JP3966735B2 - ガス導入機構およびガス導入方法、ならびにプラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板等の被処理体にプラズマ処理を施す際に、被処理体を載置する載置台と、載置された被処理体との間に伝熱用ガスを導入するガス導入機構およびガス導入方法、ならびにそれを用いたプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては、被処理体である半導体ウエハに対して、プラズマエッチング処理、アッシング処理、スパッタ処理等の真空雰囲気で処理を行う真空処理が多用されている。
【0003】
例えば、プラズマエッチング処理においては、チャンバー内に半導体ウエハ(以下単にウエハと記す)を支持するウエハ支持テーブルを設け、このウエハ支持テーブルの上に設けられた静電チャックによりウエハを静電吸着して保持し、支持テーブルの上方にエッチングガスをチャンバー内に導入するシャワーヘッドを設けて、エッチングガスをチャンバー内に導入するとともに、支持テーブルおよびシャワーヘッドの少なくとも一方に高周波を印加してこれらの間に高周波電界を形成し、この高周波電界により処理ガスのプラズマを形成してウエハに対してプラズマエッチング処理を施す。
【0004】
このような処理の際には、プラズマによりウエハ温度が上昇すると、素子の破壊や処理の不均一等の不具合が生じる。したがって、このような不具合を防止するために、支持テーブルに冷媒を通流させることによりウエハを冷却しながら処理を行っている。
【0005】
ところで、一般に静電チャックのようなウエハが載置される載置台とウエハ裏面との間には、これらの表面粗さに起因して微視的な空間が存在する。この状態でチャンバー内を減圧してプラズマ処理を行う場合には、上記微視的な空間も真空状態とされるため、上述のように支持テーブルを冷却し、その冷熱を静電チャックを介してウエハに伝達しようとしても、微視的な空間には伝熱媒体がほとんど存在せず、有効にウエハを冷却することができない。
【0006】
そこで従来より、載置台とその表面に保持されたウエハとの間にHeガス等の熱伝導性が比較的良好な伝熱用ガスを導入してウエハを効率良く冷却することが行われている。
【0007】
この場合に、Heガスを載置台とウエハとの間に一定量封入したり、Heの供給流量のみを制御した場合には、処理中に導入されたHeの漏れが発生すると熱伝達効率が低下してウエハの温度上昇を防止することができなくなるため、載置台とその表面に保持されたウエハとの間にHeガスを供給するガス供給ラインにマスフローコントローラを設け、一定の流量でHeガスを供給するとともに、ガス供給ラインの圧力を測定してその圧力が一定になるように流量制御バルブにより載置台とその表面に載置保持されたウエハとの間に導入するHeガスの量を制御している。そして、ガス供給ラインの載置台側の部分には、Heガスの供給を停止した際にチャンバー内のプロセスガスが逆流すること等を防止するために、保護用の開閉バルブが設けられており、実際のプロセス時にはこの開閉バルブが開かれてHeガスがウエハ裏面に供給される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、開閉バルブの開動作が行われても、実際にはバルブ内の弁体が閉じたままとなっている場合がある。この場合においても、システムとしてはガス供給ラインの圧力制御が可能であるためそのまま処理が続行されるが、その場合には実際にはウエハ裏面に伝熱用のHeガスが充填されないため、ウエハが十分に冷却されず製品不良が発生してしまう。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、伝熱用ガスが被処理体裏面側に供給されていないことを検知することができ、被処理体の不良が発生し難いガス導入機構およびガス導入方法、ならびにそれを用いたプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、真空に保持可能なチャンバー内で載置台に載置された被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、前記載置台とその上の被処理体との間にガスを導入するガス導入機構であって、前記載置台と載置台に保持された被処理体との間に伝熱用ガスを供給するガス供給ラインと、前記ガス供給ラインの圧力を測定する圧力測定器と、前記ガス供給ラインの前記圧力測定器の下流側に設けられた開閉バルブと、前記圧力測定器の圧力をモニタするモニタ手段と、前記開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生させる制御手段と、前記ガス供給ラインに接続された排出ラインと、前記排出ラインに設けられ、前記圧力測定器が所定の圧力になるように前記伝熱用ガスの排気量を制御する圧力制御バルブとを具備することを特徴とするガス導入機構を提供する。
【0011】
また本発明は、真空に保持可能なチャンバー内で載置台に載置された被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、前記載置台とその上の被処理体との間にガスを導入するガス導入方法であって、前記載置台と載置台に保持された被処理体との間にガス供給ラインを介して伝熱用ガスを供給し、前記ガス供給ラインに接続された排気ラインの圧力を圧力調整バルブで調整することにより、伝熱用ガスの圧力を調整し、前記ガス供給ラインの圧力を圧力測定器により測定しつつ前記ガス供給ラインの圧力測定器の下流側に設けられた開閉バルブの開動作が行われた際に、前記ガス供給ラインの圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生させることを特徴とするガス導入方法を提供する。
【0012】
さらに本発明は、真空に保持可能なチャンバーと、前記チャンバー内に設けられかつその表面に被処理体が載置保持される載置台と、前記チャンバー内を排気する排気手段と、前記チャンバー内で被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理手段と、前記載置台の温度を調節する温度調節機構と、前記載置台から被処理体に伝熱用ガスを前記載置台と載置台に保持された被処理体との間に導入するガス導入機構とを具備するプラズマ処理装置であって、前記ガス導入機構は、前記載置台と載置台に保持された被処理体との間に伝熱用ガスを供給するガス供給ラインと、前記ガス供給ラインの圧力を測定する圧力測定器と、前記ガス供給ラインの前記圧力測定器の下流側に設けられた開閉バルブと、前記圧力測定器の圧力をモニタするモニタ手段と、前記開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生する制御手段と、前記ガス供給ラインに接続された排出ラインと、前記排出ラインに設けられ、前記圧力制御器が所定の圧力になるように前記伝熱用ガスの排気量を制御する圧力制御バルブとを備えることを特徴とするプラズマ処理装置を提供する。
【0013】
本発明によれば、真空に保持可能なチャンバー内で載置台に載置された被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、載置台と載置台に保持された被処理体との間に伝熱用ガスを供給するガス供給ラインの圧力を測定し、ガス供給ラインに設けられた開閉バルブの開動作が行われた際に、ガス供給ラインの圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生させるので、開閉バルブの開動作を行った際に実際には開閉バルブが開かれていないことを検出することができ、被処理体裏面に伝熱用ガスが供給されずに被処理体の不良が発生することを防止することができる。
【0014】
本発明において、開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、プラズマ処理装置の処理を停止させるようにすることが好ましい。また、前記ガス供給ラインの前記開閉バルブの上流側に設けられ、前記伝熱用ガスを一時貯留するアキュームレータをさらに具備してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガス導入機構が用いられたプラズマエッチング装置を示す概略断面図である。このプラズマエッチング装置1は、電極板が上下平行に対向し、一方にプラズマ形成用電源が接続された容量結合型平行平板エッチング装置として構成されている。
【0016】
このプラズマエッチング装置1は、例えば表面がセラミック溶射処理されたアルミニウムからなる円筒形状に成形されたチャンバー2を有しており、このチャンバー2は保安接地されている。前記チャンバー2内には例えばシリコンからなり、その上に所定の膜が形成された半導体ウエハ(以下単に「ウエハ」と記す)Wを水平に載置し、下部電極として機能する載置台3が支持部材4に支持された状態で設けられている。この支持部材4はセラミックなどの絶縁板5を介して、図示しない昇降装置の支持台6により支持されており、この昇降機構によって載置台3が昇降可能となっている。支持台6の下方中央の大気部分は、ベローズ7で覆われており、チャンバー2内と大気部分とが分離されている。
【0017】
前記載置台3は、その上中央部が凸状の円板状に成形され、その上に絶縁材の間に電極12が介在されてなる静電チャック11が設けられており、電極12に接続された直流電源13から直流電圧が印加されることにより、例えばクーロン力によってウエハWを静電吸着する。前記載置台3の上端周縁部には、静電チャック11上に載置されたウエハWを囲むように、エッチングの均一性を向上させるための環状のフォーカスリング15が配置されている。
【0018】
前記支持部材4の内部には、冷媒室8が設けられており、この冷媒室8には、例えばガルデンなどの冷媒が冷媒導入管8aを介して導入されて循環し、その冷熱が前記載置台3を介して前記ウエハWに対して伝熱され、これによりウエハWの処理面が所望の温度に制御される。
【0019】
また、チャンバー2が排気されて真空に保持されていても、冷媒室8に循環される冷媒によりウエハWを有効に冷却可能なように、伝熱用ガス、例えばHeガスが、後述するガス導入機構60によりそのガス供給ライン61aおよび61bを介してそれぞれ静電チャック11の表面とウエハWの裏面との間の中央部およびエッジ部に導入される。この伝熱用のHeガスを導入することにより、冷媒の冷熱がウエハWに有効に伝達され、ウエハWの冷却効率を高くすることができる。
【0020】
前記載置台3の上方には、この載置台3と平行に対向して上部電極として機能するシャワーヘッド21が設けられている。このシャワーヘッド21は、絶縁材22を介して、チャンバー2の上部に支持されており、載置台3との対向面24には多数の吐出孔23を有している。なお、載置台3とシャワーヘッド21とは、例えば25〜55mm程度離間され、この距離は前記昇降機構により調節可能である。
【0021】
前記シャワーヘッド21の中央にはガス導入口26が設けられ、さらにこのガス導入口26には、ガス供給管27が接続されており、さらにこのガス供給管27には、バルブ28を介して、エッチングガス供給源30が接続されている。そして、エッチングガス供給源30から、所定のエッチングガスが供給される。エッチングガスとしては、ハロゲン元素含有ガス等、通常この分野で用いられるガスが使用される。
【0022】
前記チャンバー2の側壁底部近傍には排気管31が接続されており、この排気管31には排気装置35が接続されている。排気装置35はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これによりチャンバー2内を所定の減圧雰囲気、例えば1Pa以下の所定の圧力まで真空引き可能なように構成されている。また、チャンバー2の側壁にはゲートバルブ32が設けられており、このゲートバルブ32を開にした状態でウエハWが隣接するロードロック室(図示せず)との間で搬送されるようになっている。
【0023】
上部電極として機能するシャワーヘッド21には、プラズマ形成用の高周波電源40が接続されており、その給電線には整合器41が介在されている。この高周波電源40は、例えば60MHzの周波数の高周波を供給する。また、シャワーヘッド21にはローパスフィルター(LPF)42が接続されている。
【0024】
下部電極として機能する載置台3には、イオン引き込み用の高周波電源50が接続されており、その給電線には整合器51が介在されている。この高周波電源50は、例えば2MHzの周波数の高周波を供給する。また、この載置台3にはハイパスフィルター(HPF)16が接続されている。
【0025】
したがって、高周波電源40からシャワーヘッド21に印加される高周波電源により載置台3とシャワーヘッド21との間の空間にエッチングガスのプラズマが形成されるとともに、高周波電源50から載置台3に印加される高周波電源によりイオンがウエハWに引き込まれ、ウエハWを効率良くプラズマエッチングすることが可能となっている。
【0026】
次に、上記ガス導入機構60について詳細に説明する。
図2はガス導入機構60を模式的に示す図である。このガス導入機構60は、Heガスを供給する2本のガス供給ライン61a,61bを有している。これらガス供給ライン61a,61bは、それぞれ静電チャック11の表面とウエハWの裏面との間の中央部およびエッジ部に接続されており、それぞれHeガス供給源62a,62bからのHeガスをこれら部分に供給する。
【0027】
ガス供給ライン61aには、Heガス供給源62a側から順に、開閉バルブ63a、マスフローコントローラ(MFC)64a、圧力測定器であるキャパシタンスマノメータ(CM)65a、アキュームレータ66a、開閉バルブ67aが設けられている。また、ガス供給ライン61aのマスフローコントローラ(MFC)64aとキャパシタンスマノメータ(CM)65aとの間の部分には、チャンバー2の排気ラインに接続される排出ライン68aが接続されており、この排出ライン68aには上流側から開閉バルブ69a、圧力制御バルブ(PCV)70aが順に設けられている。
【0028】
ガス供給ライン61bには、Heガス供給源62b側から順に、開閉バルブ63b、マスフローコントローラ(MFC)64b、圧力測定器であるキャパシタンスマノメータ(CM)65b、アキュームレータ66b、開閉バルブ67bが設けられている。また、ガス供給ライン61bのマスフローコントローラ(MFC)64bとキャパシタンスマノメータ65bとの間の部分には、排出ライン68aを介してチャンバー2の排気ラインに接続される排出ライン68bが接続されており、この排出ライン68bには上流側から開閉バルブ69b、圧力制御バルブ(PCV)70bが順に設けられている。
【0029】
そして、ガス供給ライン61a,61bを通流するHeガスは、マスフローコントローラ(MFC)64a,64bにより一定流量で流れ、キャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの圧力値が設定値になるように、排出ライン68a,68bに設けられた圧力制御バルブ(PCV)70a,70bにより排出ライン68a,68bを介して排出するHeガス量を制御する。これにより、ウエハW裏面のHeガス圧力が一定値に制御される。ここで、最終の開閉バルブ67a,67bは、Heガスの供給を停止した際にチャンバー2内のプロセスガスが逆流すること等を防止するために設けられる保護用のバルブであり、アキュームレータ66a,66bは、Heガスを貯留しておき、開閉バルブ63a,67a,63b,67bを開にした際に、ウエハW裏面に速やかに圧力が及ぼされるようにするためのものである。なお、ガス供給ライン61a,61bの開閉バルブ67a,67bの下流側には、それぞれチャンバー2の排気ラインに接続されたバイパスライン71a,71bが接続されており、これらバイパスライン71a,71bには開閉バルブ72a,72bが設けられており、これら開閉バルブ72a,72bを開放することにより、ガス供給ライン61a,61bのHeガスを排気ラインにバイパスすることが可能となっている。
【0030】
図2に示すように、静電チャック11の表面には、中央部にガス吐出孔73a、周辺部にガス吐出孔73bが多数形成されており、ガス供給ライン61a,61bを通って所定の圧力で通流されてきたHeガスは、これらガス吐出孔73a,73bを介して静電チャック11の表面とその上に吸着載置されたウエハWとの間の微小空間に導入される。この際のガス圧は、静電チャック11の表面とその上に吸着載置されたウエハWとの間に均一な厚さの空間が形成される値とされる。
【0031】
キャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの圧力値は圧力モニタ75によりモニタされる。この圧力モニタ75のモニタ値はコントローラ76に出力され、そのコントローラ76において、装置全体のプロセスを制御するプロセスコントローラ80から開閉バルブ67a,67bへ開信号が送られてから所定時間モニタされた圧力の低下量と所定のしきい値とが比較され、その低下量がそのしきい値より小さい場合に、アラーム77に指令を発し、アラームを発生させるとともに、プロセスコントローラ80にプロセス停止の指令を発し、プロセスを停止させるようになっている。また、圧力の低下量が上記しきい値以上の場合には、プロセスコントローラ80へHeガスの供給指令が発せられるようになっている。
【0032】
次に、このように構成されるプラズマエッチング装置における処理動作について説明する。
まず、ゲートバルブ32を開にしてウエハWをチャンバー2内に搬入し、載置台3に載置された後、載置台3が図示の位置まで上昇され、排気装置35により排気管31を介してチャンバー2内が排気される。
【0033】
チャンバー2内が所定の真空度になった後、チャンバー2内にエッチングガス供給源30から所定のエッチングガスを所定の流量で導入するとともに、直流電源13から電極12に直流電圧を印加してウエハWを静電チャック11によって静電吸着させる。
【0034】
そして、この状態で高周波電源40からシャワーヘッド21に所定の周波数の高周波電力を印加し、これにより、上部電極としてのシャワーヘッド21と下部電極としての載置台3との間に高周波電界を生じさせ、エッチングガスをプラズマ化し、このプラズマによりウエハWの所定の膜をエッチングする。このとき、高周波電源50から下部電極である載置台3に所定の周波数の高周波電力を印加してプラズマ中のイオンを載置台3側へ引き込むようにし、エッチング効率を高める。
【0035】
このように形成されたプラズマによりウエハWの温度が上昇することを防止するために、エッチング処理中に支持部材4の冷媒室8に冷媒を導入するとともに、その冷熱が有効にウエハWに伝達されるようにガス導入機構60により、伝熱用ガスとしてHeガスを静電チャック11の表面とウエハWの裏面との間に導入する。
【0036】
この際に、ガス導入機構60は、所定の手順によりウエハW裏面の一定のHeガス圧力を印加するように制御されるが、開閉バルブ67a,67bが開信号を受け取ったにもの関わらず実際にはこれらの弁体が開かない事故が生じる場合がある。ガス導入機構60のハード的な構成上、その場合でも圧力制御が続行されるが、実際にはHeガスはウエハWの裏面には到達せず、ウエハWが十分に冷却されずに製品不良が発生してしまう。
【0037】
本実施形態では、図3のフローチャートに示すシーケンスを用いてソフト的にインターロックをかけ、このような製品不良が発生することを防止する。まず、静電チャック11の電極12に直流電圧を印加してウエハを静電チャック11に吸着させ(ステップ1)、次いでマスフローコントローラ(MFC)64a,64bの設定を0とするとともに、開閉バルブ69a,69bを閉じる(ステップ2)。その後、開閉バルブ67a,67bの開動作(開信号送信)を行う(ステップ3)。この際に、圧力モニタ75によりモニタされるキャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの圧力値は、開閉バルブ67a,67bが実際に開かれた場合には、図4に示すように低下するため、開閉バルブ67a,67bの開動作からX1sec経過後に、圧力低下量Δpが所定のしきい値以上か否かを判断する(ステップ4)。キャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの圧力低下量がいずれも所定のしきい値以上の場合には、コントローラ76が開閉バルブ67a,67bが正常に開いたと判断し、マスフローコントローラ(MFC)64a,64bの設定をプロセスにおける通常の流量とし、かつ開閉バルブ69a,69bを開放してHeガス供給源62a,62bからのガスの供給を開始する(ステップ5)。そして、Heガスの流量がプロセスにおける値に安定するのを待つ(ステップ6)。一方、上記ステップ4において、キャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの一方または両方の圧力低下量が所定のしきい値より低い場合には、その該当する開閉バルブが正常に開いていないと判断して、コントローラ76がアラーム77に指令を送り、アラームを発生させる(ステップ7)とともに、プロセスコントローラ80へ指令を送ってプロセスを停止させる(ステップ8)。
【0038】
このようにして、開閉バルブ67a,67bが正常に開かずに伝熱用のHeガスが被処理体裏面側に供給されていないことによる製品不良等の不都合を未然に防止することができる。このときのしきい値およびモニター時間X1secはインターロック条件として設定されるものであり、プロセス圧力に応じて適宜設定される。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図5は、本発明の他の実施形態に係るガス導入機構を模式的に示す図である。このガス導入機構60′は、アキュームレータ66a,66bを削除した以外は図2のガス導入機構60と同じ構成を有しているので、同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
このガス導入機構60′においては、図6のフローチャートに示すシーケンスを用いる。まず、静電チャック11の電極12に直流電圧を印加してウエハを静電チャック11に吸着させ(ステップ11)、次いで圧力制御バルブ(PCV)70a,70bを閉じる(ステップ12)。その後、開閉バルブ63a,63bを開き(ステップ13)、マスフローコントローラ(MFC)64a,64bの設定をプロセスにおける通常の流量とする(ステップ14)。これにより、図7に示すようにキャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの圧力値が上昇する。そして、その圧力値が所定のインターロック圧力に達した時点で、開閉バルブ69a,69b,72a,72b,67a,67bの開動作(開信号送信)を行う(ステップ15)。これらの開閉バルブの開動作からX2sec経過後に、圧力低下量Δpが所定のしきい値以上か否かを判断する(ステップ16)。キャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの圧力低下量がいずれも所定のしきい値以上の場合には、コントローラ76が開閉バルブ67a,67bが正常に開いたと判断し、開閉バルブ72a,72bを閉じ(ステップ17)、Heガスの供給が安定するのを待つ(ステップ18)。一方、上記ステップ16において、キャパシタンスマノメータ(CM)65a,65bの一方または両方の圧力低下量が所定のしきい値よりも低い場合には、その該当する開閉バルブが正常に開いていないと判断して、コントローラ76がアラーム77に指令を送り、アラームを発生させる(ステップ19)とともに、プロセスコントローラ80へ指令を送ってプロセスを停止させる(ステップ20)。
【0041】
このようにして、この実施形態においても開閉バルブ67a,67bが正常に開かずに伝熱用のHeガスが被処理体裏面側に供給されていないことによる製品不良等の不都合を未然に防止することができる。このときのインターロック圧力、しきい値およびモニター時間X2secはインターロック条件として設定されるものであり、プロセス圧力に応じて適宜設定される。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、中央部とエッジ部の両方に伝熱用ガスを供給したが、ガスの供給ラインは1本でもよい。また、上記実施形態では圧力測定器としてキャパシタンスマノメータを用いたが、これに限らず種々のマノメータを用いることができる。
【0043】
さらに、上記実施の形態では、ガスとしてHeガスを用いた場合について示したが、これに限定されることなくArガスやN2ガス等の他のガスを用いることができる。ただし、Heは熱伝達性が高いためより好ましい。さらに、上記実施形態では、本発明を上下電極に高周波電力を印加するプラズマエッチング装置に適用した場合について示したが、これに限らず、いずれか一方の電極に高周波電力を印加する装置であってもよく、マグネトロンプラズマエッチング装置であってもよい。また、例えばプラズマCVD処理やスパッタリング処理等、他のプラズマ処理にも適用可能である。
【0044】
さらにまた、上記実施形態では載置台3に静電チャック11を設け、静電チャック11により被処理体を保持する場合について示したが、これに限らず、機械的なクランプ機構を用いて保持するものであってもよい。さらにまた、被処理体として半導体ウエハを用いた場合について示したが、これに限らず液晶表示装置(LCD)基板等の他の被処理体であってもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、真空に保持可能なチャンバー内で載置台に載置された被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、載置台と載置台に保持された被処理体との間に伝熱用ガスを供給するガス供給ラインの圧力を測定し、ガス供給ラインに設けられた開閉バルブの開動作が行われた際に、ガス供給ラインの圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生させるので、開閉バルブの開動作を行った際に実際には開閉バルブが開かれていないことを検出することができ、被処理体裏面に伝熱用ガスが供給されずに被処理体の不良が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス導入機構が用いられたプラズマエッチング装置を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るガス導入機構を模式的に示す図。
【図3】図2のガス導入機構の処理シーケンスを示すフローチャート。
【図4】図2のガス導入機構のキャパシタンスマノメータ(CM)の検出圧力の経時変化を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るガス導入機構を模式的に示す図。
【図6】図5のガス導入機構の処理シーケンスを示すフローチャート。
【図7】図5のガス導入機構のキャパシタンスマノメータ(CM)の検出圧力の経時変化を示す図。
【符号の説明】
1;プラズマエッチング装置
2;チャンバー
3;載置台
8;冷媒室
21;シャワーヘッド
30;エッチングガス供給源
35;排気装置
40,50;高周波電源
60,60′;ガス導入機構
61a,61b;ガス供給ライン
62a,62b;Heガス供給源
64a,64b;マスフローコントローラ
65a,65b;キャパシタンスマノメータ(圧力測定器)
66a,66b;アキュームレータ
67a,67b;開閉バルブ
70a,70b;圧力制御バルブ
75;圧力モニタ
76;コントローラ
77;アラーム
80;プロセスコントローラ
W;半導体ウエハ
Claims (10)
- 真空に保持可能なチャンバー内で載置台に載置された被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、前記載置台とその上の被処理体との間にガスを導入するガス導入機構であって、
前記載置台と載置台に保持された被処理体との間に伝熱用ガスを供給するガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインの圧力を測定する圧力測定器と、
前記ガス供給ラインの前記圧力測定器の下流側に設けられた開閉バルブと、
前記圧力測定器の圧力をモニタするモニタ手段と、
前記開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生させる制御手段と、
前記ガス供給ラインに接続された排出ラインと、
前記排出ラインに設けられ、前記圧力測定器が所定の圧力になるように前記伝熱用ガスの排気量を制御する圧力制御バルブと
を具備することを特徴とするガス導入機構。 - 前記開閉バルブの開動作が行われた際は、前記開閉バルブの開動作から所定時間後であることを特徴とする請求項1に記載のガス導入機構。
- 前記制御手段は、前記開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、前記プラズマ処理装置の処理を停止させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス導入機構。
- 前記ガス供給ラインの前記開閉バルブの上流側に設けられ、前記伝熱用ガスを一時貯留するアキュームレータをさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガス導入機構。
- 真空に保持可能なチャンバー内で載置台に載置された被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、前記載置台とその上の被処理体との間にガスを導入するガス導入方法であって、
前記載置台と載置台に保持された被処理体との間にガス供給ラインを介して伝熱用ガスを供給し、前記ガス供給ラインに接続された排気ラインの圧力を圧力調整バルブで調整することにより、伝熱用ガスの圧力を調整し、前記ガス供給ラインの圧力を圧力測定器により測定しつつ前記ガス供給ラインの圧力測定器の下流側に設けられた開閉バルブの開動作が行われた際に、前記ガス供給ラインの圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生させることを特徴とするガス導入方法。 - 前記開閉バルブの開動作が行われた際は、前記開閉バルブの開動作から所定時間後であることを特徴とする請求項5に記載のガス導入方法。
- 前記ガス供給ラインの圧力の低下量がしきい値より低い場合に、前記プラズマ処理装置の処理を停止させることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のガス導入方法。
- 真空に保持可能なチャンバーと、
前記チャンバー内に設けられかつその表面に被処理体が載置保持される載置台と、
前記チャンバー内を排気する排気手段と、
前記チャンバー内で被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理手段と、
前記載置台の温度を調節する温度調節機構と、
前記載置台から被処理体に伝熱用ガスを前記載置台と載置台に保持された被処理体との間に導入するガス導入機構と
を具備するプラズマ処理装置であって、
前記ガス導入機構は、
前記載置台と載置台に保持された被処理体との間に伝熱用ガスを供給するガス供給ラインと、
前記ガス供給ラインの圧力を測定する圧力測定器と、
前記ガス供給ラインの前記圧力測定器の下流側に設けられた開閉バルブと、
前記圧力測定器の圧力をモニタするモニタ手段と、
前記開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、アラームを発生する制御手段と、
前記ガス供給ラインに接続された排出ラインと、
前記排出ラインに設けられ、前記圧力制御器が所定の圧力になるように前記伝熱用ガスの排気量を制御する圧力制御バルブと
を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記制御手段は、前記開閉バルブの開動作が行われた際の前記モニタ手段がモニタしている圧力の低下量がしきい値より低い場合に、前記プラズマ処理装置の処理を停止させることを特徴とする請求項8に記載のプラズマ処理装置。
- 前記ガス供給ラインの前記開閉バルブの上流側に設けられ、前記伝熱用ガスを一時貯留するアキュームレータをさらに備えることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のプラズマ処理装置。
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