JP3965400B2 - 圧縮成形木材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ワックスで表面処理された圧縮成形木材の製造方法に関する。
従来、カメラや携帯電話、ICレコーダ、PDA、テレビやビデオデッキ、エアコン、プロジェクタ等の家電製品のリモコン等、の電子機器の外装材は、成形性や堅牢性、耐腐食性といった機能的側面を考慮して工業的に大量生産されるため、専ら合成樹脂や軽金属といった大量生産に適した材料で製造されるのが一般的である。これらの材料では、表面光沢を増したり、表面の耐食性を増すために、必要に応じてコーティング、メッキなどの表面処理が施される。
しかしながら合成樹脂や軽金属は、木や竹といった自然素材が備える人間の感性に訴えかける優しい風合いや、例えば自然な木目などが醸す優れた視覚効果などを欠いているため、画一的な工業デザインになりがちである。
そのため、木材を、自然素材としての風合いや自然な木目などを生かして、工業製品に用いるために、強度が改善された圧縮成形木材が提案されている。
また、木材の表面性を改善して耐腐食性などを向上する木材の表面処理方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、室温で固体である木材含浸用の無溶媒溶融物を含浸させた木材部品と、そのような溶融物を加熱および加圧して浸漬させる木材への含浸方法が記載されている。
特開2003−73608号公報(第3−5頁)
しかしながら、上記のような圧縮成形木材およびその製造方法には、以下のような問題があった。
圧縮成形木材では強度は改善されるものの、表面から、例えば水分などが浸透することにより劣化する場合がある。これを防止するためにコーティング処理を行うのが一般的であるが、この場合、木材表面がコーティング材で覆われて、自然素材の風合いが失われてしまうという問題がある。
また、表面に傷がつくとコーティング層が失われてしまうので、そこから水分が浸透して劣化が進み、耐久性が損なわれるという問題がある。
特許文献1に記載の技術では、室温で固体である溶融物を木材に含浸させるので、表面が傷ついたとしても、水分などの浸透が抑えられる。そのため耐久性は維持されるものの、木材を加熱溶融された溶融物に浸漬して含浸させるため、木材の表面が溶融物により層状に覆われることになる。その結果、コーティング処理と同様に自然素材の風合いが失われてしまうという問題がある。
木材の風合いを取り戻すため、木材表面を露出させようとすれば、例えば表面研磨などにより、表面の溶融物層を除去する工程を追加しなければならないので手間がかかるという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、木材表面の風合いを保ちつつ、強度および耐久性に優れた圧縮成形木材の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項に記載の発明では、圧縮成形木材の製造方法であって、木材を昇温して金型で圧縮する圧縮工程と、昇温状態で型締めを持続することにより木材に金型形状を転写・固定する固定工程と、前記金型から木材を脱型する脱型工程とを有する圧縮成形木材の製造方法であって、前記圧縮工程および前記固定工程の少なくともいずれかにおいて、前記金型と前記木材表面との間に前記昇温状態の温度で溶融するワックスを供給して、前記木材の表層部に前記ワックスを浸透させ、所定時間型締めを持続するとともに、前記ワックスの流動性が失われる温度になってから、前記脱型工程を行う方法とする。
この発明によれば、溶融したワックスを圧縮工程および固定工程の少なくともいずれかで、昇温状態において供給するため、溶融したワックスが木材の表層部に円滑に浸透される。そして、所定時間型締めを持続して金型形状の転写・固定を行うとともに、ワックスの流動性が失われる温度になってから脱型する。そのため、ワックスが流動性を有する間、型締めが持続されて、木材表面が金型表面に密着するので、圧縮成形木材表面がワックス層で全体的に覆われることなく、木材表面が露出した状態で脱型できる。
その際、金型と木材表面との間で、圧縮を受ける溶融したワックスは、潤滑剤の機能を有するので、圧縮が円滑に行われるとともに、溶融したワックスが金型表面形状に倣うので、表面の光沢が向上できる。また、脱型工程では、木材の表層部に存在するワックスにより離型性が向上できる。
なお、ここで、圧縮成形木材の表層部とは、圧縮成形木材の表面から適宜深さで内部側に広がる領域を意味する。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮成形木材の製造方法において、前記金型と前記木材表面との間に前記ワックスを供給する際に、少なくとも前記金型で囲まれる空間内を真空吸引により負圧状態とする方法とする。
この発明によれば、少なくとも金型で囲まれる空間内を真空吸引して負圧状態とするので、木質繊維内に存在する空気・水分などが少なくとも金型で囲まれる空間内から排出され、それらが排出された木質繊維内に円滑にワックスを浸透させることができる。
請求項に記載の発明では、請求項に記載の圧縮成形木材の製造方法において、前記圧縮工程および前記固定工程を、真空吸引可能な圧力容器内に前記金型を配置して行う方法とする。
この発明によれば、真空吸引可能な圧力容器内に金型を配置して圧縮工程および固定工程を行うので、金型を真空吸引するための構造とする必要がなく、汎用的な金型構造であっても、これら工程での真空吸引を容易に行うことができる。
請求項に記載の発明では、請求項のいずれかに記載の圧縮成形木材の製造方法において、前記ワックスが、その母体材料の溶融温度より融点の高い添加物を含む方法とする。
この発明によれば、融点が比較的高い添加物であっても、溶融したワックスの母体材料に混合することで、圧縮成形木材の表層部に添加物を分散させることができる。
本発明の圧縮成形木材の製造方法によれば、表層部にワックスが含浸されるので、コーティング処理などを施さなくても、水分などの浸透を防止でき、表面に傷が生じても水分の浸透などによる木材の変質、腐食を防止できるから、木材表面の風合いを保ったまま、強度、耐久性を向上することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施の形態の詳細について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る圧縮成形木材について説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材について説明するための斜視説明図、A−A断面図である。図2(a)は、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材のワックス含浸部における木質繊維に垂直な断面の構造について説明するための模式説明図である。図2(b)は、圧縮前の木材の木質繊維に垂直な断面の構造について説明するための模式説明図である。
本実施形態の圧縮成形木材は、金型により圧縮成形され、例えば箱状、薄肉シェル状などの3次元的な形状が形成されたもので、様々な用途に用いることができるが、例えば、カメラや携帯電話、ICレコーダ、PDA、テレビやビデオデッキ、エアコン、プロジェクタ等の家電製品のリモコンといった電子機器の外装材などとして好適に用いることができるものである。
図1(a)に示す圧縮成形木材1は、その一例であって、平面視略矩形状の底面部の周囲を側壁部1Cが囲むことで、一方に開口した函体として成形されている。コア側の金型により内面1Bが、キャビティ側の金型により外面1Aが形成されている。
そして、図1(b)に断面図で示すように、外面1A、内面1Bの表層部、すなわち、それぞれの表面から内部側に、適宜深さの範囲で、ワックス5(図2(a)参照)を含浸したワックス含浸部2が形成されている。この深さは、圧縮成形木材1の板厚や、圧縮率、木材の密度、ワックス5の溶融時の粘度などにより可変することができるが、例えば使用時に受ける可能性がある傷の深さなどを考慮して、それ以上の深さまで形成しておくことが好ましい。図示では、板厚の4分の1程度の範囲に描いているが、これより厚くても薄くてもよく、場所により厚さが変っていてもよい。また、ワックス含浸部2は、板厚方向全体にわたっていてもよい。
図1(b)において、符号1aは、断面に現れる木質繊維を模式的に表したものである。実際には、木質繊維は稠密に配置しているが、ここではそのごく一部のみを選択して表示している。
通常の木材(針葉樹)の表面は、図2(b)に模式的に示すように、細胞壁Wに囲まれて、木材内部に連続する仮導管Tが形成され、仮導管Tが比較的大きく開口している。一方、圧縮成形木材1のワックス含浸部2では、図2(a)に模式的に示すように、細胞壁Wが圧縮方向につぶされ、仮導管Tの開口が細隙化しているものである。
ワックス5は、主に、このような細隙化した仮導管Tを通じて、表面から適宜深さの範囲に浸透され、ワックス含浸部2を形成している。なお、本明細書において木質繊維と言うときには、細胞壁Wで囲まれた単一の仮導管(針葉樹の場合)または導管(広葉樹の場合)を指すものとする。
圧縮成形木材1を形成するための木材としては、例えば檜、檜葉、桐、チーク、マホガニー、杉、松、桜、竹等が挙げられる。また、ムクの木材だけではなく、廃材チップや木粉等を集めて固めた圧縮加工材料のような木質材を使用することも可能である。
ワックス5は、常温で固体であって、加熱すれば比較的低粘度な液体となるものであり、例えば、動植物から抽出される天然蝋やその人工代用物、パラフィンなどの石油ワックス、炭化水素系などの合成ワックス、およびそれらの混合物などからなる。
そして、圧縮成形木材1の表面状態を改良するために、例えば、防湿、防水、膨潤防止、表面の平坦化(つや出し)、汚損防止、電気絶縁性付与など、種々の目的に応じて、適宜のワックスを採用することができる。
ただし、圧縮成形木材1が使用される環境温度では、固体であり、圧縮成形木材1が成形される際の昇温状態で、溶融して液体となるものを選定する。例えば、溶融温度が70℃〜180℃の範囲にあるものなどが好適に採用できる。
浸透を促進するために、溶融時の粘度はできるだけ低いことが好ましい。
また、ワックス5には、溶融時の流動性を損なわない範囲において、ワックスの母体材料の溶融温度より融点が高く成形時の昇温状態で固体である添加物などを含んでいてもよい。この場合、添加物の粒径は、母体材料とともに流動して木質繊維に浸透できるように小さいものが好ましい。
添加物としては、目的に応じて種々の物質を採用することができるが、例えば、抗菌加工用の抗菌材、着色のための色材などを挙げることができる。
このような圧縮成形木材1によれば、外面1A、内面1Bの表層部にワックス含浸部2が形成されているので、空気や水分などの出入りが規制されている。
そのため、例えば水分が浸透して、圧縮成形木材1が膨潤して変形したり、木質繊維が腐食されたり、汚れが入り込んで汚損されたりすることを防止できる。また、表面に傷などを受けた場合でも、ワックス含浸部2が形成された範囲では、これらの効果を持続することができる。
したがって、圧縮成形木材1の強度やその表面の美観を経時にわたって持続できるので耐久性を向上することができる。
また、圧縮成形木材1では、滑らかな金型表面に沿って密着した状態で成形されており、表層部にワックス5が含浸されているので、表面の平滑性、光沢性に優れるものとなっている。このため、コーティング処理などを施さなくても、例えば工業製品の外装材などの用途に好適な表面性を備えているものである。
そして、表面が、全体的に樹脂やワックスなどのコーティング層で覆われないために、木材表面の触感、色彩、および質感など、自然素材である木材の風合いを保持することができるという利点がある。
このように、圧縮成形木材1は、強度、耐久性、平滑性、光沢性、木材の風合いを保つ美的な外観などを備え、電子機器の外装材などを含む種々の工業製品の筐体、外装材などとして、好適に用いることができるものとなっている。
次に、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の製造方法について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の製造方法の概略工程について説明するためのフローチャートである。図4(a)、(b)は、同じく荒削り工程、圧縮工程について説明するための工程説明図である。図5は、同じく固定工程の詳細について説明するためのフローチャートである。図6(a)は、同じく固定工程について説明するための工程説明図である。図6(b)は、同じく固定工程の第1の変形例について説明するための工程説明図である。
本実施形態の圧縮成形木材の製造方法は、図3に示すように、荒削り工程、圧縮工程、固定工程、脱型工程をこの順に行うものである。そして、圧縮工程および固定工程の少なくともいずれかで、圧縮成形木材1にワックス5を含浸させるようにしている。
以下では、固定工程においてワックス5を含浸させる場合について説明する。
ステップS1の荒削り工程は、圧縮成形木材1の各部での圧縮率などを考慮して、圧縮成形木材1の寸法より、例えば板厚などが大きめの荒削り木材10(図4(a)参照)を削り出す工程である。
ステップS2の圧縮工程は、図4(a)、(b)に示すように、荒削り木材10を、コア側金型として、概略凸状に設けられ圧縮成形木材1の内面1Bの形状を形成する金型面Bを有する上型枠Bと、キャビティ側金型として、概略凹状に設けられ圧縮成形木材1の外面1Aの形状を形成するための金型面Aを有する下型枠Aとで挟んで圧縮成形を行う工程である。
下型枠Aと上型枠Bとは、特に図示しないが、それぞれ金型温度を調整する温度調節機構を備え、上下方向に型締めして圧力を加えるプレス機構に保持されている。また、これらは、容器内が所定の圧力・温度を維持するとともに、高圧高温水蒸気の噴射、真空吸引が可能とされた圧力容器(不図示)に設置されている。
本工程では、金型温度を例えば180℃〜200℃に保ち、例えば180℃〜200℃、1〜1.6MPaの水蒸気を供給しながら圧縮する。荒削り木材10は、水蒸気を吸収するとともに加熱昇温されることで柔軟性を増すため容易に圧縮成形される。
図4(b)は、型締めされ、荒削り木材10が金型面A、Bに沿う圧縮成形木材1の形状に成形されている様子を示す。
ステップS3の固定工程は、金型形状に沿った圧縮形状を木材に永久固定するとともに、木材表面にワックス含浸部2を形成するための工程である。
本工程の詳細について、図5、6を参照して説明する。
ステップS10では、圧縮工程での型締め状態を所定時間保持する。圧縮形状が永久固定されるまでの所定時間は、例えば木材の種類、水蒸気温度、圧力、金型温度により異なるが、本実施形態の範囲では、例えば、10分から1分程度である。木材に高温水蒸気を浸透させ続けることで、単に金型温度を高温に保つ場合に比べ、格段に型締め保持時間を短縮することができる。
ステップS11では、水蒸気の噴射を停止し、金型の昇温状態を保持したまま、型締め力を解除し、金型と圧縮成形木材1との間にわずかに隙間ができるようにする。そして、圧力容器を真空吸引することで、金型で囲まれる空間を負圧とし、空気、水分を排出する。型締め力を解除しているため、圧縮成形木材1の内部の水分もわずかな隙間を通して排出される。
ここで、真空吸引は、金型で囲まれる空間内を完全に真空にしなくてもよく、例えば、大気圧の半分くらいに減圧する程度でも、十分効率的に水分の排出や後述するワックス5の浸透を行うことができる。
ステップS12では、ワックス注入管6により、金型と圧縮成形木材1との間にワックス5を供給する(図6(a)参照)。圧力容器内の温度および金型温度、圧縮成形木材1の温度が昇温状態にあるので、ワックス5は溶融している。そのため、圧縮成形木材1の内部の空気や水分などが真空吸引により排出されていることと相俟って、ワックス5は、金型面A、Bに沿って流動し、順次、圧縮成形木材1の表層部に浸透され、圧縮成形木材1の外面1A、内面1Bの全面から浸透していく。
ステップS13では、ワックス5が所定の範囲に浸透し終えたタイミングで、再型締めを行う。これにより、外面1A(内面1B)と金型面A(B)とが密着され金型形状が正確に転写される。例えば、ワックス5の浸透により表面が膨潤しても、再圧縮されて、金型形状に即した形状に戻されて固定される。また、外面1A(内面1B)の表面を流動することで、一時的にワックス5による膜層ができていたとしても、再圧縮されることで、金型面A(B)により木材の内部に押し込まれるか、もしくは金型の外部に押し出され、余分なワックスの膜層が排除される。そして、金型面A(B)に沿って木材表面が密着される。
ステップS14では、脱型後にワックス5が表面に流出しないように、型締めを保持した状態で、冷却または放冷し、少なくとも表面のワックス5に流動性がなくなるまで放置する。
以上で、固定工程(ステップS3)を終了する。
このようにして、本工程では、圧縮成形木材1に金型形状が転写・固定されるとともに、ワックス含浸部2が形成される。
次にステップS4(図3参照)の脱型工程では、型締め力を解除し金型を開いて、圧縮成形木材1を脱型する。このとき、ワックス5は、少なくとも表面では流動性が失われているので、含浸されたワックス5が圧縮成形木材1の表面から流出することはない。
また、圧縮成形木材1の表層部に含浸されたワックス5が金型面と接触するので、離型剤の作用効果を有するため、脱型が容易となるという利点がある。
本方法によれば、ワックス5が流動性を有する間、型締めが持続されて、木材表面が金型面に密着するので、圧縮成形木材1の表面がワックス5により全体的に覆われることがなく、表層部が金型面に沿って押しつけられて平滑な木質表面が形成された状態で脱型できる。このため、圧縮成形木材1に平滑で光沢に富んだ表面が形成される。
例えば、溶融ワックスに浸漬するような場合は、表面にワックス層が残るので、木材表面を露出させるためには、含浸後に、例えば、研削、研磨工程などを行って余分なワックス層を除去する必要がある。また、その際の除去加工で、表面の平滑性が失われるので、つやを失った木質表面となるため、さらにつや出し工程なども設ける必要がある。
本方法によれば、このような工程を省略することができるので、木材表面を露出した光沢のある圧縮成形木材1を効率よく製造することができるものである。
また、木材の表面性を改善するワックスの含浸を、圧縮成形工程の昇温状態を利用して永久固定のための固定工程の中に並行的に行っている。その際、ワックス5を浸透させるために水分の排出に用いる真空吸引も共用している。そのため、圧縮成形後に浸漬工程や表面処理工程を設ける場合と比べて、工程サイクルを短縮することができ、それらの工程を行うための装置類も不要となるので、製造工程を合理化することができるという利点がある。
また、ワックスを含浸させても、圧縮成形木材1が膨潤を起こして形状精度がばらつくといったことも防止することができる。
また、圧力容器内で各工程を行うので、汎用的な金型を用いて圧縮成形することができるという利点がある。
次に、本方法の第1の変形例について説明する。
本変形例の圧縮成形木材の製造方法は、下型枠A、上型枠Bなどを圧力容器に入れないで行う方法である。以下、上記の実施形態と異なる点を中心に簡単に説明する。
本方法では、図6(b)に示すように、下型枠A、上型枠Bの型合せ面にOリング9のようなシール部材が設けられ、型締め時に、金型面A、Bなどで密閉される型内空間が気密、液密に保たれる構造とする。そして、そのような型内空間と外部の真空ポンプとを接続する真空引き管路20、高圧水蒸気を循環させる高圧水蒸気管路21が設けられている。下型枠A、上型枠Bの内部には、金型面A、Bに開口する複数のワックス供給管7、8が設けられている。ワックス供給管7、8の先端は、弁機構22が設けられており、金型面に沿って閉止した状態と、ワックス5を供給するために開口する状態とを切り替えられるようになっている。
このような金型構造とすることにより、上記の圧縮工程、固定工程における高温高圧水蒸気噴射、真空吸引、ワックス供給を、型内空間内で行うことができる。
すなわち、圧縮工程では、予め高温高圧水蒸気を噴射処理した荒削り木材10を金型に移送して、圧縮を行い、型締めする。そして高圧水蒸気管路21を通して、型内空間に高温高圧水蒸気を循環させる。これにより、荒削り木材10の金型面への密着を確かなものとする。
そして、固定工程では、所定時間、上記の状態を保持して金型形状を完全に転写し、永久固定を図る。
所定時間経過後、高温高圧水蒸気の循環を停止して排水する。そして、真空引き管路10から水分および空気を真空吸引する。その後、ワックス供給管7、8によりワックス5を供給する。この場合、ワックス供給管7、8は、下型枠A、上型枠Bの内部に形成されているので、金型温度に加熱されており、溶融した状態でワックス5を供給できる。
所望のワックス含浸部2を形成した後、ワックス供給管7、8の弁機構を閉じてから、図5のステップS13とステップS14を行う。
本変形例によれば、型内空間で、高温高圧水蒸気噴射、真空吸引、ワックス供給を行うので、プレス機構を含んだ金型全体を圧力容器に納めなくてもよいから、簡素な装置で製造することができるという利点がある。
次に、本方法の第2の変形例について説明する。
本変形例は、ワックス5を固定工程で含浸させる代わりに、圧縮工程において含浸させるものである。
そのため、圧縮時に、荒削り木材10と金型面A、Bとの間にワックス5を供給しておく。金型温度は、ワックス5が溶融する温度であるから、ワックス5は、圧縮工程を通じて、荒削り木材10と金型面A、Bとの間で流動する状態にある。そのため、金型の圧縮力を受けて、木材の内部に浸透される。
そして、固定工程において、所定時間、型締め状態を保持して、金型形状を転写、固定する。その後、ワックス5の流動性が失われる温度まで冷却または放冷したのち、適宜乾燥させてから、脱型工程を行う。
本変形例によれば、圧縮時に、金型面A、Bと荒削り木材10との間にワックス5が介在することにより、圧縮を円滑に行うことができ、荒削り木材10の表面が滑らかに金型面に押圧、圧縮されるので、より平滑な表面性が得られるという利点がある。
なお、上記の説明では、圧縮成形木材1はキャビティ側、コア側の両面にワックス含浸部2を備える例で説明したが、ワックス含浸部2は必要な側に、必要な大きさで設けることができる。例えば、外装材などに用いる場合など外装の表面となる側のみにワックス含浸部2を設けてもよい。
また、上記の説明では、圧縮成形木材1として開口を有する函体の例で説明したが、金型で圧縮成形するものであれば、どのような形状でもよく、例えば、平板などであってもよい。
また、上記の説明では、固定工程で、ステップS13までの間、圧力容器内、金型の温度を保持するとして説明したが、ステップS11までに略永久固定が終わるので、それ以降は、ワックスが溶融する程度の昇温状態を保持できればよい。ワックスの溶融温度は、一般には、永久固定に必要な温度より低いので、ステップS13終了までの間に、加温を停止したり、徐冷したりしてもよい。このようにすれば、ステップS14の時間を短縮できるので、製造タクトを短縮することができるという利点がある。
本発明の実施形態に係る圧縮成形木材について説明するための斜視説明図、A−A断面図である。 本発明の実施形態に係る圧縮成形木材のワックス含浸部、および圧縮前の木材の木質繊維に垂直な断面の構造について説明するための模式説明図である。 本発明の実施形態に係る圧縮成形木材の製造方法の概略工程について説明するためのフローチャートである。 本実施形態の荒削り工程、圧縮工程について説明するための工程説明図である。 本実施形態の固定工程の詳細について説明するためのフローチャートである。 本実施形態の固定工程およびその第1の変形例について説明するための工程説明図である。
符号の説明
1 圧縮成形木材
2 ワックス含浸部
5 ワックス
6 注入管
10 荒削り木材
、B 金型面

Claims (4)

  1. 木材を昇温して金型で圧縮する圧縮工程と、昇温状態で型締めを持続することにより木材に金型形状を転写・固定する固定工程と、前記金型から木材を脱型する脱型工程とを有する圧縮成形木材の製造方法であって、
    前記圧縮工程および前記固定工程の少なくともいずれかにおいて、前記金型と前記木材表面との間に前記昇温状態の温度で溶融するワックスを供給して、前記木材の表層部に前記ワックスを浸透させ、前記ワックスの流動性が失われる温度になってから、前記脱型工程を行うことを特徴とする圧縮成形木材の製造方法。
  2. 前記金型と前記木材表面との間に前記ワックスを供給する際に、少なくとも前記金型で囲まれる空間内を真空吸引により負圧状態とすることを特徴とする請求項に記載の圧縮成形木材の製造方法。
  3. 前記圧縮工程および前記固定工程を、真空吸引可能な圧力容器内に前記金型を配置して行うことを特徴とする請求項に記載の圧縮成形木材の製造方法。
  4. 前記ワックスが、その母体材料の溶融温度より融点の高い添加物を含むことを特徴とする請求項のいずれかに記載の圧縮成形木材の製造方法。
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