JP3965912B2 - 電子制御式機械時計の回転周期測定装置および測定方法 - Google Patents

電子制御式機械時計の回転周期測定装置および測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼンマイ等の機械的エネルギ源の機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機の回転速度を制御することにより、輪列等の駆動力伝達手段に固定される指針等の時刻表示手段に正確な時刻を表示させる電子制御式機械時計について、その発電機のロータの回転周期を測定する電子制御式機械時計の回転周期測定装置および測定方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、温度等の環境条件が変化しても、所定の周波数で安定して発振する水晶振動子を含んだ発振回路が設けられ、この発振回路が発生するパルスでステップモータを駆動するクオーツ式時計が利用されている。
このようなクオーツ式時計によれば、テンプや振り子の振動を利用した機械式時計に比べて、時刻表示精度を著しく向上することができる。
クオーツ式時計のステップモータのコイルには、1秒毎に電流が流れるので、クオーツ式時計では、精度を検査するにあたり、ステップモータのコイルに電流が流れる際に、ステップモータから漏れる磁束を検出し、この磁束に基づいて歩度測定を行うことができる。
【0003】
一方、指針が結合された輪列を介してゼンマイと発電機とを連結し、ゼンマイが発生する機械的エネルギで発電機を駆動し、この発電機が発生する電力で電子回路を駆動し、発電機のロータが所定の回転速度で回転するように、水晶振動子を含む電子回路で発電機を制御し、高精度な時刻表示を可能にした電子制御式機械時計が知られている(特公平7−119812号公報、特開平8−50186号公報参照)。
このような電子制御式機械時計では、指針を動かすステップモータが存在しないため、ステップモータから漏れる磁束を検出することで歩度測定を行うことができない。
【0004】
このため、電子制御式機械時計の歩度測定は、高速度ビデオカメラを利用して行われている。
すなわち、時計のケースからムーブメントを取り出し、発電機のロータを露出させるとともに、発電機のロータに目印を付け、この状態で、ムーブメントを作動させ、回転しているロータを高速度ビデオカメラで撮影する。そして、撮影された画像の各コマにおける目印の回転角度位置と、ビデオカメラのコマ送りの速度とから、ロータの回転周期を算出している。
ここで、デジタルビデオカメラでロータを撮影すれば、撮った画像をコンピュータで画像処理することにより、ロータの回転周期を自動的に算出することができる。
例えば、ビデオカメラのコマ送りの速度をコンピュータで自動制御し、各コマにおける目印の回転角度位置が常に同じ位置となるようにコマ送り速度を調節すれば、ロータの回転とコマ送りとが同期した状態となるので、コマ送り速度からロータの回転周期を容易に自動算出できる。
【0005】
一方、完成品となった電子制御式機械時計は、ムーブメントがケースに収納され、ロータが隠蔽されてしまうので、文字盤を高速度ビデオカメラで撮影する等により、秒針の回転速度を検出し、秒針の回転速度からロータの回転周期を算出している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように高速度ビデオカメラで撮影した画像に基づいて、ロータの回転周期を測定する測定装置では、測定の精度を向上しようとすると、ビデオカメラのコマ送りの速度を上げる必要があり、コマ送りの速度を上げると、画像が暗くなるので、照明を明るくする必要も生じる。
このため、測定精度を向上しようとすると、照明装置が発生する熱線が増大し、時計およびその水晶振動子が加熱され、水晶振動子により発生する時計の基準信号の周期が狂ってしまうので、測定装置側の精度は上がっても、正確な測定が行えないという問題がある。
この問題を解決するために、時計、高速度ビデオカメラおよび照明装置を恒温槽内に入れて測定を行うことが考えられるが、測定が大がかりになるうえ、恒温槽の外から操作を行うようにすると、測定装置の取り扱いが煩雑となるという問題が生じる。
【0007】
なお、上述のような測定装置では、単にロータの回転周期を瞬間的に測定するだけなので、ロータや秒針の回転にムラがある場合に、その原因が、発電機を制御する電子回路が不調である等の電気系のものなのか、あるいは、ゼンマイと発電機との間の輪列を構成する各歯車の形状に誤差がある等の機械系のものなのか、判別することができないという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、測定が大がかりにならず、かつ、その取り扱いが容易に行え、測定精度が向上する電子制御式機械時計の回転周期測定装置および測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明は、機械的なエネルギを供給する機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源の駆動力で電力を発生する発電機と、前記機械的エネルギ源の駆動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、この駆動力伝達手段に結合された時刻表示手段と、前記発電機のロータの回転速度を制御する回転制御手段とを備えた電子制御式機械時計の回転周期測定装置であって、図2に示されるように、前記発電機の前記ロータの回転により発生するとともに、前記電子制御式機械時計から漏れる磁束を検出し、当該磁束に応じた電気信号を出力する磁束検出手段、前記磁束検出手段から出力される電気信号を増幅する第1増幅手段、および、前記第1増幅手段が増幅した電気信号のうち、前記ロータの回転速度を制御するために前記回転制御手段が発する制動電流による成分を除去する第1低域フィルタを有するロータ回転数検出部と、前記ロータ回転数検出部の出力信号に基づき前記ロータの回転周波数を測定する周波数測定部とを備え、前記周波数測定部には、前記発電機の出力を直接入力するために、当該発電機の出力レベルと同程度のレベルの信号が入力可能となった信号入力部が設けられ、前記ロータ回転数検出部には、前記第1低域フィルタから出力される信号を、前記発電機の出力レベルまで増幅する第2増幅手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
このような本第1発明では、電子制御式機械時計から漏れる磁束を磁束検出手段で検出し、当該磁束に基づいてロータの回転周期を測定するので、測定精度の向上には、照明の明暗が関係なく、時計の基準信号の周期が狂う程の強い熱線を発生する強力な照明装置が不要となり、測定が完了するまで、時計を正常な状態に保つことが可能となる。
このため、測定精度を向上するために、恒温槽内に時計を入れて測定を行う必要がないので、測定装置全体が大がかりにならないうえ、測定装置の取り扱いが容易となる。
ここで、発電機のロータが回転すると、その回転に応じた磁束が発生するので、ロータが発生する磁束をより正確に検出すれば、ロータ回転周期測定の測定精度の向上が図れるようになる。
一方、発電機のコイルの周辺には、回転制御手段からの制動電流に応じた磁束も含まれている。この制動電流に応じた磁束は、ロータの回転に応じた磁束よりも周期が著しく短いものとなっている。
そこで、上述のように、電子制御式機械時計から漏れる磁束を磁束検出手段で検出し、検出した磁束から制動電流に応じた分を第1低域フィルタで除去するようにすれば、回転周期が正確に測定されるようになり、ロータの回転周期の測定精度が向上するうえ、漏れる磁束が検出できる位置に、磁束検出手段を配置すれば、ロータの回転周期が測定できるので、時計と測定装置とを電気的に直接接続する必要がなくなり、時計のムーブメントがケースに収納された完成品についても測定が容易に行える。
【0011】
また、前記周波数測定部には、前記発電機の出力を直接入力するために、当該発電機の出力レベルと同程度のレベルの信号が入力可能となった信号入力部が設けられ、前記ロータ回転数検出部には、前記第1低域フィルタから出力される信号を、前記発電機の出力レベルまで増幅する第2増幅手段が設けられている。
このため、発電機の出力を直接入力して、ロータの回転周期が測定できるので、時計と磁気的に接続した状態での測定だけでなく、時計と電気的に直接接続された状態でも測定が可能となり、時計のムーブメントが露出し、電気的な接続が容易な場合には、磁束検出手段と時計との位置関係や増幅器のゲイン調整が微妙な磁気的接続を選択せずに、より簡単に行える電気的接続が選択でき、ロータの回転周期測定の便宜が図れるようになる。
【0012】
また、前述の回転周期測定装置において、前記第1増幅手段および前記第2増幅手段の少なくとも一方には、その増幅率を調節する調節手段が設けられていることが望ましい。
なお、図1においては、第2増幅手段に調節手段が設けられているが、調節手段は、第1増幅手段に設けてもよいし、第1増幅手段および第2増幅手段の両方に設けてもよい。ここで、第1増幅手段および第2増幅手段の両方に調節手段が設ける場合には、一方の調節手段をメインあるいは粗調整用、他方の調節手段をサブあるいは微調整用にする等、機能分担しておくことが好ましい。
このようにすれば、時計のケースとして、耐磁性能が異なる様々なものがあり、ケースの耐磁性能により、磁束検出手段で検出された漏れ磁束のレベルが大きく相違していても、増幅率を調節する調節手段により、周波数測定部に入力するのに適したレベルに調節することが可能となり、この点からも、ロータの回転周期測定の便宜が図れるようになる。
【0013】
さらに、前述の回転周期測定装置において、前記信号入力部には、前記周波数測定部から前記発電機への電気的な干渉を防止する干渉防止手段と、グランドノイズを除去する第2低域フィルタとが設けられていることが好ましい。
このようにすれば、周波数測定部から発電機への電流の逆流等が生じなくなるので、発電機と電気的に接続しても、発電機のロータの回転速度乱れが防止されるようになる。
また、グランドノイズを除去する第2低域フィルタを設けたので、第2低域フィルタの後段に第3増幅手段を設け、この第3増幅手段で増幅しても、測定の誤差の原因となりうる雑音の周波数測定部への入力が防止される。
これにより、ロータの回転速度乱れ、および、雑音の入力が防止されるようになるので、ロータの回転速度の測定がより正確に行え、この点からも、測定精度の向上が図れる。
【0014】
また、前述のような回転周期測定装置において、前記発電機の出力波形は、正弦波状のものであり、前記信号入力部は、正弦波状信号を矩形波に整形する波形整形手段と、この波形整形手段から出力される矩形波信号を、デジタルロジック回路のトリガー信号に変換する信号変換手段とを備え、前記ロータの回転に応じたトリガー信号を出力するものとされ、前記周波数測定部には、周波数測定の基準となるクロックパルスを発振するクロックパルス発振手段と、前記クロックパルスが入力されて当該クロックパルスを計数するカウンタと、前記信号入力部が前記トリガー信号を出力する毎に、前記カウンタの計数値を読み取るとともに、前回および今回の計数値を保持する計数値保持手段と、この計数値保持手段の前回および今回の計数値の差から前記ロータの回転周波数を算出する周波数算出手段とが設けられていることが望ましい。
このようにすれば、クロックパルス発振手段として、一定の周波数で安定して発振動作する水晶発振器が採用可能となり、このようなクロックパルス発振手段からのクロックパルスの計数を、ロータの一回転に対応して遅滞なく行えば、ロータの回転周波数の算出が正確に行えるようになる。
ここで、信号変換手段が、波形整形手段からの矩形波信号をトリガー信号に変換するので、TTL回路等のデジタルロジック回路を遅滞なく駆動させることが可能となり、ロータの回転速度の測定において、計時の開始および完了のタイミングに遅れが生じなくなるので、クロックパルスの計数が、ロータの一回転に対応して遅滞なく行えるようになり、ロータの回転周期の測定が正確に行え、この点からも、測定精度の向上が図れる。
【0015】
前述の回転周期測定装置において、前記周波数算出手段がパーソナルコンピュータを含んで構成されていることが好ましい。
このように、パーソナルコンピュータを含んで周波数算出手段を構成すれば、長時間にわたって、ロータの回転速度の測定が行えるようになり、例えば、60秒周期、60分周期、あるいは、12時間周期でロータの回転速度に大きなムラがある場合には、そのムラの原因が、駆動力伝達手段、例えば、輪列を構成する歯車の形状誤差であることが分かり、不具合の特定がより容易になる。
【0017】
また、本発明の電子制御式機械時計の回転周期測定方法は、前記第1発明に係る回転周期測定装置を用いた電子制御式機械時計の回転周期測定方法であって、前記時計のムーブメントがケースに収納されているときには、前記磁束検出手段を前記時計に装着した後、前記磁束検出手段で前記ロータの回転速度を検出し、前記時計のムーブメントが露出しているときには、前記磁束検出手段との接続を解除するとともに、前記発電機の出力を前記信号入力部に接続した後、前記発電機の出力から前記ロータの回転速度を検出することを特徴とする。
このような本発明では、ムーブメントが露出しているか、あるいは、ケース内に隠蔽されているかに応じて、電気的接続および磁気的接続のうち、より適切な接続で時計と測定装置とを接続でき、ロータの回転周期測定の便宜が図れるようになる。
また、磁気的接続で測定を行うにあたり、測定環境に磁束検出手段が拾ってしまう低周波の磁界が存在していても、磁束検出手段との接続を解除するので、当該低周波の磁界に影響を受けることがなく、正確な測定が行える。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図2には、本実施形態に係る電子制御式機械時計である腕時計1と、この腕時計1に内蔵される発電機のロータの回転周期を測定する回転周期測定装置2とが示されている。ここでは、まず、腕時計1についての説明を行った後、回転周期測定装置2についての説明を行う。
【0019】
図3には、腕時計1の概略構造が示されている。図3において、腕時計1は、機械的エネルギを供給する機械的エネルギー源であるゼンマイ11を備えた香箱10と、ゼンマイ11の駆動力で電力を発生する発電機20と、ゼンマイ11を自動的に巻き上げる自動巻き上げ機構30と、ゼンマイ11の駆動力を発電機20に伝達する駆動力伝達手段としての輪列40と、発電機20のロータ21の回転速度を制御する回転制御手段である制御回路50とを備えたものとなっている。
香箱10は、ゼンマイ11の内端が固定される香箱真12と、この香箱真12に固定された角穴車13と、輪列40と係合する香箱車14とを備えたものとなっている。このうち、角穴車13は、図示しない丸穴車、自動巻き上げ機構30およびコハゼ15に係合しており、コハゼ15との係合により、逆回転しないようになっている。
【0020】
自動巻き上げ機構30は、時計方向および反時計方向の両方向について回転自在に設けられた回転錘31と、この回転錘31および角穴車13の間に設けられた切換車32,33および伝エ車34とを備えたものとなっている。
切換車32は、伝エ車34に対して、回転錘31から伝達される回転駆動力のうち、回転錘31の時計方向の回転駆動力のみを伝達するものである。また、この切換車32は、切換車33に対しては、時計方向および反時計方向の両方向の回転駆動力を等速度で伝達するようになっている。
切換車33は、切換車32から伝達される回転駆動力のうち、切換車32の時計方向の回転駆動力、すなわち、回転錘31の反時計方向の回転駆動力のみを伝達するものである。
伝エ車34は、切換車32,33により時計方向にのみ回転駆動されるようになっている。そして、このような自動巻き上げ機構30により、回転錘31が時計方向および反時計方向のいずれの方向に回転しても、その回転駆動力で、ゼンマイ11が自動的に巻き上げられるようになっている。
なお、丸穴車は、図示しない巻真に係合しており、これにより、巻真の先端に設けられた竜頭を手動で回転操作すると、ゼンマイ11が巻き上げられるようになっている。
【0021】
輪列40は、二番車42および五番車45の二つの歯車で香箱車14の回転駆動力を増速して発電機20のロータ21に伝達するものである。これらの歯車42, 45には、発電効率の良好な回転数で発電機20のロータ21を回転させるための増速比が設定されている。
また、二番車42には、三番車43が係合している。この三番車43には、二番車42と同軸位置に設けられるとともに、二番車42とは別個に回転する四番車44が係合している。これにより、二番車42の回転駆動力が増速されて四番車44に伝達されるようになっている。二番車42の回転軸には、時針47が設けられ、四番車44の回転軸には、分針49が設けられている。
これらの時針47および分針49は、時刻表示手段であり、この時刻表示手段は、時刻を示す数字等が刻まれた、図示しない文字板を含んでいる。
【0022】
発電機20は、略環状に形成されるとともに、中間部分にコイル22が巻かれたステータ23を備え、ステータ23のギャップの間に、永久磁石からなるロータ21を回転自在に設けた交流発電機である。
ここで、発電機20が効率よく発電できるように、ロータ21の回転数、ロータ21とステータ23とのギャップの寸法、ロータ21を形成する永久磁石の材質、コイル22の巻線の太さや巻き数が適宜設定されている。
【0023】
制御回路50は、発電機20のコイル22に流す制動電流を発生し、この制動電流でロータ21に電磁ブレーキ力を加わえるものとなっている。
この制御回路50には、ダイオードおよび平滑コンデンサからなる整流回路51と、コイル22に流れる電流を調節するための電流調節回路52と、発電機20のロータ21の回転数に応じた所定の制御信号を、電流調節回路52へ出力する回転数制御回路53とが設けられている。なお、整流回路51および電流調節回路52は、発電機20のコイル22の両端に並列に接続されている。そして、発電機20で得られた交流電力は、整流回路51で直流電力に変換され、この直流電力が回転数制御回路53に供給されている。
なお、制動電流の周波数は、百数十Hz程度のものとなっている。
【0024】
電流調節回路52は、トランジスタ等のスイッチング素子と直流抵抗とを直列に接続したものであり、スイッチング素子のON−OFF動作を高速で繰り返させ、OFF時間に対するON時間を調節するようになっている。これにより、制御回路50は、発電機20のコイル22に流れる制動電流を加減し、ロータ21に加わる電磁ブレーキの制動力を微妙に調節するものとなっている。
【0025】
回転数制御回路53は、常に安定した周波数で発振する図示しない水晶発振器により得られる基準信号と、発電機20の交流出力電圧に基づいて検出したロータ21の回転数とを比較し、その差に基づいて算出した制御信号を電流調節回路52へ出力することにより、ロータ21が所定の回転数で回転するように、ロータ21に加わる電磁ブレーキの制動力を調節するものとなっている。
制御信号は、例えば、High状態およびLow状態が交互に繰り返される矩形波電圧信号が採用でき、発電機20のロータ21の回転速度を遅らせる場合には、High状態時間のLow状態時間に対する割合、換言すれば、デューティ比を大きくし、これにより、電磁ブレーキの制動力を強める一方、発電機20のロータ21の回転速度を速くする場合には、デューティ比を小さくし、これにより、電磁ブレーキの制動力を弱めるものとなっている。
【0026】
図2に戻って、回転周期測定装置2は、腕時計1から漏れる磁束を検出し、当該磁束に応じた電気信号を出力する磁束検出手段であるピックアップ3と、このピックアップ3が出力する電気信号に基づき、腕時計1に設けられた発電機20のロータ21の回転数を計数し、ロータ21の回転数に応じた電気信号を出力する回転数計数装置4と、この回転数計数装置4の出力信号に基づきロータ21の回転周波数を算出するためのパーソナルコンピュータ5とを備えたものである。
このうち、ピックアップ3は、図4に示されるように、腕時計1から漏れる磁束を電気信号に変換するコイル3Aを備えたものとなっている。
【0027】
回転数計数装置4は、図4の如く、ピックアップ3が出力する電気信号に基づいて、ロータ21の回転数を計数するだけでなく、発電機20の出力が直接入力可能とされ、発電機20の出力に基づいて、ロータ21の回転数を計数することもできるようになっている。
すなわち、回転数計数装置4には、ピックアップ3から出力される電気信号を増幅するとともに、当該電気信号の低周波成分のみを通過させる低域増幅回路6と、入力された信号の波形整形等を行う信号入力回路7と、入力された信号の一周期に要する時間を計時する周期計測回路8と、ピックアップ3が接続される入力端子4Aと、腕時計1のムーブメント1Aが露出された状態において、その発電機20の出力が入力される入力端子4Bと、二つの入力信号のうち選択された信号を信号入力回路7に入力させる切換スイッチ9とが設けられている。
【0028】
そして、切換スイッチ9の一次側に設けられた二つの端子には、入力端子4Bおよび低域増幅回路6の出力が接続され、切換スイッチ9の二次側の端子には、信号入力回路7の入力が接続されている。これにより、切換スイッチ9の操作すると、信号入力回路7には、発電機20の出力および低域増幅回路6の出力の一方が選択的に入力可能となっている。
ここで、低域増幅回路6は、ピックアップ3から出力される電気信号を発電機20の出力レベルまで増幅可能となっている。また、信号入力回路7は、発電機20の出力を直接入力とするために、当該発電機20の出力レベルと同程度のレベルの信号が入力可能となっている。
これにより、信号入力回路7は、発電機20の出力および低域増幅回路6の出力のいずれが入力されても、当該出力の波形整形が可能となっている。
【0029】
低域増幅回路6は、ピックアップ3からの電気信号を増幅する第1増幅手段60と、第1増幅手段60が増幅した電気信号のうち、ロータ21の回転速度を制御するために、制御回路50が発する制動電流による成分を除去する第1低域フィルタ61と、第1低域フィルタ61から出力される信号を、発電機20の出力レベルまで増幅する第2増幅手段62とを有するものである。
【0030】
第1増幅手段60は、直流抵抗器および演算増幅器を備えた増幅回路を直列に接続し、入力信号を二段階に増幅するものである。これにより、第1増幅手段60の増幅率が確保され、ピックアップ3からの微弱な電気信号は、第1低域フィルタ61で濾過するのに充分なレベルにまで増幅されるようになっている。なお、第1増幅手段60は、低周波数側の増幅率が高くなっている。
第1低域フィルタ61は、直流抵抗器、コンデンサおよび演算増幅器を備えたものであり、数十Hz以下の低周波信号のみを通過させるものとなっている。
第2増幅手段62は、直流抵抗器および演算増幅器を備えた増幅回路である。この第2増幅手段62の帰還ループには、当該第2増幅手段62の増幅率を調節する調節手段である可変抵抗器63が設けられている。
なお、第1低域フィルタ61および第2増幅手段62の間には、第1低域フィルタ61からの直流信号を遮断する直流遮断コンデンサ64が設けられている。
ここにおいて、ピックアップ3、第1増幅手段60、第1低域フィルタ61および第2増幅手段62を含んでロータ回転数検出部が構成されている。
【0031】
信号入力回路7は、発電機20が直接接続された際に、発電機20への電気的な干渉を防止する干渉防止手段70と、グランドノイズを除去する第2低域フィルタ71と、第2低域フィルタ71から出力される信号を増幅する第3増幅手段72と、正弦波状信号を矩形波に整形する波形整形手段73と、この波形整形手段73から出力される矩形波信号を、デジタルロジック回路であるTTL回路のトリガー信号に変換する信号変換手段74とを備えたものである。
【0032】
干渉防止手段70は、出力信号がそのまま負帰還されるように構成された演算増幅器を備え、この演算増幅器により、一次側から入力された電気信号の二次側への伝達以外は、一次側と二次側とが電気的に絶縁するものである。
この干渉防止手段70により、二次側の電流が一次側へ逆流することが防止され、発電機20を直接接続しても、発電機20のロータ21の回転に影響が及ばないようになっている。
第2低域フィルタ71は、第1低域フィルタ61と同様に、直流抵抗器、コンデンサおよび演算増幅器を備えたものであり、数十Hz以下の低周波信号のみを通過させるものとなっている。
第3増幅手段72は、直流抵抗器および演算増幅器を備えた増幅回路であり、第2低域フィルタ71を通過した電気信号を、波形整形手段73に入力可能なレベルにまで増幅するものとなっている。
波形整形手段73は、直流抵抗器、可変抵抗器および演算増幅器を備えた増幅回路であり、入力信号の電圧レベルを基準電位と比較し、基準電位よりも電圧レベルが低いときに、所定電圧の直流電圧を出力し、これにより、矩形波を形成するものとなっている。
すなわち、波形整形手段73は、入力信号の電圧レベルが負電位になると、正極の電源電圧を出力し、入力信号の電圧レベルが正電位になると、負極の電源電圧を出力するように、負帰還ループが形成されたものとなっている。
信号変換手段74は、通常のダイオード、ツェナーダイオードおよび二つの反転器を備えた回路であり、ダイオードで負極電圧信号を0Vにし、ツェナーダイオードには、入力信号の電圧が逆方向電圧となるように印加され、入力信号の電圧が所定電圧を超えると逆方向に電流を流し、所定電圧の信号、すなわち、デジタルロジック回路へのパルス信号を出力するものである。
【0033】
周期計測回路8は、周波数測定の基準となるクロックパルスを発振するクロックパルス発振手段である基準信号発振器80と、前述のクロックパルスが入力されて当該クロックパルスを計数するカウンタ81と、信号入力回路7がトリガー信号を出力する毎に、カウンタ81の計数値を読み取るとともに、前回および今回の計数値を保持する計数値保持手段82とを備えたものである。
基準信号発振器80は、水晶振動子を含むとともに、所定周期毎に正確にクロックパルスを出力する発振回路である。なお、基準信号発振器80の発振周波数は、1MHzとなっている。
カウンタ81は、基準信号発振器80からの当該クロックパルスを計数し、計数した計数値をBCDコードで出力するものである。
計数値保持手段82は、前回(第n−1回目)および今回(第n回目)の計数値をそれぞれ保持するレジスタ83,84を備えたものである。
ここで、信号変換手段74からのパルス信号が計数値保持手段82に入力されることにより、レジスタ84は、保持していた計数値をレジスタ83へ出力し、その時点のカウンタ81の計数値を取り込んで保持するようになっている。
そして、計数値保持手段82は、パーソナルコンピュータ5の要求により、レジスタ83,84に保持している各計数値をパーソナルコンピュータ5へ出力するようになっている。
【0034】
パーソナルコンピュータ5は、計数値保持手段82の前回および今回の計数値が入力され、計数値保持手段82の前回および今回の計数値の差(周期)から、ロータ21の回転周波数(周期の逆数)を算出する周波数算出手段となっている。
ここで、パーソナルコンピュータ5には、信号変換手段74からのパルス信号が入力されるようになっている。
そして、信号変換手段74からのパルス信号が入力されると、パーソナルコンピュータ5は、所定時間待機した後、計数値保持手段82へレジスタ83,84に保持している各計数値の出力を要求する要求信号を出力するようになっている。なお、パーソナルコンピュータ5の待機時間は、レジスタ83,84の計数値更新に要する時間よりも長い時間が設定されている。
ここにおいて、信号入力回路7、周期計測回路8およびパーソナルコンピュータ5を含んで周波数測定部が構成されている。
【0035】
このような本実施形態では、制御回路50が発する制動電流により、ピックアップ3から出力される電気信号が、図5(A)に示されるように、周波数の高い成分を含んでいても、低周波数側の増幅率が高い第1増幅手段60で、ピックアップ3の出力信号を増幅すると、図5(B)に示されるように、周波数の著しく高い成分が除去される。
さらに、第1増幅手段60の出力信号は、第1低域フィルタ61および第2低域フィルタ71を通過することにより、図5(C)に示されるように、周波数の高い成分が除去され、正弦波状の信号になる。
この正弦波状の信号を波形整形手段73に入力すると、この正弦波状信号は、図5(D)に示されるように、その電圧レベルが正の時に負極の電源電圧値となる一方で、電圧レベルが負の時に正極の電源電圧値となる矩形波に整形される。そして、この矩形波信号を信号変換手段74に入力すると、この矩形波信号は、図5(E)に示されるように、0Vおよび所定電圧値のパルス信号に変換され、このパルス信号の出力タイミングにより、計数値保持手段82およびパーソナルコンピュータ5が駆動し、ロータ21の回転周期が測定される。
ここで、腕時計1とピックアップ3との隙間は、できるだけ小さいほうがよく、数ミリメートル以内が好ましい。
【0036】
ここで、腕時計1のムーブメント1Aがケースに収納されているときには、図1の如く、ピックアップ3を腕時計1に装着し、ピックアップ3を回転数計数装置4の入力端子4Aに接続するとともに、切換スイッチ9の操作により、低域増幅回路6と信号入力回路7とを相互に接続し、この状態で、回転数計数装置4およびパーソナルコンピュータ5を起動すれば、回転数計数装置4およびパーソナルコンピュータ5により、ロータ21の回転速度の測定が自動的に行われる。
一方、腕時計1のムーブメント1Aが露出しているときには、切換スイッチ9の操作により、低域増幅回路6と信号入力回路7との接続を解除するとともに、発電機20の出力線1Bを回転数計数装置4の入力端子4Bに接続して、発電機20の出力を信号入力回路7に接続し、この状態で、回転数計数装置4およびパーソナルコンピュータ5を起動すれば、回転数計数装置4およびパーソナルコンピュータ5により、ロータ21の回転速度の測定が自動的に行われる。
【0037】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、腕時計1から漏れる磁束をピックアップ3で検出し、当該磁束に基づいてロータ21の回転周期を測定するので、測定精度の向上には、照明の明暗が関係なく、時計の基準信号の周期が狂う程の強い熱線を発生する強力な照明装置が不要となり、測定が完了するまで、腕時計1を正常な状態に維持できる。
このため、測定精度を向上するために、恒温槽内で測定を行うことが必要がないので、回転周期測定装置2全体が大がかりにならないうえ、回転周期測定装置2を容易に取り扱うことができる。
そして、ピックアップ3で検出した磁束から、制動電流に応じた成分を第1低域フィルタ61で除去したので、ロータ21の回転周期が正確に測定されるようになり、ロータ21の回転周期の測定精度を向上できるうえ、漏れる磁束が検出できる位置に、ピックアップ3を配置すれば、ロータ21の回転周期測定が可能となるので、腕時計1と回転周期測定装置2とを電気的に直接接続する必要がなくなり、腕時計1のムーブメント1Aがケースに収納された完成品についても測定を容易に行うことができる。
【0038】
また、発電機20の出力を直接入力するために、当該発電機20の出力レベルと同程度のレベルの信号が入力可能となった信号入力回路7を設け、第1低域フィルタ61から出力される信号を、発電機20の出力レベルまで増幅する第2増幅手段62を設け、発電機20の出力を直接入力することができようにしたので、腕時計1と磁気的に接続した状態での測定だけでなく、腕時計1と電気的に直接接続された状態でも測定が可能となり、腕時計1のムーブメント1Aが露出し、電気的な接続が容易な場合には、ピックアップ3と腕時計1との位置関係や増幅手段のゲイン調整が微妙な磁気的接続を行う場合よりも、簡単に行える電気的接続が選択でき、ロータ21の回転周期測定の便宜を図ることができる。
【0039】
さらに、第2増幅手段62に、その増幅率を調節する可変抵抗器63を設けたので、腕時計1のケースとして、耐磁性能が異なるもの様々なものがあり、ケースの耐磁性能により、ピックアップ3で検出された漏れ磁束のレベルが大きく相違していても、増幅率を調節する可変抵抗器63により、信号入力回路7に入力するのに適したレベルに調節することが可能となり、この点からも、ロータ21の回転周期測定の便宜を図ることができる。
【0040】
また、信号入力回路7に、発電機20への電気的な干渉を防止する干渉防止手段70と、グランドノイズを除去する第2低域フィルタ71とを設け、発電機20への電流の逆流等の不具合を防止したので、発電機20と電気的に接続しても、ロータ21の回転速度が乱れを未然に防止することができる。
そして、グランドノイズを除去する第2低域フィルタ71を設けたので、第3増幅手段72で増幅しても、測定の誤差の原因となりうる雑音の混入を未然に防止することができる。
このようにロータ21の回転速度が乱れと、雑音の混入とが防止されるようになるので、ロータ21の回転速度の測定がより正確に行え、この点からも、測定精度を向上することができる。
【0041】
さらに、一定の周波数で安定して発振動作する水晶振動子を備えた基準信号発振器80を設け、この基準信号発振器80から正確な周期でクロックパルスを発生させるようにするとともに、計数波形整形手段73からの矩形波信号をトリガー信号に変換する信号変換手段74を設け、TTL回路等を遅滞なく駆動できるようにしたので、ロータ21の一回転に対応して、遅滞なくクロックパルスの計数が行え、ロータ21の回転周波数測定の精度を向上できる。
【0042】
また、周波数算出手段をパーソナルコンピュータ5で構成したので、長時間にわたって、ロータ21の回転速度の自動測定が行えるようになり、例えば、60秒周期、60分周期、あるいは、12時間周期でロータ21の回転速度に大きなムラがあることが検知でき、このようなムラが検知された場合には、そのムラの原因が、輪列40を構成する歯車42〜45の形状誤差であることが分かり、不具合の特定を容易に行うことができる。
【0043】
さらに、ムーブメント1Aが露出しているか、あるいは、ケース内に隠蔽されているかに応じて、電気的接続および磁気的接続のうち、より適切な接続で腕時計1と回転周期測定装置2とを接続できるようにしたので、ロータ21の回転周期測定の便宜を図ることができる。
また、磁気的接続で測定を行うにあたり、測定環境にピックアップ3が拾ってしまう低周波の磁界が存在していても、ピックアップ3との接続を解除するので、当該低周波の磁界に影響を受けることがなく、正確に測定できる。
さらに、ムーブメント状態でも、ムーブメントをケース内に入れた状態でも測定ができるので、ケース内にムーブメントを組み込んだ際に発生する不具合も検出することができる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲において、変形および改良等をも含むものである。
例えば、磁束検出手段としては、コイルを備えたピックアップに限らず、ホール素子を備えたセンサでもよく、要するに、微弱な磁束でも検出できるものであればよい。
また、ロータ回転数検出部としては、第2増幅手段に調節手段が設けられたものに限らず、第1増幅手段に調節手段が設けられたもの、あるいは、第1増幅手段および第2増幅手段の両方に調節手段が設けられたものでもよい。
ここで、第1増幅手段および第2増幅手段の両方に調節手段が設ける場合には、一方の調節手段の調節範囲を広く設定して粗調整用とし、他方の調節手段の調節範囲を狭く設定して微調整用にすれば、増幅率の調整作業が容易に行えるようになる。
さらに、前記実施形態においては、ピックアップ3、回転数計数装置4およびパーソナルコンピュータ5の三つに分割した回転周期測定手段を採用したが、回転周期測定手段としては、三分割のものに限らず、全体が一つの筐体等に固定された一体式のもの、あるいは、四つ以上に分割されたのものでもよく、回転周期測定手段の具体的な形態は、実施にあたり適宜設定すればよい。
また、回転周期測定方法としては、一つの姿勢に固定された時計に対して行うものに限らず、時計の姿勢差による影響を観察するために、時計の姿勢を所定時間毎に変えて測定を行ってもよい。
この場合、時計の姿勢を変更するために、磁束検出手段に対し、その姿勢を調節する姿勢調節機構、あるいは、姿勢を自動的に変更する姿勢自動変更機構を設けてもよい。
なお、本発明は、腕時計だけでなく、携帯用懐中時計、置き時計等のクロック等の形態に形成された電子制御式機械時計にも適用することができる。
【0045】
【発明の効果】
前述のように、本発明によれば、測定を大がかりにすることがなく、かつ、その取り扱いを容易にすることができ、しかも、測定精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態の全体を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る腕時計を示す概略構成図である。
【図4】前記実施形態に係る回転周期測定装置を示すブロック図である。
【図5】図4の点a〜eの各々の電圧変化(A)〜(E)を示すグラフである。
【図6】前記実施形態の図2とは異なる状態を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
1 電子制御式機械時計である腕時計
2 回転周期測定装置
3 磁束検出手段であるピックアップ
5 周波数算出手段としてのパーソナルコンピュータ
7 信号入力部としての信号入力回路
11 機械的エネルギ源としてのゼンマイ
20 発電機
21 ロータ
40 輪列
50 回転制御手段である制御回路
60 第1増幅手段
61 第1低域フィルタ
62 第2増幅手段
63 調節手段としての可変抵抗器
70 干渉防止手段
71 第2低域フィルタ
73 波形整形手段
74 信号変換手段
80 クロックパルス発振手段としての基準信号発振器
81 カウンタ
82 計数値保持手段

Claims (5)

  1. 機械的なエネルギを供給する機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源の駆動力で電力を発生する発電機と、前記機械的エネルギ源の駆動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、この駆動力伝達手段に結合された時刻表示手段と、前記発電機のロータの回転速度を制御する回転制御手段とを備えた電子制御式機械時計の回転周期測定装置であって、
    前記発電機の前記ロータの回転により発生するとともに、前記電子制御式機械時計から漏れる磁束を検出し、当該磁束に応じた電気信号を出力する磁束検出手段、前記磁束検出手段から出力される電気信号を増幅する第1増幅手段、および、前記第1増幅手段が増幅した電気信号のうち、前記ロータの回転速度を制御するために前記回転制御手段が発する制動電流による成分を除去する第1低域フィルタを有するロータ回転数検出部と、前記ロータ回転数検出部の出力信号に基づき前記ロータの回転周波数を測定する周波数測定部とを備え、
    前記周波数測定部には、前記発電機の出力を直接入力するために、当該発電機の出力レベルと同程度のレベルの信号が入力可能となった信号入力部が設けられ、
    前記ロータ回転数検出部には、前記第1低域フィルタから出力される信号を、前記発電機の出力レベルまで増幅する第2増幅手段が設けられていることを特徴とする電子制御式機械時計の回転周期測定装置。
  2. 請求項1に記載の電子制御式機械時計の回転周期測定装置において、
    前記第1増幅手段および前記第2増幅手段の少なくとも一方には、その増幅率を調節する調節手段が設けられていることを特徴とする電子制御式機械時計の回転周期測定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子制御式機械時計の回転周期測定装置において、
    前記信号入力部には、前記周波数測定部から前記発電機への電気的な干渉を防止する干渉防止手段と、グランドノイズを除去する第2低域フィルタとが設けられていることを特徴とする電子制御式機械時計の回転周期測定装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子制御式機械時計の回転周期測定装置において、
    前記発電機の出力波形は、正弦波状のものであり、
    前記信号入力部は、正弦波状の信号を矩形波に整形する波形整形手段と、この波形整形手段から出力される矩形波信号を、デジタルロジック回路のトリガー信号に変換する信号変換手段とを備え、前記ロータの回転に応じたトリガー信号を出力するものとされ、
    前記周波数測定部には、周波数測定の基準となるクロックパルスを発振するクロックパルス発振手段と、前記クロックパルスが入力されて当該クロックパルスを計数するカウンタと、前記信号入力部が前記トリガー信号を出力する毎に、前記カウンタの計数値を読み取るとともに、前回および今回の計数値を保持する計数値保持手段と、この計数値保持手段の前回および今回の計数値の差から前記ロータの回転周波数を算出する周波数算出手段とが設けられていることを特徴とする電子制御式機械時計の回転周期測定装置。
  5. 機械的なエネルギを供給する機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源の駆動力で電力を発生する発電機と、前記機械的エネルギ源の駆動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、この駆動力伝達手段に結合された時刻表示手段と、前記発電機のロータの回転速度を制御する回転制御手段とを備えた時計の回転周期を測定するための電子制御式機械時計の回転周期測定方法であって、
    前記発電機の前記ロータの回転により発生するとともに、前記時計から漏れる磁束を検出し、当該磁束に応じた電気信号を出力する磁束検出手段、前記磁束検出手段から出力される電気信号を増幅する第1増幅手段、および、前記第1増幅手段が増幅した電気信号のうち、前記ロータの回転速度を制御するために前記回転制御手段が発する制動電流による成分を除去する第1低域フィルタを有するロータ回転数検出部と、前記ロータ回転数検出部の出力信号に基づき前記ロータの回転周波数を測定する周波数測定部とを備え、前記周波数測定部には、前記発電機の出力を直接入力するために、当該発電機の出力レベルと同程度のレベルの信号が入力可能となった信号入力部が設けられ、前記ロータ回転数検出部には、前記第1低域フィルタから出力される信号を、前記発電機の出力レベルまで増幅する第2増幅手段が設けられている回転周期測定装置を用い、
    前記時計のムーブメントがケースに収納されているときには、前記磁束検出手段を前記時計に装着した後、前記磁束検出手段で前記ロータの回転速度を検出し、前記時計のムーブメントが露出しているときには、前記磁束検出手段との接続を解除するとともに、前記発電機の出力を前記信号入力部に接続した後、前記発電機の出力から前記ロータの回転速度を検出することを特徴とする電子制御式機械時計の回転周期測定方法。
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