JP3964278B2 - 肝硬変モデル動物およびその作製方法 - Google Patents

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    • A01K2267/035Animal model for multifactorial diseases

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肝硬変用のモデル動物、およびその作製方法に関し、特に肝硬変を発症したヒト肝臓組織を保有する肝硬変モデル動物、およびその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肝硬変は、持続する肝細胞の壊死によって、肝臓に繊維の増生と残存肝細胞の結節状再生とを招来する肝臓のびまん性疾患である。その原因としては、感染(肝炎ウイルス、寄生虫)、アルコール、胆汁うっ帯、肝うっ血、栄養障害、中毒、代謝異常、自己免疫などがあり、これらを起因として慢性肝炎から肝硬変へ至るものが多い。
【0003】
肝硬変は、不可逆の肝変性疾患であり、種々の肝機能障害を引き起こす。さらに、肝硬変は肝臓癌へと発展することも多く、死に至る可能性もあるため効果的な治療方法が待たれている。しかし、現時点では、国民病とも言われるほど患者数が多いのにもかかわらず、肝再生因子HGF(「肝細胞成長因子」ともいう)を遺伝子治療で投与すると改善されることが実験的に示されただけで、確実な治療法は存在しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ヒト疾患の発症機構を解明し、その治療方法及び治療薬剤を開発するにあたって、そのヒト疾患と酷似した病態を示すモデル動物を利用した動物実験が重要な役割を果たす。肝硬変についても、上記モデル動物を使用した肝硬変の発症機構の解明、さらにその治療方法及び治療薬剤の開発が進められている。
【0005】
現在使用されている肝硬変用のモデル動物は、マウス、ラットなどに四塩化炭素を経口投与し、肝組織を破壊したものである。このモデル動物は、肝再生の経過観察には適しているが、本当の肝硬変組織を有するものではないため、治療方法及び治療薬剤の開発を行う上で一つの障害となっている。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は実際に肝硬変を発症した肝臓組織を有する肝硬変モデル動物及びその作製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題に鑑み、肝硬変組織を有するモデル動物およびその作製方法について鋭意検討した。その結果、免疫欠損マウス(スキッドマウス:scid mouse)を予め抗アシアロGM1抗体投与処理することにより、ナチュラルキラー細胞依存性拒絶反応を効率的に抑制することに成功し、肝硬変患者由来のヒト肝臓組織を上記免疫欠損マウスの腎臓皮膜下に移植して長期に維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の肝硬変モデル動物は、肝硬変を発症したヒトの肝臓組織が動物の組織に移植されていることを特徴としている。
【0009】
これにより、動物に肝硬変を発症した肝臓組織が生着される。ここで、「肝臓組織が生着」とは、移植された肝臓組織が壊死することなく、体内において機能し、且つ、肝臓組織が移植された肝硬変モデル動物が生存することを意味する。
【0010】
このようにして得られる肝硬変モデル動物は、これまで作製されたことのない新規モデル動物である。したがって、本発明にかかる肝硬変モデル動物は、従来の肝臓組織が破壊されたものとは異なり、実際に肝硬変を発症したヒトの肝臓組織を有するものであるため、肝硬変の病態解析やその治療薬の開発、治療法の改善に好適に利用することができる。そして、肝硬変から肝臓癌への進展を防ぐことができ、これらの疾患の予防のために重要な役割を果たす。
【0011】
上記肝臓組織が移植される動物の組織は、特に限定されるものではないが、虚血によって肝臓組織が壊死しないように、血流の多い組織であることが好ましい。このような組織としては、例えば、腎臓、肝臓、脾臓、筋肉などが挙げられる。このうち、上記肝臓組織は、上記動物の腎臓、より詳細には腎臓皮膜下に移植することが特に好ましい。このように、腎臓に移植すれば、比較的短期間(1週間程度)で生着が得られる。また、移植される腎臓と、移植された組織との識別が容易である。さらに、同一個体の腎臓の左右、または、上部、中部、下部などに分けて移植することが可能である。それゆえ、同一条件での薬剤の効果等が比較できるなどの利点がある。
【0012】
本発明において、上記動物は、免疫欠損動物であることが好ましい。
【0013】
ここで、「免疫欠損」とは、免疫系を構成する細胞要素の一部あるいはいくつかの欠損または機能不全によって正常免疫機構に障害を生じた免疫不全の状態にあることを意味する。換言すれば、移植される肝臓組織が動物に生着するように、先天性免疫および/または後天性免疫が抑制されていることを意味する。また、上記免疫欠損動物は免疫不全動物ということもできる。
【0014】
すなわち、上記免疫欠損動物は、免疫担当細胞や免疫応答に関与する因子の一部または全てを欠損していることが好ましい。
【0015】
具体的には、上記免疫欠損動物は、T細胞および/またはB細胞に依存する免疫応答能を欠損していることが好ましく、さらに、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)に依存する免疫応答能を欠損している(あるいは、免疫応答能が抑制されている)ことがより好ましい。免疫担当細胞や免疫応答に関与する因子の多くを欠損していれば、当該細胞や因子に依存する免疫応答を抑制し、肝臓組織を移植する時の拒絶反応を低減できると考えられる。
【0016】
それゆえ、上記免疫欠損動物としては、例えば、胸腺を持たないためにT細胞に依存する免疫応答能を欠損しているヌード動物、ヌード動物における免疫応答能の欠損に加えてB細胞に依存する免疫応答能を欠損しているスキッド動物、スキッド動物における免疫応答能の欠損に加えてNK細胞に依存する免疫応答能を欠損している動物を挙げることができる。
【0017】
上記免疫欠損動物としてのT細胞、B細胞およびNK細胞に依存する免疫応答能を欠損したマウスは、一般的に用いられるスキッドマウスに抗アシアロGM1抗体を投与して作製することができる。アシアロGM1はマウスのNK細胞に特異的に表現されるタンパク質である。それゆえ、抗アシアロGM1抗体をスキッドマウスに投与すれば、T細胞およびB細胞に依存する免疫応答能の欠損に加えて、NK細胞に依存する免疫応答能を欠損させることができる。
【0018】
本発明において、上記動物は特に限定されるものではないが、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌなどが挙げられる。これらのうち、実験動物として用いるには、マウス、ラット、ウサギがより好ましく、比較的短期間(1週間程度)で生着が得られ、安価に入手できることからマウスであることが特に好ましい。
【0019】
以上のような本発明にかかる肝硬変モデル動物は、動物の免疫応答能を欠損させた免疫欠損動物の組織、好ましくは腎皮膜下に、肝硬変を発症した肝臓組織を移植して上記肝臓組織を生着させることによって作製することができる。
【0020】
これにより、上記モデル動物の体内に肝硬変組織を高確率で生着させ、長期に渡って維持することができる。そのため、肝硬変の治療法及び治療薬の開発に有用な肝硬変モデル動物を、容易に作製することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について説明する。
【0022】
(1)本発明の肝硬変モデル動物およびその作製方法
本発明に係る肝硬変モデル動物は、肝硬変を起こしたヒトの肝臓組織が動物の体内に移植され、上記肝臓組織を体内に生着させたものである。即ち、上記肝硬変モデル動物とは、肝硬変を発症した患者から摘出されたヒト肝臓組織を、他の動物に移植し、動物の体内において上記ヒト肝臓組織を生着させてなるものである。
【0023】
試料となる上記「ヒトの肝臓組織」は、一般的な病院においても肝細胞癌に対する治療として肝切除術を行っており、患者数も多いので容易に得ることができる。上記「肝臓組織」としては、肝硬変の発症の程度が軽度のものであることが好ましい。肝硬変の重症度分類であるチャイルド分類に基づけば、上記「肝臓組織」はチャイルドAの肝硬変組織であることが好ましい。なお、チャイルドCに分類される重度の肝硬変組織については、移植することは困難であると思われる。また、移植される肝臓組織は、肝硬変未発症者由来の正常な肝臓組織であってもよく、この場合、後述する動物の組織に正常の肝臓組織を移植してモデル動物とした後、当該モデル動物に移植された正常の肝臓組織に肝硬変を発症させればよい。
【0024】
また、上記「肝臓組織」は、肝硬変を発症している肝臓組織を取り出した組織片を移植してもよいし、当該組織片を同一個体または他の生物で生体内培養(culture in vivo)して継代したものであってもよいし、ガラス器内培養(culture
in vitro)したものであってもよい。
【0025】
なお、上記ヒト肝組織は、肝硬変患者より摘出された後、氷冷された培養液(例えば細胞培養液、生理食塩水など)中に保存されることが好ましい。また、移植される肝組織は、移植先の個体の大きさによって異なるが、例えば、マウス及びラットに移植を行う場合は、2mm角程度の適当な大きさに切除されることが好ましい。
【0026】
試料が移植される上記動物の組織は、上記試料が生着できれば特に限定されるものではないが、虚血によって移植した肝臓組織が壊死しないように、血流の多い組織であることが好ましい。このような組織としては、例えば、腎臓、肝臓、脾臓、筋肉などが挙げられる。これらのうち、上記肝臓組織は、上記動物の腎臓、より詳細には腎臓皮膜下に移植することが特に好ましい。この「腎臓皮膜下に移植」とは、移植先の腎臓の皮膜が切開され、その切開部へ肝臓組織が挿入されることを言う。
【0027】
また、上記動物の組織は、例えば、眼球結膜のように、上記試料と拒絶反応が起こりにくい組織であってもよい。
【0028】
このように、試料を拒絶反応が起こりにくい動物の組織に移植する他にも、上記動物の免疫応答機能を欠損させた免疫欠損動物を用いることによっても、試料と動物の組織との拒絶反応を抑制することができる。
【0029】
上記免疫欠損動物は、例えば、免疫担当細胞の異常、免疫応答遺伝子などの遺伝子の異常、免疫抑制剤などの薬剤の投与またはX線照射などの物理化学的因子などによって免疫不全の状態にある動物を意味する。このような、免疫欠損動物は、突然変異または人為的に作製することによって得ることができる。
【0030】
人為的に免疫抑制動物を作製する方法としては、特に限定されるものではないが、遺伝子工学的手法または薬剤の投与などによって免疫担当細胞や免疫応答に関与する因子、具体的には、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージなどの食細胞、補体などのうち、1つ以上の細胞または因子の一部または全てに異常を生じさせることにより作製できる。異常を生じさせる免疫担当細胞または免疫応答因子が多ければ、それらに依存する免疫応答能を欠損させることができ、肝臓組織を動物に移植するときの拒絶反応を一層低減することができる。それゆえ、ヒト由来の肝臓組織であっても、上記免疫欠損動物に効率用よく生着させることができる。
【0031】
上記免疫欠損動物としては、例えば、T細胞に依存する免疫応答能を欠損したヌード動物、T細胞およびB細胞に依存する免疫応答能を欠損したスキッド動物、後述の実施例のようにスキッド動物に抗アシアロGM1抗体を投与することによりさらにNK細胞に依存する免疫応答能を欠損した動物などが挙げられる。
【0032】
なお、上記抗アシアロGM1抗体は、マウスのNK細胞に特異的に表現されるアシアロGM1タンパク質を抗原とする抗体であり、当該タンパク質と特異的に結合することによってNK細胞に依存する免疫応答能を欠損させている。
【0033】
また、マウス以外の動物においてNK細胞が関与する免疫応答能を欠損させるためには、放射線照射もしくは免疫抑制剤を大量に投与すればよい。
【0034】
なお、試料の移植は、移植する動物およびその組織によって異なるが、一般的な方法で移植することができる。例えば、後述の実施例のようにマウスの腎臓皮膜下に移植する場合、マウスを麻酔して開腹した後、腎臓を露出させて、腎臓皮膜下に試料の肝臓組織を挿入し、筋層および皮膚を一層にて縫合して移植を行えばよい。
【0035】
なお、上記肝硬変モデル動物において、移植されたヒト肝組織が生着したか否かの判定は、移植した肝組織をHE染色することによって実施することができる。HE染色によって生きていることが確認されれば、移植されたヒト肝組織は生着していると判断することができる。一方、生着が得られなかった組織については細胞構造が全く壊れてしまうことから、容易に判定することができる。また、上記以外の判定方法として、ヒト肝細胞で合成されるヒトアルブミン、ヒトプレアルブミン、ProteinCなどのタンパク質をELISA法やウエスタンブロット法などで測定する方法などがある。
【0036】
以上のようにして、ヒト由来の肝硬変組織を移植し、肝硬変の病態を示した肝硬変モデル動物を作製することができる。この肝硬変モデル動物は、従来の肝組織を破壊したモデル動物と比較して、より肝硬変患者に近い病態を有するモデル動物であるため、肝硬変の治療方法及び治療薬剤の開発に大きく貢献できる可能性が高い。
【0037】
各種物質の薬理作用、特に医薬品開発を目的とする薬効スクリーニング試験などにおいては、健常動物ではなく一定の病態状態にある疾患モデル動物を用いた試験法がより実際の臨床症状に近いため、薬効評価上も好ましい。それゆえ、このような肝硬変モデル動物は、ヒト疾患の原因解明、診断、予防、治療技術の開発にあたって、実験用動物として重要な役割を果たす。
【0038】
(2)本発明の肝硬変モデル動物の有用性
上記(1)で説明した作製方法により得られる肝硬変モデル動物は以下のような有用性がある。
▲1▼スタンフォード大学医学部など(K,Marion PL,Nakai H,Meuse L,Cullen JM,Bordier BB,Schwall R,Greenberg HB,Glenn JS,Kay MA. Sustained survival of humanhepatocytes in mice:A model for in vivo infection with human hepatitis B and hepatitis delta viruses. Nat.Med. 2000 Mar;6(3):327-331.)の肝細胞をマウスの尻尾から注射する従来の方法では、マウス肝臓内にモザイク状にヒト肝臓細胞が埋め込まれているため、組織としてヒト肝臓組織を保持することは不可能である。また、肝硬変を発症した肝組織を分散させ肝細胞として注入することは、細胞がもともとダメージを受けているのに更にダメージを受けることになり、生着率は極めて低いと思われる。一方、本発明は上記の従来法とは異なり、ヒト肝臓組織を移植しているため、薬物や種々の物質を肝細胞で検討するよりも生体により近く、臨床的にみても意義のあるモデル動物を提供できる。
▲2▼肝硬変を発症したヒト由来の肝臓組織を動物(特に実験動物として使いやすいマウス)で継代でき、ヒト肝硬変の病態を示したモデル動物が得られる。
▲3▼比較的短期間(1週間程度)で肝硬変組織の生着した肝硬変モデル動物を作製することが可能である。
▲4▼肝硬変モデル動物の腎臓に、患者由来の肝臓組織を移植すれば、
a)肝硬変モデル動物の腎臓と移植された組織との識別が容易である。
b)同一個体の腎臓の左右、または、上部、中部、下部などに分けて移植することが可能である。それゆえ、同一条件での薬剤の効果等が比較できる。
▲5▼肝硬変の診断のための医薬品、肝硬変の予防および/または治療のための医薬品のスクリーニング試験などに好適に用いることができる。その結果、肝硬変治療薬の開発が著しく容易になる。
▲6▼肝硬変の治療法が見出されれば、肝硬変から肝臓癌への進行を防ぐことができ、肝臓癌の予防にも貢献できる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0040】
〔実施例1〕(肝硬変モデル動物の作製)
本実施例においては、T細胞、B細胞不全のスキッドマウス(scid mouse)を用いて肝硬変モデル動物の作製を行った。以下にその手順を示す。
【0041】
上記スキッドマウスとして、本実施例ではBALB種のものを用いた。上記スキッドマウスには、前処理として抗アシアロGM1抗体(Cedarlane製、型番:CL8955、名称:Ranbbit Anti-Mouse/Rat AsialoGM1 Polyclonal Antibody)が移植の3日前に20μg、さらに移植日の開腹前に20μg腹腔内に投与された。なお、比較のために、一部のスキッドマウスには抗アシアロGM1抗体の投与を行わなかった。
【0042】
肝硬変を起こしたヒトの肝臓組織として、肝硬変患者より摘出された肝臓組織を使用した。上記肝臓組織は、摘出した後数センチ角に切除され、氷冷した培養液の中に保存された。
【0043】
上記スキッドマウスには、ネンブタール(萬有製薬製)を含む麻酔薬(生理食塩水100ccにネンブタール4ccを加えたもの)が、注射器(2.5cc、針27G)を用いて腹腔内に1cc投与され、麻酔がかけられた。27Gの注射針を用いれば、マウスの腹壁に垂直に刺しても腸管が逃げるため、腸管を損傷させずに注射を行うことができる。麻酔がかけられたスキッドマウスは、手足をビニールテープで固定され、はさみにて腹部が正中切開された。このとき、腸管などを損傷しないように、皮膚、筋膜(fascia)をそれぞれ別々に切開した。
【0044】
続いて、スキッドマウスにマウス用の開創器をかけ、綿棒またはセッシを用いて腸管を分けていき、腎臓を露出させた。このとき、出血に対しては、綿棒にて圧迫することで対応する。その後、腎臓の背側に綿棒を挿入し、腎臓を脱転させた。そして、実体顕微鏡にて腎臓を観察しながら、腎被膜をマイクロセッシにて把持し、小切開を入れた。培養液中に保存されていた肝臓組織は、約2mm角の小片に切除され、セッシでスキッドマウスの腎皮膜を把持しつつ、肝臓組織の小片を切開した腎被膜下に挿入した。
【0045】
このようにして、肝臓組織の挿入が行われた後、腸管を腹腔内に戻し、腹部の切開部分は、縫合糸(3−0silk)を用いて縫合された。この縫合は、皮膚・筋膜の2層にてそれぞれ行われた。その後、上記スキッドマウスは、別のゲージに移され、約2時間程度で麻酔から覚醒した。
【0046】
〔実施例2〕(移植された肝臓組織の生着の有無の判定)
実施例1において作製された肝硬変モデル動物の生存率は100%であった。即ち、麻酔から覚めた全てのマウスが生存した。移植前に抗アシアロGM1抗体が投与されたマウスについては、移植後5日目と10日目とに上記抗アシアロGM1抗体がさらに投与された。
【0047】
また、移植後2週間経過後に、上記マウスの腎被膜においてヒト肝組織の生着の有無が確認された。この確認実験は、実施の形態に説明するHE染色法に基づいて行われた。その結果、抗アシアロGM1抗体を投与しなかった場合は、ヒト肝臓組織の生着率は15%であり、抗アシアロGM1抗体を投与した場合は、ヒト肝臓組織の生着率は35%であった。
【0048】
〔実施例3〕(抗アシアロGM1抗体投与の有無による生着率の比較)
続いて、実施例1と同様の方法によって、ヒトの正常な肝臓組織をスキッドマウスに移植したモデル動物における、抗アシアロGM1抗体投与の有無による生着率の差について調査した結果を以下に示す。
【0049】
抗アシアロGM1抗体を投与しなかった場合は、上記モデル動物19匹中5匹において、ヒト肝組織の生着が確認された。抗アシアロGM1抗体を投与した場合は、上記モデル動物12匹中7匹において、ヒト肝組織の生着が確認された。この結果より、抗アシアロGM1抗体を投与することによって、ヒト肝組織の生着率を高めることができることが確認された。これは、抗アシアロGM1抗体の投与によって、モデル動物内のナチュラルキラー細胞が関与する免疫応答能を欠損させ、上記ナチュラルキラー細胞に依存する拒絶反応を抑制することができたためであると考えられる。
【0050】
上記の結果によって、肝硬変を発症したヒト肝組織の移植の場合にも、抗アシアロGM1抗体の投与によって、生着率を高めることができると推測される。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、肝硬変を発症したヒトの肝臓組織を有する肝硬変モデル動物を高い確率で得ることができる。この肝硬変モデル動物は、従来の肝硬変用の実験動物とは異なり、実際にヒトの肝硬変組織が移植されたものである。それゆえ、肝硬変の診断のための医薬品、肝硬変の予防および/または治療のための医薬品のスクリーニング試験などに好適に用いることができ、肝硬変治療薬の開発が著しく容易になると期待される。

Claims (4)

  1. ナチュラルキラー細胞に依存する免疫応答能を欠損しているスキッドマウスの腎被膜下にヒト由来の肝硬変組織が生着していることを特徴とする肝硬変モデル動物。
  2. 抗アシアロGM1抗体が投与されたことによりナチュラルキラー細胞に依存する免疫応答能を欠損していることを特徴とする請求項1に記載の肝硬変モデル動物。
  3. ナチュラルキラー細胞に依存する免疫応答能を欠損しているスキッドマウスの腎被膜下に、ヒト由来の肝硬変組織を移植する工程を包含することを特徴とする肝硬変モデル動物の作製方法。
  4. 抗アシアロGM1抗体を投与することによりナチュラルキラー細胞に依存する免疫応答能を欠損させることを特徴とする請求項3に記載の肝硬変モデル動物の作製方法。
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