JP3965898B2 - トナーの製造方法、トナー及び画像形成方法 - Google Patents

トナーの製造方法、トナー及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーの製造方法、トナー及び画像形成方法に関し、更に詳しくは臭気問題を発生することの無い小粒径トナーの製造方法、トナー及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
定着性の観点から、樹脂の分子量分布を制御することは必要とされている。例えば高温オフセットを抑制するためには高温時の弾性率を向上することが必要であり、高分子量成分を増加することが好ましい。一方、紙等の画像形成支持体への接着性を向上するためには低分子量成分を増加することが好ましい。このように相反する機能を樹脂で満足するためには分子量分布を拡大することが必要とされている。
【0003】
一方、トナーは高画質の観点から小粒径化が望まれている。小粒径トナーを製造する方法として近年重合法トナーが考案されている。この重合法トナーには樹脂粒子と必要に応じて着色剤粒子とを会合あるいは塩析/融着させて不定形にしたトナーを調製する方法や、ラジカル重合性モノマーと着色剤とを分散し、ついで水系媒体などに所望のトナー粒径になるように液滴分散し、懸濁重合する方法がある。
【0004】
この際、分子量分布を制御するために連鎖移動剤を使用し低分子量化を図る場合、好適な連鎖移動剤としてメルカプタン系、特にドデシルメルカプタン系の化合物が使用されている。しかし、この素材は特有の臭気を有しており、熱定着時に残存する連鎖移動剤が揮発し、臭気が発生する問題を有している。
【0005】
この臭気の問題は樹脂と着色剤とを溶融混練、粉砕してなるいわゆる粉砕法トナーでは特に問題視されていなかった。
【0006】
この臭気の対策として、いわゆる香料を添加することは通常考えられる一般的な手法であるが、この香料は特異的な臭気を別に発生するため、メルカプタン臭を効果的に防止することができず、逆に悪臭となる場合もあり、全てのものを使用することはできない。また、素材によっては熱で分解するものもあり、熱定着時に分解したり、トナー中へ添加する際に分解したりするものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、いわゆる重合法トナーにおいて、熱定着時の臭気の発生を押さえ、臭気問題を発生することの無い小粒径トナーの製造方法、トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0009】
1.少なくとも水系媒体中で着色剤及び連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を懸濁重合せしめ、ついで濾過、洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、該単量体組成物に上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
但し、連鎖移動剤は上記一般式(3)及び(4)で示される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の含有量はトナー全体に対して1ppb〜10ppmである。
【0010】
2.少なくとも連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用し乳化重合あるいはミニエマルジョン重合して得られた樹脂粒子を水系媒体中で融着せしめて、ついで濾過、洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、該単量体組成物に上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
但し、連鎖移動剤は上記一般式(3)及び(4)で示される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の含有量はトナー全体に対して1ppb〜10ppmである。
【0011】
3.少なくとも連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用し乳化重合あるいはミニエマルジョン重合して得られた樹脂粒子と着色剤等のトナー用組成物とを水系媒体中で融着せしめて、ついで濾過、洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、該トナー用組成物に上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
但し、連鎖移動剤は上記一般式(3)及び(4)で示される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の含有量はトナー全体に対して1ppb〜10ppmである。
【0012】
4.前記1〜3のいずれか1項記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナー。
【0013】
5.前記4記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明を更に詳しく説明する。本発明者らは鋭意検討した結果、連鎖移動剤自体の保有する悪臭を、感覚的中和することで悪臭を排除することができることを見出した。特に重要な問題として、強い香気成分を使用すると個人の嗜好の差によりかえって悪臭となる場合がある。この問題を解決するために、種々の素材を検討し本発明を完成するに至ったものである。特に本発明の化合物を使用することで、連鎖移動剤として一般的なメルカプト化合物の臭気を効果的に抑制することができる。即ち、本発明の化合物を使用することにより、連鎖移動剤の臭気を感覚的に中和することができ、さらに不快感を減少することができる。
【0014】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、香料として用いられる大環状ラクトン化合物である。具体的には、14−テトラデカノリド、15−ペンタデカノリド、11(または12)−ペンタデセン−15−オリド、16−ヘキサデカノリド及び9−ヘキサデセン−16−オリド等を挙げることができる。
【0015】
本発明の一般式(2)で表される化合物は、香料として用いられる、大環状ケトン化合物である。具体的には、シクロペンタデカノン、3−メチル−シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、8−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロヘプタデカノン、3−エチル−シクロペンタデカノン、3−プロピル−シクロペンタデカノン、9−シクロヘプタデセン−1−オン、シクロヘンエイコサノン、3−メチル−シクロヘンエイコサノン、11−シクロヘンエイコセン−1−オン等を挙げることができる。
【0016】
本発明の上記一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物の含有量は、トナー全体に対して1ppb〜10ppm、さらに好ましくは2ppb〜5ppmである。含有量はヘッドスペースガスクロマトグラフで測定することができる。
【0017】
本発明で用いられる連鎖移動剤の好ましい例としては、下記一般式(3)又は一般式(4)で表されるメルカプト基を有する連鎖移動剤を挙げることができる。
【0018】
一般式(3) HS−R1−COOR2
ここに、R1は置換基を有してもよい炭素数が1〜10の炭化水素基であり、R2は置換基を有しても良い炭素数が2〜20の炭化水素基を示す。
【0019】
好ましいものとしては、チオグリコール酸エステル類、3−メルカプトプロピオン酸エステル類を挙げることができる。具体的にはチオグリコール酸エステル類として、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシルチオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、トリメチロールプロパンのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル、ソルビトールのチオグリコール酸エステルを挙げることができ、3−メルカプトプロピオン酸エステル類としては、エチルエステル、オクチルエステル、デシルエステル、ドデシルエステル、ペンタエリスリトールテトラキスエステル、エチレングリコールの3−メルカプトプロピオン酸エステル、ネオペンチルグリコールの3−メルカプトプロピオン酸エステル、トリメチロールプロパンの3−メルカプトプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールの3−メルカプトプロピオン酸エステル、ソルビトールの3−メルカプトプロピオン酸エステルを挙げることができる。
【0020】
一般式(4) HS−R3
ここに、R3は置換基を有してもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。
【0021】
具体的には、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどを挙げることができる。
【0022】
これら化合物の使用量は、重合性単量体に対して0.01〜5質量%である。
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して融着する方法で製造することができる。融着の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。
【0023】
なお、本発明でいうところの水系媒体とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0024】
すなわち、懸濁重合法では重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、本発明の一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物、さらに重合開始剤及び連鎖移動剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌翼のある反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製することができる。
【0025】
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。本発明の一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物は重合性単量体組成物中に添加する方法や、トナーの構成に必要な成分中に含有させて添加する方法によりトナー中に存在させることができる。
【0026】
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0027】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0028】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0029】
水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0030】
本発明において優れた樹脂としては、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。ガラス転移点は示差熱量分析方法で測定されるものであり、軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、これら樹脂としてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から20,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を含有する樹脂が好ましい。
【0031】
樹脂の分子量測定は、THFを溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0032】
使用される凝集剤としては特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。具体的には、一価の金属として例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属として例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。これらは組み合わせて使用してもよい。
【0033】
これらの凝集剤は臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学、17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0034】
本発明の凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、さらに好ましくは、1.5倍以上添加することがよい。
【0035】
無限溶解する溶媒とは、すなわち水に対して無限溶解する溶媒を示し、この溶媒は、本発明においては形成された樹脂を溶解させないものが選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。この無限溶解する溶媒の添加量は、凝集剤を添加した重合体含有分散液に対して1〜100体積%が好ましい。
【0036】
なお、形状を均一化させるためには、着色粒子を調製し、濾過した後に粒子に対して10質量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、特に重合体中に極性基を有するものが好ましい。この理由としては、極性基が存在している重合体に対して、存在している水が多少膨潤する効果を発揮するために、形状の均一化が特に図られやすいものと考えられる。
【0037】
本発明のトナーは少なくとも樹脂と着色剤を含有するものであるが、必要に応じて定着性改良剤である離型剤や荷電制御剤等を含有することもできる。さらに、上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して無機微粒子や有機微粒子等で構成される外添剤を添加したものであってもよい。
【0038】
本発明において、離型剤としては特に限定されない。ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等が使用できる。好適には、下記一般式で示されるエステルワックスである。
【0039】
11−(OCO−R12n1
ここで、n1は1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、好ましくは4である。R11、R12は置換基を有しても良い炭化水素基であり、R11は炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5であり、R12は炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26である。以下にエステルワックスの好ましい具体例を挙げる。
1)CH3−(CH212−COO−(CH217−CH3
2)CH3−(CH218−COO−(CH217−CH3
3)CH3−(CH220−COO−(CH217−CH3
4)CH3−(CH214−COO−(CH219−CH3
5)CH3−(CH220−COO−(CH26−O−CO−(CH220−CH3
【0040】
【化3】
Figure 0003965898
【0041】
【化4】
Figure 0003965898
【0042】
エステルワックスの添加量は、トナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。これら離型剤は、モノマー中に溶解させ水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中に上記エステル化合物を含有させた粒子を形成させ、着色剤粒子とともに塩析/融着することでトナーとすることが好ましい。
【0043】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0044】
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0045】
着色剤の添加方法としては、乳化重合法で調製した重合体粒子を、凝集剤を添加することで凝集させる段階で添加し重合体を着色する方法や、単量体を重合させる段階で着色剤を添加し、重合し、着色粒子とする方法等を使用することができる。なお、着色剤は重合体を調製する段階で添加する場合はラジカル重合性を阻害しない様に表面をカップリング剤等で処理して使用することが好ましい。
【0046】
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0047】
なお、これら荷電制御剤や定着性改良剤の粒子は、分散した状態で数平均一次粒子径が10〜500nm程度とすることが好ましい。
【0048】
トナーの形状は、下記式で示される形状係数の平均値(平均円形度)が0.930〜0.995、好ましくは0.940〜0.990である。
【0049】
形状係数=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下がよく、下記式で算出されるCV値は20%未満が好ましく、さらに10%未満が好ましい。
【0050】
CV値=(円形度の標準偏差)/(平均円形度)×100
この平均円形度を0.930〜0.995とすることで、不定形化した形状とすることができ、紙等への定着性を確保することができる。さらに、感光体への付着力も低減することができ、クリーニング性も向上することができる。また、0.930以上の平均円形度とすることで、粒子の不定形度合いを抑制し、長期に亘る使用時のストレスによる粒子の破砕性を抑制することができる。
【0051】
さらに、形状係数の分布がシャープであることが好ましく、円形度の標準偏差は0.10以下とすることで形状が揃ったトナーとすることができ、トナー間での定着性能差を少なくすることができるため、定着率の向上及びオフセット性の低減による定着装置の汚染防止効果がより発揮される。また、CV値も20%未満とすることで、同様にシャープな形状分布とすることができ、定着性向上効果をより顕著に発揮することができる。
【0052】
なお、上記形状係数の測定方法は限定されるものではないが、例えばトナー粒子を電子顕微鏡で500倍に拡大した写真を撮影し、画像解析装置を使用し、500個のトナーについて円形度を測定し、その算術平均値を求めることで、平均円形度を算出することができる。また、簡便な測定方法としては、FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製)により測定することができる。
【0053】
この形状に制御するためには会合などの工程で形状を制御されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0054】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0055】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0056】
本発明のトナーの体積平均粒径はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0057】
本発明のトナーの粒径は、体積平均粒径で3〜8μmのものである。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。体積平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0058】
また、本発明のトナーでは、外添剤として無機微粒子や有機微粒子などの微粒子を添加して使用することでより効果を発揮することができる。この理由としては、外添剤の埋没や脱離を効果的に抑制することができるため、その効果が顕著にでるものと推定される。
【0059】
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0060】
疎水化度=a/(a+50)×100
この外添剤の添加量としては、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0061】
非磁性一成分トナーとして使用する場合には、薄層形成を行うための現像剤層規制部材が現像剤層担持体に押圧された構成を有する現像器を使用し、接触あるいは非接触で現像する。好ましい方式は接触現像である。
【0062】
二成分現像剤として使用する場合には、本発明のトナーとキャリアとからなる現像剤を調製し、接触又は非接触で現像する方式がある。
【0063】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、磁性粒子としては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0064】
キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0065】
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式を挙げることができる。特に、接触加熱方式として、熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
【0066】
熱ロール定着方式では、多くの場合表面にテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成された下ローラーとから形成されている。熱源としては、線状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部に於いては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40mm/sec〜600mm/secが好ましい。ニップが狭い場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が広い場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが過多となる問題を発生する。
【0067】
上記定着方式にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウエッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0068】
なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。さらに、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0069】
【実施例】
実施例1
(ラテックス調製例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。一方で上述したエステルワックス化合物(19)72.0g及び11−シクロヘンエイコセン−1−オン0.073gをスチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、tert−ドデシルメルカプタン13.7gの混合液を126分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。このラテックス粒子をラテックス1とする。
【0070】
(ラテックス調製例2)
ラテックス調製例1において、tert−ドデシルメルカプタンの代わりにn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを15.0g使用した他は同様にしてラテックス粒子を得た。これをラテックス2とする。
【0071】
(ラテックス調製例3)
ラテックス調製例1において、11−シクロヘンエイコセン−1−オンの代わりに14−テトラデカノリドを0.073g使用した他は同様にしてラテックス粒子を得た。これをラテックス3とする。
【0072】
(ラテックス調製例4)
ラテックス調製例2において、11−シクロヘンエイコセン−1−オンの代わりに15−ペンタデカノリドを0.073g使用した他は同様にしてラテックス粒子を得た。これをラテックス4とする。
【0073】
(ラテックス調製例5)
ラテックス調製例2において、11−シクロヘンエイコセン−1−オンの代わりにシクロペンタデカノンを0.150g使用した他は同様にしてラテックス粒子を得た。これをラテックス5とする。
【0074】
(ラテックス調製例6)
ラテックス調製例2において、11−シクロヘンエイコセン−1−オンの代わりに3−メチル−シクロペンタデカノンを0.150g使用した他は同様にしてラテックス粒子を得た。これをラテックス6とする。
【0075】
(ラテックス調製例7)
ラテックス調製例2において、11−シクロヘンエイコセン−1−オンを使用しない他は同様にしてラテックス粒子を得た。これをラテックス7とする。
【0076】
(着色粒子製造例1)
n−ドデシル硫酸ナトリウム=9.2gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、質量平均径で112nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0077】
前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を攪拌下、30℃にて10分間で添加した。その後、3分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで6分で昇温する(昇温速度=10℃/分)。その状態で粒径をコールターカウンターTAIIにて測定し、体積平均粒径が6.5μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度90℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した着色粒子を濾過し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。以上のようにして得られた着色粒子を「着色粒子1」とする。
【0078】
(着色粒子製造例2〜7)
着色粒子製造例1において「ラテックス1」の代わりに「ラテックス2」〜「ラテックス7」を使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子2」〜「着色粒子7」とする。
【0079】
(着色粒子製造例8)
着色粒子製造例1において着色剤分散液調製時にカーボンブラック中にシクロペンタデカノンを0.100g添加した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子8」とする。
(着色粒子製造例9):懸濁重合法の例
高速攪拌装置(TKホモミキサー)を備えた4つ口フラスコにイオン交換水710質量部と0.1モル/リットルの燐酸三ナトリウム水溶液450質量部を加え、65℃に加温し、回転数12000rpmの攪拌条件下に1.0モル/リットルの塩化カルシウム水溶液68質量部を徐々に加え、コロイド状燐酸三カルシウムを含む分散液を含む水系分散媒体を調製した。ついで、スチレンモノマー165質量部、n−ブチルアクリレート35質量部にカーボンブラック(リーガル330R)14質量部を加えサンドグラインダーで分散した分散液にエステルワックス(19)を30質量部及びシクロペンタデカノンを0.02質量部を加え、80℃にて溶解させた。ついでtert−ドデシルメルカプタンを2質量部及び重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を加えたものを前記水系分散媒体中に回転数12000rpmの攪拌条件下で徐々に加え、水中にモノマーを含む溶液を分散させた。ついで、攪拌翼を3枚羽のより効率のよいものに変更し、窒素気流下、65℃、200rpm攪拌条件下で10時間重合反応を行った。重合反応終了時に塩酸を加え、分散安定剤である燐酸三カルシウムを除去し、濾過した。ついでイオン交換水で洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。以上のようにして得られた着色粒子を「着色粒子9」とする。
【0080】
(着色粒子製造例10)
着色粒子製造例9において、シクロペンタデカノンの代わりに11−シクロヘンエイコセン−1−オンを0.02質量部、さらにt−ドデシルメルカプタンの代わりにn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを3質量部使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子10」とする。
【0081】
(着色粒子製造例11)
着色粒子製造例9においてシクロペンタデカノンの代わりに3−メチル−シクロペンタデカノンを使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子11」とする。
【0082】
(着色粒子製造例12)
着色粒子製造例9においてシクロペンタデカノンを使用しない他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子12」とする。
【0083】
表1にこれら着色粒子の測定値を示すが、円形度はFPIA−1000を使用し、試料分析量=0.3μリットル、検出粒子数=3500個の条件で測定したものである。
【0084】
【表1】
Figure 0003965898
【0085】
ついで上記「着色粒子1」〜「着色粒子12」にそれぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。これらを「トナー1」〜「トナー12」とする。
【0086】
なお、形状及び粒径等の物性に関しては着色粒子及びトナーのいずれも差異は無い。
【0087】
上記「トナー1」〜「トナー12」についてヘッドスペースガスクロマトグラフを使用し、各添加した本発明の大環状ケトンあるいは大環状ラクトンの添加量を測定した。この測定にはパーキンエルマー社製ヘッドスペース装置を使用し(170℃/10minの加熱処理条件)、ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフにシングルイオンマス方式の質量検知器を搭載して、各成分に起因するマススペクトルから検量線を使用して含有量を測定し結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
Figure 0003965898
【0089】
上記トナーの各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。これらをトナーに対応して、「現像剤1」〜「現像剤12」とする。
【0090】
ここで調製した現像剤を使用し、デジタル複写機Konica7075を用い定着器の構成を下記に示す構成に変更して実写評価を実施した。
【0091】
定着方式としては圧接方式の加熱定着装置を用いた。即ち、表面をPFA(テトラフロオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)のチューブで被覆した(厚み:120μm)内径40mmで全幅が310mmの、ヒーターを中央部に内蔵した円柱状の厚み1.0mmのアルミ合金を加熱ローラー(上ローラー)として有し、表面が同様にスポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度=48:厚み2mm)で構成された内径40mmの肉厚2.0mmの鉄芯金を有する加圧ローラー(下ローラー)を有している。ニップ幅は5.8mmとした。この定着装置を使用して、印字の線速を480mm/secに設定した。
【0092】
なお、定着装置のクリーニング機構としてポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。
【0093】
定着の温度は上ロールの表面温度で制御し、175℃の設定温度とした。なお、シリコーンオイルの塗布量は、0.1mg/A4とした。
〔特性評価〕
定着性の評価は、A4のハーフトーン像(画像濃度が紙の濃度を「0」としたときの相対反射濃度で1.0のもの)を印字し、定着率を測定した。定着率とは、定着画像を「サラシ布」を巻いた1kgのおもりで擦り、その前後の画像濃度変化を百分率で算出したものである。
【0094】
定着率(%)=(擦り後の画像濃度)/(擦り前の画像濃度)×100
尚、加熱ローラーの表面温度はセンター値で175℃とした。
【0095】
また、床が5m×5m、高さが2mの密閉された部屋中で175℃の設定温度にて画素率が15%の画像を連続で千枚印字し、臭気の有無を官能評価にて実施した。臭気の有無については20名の評価員を使用し、不快感のある悪臭を感じた人数を評価した。結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
Figure 0003965898
【0097】
表3から明らかなように、本発明の現像剤は比較の現像剤に比べ、悪臭もなく定着率もすぐれている。
【0098】
【発明の効果】
本発明により、重合法トナーにおいて、熱定着時の臭気の発生を押さえ、臭気問題を発生することの無い小粒径トナーの製造方法、トナー及び画像形成方法を提供することができた。

Claims (5)

  1. 少なくとも水系媒体中で着色剤及び連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を懸濁重合せしめ、ついで濾過、洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、該単量体組成物に下記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
    但し、連鎖移動剤は下記一般式(3)及び(4)で示される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の含有量はトナー全体に対して1ppb〜10ppmである。
    Figure 0003965898
    〔式中、nは0〜10の整数を表し、点線部は、単結合又は1カ所が2重結合を表す。〕
    Figure 0003965898
    〔式中、Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表し、nは0〜10の整数を表し、点線部は、単結合又は1カ所が2重結合を表す。〕
    一般式(3) HS−R 1 −COOR 2
    〔式中、R 1 は置換基を有してもよい炭素数が1〜10の炭化水素基であり、R 2 は置換基を有しても良い炭素数が2〜20の炭化水素基を示す。〕
    一般式(4) HS−R 3
    〔式中、R 3 は置換基を有してもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。〕
  2. 少なくとも連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用し乳化重合あるいはミニエマルジョン重合して得られた樹脂粒子を水系媒体中で融着せしめて、ついで濾過、洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、該単量体組成物に上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
    但し、連鎖移動剤は上記一般式(3)及び(4)で示される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の含有量はトナー全体に対して1ppb〜10ppmである。
  3. 少なくとも連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用し乳化重合あるいはミニエマルジョン重合して得られた樹脂粒子と着色剤等のトナー用組成物とを水系媒体中で融着せしめて、ついで濾過、洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、該トナー用組成物に上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするトナーの製造方法。
    但し、連鎖移動剤は上記一般式(3)及び(4)で示される化合物の少なくとも1種であり、上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物の含有量はトナー全体に対して 1ppb〜10ppmである。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナー。
  5. 請求項4記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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