JP3966100B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関し、特にその単位セル間に介挿されるセパレータを利用した燃料電池の冷却技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一形式としてのPEM型燃料電池の単位セルは、燃料極(一般に燃料として水素ガスが用いられることから、水素極ともいう)と酸化剤極(同様に酸化剤として酸素を含むガスである空気が用いられることから、以下これを空気極という)との間に高分子固体電解質膜が挟持された構成とされる。燃料極と空気極は、共に触媒物質を含む触媒層と、触媒層を支持するとともに反応ガスを透過される機能を果たし、更に集電体としても機能を有する電極基材からなる。燃料極と空気極の更に外側には、反応ガスとしての水素と空気をセル外部から電極面に均一に供給するとともに、反応ガスの余剰分をセル外部に排出するためのガス流路(一般に電極面側が開いた溝で構成される)を設けたセパレータ(コネクタ板)が積層される。このセパレータは、ガスの透過を防止するとともに、発生した電流を外部へ取り出すための集電を行う。上記のような単位セルとセパレータとで1ユニットの単電池が構成される。
【0003】
実際の燃料電池では、かかる単電池の多数個が直列に積層されてスタックが構成される。このような、燃料電池では、十分な発電効率を維持するために、単位セル中の高分子固体電解質膜を十分に湿潤状態に保つ必要があり、一般に、電解反応により生成する水のみでは水分が不足することから、各単位セルに加湿水を供給する手段を必要とする。また、電解反応により発生電力にほぼ相当する熱量の熱が発生するため、燃料電池本体が過度にヒートアップすることを防止する冷却手段が講じられる。
【0004】
燃料電池の冷却手段としては、従来より種々の方式のものが提案されている。それらのうちの一方式として、空気極に酸化剤としての空気を送り込むための空気マニホールド内に、水を噴射するノズルを設ける構成を採り、ガス流路に送り込む空気に水を噴射して予め混入させ、ガス流路中で水が加熱により蒸発する際の潜熱を利用して冷却するものがある。この方式のものは、本来、単位セルを湿潤状態に保つ必要があることからセルへの供給を必須とする水を、同じく空気極側への供給を必要とする空気の流れに乗せて供給し、この水を冷却にも利用するのが合理的であるとする着想に基づいている。
【0005】
上記のような方式を採る燃料電池システムにおいて、出願人は、先の出願に係る特願2002−54839において、空気マニホールド内で水を噴射混入させた空気を、セパレータに形成した冷却空間から連通孔を経て空気流路に供給する方式のものを提案している。この方式では、冷却空間に伝わる単位セルの熱により蒸発する水の潜熱により単位セルが冷却され、蒸気化した水が空気と共に空気流路に供給される。これによりセパレータを介して単位セルを冷却しながら、空気流路への液体水又は霧状の水の侵入による流路の閉塞が防止される。すなわち、上記のような仕組みの燃料電池装置の場合、冷却空間に供給された空気と水は、燃料電池の発電時に発生する発熱を潜熱冷却するのに使われる。そして、液体の状態で供給された水の一部は冷却空間内で蒸発し、空気と一緒に水蒸気として連通孔から空気流路へ供給され、空気は燃料電池の反応に使われ、水蒸気は加湿に使われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような供給方式を採る場合、冷却空間に入った空気を如何にロスなく空気流路に供給するかが新たな課題となる。例えば、冷却空間からの空気の直抜けを防止すべく、その最下部(通常、単位セルへの空気の供給はセル上部に開いた冷却空間の入口側から行なわれることから、空気の排出部はセル最下部となる)に蓋を設けた場合、冷却空間で水蒸気にならなかった液体水はそのまま冷却空間下方に溜まり、連通孔から空気流路に溢れ出して、燃料電池への空気の供給が阻害される。逆に、冷却空間の最下部に蓋を設けない場合、空気流路と冷却空間との間に圧力差が生じにくいため、冷却空間に供給された空気の一部は空気流路に供給されるとしても、多くはそのまま冷却空間下方に抜けてしまう。こうした状態では、供給空気量に対して有効に反応に関与する空気のロスが大きくなるばかりでなく、空気に混入させた水の蒸発も十分に行なわれないため、冷却や空気極の湿潤に十分活かされないまま燃料電池外に排出されてしまう。
【0007】
そこで本発明は、上記のような課題を解決すべく、冷却空間からの空気の排出を制限して、供給空気のロスを少なくすることで、燃料電池の冷却効率と発電効率を向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的は、互いに隣接する単位セルの間にセパレータが配置される燃料電池において、前記セパレータは、単位セルの少なくとも空気極に接する表面側に設けられた空気流路と、背面側に設けられて空気と水とを供給される冷却空間とからなり、該冷却空間に伝わる単位セルの熱により蒸発する水の潜熱により単位セルを冷却する冷却手段を備えると共に、前記冷却空間の排出部に、該排出部に溜まる液体水を緩徐に排出する排出規制手段を備えることを特徴とする構成により達成される。この構成における、前記冷却空間は、連通孔を介して空気流路に連通され、前記排出規制手段は、前記排出部を液体水により封止して空気の排出を妨げるものであることが望ましい。
【0009】
前記の構成において、前記排出規制手段は、具体的には、前記排出部を構成する流路の断面積を、所定の長さに渡って狭窄させた流路狭窄部で構成とすることができる。このように排出規制手段を流路狭窄部で構成する場合、前記排出部は、前記排出規制手段と小孔を備え、該小孔は、前記流路狭窄部と前記空気極との間に形成されている構成を採るのも有効である。また、同様に排出規制手段を流路狭窄部で構成する場合、前記流路狭窄部に更に液体水を分岐排出する小孔が形成された構成とするのも有効である。
【0010】
また、前記排出規制手段は、前記排出部を囲う壁の撥水性を高めたものとすることもできる。あるいは、前記排出規制手段は、前記排出部を構成する流路に配設された多孔質部材とすることができる。
【0011】
【作用】
前記請求項1記載の構成では、冷却空間に空気と共に供給されて蒸気化されずに、又は蒸気化後に凝縮して水滴となって排出部に達する水が、排出規制手段で緩徐に排出されることで、排出部に一旦液状水として滞留し、その後に徐々に排出されるため、排出部には常に液状水が滞留することになり、この液状水が冷却空間からの空気の直接的な抜けを妨げる作用が生じる。この結果、冷却空間に供給された空気の直抜けによるロスが低減する。
【0012】
次に、請求項2に記載の構成とすると、冷却空間に供給される空気の冷却空間からの直接の抜けが実質上なくなり、空気が全て連通孔から空気流路に流れるようになり、空気流路への空気の供給が促進される。
【0013】
次に、請求項3に記載の構成では、冷却空間の排出部を構成する流路の狭窄部に、液体水が柱状の液滴となって滞留し、これが流路を塞ぎながら徐々に排出部から排水されることで、空気に対する連続的な封止効果を発揮する。また、冷却空間の排出部が狭窄されることで、その分だけ空気流路の排出部が拡大されるため、電極面側の生成水や凝縮水が排出されやすくなる。
【0014】
次に、請求項4に記載の構成では、空気極に接する側の冷却空間の壁を伝って排出部に達する液状水が、小孔から優先的に排出されるため、電極面側の生成水や凝縮水が排出されやすくなる。
【0015】
更に、請求項5に記載の構成とすると、流路狭窄部に滞留する液体水が小孔から分岐排出されるため、水の排出が促進される。
【0016】
また、請求項6に記載の構成とすると、排出部を囲う壁の撥水性により、排出部で壁からはじかれた水滴が集合して液体水状態となることで、毛細管現象により排出部に水が滞留し易くなる。これにより、排出部からの空気の抜けを防ぐ封止効果が向上する。
【0017】
また、請求項7に記載の構成とすると、排出部に配設された多孔質部材中に水滴が滞留することで、水の排出が許容されながら、空気の抜けが防止される封止効果が生じる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。先ず、図1は、この発明の適用に係る車両用燃料電池システムの構成例を示す。このシステムは、燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に燃料としての水素を供給する燃料供給系(図に2点鎖線で示す)2と、同じく燃料電池スタック1に酸化ガスとしての空気を供給する空気供給系(図に1点鎖線で示す)3と、燃料電池スタック1を含むシステムの所要箇所に主として冷却のために水を供給する水供給系(図に実線で示す)4と、発電負荷としての電気負荷系(図に破線で示す)5から構成されている。
【0019】
燃料電池スタック1は、板状の単電池を板厚方向に多数積層集合させて構成されている。図2に横断面、図3に縦断面を示すように、単電池10は、単位セル10Aとセパレータ10Bとで構成されている。なお、説明の都合上、図2には隣接する単位セルも併せて示し、図3では単位セルの図示は省略されている。単位セル10Aは、固体高分子電解質膜11を空気極12と燃料極13とで挟持したものとされており、セパレータ10Bは、その詳細な構造については後に詳記するが、2枚合わせの薄板金属板14,15の四囲を絶縁体枠16,17で囲った構成とされている。セパレータ10Bには、燃料供給系2の水素供給路20に連通する水素流路L1,L2と、空気供給系3の空気マニホールド34に冷却空間S2を介して連通する空気流路S1が形成されており、燃料電池スタック1は、水素流路L1,L2を水平方向、空気流路S1を垂直方向に向けた姿勢で、空気マニホールド34に接続された収容筐体内に配置されている。
【0020】
燃料供給系2は、水素吸蔵合金を燃料としての水素の貯蔵部21として構成され、該貯蔵部21と燃料電池スタック1をつなぐ水素供給路20の途中に、燃料電池スタック1への供給圧を調節する水素調圧弁23と、供給遮断を制御する水素供給電磁弁24が直列に介挿されている。燃料供給系2に関連して、燃料電池スタック1にはそれから必要に応じて水素を抜くための水素排気路27が設けられ、その途中に、排気路開閉のための水素排気電磁弁29と、外気の吸込みを防ぐ水素排気逆止弁28とが介挿されている。なお、水素供給路20には、水素調圧弁23による調圧前後のガス圧を計測する水素1次圧センサ22及び2次圧センサ25が設けられている。
【0021】
空気供給系3は、外気をフィルタ及びヒータを経て空気マニホールド34に送り込む空気供給ファン31を配置したダクトと、燃料電池スタック1と水素吸蔵合金の貯蔵部21とをつなぐダクトと、貯蔵部21と水凝縮器46とをつなぐダクトと、水凝縮器46からフィルタを経て使用済みの空気を外気に放出する排出路とで構成されている。この空気供給系3には、更に、燃料電池スタック1に供給される空気の温度を必要に応じたヒータ作動のために空気供給ファンの上流側で監視する吸気温度センサ32と、燃料電池スタック1下流のダクトに付設して燃料電池スタック1から排出される空気の温度を監視する排気温度センサ37も設けられている。
【0022】
水供給系4は、水タンク40を中心として、該水タンク40から水噴射ポンプ41により送り出される水を、空気マニホールド34に水噴射ノズル45により供給し、かつ、貯蔵部21の水素吸蔵合金に吸蔵ノズル46により供給し、燃料電池スタック1で回収及び生成された水と、水凝縮器46での凝縮により生じた水を直接水タンク40に戻す循環路で構成されている。循環路の供給側を構成する水噴射ポンプ41から水噴射ノズル45に至る水路の途中には、噴射量を調節する直噴水電磁弁43が介挿され、水噴射ポンプ41の吸込み側にはノズル45の詰りを防止するためのフィルタ42が介挿されている。水噴射ポンプ41から吸蔵ノズル46に至る水路の途中にも同様に噴射量を調節する吸蔵電磁弁47が介挿されている。循環路の回収側は、燃料電池スタック1から水タンク40に戻る水路と、水凝縮器46からポンプ44を経て水タンク40に戻る水路とで構成されている。この水タンク40には、水温センサ47と水位センサ48が設けられ、タンクの水温と水位の監視が可能とされている。
【0023】
燃料電池の電気負荷系5は、燃料電池スタック1からリレー53を経てモータ52制御のためのインバータ51につながる導線で構成されている。このシステムでは、燃料電池装置の空気供給ファン31、水凝縮器46のファン、水噴射ポンプ41、水タンク40の凍結対策ヒータ、各種電磁弁等の付帯設備の駆動電源として、蓄電池からなる2次電池54が設けられており、2次電池54は燃料電池に対して並列に接続されている。この2次電池54は、モータ52の回生電流を蓄積し、また、燃料電池の出力が不足している場合には、出力を補う用途にも用いられる。
【0024】
こうした構成からなる燃料電池システムでは、水素供給電磁弁24を閉じ、図示しない充填路からの水素ガスの供給で水素吸蔵合金への水素の吸蔵が行われる。また、水供給系4への水の供給は、給水電磁弁48を開いて、水タンク40へ水を供給することにより行われる。そして、発電状態では、水素供給電磁弁24を開いて、水素調圧弁23による調圧下で水素吸蔵合金に吸蔵させた水素を燃料電池スタック1に供給する一方、空気供給ファン31を起動させて、空気マニホールド34経由で燃料電池スタック1に空気を送り込む操作が行われる。この発電状態で、必要に応じて連続又は間歇的に水供給系4の水直噴ポンプ41を運転しながら直噴水電磁弁43を開いて水噴射ノズル45から空気マニホールド34内に水を噴射させることで、燃料電池スタック1への供給空気に霧状に水を混入させる操作が行われる。この水は、空気と共に燃料電池スタック1の各セパレータの冷却空間S2の上部開口から冷却空間S2に入り、蒸気化されて空気流路S1を経て各単電池の空気極12側に供給されるものを除き冷却空間S2の排出部を構成する下部開口から筐体下部に排出され、水タンク40に回収される。
【0025】
上記のようにして燃料電池スタック1に送り込まれ、燃料電池スタック1で加熱された空気と水蒸気状態の水は、筐体の下部からダクトを経て水素吸蔵合金の貯蔵部21に入り、水素吸蔵合金を加熱した後、ダクトを経て水凝縮器46に導かれ、乾燥状態の空気と凝縮水とに分けられ、乾燥状態の空気はフィルタ経由で外気に放出され、凝縮水はポンプ44を経て水タンク40に戻る。また、液状のまま燃料電池スタック1を抜けた水は、直接水タンク40に戻る。
【0026】
このシステムの特徴は、燃料電池スタック1における空気流路S1と冷却空間S2とを一本化した流通経路に配置でき、同時に空気と水を流通させることができるので、冷却のための装置を別に設ける必要がない点にある。
【0027】
次に、燃料電池スタック1の各単電池10の単位セル10A間に介挿されるセパレータ10Bの詳細な構成を説明する。図4に構成部材を分解して示すように、セパレータ10Bは、単位セル10Aの空気極12と燃料極13(図2参照)に接触して電流を外部に取り出すための対を成す集電部材14,15と、それらに重ね合わされて単位セル10Aを支持する枠体16,17とを備えている。集電部材14,15は、この形態では、薄板金属板、例えば板厚が0.1mm程度のもので構成されている。この構成金属は、導電性と耐食性を備えた金属で、例えば、ステンレス、ニッケル合金、チタン合金等に耐蝕導電処理を施したもの等が挙げられる。
【0028】
一方の集電部材14は、横長の矩形の板材からなり、プレス加工によって、複数の凸部141が押出し形成されている。これら凸部141は、連続する直線状で、板材の縦辺(図示の形態における短辺)に平行に等間隔で、板面を完全に縦断する配置とされ、下部が板厚方向に押し潰されて偏平化されている。これら凸部141の偏平化部分141’を除く部分の断面形状は、図2では、便宜上大まかに矩形波状断面で示されているが、プレス加工の型抜きの関係から、根元側が若干裾広がりの形状とするのがより実際的である。これら凸部141の間に画定され、単位セル10Aの空気極12に面する側が開いた溝状の空間S1は、後に詳記するように、空気極12側に空気を流通させる空気流路として使用される。各凸部141の頂部142の平面は、空気極12が接触する当接部となっている。また、凸部141の裏側に画定される溝状の空間S2は、同じく後に詳記する冷却空間(本形態では流路)として使用される。そして、これら空気流路S1と冷却空間S2を部分的に連通させるべく、集電部材14を貫通する多数の通孔143が形成されている。これら通孔143の開設位置は任意であるが、凸部141の両側面が常識的である。更に、集電部材14の横辺(図示の形態における長辺)方向の両端部近傍には、縦方向に長い長円孔144が形成されている。この長円孔144は、集電部材14を集電部材15と枠体16,17とに重ねてセパレータ10Bを積層した場合に、これら各部材を整合して貫通する水素流路L1,L2を構成する。
【0029】
他方の集電部材15は、集電部材14と合致する矩形の板材からなり、プレス加工によって、複数の凸部151が押出し形成されている。凸部151は、頂部152が平坦で、断面形状も、先の凸部141の場合と同様に実質上矩形波状とされているが、この形態の場合の凸部151は、縦方向に間欠的に設けられている。すなわち、凸部151は、横方向(長辺方向)の配設ピッチを集電部材14の凸部141の配設ピッチに合わせ、縦方向(短辺方向)の配設ピッチを適宜の間隔とした円形又は矩形の突起とされている。図2における左半分の断面は、これら凸部151の配列部分での截断面を表し、右半分の断面は、配列部分間での截断面を表す。これら凸部151の間に形成される縦横の空間S3は、単位セル10の燃料極13に面する側が開いた面状の空間を構成し、燃料である水素が流通する水素流路とされる。これら凸部151の頂部152の平面は、燃料極13が接触する当接部となっている。また、凸部151の裏側は、集電部材14に面する側が開いた短筒状の空間S4となっていて、集電部材14の空間S2に合わさっており、結果的に冷却空間S2を介して、両端が板材の長辺部に開口する開口部を備える構成となる。この集電部材15にも、集電部材14と同様に長辺方向の両端部近傍に、短辺方向に長い長円孔153が形成され、集電部材14と枠体15,16とに重ねてセパレータ10Bを積層した場合に、これら各部材を整合して貫通する水素流路L1,L2を構成する。この形態において、凸部151を燃料極13に対して小面積で間欠的に当接する短柱状としているのは、これにより柱状の凸部151の間をぬう水素流路S3が縦横に形成され、水素ガスの流れの滞留やよどみを抑制できることを狙ったものである。また、こうすることで、燃料極13に対する水素ガスの接触面積が大きくなるので、発電効率の向上も期待できる。
【0030】
上記の構成からなる集電部材14,15は、各凸部141,151が共に外側となるように重ね合わされて固定される。このとき、凸部141,151を形成していない板面部分、すなわち水素流路S3の裏側面と空気流路S1の裏側面が当接した状態となり、相互に通電可能な状態となる。また、集電部材14,15を重ね合わせることによって、それらの間に、空間S2と空間S4が合わさった冷却空間が形成される。また、単位セル10Aが集電部材14に合わさることで、空間S1の開放面側が閉鎖され、管状の空気流路が構成され、この流路を囲む壁の一部が空気極12で構成されることになる。そしてこの空気流路S1から、単位セル10Aの空気極12に空気と水が供給される。同様に、単位セル10Aが集電部材15に合わさることで、空間S3の開放面側が閉鎖され、面状の水素流路が構成され、この流路を囲む壁の一部が燃料極13で構成されることになる。そしてこの燃料流路S3から、単位セル10Aの燃料極13に水素が供給される。
【0031】
前記の構成からなる集電部材14,15には、枠体16,17がそれぞれ重ねられる。図3及び図4に示すように、集電部材14に重ねられる枠体16は、集電部材14より縦方向が若干大きな形状とされ、両側の縦枠部161を上下の横枠部162,163で連結した構造とされ、これらの枠で囲まれる中央には、集電部材14の凸部141を収納する窓164が画定されている。また、この枠体16にも、その両端部近傍に、集電部材14の長円孔144に合致する位置及び形状の長円孔165が形成されている。枠体16の横枠部162,163と、これらが連結される部分の縦枠部161は、縦枠部161全体の厚さより薄肉とされ、これらの肉厚の関係から、集電部材14が重ねられる側の面の横枠部162,163は、集電部材14の凸部形成範囲に対応する位置で、短辺方向全体に渡って集電部材14との当接面より後退した面を形成している。したがって、枠体16が集電部材14に重ねられた状態では、集電部材14の凸部141は、窓164内では単位セル10Aの空気極12に接触し、横枠部162,163に対峙する部分では、それらに当接する関係となる。かくして、集電部材14と枠体16との間には、上部で集電部材14の凸部141と横枠部162の内側面、窓164部で集電部材14の凸部141と単位セル10Aの空気極12面、下部で集電部材14の凸部141と横枠部163の内側面で囲われた多数の管状空間として、縦方向に全通する空気流路が画定される。
【0032】
集電部材15に重ねられる枠体17も、枠体16と同じ大きさに構成され、この場合、本体部分170には、窓171より横方向に大きな開口が形成されている。この開口の高さは、窓171の高さを画定するが、開口の幅は、集電部材15の両端の長円孔153の外端間の幅に合致する幅とされている。そして、この開口の幅方向両端の近傍に、一対の縦枠部172が設けられている。この両縦枠部172に挟まれる幅が窓171の横幅を画定し、両縦枠部172と本体部分170の開口の幅とで画定される幅が、集電部材15の両端の長円孔153の横幅に合致する寸法とされ、実質的に長円孔153の位置と形状に合致する長孔173が構成されている。縦枠部172は、本体部分170より薄肉とされ、これらの肉厚の関係から、集電部材15が重ねられる側の面の縦枠部172が設けられた位置で、集電部材15の凸部151の高さに相当する分だけ、当接面より後退した面を形成している。したがって、枠体17が集電部材15に重ねられた状態では、集電部材15の凸部151は、縦枠部172では縦枠部172に当接し、窓171内では単位セル10Aの燃料極13に接触する当接関係となる。このようにして長孔173に挟まれる部分には、凸部151をぬうように一様に形成された面状の水素流路S3が構成される。
【0033】
更に図面上には表れていない細部構成について説明すると、望ましくは、冷却空間S2を構成する流路の断面積を上辺側から下辺側に向かうにしたがって順次小さくなる設定とする。こうした構成を採ることで、冷却空間S1から空気流路S2に流れる空気の圧力損失を低減することができる。こうした流路構成は、集電部材14の凸部141の高さあるいは幅又はそれら両方を適宜設定することで実現できる。
【0034】
また、空気流路S1及び冷却空間S2の内壁面には、必要に応じて親水性処理が施される。この処理は、具体的には、内壁表面と水の接触角が40°以下、好ましくは30°以下となるような表面処理とされる。処理方法としては、親水処理剤を、表面に塗布する方法が採られる。塗布される処理剤としては、ポリアクリルアミド、ポリウレタン系樹脂、酸化チタン(TiO2)等が挙げられる。この他の親水性処理としては、金属表面の粗さを粗化する処理が挙げられる。例えば、プラズマ処理などがその例である。親水性処理は、最も温度が高くなる部位に施すことが好ましく、例えば、単位セル10Aに接触している凸部141の頂部142の裏側の冷却空間内壁表面F1、凸部141表側の空気流路側壁表面F2と裏側の冷却空間側壁表面F3、空気流路底面F4の順で、優先的に処理されていることが望ましい。さらに、冷却空間S2の一部を構成する凸部151の内壁表面F5にも親水性処理を施してもよい。親水性処理を施すことにより、内壁面の濡れが促進され、水の潜熱冷却による効果が向上する。
【0035】
以上のように構成された枠体16,17によって集電部材14,15を保持してセパレータ10Bが構成され、セパレータ10Bと単位セル10Aを交互に積層して、燃料電池スタック1が構成される。こうして積層された燃料電池スタック1の上面には、図2に示すように、多数の空気流路S1の開口と、冷却空間S2の開口が交互に隣接して横方向に並び、枠体17と枠体16の横枠部162の厚さを合わせた分の間隔を置いて、同配列の開口が積層方向に並んだ空気と水の取入れ部が構成される。また、燃料電池スタック1の下面にも、同様の配列の空気と水の排出部が構成される。
【0036】
本発明の主題に係る構成は、この水の排出部に適用されている。図5に示す単電池の下部部分横断面を参照して、冷却空間S2の排出部に、該排出部に溜まる液体水を緩徐に排出する排出規制手段が設けられている。この排出規制手段は、排出部を液体水により封止して空気の排出を妨げるものである。この形態では、排出規制手段は、冷却空間S2の排出部を構成する流路の断面積を、所定の長さに渡って狭窄させた流路狭窄部S2’とされている。図示の流路狭窄部S2’は、流路構成部材が薄板金属板のプレス品であることから、プレス成形された凸部141を、凸部の内側に所定の空間が残る程度に板面方向に押し潰して偏平化部分141’することで形成されている。
【0037】
こうした構成からなる燃料電池スタックは、その各単電池に空気と水及び水素を供給することで、図6に模式化して示すように作動する。この形態の場合、空気と水は、スタックの上面から一様に供給されることから、空気流路S1には直接水が入らないように、空気流路S1の開口部は蓋18で閉栓されているものとする。なお、空気流路S1と冷却空間S2に分離した供給を行なう形式では、空気流路S1側には空気のみが供給されるようにすれば、必ずしも空気流路S1の閉栓は必要としない。図示のように、冷却空間S2に供給される空気と水は、空気流中に水滴が霧状に混入した状態(以下この状態を混合流という)で冷却空間の上部に入る。燃料電池の定常運転状態では、単位セル10Aが反応により発熱しているため、冷却空間S2内の混合流が加熱される。混合流中の水滴は、親水性処理により冷却空間S2壁面に付着し、加熱により蒸発して壁面から熱を奪う潜熱冷却作用が生じる。こうして蒸気となった水は、図に網掛けの矢印で示すように、通孔143から図に白抜き矢印で流れを示す空気と共に空気流路S1に入り、単位セル10Aの空気極12側に付着し、空気極12を湿潤させる。そして、空気流路S1に入った余剰の空気と蒸気は、燃料電池スタックの下方の空気流路S1の下部開口から排出される。
【0038】
これに対して、空気流路S1に入らなかった空気と水は、そのままでは燃料電池スタックの下方の冷却空間S2の下部開口から排出されることになるが、本発明に従う流路狭窄部S2’の作用で、壁を伝って流下する液体水状態の水が流路狭窄部に至って滞留することで毛細管現象により流路を塞ぐ現象が生じ、この水が冷却空間S2からの空気の直接の排出を妨げる作用をする。したがって、冷却空間S2に供給された空気は、実質上全て空気流路S1に送り込まれてから、空気流路を経て燃料電池スタックから排出されるようになる。
【0039】
次に示す図7は、流路狭窄部S2’の流路断面と長さの関係を模式化して示す。この場合、流路狭窄部に溜まる液滴の幅をw〔m〕、厚さをd〔m〕、高さをh〔m〕、水の表面張力をγ〔N/m〕、密度をρ〔kg/m3 〕、重力の加速度をg〔m/s2 〕とすると、液滴にかかる重力はdwhρgとなり、流路内で液滴を引上げる力は2(d+w)γとなることから、
dwhρg=2(d+w)γ
の関係を成立させるべく、液滴の幅、厚さ、高さを画定する流路の幅、深さ及び長さを上記の式に沿って設定することで、水を滞留させ、ここからの空気の排出を防ぐことができる。具体的には、流路の幅wは燃料電池スタックの仕様により自ずと定まり、流路の長さHは液滴の高さhに対して十分大きい関係にあることから、流路の深さdが実質的な設定に当っての主要な要素となる。
【0040】
一方、燃料流路S3への水素の供給は、各単電池10の両側をそれらの積層方向に貫く水素流路L1,L2(図2参照)の一方から、縦枠部172と凸部151の間の空間を通して、それにつながる燃料流路S3から行なわれる。これにより単位セル10Aの燃料極13への水素の供給が行なわれる。この燃料極13側では、燃料流路S3に入った余剰の水素は、反対側の水素流路に排出され、この水素流路につながるシステムの配管により排出又は回収される。
【0041】
前記のような作用から、この形態の場合、空気流路S1には、霧状の水滴がそのまま空気流に乗って入り込むことがないので、プレス加工により形成されるような極細い空気流路S1によっても、水滴により空気流の流れが閉塞される恐れがなくなる利点が得られる。また、空気流路S1と冷却空間S2は、電極面に沿って交互に平行に配置され、相互に凸部141の側壁を挟んで隣接した構成となっており、空気と水は、側壁に沿って流れるため、側壁は、冷却フィンとしての作用も発揮する。このように空気流路S1と冷却空間S2が交互に、かつ平行に配置されることで、燃料電池の冷却効率が向上し、均一な冷却が可能となる。
【0042】
ところで、セパレータ10Bを薄く構成し、凸状部141の内側に空間を設けると、発熱している単位セル10Aに接触している部分と、単位セル10Aから離れた部分との間の温度差が大きくなる。このため、空気流路S1内においても、飽和状態となるために必要な水蒸気量について、部分的に差が生じる。例えば、温度の高い電極側の部分が、電極から離れた部分よりも、飽和状態となるための水蒸気量を、より多く必要とする。このような温度差は、空気極12の乾燥を招く恐れがある。これに対して、本形態によると、前記空間を冷却空間S2とすることによって、セパレータ10B全体を均一に冷却することにより、部分的な温度差の発生を抑制し、空気流路S1内を均一に飽和状態に保つことができ、結果として、空気極12を湿潤状態に維持することができる。
【0043】
また、この形態では、セパレータ10Bの上部開口から流入した空気と水は、冷却空間S2側で主として潜熱冷却により集電部材14,15を冷却するが、この潜熱冷却が生じる部分は、空気流路S1により隔てられるものではなく、集電部材14,15が直接電極に接する部分の裏側となる。したがって、冷却空間S2では、両凸部141,151の頂部142,152が電極に最も近く、熱を受けるところであるのに対して、その部分が直接冷却されるため、この部分を効率よく冷却することができる。また、凸部151は冷却空間S2の一部を構成しているので、燃料極13に接触している当接面についても、同じ冷却空間である凸部151の裏側から直接冷却することができ、燃料極13を冷却するための格別の流路を別途設ける必要をなくす冷却流路の単純化も実現している。
【0044】
以上説明した、集電部材14,15の凸部141,151は、いずれかも等間隔に設けられ、したがって、空気流路S1、冷却空間S2や燃料流路S3ともに均一な等間隔配置となっているが、このような構成に限らず、空気や水素の流れる分布等に応じて適宜配置間隔を変更してもよい。また、これら空気流路S1や燃料流路S3の配置方向も、気体の流れる向きに沿って、放射方向配置するなど、任意の方向に変更してもよい。例えば、噴射ノズルから水を供給する場合には、噴射ノズルの噴出し口を中心として、放射方向に水が噴射されるから、その噴射方向に沿って、ノズルの先端を放射の中心とした場合の放射方向に沿って凸部141を配置してもよい。あるいは、噴射ノズルに近い位置では、凸部141の間隔を狭く(空気流路の幅を狭く)、噴射ノズルから離れた位置の間隔を広く(空気流路の幅を広く)した構成としてもよい。
【0045】
次に図8に示す排出部構造は、過剰に供給された水を、特に電極面に接する側から排出するようにした第2実施形態を模式化して縦断面で示す。この形態における排出部は、前記第1実施形態と同様の流路狭窄部S2’と空気極12との間に、流路狭窄部とは並列に冷却空間S2の排出部に開設された小孔146を備える。この形態は、先に示したプレス品からなるセパレータ構造で具体化する場合、図9に縦断面構造を示すように、凸状部141とその押し潰しにより形成される偏平化部分141’で囲われる流路狭窄部S2’との間の傾斜部に、連通孔143より孔径の小さな小孔146を形成することで実現できる。その余の部分の構成は、先の第1実施形態と同様であるので、対応する部分に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0046】
この第2実施形態によると、冷却空間S2の排出部からの空気の直抜けを防ぎながら、電極面側の生成水や凝縮水が排出されやすくなるため、過剰水が滞留し過ぎて通孔143から空気流路S1側に流出するのを防ぐことができる。
【0047】
次に図10に示す排出部構造は、先の第1実施形態に対して、滞留する水の高さを低くして、流路狭窄部S2’をよりコンパクト化した第3実施形態を模式化して縦断面で示す。この形態においては、流路狭窄部S2’を囲う壁に液体水を分岐排出する小孔147が形成された構成が採られている。この構成を先に示したプレス品からなるセパレータ構造で具体化する場合、図11に縦断面構造を示すように、凸状部141の押し潰しにより形成される偏平化部分141’で囲われる流路狭窄部S2’に、連通孔143より孔径の小さな小孔147を1個又は複数個縦並びに形成する構造となる。この形態の場合もその余の部分の構成は、先の第1実施形態と同様であるので、対応する部分に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0048】
この第3実施形態による場合も、冷却空間S2の排出部からの空気の直抜けを防ぎながら、過剰水が滞留し過ぎて連通孔143から流出するのを防ぐことができる。更に、この形態によると、流路狭窄部S2’の縦方向長さを短縮して排出部をコンパクト化することができる。
【0049】
以上の各実施形態は、いずれも流路狭窄部S2’の形成を基本とするものであるが、本発明の主題に係る冷却空間に滞留する水による排出部の閉栓機能は、他の構成によっても達成することができる。次の図12を参照する第4実施形態は、排出部に水の排出を遅延させる排出規制手段として、別物質を配した例である。この形態では、排出規制手段は、排出部を構成する流路に配設された詰め物としての連続気泡性多孔質部材148で構成される。この構成を先に示したプレス品からなるセパレータ構造で具体化する場合、先の実施形態における凸部141はその断面形状を保ったまま、下端面まで達する構成とされ、冷却空間S2の最下部に連続気泡性多孔質部材148が詰められた構造となる。
【0050】
この第4実施形態による場合、水が多孔質部材148の気孔部分に保持されて流路断面いっぱいに溜まるため、それにより空気の閉栓効果が生じ、水だけが重力により排出される。したがって、この形態による場合も、冷却空間S2の排出部からの空気の直抜けを防ぎながら、過剰水が滞留し過ぎて連通孔から流出するのを防ぐことができる。
【0051】
最後に示す第5実施形態は、これまでの実施形態のように構造的な排出規制手段を用いずに、水を滞留させる例を示す。この形態では、排出規制手段は、先の実施形態における凸部141の裏側における排出部を囲う壁の表面の撥水性を高めることで構成される。図13は、この形態の排出規制手段を模式化した縦断面で示す。この場合、冷却空間S2の他の部分の壁面F1が未処理又は親水性処理とされるのに対して、冷却空間S2の排出規制手段とすべき下方部分の壁面F1’に撥水処理が施されている。この形態は、水の粘性、温度、冷却空間の断面積、断面形状にもよるが、流路が細い場合には成立するもので、セパレータを構成する部材の表面処理のみにより成立するため、極めて単純な構成により実現できる利点がある。
【0052】
以上、本発明の理解のために実施形態を例示したが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で、種々に具体的構成を変更して実施可能なものである。
【0053】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の構成によれば、冷却空間の排出部に設けられた排出規制手段を通して排出される水が、排出部に一旦液状水として滞留するため、この液状水が冷却空間に供給された空気の直接的な抜けを妨げる閉栓機能を果たし、これにより冷却空間からの空気の直抜けによるロスが低減する。
【0054】
また、請求項2に記載の発明によれば、冷却空間に供給される空気の冷却空間からの直接の抜けが実質上なくなることで、空気が全て連通孔から空気流路に流れるようになり、空気流路への空気の供給が促進されるため、供給空気量に対する全量が空気極に供給され、燃料電池の発電効率が向上する。また、空気流路からの空気の排出も促進されるため、空気極側に生じて反応を妨げる要因となる余剰の反応生成水や凝縮水の空気流による排出も促進され、これによっても燃料電池の発電効率が向上する。
【0055】
更に、請求項3に記載の発明によれば、冷却空間の排出部が狭窄されることで、その分だけ隣接する空気流路の排出部を拡大することができるため、特に薄肉化されたセパレータにおいても、電極面側の生成水や凝縮水が排出されやすくなる。また、セパレータを金属板のプレス加工品とする場合に、格別の加工工数を要しない簡単な加工で排出規制手段を形成することができるため、製造コストの低減にもつながる。
【0056】
また、請求項4に記載の構成によれば、排出部に溜まる水の量が多い場合に、空気極に接する側の冷却空間の壁を伝って排出部に達する液状水が、小孔から優先的に排出されるため、電極面側の生成水や凝縮水が排出されやすくなる。
【0057】
次に、請求項5に記載の構成によれば、排出部に溜まる水の量が多い場合に、滞留する水による空気封止効果を維持しながら、水の排出を促進することができるため、排出規制手段のコンパクト化が可能となる。また、この構成によると、小孔の数、孔径の設定による排出速度の微細な調節が容易となる。
【0058】
また、請求項6に記載の構成によれば、排出部を囲う壁の表面処理のみにより空気封止機能が生じ、流路の形状、孔加工等の機械的加工を伴わない構造であるため、排出部の断面積が小さい場合に採用して特に有効なものとなる。
【0059】
更に、請求項7に記載の構成によれば、多孔質部材の保水性を利用した空気封止機能が生じるため、流路の形状等の機械的加工を伴わない構造で、しかも排出部の断面積が大きい場合でも安定した空気封止効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係る燃料電池システムの構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る単電池の部分横断面図である。
【図3】第1実施形態の単電池の縦断面図である。
【図4】第1実施形態の単電池を構成するセパレータの分解斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る単電池を下方から見て排出規制手段の構成を示す部分横断面図である。
【図6】第1実施形態のセパレータによる冷却と排水のメカニズムを示す模式図である。
【図7】第1実施形態の冷却空間の排出規制手段を示す模式斜視図である。
【図8】第2実施形態の排出規制手段による排水メカニズムを示す模式図である。
【図9】第2実施形態に係る燃料電池を構成する単電池の部分縦断面図である。
【図10】第3実施形態のセパレータによる排水メカニズムを示す模式図である。
【図11】第3実施形態に係る燃料電池を構成する単電池の部分縦断面図である。
【図12】第4実施形態のセパレータの排出部構造を排水メカニズムと共に示す模式図である。
【図13】第5実施形態のセパレータの排出部構造を排水メカニズムと共に示す模式図である。
【符号の説明】
S1 空気流路
S2 冷却空間(冷却手段)
S2’ 流路狭窄部(排出規制手段)
10A 単位セル
10B セパレータ
12 空気極
143 連通孔
146,147 小孔
148 連続気泡性多孔質部材(排出規制手段)

Claims (7)

  1. 互いに隣接する単位セルの間にセパレータが配置される燃料電池において、
    前記セパレータは、単位セルの少なくとも空気極に接する表面側に設けられた空気流路と、背面側に設けられて空気と水とを供給される冷却空間とからなり、該冷却空間に伝わる単位セルの熱により蒸発する水の潜熱により単位セルを冷却する冷却手段を備えると共に、
    前記冷却空間の排出部に、該排出部に溜まる液体水を緩徐に排出する排出規制手段を備えることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記冷却空間は、連通孔を介して空気流路に連通され、前記排出規制手段は、前記排出部を液体水により封止して空気の排出を妨げるものである、請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記排出規制手段は、前記排出部を構成する流路の断面積を、所定の長さに渡って狭窄させた流路狭窄部である、請求項1又は2記載の燃料電池。
  4. 前記排出部は、前記排出規制手段と小孔を備え、該小孔は、前記流路狭窄部と前記空気極との間に形成されている、請求項3記載の燃料電池。
  5. 前記流路狭窄部に液体水を分岐排出する小孔が形成された、請求項3又は4記載の燃料電池。
  6. 前記排出規制手段は、前記排出部を囲う壁の撥水性を高めたものである、請求項1又は2記載の燃料電池。
  7. 前記排出規制手段は、前記排出部を構成する流路に配設された連続気泡性多孔質部材である、請求項1又は2記載の燃料電池。
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