JP3967408B2 - シリンジ安全針 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済みの注射針を安全に廃棄することができるシリンジ安全針に関し、更に詳しくは、キャップの回動操作だけで使用済み注射針を簡単かつ確実に注射筒内に収納保持することができる有用なシリンジ安全針に存する。
【0002】
【従来の技術】
従来、斯かる使用済み注射針の捨収納容器としては、例えば、特開平1−136665号報に開公示されたものが従来例として周知である。この使用済み注射針の捨収納容器は、図7に示すように、容器本体7の上部開口を閉じる覆板8に、注射針9の基端側フランジ9aが入る広幅部10aと、前記フランジ9aが係合する狭幅部10bとを備えた取り外し用の長孔10を形成してなり、該長孔10の広幅部10aから注射針9を容器本体7内に挿着した後、同注射針9の前記フランジ9aを前記覆板8の下面に係合させるべく注射筒11を狭幅部10bに移動させて上方へ引き上げることにより、注射針9が注射筒11から欠落し容器本体7内へと取捨させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特開平1−136665号公報に開示されている使用済み注射針の収納容器にあっては、注射器とは別に用意しなければならないため、その分の製造コストが嵩むと共に、注射針9を容器本体7の長孔8に差し入れる際に、意に反して注射針9が容器本体7を握持する手指に刺さってしまうことが危惧されるものであり、衛生面若しくは安全性の見地からしても好ましいものではなかった。
【0004】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、使い捨てになされる注射器(詳しくは、注射筒)をそのまま注射針の廃棄容器として有効利用することができると共に、従来の如き意に反して手指に刺してしまうといった刺針事故の危惧を解消させるべく、使用後の注射針がそのままキャップの操作だけで、簡単に注射筒内に廃棄保持される有用なシリンジ安全針の提供を目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述したごとき問題に鑑みてなされたもので、ピストン(4)を摺動自在に備えた注射筒(1)の先端面の偏倚した位置に小径の第1透孔(1a)と大径の第2透孔(1b)とを備え、前記注射筒(1)の先端側に周方向に回動するように外接嵌合して備えたキャップ(2)の偏倚した位置に出没自在に備えられた注射針(3)の針基(3a)の径を、前記第1透孔(1a)の径より大きく前記第2透孔(1b)の径より小さく形成して備え、前記注射針(3)の針基(3a)と前記第1透孔(1a)とが整合した状態にあるとき、前記注射筒(1)に対して前記キャップ(2)を一方向へ回動することにより前記注射針(3)の針基(3a)が前記第2透孔(1b)と対応したときには自重でもって前記注射筒(1)内へ前記注射針(3)が落下する構成であり、かつ前記注射筒(1)内へ前記注射針(3)が落下した後の前記キャップ(2)の同方向への回動により、当該キャップ(2)によって前記第1透孔(1a)及び第2透孔(1b)を閉塞する構成としてあることを特徴とするものである。
【0006】
また、前記シリンジ安全針において、前記注射筒(1)の先端面に凹設された嵌合溝(1d)又は嵌合凹部(1g)と嵌合自在な閉塞突起を前記キャップ(2)に備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記シリンジ安全針において、前記注射筒(1)の先端側には先端面に向うに連れて次第に拡経する逆テーパー状の大径部(1f)を備え、前記キャップ(2)の内周面(2c)は、前記大径部(1f)に嵌合して抜けないように逆テーパー状に形成してあることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1実施例を図1〜図5を参照しながら説明する。図中Aは、本発明に係るシリンジ安全針であり、このシリンジ安全針Aは、図1に示すように、下端側が解放された筒蓋状の注射筒1と、該注射筒1の先端側に組み付けられたキャップ2と、該キャップ2の先端側に向けて出没自在に配設された注射針3と、前記注射筒1の下端側に摺動自在に挿着されたピストン(押し子)4とを備えている。
【0022】
前記注射筒1は、ガラスや合成樹脂材等の適宜素材から成形されており、図2に示すように、先端面(頂端面)の偏倚した位置には、孔径の異なる第1透孔1aと第2透孔1bとが形成されている。第1透孔1aは、注射薬や血液等の内容液を出入するための貫通孔であり、後述する注射針3の下端側(詳しくは、針基3の大径部)の外径よりも小さな孔径に形成されている。
【0023】
従って、この第1透孔1aは、注射針3の下端面と整合された際、針孔3bと同心状に連通され、注射若しくは採血可能状態となるものである。
【0024】
一方、第2透孔1bは、注射針3の下端側に取り付けられた針基3aよりも大きな孔径に形成されており、針基3aが第2透孔1b上に変位されるや否や、注射針3は、自重で下方の注射筒1内に落下するように形成されている。
【0025】
更に、この注射筒1の先端面には、針基移動溝1cと嵌合溝1dとが凹設されている。針基移動溝1cは、同注射筒1の先端面よりも一段低く形成された段差凹溝からなり、キャップ2の回動操作に応じて注射針3の針基3aが第2透孔1bに向けて円滑に移動し得るように半弧状に形成されている。
【0026】
また、前記嵌合溝1dは、後述するキャップ2の閉塞突起2bと気密に整合するように形成されているものであり、斯かる嵌合溝1dと閉塞突起2bとがお互いに嵌合することにより、注射筒1とキャップ2との気密性を保持している。
【0027】
他方、キャップ2は、前記注射筒1の周方向に回動するように外接嵌合されるものであり、先端面に注射針3を抜け止め挿通するための取付孔2aが形成されている。
【0028】
また、このキャップ2の中底面には、内方に向けて突出する閉塞突起2bが形成されている。この閉塞突起2bは、図2に示すように、中心より三方に放射した形状を呈しており、その二方の閉塞突起2b1 ,2b2 で前記取付孔2aを囲繞すべく区画している。
【0029】
従って、この閉塞突起2bと前記注射筒1の嵌合溝1dとが整合されることにより、注射筒1とキャップ2との気密性が保持されると共に、内容液が前述した針落とし用の第2透孔1bの方に漏れないように第1透孔1aの周りをシールドするものである。
【0030】
また、注射針3は、例えば、クロム鋼製の如き常套な金属針からなり、下端側に針基3aが装着されている。この針基3aは、使用時にのみ前記キャップ2の取付孔2aに気密かつ確実に接合し得るように、下方に向けて次第に拡径しているものであり、下端面に針孔3bを臨ませている。
【0031】
更に、ピストン4は、先端側に注射筒1の内周面と気密に接合する大きさに形成されたピストンヘッド4aを突設してなり、該ピストン4の出し入れによって、内容液の吸い入れ、押し出しをなすものである。
【0032】
尚、このピストン4は、注射筒1内から安易に抜け落ちないように、注射筒1の下端内周面に突起1e,1eが突設されており、前記ピストンヘッド4aの引き下げ限界位置が決定されている。
【0033】
このように構成される本発明のシリンジ安全針Aは、まず、使用する際(注射又は採血の時)は、図2に示すように、注射針3がキャップ2の先端から突出すべく取付孔2a内に挿通させた状態で、注射筒1の先端側に同キャップ2を整合するだけで、前記注射針3の針基3aが針基移動溝1c内に変位自在に狭持されると共に、前記閉塞突起2bと嵌合溝1dとが互いに整合して注射筒1とキャップ2との気密性を保持させた状態で、針基3aを第1透孔1a上に取り付けでき注射又は採血可能状態にセットできる(図3参照)。
【0034】
また、使用後は、図3に示すように、ピストン4を押し下げた状態で、前記キャップ2を右方向に回動操作するだけで、簡単に注射針3を前記第2透孔1b上に変位できると共に、前記第1透孔1aを閉塞し、注射筒1を立てておけば、針基3aが同第2透孔1bと重合すると略同時に、注射針3は自重により注射筒1内に落下するのである(図4参照)。
【0035】
そして、更に前記キャップ2を同方向に回動させれば、前記第1透孔1aと同様に第2透孔1bも同キャップ2の未開孔部分との重合により閉塞され、注射針3を注射筒1内に廃棄保持できるのである(図5参照)。
【0036】
また、注射針3は、注射筒1内に保持された状態のままで廃棄処分されるものであるが、必要に応じ、ピストン4の余剰な部分を折って取捨しても良いものである。
【0037】
次に、本発明に係るシリンジ安全針の第2実施例を図6を参照しながら説明する。尚、理解を容易にするため、前述した第1実施例と同一部分は同一符号で示し、構成の異なる処のみを新たな番号を付して以下に説明する。
【0038】
図6は、注射筒1とキャップ2の要部を示す斜視図であり、注射筒1の先端側には、先端面に向かうに連れて次第に拡径する逆テーパー状の大径部1fが周設されている。
【0039】
この注射筒1の大径部1fは、キャップ2の抜け落ちを阻止するための傾斜付けであり、後述する同キャップ2内の逆テーパー状の内周面2cと整合するように面処理されている。
【0040】
また、注射筒1の先端面(頂面)には、椀状に窪んだ嵌合凹部1gが形成されている。この嵌合凹部1gは、第2透孔1bと略同径になるように凹設されており、後述する如く所定位置でキャップ2の閉塞突起2eと重合するように位置決めされている。
【0041】
一方、キャップ2は、弾力性若しくは可撓性を有する合成樹脂材等の適宜素材から筒蓋状に成形されており、内周面に前記注射筒1の大径部1fと回動自在に密嵌される逆テーパー状の内周面2cが形成されている。
【0042】
この内周面2cは、キャップ2の遊端開口2dから先端面に向けて(奥行き方向に)次第に拡径すべく形成されており、一旦、注射筒1の大径部1fに嵌合した後は容易に抜けないように包持されると共に、大径部1f全周への面接触で注射筒1の第1透孔1a及び第2透孔1bをシールドすべく互いに接合される。
【0043】
更に、キャップ2内の先端面(突当面)には、閉塞突起2eが突設されている。この閉塞突起2eは、内側に向けて半球状に突出してなるものであり、キャップ2の回動操作に応じて前記注射筒1の第1透孔1a、第2透孔1b、嵌合凹部1gと整合するように位置決めされている。
【0044】
すなわち、斯かる閉塞突起2eは、注射筒1の第1透孔1aとキャップ2の取付孔2aとが整合する位置、換言すれば、注射針3と第1透孔1aとが注射若しくは採血可能状態に連通する位置(図3参照)では第2透孔1b上に重合されて同第2透孔1bを気密に閉塞し、注射針3と第2透孔1bとが連通する位置(図4参照)では前記嵌合凹部1g内に嵌入保持されるように位置決めされている。
【0045】
更に、前記両透孔(第1透孔1aと第2透孔1b)の何れもがキャップ2の未開孔部分で閉塞される位置(図5参照)では、第1透孔1aと針基移動溝1cとからなる窪みに閉塞突起2eが係合され、キャップ2の意に反した安易な回動操作を阻止するものである。
【0046】
このように構成される本実施例のシリンジ安全針Bは、第1実施例と同様、まず、使用する際(注射又は採血の時)は、注射針3がキャップ2の先端から突出すべく取付孔2a内に挿通させた後(図2参照)、同キャップ2を拡径させながら注射筒1の大径部1fに嵌合するだけで、両者(注射筒1とキャップ2)は回動自在に抜け止めされ、仮令、ピストン4の押し込み操作で加圧されても、先端方向へ微動だにすることがなく、まして抜け落ちることはない。
【0047】
しかも、同キャップ2が注射筒1に正しく整合されることで、前記注射針3の針基3aが針基移動溝1c内に変位自在に狭持されると共に、閉塞突起2eが第2透孔1bを閉塞させた、所謂、気密保持の状態で、前記針基3aと第1透孔1aとを注射又は採血可能状態に連通する(図3参照)。
【0048】
また、使用後は、ピストン4を押し下げた状態で、前記キャップ2を右方向に回動操作するだけで、簡単に注射針3を前記第2透孔1b上に重合変位させることができると共に、前記閉塞突起2eが嵌合凹部1g内に係合されてキャップ2を保持せしめ、注射筒1を立てることにより、注射針3は自重により注射筒1内に落下するのである(図4参照)。
【0049】
そして、更に前記キャップ2を同方向に回動させれば、前記第1透孔1aと同様に第2透孔1bも同キャップ2の未開孔部分との重合により閉塞され、注射針3を注射筒1内に廃棄保持できるのである(図5参照)。
【0050】
尚、本発明のシリンジ安全針Aは、本実施例(第1及び第2実施例)に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。例えば、このシリンジ安全針は、注射器や採血器等の医療用穿刺具のみならず、ピストンの出し入れによって気体、液体等の流体物の吸い入れ、押し出しをなす注入器等にも応用できるものであり、本発明はこれらの全てを包摂するものである。
【0051】
【発明の効果】
以上のごとき説明より理解されるように、本発明は、ピストン(4)を摺動自在に備えた注射筒(1)の先端面の偏倚した位置に小径の第1透孔(1a)と大径の第2透孔(1b)とを備え、前記注射筒(1)の先端側に周方向に回動するように外接嵌合して備えたキャップ(2)の偏倚した位置に出没自在に備えられた注射針(3)の針基(3a)の径を、前記第1透孔(1a)の径より大きく前記第2透孔(1b)の径より小さく形成して備え、前記注射針(3)の針基(3a)と前記第1透孔(1a)とが整合した状態にあるとき、前記注射筒(1)に対して前記キャップ(2)を一方向へ回動することにより前記注射針(3)の針基(3a)が前記第2透孔(1b)と対応したときには自重でもって前記注射筒(1)内へ前記注射針(3)が落下する構成であり、かつ前記注射筒(1)内へ前記注射針(3)が落下した後の前記キャップ(2)の同方向への回動により、当該キャップ(2)によって前記第1透孔(1a)及び第2透孔(1b)を閉塞する構成としてあるから、注射筒をそのまま注射針の廃棄容器として有効利用することができると共に、従来の如き、注射針が意に反して手指に刺さってしまうといった刺針事故の危惧をも解消できるといった効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンジ安全針の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】同シリンジ安全針の組立分解斜視図である。
【図3】同シリンジ安全針のキャップ操作を示す説明図である。
【図4】同シリンジ安全針に使用される注射針の欠落状態を示す説明図である。
【図5】同シリンジ安全針に使用される注射針の廃棄保持状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係るシリンジ安全針の第2実施例を示す要部説明図である。
【図7】従来の注射針収納容器を示す説明図である。
【符号の説明】
1 注射筒
1a 第1透孔
1b 第2透孔
1c 針基移動溝
1d 嵌合溝
1e 突起
1f 大径部
1g 嵌合凹部
2 キャップ
2a 取付孔
2b 閉塞突起
2c 内周面
2d 遊端開口
2e 閉塞突起
3 注射針
3a 針基
3b 針孔
4 ピストン
4a ピストンヘッド
Claims (3)
- ピストン(4)を摺動自在に備えた注射筒(1)の先端面の偏倚した位置に小径の第1透孔(1a)と大径の第2透孔(1b)とを備え、前記注射筒(1)の先端側に周方向に回動するように外接嵌合して備えたキャップ(2)の偏倚した位置に出没自在に備えられた注射針(3)の針基(3a)の径を、前記第1透孔(1a)の径より大きく前記第2透孔(1b)の径より小さく形成して備え、前記注射針(3)の針基(3a)と前記第1透孔(1a)とが整合した状態にあるとき、前記注射筒(1)に対して前記キャップ(2)を一方向へ回動することにより前記注射針(3)の針基(3a)が前記第2透孔(1b)と対応したときには自重でもって前記注射筒(1)内へ前記注射針(3)が落下する構成であり、かつ前記注射筒(1)内へ前記注射針(3)が落下した後の前記キャップ(2)の同方向への回動により、当該キャップ(2)によって前記第1透孔(1a)及び第2透孔(1b)を閉塞する構成としてあることを特徴とするシリンジ安全針。
- 請求項1に記載のシリンジ安全針において、前記注射筒(1)の先端面に凹設された嵌合溝(1d)又は嵌合凹部(1g)と嵌合自在な閉塞突起を前記キャップ(2)に備えていることを特徴とするシリンジ安全針。
- 請求項1又は2に記載のシリンジ安全針において、前記注射筒(1)の先端側には先端面に向うに連れて次第に拡経する逆テーパー状の大径部(1f)を備え、前記キャップ(2)の内周面(2c)は、前記大径部(1f)に嵌合して抜けないように逆テーパー状に形成してあることを特徴とするシリンジ安全針。
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JP34115796A Expired - Lifetime JP3967408B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | シリンジ安全針 |
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