内部導体の直径をd(i)、Cを定数とするとき、下記(9)式を満足するように、d(i)、S(i)を設定すればよい。
[数9]
d(i)=S(i)/C、
S(1)<S(2)<・・・<S(n/2)、
S(n/2+1)>S(n/2+2)>・・・>S(n)
・・・・・・・・・・・・・・・・ (9)
各同軸共振器間を主結合する磁気結合回路としては、例えば、図19に示すように、窓20が形成された隔壁11を用いればよい。
また、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFにおいて、同軸共振器(R1)と同軸共振器(R6)との間を副結合する磁気結合回路としては、例えば、図20に示すような、隔壁11の上下同じ位置で、ループ素子の両端が隔壁11に電気的、機械的に接続される構造のループ素子(U字形のループ素子)25を使用すればよい。
さらに、図3に示す有極型の6次同軸共振器型BPFにおいて、同軸共振器(R2)と同軸共振器(R5)との間を副結合する容量結合回路としては、例えば、図21に示すような、隔壁11の上下異なる位置で、ループ素子の両端が隔壁11に電気的、機械的に接続される構造のループ素子(S字形のループ素子)26、あるいは、図22に示すような、容量素子27を使用すればよい。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
2 筐体
10 外部導体
11 隔壁
15 入力(または出力)端子
16 出力(または入力)端子
20 窓
25 副結合回路を構成するU字形のループ素子
26 副結合回路を構成するS字形のループ素子
27 副結合回路を構成する容量素子
R1〜R6 同軸共振器
Claims (2)
- nを6以上の整数とするとき、入力端子と出力端子との間に、1番目からn番目の順番に配置されるn個の同軸共振器を有し、
i(1≦i≦n)番目の同軸共振器の無負荷Qu(i)とするとき、
Qu(1)<Qu(2)<・・・<Qu(n/2)、
Qu(n/2+1)>Qu(n/2+2)>・・・>Qu(n)、を満足することを特徴とする同軸共振器型帯域通過フィルタ。 - nを6以上の整数とするとき、入力端子と出力端子との間に、1番目からn番目の順番に配置されるn個の同軸共振器を有し、
i(1≦i≦n)番目の同軸共振器の筐体における、信号経路に沿った方向に平行な一辺の長さをS(i)、i番目の同軸共振器の内部導体の直径をd(i)、Cを定数とするとき、
d(i)=S(i)/C、
S(1)<S(2)<・・・<S(n/2)、
S(n/2+1)>S(n/2+2)>・・・>S(n)、を満足することを特徴とする同軸共振器型帯域通過フィルタ。
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