JP3967482B2 - 走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置に関し、特に、例えば原子間力顕微鏡のごとき光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡においてレーザ光源から光検出器までの光軸調整を容易に行えるようにした光軸調整補助装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11〜図14を参照して走査型プローブ顕微鏡での従来の光軸調整の仕方を説明する。図示された走査型プローブ顕微鏡は原子間力顕微鏡であるとする。また光軸調整とは、原子間力顕微鏡の光てこ式光学検出系においてレーザ光源からのレーザ光が適切にカンチレバーの背面で反射して光検出器に入射するように設定することをいう。従来の光軸調整は、操作者の手動操作によって行われていた。図11はカンチレバーおよび光てこ式光学検出系を備える原子間力顕微鏡の要部の構成を概略的に示している。
【0003】
測定対象である試料101に対して、先端に探針102を有するカンチレバー103が配置されている。104はカンチレバーホルダの一部である。探針102と試料101の表面との距離は両者の間に原子間力が作用する程度の距離である。試料表面の凹凸形状の測定では探針102が試料表面に沿って移動することが必要であり、そのため探針と試料表面との距離は制御機構によって一定の距離に保持される。探針と試料表面の距離の変化はカンチレバー103のたわみ変形による変位によって検出される。カンチレバー103のたわみ変形による変位を検出する機構として光てこ式光学検出系が設けられる。光てこ式光学検出系は、レーザ光源105と反射作用を生じるミラー106,107と4分割光検出器108とから構成される。光てこ式光学検出系の光軸調整が完了し測定が行われる際には、レーザ光源105から出射されたレーザ光109はミラー106で反射され、カンチレバー103の背面に導かれ、カンチレバー背面で反射されたレーザ光109はさらにミラー107で反射され、4分割光検出器108の受光面に導かれる。カンチレバー103の変位は、4分割光検出器108上のレーザ光109の照射スポットの位置変化として検出される。またカンチレバー103の上方位置にはTVカメラ110を備えた光学顕微鏡111が配置され、光学顕微鏡111によってカンチレバー103の背面が観察されている。なお4分割光検出器108から出力された検出信号は制御装置に送られ、当該検出信号によって表示装置にレーザ光の受光位置を表示することができる。光学顕微鏡111で観察された像はTVカメラ110により映像信号として制御装置に送られ、表示装置に表示される。図11で制御装置と表示装置の図示は説明の簡便化のため省略されている。
【0004】
上記構成においてミラー106,107には手動で操作される位置調整機構が設けられる。光軸調整は、測定を行う操作者がミラー106,107の位置調整機構を操作することにより行われる。従来の光軸調整は下記の2つのステップから成っていた。
【0005】
光軸調整の第1のステップは、カンチレバー103の背面の反射表面にレーザ光109の照射スポットを当てることである。カンチレバー103上のスポット位置の確認は、光学顕微鏡111で得られる像に基づいて行われる。その例を図12に示す。図12はカンチレバー103とその周辺部を光学顕微鏡111によって上方から見た像である。第1のステップでは、最終的にレーザ光109の照射スポットをカンチレバー103の背面に当てる。この操作は光学顕微鏡111による像を見ながらミラー106の位置調整機構を手動操作にすることにより行われる。112はカンチレバー103の背面に当てられたレーザ光の照射スポットを示している。カンチレバー103の背面に照射スポットを当てる前の段階では、レーザ光の照射スポットはカンチレバーホルダ104の上面に当てるようにすることが好ましい。113はカンチレバーホルダ104の上面に当てられた照射スポットを示している。このようにする理由は、カンチレバー103は空中に浮いた状態で保持さているので、照射スポットがカンチレバー103の背面から外れていると、スポット位置を確認することが困難であるからである。このためスポット位置を確認しやすいカンチレバーホルダ104の上面に当てる。第1のステップの操作では、レーザ光の照射スポットを位置113から位置112に矢印114のように移動させることになる。図13は第1のステップでのレーザ光109の移動(矢印115)を示した側面図である
【0006】
光軸調整の第2のステップは、カンチレバー103の背面で反射されたレーザ光109に基づく照射スポットを4分割光検出器108の受光面の中心に当てることである。4分割光検出器108上のスポット位置の確認は、その検出信号に基づいて行われる。4分割光検出器における照射スポットの調整を図解したものが図14である。図14は4分割光検出器108の受光面およびその周辺領域におけるスポットの移動状態▲1▼〜▲4▼を示している。第2のステップでは、最終的にレーザ光109の照射スポット116を4分割光検出器108の受光面の中心位置に当てる。この操作はミラー107の位置調整機構を手動操作することにより行われる。
【0007】
ミラー107の位置調整機構を操作してレーザ光109を4分割光検出器108に導くとき、照射スポットが4分割光検出器108の受光面の一部に当たっていれば、受光面の中心に照射スポットを導くことは容易である。図14において▲2▼に示される状態である。すなわち4分割光検出器108ではその受光面を例えば1/4円形の4つの部分a,b,c,dに分け、それらの検出出力信号をSa〜Sdとし、4分割光検出器108の全出力信号Ss、垂直変位成分Sv、水平変位成分Shは、それぞれ、Ss=Sa+Sb+Sc+Sd、Sv={(Sa+Sb)−(Sc+Sd)}/Ss、Sh={(Sa+Sc)−(Sb+Sd)}/Ssとして得られるので、Ssが最大になり、さらにSvとShが最小になるようにミラー107を調整すればよい。SvとShが共に0になればレーザ光109の照射スポット116は受光面の中心位置に設定されたことになる。
【0008】
一方、カンチレバー103は同じ規格のカンチレバーであっても表面のコーティングにより生じる反りや、カンチレバー自身の固定法に応じてレーザ光の反射方向が大きくばらつき、レーザ光の照射スポットが4分割光検出器108から大きく離れた位置に当たることもある。この状態を図14の▲1▼に示す。116は照射スポットの位置である。この状態のときには、Ssは0であり、4分割光検出器108から出力される検出信号から何の情報も得られないので、スポット位置が完全に不明である。前述のように、第2のステップではミラー107を操作してSsの信号を得るようにするのであるが、現在どの位置にあるのかが分からないので、最初にどの方向に移動させるべきかが不明である。従来、現実的には、Ssを監視しながら照射スポット116を適当に大きく動かし、Ssの出力が出た段階で止めるようにしていた。このような状態は図14の▲2▼に対応するので、前述した通り、スポットを中心位置へ移動するように調整することができる。
【0009】
以上のごとく第1のステップと第2のステップを実行することにより、光てこ式光学検出系に関する光軸調整が完了した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
光てこ式光学検出系における従来の光軸調整は、測定操作者の手動で行われており、第1ステップでカンチレバーに照射スポットを合わせるときに人の目が不可欠であり、通常、第2ステップの初期段階で試行錯誤が必要なことが多い。特に第2ステップの最初の段階では、比較的に容易な試行錯誤による照射スポットの動きで運良く検出することができる場合もあるが、例えばカンチレバーの取付不良等が原因で照射スポットが光検出器の受光面の調整可能範囲の外まで大きく外れることがある。このような場合には、試行錯誤によってはほとんど検出できない。このような調整不可能な場合には、他にとる手段もなく、結果的に試行錯誤に長い時間を使った挙げ句「原因が分からなかった」ということになる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡における光てこ式光学検出系の光軸調整作業の初期段階で、4分割光検出器の受光面において照射スポットが受光面の中心からどの方向にどの程度離れているかを測定操作者が容易に知ることができ、光軸調整作業の容易化を図ることのできる走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置は、上記目的を達成するため、次の通り構成される。
本発明に係る光軸調整補助装置は、試料に対向して配置される探針を備えたカンチレバーと、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光が入射される受光面を有しかつこの受光面が複数の受光部に分割されて成る光検出器とを備え、反射部を利用して、レーザ光源から出射されるレーザ光をカンチレバーの背面へ導いてここに照射させ、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光を光検出器へ導きその受光面に入射させるように構成された光てこ式光学検出系を備える走査型プローブ顕微鏡に用いられる。第1の光軸調整補助装置は、光検出器の受光面を形成する複数の受光部の各々に、受光部よりも大きな面積を有する導光板を、受光部と導光板が部分的に重なるようにして付設し、これらの大きな面積を有する複数の導光板の各々でカンチレバーからのレーザ光を受け、対応する受光部に当該レーザ光を導くように構成される。
光検出器の受光面を形成する各受光部は、導光板によって、カンチレバー側から到来するレーザ光を受ける面積が実質的に拡大され、当該レーザ光の入射を確実に行うことが可能となる。また複数の導光板の各々は、レーザ光が当たったとき、その内部で、当該レーザ光を散乱させながら伝播させる作用を生じ、レーザ光が当たったことを、光検出器の受光面における対応する受光部に検出させることが可能となる。従って光軸調整を行う操作者は、光検出器から出力される検出出力をモニタすることによって、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光の受光を確実に知ることができ、これによって従来の試行錯誤を行うことなく、光検出器の受光面へのレーザ光の入射を行うことが可能となる。
第2の光学調整補助装置は、上記の構成において、好ましくは、複数の導光板が互いに光学的に分離されて形成されており、その結果、ある導光板に入射した光が他の導光板に入ることを防止している。この構成によって、レーザ光、どの受光部の導光板に入射したかを正確に知ることができ、光軸調整の作業を正確に行うことが可能となる。
第3の光軸調整補助装置は、さらに、光検出器における複数の受光部で形成される受光面の中心部は、当該中心部に対応する領域を形成する複数の導光板の部分が除去されることにより、外方に開放される。通常、導光板の角部が切り欠かれ、例えば全体として円形の孔のごとき形状をしたスペースが形成される。受光面の中心部は当該スペースを介してレーザ光の到来方向に臨んでいる。
第4の光軸調整補助装置は、好ましくは、光検出器の検出出力感度特性において、受光面の中心での感度がほぼ0であり、かつ受光面の中心近傍から導光板の周縁に向かって感度が低下するように設定される。その結果、レーザ光が光検出器によって検出されているとき、当該レーザ光の入射位置を、検出出力に基づいて知ることができ、そのために、レーザ光を受光面の中心位置に位置合わせすることが可能となる。このように容易に光軸調整を行うことが可能となる。
第5の光軸調整補助装置は、好ましくは、前述の分割型光検出器が4分割の受光面を有する場合に対応して構成され、4枚の導光板からなり、各導光板は正方形の板材によって形成されている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1と図2は本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の光てこ式光学検出系に使用される光検出器の一例を示し、この光検出器は一例としてその受光面が4分割された形態を有している。走査型プローブ顕微鏡は、従来技術に関して図11で示された原子間力顕微鏡を想定している。原子間力顕微鏡に関しては従来技術の箇所で説明したので、先の記述を参照することとし、ここでは図示および説明を省略する。また光てこ式光学検出系は、前述の通り、レーザ光源、先端に探針を備え背面に反射部を有するカンチレバー、上記光検出器、および必要な反射ミラーとから構成されている。光てこ式光学検出系も、従来技術の箇所で説明されているので、先の記述を参照することとし、ここではその図示および説明を省略する。光検出器は、その受光面が4分割されているので、以下、4分割光検出器という。図1は正面図であり、図2は側面図である。正面図に示される通り、4分割光検出器11の上面に、受光面12が形成されている。受光面12は、好ましくは正方形の形状を有する小形の4つの受光部(または受光区画)12a,12b,12c,12dから構成される。受光面12は全体として例えば正方形の形状を有し、当該正方形面積を有する受光面は、互いに分割されかつ検出部として互いに独立した小さい部分面積を有する受光部12a〜12dから形成されている。なお、4分割光検出器12には、通常、市販のものが使用される。例えば、浜松ホトニクス社製の多素子型Siフォトダイオード(S5981)が使用される。このような光検出器に関しては受光面の面積が大きいものも市販されているが、小型化の観点から比較的に面積が小さいものが使用される。その結果、反対に、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光が4分割光検出器の受光面に当たることに関しては、困難性が増すことになる。そこで、本発明による光軸調整補助装置を利用することによって、受光面が比較的に小さい4分割光検出器を用いても、光軸調整の作業を容易に行うことができるようになる。
【0015】
図1に示すように、4分割光検出器11の頭部11aは、外観が偏平円柱城の形態を有する金属容器(センサパッケージ)で形成されている。内部に、受光面12の各受光部12a〜12dで受光されたレーザ光を電気に変換し、かつ所定のレベルに増幅する増幅器が内蔵されている。また図2に示すように、4分割光検出器11の下側には頭部11aの下面から引き出されたピン状の複数の電気配線13が設けられている。電気配線13の本数は任意であって、特に限定されない。4分割光検出器11が原子間力顕微鏡の光てこ式光学検出系の一部として設けられるとき、4分割光検出器はカンチレバーおよび探針の斜め上方位置に配置され、かつその受光面12がカンチレバーの背面に向うように配置される。
【0016】
図3と図4は、本発明に係る光軸調整補助装置の要部構成を示し、光軸調整補助具を前述の4分割光検出器12に設けた構成を示す。図3は正面図、図4は側面図である。図3は図1に対応し、図4は図2に対応している。図5は光軸調整補助装置の作用を説明するための図である。以下において光軸調整補助具のことを説明の便宜上単に補助具という。
【0017】
補助具14は、4分割光検出器11の受光面12の4つの受光部12a〜12bに対応する4枚の板材14a〜14dから形成されている。これらの板材14a〜14dは導光板としての機能を有する。すなわち、導光板とは、板材の1つの面にレーザ光等の光が入射されると、板材そのものがその内部で光を散乱させて伝播させるものであり、外部から見ると、光が当たるとき全体が明るくなるような部材である。このような導光作用を生じる板材としては、任意の材質を使用でき、例えばアクリル等の樹脂板のごとき半透明の板材、あるいは背面側に遮光面を有する透明板材、その他ガラスファイバ等の光伝送体などを使用することができる。従って、上記の板材の一部の明るさ状態を監視するとき、他の部分で光が当たったか否かを検出することが可能となる。以下、板材14a〜14dを導光板という。
【0018】
4枚の導光板14a〜14dの各々は同じ形態を有する。正面形状は、ほぼ正方形であり、かつ望ましい厚みを有する板状形態である。その厚みは任意に決めることができる。また正面形状における面積も任意に決めることができる。4枚の導光板14a〜14dの各々は、4分割光検出器11の受光面12の前面位置に、隙間をあけてあるいは接触させて、図3および図4に示すような位置関係で固定されている。図では、固定構造は示されていないが、任意の固定構造を採用することができる。特に図3に示されるごとく、受光部12aに対しては導光板14aが、受光部12bに対しては導光板14bが、受光部12cに対しては導光板14cが、受光部12dに対しては導光板14dがそれぞれ一定の隙間18を設けて配置されている。正方形の受光部12a〜12dと正方形の導光板14a〜14dのそれぞれは、導光板の内側に位置する角部位置で部分的に重なるように位置が決められている。導光板14a〜14dの内側に位置する角部は、先端頂部がほぼ1/4円の形状に切り欠かれている。その結果、4枚の導光板14a〜14dの内側角部の部分によってほぼ円形のスペース15が形成される。この円形のスペース15を介して、受光面12を形成する4つの受光部12a〜12dの各々の一部がレーザ光が到来する方向に臨んでいる。各受光部12a〜12dは、各々の切り欠き部で形成される孔状のスペース15を通してレーザ光を受光することが可能となる。一方、各受光部12a〜12dは、各導光板14a〜14dの当該切り欠きが形成された角部の近傍で部分的に重なっているために、対応する導光板14a〜14dに光が当たって当該導光板で光を伝播するとき当該光を受光し、検出することができる。
【0019】
受光面12を形成する各受光部12a〜12dの面積と対応する導光板14a〜14dの面積との比は、必要に応じて任意に定められる。すなわち、受光部12a〜12dに対してどの程度大きな導光板14a〜14dを設けるかということについては、経験的に得られた知見に基づいて、容易な光軸調整を可能にする適切な大きさの導光板が決定される。導光板の好ましい寸法として、上限は10mm程度である。
【0020】
図5に一例として導光板14bの作用を示す。レーザ光16がカンチレバーの背面で反射されて4分割光検出器11の側へ到来するときにおいて、レーザ光16の位置が4分割光検出器11の受光面12の外側の位置にあったとしても、4枚の導光板14a〜14dからなる補助具14の範囲であって例えば導光板14bに入射したとすると、当該レーザ光16は、実質的に矢印17のごとく導光板14bの中を伝播し、対応する受光部12bによって、レーザ光16の導光板14bへの入射を検出することが可能となる。図5に示した矢印17では、導光板14bに入射したレーザ光16があたかも反射を繰り返しながら進行するようなイメージで示されているが、実際には、導光板14bにレーザ光16が入射することによってその明るさが、対応する受光部12bによって検出されるというイメージである。図5に示された、4分割光検出器11の受光面12の受光部12bと導光板14bとの間に生じる作用の関係は、他の受光部12a,12c,12dと、対応する導光板14a,14c,14dとの関係においても同じである。従って、光軸の調整の際において、4つの受光部12a〜12dから出力される信号に基づいてレーザ光がどの位置に存在するかを知ることができる。
【0021】
上記において、上記実施形態で示された構成によれば4つの導光板14a〜14dは別々に作られ、かつ隙間を設けて配置されるので、或る導光板の内部の光が漏れて他の導光板の中に入るということは生じない。
【0022】
光軸調整補助具については、図6または図7に示すような変形例を用いることもできる。図6に示した補助具114は一枚状の導光板の中央に孔115をあけると共に、十字形状に切れ目116を形成して領域114a〜114dを形成している。領域114a〜114dはそれぞれ上記導光板14a〜14dに対応している。かかる構造を採用することにより、作り方、組立て方が容易となる。また図7に示した補助具214は、前述の導光板14a〜14dを遮光板215を介して結合し、一体として形成したものである。かかる補助具によれば、4分割光検出器に補助具を取り付ける際に、取付方を容易にすることができる。
【0023】
次に、図8〜図10を参照して上記補助具14を備える4分割光検出器11を利用した光軸調整の仕方を説明する。
【0024】
光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡の当該光てこ式光学検出系における光軸調整の作業の全体は、従来技術の箇所で述べた通りである。ここで要約的に述べると、まずレーザ光源から出射されたレーザ光の位置を制御しながら導いてカンチレバーの背面に形成された反射領域に当てる第1ステップと、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光を4分割光検出器の受光面に入射するようにレーザ光の位置を調整する第2ステップとからなっている。第1ステップが終了し、第2ステップを行う段階で、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光が4分割光検出器11の受光面の近傍に照射された状態にする。最初からレーザ光の照射スポットが受光面12に入射されるのであれば、第2ステップは終了し、何の問題もなく短時間で第2ステップを終えることができる。このようなことが起きるのは希であり、通常、レーザ光の照射スポットは受光面12の外側の位置であって受光面の近傍に位置するのが、経験的に一般的に認められている。
【0025】
一方、前述の通り、本実施形態による4分割光検出器11の受光面12の4つの受光部12a〜12dの各々には補助具14を構成する4枚の導光板14a〜14dが付設されている。従って、カンチレバーからの反射で到来したレーザ光は、受光面12から外れていても、一般的には補助具14の4枚の導光板14a〜14dのいずれかによって捕捉される。すなわち、4枚の導光板14a〜14dのいずれかに入射するであろうと考えられる。またかかる入射が高い確率で起きることを想定して、導光板14a〜14dの面積が設定される。その結果、図8に示される例では、レーザ光16の照射スポット16aが導光板14bに形成された状態を示している。このような導光板14bにおけるレーザ光の入射状態が生じることによって、レーザ光16を、4分割光検出器11の受光面12に容易に入射させることが可能となる。
【0026】
図8において、導光板14bにレーザ光16が入射するとき、当該レーザ光によって導光板14bの内部では散乱光が生じる。その散乱光は、4分割光検出器11の受光面12の受光部12bによって感知される。
【0027】
図8の(A),(B),(C)は、導光板14bの外側位置に入射したレーザ光の照射スポット16aがその位置を調整されて(A)から(C)のごとく受光面12の中心位置に導かれる状態を示す。また図9は、図8の(A)〜(C)に示された状態に対応させて、(A)ではレーザ光16の照射スポット16aの強度分布の例を示し、(B)は照射スポットの位置に対応する4分割光検出器11の検出出力(水平方向の検出感度)Shのレベル(感度)を示している。図9(A)における照射スポット16aの位置▲1▼,▲2▼,▲3▼はそれぞれ図8の(A),(B),(C)のそれぞれに対応している。図9(B)で横軸は図8に示した2次元座標系(X,Y)のX軸を示しており、図から明らかなように、受光面12の中心位置に照射スポット16aが当たるときにはレベルは0であって検出出力Shの変化特性が顕著になる。受光部12bと導光板14bとの境界部に照射スポット16aがあるときには、検出出力Shは中間的レベルとなり、かつ中間的な変化割合で変化している。照射スポット16aが導光板14bの周縁の位置にあるときには、周縁に近付くに従って検出出力Shの特性は緩やかに低下していく。従って、X軸方向に関する照射スポット16aの位置は、4分割光検出器11の例えば受光部12a,12bに関する検出出力のレベルを調べることによって知ることができる。換言すれば、4分割光検出器11から出力される信号のレベルおよびその変化状態を得ることによって、レーザ光16が導光板14a〜14dに入射したとき、当該入射位置から内側に移動させ、さらに4分割光検出器11の受光面12の中心位置に調整することを容易に行うことが可能となる。以上の検出出力に関する特性は、水平方向であっても同じである。
【0028】
レーザ光17が導光板14a〜14dで捕捉されたとき、通常は、図8の(A)に示されるごとく各導光板における外側位置であって周縁部で捕捉されるので、その検出出力は弱いものとなるが、当該検出出力が強くなるように光軸を手動で調整することにより、反射レーザ光を受光面12の中心位置の方向に移動させることが可能となる。
【0029】
図8の(B)に示すような位置に照射スポット16aが移動すると、レーザ光の半分は、導光板経由ではなく直接に受光部12bに入射するので、前述のごとく検出出力は増す。これにより、4分割光検出器11の出力をモニタする測定操作者は、照射スポットが受光面の中心に接近しつつあることを知ることができる。そこで、さらに操作者は、4分割光検出器11の検出出力が増加し、最終的に大きく変化して0になるように調整を行う。4分割光検出器11の検出出力が0になると、光軸調整作業は完了することになる。
【0030】
以上のごとく、4分割光検出器11の受光面12に対して、前述のごとき構成に基づいて補助具14を付設することにより、カンチレバーの背面から反射されるレーザ光16の照射スポット16aを比較的に高い確率で補助具14により捕捉させ、その後、4分割光検出器11からの出力特性を観察しながら、容易にその受光面の中心位置にレーザ光を移動させ、光軸調整の作業を容易にかつ短時間に終了させることが可能となる。カンチレバーの変換は、原子間力顕微鏡による測定作業では比較的に頻繁に生じ、カンチレバーを変換した初期段階で、補助具14を構成する導光板14a〜14dを経由してレーザ光を入射させることができるため、従来のごとき4分割光検出器単体では不可能であった検出器周辺へのレーザ光入射も検出することができる。さらに、周辺のレーザ光の入射がどのような方角でどの位離れた位置であるのかを知ることができるという利点も有している。このことは、光軸調整の作業者にとっては、光軸の調整の仕方を決定する有用な情報である。従来の光軸調整の仕方と比較して、本実施形態による方法は試行錯誤の過程が全く必要ない、あるいは少なくなるので、経験に依存する部分が低減され、熟練でない操作者にも容易に行うことができる。
【0031】
また光軸調整が完了した後に、光てこ式光学検出系を用いて原子間力顕微鏡による測定が行われる。この測定では、4分割光検出器11の検出出力の特性において0の近傍部分の感度が最大である部分にのみが使用される。図9の(B)で19が測定で使用される範囲である。従って、補助具14を4分割光検出器11に付設したとしても、前述のごとく円形のスペースが受光面12の中央部に形成されて、レーザ光の入射を可能にしているので、測定時の4分割光検出器11の検出作動に対して補助具14は全く影響を与えることはない。
【0032】
次に、図10を参照しながら、本実施形態による補助具16を付設する構成が、大きな受光面積を有する4分割光検出器よりも、光軸調整にとってはより有効な働きを発揮するということを説明する。図10において、この4分割光検出器では、導光板が付設されず、前述の受光部12a〜12dと導光板14a〜14dを加えてなる面積とほぼ同等な受光面積を有する受光部を備えて構成されている。この受光部は、図10において2つだけが示され、20a,20bという符号が付されている。かかる受光部20a,20bを有する4分割光検出器で、例えば照射スポット16aが受光部20bに入射したと仮定する。この場合、図10の▲1▼〜▲3▼に示されるごとく、照射スポットが移動して周縁部から中心部に移動したとしても、その検出出力の特性21から明らかなように、中心部を除くどの位置(この例ではX軸方向での位置)でも出力レベルが同じ、すなわち位置に応じて出力レベルが異ならないので、光軸調整の作業者はどの方向へ移動させるように調整したらよいか全く判断を持つことができないという問題を生じる。結局は、前述の本発明の実施形態のように、光軸調整を行うことができないのである。以上の説明により、本発明の光軸調整補助具を備えた4分割光検出器を利用した光てこ式光学検出系によれば、光軸調整を有効に行うことができるという利点が発揮される。
【0033】
上記実施形態では原子間力顕微鏡について説明したが、これに限定されず、光てこ式光学検出系を備える走査型プローブ顕微鏡に本発明による光軸調整補助装置を適用できるのは勿論である。また光軸調整補助装置は4分割光検出器に使用されたが、これに限定されず、その他の分割数の光検出器に対しても変形して使用できるのは勿論である。かかる光軸調整補助装置は、多素子型光検出器の受光領域を実質的に拡大することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡において、分割型光検出器の受光面の近くに各分割素子に対応する導光板からなる光軸調整補助具を設けることにより、光検出器の受光面を実質的に広範囲化したため、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光の入射を容易に行うことができる。さらに小さい面積の受光素子と大きな面積の導光板を組み合わせることにより、光検出器の検出出力特性(感度特性)を位置に応じて異ならせるように構成したため、導光板における外側周縁で捕捉したレーザ光を光検出器の受光面の中心位置に容易にかつ確実に移動させることができる。かかる光軸調整補助具を備えた分割型光検出器を用いたため、従来では経験の少ない測定操作者であっても、光軸調整を、光検出器から出力される検出信号を監視することによって容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光軸調整補助装置が適用される4分割光検出器の正面図である。
【図2】図1に示した4分割光検出器の側面図である。
【図3】図1に示した4分割光検出器に本発明に係る光軸調整補助装置を適用した正面図である。
【図4】図3に示した4分割光検出器の側面図である。
【図5】光軸調整補助具の導光板の作用を説明するための図である。
【図6】光軸調整補助具の他の例を示す正面図である。
【図7】光軸調整補助具の他の例を示す正面図である。
【図8】本発明に係る光軸調整補助装置に基づく光軸調整の仕方を説明するための図である。
【図9】光軸調整補助具を備えた4分割光検出器の検出出力特性を説明する図である。
【図10】大きな受光面積を有する受光部を用いて構成された4分割光検出器の検出出力特性を説明する図である。
【図11】従来の光軸調整を説明するための概略側面図である。
【図12】カンチレバー部分の拡大平面図である。
【図13】カンチレバー部分の拡大側面図である。
【図14】4分割光検出器の受光面でスポット位置を中心に移動させる制御状態を示す図である。
【符号の説明】
11 4分割光検出器
12 受光面
12a〜12d 受光部
14 光軸調整補助具
14a〜14d 導光板
15 スペース
16 レーザ光
16a 照射スポット
114,214 光軸調整補助具
【発明の属する技術分野】
本発明は走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置に関し、特に、例えば原子間力顕微鏡のごとき光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡においてレーザ光源から光検出器までの光軸調整を容易に行えるようにした光軸調整補助装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11〜図14を参照して走査型プローブ顕微鏡での従来の光軸調整の仕方を説明する。図示された走査型プローブ顕微鏡は原子間力顕微鏡であるとする。また光軸調整とは、原子間力顕微鏡の光てこ式光学検出系においてレーザ光源からのレーザ光が適切にカンチレバーの背面で反射して光検出器に入射するように設定することをいう。従来の光軸調整は、操作者の手動操作によって行われていた。図11はカンチレバーおよび光てこ式光学検出系を備える原子間力顕微鏡の要部の構成を概略的に示している。
【0003】
測定対象である試料101に対して、先端に探針102を有するカンチレバー103が配置されている。104はカンチレバーホルダの一部である。探針102と試料101の表面との距離は両者の間に原子間力が作用する程度の距離である。試料表面の凹凸形状の測定では探針102が試料表面に沿って移動することが必要であり、そのため探針と試料表面との距離は制御機構によって一定の距離に保持される。探針と試料表面の距離の変化はカンチレバー103のたわみ変形による変位によって検出される。カンチレバー103のたわみ変形による変位を検出する機構として光てこ式光学検出系が設けられる。光てこ式光学検出系は、レーザ光源105と反射作用を生じるミラー106,107と4分割光検出器108とから構成される。光てこ式光学検出系の光軸調整が完了し測定が行われる際には、レーザ光源105から出射されたレーザ光109はミラー106で反射され、カンチレバー103の背面に導かれ、カンチレバー背面で反射されたレーザ光109はさらにミラー107で反射され、4分割光検出器108の受光面に導かれる。カンチレバー103の変位は、4分割光検出器108上のレーザ光109の照射スポットの位置変化として検出される。またカンチレバー103の上方位置にはTVカメラ110を備えた光学顕微鏡111が配置され、光学顕微鏡111によってカンチレバー103の背面が観察されている。なお4分割光検出器108から出力された検出信号は制御装置に送られ、当該検出信号によって表示装置にレーザ光の受光位置を表示することができる。光学顕微鏡111で観察された像はTVカメラ110により映像信号として制御装置に送られ、表示装置に表示される。図11で制御装置と表示装置の図示は説明の簡便化のため省略されている。
【0004】
上記構成においてミラー106,107には手動で操作される位置調整機構が設けられる。光軸調整は、測定を行う操作者がミラー106,107の位置調整機構を操作することにより行われる。従来の光軸調整は下記の2つのステップから成っていた。
【0005】
光軸調整の第1のステップは、カンチレバー103の背面の反射表面にレーザ光109の照射スポットを当てることである。カンチレバー103上のスポット位置の確認は、光学顕微鏡111で得られる像に基づいて行われる。その例を図12に示す。図12はカンチレバー103とその周辺部を光学顕微鏡111によって上方から見た像である。第1のステップでは、最終的にレーザ光109の照射スポットをカンチレバー103の背面に当てる。この操作は光学顕微鏡111による像を見ながらミラー106の位置調整機構を手動操作にすることにより行われる。112はカンチレバー103の背面に当てられたレーザ光の照射スポットを示している。カンチレバー103の背面に照射スポットを当てる前の段階では、レーザ光の照射スポットはカンチレバーホルダ104の上面に当てるようにすることが好ましい。113はカンチレバーホルダ104の上面に当てられた照射スポットを示している。このようにする理由は、カンチレバー103は空中に浮いた状態で保持さているので、照射スポットがカンチレバー103の背面から外れていると、スポット位置を確認することが困難であるからである。このためスポット位置を確認しやすいカンチレバーホルダ104の上面に当てる。第1のステップの操作では、レーザ光の照射スポットを位置113から位置112に矢印114のように移動させることになる。図13は第1のステップでのレーザ光109の移動(矢印115)を示した側面図である
【0006】
光軸調整の第2のステップは、カンチレバー103の背面で反射されたレーザ光109に基づく照射スポットを4分割光検出器108の受光面の中心に当てることである。4分割光検出器108上のスポット位置の確認は、その検出信号に基づいて行われる。4分割光検出器における照射スポットの調整を図解したものが図14である。図14は4分割光検出器108の受光面およびその周辺領域におけるスポットの移動状態▲1▼〜▲4▼を示している。第2のステップでは、最終的にレーザ光109の照射スポット116を4分割光検出器108の受光面の中心位置に当てる。この操作はミラー107の位置調整機構を手動操作することにより行われる。
【0007】
ミラー107の位置調整機構を操作してレーザ光109を4分割光検出器108に導くとき、照射スポットが4分割光検出器108の受光面の一部に当たっていれば、受光面の中心に照射スポットを導くことは容易である。図14において▲2▼に示される状態である。すなわち4分割光検出器108ではその受光面を例えば1/4円形の4つの部分a,b,c,dに分け、それらの検出出力信号をSa〜Sdとし、4分割光検出器108の全出力信号Ss、垂直変位成分Sv、水平変位成分Shは、それぞれ、Ss=Sa+Sb+Sc+Sd、Sv={(Sa+Sb)−(Sc+Sd)}/Ss、Sh={(Sa+Sc)−(Sb+Sd)}/Ssとして得られるので、Ssが最大になり、さらにSvとShが最小になるようにミラー107を調整すればよい。SvとShが共に0になればレーザ光109の照射スポット116は受光面の中心位置に設定されたことになる。
【0008】
一方、カンチレバー103は同じ規格のカンチレバーであっても表面のコーティングにより生じる反りや、カンチレバー自身の固定法に応じてレーザ光の反射方向が大きくばらつき、レーザ光の照射スポットが4分割光検出器108から大きく離れた位置に当たることもある。この状態を図14の▲1▼に示す。116は照射スポットの位置である。この状態のときには、Ssは0であり、4分割光検出器108から出力される検出信号から何の情報も得られないので、スポット位置が完全に不明である。前述のように、第2のステップではミラー107を操作してSsの信号を得るようにするのであるが、現在どの位置にあるのかが分からないので、最初にどの方向に移動させるべきかが不明である。従来、現実的には、Ssを監視しながら照射スポット116を適当に大きく動かし、Ssの出力が出た段階で止めるようにしていた。このような状態は図14の▲2▼に対応するので、前述した通り、スポットを中心位置へ移動するように調整することができる。
【0009】
以上のごとく第1のステップと第2のステップを実行することにより、光てこ式光学検出系に関する光軸調整が完了した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
光てこ式光学検出系における従来の光軸調整は、測定操作者の手動で行われており、第1ステップでカンチレバーに照射スポットを合わせるときに人の目が不可欠であり、通常、第2ステップの初期段階で試行錯誤が必要なことが多い。特に第2ステップの最初の段階では、比較的に容易な試行錯誤による照射スポットの動きで運良く検出することができる場合もあるが、例えばカンチレバーの取付不良等が原因で照射スポットが光検出器の受光面の調整可能範囲の外まで大きく外れることがある。このような場合には、試行錯誤によってはほとんど検出できない。このような調整不可能な場合には、他にとる手段もなく、結果的に試行錯誤に長い時間を使った挙げ句「原因が分からなかった」ということになる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡における光てこ式光学検出系の光軸調整作業の初期段階で、4分割光検出器の受光面において照射スポットが受光面の中心からどの方向にどの程度離れているかを測定操作者が容易に知ることができ、光軸調整作業の容易化を図ることのできる走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置は、上記目的を達成するため、次の通り構成される。
本発明に係る光軸調整補助装置は、試料に対向して配置される探針を備えたカンチレバーと、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光が入射される受光面を有しかつこの受光面が複数の受光部に分割されて成る光検出器とを備え、反射部を利用して、レーザ光源から出射されるレーザ光をカンチレバーの背面へ導いてここに照射させ、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光を光検出器へ導きその受光面に入射させるように構成された光てこ式光学検出系を備える走査型プローブ顕微鏡に用いられる。第1の光軸調整補助装置は、光検出器の受光面を形成する複数の受光部の各々に、受光部よりも大きな面積を有する導光板を、受光部と導光板が部分的に重なるようにして付設し、これらの大きな面積を有する複数の導光板の各々でカンチレバーからのレーザ光を受け、対応する受光部に当該レーザ光を導くように構成される。
光検出器の受光面を形成する各受光部は、導光板によって、カンチレバー側から到来するレーザ光を受ける面積が実質的に拡大され、当該レーザ光の入射を確実に行うことが可能となる。また複数の導光板の各々は、レーザ光が当たったとき、その内部で、当該レーザ光を散乱させながら伝播させる作用を生じ、レーザ光が当たったことを、光検出器の受光面における対応する受光部に検出させることが可能となる。従って光軸調整を行う操作者は、光検出器から出力される検出出力をモニタすることによって、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光の受光を確実に知ることができ、これによって従来の試行錯誤を行うことなく、光検出器の受光面へのレーザ光の入射を行うことが可能となる。
第2の光学調整補助装置は、上記の構成において、好ましくは、複数の導光板が互いに光学的に分離されて形成されており、その結果、ある導光板に入射した光が他の導光板に入ることを防止している。この構成によって、レーザ光、どの受光部の導光板に入射したかを正確に知ることができ、光軸調整の作業を正確に行うことが可能となる。
第3の光軸調整補助装置は、さらに、光検出器における複数の受光部で形成される受光面の中心部は、当該中心部に対応する領域を形成する複数の導光板の部分が除去されることにより、外方に開放される。通常、導光板の角部が切り欠かれ、例えば全体として円形の孔のごとき形状をしたスペースが形成される。受光面の中心部は当該スペースを介してレーザ光の到来方向に臨んでいる。
第4の光軸調整補助装置は、好ましくは、光検出器の検出出力感度特性において、受光面の中心での感度がほぼ0であり、かつ受光面の中心近傍から導光板の周縁に向かって感度が低下するように設定される。その結果、レーザ光が光検出器によって検出されているとき、当該レーザ光の入射位置を、検出出力に基づいて知ることができ、そのために、レーザ光を受光面の中心位置に位置合わせすることが可能となる。このように容易に光軸調整を行うことが可能となる。
第5の光軸調整補助装置は、好ましくは、前述の分割型光検出器が4分割の受光面を有する場合に対応して構成され、4枚の導光板からなり、各導光板は正方形の板材によって形成されている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1と図2は本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の光てこ式光学検出系に使用される光検出器の一例を示し、この光検出器は一例としてその受光面が4分割された形態を有している。走査型プローブ顕微鏡は、従来技術に関して図11で示された原子間力顕微鏡を想定している。原子間力顕微鏡に関しては従来技術の箇所で説明したので、先の記述を参照することとし、ここでは図示および説明を省略する。また光てこ式光学検出系は、前述の通り、レーザ光源、先端に探針を備え背面に反射部を有するカンチレバー、上記光検出器、および必要な反射ミラーとから構成されている。光てこ式光学検出系も、従来技術の箇所で説明されているので、先の記述を参照することとし、ここではその図示および説明を省略する。光検出器は、その受光面が4分割されているので、以下、4分割光検出器という。図1は正面図であり、図2は側面図である。正面図に示される通り、4分割光検出器11の上面に、受光面12が形成されている。受光面12は、好ましくは正方形の形状を有する小形の4つの受光部(または受光区画)12a,12b,12c,12dから構成される。受光面12は全体として例えば正方形の形状を有し、当該正方形面積を有する受光面は、互いに分割されかつ検出部として互いに独立した小さい部分面積を有する受光部12a〜12dから形成されている。なお、4分割光検出器12には、通常、市販のものが使用される。例えば、浜松ホトニクス社製の多素子型Siフォトダイオード(S5981)が使用される。このような光検出器に関しては受光面の面積が大きいものも市販されているが、小型化の観点から比較的に面積が小さいものが使用される。その結果、反対に、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光が4分割光検出器の受光面に当たることに関しては、困難性が増すことになる。そこで、本発明による光軸調整補助装置を利用することによって、受光面が比較的に小さい4分割光検出器を用いても、光軸調整の作業を容易に行うことができるようになる。
【0015】
図1に示すように、4分割光検出器11の頭部11aは、外観が偏平円柱城の形態を有する金属容器(センサパッケージ)で形成されている。内部に、受光面12の各受光部12a〜12dで受光されたレーザ光を電気に変換し、かつ所定のレベルに増幅する増幅器が内蔵されている。また図2に示すように、4分割光検出器11の下側には頭部11aの下面から引き出されたピン状の複数の電気配線13が設けられている。電気配線13の本数は任意であって、特に限定されない。4分割光検出器11が原子間力顕微鏡の光てこ式光学検出系の一部として設けられるとき、4分割光検出器はカンチレバーおよび探針の斜め上方位置に配置され、かつその受光面12がカンチレバーの背面に向うように配置される。
【0016】
図3と図4は、本発明に係る光軸調整補助装置の要部構成を示し、光軸調整補助具を前述の4分割光検出器12に設けた構成を示す。図3は正面図、図4は側面図である。図3は図1に対応し、図4は図2に対応している。図5は光軸調整補助装置の作用を説明するための図である。以下において光軸調整補助具のことを説明の便宜上単に補助具という。
【0017】
補助具14は、4分割光検出器11の受光面12の4つの受光部12a〜12bに対応する4枚の板材14a〜14dから形成されている。これらの板材14a〜14dは導光板としての機能を有する。すなわち、導光板とは、板材の1つの面にレーザ光等の光が入射されると、板材そのものがその内部で光を散乱させて伝播させるものであり、外部から見ると、光が当たるとき全体が明るくなるような部材である。このような導光作用を生じる板材としては、任意の材質を使用でき、例えばアクリル等の樹脂板のごとき半透明の板材、あるいは背面側に遮光面を有する透明板材、その他ガラスファイバ等の光伝送体などを使用することができる。従って、上記の板材の一部の明るさ状態を監視するとき、他の部分で光が当たったか否かを検出することが可能となる。以下、板材14a〜14dを導光板という。
【0018】
4枚の導光板14a〜14dの各々は同じ形態を有する。正面形状は、ほぼ正方形であり、かつ望ましい厚みを有する板状形態である。その厚みは任意に決めることができる。また正面形状における面積も任意に決めることができる。4枚の導光板14a〜14dの各々は、4分割光検出器11の受光面12の前面位置に、隙間をあけてあるいは接触させて、図3および図4に示すような位置関係で固定されている。図では、固定構造は示されていないが、任意の固定構造を採用することができる。特に図3に示されるごとく、受光部12aに対しては導光板14aが、受光部12bに対しては導光板14bが、受光部12cに対しては導光板14cが、受光部12dに対しては導光板14dがそれぞれ一定の隙間18を設けて配置されている。正方形の受光部12a〜12dと正方形の導光板14a〜14dのそれぞれは、導光板の内側に位置する角部位置で部分的に重なるように位置が決められている。導光板14a〜14dの内側に位置する角部は、先端頂部がほぼ1/4円の形状に切り欠かれている。その結果、4枚の導光板14a〜14dの内側角部の部分によってほぼ円形のスペース15が形成される。この円形のスペース15を介して、受光面12を形成する4つの受光部12a〜12dの各々の一部がレーザ光が到来する方向に臨んでいる。各受光部12a〜12dは、各々の切り欠き部で形成される孔状のスペース15を通してレーザ光を受光することが可能となる。一方、各受光部12a〜12dは、各導光板14a〜14dの当該切り欠きが形成された角部の近傍で部分的に重なっているために、対応する導光板14a〜14dに光が当たって当該導光板で光を伝播するとき当該光を受光し、検出することができる。
【0019】
受光面12を形成する各受光部12a〜12dの面積と対応する導光板14a〜14dの面積との比は、必要に応じて任意に定められる。すなわち、受光部12a〜12dに対してどの程度大きな導光板14a〜14dを設けるかということについては、経験的に得られた知見に基づいて、容易な光軸調整を可能にする適切な大きさの導光板が決定される。導光板の好ましい寸法として、上限は10mm程度である。
【0020】
図5に一例として導光板14bの作用を示す。レーザ光16がカンチレバーの背面で反射されて4分割光検出器11の側へ到来するときにおいて、レーザ光16の位置が4分割光検出器11の受光面12の外側の位置にあったとしても、4枚の導光板14a〜14dからなる補助具14の範囲であって例えば導光板14bに入射したとすると、当該レーザ光16は、実質的に矢印17のごとく導光板14bの中を伝播し、対応する受光部12bによって、レーザ光16の導光板14bへの入射を検出することが可能となる。図5に示した矢印17では、導光板14bに入射したレーザ光16があたかも反射を繰り返しながら進行するようなイメージで示されているが、実際には、導光板14bにレーザ光16が入射することによってその明るさが、対応する受光部12bによって検出されるというイメージである。図5に示された、4分割光検出器11の受光面12の受光部12bと導光板14bとの間に生じる作用の関係は、他の受光部12a,12c,12dと、対応する導光板14a,14c,14dとの関係においても同じである。従って、光軸の調整の際において、4つの受光部12a〜12dから出力される信号に基づいてレーザ光がどの位置に存在するかを知ることができる。
【0021】
上記において、上記実施形態で示された構成によれば4つの導光板14a〜14dは別々に作られ、かつ隙間を設けて配置されるので、或る導光板の内部の光が漏れて他の導光板の中に入るということは生じない。
【0022】
光軸調整補助具については、図6または図7に示すような変形例を用いることもできる。図6に示した補助具114は一枚状の導光板の中央に孔115をあけると共に、十字形状に切れ目116を形成して領域114a〜114dを形成している。領域114a〜114dはそれぞれ上記導光板14a〜14dに対応している。かかる構造を採用することにより、作り方、組立て方が容易となる。また図7に示した補助具214は、前述の導光板14a〜14dを遮光板215を介して結合し、一体として形成したものである。かかる補助具によれば、4分割光検出器に補助具を取り付ける際に、取付方を容易にすることができる。
【0023】
次に、図8〜図10を参照して上記補助具14を備える4分割光検出器11を利用した光軸調整の仕方を説明する。
【0024】
光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡の当該光てこ式光学検出系における光軸調整の作業の全体は、従来技術の箇所で述べた通りである。ここで要約的に述べると、まずレーザ光源から出射されたレーザ光の位置を制御しながら導いてカンチレバーの背面に形成された反射領域に当てる第1ステップと、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光を4分割光検出器の受光面に入射するようにレーザ光の位置を調整する第2ステップとからなっている。第1ステップが終了し、第2ステップを行う段階で、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光が4分割光検出器11の受光面の近傍に照射された状態にする。最初からレーザ光の照射スポットが受光面12に入射されるのであれば、第2ステップは終了し、何の問題もなく短時間で第2ステップを終えることができる。このようなことが起きるのは希であり、通常、レーザ光の照射スポットは受光面12の外側の位置であって受光面の近傍に位置するのが、経験的に一般的に認められている。
【0025】
一方、前述の通り、本実施形態による4分割光検出器11の受光面12の4つの受光部12a〜12dの各々には補助具14を構成する4枚の導光板14a〜14dが付設されている。従って、カンチレバーからの反射で到来したレーザ光は、受光面12から外れていても、一般的には補助具14の4枚の導光板14a〜14dのいずれかによって捕捉される。すなわち、4枚の導光板14a〜14dのいずれかに入射するであろうと考えられる。またかかる入射が高い確率で起きることを想定して、導光板14a〜14dの面積が設定される。その結果、図8に示される例では、レーザ光16の照射スポット16aが導光板14bに形成された状態を示している。このような導光板14bにおけるレーザ光の入射状態が生じることによって、レーザ光16を、4分割光検出器11の受光面12に容易に入射させることが可能となる。
【0026】
図8において、導光板14bにレーザ光16が入射するとき、当該レーザ光によって導光板14bの内部では散乱光が生じる。その散乱光は、4分割光検出器11の受光面12の受光部12bによって感知される。
【0027】
図8の(A),(B),(C)は、導光板14bの外側位置に入射したレーザ光の照射スポット16aがその位置を調整されて(A)から(C)のごとく受光面12の中心位置に導かれる状態を示す。また図9は、図8の(A)〜(C)に示された状態に対応させて、(A)ではレーザ光16の照射スポット16aの強度分布の例を示し、(B)は照射スポットの位置に対応する4分割光検出器11の検出出力(水平方向の検出感度)Shのレベル(感度)を示している。図9(A)における照射スポット16aの位置▲1▼,▲2▼,▲3▼はそれぞれ図8の(A),(B),(C)のそれぞれに対応している。図9(B)で横軸は図8に示した2次元座標系(X,Y)のX軸を示しており、図から明らかなように、受光面12の中心位置に照射スポット16aが当たるときにはレベルは0であって検出出力Shの変化特性が顕著になる。受光部12bと導光板14bとの境界部に照射スポット16aがあるときには、検出出力Shは中間的レベルとなり、かつ中間的な変化割合で変化している。照射スポット16aが導光板14bの周縁の位置にあるときには、周縁に近付くに従って検出出力Shの特性は緩やかに低下していく。従って、X軸方向に関する照射スポット16aの位置は、4分割光検出器11の例えば受光部12a,12bに関する検出出力のレベルを調べることによって知ることができる。換言すれば、4分割光検出器11から出力される信号のレベルおよびその変化状態を得ることによって、レーザ光16が導光板14a〜14dに入射したとき、当該入射位置から内側に移動させ、さらに4分割光検出器11の受光面12の中心位置に調整することを容易に行うことが可能となる。以上の検出出力に関する特性は、水平方向であっても同じである。
【0028】
レーザ光17が導光板14a〜14dで捕捉されたとき、通常は、図8の(A)に示されるごとく各導光板における外側位置であって周縁部で捕捉されるので、その検出出力は弱いものとなるが、当該検出出力が強くなるように光軸を手動で調整することにより、反射レーザ光を受光面12の中心位置の方向に移動させることが可能となる。
【0029】
図8の(B)に示すような位置に照射スポット16aが移動すると、レーザ光の半分は、導光板経由ではなく直接に受光部12bに入射するので、前述のごとく検出出力は増す。これにより、4分割光検出器11の出力をモニタする測定操作者は、照射スポットが受光面の中心に接近しつつあることを知ることができる。そこで、さらに操作者は、4分割光検出器11の検出出力が増加し、最終的に大きく変化して0になるように調整を行う。4分割光検出器11の検出出力が0になると、光軸調整作業は完了することになる。
【0030】
以上のごとく、4分割光検出器11の受光面12に対して、前述のごとき構成に基づいて補助具14を付設することにより、カンチレバーの背面から反射されるレーザ光16の照射スポット16aを比較的に高い確率で補助具14により捕捉させ、その後、4分割光検出器11からの出力特性を観察しながら、容易にその受光面の中心位置にレーザ光を移動させ、光軸調整の作業を容易にかつ短時間に終了させることが可能となる。カンチレバーの変換は、原子間力顕微鏡による測定作業では比較的に頻繁に生じ、カンチレバーを変換した初期段階で、補助具14を構成する導光板14a〜14dを経由してレーザ光を入射させることができるため、従来のごとき4分割光検出器単体では不可能であった検出器周辺へのレーザ光入射も検出することができる。さらに、周辺のレーザ光の入射がどのような方角でどの位離れた位置であるのかを知ることができるという利点も有している。このことは、光軸調整の作業者にとっては、光軸の調整の仕方を決定する有用な情報である。従来の光軸調整の仕方と比較して、本実施形態による方法は試行錯誤の過程が全く必要ない、あるいは少なくなるので、経験に依存する部分が低減され、熟練でない操作者にも容易に行うことができる。
【0031】
また光軸調整が完了した後に、光てこ式光学検出系を用いて原子間力顕微鏡による測定が行われる。この測定では、4分割光検出器11の検出出力の特性において0の近傍部分の感度が最大である部分にのみが使用される。図9の(B)で19が測定で使用される範囲である。従って、補助具14を4分割光検出器11に付設したとしても、前述のごとく円形のスペースが受光面12の中央部に形成されて、レーザ光の入射を可能にしているので、測定時の4分割光検出器11の検出作動に対して補助具14は全く影響を与えることはない。
【0032】
次に、図10を参照しながら、本実施形態による補助具16を付設する構成が、大きな受光面積を有する4分割光検出器よりも、光軸調整にとってはより有効な働きを発揮するということを説明する。図10において、この4分割光検出器では、導光板が付設されず、前述の受光部12a〜12dと導光板14a〜14dを加えてなる面積とほぼ同等な受光面積を有する受光部を備えて構成されている。この受光部は、図10において2つだけが示され、20a,20bという符号が付されている。かかる受光部20a,20bを有する4分割光検出器で、例えば照射スポット16aが受光部20bに入射したと仮定する。この場合、図10の▲1▼〜▲3▼に示されるごとく、照射スポットが移動して周縁部から中心部に移動したとしても、その検出出力の特性21から明らかなように、中心部を除くどの位置(この例ではX軸方向での位置)でも出力レベルが同じ、すなわち位置に応じて出力レベルが異ならないので、光軸調整の作業者はどの方向へ移動させるように調整したらよいか全く判断を持つことができないという問題を生じる。結局は、前述の本発明の実施形態のように、光軸調整を行うことができないのである。以上の説明により、本発明の光軸調整補助具を備えた4分割光検出器を利用した光てこ式光学検出系によれば、光軸調整を有効に行うことができるという利点が発揮される。
【0033】
上記実施形態では原子間力顕微鏡について説明したが、これに限定されず、光てこ式光学検出系を備える走査型プローブ顕微鏡に本発明による光軸調整補助装置を適用できるのは勿論である。また光軸調整補助装置は4分割光検出器に使用されたが、これに限定されず、その他の分割数の光検出器に対しても変形して使用できるのは勿論である。かかる光軸調整補助装置は、多素子型光検出器の受光領域を実質的に拡大することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、光てこ式光学検出系を備えた走査型プローブ顕微鏡において、分割型光検出器の受光面の近くに各分割素子に対応する導光板からなる光軸調整補助具を設けることにより、光検出器の受光面を実質的に広範囲化したため、カンチレバーの背面で反射されたレーザ光の入射を容易に行うことができる。さらに小さい面積の受光素子と大きな面積の導光板を組み合わせることにより、光検出器の検出出力特性(感度特性)を位置に応じて異ならせるように構成したため、導光板における外側周縁で捕捉したレーザ光を光検出器の受光面の中心位置に容易にかつ確実に移動させることができる。かかる光軸調整補助具を備えた分割型光検出器を用いたため、従来では経験の少ない測定操作者であっても、光軸調整を、光検出器から出力される検出信号を監視することによって容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光軸調整補助装置が適用される4分割光検出器の正面図である。
【図2】図1に示した4分割光検出器の側面図である。
【図3】図1に示した4分割光検出器に本発明に係る光軸調整補助装置を適用した正面図である。
【図4】図3に示した4分割光検出器の側面図である。
【図5】光軸調整補助具の導光板の作用を説明するための図である。
【図6】光軸調整補助具の他の例を示す正面図である。
【図7】光軸調整補助具の他の例を示す正面図である。
【図8】本発明に係る光軸調整補助装置に基づく光軸調整の仕方を説明するための図である。
【図9】光軸調整補助具を備えた4分割光検出器の検出出力特性を説明する図である。
【図10】大きな受光面積を有する受光部を用いて構成された4分割光検出器の検出出力特性を説明する図である。
【図11】従来の光軸調整を説明するための概略側面図である。
【図12】カンチレバー部分の拡大平面図である。
【図13】カンチレバー部分の拡大側面図である。
【図14】4分割光検出器の受光面でスポット位置を中心に移動させる制御状態を示す図である。
【符号の説明】
11 4分割光検出器
12 受光面
12a〜12d 受光部
14 光軸調整補助具
14a〜14d 導光板
15 スペース
16 レーザ光
16a 照射スポット
114,214 光軸調整補助具
Claims (5)
- 試料に対向して配置される探針を備えたカンチレバーと、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光が入射される受光面を有しかつこの受光面が複数の受光部に分割されて成る光検出器とを備え、反射部を利用して前記レーザ光源から出射されるレーザ光を前記カンチレバーの背面へ導き、前記カンチレバーの背面で反射されたレーザ光を前記光検出器へ導く光てこ式光学検出系を備える走査型プローブ顕微鏡において、
前記光検出器の前記受光面を形成する複数の前記受光部の各々に、前記受光部よりも大きな面積を有する導光板を、前記受光部と導光板が部分的に重なるようにして付設し、複数の前記導光板の各々で前記カンチレバーからのレーザ光を受け、対応する前記受光部に当該レーザ光を導くように構成したことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の光学調整補助装置。 - 複数の前記導光板は互いに光学的に分離されていることを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡の光学調整補助装置。
- 前記光検出器における複数の前記受光部で形成される前記受光面の中心部は、当該中心部に対応する領域を形成する複数の前記導光板の部分が除去されることにより、外方に開放されていることを特徴とする請求項1または2記載の走査型プローブ顕微鏡の光学調整補助装置。
- 前記光検出器の検出出力感度特性において、前記受光面の中心での感度は0であり、かつ前記受光面の中心近傍から前記導光板の周縁に向かって感度が低下することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置。
- 前記光検出器は、4分割された正方形受光部からなる正方形受光面を有する光検出器であり、前記導光板も正方形の板材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の走査型プローブ顕微鏡の光軸調整補助装置。
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