JP3965844B2 - チェーンの係留構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばトラックの荷台ゲートにおいてゲートチェーンを取付けるチェーンの係留構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、トラックの荷台ゲートにおいてリヤゲートを開度規制するのは、サイドゲートに連結したゲートチェーンを用いて行っている。従来では、図13に示すように、サイドゲート71にはブラケット72を取付け、このブラケット72にゲートチェーン75の一端部を取付けていた。リヤゲート73にはフック状のブラケット74を取付け、このブラケット74にゲートチェーン75の他端部を引掛けて、着脱自在に連結していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ブラケット72は、図14に示すように、サイドゲート71から荷台側に出張っており、また、ブラケット74は、図15に示すように、リヤゲート73から荷台側に出張っている。このため、レイアウト上その分だけ荷台スペースが制約されてしまい、最大限に利用できないという事情があった。また、ゲートチェーン75をブラケット74から取外した状態では、ゲートチェーン75自体が荷台内で自由動し、積荷への障害や異音の発生等の原因となるおそれがあった。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、荷台スペースを有効に利用可能で、使用されていないときにゲートチェーンが異音等を発生させることのないチェーンの係留構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るチェーンの係留構造は、かかる課題を解決するためになされたものであり、第1のゲートおよび第2のゲートを備え、上記第1のゲートおよび上記第2のゲートはヒンジを介して車体に回動可能に取付けられ、上記第1のゲートと上記第2のゲートとを長手部材で連結して上記第2のゲートの開度規制を行うチェーンの係留構造において、上記第1のゲートに車両外方突出部を設け、上記第1のゲートの車両外方突出部は、上記第1のゲートの長手方向に沿って形成され、車内側に空間を形成し、上記第2のゲートに車両外方突出部を設け、上記第2のゲートの車両外方突出部は、上記第2のゲートの長手方向に沿って形成され、車内側に空間を形成し、上記第1のゲートおよび上記第2のゲートの上記車両外方突出部の空間内で、かつ長手方向の端部に上記長手部材と連結可能なブラケットをそれぞれ設け、上記第1のゲート又は上記第2のゲートのいずれか一方における車両外方突出部の空間内のヒンジ側端部に棚部を設け、前記棚部の上面に上記長手部材を固定する手段を設け、上記長手部材は、上記一方のゲートのブラケットと持着されるとともに、他方のゲートのブラケットと取外し自在に取付けられ、上記長手部材が上記他方のゲートのブラケットから取外された場合、上記長手部材は、上記固定する手段に係合されて、上記一方のゲートにおける上記車両外方突出部の空間内に格納されることを特徴とする。また、上記第 1 のゲートがサイドゲートであり、上記第2のゲートがリヤゲートであり、上記長手部材は、上記リヤゲートのブラケットと持着されるとともに上記サイドゲートのブラケットと取外自在に取付けられ、上記サイドゲートのブラケットから取外された上記長手部材は、上記リヤゲートに設けられた上記固定する手段に係合されて、上記リヤゲートにおける上記車両外方突出部の空間内に格納されても良い。
【0005】
ここにいう長手部材とは、第2のゲートの姿勢を一定に保つためのものをいい、例えばチェーンやワイヤー等である。この長手部材と各ブラケットは、いずれの側においても取外自在となるようにそれぞれ構成しても良く、また、一方側が固定され、他方側が取外自在となるように構成しても良い。取外自在となるように構成するために、例えばブラケット側にピンを設けるとともに、長手部材の端部にこのピンと係合する穴を設けるようにすることができる。
【0006】
本発明は、例えばトラックの荷台ゲートに適用することができ、その場合の第1のゲートおよび第2のゲートは、例えば前者がトラックの荷台におけるサイドゲートで後者がそれに隣接するリヤゲート等をいう。
【0008】
ここにいう持着とは、保持した状態に付けることをいい、例えば段付ボルト等でブラケットに締結することをいいうが、持着した部分が回動自在な状態である場合も含むものである。
【0010】
ここにいう固定手段とは、格納時には長手部材を固定し、長手部材を使用する時には固定手段から容易に取外し可能なように構成したものをいい、例えば、長手部材が取外し自在なように構成したブラケットの連結部と同じ構造を採用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るチェーンの係留構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係るチェーンの係留構造は、トラック61の荷台ゲート62に適用されている。このチェーン1(ゲートチェーン)は、図2に示すように、サイドゲート2(第1のゲート)とリヤゲート3(第2のゲート)とをつないで、後傾したリヤゲート3が一定の姿勢を保持できるようにその開度規制を行うためのものである。なお、サイドゲート2及びリヤゲート3は、それぞれヒンジ63を有し、車体にヒンジ63を介して回動自在に取付けられる。サイドゲート2及びリヤゲート3は、起立状態で車体に固定可能で、その状態から車両外方向に回動可能である。
【0012】
まず、サイドゲート2部の構造について図2乃至図3及び図5乃至図7を用いて説明する。図2に示すように、サイドゲート2には、車幅方向(同図における左方向)に向かって突出する突出部21がその長手方向A(車両前後方向)に沿って形成されている。図3に示すように、この突出部21により、長手方向Aに延びる空間22が車内側に形成される。
【0013】
突出部21の後端部23には、その空間22を利用してリヤピラー4が設けられている。このリヤピラー4は、図5乃至図7に示すように、板状のブラケット41を有する。このブラケット41は、その一端部41aが側方に向かって起立するように、板状折曲げ部材の本体部42と他端部41bで溶接接合されている。ブラケット41の一端部41aには、頭部43aがT形状をしたピン43が立設している。このピン43は、頭部43aの反対側に位置する根元部43bでブラケット41と固着されていて、頭部43aがブラケット41と所定の距離だけ離間している。なお、リヤピラー4の上部には、ロックハンドル(図示省略)用のストッパ部44が突出して設けられており、このストッパ部44により、リヤゲート3がサイドゲート2に対して固定できる。
【0014】
リヤピラー4をサイドゲート2に取付けた場合には、ブラケット41の一端部41aは、車両前側に延在し、ピン43の頭部43aは、車内方向側(図2における右側)に位置している。
【0015】
次に、リヤゲート3部の構造について図2及び図4を用いて説明する。図2に示すように、リヤゲート3にも、車両後方向(同図における下方向)に向かって突出する突出部31がその長手方向B(車幅方向)に沿って形成されており、サイドゲート2と同様に、突出部31により、長手方向Bに延びる空間32が車内側に形成される。
【0016】
突出部31の両端部33には、その空間32を利用してブラケット34が固着されている。このブラケット34は、図2又は図4に示すように、長手方向Bに交差する方向に関してヒンジから遠方の端部寄りの位置でリヤゲート3に立設するように取付けられている。図4に示すように、ブラケット34には、雌ネジ部35が設けられている。また、リヤゲート3のヒンジ63側には、棚部36が設けられている。この棚部36は、ブラケット34の方向に向く表面37を有し、その表面37に突出するように、ピン38が取付けられている。なお、このピン38は、上述したピン43と同形状で同様に取付けられる。
【0017】
このように、サイドゲート2においては、リヤピラー4が空間22内に設置されており(図3参照)、リヤゲート3においては、ブラケット34が空間32内に設置されているので(図4参照)、荷台側への突出をなくすことができ、荷台スペースを最大限に利用することができる。
【0018】
次に、ゲートチェーン1について図8乃至図10を用いて説明する。このゲートチェーン1は、図8乃至図10に示すように、板状で、一端部にはチェーンブラケット11が設けられており、他端部12は鎖状のままである。このチェーンブラケット11は、段付き形状に形成されていて、その段付け部13にかけて変形穴14が設けられている。この変形穴14は、先端側14aが小寸でチェーン側14bが大寸で、両者が連通して形成されている。変形穴14の先端側14aは、ピン38、43の頭部43aよりも小さく、かつピン38、43の根元部43bよりも大きい。変形穴14のチェーン側14bは、ピン38、43の頭部43aよりも大きい。また、チェーンブラケット11の板厚は、ピン38、43の頭部43aとブラケット41との離間距離よりもわずかに小寸である。なお、ゲートチェーン1には、ポリ塩化ビニル製の透明なカバー15が部分的に設けられており、このカバー15は、タックピン16で固定されている。
【0019】
次に、上述した各構成部品の組付について図12を用いて説明する。同図に示すように、ゲートチェーン1は、他端部12(図8又は図9参照)がリヤゲート3のブラケット34に取付けられる。すなわち、段付ボルト51を他端部12のチェーン内を貫通させて、雌ネジ部35と螺合させて取付ける。この状態では、他端部12において回動自在である。このようにして、ゲートチェーン1は、リヤゲート3に取付けられる。
【0020】
上述したように、変形穴14の形状寸法(図8乃至図10参照)とピン38、43の外形形状(図5乃至図7参照))とを関連付けて形成しており、また、ピン43の頭部43aはT形状であるので、図3に示すように、両者が係合することにより、チェーンブラケット11がリヤピラー4に係止する。こうして、図2に示すように、リヤゲート3は、ゲートチェーン1を介してサイドゲート2と連結される。チェーンブラケット11は、連結した状態で、ピン43回りを回動可能である。そして、この連結状態は、チェーンブラケット11をピン43から取外すことにより、容易に解除できる。
【0021】
チェーンブラケット11は、リヤゲート3の棚部36に設けたピン38(図4参照)にも係合させることができる。この係合により、図11に示すように、例えばゲートチェーン1を使用しないときには、格納することができる。その際に、エンジンの振動、加減速時の慣性力やカーブ時の遠心力等によりチェーンが踊らないようにすべく、図12に示すように、ゲートチェーン1はリヤゲート3に固定可能である。このため、ゲートチェーン1とリヤゲート3等との当接等による異音の発生を防止することができる。
【0022】
本実施形態では、ゲートチェーン1としてのチェーンを用いているが、その代わりに、ワイヤーを用いることもできる。また、ゲートチェーン1にはチェーンブラケット11を設けているが、各チェーンの形状によっては、チェーンブラケット11を用いることなく、チェーンのみで構成することも可能である。また、本実施形態では、格納用にピン38を棚部36に設けているが、その他に、フック付きブラケット(図示省略)を設けても良い。
【0023】
本実施形態では、ゲートチェーン1を格納するための棚部36及びピン38をリヤゲート3側に設けているが、その他の実施形態としては、サイドゲート2側に棚部36及びピン38を設けることができる(図示省略)。また、本実施形態では、ゲートチェーン1の他端部12を鎖状のままにしてリヤゲート3にねじ固定しているが、その他の実施形態としては、この他端部にもチェーンブラケット11を設けるとともに、リヤゲート3のブラケット34にピン43を設けることにより、ゲートチェーン1がリヤゲート3との連結を解除できるように構成することもできる(図示省略)。
【0024】
なお、トラック61の荷台ゲート62の一方側(図1参照)について説明したが、他方側にも同様なチェーンの係留構造を採用する。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るチェーンの係留構造は、第1のゲートの車両外方突出部及び該第1のゲートに対して開閉自在な第2のゲートの車両外方突出部にそれぞれブラケットを設け、該各ブラケットは長手部材と連結可能で、該長手部材が上記各ブラケットと連結して上記第2のゲートの開度規制を行うことを特徴とするので、第1のゲートと第2のゲートにより画成される空間(例えばトラックの荷台)内にブラケットが位置することがなく、開度規制する構造を採用しても空間を最大利用することができ、例えば荷物を隅々まで積載することができる。
【0026】
上記長手部材は、上記第1のゲートのブラケット又は上記第2のゲートのブラケットのいずれか一方と持着するとともに他方と取外自在に構成され、上記他方の側のブラケットから取外した上記長手部材を、上記一方の側における車両外方突出部内に格納するように構成すると、第2のゲートの開度規制をしたりその開度規制を解除したりする際に長手部材の取扱いが容易に行うことができるので、上記の効果を維持しつつ、更にそのような作業性を向上させることができる。
【0027】
上記長手部材を格納する上記一方の側における車両外方突出部内に、上記長手部材を固定する手段を設けると、格納状態において、長手部材に何らかの外力(例えばエンジンの振動、加減速時の慣性力又はカーブ時の遠心力等)による遊びを最小限に抑えることができ、それに伴う雑音を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るチェーンの係留構造を採用したトラックの斜視図である。
【図2】図1のトラックにおいてリヤゲートの開度規制をゲートチェーンを用いて行った状態を車両後方から見た、図1のII部を拡大して表した斜視図である。
【図3】図2の線III−IIIによる断面図である。
【図4】図2の線IV−IVによる断面図である。
【図5】図2のリヤピラーの正面図である。
【図6】図2のリヤピラーの右側面図である。
【図7】図5の線VII−VIIによる部分断面図である。
【図8】図2のゲートチェーンの正面図である。
【図9】図2のゲートチェーンの右側面図である。
【図10】図9のXによる矢視図である。
【図11】図1のトラックにおいて、サイドゲートから取外したゲートチェーンを格納するとともにリヤゲートを立設固定した状態を車両後方から見た、図1のII部を拡大して表した図2に対応の斜視図である。
【図12】図11の線XII−XIIによる断面図である。
【図13】従来のチェーンの係留構造を採用したトラックにおいて、リヤゲートの開度規制をゲートチェーンを用いて行った状態を車両後方から見た拡大斜視図である。
【図14】図13の線XIV−XIVによる断面図である。
【図15】図13の線XV−XVによる断面図である。
【符号の説明】
1 ゲートチェーン
11 チェーンブラケット
12 他端部
13 段付け部
14 変形穴
14a 先端側
14b チェーン側
15 カバー
16 タックピン
2 サイドゲート
21、31 突出部
22、32 空間
23 後端部
3 リヤゲート
33 両端部
34、41 ブラケット
35 雌ネジ部
36 棚部
37 表面
38、43 ピン
4 リヤピラー
41a 一端部
41b 他端部
42 本体部
43a 頭部
43b 根元部
44 ストッパ部
51 段付ボルト
61 トラック
62 荷台ゲート
63 ヒンジ
A 長手方向(車両前後方向)
B 長手方向(車幅方向)
Claims (2)
- 第1のゲートおよび第2のゲートを備え、上記第1のゲートおよび上記第2のゲートはヒンジを介して車体に回動可能に取付けられ、上記第1のゲートと上記第2のゲートとを長手部材で連結して上記第2のゲートの開度規制を行うチェーンの係留構造において、
上記第1のゲートに車両外方突出部を設け、上記第1のゲートの車両外方突出部は、上記第1のゲートの長手方向に沿って形成され、車内側に空間を形成し、上記第2のゲートに車両外方突出部を設け、上記第2のゲートの車両外方突出部は、上記第2のゲートの長手方向に沿って形成され、車内側に空間を形成し、上記第1のゲートおよび上記第2のゲートの上記車両外方突出部の空間内で、かつ長手方向の端部に上記長手部材と連結可能なブラケットをそれぞれ設け、上記第1のゲート又は上記第2のゲートのいずれか一方における車両外方突出部の空間内のヒンジ側端部に棚部を設け、前記棚部の上面に上記長手部材を固定する手段を設け、
上記長手部材は、上記一方のゲートのブラケットと持着されるとともに、他方のゲートのブラケットと取外し自在に取付けられ、上記長手部材が上記他方のゲートのブラケットから取外された場合、上記長手部材は、上記固定する手段に係合されて、上記一方のゲートにおける上記車両外方突出部の空間内に格納される構造となることを特徴とするチェーンの係留構造。 - 上記第 1 のゲートがサイドゲートであり、上記第 2 のゲートがリヤゲートであり、上記長手部材は、上記リヤゲートのブラケットと持着されるとともに上記サイドゲートのブラケットと取外自在に取付けられ、上記サイドゲートのブラケットから取外された上記長手部材は、上記リヤゲートに設けられた上記固定する手段に係合されて、上記リヤゲートにおける上記車両外方突出部の空間内に格納される構造となることを特徴とする請求項1に記載のチェーンの係留構造。
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