JP3967215B2 - 押し出し発泡複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,土木,建材等の分野,例えばコンクリート型枠,壁材,床材,天井材,棚材等に使用される発泡複合体,即ち発泡状態にある発泡芯材に表皮材を被覆してなる押し出し発泡複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,発泡剤を含有させた熱可塑性樹脂を押出機から押し出し,発泡させて発泡芯材とし,該発泡芯材の外周に表皮材を被覆して,発泡複合体とする方法が知られている。押し出し発泡は連続的に発泡体を製造することができるので生産量,製造コスト面で有利で有り,広く行われている。
【0003】
ところが,押し出し発泡によって,厚みの大きい発泡芯材を所望の形状どおりに作ること,またその発泡芯材に表皮材を被覆することは困難である。
それは,発泡剤を含んだ発泡芯材用発泡性樹脂を正確に板状等の形状に押し出しても,押し出された発泡芯材用発泡性樹脂は押出機のダイスを出た直後に発泡する。そのため,押し出し物は,三次元的に膨れて,目的とする形状から大きく変形湾曲するからである。従って,こうして得られた発泡発泡芯材を所望の形状にするには,切削や熱プレスによってその形状を矯正し,使用することになる。そのため発泡複合体の製造工程が煩雑であると共に材料に無駄が多い。
【0004】
このような煩雑と無駄を解消するために,予め成形した発泡プラスチックの長尺体を押出機に入れ,ダイスを用いて表皮材を被覆し,所望の形状にし,複合体の表面強度,曲げ強度を改善する方法(例えば特開平8−336876号公報)がある。
しかしながら,この方法は,予め成形した発泡体を用いるため工程が2工程になり製造コストが高くなる欠点がある。
【0005】
また,特開平4−282237号公報においては,発泡体の表面にスキン層を得るために,発泡体を押し出しホーミングダイで低温に冷却する,スキン層付き発泡体の製造方法が示されている。
しかし,この方法では,スキン層が非常に薄く0.5mm以上の肉厚のスキン層を得ることは困難である。
【0006】
また,発泡倍率を高めようとして,発泡芯材用発泡性樹脂中に添加する発泡剤の量を多くしたり,更に該発泡剤と共に水を添加する方法(特開平7−276470,特開平8−216220)もある。
しかし,これら発泡剤や水の量をむやみに多くしても,発泡倍率を向上させるには限度があり2〜3倍の発泡倍率しか得られない。
【0007】
更に,特開平2−194922号公報においては,内部が発泡樹脂層でその外周全体を非発泡樹脂の表皮材で被覆する方法が示されている。しかし,この方法では,発泡樹脂の温度が上記表皮材の温度近くに上昇する。そのため,発泡樹脂が軟化して,その溶融粘度が下がり,ダイス内の樹脂圧力も低下する。そのため,高発泡倍率の発泡芯材を得ようとしても,発泡芯材のセルの均一性,独立性が不充分となり,発泡複合体として満足のいくものが得られない。
【0008】
【解決しようとする課題】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,発泡セルの均一性,独立気泡性が良好で,高発泡倍率の発泡芯材を有する押し出し発泡複合体の製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
本発明は,発泡剤を含有させた熱可塑性樹脂よりなる発泡芯材用発泡性樹脂を第1押出機の第1ダイスから押し出し,一方非発泡熱可塑性樹脂又は低発泡性熱可塑性樹脂よりなる表皮材を第2押出機の第2ダイスから押し出し,
上記発泡芯材用発泡性樹脂を発泡させて発泡芯材を形成すると共に,上記表皮材を上記発泡芯材の表面に被覆し,冷却サイジングダイにて所望形状に冷却賦形することにより,上記発泡芯材用発泡性樹脂よりなる発泡芯材の外周に上記表皮材を被覆してなる発泡複合体を連続的に押出成形する方法であって,
上記第1ダイスの樹脂押出ノズルは,上記第2ダイスの表皮材押出ノズルの位置よりも,押出し方向前方に設けてあり,
上記表皮材を,上記第2ダイスの表皮材押出ノズルから押し出し吐出して,該表皮材押出ノズルに隣接している冷却サイジングの内壁に沿って送り出し,
上記表皮材が上記冷却サイジングダイによって冷却され始めた後に,上記発泡芯材用発泡性樹脂を上記第1ダイスの樹脂押出ノズルから上記表皮材の内側へ吐出することを特徴とする押し出し発泡複合体の製造方法である。
【0010】
本発明においては,表皮材押出ノズルから吐出された表皮材が冷却サイジングダイによって冷却され始めた後に,該表皮材の内側へ発泡剤を含有させた発泡芯材用発泡性樹脂を吐出する。そのため,発泡芯材用発泡性樹脂は,既に若干温度が低下し固化し始めている表皮材と接触することになり,発泡芯材用発泡性樹脂が表皮材の熱の影響を受け難い。
それ故,表皮材の内側において発泡しつつある発泡芯材用発泡性樹脂の溶融粘度が低下し,発泡圧力が低下するということを防止できる。
したがって,表皮材の内側において発泡する発泡芯材用発泡性樹脂が殆ど熱収縮を生ずることがない。
【0011】
したがって,例えば10〜50倍という高発泡倍率であると共に,また発泡セルの均一性,独立気泡性が良好な,発泡芯材を有する押し出し発泡複合体を得ることができる。
【0012】
このように,本発明によれば,発泡セルの均一性,独立気泡性が良好で,高発泡倍率の発泡芯材を有する押し出し発泡複合体の製造方法を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において,上記発泡芯材用発泡性樹脂は第1押出機に設けた第1ダイスの樹脂押出ノズルより押し出す。また,上記表皮材は第2押出機に設けた第2ダイスの表皮材押出ノズルから押し出す。一方,上記発泡芯材用発泡性樹脂は,既に押し出されて,冷却サイジングダイによって冷却され始めている表皮材の内側へ,上記樹脂押出ノズルより吐出され,次いで発泡し,発泡芯材となる。
発泡芯材は,表皮材の内側壁面に接触し,両者は融着する。これにより発泡芯材とその外周に被覆された表皮材とからなる押し出し発泡複合体が得られる。
【0014】
上記冷却サイジングダイとは,所望の形状の押し出し発泡複合体を得るための冷却型をいう。
また,所望形状に冷却賦形とは,表皮材を冷却サイジングダイで冷却しながら,発泡芯材用発泡性樹脂の発泡圧で,発泡複合体の冷却サイジングダイへの密着度を高めることにより,冷却しながら賦形することをいう。
【0015】
上記の表皮材としては,非発泡性又は低発泡性の熱可塑性樹脂を用いる。上記非発泡性熱可塑性樹脂は発泡剤を用いず,低発泡性熱可塑性樹脂は少量の発泡剤を用いる。
そして,上記熱可塑性樹脂としては,ポリスチレン,アクリル・ブタジェン・スチレン(ABS)樹脂等のスチレン系樹脂,各種ポリエチレン,ポリプロピレン樹脂,ポリプロピレンとαオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン系樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,酢酸ビニル樹脂,各種ナイロン樹脂,各種アクリル樹脂,ポリカーボネート樹脂,及びこれらの混合樹脂がある。
また,これらの樹脂に充填剤,例えばタルク,炭酸カルシウム,マイカ等を添加したり,各種顔料を添加して用いることができる。
【0016】
本発明方法が特に効果を発揮するのは,スチレン系樹脂,ポリプロピレン樹脂に上記充填剤を添加した樹脂である。この場合には,剛性が高く,比較的安価である。また,製品の外観を良好にするために,前述した表皮材に少量の発泡剤を添加して,低発泡の表皮材として使用することが好ましい。
【0017】
また,上記の発泡芯材用発泡性樹脂としては,発泡剤を含有させた熱可塑性樹脂を用いる。該熱可塑性樹脂としては,上記表皮材について示した熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。
また,上記発泡剤としては,プロパン,n−ブタン,i−ブタン,ペンタン,ヘキサン等の脂肪族炭化水素系,或いはシクロブタン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素系などの揮発性発泡剤,アゾジカルボンアミド,アゾビスイソブチルニトリル,重炭酸ナトリウム等の分解型発泡剤がある。
また,更には無機発泡剤として空気,二酸化炭素,窒素等を用いることができる。又これらの発泡剤を適宜混合して用いることができる。
【0018】
また,より均一な発泡セルを得るために用いる核剤としては,ポリエチレンワックス,エチレンビスアミド,ヘキサブロモシクロドデカン,及びメタクリル酸低級アルキルエステル単位を5重量%以上含むメタクリル酸低級アルキルエステル系重合体等の有機系核剤,タルク,シリカ等の無機系核剤から選ばれる1種以上を用いる。これらの核剤は,発泡芯材用発泡性樹脂に対して0.2〜5wt%好ましくは,0.4〜2.0wt%含有することが好ましい。
【0019】
また,発泡芯材用発泡性樹脂に対する発泡剤の添加量は,好ましくは3〜15wt%である。また揮発性の発泡剤の添加の仕方には,含有された発泡樹脂ビーズを用いることもできるし,例えば押出機中で発泡剤を注入することもできる。
なお,発泡体の倍率の調整は,発泡剤の添加量,ノズルの口径,押出機の回転数,温度,引き取り速度によって自由に変えることができる。
また,発泡芯材用発泡性樹脂の出口と表皮材の出口の間に間隙を設けておく場合には,一層高い発泡倍率の発泡芯材を得ることができる。
【0020】
次に,上記第1ダイスの樹脂押出ノズルは,上記第2ダイスの表皮材押出ノズルの位置よりも,押出し方向前方に設けてある。
そのため,第2ダイスの表皮材押出ノズルより吐出された表皮材が,表皮材押出ノズルに隣接している冷却サイジングダイによって冷却された状態にある中へ,第1ダイスの樹脂押出ノズルより発泡芯材用発泡性樹脂を吐出できる。そのため,一層高い発泡セルの均一性,独立性を高めることができる。
【0021】
次に,上記第1ダイスの樹脂押出ノズルの位置に対応する位置における表皮材の温度は,上記樹脂押出ノズルより吐出される発泡芯材用発泡性樹脂の温度と同等ないしそれより50℃高い温度範囲内にあることが好ましい(請求項2)。
【0022】
この場合には,より一層高い発泡倍率であると共に,発泡セルの均一性,独立気泡性が良好な押し出し発泡複合体を得ることができる。
上記の表皮材温度から上記発泡芯材用発泡性樹脂の温度を差し引いた温度差が50℃を越える場合には,表皮材と樹脂押出ノズルから吐出された発泡芯材用発泡性樹脂の温度との差が大きい。
そのため,発泡芯材用発泡性樹脂が表皮材の熱に影響されて,発泡しつつある発泡芯材用発泡性樹脂の溶融粘度が低下し,発泡セルの収縮が発生して,発泡圧力が上り難い。そのため,高発泡倍率,発泡セルの均一性,独立気泡性が充分に得難い。
【0023】
一方,上記位置における表皮材の温度が上記発泡芯材用発泡性樹脂の温度よりも低い場合(上記同等未満の場合)には,樹脂押出ノズルより吐出された発泡芯材用発泡性樹脂が発泡した発泡芯材と上記表皮材とが融着し難いことがある。そのため,発泡芯材と表皮材との接合強度が高い押し出し発泡複合体を得難い。
【0024】
次に,上記樹脂押出ノズルから吐出される発泡芯材用発泡性樹脂には,該発泡芯材用発泡性樹脂に対して0.1〜10重量%の水が含有されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には,一層高い発泡倍率を有し,また発泡セルの均一性,独立気泡性に優れた押し出し発泡複合体を得ることができる。
【0025】
上記水分量が,0.1重量%未満の場合には,水分による気化発泡が少ないため,高い発泡倍率を得難い。
一方10重量%を越えると,水の添加効果が比較的少なく,発泡体が収縮するおそれがある。
なお,更に好ましくは上記水分量は0.1〜2重量%である。
【0026】
次に,上記発泡芯材用発泡性樹脂は,ポリスチレン系樹脂75〜97.8重量%と発泡剤2〜20重量%と核剤0.2〜5重量%とよりなり,上記表皮材はスチレン系熱可塑性樹脂であることが好ましい(請求項4)。
この場合には,ポリスチレン系樹脂は汎用樹脂で比較的原料価格も安く,発泡剤の保持力も高い上成形性が良い。また,核剤を用いることで発泡セルの均一性も良く,発泡倍率も高くなり,坪量当りの剛性,コスト面も有利となる。
【0027】
上記ポリスチレン系樹脂が75重量%未満では,高発泡となりすぎ強度が弱くなるという問題があり,一方97.8重量%を超えると,発泡倍率が低く軽量化が充分達成できないという問題がある。
【0028】
また,発泡剤が2重量%未満では高発泡倍率が得られず,一方20重量%を超えると発泡倍率が上がりすぎ,強度の弱い発泡芯材となる。また,余分の発泡ガスのために表皮材と発泡芯材間にガス溜りができ,表皮材と発泡芯材とが融着し難いという問題がある。
また,核剤が0.2重量%未満では発泡セルの均一化を図ることが困難となり,一方5重量%を超えても発泡セルの均一化は向上せず,経済的に不利になる。なお,好ましくは1〜4重量%である。
【0029】
次に,上記発泡芯材用発泡性樹脂は上記第1ダイスに設けた複数個の樹脂押出ノズルから押し出すと共に発泡させて発泡芯材となし,該発泡芯材の全体を上記表皮材により被覆することが好ましい。
この場合には,発泡芯材用発泡性樹脂はそれぞれの第1ダイスから押出され,発泡状態はより均一な状態となり,全体的にバラツキの少ない発泡状態の発泡複合体を得ることができる。
【0030】
次に,上記表皮材はスチレン系熱可塑性樹脂70〜30重量%とオレフィン系熱可塑性樹脂30〜70重量%とからなる主成分と,該主成分100重量%に対して熱可塑性エラストマーを1〜10重量%配合してなることが好ましい。
【0031】
この場合には,オレフィン系熱可塑性樹脂を用いることによりスチレン系熱可塑性樹脂の欠点である耐薬品性が向上し,熱可塑性エラストマーを付与することによって,互いに相溶性が向上し,耐薬品性,耐熱性,更に外観性の優れた製品を得ることができる。
【0032】
上記スチレン系熱可塑性樹脂が70重量%を超えると耐薬品性,耐熱性が悪くなるおそれがあり,一方30重量%未満では発泡芯材との融着不良のおそれがある。
また,オレフィン系熱可塑性樹脂が30重量%未満では,耐薬品性,耐熱性が悪くなるという問題があり,一方70重量%を超えると発泡芯材との融着性が不良のおそれがあるという問題がある。
【0033】
また,熱可塑性エラストマーが1重量%未満の場合は,オレフィン系熱可塑性樹脂とスチレン系熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなり外観不良の問題がある。一方10重量%を超えると表皮材の剛性が低下し,出来上がった発泡複合体の剛性が低下するという問題がある。
【0034】
次に,上記熱可塑性エラストマーは,スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)又はスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン(SEBS)であることが好ましい。
この場合には,相溶性が良く,表皮材の外観性に優れた発泡複合体を得ることができる。
【0035】
【実施例】
実施例1
本発明の実施例にかかる押し出し発泡複合体の製造方法につき,図1〜図5を用いて説明する。
まず,本例において得ようとする押し出し発泡複合体5は,図4,図5に示すごとく,発泡芯材用発泡性樹脂を発泡させてなる複数個の発泡芯材100と,これらの周囲を一体的に被覆してなる非発泡熱可塑性樹脂又は低発泡性熱可塑性樹脂よりなる表皮材30とよりなる。
また,上記複数個の発泡芯材100はその隣接部分の皮膜15が互いに融着している。即ち,各発泡芯材100は,多数の発泡粒子101からなりその周囲は皮膜15により囲まれている。そして,各皮膜15は互いに融着している。上記の皮膜15は,成形時に樹脂押出ノズルから吐出される際に形成される。
【0036】
次に,上記発泡複合体5を製造するに当っては,図1〜図3に示すごとく,発泡剤を含有させた熱可塑性樹脂よりなる発泡芯材用発泡性樹脂10を第1押出機1の第1ダイス2から押し出し,一方非発泡熱可塑性樹脂又は低発泡性熱可塑性樹脂よりなる表皮材30を第2押出機3の第2ダイス31から押し出す。
そして,上記発泡芯材用発泡性樹脂10を発泡させて発泡芯材100を形成すると共に,上記表皮材30を上記発泡芯材100の表面に被覆し,冷却サイジングダイ4にて,所望形状に冷却賦形することにより,上記発泡芯材用発泡性樹脂10よりなる発泡芯材100の外周に上記表皮材30を被覆してなる押し出し発泡複合体5を連続的に押出成形する。
【0037】
上記発泡芯材用発泡性樹脂10は,上記第2ダイス31の表皮材押出ノズル28から吐出された表皮材30が上記冷却サイジングダイ4によって冷却され始めた後に,上記第1ダイス2の樹脂押出ノズル25から上記表皮材30の内側へ吐出する。
また,上記第1ダイス2の樹脂押出ノズル25は,図1に示すごとく,上記第2ダイス31の表皮材押出ノズル28の位置よりも,押出し方向前方に設けてある。即ち,上記第1ダイス2の樹脂押出ノズル25の開口端は,上記第2ダイス31の表皮材押出ノズル28の開口端よりも上記前方に位置している。
【0038】
以下,これらにつき詳述する。
まず,上記押出発泡成形を実施するための発泡成形装置は,図1〜図3に示すごとく,第1ダイス2と該第1ダイス2に発泡芯材用発泡性樹脂10を送入する第1押出機1,及び表皮材30を送入する第2押出機3とを有する。そして,第1ダイス2の前方側には冷却サイジングダイ4,冷却水槽45,押し出し発泡複合体5の引取機46を順次配設してなる(図3)。
【0039】
第1ダイス2は,図1〜図3に示すごとく,発泡芯材用発泡性樹脂10を押し出し吐出する,5個の樹脂押出ノズル25と,該樹脂押出ノズル25へ発泡芯材用発泡性樹脂10をガイドするガイド部24とを有する。第1ダイス2には,これらを上記の各樹脂押出ノズル25に応じて5つに区画するマニホールドが設けてある。
また,図2に示すごとく,上記5個の樹脂押出ノズル25の周囲には,これらを取り囲むように,表皮材出口としての環状長方形の,表皮材形成用の表皮材押出ノズル28が設けてある。
【0040】
また,樹脂押出ノズル25を設けた第1ダイス2と表皮材の出口である表皮材押出ノズル28との間には,環状長方形の隙間361が設けてある。
また,第2押出機3は,表皮材30を上記表皮材押出ノズル28へガイドするための流路32を有する。
【0041】
次に図1〜図3を用いて製造方法について詳しく説明する。
まず,表皮材30は第2押出機3から押し出され,流路32で環状に広げられ上下両側面に均一に肉厚が分流され,表皮材押出ノズル28から押し出し吐出され,冷却サイジングダイ4の内壁に沿って送り出されていく。
【0042】
一方,第1押出機1から押し出された発泡芯材用発泡性樹脂10は,第1ダイス2に導かれる。第1ダイス2の空間部21は,幅方向に溶融樹脂を均一に広げるためのコートハンガー形状部で,しかも中央部は外周部に比べ樹脂流路間隙を狭めてある。発泡芯材用発泡性樹脂10は,前方部のガイド部24に流れ,各樹脂押出ノズル25に導かれ,最終的に第1ダイス2の先端に設けた樹脂押出ノズル25から表皮材30の内側へ押し出し吐出される。
この発泡芯材用発泡性樹脂10は,上記のごとく,既に上記表皮材押出ノズル28から押し出され,冷却サイジングダイ4によって冷却され始めている表皮材3の内部へ押し出される。
【0043】
また,上記5つの樹脂押出ノズル25から押し出された発泡芯材用発泡性樹脂10は,上記のように押し出された表皮材30の内側で発泡して発泡芯材100となり,これらの5つの発泡芯材100の各皮膜15は互いに融着する。そして,これら5つの発泡芯材100の全体の外周を上記表皮材30が覆い,これらが融着した押し出し発泡複合体5が得られる(図4,図5)。
【0044】
上記発泡芯材用発泡性樹脂10の発泡は,上記表皮材押出ノズル28により形成された角筒箱状の上記表皮材30の中で行なわれる。この押し出し発泡複合体5は,冷却サイジングダイ4の内部,冷却水槽45を経てキャタピラ式の引取機46により引き取られていく。
上記冷却サイジングダイ4は,断面長方形状の空洞,つまり押し出し発泡複合体5を成形するための成形空間を有している。また,冷却サイジングダイ4は冷却用の冷却水通路41を有している。
【0045】
また,上記第1ダイス2の樹脂押出ノズル25の位置に対応する位置における表皮材30の温度は,上記樹脂押出ノズル25より吐出される発泡芯材用発泡性樹脂10の温度と同等ないしこれより50℃高い温度範囲内にある。
【0046】
以上により,図4,図5に示すごとく,5個の発泡芯材100とこれらの周囲を一体的に被覆した表皮材30とからなる押し出し発泡複合体5が得られる。
そして,各発泡芯材100は,それぞれその外周に皮膜15を有し,この皮膜15の隣接部分は互いに融着している。また,発泡芯材100の外周と表皮材30との間は融着している。
また,隣接する皮膜15と表皮材30との間には,三角形状の小さい間隙16が形成されている。
【0047】
本例においては,表皮材押出ノズル28から吐出された表皮材30が冷却サイジングダイ4によって冷却され始めた後に,該表皮材30の内側へ発泡剤を含有させた発泡芯材用発泡性樹脂10を吐出する。そのため,発泡芯材用発泡性樹脂10は,既に若干温度低下し固化し始めている表皮材30と接触することになり,発泡芯材用発泡性樹脂10が表皮材30の熱の影響を受け難い。
【0048】
それ故,表皮材30の内側において発泡しつつある発泡芯材用発泡性樹脂10の溶融粘度が低下し,発泡圧力が低下するということを防止できる。
したがって,表皮材30の内側に位置する発泡芯材100が殆ど熱収縮を生ずることがない。
したがって,例えば10〜50倍という高発泡倍率であると共に,また発泡セルの均一性,独立気泡性が良好な,発泡芯材100を有する押し出し発泡複合体5を得ることができる。
【0049】
また,樹脂押出ノズル25を設けたダイス2と,表皮材30の出口である表皮材押出ノズル28との間には,環状長方形の隙間361を設けてある(図1,図2)。そのため,第1ダイス中の発泡芯材用発泡性樹脂10に対して,第2ダイス31中の表皮材30の熱が伝わらず高い発泡倍率の発泡芯材を得ることができる。
また,上記のごとき優れた発泡芯材の表面に,発泡芯材の成形,発泡と殆ど同時に表皮材が被覆される。そのため,表皮材と発泡芯材との融着,及び発泡芯材と発泡芯材間の融着を効果的に行なわせることができる。
【0050】
実施例2
次に,本発明の具体的実施例及び比較例について説明する。
表皮材として,アクリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂(テクノポリマー(株),ABS樹脂606)を用いた。
【0051】
発泡芯材用発泡性樹脂としては,発泡剤としてのブタン7wt%を含侵させたポリスチレン樹脂(三菱化学フォームプラスティック(株),スチロポールJPE−151)を用いた。また,ポリスチレン樹脂100wt%に対して核剤としてタルク1.2wt%を混合した。
【0052】
第2ダイス31の表皮材押出ノズル28の出口における表皮材3の温度は185℃,第1ダイス2の樹脂押出ノズル25の出口における発泡芯材用発泡性樹脂の温度は140℃であつた。
また,上記第1ダイス2の樹脂押出ノズル25の位置に対応する位置における表皮材30の温度は,該樹脂押出ノズル25より吐出される発泡芯材用発泡性樹脂10の温度(140℃)よりも45℃高い185℃であった。
即ち,上記位置における表皮材と発泡芯材用発泡性樹脂の温度差(ΔT)は45℃であった。
冷却サイジングダイ4の冷却水通路41には20℃の水を流して,押し出し発泡複合体を冷却した。押し出し発泡複合体5の引き取り速度は1m/分とした。
【0053】
得られた押し出し発泡複合体5は,外観は極めて良好で,表皮材30の平均肉厚は1mmで,発泡芯材100の発泡状態は均一で平均発泡倍率は25〜35倍であった。また,表皮材30と発泡芯材100とは融着し,5個の発泡芯材の被膜15間の融着も十分であった。
【0054】
実施例3
本例においては,図6,図7に示すごとく,表皮材押出ノズル28と樹脂押出ノズル25の位置を変え,また発泡芯材用発泡性樹脂10中に添加する水分量を変えて押し出し発泡複合体を製造した。
即ち,まず,図6に示すごとく,表皮材押出ノズル28よりも押し出し方向前方の位置(長さL)に樹脂押出ノズル25を位置させて,実施例2と同様にして押し出し発泡複合体5を製造した。
本例においては,上記の長さLは50mmとした。
また,発泡芯材用発泡性樹脂中に発泡剤としての水を種々の割合で添加して,その水分量の変化と得られた押し出し発泡複合体中の発泡芯材の発泡倍率との関係を測定した。
【0055】
また,図7に示すごとく,従来と同様に表皮材押出ノズル28の位置と樹脂押出ノズル25の位置を同じ位置にして(長さL=0),上記と同様に押し出し発泡複合体を製造した。
その結果を,表1に示す。
【0056】
表1より,樹脂押出ノズル25を表皮材押出ノズル28よりも50mm前方に位置させた場合には,両者を同位置にした場合よりも高い発泡倍率が得られることが分る。
また,このことは水分を添加しない場合(水分0重量%)にも言える。また,水分を添加した場合には,高い発泡倍率が得られ,特に0.1〜2重量%の水分量の場合に効果が大きいことが分る。
【0057】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にかかる押し出し発泡複合体の成形装置の断面説明図。
【図2】実施例1にかかる押し出し発泡複合体の成形装置のにおける,樹脂押出ノズル及び表皮材押出ノズルの正面図。
【図3】実施例1にかかる押し出し発泡複合体の成形装置の全体平面図。
【図4】実施例1において得られた押し出し発泡複合体の断面斜視図。
【図5】実施例1において得られた押し出し発泡複合体の拡大図。
【図6】実施例3における,本発明にかかる,樹脂押出ノズルと表皮材押出ノズルの位置関係を示す説明図。
【図7】実施例3における,従来例にかかる,樹脂押出ノズルと表皮材押出ノズルの位置関係を示す説明図。
【符号の説明】
1...第1押出機,
10...発泡芯材用発泡性樹脂,
100...発泡芯材,
2...第1ダイス,
25...樹脂押出ノズル,
28...表皮材押出ノズル,
3...第2押出機,
30...表皮材,
5...押し出し発泡複合体,
Claims (4)
- 発泡剤を含有させた熱可塑性樹脂よりなる発泡芯材用発泡性樹脂を第1押出機の第1ダイスから押し出し,一方非発泡熱可塑性樹脂又は低発泡性熱可塑性樹脂よりなる表皮材を第2押出機の第2ダイスから押し出し,
上記発泡芯材用発泡性樹脂を発泡させて発泡芯材を形成すると共に,上記表皮材を上記発泡芯材の表面に被覆し,冷却サイジングダイにて所望形状に冷却賦形することにより,上記発泡芯材用発泡性樹脂よりなる発泡芯材の外周に上記表皮材を被覆してなる発泡複合体を連続的に押出成形する方法であって,
上記第1ダイスの樹脂押出ノズルは,上記第2ダイスの表皮材押出ノズルの位置よりも,押出し方向前方に設けてあり,
上記表皮材を,上記第2ダイスの表皮材押出ノズルから押し出し吐出して,該表皮材押出ノズルに隣接している冷却サイジングの内壁に沿って送り出し,
上記表皮材が上記冷却サイジングダイによって冷却され始めた後に,上記発泡芯材用発泡性樹脂を上記第1ダイスの樹脂押出ノズルから上記表皮材の内側へ吐出することを特徴とする押し出し発泡複合体の製造方法。 - 請求項1において,上記第1ダイスの樹脂押出ノズルの位置に対応する位置における表皮材の温度は,上記樹脂押出ノズルより吐出される発泡芯材用発泡性樹脂の温度と同等ないしそれより50℃高い温度範囲内にあることを特徴とする押し出し発泡複合体の製造方法。
- 請求項1又は2において,上記樹脂押出ノズルから吐出される発泡芯材用発泡性樹脂には,該発泡芯材用発泡性樹脂に対して0.1〜10重量%の水が含有されていることを特徴とする押し出し発泡複合体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記発泡芯材用発泡性樹脂は,ポリスチレン系樹脂75〜97.8重量%と発泡剤2〜20重量%と核剤0.2〜5重量%とよりなり,上記表皮材はスチレン系熱可塑性樹脂であることを特徴とする押し出し発泡複合体の製造方法。
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