JP3964659B2 - 荷電性粒子およびその製造方法ならびに電子回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板を作製するための電子部品実装プロセスにおいて、配線パターンと電子部品とを接合するため、より詳細には電気的および物理的(または機械的、以下同様)に接合するための接合材料として使用される新規な材料およびその製造方法に関する。また、本発明は、このような接合材料を用いて得られる電子回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器などに用いられる電子回路基板の製造プロセスにおいて、電子部品を基板に実装するため、より詳細には、電子部品の所定の箇所(例えば電極またはリード、端子もしくはターミナル、以下、単に電極とも言う)と、基板に形成された配線パターンの所定の箇所(例えばランド、以下、単にランドまたはランドパターンとも言う)とを電気的および物理的に接合するために用いられる方法の1つにリフローはんだ付けがある。リフローはんだ付けは、概略的には、基板に形成された配線パターンのランドの上にはんだを含む接合材料を供給し、その後、電子部品をランド上に適切に配置し、基板を熱処理することにより電子部品の電極と配線パターンとをはんだ付けするものである。
【0003】
このリフローはんだ付けにおいては、従来、接合材料としてクリームはんだが用いられており、接合材料であるクリームはんだを基板上に形成された配線パターンのランド上に供給するために、通常、スクリーン印刷法が用いられている。このような従来の方法について以下に説明する。まず、基板上のランドに対応するように所定の形状の開口部が所定の箇所に設けられた、厚さ80〜150μmのメタルマスク(またはスクリーン版)を、その開口部が基板上のランドと合わさるようにして基板に接触させて配置する。そして、基板上に配置したメタルマスク上の一方の端部付近にクリームはんだ(接合材料)を供給する。次に、スキージを基板面に対して平行移動させてメタルマスク上にあるクリームはんだをならすことによって、メタルマスクに設けられた開口部に該接合材料を充填する。その後、メタルマスクを基板から離して、メタルマスクとその上にあるクリームはんだを基板から除去する。このとき、開口部に充填されたクリームはんだはメタルマスクを通り抜けて、即ち「版抜け」して、基板上の配線パターンのランド上に残留し、これにより、クリームはんだが配線パターンのランド上に供給される。一般に、接合材料が供給されるべきランドは基板上に複数存在しており、所定のランドパターンを構成しているため、接合材料は、ランドパターンに対応した接合パターンとしてランドパターン上に供給される。
【0004】
スクリーン印刷法において用いられるクリームはんだは、通常、スズおよび鉛を主成分とする直径10〜40μmのはんだ粉末と、ロジン、活性剤および溶剤から成るフラックスとが混合されて構成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、携帯電話などの携帯用電子機器の小型化および高機能化に対する要求を受けて、電子回路基板の更なる高集積化を図るべく、基板に実装される電子部品の小型化ならびに電子部品の電極間の狭ピッチ化が進行している。これに伴って、電子部品実装のためのランドの更なる微小化が求められ、電子部品を接合するための接合材料をより微小なランド上に供給すること、換言すれば、接合材料から成る接合パターンの更なる微細化が求められている。
【0006】
しかし、メタルマスクを用いる従来のスクリーン印刷法により、このような微小なランドの上に接合材料であるクリームはんだを供給すると、クリームはんだが版抜けせずに開口部に残留し、クリームはんだが配置されていないランドが存在し得るという問題がある。この問題を克服するために、例えば、メタルマスクの厚みをより薄くすることも考えられるが、この場合には、接合材料であるクリームはんだから成る接合パターンが、ランドパターンからずれた状態で形成され、接合材料をランド上に正確に供給できないという新たな問題が生じ得る。このような問題点があることから、接合材料としてクリームはんだを用い、該クリームはんだをスクリーン印刷法により基板に供給することは、微細な接合パターンを形成するのに十分満足できるものではない。
【0007】
これらの問題に加えて、接合材料として一般的に用いられるクリームはんだ自身に起因する問題もある。クリームはんだには、印刷性を良くするためにチキソ剤が通常添加されているが、このチキソ剤の物性が応力に対して変化し易いため、クリームはんだの流動特性が変化し易くなる。このため、印刷時におけるクリームはんだの取扱いが難しく、基板への印刷状態の制御が困難であり、高い再現性が得られないという問題がある。
【0008】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、電子部品の実装において、基板に形成された配線パターンと電子部品とを接合する、より詳細には電気的および物理的に接合する(または導電接続する)ための接合材料として好適に用いられる新規な材料およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従来の一般的な電子部品の実装プロセスにおいては、上述のように、基板に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料をスクリーン印刷法によって基板上に印刷(より詳細には配線パターンの所定の箇所上、例えばランド上に供給)しており、このような方法により印刷される接合材料としてクリームはんだが用いられている。これに対して、多層積層板の製造プロセスにおいては、回路形成用材料をグリーンシート上に電子写真法によって印刷する方法があり、電子写真法により印刷される回路形成用材料としては、荷電性粒子から成る粒状材料(または荷電性粉末)が用いられている。
【0010】
例えば、特開平11−251718号公報には、荷電性粉末(荷電性粒子)を、電子写真法によってグリーンシート上に所定のパターンで印刷し、得られたグリーンシートを積層して焼成することにより、多層配線板を作製することが記載されている。この回路形成用材料として用いられる荷電性粒子は、導電性金属粒子、熱溶融性樹脂、荷電制御剤および接着強化剤から成る混合物を熱溶融混練し、これを粉砕および分級することにより得られ、得られた荷電性粒子は、導電性金属粒子、荷電制御剤および接着強化剤が熱溶融性樹脂中に分散された構造を有する。以上のような荷電性粉末は、電子写真法による印刷技術において用いられる、いわゆるトナーに相当するものであり、一般的にはトナーと同程度の粒径を有する。例えば、特開平11−251718号公報には、荷電性粒子は約3〜20μmの平均粒径を有し得ることが記載されており、荷電性粒子において熱溶融性樹脂成分中に分散される導電性金属粒子は、当然、荷電性粒子の粒径よりも小さい粒径を有する。回路形成用材料に用いられる導電性金属粒子は、回路材料として一般的に用いられる銅などの比較的高融点の金属材料から成る(以下、回路形成用材料に用いられる導電性金属粒子を単にCu粒子とも言う)。
【0011】
本発明者らは、基板に形成された配線パターンと電子部品とを電気的および物理的に接合する接合材料を基板上に印刷するために、スクリーン印刷法に代えて電子写真法の原理を利用することについて検討した。従来、接合材料として用いられて来たクリームはんだは、電子写真法により印刷するのに適さない。また、上述のような荷電性粉末から成る回路形成用材料をそのまま用いたのでは、基板上に形成された配線パターンと電子部品とを電気的および物理的に接合することができない。このため、電子写真法により印刷可能であり、かつ、基板上に形成された配線パターンと電子部品とを電気的および物理的に接合可能な新規な接合材料を開発する必要がある。
【0012】
接合材料を電子写真法により印刷するためには、該材料として、トナーのような荷電性粒子から成る粒状材料を用いることが必要であると考えられる。また、配線パターンと電子部品とを電気的および物理的に接合するためには、荷電性粒子中に存在する金属粒子として、上記のようなCu粒子に代えて、比較的低融点のはんだ材料から成る粒子(以下、単にはんだ粒子とも言う)を用いることが好ましいと考えられる。そこで、本発明者らは、新規な接合材料の実現を試みて、はんだ粒子を熱溶融性樹脂と共に熱溶融混練し、得られた常温で固体の混合物を粉砕することにより(以下、本明細書においてこのような方法を混練・粉砕法と言うものとする)、新規な荷電性粒子(または粒状材料)を作製した。しかし、このようにして得られた荷電性粒子は、電子写真法により基板上に印刷することは可能ではあるが、微細なパターンで正確に基板上に印刷することは必ずしも十分ではないことが判明した。これは、はんだ粒子を用いて得られた荷電性粒子では、はんだ粒子および樹脂を含む混合物を粉砕する際に、はんだ粒子が樹脂で完全に覆われずに露出する場合があることに一因があると考えられる。
【0013】
上述のような回路形成用材料である荷電性粒子に用いられるCu粒子は、例えば析出法などにより、十分に小さい粒径、例えば約1μm以下の平均粒径を有するように製造することが可能である。よって、金属粒子としてCu粒子を用いる上述の荷電性粒子(回路形成用材料)では、Cu粒子が露出せずに樹脂成分により十分に覆われるように、用いるCu粒子の平均粒径を、上述のような約3〜20μmの範囲にある目的の荷電性粒子の平均粒径に応じて適切に選択することが可能である。
【0014】
これに対してはんだ粒子は、合金であるはんだ材料から成るために析出法により製造できず、一般的にはアトマイズ法により、溶融状態のはんだ材料を噴霧し、そのまま凝固させることによって製造される。よって、その製法上、Cu粒子と同程度に小さい粒径を有するようなはんだ粒子を得ることは難しく、市販のはんだ粒子の粒径は、最小でも約10μmであるのが現状である。このため、金属粒子としてCu粒子の代わりにはんだ粒子を用いて上述のような新規な荷電性粒子を作製する場合、金属粒子としてCu粒子を用いる場合に比べて、利用可能な金属粒子の粒径が限られており、比較的大きな粒径を有するはんだ粒子を用いざるを得ず、金属粒子が樹脂で完全に覆われずに露出することが多い。金属粒子が少なくとも部分的に露出していると、荷電性粒子を帯電させる際、帯電電荷が露出した金属粒子へと逃げるので、荷電性粒子を一様に帯電させることができず、このため印刷精度が低下すると考えられ得る。
【0015】
これに加えて、上述のような混練・粉砕法により得られる荷電性粒子は形状が不揃いで、非常に広い粒径分布を有するため、印刷に使用するに先立って篩分けなどにより粒径をある程度揃える必要もある。
【0016】
本発明者らは更なる鋭意検討の結果、上記のような問題を解決し、スクリーン印刷法を用いることなく、電子写真法の原理を利用して、基体(例えば基板などの被印刷体)上に所望のパターンで正確に印刷することが可能な新規な接合材料を実現するに至った。尚、以下に説明する本発明によって得られる接合材料は、電子部品を基体(より詳細には基体に形成された配線パターン)に物理的および電気的に接合すること(換言すれば、導電性接合または導電接続を確保すること)ができる材料であればよく、よって、何らかの処理を施すことにより電子部品を基体に物理的および電気的に接合できる限り、接合前(例えば電子写真法による印刷の際)に必ずしも導電性を示す必要はないことに留意されるべきである。
【0017】
本発明の1つの要旨によれば、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料として用いられる粒子であって、約250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子(以下、単に金属粒子とも言う)と、表面溶融化処理または機械的表面処理により形成された、該金属粒子を被覆する絶縁性樹脂層(より詳細には、絶縁性樹脂を含む層)とを有する粒子が提供される。このように、金属粒子が絶縁性樹脂層で覆われた粒子は帯電させることができ、よって荷電性を有するため、本発明においてこのような粒子を荷電性粒子と呼ぶものとする。本発明の荷電性粒子は、電子写真法に言うところのトナーに用いられる、いわゆるトナー粒子と同程度の帯電特性を有し得る。尚、本明細書において、「荷電性粒子」とは、1つの荷電性粒子および荷電性粒子の集合物を総称するものとして用いるものとする。
【0018】
本発明は、荷電性粒子が表面溶融化処理または機械的表面処理されて成る絶縁性樹脂層を有することを1つの特徴とするものである。表面溶融化処理とは、一般的に、高温の熱風気流により溶融し得る表面を有する粒子(または複合体粒子)を該熱風気流に曝して粒子表面を溶融させ、その後、冷却して一旦溶融した表面を凝固させる処理を言う。本発明においては、金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子とを混合して、例えば静電気力などにより絶縁性樹脂を含む粒子を金属粒子の表面に付着させて複合体粒子を形成し、その表面に位置する絶縁性樹脂を含む粒子を少なくとも部分的に溶融させるように複合体粒子を加熱することにより表面溶融化処理が実施され、これにより、金属粒子が絶縁性樹脂層で被覆されて成る荷電性粒子が得られる。このような表面溶融化処理は、例えば、サーフュージングシステム(日本ニューマチック工業株式会社製)を利用して実施され得る。
【0019】
また、機械的表面処理とは、一般的に、素材の異なる粒子(または粉体)に機械的エネルギー(または剪断応力)を加えることにより、これら物質間にメカノケミカル的な反応をもたらして物質表面を改質する処理を言う。本発明においては、金属粒子と絶縁性樹脂を含む粒子との間でメカノケミカル的な反応を起こすように、金属粒子と絶縁性樹脂を含む粒子とを混合しつつ機械的エネルギーを加えることにより機械的表面処理が実施され、これにより、金属粒子が絶縁性樹脂層で被覆されて成る荷電性粒子が得られる。このような機械的表面処理は、例えば、メカノミル、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)や、メカノフュージョン(登録商標)システム(ホソカワミクロン株式会社製)を利用して実施され得る。
【0020】
従って、本発明の別の要旨によれば、上述のような接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法であって、金属粒子と絶縁性樹脂を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理または機械的表面処理に付して、該金属粒子と、該金属粒子を被覆して形成された絶縁性樹脂層とを含む荷電性粒子を得ることを含む方法もまた提供される。
【0021】
本発明の荷電性粒子に含まれる金属粒子は約250℃以下の融点、例えば180〜230℃の融点を有する金属材料から成り、このような融点は、回路形成用材料に用いられる銅などに比べて極めて低い。尚、本明細書において「融点」とは、材料が少なくとも部分的に溶融し始める温度を言うものとする。
【0022】
このような金属材料としては、例えばいわゆるはんだ材料を用いることができる。はんだ材料は鉛を含んでいても、鉛を含んでいなくてもよいが、環境への影響を考慮すれば、鉛を含まない鉛フリーはんだ材料が好ましい。鉛を含有するはんだ材料には、例えばSn−Pb系材料があり、他方、鉛フリーはんだ材料には、例えばSn−Ag系材料、Sn−Ag−Cu系材料、Sn−Bi系材料、Sn−Cu系材料、Sn−Cu−Ni系材料、Sn−Ag−Bi系材料、Sn−Ag−Bi−In系材料、Sn−Ag−Bi−Cu系材料、Sn−Zn系材料、Sn−Zn−Bi系材料などがある。尚、本明細書において、「〜系材料」とは、その材料系についての共晶組成およびその近傍の組成を有し、該共晶組成から大幅にずれない程度に微量の他の成分を含み得る材料を言うものとする。
【0023】
本発明によれば、このように約250℃以下の低い融点を有する金属材料を用いているので、金属材料をその融点以上に加熱して一旦溶融させた後に冷却または放冷して凝固させることができ、これにより、凝固した金属材料を介して電子部品を基板(より詳細には配線パターン)に電気的および物理的に接合することが可能となる。
【0024】
また、金属粒子は、約1〜20μmの平均粒径を有し得、例えば約5〜10μmの平均粒径を有する。従来の接合材料であるクリームはんだでは、上述したように10〜40μmの直径を有するはんだ粒子(粉末)が用いられている。しかし、本発明の荷電性粒子(接合材料)を得るために、このようなサイズのはんだ粒子を金属粒子としてそのまま用いることは好ましくない。本発明者らは、種々のサイズの金属粒子を用いてテストした結果、荷電性粒子の製造、印刷精度(または画質)、および接合部の製造精度の観点から、上記のような平均粒径を有する金属粒子を用いることが好ましいことを見出した。
【0025】
尚、本明細書において粒子とは、例えば球形、回転楕円体形状および不定形などの任意の形状を有し得る粒状物を言い、粒径とは、粒子が球形を有するとの仮定に基づいて得られる粒子の寸法を言い、粒子から成る粒状材料の平均粒径により代表され得る。粒子の集合物である粒状材料の粒径分布は、レーザ回折・散乱法により求めることができ、例えばMicrotrac FRA(日機装株式会社製)を用いて求めることができる。粒子の平均粒径は、そのようにして得られる粒状材料の粒径分布から求められる体積平均の粒径である。
【0026】
他方、絶縁性樹脂層を構成する絶縁性樹脂は、絶縁性を有する樹脂であればよく、熱溶融性(または熱可塑性)樹脂および熱硬化性樹脂のいずれを用いることも可能であるが、特に表面溶融化処理を実施する場合には熱溶融性樹脂を用いることが好ましい。絶縁性樹脂には、例えば、ロジン、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂(スチレン−アクリル共重合体を含む)、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の絶縁性樹脂、好ましくはロジンである。尚、本明細書において「絶縁性」とは、JIS K6911に従って測定される体積固有抵抗率が約1×1010Ω・cm以上の性質を言うものとする。
【0027】
本発明に利用可能な絶縁性樹脂は、一般的に帯電容易なものと帯電容易でないものとに大別され、本発明においていずれを用いても、また、両者を併せて用いてもよい。ここで「帯電容易」とは、例えば、本発明の荷電性粒子全体の重量を基準として、ブローオフ法により10〜30μC/gの帯電量を確保することができる程度の性質を言う。
【0028】
このような絶縁性樹脂は、絶縁性樹脂層を形成するに際して粒子の形態で、即ち絶縁性樹脂を含む粒子として用いられる。絶縁性樹脂を含む粒子は、絶縁性樹脂を含む粒子と金属粒子とを含む混合物において、金属粒子の表面を取り囲むように存在することが好ましい。このため、絶縁性樹脂を含む粒子の平均粒径は、金属粒子の平均粒径に対して好ましくは約1/100〜1/10倍、より好ましくは約1/50〜1/20倍である。絶縁性樹脂を含む粒子の平均粒径は、例えば約0.01〜2μm、好ましくは約0.02〜1μmとされ得る。
【0029】
また、本発明において、絶縁性樹脂層は絶縁性樹脂のみから成っていてもよいが、荷電性粒子がトナー粒子と同程度の帯電特性を安定して示すように、絶縁性樹脂層は絶縁性樹脂の他に荷電制御剤を更に含むことが好ましい。本発明において荷電制御剤には、電子写真法の技術分野において荷電制御剤(CCA:Charge Control Agent)として既知のものを用いることができ、例えば含金属アゾ化合物、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、第4級アンモニウム塩、樹脂酸変性アジンおよびアジン化合物などを用い得る。
【0030】
このような荷電制御剤は、絶縁性樹脂層を形成するに際して、上記絶縁性樹脂を含む粒子中に含まれて、および/または絶縁性樹脂を含む粒子とは別個の粒子(本明細書において、後者の粒子を単に荷電制御剤を含む粒子とも言う)として用いられ得る。絶縁性樹脂を含む粒子とは別個の、荷電制御剤を含む粒子として用いる場合には、形状は特に限定されないが、該荷電制御剤を含む粒子の粒径は絶縁性樹脂を含む粒子の粒径と実質的に同程度とすることが好ましい。換言すれば、荷電制御剤を含む粒子の平均粒径は、金属粒子の平均粒径に対して好ましくは約1/100〜1/10倍、より好ましくは約1/50〜1/20倍であり、例えば約0.01〜2μm、好ましくは約0.02〜1μmとされ得る。このような荷電制御剤を含む粒子もまた、絶縁性樹脂を含む粒子と同様にして表面溶融化処理または機械的表面処理に付され、絶縁性樹脂層の形成に寄与する。尚、本明細書において、特に断わりのない限り、絶縁性樹脂層を形成するための原料となる粒子:例えば(i)絶縁性樹脂を含む粒子(場合により荷電制御剤を更に含み得る);ならびに(ii)絶縁性樹脂を含む粒子(場合により荷電制御剤を更に含み得る)および荷電制御剤を含む粒子、を総称して単に絶縁性樹脂粒子とも言うものとする。
【0031】
また、絶縁性樹脂層を形成するために上記のような絶縁性樹脂粒子と混合される金属粒子は、予め表面処理剤で処理されていることが好ましい。例えば、アジピン酸および/またはマロン酸などの表面処理剤を用いれば、金属粒子の表面酸化を防止することができる。また、例えば、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、チタンカップリング剤、シランカップリング剤およびアルミニウムカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤を用いれば、得られる絶縁性樹脂層と金属粒子との間の結合力をより高めることが可能である。
【0032】
以上のような金属粒子、絶縁性樹脂粒子から成る混合物を表面溶融化処理または機械的表面処理に付すことにより、金属粒子が絶縁性樹脂層で被覆された本発明の荷電性粒子が得られ、この絶縁性樹脂層は、絶縁性樹脂粒子に由来する材料から成り得る。
【0033】
尚、本発明において、表面溶融化処理および/または機械的表面処理を1回実施しても、複数回実施するようにしてもよい。例えば、絶縁性樹脂を含む粒子と、金属粒子との混合物を表面溶融化処理および/または機械的表面処理に付して該処理を1回だけ実施して、絶縁性樹脂を含む粒子に由来する絶縁性樹脂層を形成してもよい。また、例えば、絶縁性樹脂を含む粒子と、荷電制御剤を含む粒子と、金属粒子との混合物を表面溶融化処理および/または機械的表面処理に付して該処理を1回だけ実施して、絶縁性樹脂を含む粒子と荷電制御剤を含む粒子とに由来する絶縁性樹脂層を形成してもよい。また、例えば、絶縁性樹脂を含む粒子と金属粒子との混合物を表面溶融化処理および/または機械的表面処理に付し、次いで、これにより得られたものに荷電制御剤を含む粒子を添加し、その混合物を表面溶融化処理および/または機械的表面処理に付して、これにより該処理を複数回実施して絶縁性樹脂層を形成してもよい。この場合、得られた絶縁性樹脂層は、絶縁性樹脂を含む粒子に由来する層と、荷電制御剤を含む粒子に由来する、荷電性粒子表面に位置する層との2層構造となる。しかし、本発明はこれに限定されず、当業者であれば、表面溶融化処理および/または機械的表面処理を2回以上実施する際に用いる材料、および処理回数を適宜選択することができるであろう。
【0034】
金属粒子と、絶縁性樹脂粒子との混合割合(より詳細には、金属粒子を構成する金属材料と、絶縁性樹脂粒子に含まれる絶縁性樹脂との混合割合)は、当業者であれば絶縁性樹脂層の所望の厚さ等を考慮して容易に選択することができる。また、絶縁性樹脂粒子が絶縁性樹脂の他に荷電制御剤を更に含む場合(荷電制御剤が絶縁性樹脂を含む粒子に含まれているか、絶縁性樹脂を含む粒子とは別個の粒子であるかを問わない)には、絶縁性樹脂粒子における絶縁性樹脂と荷電制御剤との混合割合は、当業者であれば絶縁性樹脂層において所望される絶縁性樹脂と荷電制御剤との重量割合等を考慮して容易に選択することができる。最終的に混合される金属粒子と絶縁性樹脂粒子とにおける、金属材料と絶縁性樹脂(および場合によっては荷電制御剤)との重量割合は、得られる荷電性粒子における金属材料と絶縁性樹脂(および場合によっては荷電制御剤)との重量割合とほぼ同程度となり得る。
【0035】
本発明の荷電性粒子に備えられる絶縁性樹脂層は、例えば約0.1〜1.0μm、好ましくは約0.2〜0.8μmの厚さを有し得る。
【0036】
得られる荷電性粒子において、金属粒子を構成する金属材料と、絶縁性樹脂層に含まれる絶縁性樹脂との重量割合は、金属材料を100重量部とすれば絶縁性樹脂は約1〜10重量部、好ましくは約2〜6重量部である。金属材料(金属粒子)に対する絶縁性樹脂の重量割合をこれより小さくすると、金属粒子が露出することがあり、荷電性粒子の絶縁性を確保できないので好ましくなく、他方、これより大きくすると、配線パターンと電子部品との間の接合部の接合抵抗が高くなり得るので好ましくない。また、絶縁性樹脂粒子が絶縁性樹脂と荷電制御剤とを含む場合には、絶縁性樹脂層に含まれる絶縁性樹脂と荷電制御剤との重量割合は、絶縁性樹脂を100重量部とすれば荷電制御剤は約0.5〜5重量部、好ましくは約1〜3重量部である。
【0037】
本発明において一般的に、荷電性粒子は1つの金属粒子が絶縁性樹脂層で被覆されて成るので、荷電性粒子は、金属粒子の粒径に該金属粒子を被覆する絶縁性樹脂層の厚さを加えた粒径を有し得、例えば約0.2〜1.1μm、好ましくは約0.3〜0.9μmの平均粒径を有し得る。
【0038】
上述のような混練・粉砕法により得られる粒子においては、金属粒子を被覆する絶縁性樹脂層の厚さは約10〜50μmとなり、これ以上薄くすると金属粒子がより一層露出し易くなるので実際上出来ない。しかし、本発明の荷電性粒子では、金属粒子を完全に被覆して荷電性粒子全体としての絶縁性を確保しつつ、絶縁樹脂層の厚さを上記のように薄くすることができる。後述するように、このような荷電性粒子を接合材料として用いて基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合すると、本発明の荷電性粒子に占める絶縁性樹脂の割合は、混練・粉砕法により得られる粒子に比べて小さいので、配線パターンと電子部品との間の接合抵抗をより低くできる。
【0039】
また、上記のような製造方法によれば、一般的に、1つの金属粒子が層厚のほぼ均一な絶縁性樹脂層で被覆されて成る。金属粒子を被覆する絶縁性樹脂層の厚さをなるべく均一にして印刷性を向上させることが好ましく、例えば、本発明の荷電性粒子は、約0.7以上、好ましくは約0.85以上の球状度を有し、電子写真法による印刷に適する。しかし、本発明はこれに限定されず、荷電性粒子は、例えば球形、回転楕円形、不定形などの形状であり得、また、1つの荷電性粒子において、2つまたはそれ以上の金属粒子が連続する絶縁樹脂層に被覆されていてもよい。また、荷電性粒子に含まれる金属粒子の球状度は、特に制限されないが、例えば、約0.7以上、更には約0.8以上とされ得る。尚、本明細書において、「球状度」は、粒子の顕微鏡写真から粒子面積および粒子周長を得、この粒子周長から換算される粒子直径Dsに対する、粒子面積から換算される粒子直径Daの比、即ち、Da/Dsとして表される。従って、粒子が真球の場合に球状度が最大の1となる。
【0040】
また、本発明の製造方法により得られる荷電性粒子は比較的均一な粒径を有することから、これを分級する必要がない。よって、高い製造効率が得られるという利点がある。得られる荷電性粒子は、用いる金属粒子の体積換算粒度分布とほぼ同程度のばらつき度合いの体積換算粒度分布を有し得る。例えば、金属粒子として、その体積換算粒度分布において約70〜100体積%の金属粒子が、金属粒子の平均粒径を中心として該平均粒径の約80%の数値範囲内にあるものを用いる場合には、得られる荷電性粒子についても、その体積換算粒度分布において約70〜100体積%の荷電性粒子が、荷電性粒子の平均粒径を中心として該平均粒径の約80%の数値範囲内となる。
【0041】
また、上述のようにして得られる絶縁性樹脂層は、金属粒子を完全に(即ち、金属粒子を露出させることなく)被覆することができ、よって、荷電性粒子を確実に帯電させることが可能となる。更に、このような絶縁性樹脂層は高い絶縁性を示し、上述のようにトナー粒子と同程度の帯電特性を示すので、電子写真法において既知の方法により、例えばキャリアを用いたり、他の部材との摩擦などにより帯電させることができる。この結果、本発明によれば荷電性粒子を均一に帯電させることも可能となる。
【0042】
尚、本発明の荷電性粒子から成る粒状物は、荷電性粒子の全てについて、金属粒子が絶縁性樹脂層で完全に被覆されていることが望ましいが、そうである必要は必ずしもなく、大多数の粒子、好ましくは実質的に全ての荷電性粒子について、金属粒子が絶縁性樹脂で被覆されていればよく、金属粒子が絶縁性樹脂で完全に被覆されていない荷電性粒子をごくわずかに含んでいてもよいことに留意されるべきである。本発明の製造方法によれば、従来の混練・粉砕法と比較した場合、荷電性粒子の被覆に関してより向上した結果を得ることができるものとして理解されるべきである。
【0043】
上記のような本発明の荷電性粒子は接合材料として用いられ得、この場合、荷電性粒子から成る接合材料を基体上に所望の接合パターンとして正確に印刷することができる。しかし、本発明はこれに限定されず、本発明の荷電性粒子はその他のもの、例えば電子写真法に言うところの外添剤などと共に混合された状態でも接合材料として用いられ得、この場合、荷電性粒子および外添剤を含む接合材料を基体上に所望の接合パターンとして正確に印刷することができる。このような荷電性粒子から成る、または荷電性粒子を用いた接合材料は、電子写真法に言うところのトナーに相当するものとして理解されるであろう。以下、理解を容易にするために、本明細書において、「荷電性粒子」との表現を「接合材料」の意味でも用いるものとするが、本発明の荷電性粒子を用いて得られる接合材料は荷電性粒子以外の他のもの、例えば外添剤などを含み得ることに留意されるべきである。
【0044】
また、本発明の荷電性粒子(接合材料であり、場合により外添剤などを含む)は、単独で用いられていわゆる1成分現像方式で印刷されてよく、あるいは、例えば電子写真法に言うところのキャリアなどと混合して用いられていわゆる2成分現像方式または1.5成分現像方式で印刷されてもよい。荷電性粒子をキャリアと混合した混合物(但し、1成分現像方式の場合は荷電性粒子のみから成る)は、電子写真法の分野で言うところの現像剤に相当するものとして理解されよう。
【0045】
このような本発明の荷電性粒子(接合材料)を用いれば、電子写真法の原理により荷電性粒子を均一に帯電させて基体へ印刷して、荷電性粒子を基体上に、より詳細には配線パターンの所定の箇所上に、所望のパターンで正確に供給することができる。このような印刷には、例えば、電子写真法を利用する印刷機構を備える装置、例えば電子写真法の分野において一般的に使用されるようなプリンタや、プリンタと同様の原理を利用した装置等を用いることができる。
【0046】
更に、本発明の荷電性粒子は比較的低融点の金属粒子を含むので、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料として用いることができる。より詳細には、上記のようにして得られた基体に電子部品を荷電性粒子(接合材料)から成るパターンと接触するようにして配置し、この基体を、荷電性粒子の金属粒子を構成する金属材料の融点以上の温度に加熱して金属材料を溶融させ、その後、基体を放冷または冷却して金属材料を凝固させると、凝固した金属材料により電子部品が基体(より詳細には配線パターン)に電気的および物理的に接合される。
【0047】
従って、基体として配線基板を用いれば、本発明の荷電性粒子(接合材料)によって電子部品が配線基板に接合された電子回路基板もまた本発明により提供される。
【0048】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態は、表面溶融化処理されて成るタイプの荷電性粒子およびその製造方法に関する。図1は、本実施形態における荷電性粒子の概略模式図である。
【0049】
図1に示すように、本実施形態の荷電性粒子10は、金属材料から成る金属粒子1と、金属粒子1を被覆する絶縁樹脂層2とを含んで成る。以下、このような荷電性粒子10の製造方法の説明を通じて本実施形態の荷電性粒子について詳述する。
【0050】
まず、荷電性粒子10のコアとなる金属粒子1と、絶縁性樹脂層2の原料となる絶縁性樹脂粒子とを準備する。
【0051】
この金属粒子1は、約250℃以下の融点、例えば約180〜230℃の融点を有する金属材料から成る。このような低融点の金属材料としては、上記に詳述したようなはんだ材料を用い得る。本実施形態においては、金属材料としてSn−Pb系材料(より詳細には、全体基準で、37重量%のPbおよび残部のSnの組成を有するもの)を用いた。
【0052】
金属粒子1のサイズについては、その平均粒径が約1〜20μmとなるように選択される。平均粒径が約1μmより小さい金属粒子を用いて荷電性粒子を製造すると、得られる荷電性粒子の粒径もそれに応じて小さくなり、印刷の際に荷電性粒子が容易に飛散するので、印刷の質(画質)の低下を招くという問題もある。他方、金属粒子の平均粒径が20μmより大きい場合、得られる荷電性粒子の粒径も金属粒子の粒径に応じて大きくなるが、このように大きな荷電性粒子は電子写真法による印刷に適さず、印刷の質の低下を招き得る。しかし、本発明のように金属粒子1の粒径を適切に選択することにより、以上のような問題を回避することができる。本実施形態においては、金属粒子1の平均粒径を約10μmとした。
【0053】
また、金属粒子1の形状は特に制限されず、例えば球形、回転楕円形、不定形などの形状であり得るが、例えば、約0.7以上、更には約0.8以上の球状度を有し得る。
【0054】
このような金属粒子1は、例えばアトマイズ法を用いて、所定の金属材料から成る金属インゴットを、その融点以上に加熱して完全に溶融させ、溶融した金属材料を噴霧により液滴状に分散し、空気などにより冷却固化させて粉末状(または粒状物)とし、必要に応じて分級することにより得られる。しかし、本発明はこれに限定されず、金属粒子は他の任意の適切な方法により製造され得る。特に、10μm以下の粒径を有するはんだ材料から成る金属粒子は、上述したようにアトマイズ法によって製造することは容易ではないが、必ずしも不可能ではない。一般的に、アトマイズ法により溶融状態のはんだ材料を噴霧して得られた粒子は、例えば約30μmの粒径を中心に分布しており、このような場合には10μm以下の粒径を有する粒子も、粒子全体に比してわずかの量ではあるが存在する。よって、このようにして得られた粒子を分級することにより、10μm以下、例えば約5μmの粒径を有する粒子を得ることもできる。しかし、これに限らず、他の適切な方法により10μm以下の粒径を有するはんだ材料から成る金属粒子を製造することも可能であろう。
【0055】
この金属粒子1は、アジピン酸および/またはマロン酸などの表面処理剤で予め処理しておくことが好ましい。このような処理を施すことにより、金属粒子1の表面の酸化を防止することができる。また、金属粒子1を、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、チタンカップリング剤、シランカップリング剤およびアルミニウムカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤で処理しておくことも好ましい。このような処理を施すことにより、得られる絶縁性樹脂層2と金属粒子1との間の結合力をより高めることが可能である。しかし、本発明においてこれらのような処理は必ずしも必要でなはいことに留意されるべきである。
【0056】
他方、絶縁性樹脂層2の原料となる絶縁性樹脂粒子には、本実施形態においては絶縁性樹脂から成る粒子を用いるが、本発明はこれに限定されず、絶縁性樹脂粒子は絶縁性樹脂のみならず、任意の他の適切な成分、例えば荷電制御剤などを併せて含み得る。絶縁性樹脂粒子を構成する絶縁性樹脂としては、上記に詳述したような種々の樹脂を用い得るが、本実施形態においては熱溶融性樹脂の1種であるロジンを用いるものとする。
【0057】
上記のような絶縁性樹脂粒子のサイズについては、その平均粒径が金属粒子1の平均粒径の1/100〜1/10倍となるように選択され得る。例えば、粉砕機 CJ−15型または分級機 TC−15型(いずれも日清エンジニアリング株式会社製)を用いることにより、絶縁性樹脂粒子の平均粒径は約0.01〜2μmとされ得る。このように絶縁性樹脂粒子の粒径を選択することにより、金属粒子と絶縁性樹脂粒子との混合物において、絶縁性樹脂粒子同士が凝集することを効果的に回避でき、また、摩擦帯電を利用して、1つの金属粒子1の周囲を複数の絶縁性樹脂粒子で取り囲むことができる。本実施形態においては、絶縁性樹脂粒子の平均粒径を約0.5μmとした。
【0058】
絶縁性樹脂粒子の形状は、特に制限されず、例えば球形、回転楕円形、不定形などの形状であり得るが、本実施形態においては実質的に球形のものを用いた。
【0059】
以上のような金属粒子1および絶縁性樹脂粒子を、金属粒子1(即ち、金属材料)を100重量部として絶縁性樹脂粒子(即ち、本実施形態においては絶縁性樹脂)を例えば約4重量部とする混合割合で予備混合機に供給して予め混合する。予備混合機には、例えばハイスピードミキサー LFS−GS−2J型(深江パウテック株式会社製)を用い得る。
【0060】
本実施形態においては、予備混合機における混合の際に、例えば絶縁性樹脂粒子を摩擦混合などにより帯電させて、金属粒子の表面全体を覆うようにして絶縁性樹脂粒子を金属粒子に付着する。以下、このように絶縁性粒子で表面が覆われた金属粒子を複合体粒子と呼ぶものとする。
【0061】
以上のようにして得られた複合体粒子を表面溶融化処理に付す。より詳細には、複合体粒子を熱風気流中に分散供給して通すことにより複合体粒子の少なくとも表面を絶縁性樹脂粒子の絶縁性樹脂の溶融温度以上に比較的短時間で加熱し、続いて、例えば冷却用気流を吹き付けて速やかに冷却する。これにより、複合体粒子同士が凝集することなく、複合体粒子の金属粒子表面に付着した絶縁性樹脂粒子の絶縁性樹脂が複合体粒子表面にて溶融して互いに融合化して、表面張力により金属粒子表面を被覆する液膜を形成し、その後、液膜が凝固して絶縁性樹脂層となる。
【0062】
このような表面溶融化処理は、例えばサーフュージングシステム SFS−3型(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、処理流量等にもよるが、例えば約5〜30分間に亘って実施され得る。
【0063】
熱風気流の温度は、用いる絶縁性樹脂の種類に応じて適切に選択され得るが、例えば、本実施形態のように絶縁性樹脂としてロジンを用いる場合には、約300〜400℃とされ得る。他方、冷却用気流の温度は、特に限定されないが、例えば常温(周囲雰囲気の温度)とされ得る。また、熱風気流および冷却用気流としては、例えば、空気および/または窒素ガスなど、好ましくは窒素ガスを用い得る。これら気流の流量、気流に通す複合体粒子の量等は、当業者であれば適切に選択することができるであろう。
【0064】
これにより、図1に示すように、金属粒子1が絶縁性樹脂粒子に由来する絶縁性樹脂層2で被覆された荷電性粒子10が得られる。本実施形態により得られた荷電性粒子10において、絶縁性樹脂層2の厚さは約0.5μmであり、金属粒子1(即ち、金属材料)を100重量部とすれば絶縁性樹脂層2(即ち、本実施形態においては絶縁性樹脂)は約2〜5重量部であった。また、得られた荷電性粒子は、約0.7以上の球状度を有していた。
【0065】
以上のようにして得られる荷電性粒子10によれば、絶縁性樹脂層2が金属粒子1を完全に被覆して金属粒子1が露出しないので、荷電性粒子10を確実に帯電させることができ、電子写真法により基体上に印刷することができる。
【0066】
また、上記のような方法により得られる荷電性粒子は、一般的に、1つの金属粒子1が層厚のほぼ均一な絶縁性樹脂層2で被覆されて成り、得られる荷電性粒子は比較的均一な粒径を有することから、分級する必要がなく、高い製造効率が得られる。例えば、金属粒子1として、その体積換算粒度分布において約70〜100体積%の金属粒子が、金属粒子の平均粒径を中心として該平均粒径の約80%の数値範囲内にあるものを用いる場合には、得られる荷電性粒子10についても、その体積換算粒度分布において約70〜100体積%の荷電性粒子が、荷電性粒子の平均粒径を中心として該平均粒径の約80%の数値範囲内となる。
【0067】
このように荷電性粒子における絶縁性樹脂層が比較的均一な膜厚を有するので、荷電性粒子を均一に帯電させることができ、よって、電子写真法により基体上に印刷する際に高い印刷特性を得ることができ、荷電性粒子から成る微細な接合パターンを正確に形成することが可能となる。
【0068】
更に、金属粒子1と絶縁性樹脂層2との重量割合が適切に選択されているので、電子部品を基体の配線パターンに電気的および物理的に接合し得るのに好適に利用され得、配線パターンと電子部品との間の接合部において十分な接合強度および低い接合抵抗を確保することができる。
【0069】
尚、本実施形態においては1種の絶縁性樹脂のみから成る絶縁性樹脂粒子を用いて絶縁性樹脂層を形成するものとしたが、2種またはそれ以上の絶縁性樹脂を用いてもよい。この場合、絶縁性樹脂は種類ごとに別々の粒子の形態を有していても、1つの粒子中に混合されていてもよい。
【0070】
また、絶縁性樹脂と荷電制御剤などの他の材料とを併せて用いてよく、絶縁性樹脂粒子として、例えば、絶縁性樹脂と荷電制御剤とを含む粒子を用いても、あるいは、絶縁性樹脂を含む粒子と荷電制御剤を含む粒子とを用いてもよい。尚、荷電制御剤を、絶縁性樹脂を含む粒子と別個の粒子の形態で、荷電制御剤を含む粒子として用いる場合にも、その平均粒径が金属粒子の平均粒径の1/100〜1/10倍となるように選択することが好ましく、例えば、粉砕機 CJ−15型または分級機 TC−15型(いずれも日清エンジニアリング株式会社製)を用いることにより、荷電制御剤を含む粒子の平均粒径もまた約0.01〜2μmとされ得る。絶縁性樹脂と荷電制御剤とを併せて用いる場合には、荷電制御剤は、表面溶融化処理において必ずしも溶融しなくてもよく、絶縁性樹脂層中で絶縁性樹脂に分散していてもよい。また、このような場合にも、絶縁性樹脂層と金属粒子との重量割合は本実施形態と同様とされ得る。
【0071】
また、本実施形態においては表面溶融化処理を1回実施することとしたが、本発明はこれに限定されず、複数回実施してもよい。この場合、表面溶融化処理により粒子の表面に形成する層(またはこの層の原料となる粒子)は、各回につき同じ材料としてもよく、または各回で違う材料としてもよい。後者の場合には、金属粒子が材料の異なる複数の層で順次被覆された荷電性粒子を得ることができ、帯電効率を向上させる観点からは、荷電性粒子表面の層が荷電制御剤から成るか、表面の層に荷電制御剤が分散されていることが好ましい。
【0072】
更に、本実施形態においては絶縁性樹脂として熱溶融性樹脂を用いることとしたが、これに代えて、あるいは加えて、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。特に、熱硬化性樹脂を単独で用いる場合には、熱硬化性樹脂が完全に熱硬化しない範囲で樹脂がある程度軟化するように、例えばB状態となるようにして表面溶融化処理(この場合、厳密には表面は「溶融」しないが、本発明においてはこのような場合をも含めて「表面溶融化処理」と言うものとする)を行うことにより、本実施形態と同様の構成を有する荷電性粒子を得ることができる。
【0073】
(実施形態2)
本実施形態は、機械的表面処理されて成るタイプの荷電性粒子およびその製造方法に関する。本実施形態の荷電性粒子は、実施形態1にて上述した荷電性粒子と実質的に同様の構成を有するので、以下、実施形態1の荷電性粒子の製造方法と異なる点を中心に詳述するものとする。
【0074】
まず、実施形態1にて上述したものと同様の金属粒子と絶縁性樹脂粒子とを準備し、これらを予備混合機にて予め混合する。本実施形態においては、混合により絶縁性樹脂粒子が金属粒子の表面全体を覆った複合体粒子を必ずしも形成していなくてよい。予備混合機には、例えばメカノフュージョン(登録商標)AMS−Lab型(ホソカワミクロン株式会社製)に備えられるものや、その他任意の適切な混合機を用い得る。
【0075】
以上のようにして得られた金属粒子および絶縁性樹脂粒子の混合物を、次いでメカノフュージョン装置に供給して、該混合物に機械的エネルギーを付与することにより機械的表面処理を実施する。例えば、回転容器内に混合物を入れて遠心力により回転容器の内壁に押し付けながら、回転容器の内壁と曲率半径の異なる凸表面を有する部材を該混合物を挟んで回転容器の内壁に押し付けて、混合物に圧縮・剪断力を加えることにより、混合物に機械的エネルギーが付与される。
【0076】
このような機械的エネルギーの付与により、金属粒子の表面と絶縁性樹脂粒子の表面との間でメカノケミカル的な反応が起こり、金属粒子の表面に絶縁性樹脂粒子の絶縁性樹脂が膜状に複合化される。
【0077】
このような機械的表面処理は、例えばメカノフュージョン(登録商標)AMS−Lab型(ホソカワミクロン株式会社製)や、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)を用いて実施され得る。
【0078】
これにより、金属粒子が絶縁性樹脂粒子に由来する絶縁性樹脂層で被覆された荷電性粒子が得られる。得られた荷電性粒子は、実施形態1にて上述した荷電性粒子と実質的に同様の構成を有し、同様の効果を奏し得る。
【0079】
尚、本実施形態についても実施形態1と同様の改変がなされ得ることに留意されたい。
【0080】
(実施形態3)
本実施形態は、実施形態1および/または2にて説明した荷電性粒子(接合材料)を用いて電子部品が基板に接合された電子回路基板およびその製造方法に関する。本実施形態においては、電子部品が接合される基体として、配線パターンが形成された回路用基板(または配線板、配線基板もしくはプリント基板)を用いる。
【0081】
まず、実施形態1および/または2の荷電性粒子(接合材料)を、電子写真法の原理を利用して、回路用基板(または配線板もしくは回路用基板)の表面に所定のパターンで供給する。より詳細には、荷電性粒子(接合材料)が、回路用基板上に形成された配線パターンの所定の箇所、例えばランド(またはランドパターン)上に印刷により配置されて、荷電性粒子(接合材料)から成る接合パターンが形成される。
【0082】
ここで、荷電性粒子の印刷は、電子写真法を利用する印刷機構を備える装置、例えば電子写真法の分野において一般的に使用されるようなプリンタや、プリンタと同様の原理を利用した装置等を用いて実施され得る。本発明の荷電性粒子(接合材料)は、例えば電子写真法に言うところのキャリアなどと混合して用いていわゆる2成分現像方式または1.5成分現像方式で印刷することが好ましい。このような方式を利用すれば、キャリアの材料を適切に選択することにより荷電性粒子の帯電量を容易に調節できるという利点がある。しかし、本発明はこれに限定されず、本発明の荷電性粒子を単独で用いていわゆる1成分現像方式で印刷することもできる。
【0083】
一般的に、配線パターンと電子部品とを電気的および物理的に接合するための接合材料として用いられる荷電性粒子から成る接合パターンは、良好な電気伝導性および十分な接合強度を達成できることが望ましい。従って、荷電性粒子の接合パターンは、ある程度の厚さ、例えば30〜100μmの厚さを有することが望ましい。荷電性粒子の接合パターンにある程度の厚さを付与するためには、上述のように転写を非接触式とすることが好ましい。また例えば、複数の印刷機構に回路用基板を通すか、1つの印刷機構に回路用基板を複数回通して、1つの回路用基板上に同じ接合パターンを重ねて印刷することにより、より厚い接合パターンを形成することもできる。
【0084】
次いで、回路用基板の配線パターンの所定の箇所(例えばランド)上に配置された荷電性粒子(接合材料)が、電子部品の所定の箇所(例えばリード)と少なくとも部分的に接触するようにして、電子部品を回路用基板に配置する。これにより得られた回路用基板を熱処理に付して、荷電性粒子に含まれる金属粒子の金属材料の融点以上の温度、例えば約180〜230℃の温度にて加熱する。このような熱処理には、例えば、一般的なリフロー装置を用い得る。
【0085】
実施形態1および/または2のように、絶縁性樹脂として熱溶融性樹脂を用いる場合には、一般的に金属材料の融点よりも低い温度で溶融(または軟化)するため、回路用基板を加熱すると、まず、荷電性粒子の表面にある絶縁性樹脂層の絶縁性樹脂が溶融(または軟化)する。例えば、実施形態1および2にて用いた熱溶融性樹脂の1種であるロジンの融点は約120〜135℃であり、金属材料のSn−Pb系材料の融点である約180〜190℃よりも低い。
【0086】
次いで、金属粒子の金属材料がその融点以上に加熱されて溶融する。このとき、溶融状態の絶縁性樹脂と金属材料とは相分離し、1箇所(例えば1つのランド)に配置された複数個の荷電性粒子分の絶縁性樹脂および金属材料がそれぞれ互いに分離するようにして集まって、絶縁性樹脂の相と金属材料の相を形成すると考えられる。絶縁性樹脂および金属材料の比重を考慮すれば、絶縁性樹脂の相が上方に、金属材料の相が下方に位置すると考えられる。
【0087】
上記熱処理後、回路用基板が冷却(または放冷)されると、溶融状態の絶縁性樹脂および金属材料がそのままの状態で凝固する。金属材料が集まって凝固することにより、回路用基板に形成された配線パターンの所定の箇所(例えばランド)と電子部品の所定の箇所(例えばリード)とが金属材料で電気的および物理的に接合される。他方、絶縁性樹脂は、金属材料の表面をコートするようにして凝固すると考えられ、凝固した絶縁性樹脂は、電子部品を回路用基板に物理的に接合する助けとなり得、また、本実施形態にて用いる荷電性粒子に占める絶縁性樹脂の割合は、混練・粉砕法により得られる粒子に比べて小さいので、配線パターンと電子部品との間の接合抵抗をより低くすることができる。
【0088】
以上のようにして、荷電性粒子(接合材料)を印刷して荷電性粒子(接合材料)から成る接合パターンを形成した回路用基板に、電子部品を適切に配置し、この回路用基板を単に熱処理に付すだけで、電子部品が回路用基板に電気的および物理的に接合された電子回路基板を作製することができる。尚、上記のような絶縁性樹脂および金属材料の溶融状態および凝固状態についての説明はあくまで例示であり、本発明の荷電性粒子(接合材料)によって電子部品が回路用基板に電気的および物理的に接合され得る限り、本発明を限定するものではないことに留意されるべきである。
【0089】
例えば、荷電性粒子の絶縁性樹脂層を構成する絶縁性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化性樹脂は熱処理により溶融しない。熱硬化性樹脂は、一般的に金属材料の融点よりも低い温度で硬化する。例えば、実施形態1および/または2にて用いた金属材料のSn−Pb系材料の融点が約180〜190℃であるのに対して、熱硬化性樹脂の1種であるエポキシ系樹脂の硬化温度は約90〜150℃である。このため、回路用基板を熱処理に付すと、まず、熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱されて、熱硬化性樹脂が好ましくは完全に硬化し、例えばB状態にあった熱硬化性樹脂がC状態となる。このとき、隣接する荷電性粒子の絶縁性樹脂層の間でも熱硬化性樹脂の硬化が進行する。また、熱硬化性樹脂は、一般的に熱硬化の際に体積収縮する。この結果、熱処理によって絶縁性樹脂層全体が収縮して荷電性粒子の金属粒子同士がより十分に接触した状態で固定される。従って、この場合にも、本実施形態と同様に単に熱処理に付すだけで、電子部品が回路用基板に電気的および物理的に接合された電子回路基板を作製することができる。
【0090】
また、本実施形態においては基体として回路用基板を用いたが、本発明において荷電性粒子(接合材料)が印刷される「基体」とは、配線パターンが形成され、該配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料がその上に配置されるべきものを言うものと理解されるべきである。従って、「基体」は、回路用基板のようなシート状形態のものを包含するが、これに限定されるものではなく、配線パターンが形成され、該配線パターンの所定の箇所に電子部品を接合することを要するものであれば、いずれの形態(例えば筐体など)であってもよい。例えば、紙フェノール系材料、ガラスエポキシ系材料、ポリイミドフィルム系材料、セラミック系材料、および金属系材料などから成る基体に配線パターンが形成された回路用基板(または配線板、配線基板もしくはプリント基板)および多層積層基板(例えばビルドアップ基板)などを本発明に用いることができる。
【0091】
上記のような基体に形成される配線パターン(ランドを含む)は、例えば銅、金、アルミニウム、およびはんだなどの材料から成っていてよい。配線パターンは、任意の適切な幅、例えば約100μmの幅を有し得る。
【0092】
接合材料(荷電性粒子)を用いて配線パターン(例えばランド)と接合される電子部品は、特に限定されないが、例えば半導体部品(例えば、いわゆるQFP(クアッド・フラット・パッケージ)部品、CSP(チップ・スケール・パッケージ)部品、およびSOP(シングル・アウトサイド・パッケージ)部品など)、チップ部品(例えば、抵抗、コンデンサ、トランジスタ、インダクタなど)、ならびにコネクタなどであり得る。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、電子部品の実装において、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するために好適に用いられる新規な接合材料として用いられる荷電性粒子およびその製造方法が提供される。本発明の荷電性粒子(接合材料)は、スクリーン印刷法を用いることなく、電子写真法により基体上に所望のパターンで供給(または印刷)することができ、荷電性粒子を用いた接合材料から成るパターンを基体上に形成することができる。
【0094】
本発明の荷電性粒子は、機械的表面処理または表面溶融化処理されて成る絶縁性樹脂層により金属粒子が被覆されているため、金属粒子が荷電性粒子表面に露出しない。これにより、荷電性粒子を一様に帯電させることができるので、荷電性粒子を、よって接合材料を、微細なパターンで正確に基体上に供給することが可能となる。
【0095】
更に、本発明の荷電性粒子における絶縁樹脂層は、機械的表面処理または表面溶融化処理されて成るので、より薄い層厚さで確実に金属粒子を被覆することができる。よって、荷電性粒子に占める絶縁性樹脂の重量割合が比較的少なく、本発明の荷電性粒子(または接合材料)を用いて配線パターンと電子部品とを接合すれば、配線パターンと電子部品との間の接合抵抗をより低くできるという利点がある。
【0096】
また、本発明の荷電性粒子の製造方法によれば、機械的表面処理または表面溶融化処理を施した粒子は比較的均一な粒径を有し、分級する必要がないため、高い製造効率が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施形態における荷電性粒子の概略断面図である。
【符号の説明】
1 金属粒子
2 絶縁性樹脂層
10 荷電性粒子
Claims (6)
- 基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法であって、250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理に付して、該絶縁性樹脂を含む絶縁性樹脂層を表面に有する荷電性粒子を得ることを含んで成り、
絶縁性樹脂を含む粒子が、金属粒子の平均粒径の1/100〜1/10倍の平均粒径を有することを特徴とする製造方法。 - 基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法であって、250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理に付して、該絶縁性樹脂を含む絶縁性樹脂層を表面に有する荷電性粒子を得ることを含んで成り、
混合物が荷電制御剤を含む粒子を更に含み、金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子と、荷電制御剤を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理に付すことを特徴とする製造方法。 - 基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法であって、250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理に付して、該絶縁性樹脂を含む絶縁性樹脂層を表面に有する荷電性粒子を得ることを含んで成り、
金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理に付した後、該混合物に荷電制御剤を含む粒子を加えて更に表面溶融化処理に付すことを特徴とする製造方法。 - 該混合物に荷電制御剤を含む粒子を加えて更に表面溶融化処理に付すことを複数回実施する、請求項3に記載の製造方法。
- 荷電制御剤を含む粒子が、金属粒子の平均粒径の1/100〜1/10倍の平均粒径を有する、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法であって、250℃以下の融点を有する金属材料から成る金属粒子と、絶縁性樹脂を含む粒子とを含む混合物を表面溶融化処理に付して、該絶縁性樹脂を含む絶縁性樹脂層を表面に有する荷電性粒子を得ることを含んで成り、
金属粒子が、表面溶融化処理に先立って表面処理剤で予め処理されていることを特徴とする製造方法。
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