JP2001518934A - 移植部位としての骨髄 - Google Patents

移植部位としての骨髄

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳動物の骨または骨髄に細胞を導入することによる細胞の培養方法に関する。本発明はまた、核酸、ベクター、タンパク質、医薬組成物などの生物学的に活性な物質を骨または骨髄に導入することによって前記物質を哺乳動物に送達する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】発明の名称 移植部位としての骨髄 発明の背景 発明の技術分野 本発明は細胞を哺乳動物の骨もしくは骨髄に導入することによって培養する工 程に関する。本発明はまた生物学的に活性な物質を骨もしくは骨髄に導入するこ とによって哺乳動物に送達する方法にも関する。背景の考察 骨髄(BM)は骨の皮質壁の間に存在する臓器である。幼児期および小児期におい ては全身の骨髄が造血に関与する。成人では造血は体軸骨格(頭蓋骨、胸骨/肋骨 、椎体、腸骨稜)に限定される。 BMは循環系とのアクセスを提供し、さらに造血幹細胞および間質細胞を提供す る。過去には、小児の救急蘇生法として静脈注射が容易に行い得ない場合には骨 内注射が用いられた。このようなやり方は静脈とアクセスする器具類の改善に伴 って廃れていった。その後、この骨内注射法は小児の外傷および火傷患者に再度 用いられるようになった[(Evansら,Burns 21(7):552-3(1995);Hopkinsら,Jrnl of the Louisiana State Medical Society 142(3):31-2,1990)]。 骨髄が免疫的に特別な部位であることは文献によって支持されている。Parami thiotisとCooperは、抗原を経験したBリンパ球は、骨髄以外の場所から移動さ せた場合には免疫グロブリンを分泌するが、骨髄から移動させると自発的には免 疫グロブリンを分泌しないことを示した。YokichiらはLPSに対する骨髄マクロフ ァージの応答性は末梢マクロファージのそれよりも低いと発表した。この発表に は骨髄マクロファージの応答性がLPS感作前においても低かったことも含まれて いる。Hirschらは結核に対するT細胞の応答におけるTGFβの免疫抑制効果につ いて述べている。TGFβは骨に大量に含まれ、骨髄にも含まれている。これらの 報告は、骨髄の微小環境が免疫抑制的であるとする理論と一致している。 その他の研究では骨内注射の利用法として、実験サンプルを採取するため[(Or lowskiら,Annals of Emergency Medicine 18(12):1348-51(1989)]、および薬理 学的活性化合物の注射のため[Cameronら,Jrnl of Emergency Medicine 7(2):12 3-7(1989);Neishら,Am J of Disease of Children 142(8):878-80(1988);Brick manら,Annals of Emergency Medicine 16(10):1141-4(1987)]の用法が示されて いる。そのような研究の一つでは、鎖骨内注射の流速を測定し、それは鎖骨下静 脈の流速と統計学的に同程度であるが、腸骨稜では鎖骨下静脈の2倍の流速であ ることを見出した[Iwamaら,Jrnl of Medical Science 40(1):1-8(1994)]。 体の中で免疫学的に特別な部位は、そのホストにとって異物となるものを導入 するための場所として用いることができる。免疫学的に特別な性質はおそらく免 疫抑制、免疫偏位(immune deviation)、または能動性免疫寛容の誘発のいずれか によって得られたものであろう。免疫学的に特別な部位の特徴としては血液組織 関門の存在、TGFβなどのサイトカイン、ニューロペプチド、能動的に免疫寛容 を誘発する抗原提示細胞の存在、ならびにその他の要因が挙げられる[(Streilin ,Science 270(5239)1158-9(1995)]。 免疫学的に特別な部位は身体の特定のコンパートメントに発達し、そこでは外 来異物とみなされる可能性のある組織が存在するので、免疫刺激がホストにとっ て有害となるかもしれない。これらの部位は次いで何らかの方法で免疫抑制およ び能動性免疫寛容を行う微小環境をつくり出すためにコンパートメント化される 。 免疫学的に特別な部位の1例としては妊娠子宮がある。胎盤と胎児とは母体に とって異物の組織であるが、これらの抗原は通常の条件下では拒絶されない。母 体と胎児は胎盤と子宮の間にある洞様毛細血管を経由して結ばれている。妊娠期 間中は母体の循環系に胎児の血液細胞が存在する。これらの細胞と胎児は、この 異物組織のコンパートメント形成およびその組織と免疫学的に特別でないホスト との間のインターフェイスが弱体化していない限りは拒絶されない。そのコンパ ートメントが完全な形で残っている限りは、その微小環境はTGFβなどの局所性 増殖因子、Fas-リガンドの存在、およびACAID(前眼房関連免疫偏在anterio cham ber associated immune deviation)を経由する免疫抑制の助けとなる。 子宮から胎盤が分離されるときに起こるように、ひとたびそのコンパートメン トが破られると免疫的に特別な状態は破られ、母体は胎児に対する免疫応答を開 始するが、それはRh陽性の胎児を持つRh陰性の母体に起こる状況である。Rh陽性 の胎児での第1回目の妊娠ではRh抗原に対する免疫応答は起こらない。出産後に コンパートメントが破られ、もしRhogam(抗Dヒト免疫グロブリン製剤)が投与さ れなければ、母体はRh抗原に対して永久的に応答することとなり、その結果とし て次のRh陽性胎児を攻撃することとなる可能性がある[(Tafuriら,Science 270: 630(1995)]。 上述したとおり、免疫学的に特別な部位は独立した「微小環境」として存在し うる。抗原が存在している微小環境がその抗原に対するホストの応答を決定づけ る。免疫の表現型は、リンパ球が通過する、またはある期間とどまる環境の範囲 によって変わってくる[Doherty,J.Immunol.155(3):1023-7(1995)]。 今日までのところ、骨髄の使用は主として造血系の移植に用いるための骨髄由 来細胞の使用に限定されている。しかし、1968年にFonkalsrudは骨髄腔を同種皮 膚移植のための免疫学的に特別な部位として用いることの可能性を述べている(S urgery,Gynecology & Obstetrics,pp.71-75)。1969年にFonkalsrudは骨髄腔 を移植に用いる可能性について再び述べており、この時は甲状腺の同種移植につ いてであった(Arch.Surg.Vol 98,pp.738-741)。しかし、現在までのところ 、骨髄への肝細胞および膵島細胞などの他の細胞の移植、またはペプチド、薬剤 、遺伝子の送達のための骨髄腔の使用、または幹細胞、神経、心筋もしくはその 他の有用な組織などの移植のための細胞培養の場としての骨髄腔の使用を行った という報告はない。Ricoldi(Pancreatic Islet Cell Transplantation,p.317-3 19(1992),これは参照によりその全文を本明細書に組み入れる)は、免疫的に単 離されていない(non-immunoisolated)ラットからマウスへの膵島の異種移植は生 着率が低いが、膵島が骨髄中へ移植されたことはないことを示した。 外科的なインターベンションのための骨髄の使用が上述のとおり行われていな いことから見て、当技術分野はそのような方法に対するニーズがある。 発明の概要 従って、本発明の目的の一つは、哺乳動物の骨髄に細胞を移植することを含ん でなる細胞培養法を提供することである。 本発明の別の目的は、哺乳動物中への細胞の移植のための方法であって、その 細胞を哺乳動物の骨髄へ送達することを含んでなる方法を提供することである。 本発明のまた別の目的は、機能性遺伝子を哺乳動物に送達する方法であってそ の遺伝子を含有するベクターで形質転換した細胞を哺乳動物の骨髄に送達するこ とを含んでなる方法を提供することである。 本発明のまた別の目的は、生物学的活性のあるタンパク質またはペプチドを哺 乳動物に送達する方法であって、そのタンパク質またはペプチドをコードする遺 伝子を発現するベクターで形質転換させた細胞を哺乳動物の骨髄中に送達するこ とを含んでなる方法を提供することである。 本発明のまた別の目的は、生物学的活性のあるタンパク質またはペプチドを哺 乳動物に送達する方法であって、そのタンパク質またはペプチドをコードするDN Aを哺乳動物の骨髄中に送達することを含んでなる方法を提供することである。 本発明のまた別の目的は、生物学的活性のあるタンパク質またはペプチドを哺 乳動物に送達する方法であって、適当なキャリアー中のそのタンパク質またはペ プチドを哺乳動物の骨髄中に送達することを含んでなる方法を提供することであ る。 本発明のまた別の目的は、医薬品を哺乳動物に送達する方法であって、適当な キャリアー中のその医薬品を哺乳動物の骨髄中に送達することを含んでなる方法 を提供することである。 本発明のまた別の目的は、骨髄移植を行う方法を提供することである。 本発明のまた別の目的は、ある抗原に対する免疫寛容を治療前に患者に誘発さ せるための方法を提供することである。 上述の目的およびその他の目的について、本発明の利点および様相はこれ以降 で明らかとなり、本発明の本質は下に記載の本発明の好ましい実施形態について の詳細説明および添付されている請求事項を参照することで、より明確に理解す ることができるであろう。図の簡単な説明 本発明および本発明に伴う多数の利点のより完全な理解は、添付されている図 と関連づけて下記の詳細説明を参照することにより容易に得られるであろうが、 その図は: 図1は本発明に従って骨髄に直接注射するために用いることができる各種の組 成物と送達システムを図示するものである。 図2は本発明に従って骨内人工透析デバイスがどのように用いられるか図示し たものである。 図3は本発明に従って行われる細胞/器官/デバイスの移植操作法を図示したも のである。図3Aは移植の最初のステップである腐食(cauterization)を図示して いる。図3Bは皮質/骨髄ブロックの除去を示し、移植される材料が置かれるため の開放空間がそこに残される。図3Cは骨髄への移植の最終ステップを図示してお り、そこでは移植される材料がその開放空間に挿入され、皮質が置換される。 図4は同系SD-SDラット膵島移植を行った場合のブドウ糖レベルの時間的推移を 示している。 図5は同種膵島移植を行った場合のブドウ糖レベルの時間的推移を示している 。 図6は移植量を変えて同系膵島移植を行った場合のブドウ糖レベルの時間的推 移を示している。 詳細な説明 本発明は、骨髄が外来細胞、遺伝子、タンパク質および医薬の送達に適した部 位であるということを認識するものである。まず、骨髄は天然の動脈−静脈移植 片であるので、最小限の操作で循環系に簡単にアクセスすることができる。さら に骨髄は、免疫特権(privileged)部位であるのでそのような送達システムに特に 適しており、よって骨髄への送達により移植された材料に対する宿主免疫応答が 排除される。 骨髄が天然動脈−静脈移植片であるということに関連して、骨には循環の「二 元系」、すなわち流出栄養分−骨髄および流入骨膜ハーバース系が存在する。こ の二元系によりホメオスタシスの必要性が生じる。栄養動脈は主に赤血球生成の 役割を果たすが、骨膜−皮質循環はホメオスタシスの骨形成側面とより密接に関 連している(Trueta,Studies of the Development and Decay of the Human Fra me,William Heinemann Medical Books,Ltd,London(1968))。循環基礎に身体 の残りの部分(remainder)由来の骨髄の区画化(comartmentalization)を付与する のがこの二元循環である。 骨髄は、小児の外傷および熱傷における循環アクセスとして用いられる。さら に、骨髄を用いることにより実験試料を取り出すことができ、骨髄は中心静脈の 流量よりも大きい流量を有する。 骨髄は区画化されて免疫抑制および能動的免疫寛容に対して伝導力のある微小 環境を作り出す。サイトカイン、能動的に寛容を誘導する抗原提示細胞およびそ の他の因子の存在は、一部、この微小環境の創出の役割を果たす。したがって、 骨髄の免疫特権は骨髄からの骨膜/皮質循環の分離に依存する。この分離の完全 性が侵害されると免疫特権が失われることになり得る。しかしながら、外科手術 により区画(compartment)の完全性を保存しながら「無菌的に」骨髄に到達する ことができるので、骨髄は細胞移植のための部位として用いることができる。 バイオハイブリッド膵臓または肝臓において実施された以前の実験は、循環系 へのアクセスを確保するために血管処置を必要とする。さらに、以前の微小被包 実験(Ricordi,Pancreatic Islet Cell Transplantation,pp.177-237,R.G.Lan des Col.,Austin,Texas(1992))により、腹膜に移植されたカプセルは結果とし て繊維芽細胞の過剰増殖により窒息死するということが示された。骨髄の血液循 環の性質のために、骨髄へのそのようなカプセルの移植はこの問題を同様にうま く解決するものである。骨髄は天然動脈−静脈(A-V)移植片として機能するの で、細胞またはバイオハイブリッド系の骨髄への移植により循環系への簡単な アクセスが得られる。 骨髄の微小環境はその他の免疫特権部位に関連した特徴を必ずしも全て伴うわ けではないが多くの特徴を伴う。免疫特権部位の特徴の一つは、Trueta(上記の とおり)によって記載されている骨の二元循環の結果として骨中に存在するバリ ア系の存在である。骨髄が免疫特権部位であるという証拠としては、骨髄におけ るそのような免疫特権と関連している分子の存在が挙げられる。特に、骨マトリ ックスは大量のTGF-βを含む(Seydinら,J.Biol.Chem.261:5693-5695(1986) )。さらに、サブスタンスP、VIPおよびCGRPのような神経ペプチドは全て骨に存 在する(Kreicsbergsら,Regulatory Peptides 51(3):179-188(1994))。 さらに、CD34+細胞は、適性に刺激された場合、Fas-Lを発現し得る。骨髄にお ける免疫細胞の非活性化は、Fasリガンドの直接的な結果であり得る。さらに、 骨髄に大量に存在する造血幹細胞は、特異的環境下で構成的にFasリガンドを発 現し得る。 骨髄が免疫特権部位であるというサポートのその他の証拠としては樹状細胞を 椎体骨髄から抽出する寛容研究が挙げられる(Starzlら,Transplantation 59(6 ):871-4(1995))。これらの細胞は促進細胞と呼ばれ、BMTキメラ現象の確立の手 段になる。また、自己反応性B細胞は骨髄内で非活性化されることも示されてい る(Goodnowら,Cell 73(2):325-35(1993))。骨または骨内に見出される細胞は 特異的アロ反応性(alloreactivity)における阻害作用を誘導し得る(Friedlande rら,The Orthopedic Clinics of North America 18(2):227-33(1987))。した がって、骨髄は細胞移植の理想的な部位である。 骨および骨軟骨同種移植片の使用、ならびにその免疫学的側面は、Horowitzお よびFriedlanderら(1987)に記載されており、これは参照により本明細書に含ま れるものである。 下文で用いる場合、「移植されるべき材料」という用語は、細胞、組織および その他の組成物ならびに外来的に導入される遺伝子、タンパク質または医薬組成 物用の担体を含むものであり、この組成物および担体は、宿主に対する治療を与 えるためのものである。本発明は、循環系へのアクセスを必要とする種々の細胞 、デバイス、遺伝子材料および医薬の移植を有効なものにする。 その生物が骨および骨髄を含むという条件付で、任意の宿主生物を用いること ができる。骨の解剖学的構造および循環は、Trueta,Studies of the Developme nt and Decay of the Human Frame,William Heinemann Medical Books,Ltd., London,(1968)に記載されており、これは参照により本明細書に含まれるもので ある。したがって、生物は脊椎動物である必要があり、好ましくは哺乳動物であ る。宿主は、任意の妊娠年齢(gestational age)を含む、任意の年齢のものであ り得る。 任意の型の細胞または組織を骨(すなわち骨内)または骨髄に本発明の方法を 用いて移植することができる。細胞材料は、自己移植片または同種移植片であり 得る。好ましい態様においては、細胞材料は肝細胞または膵島細胞である。膵島 細胞の移植は、Posseltら,Ann.Surg.214:363-373(1991)に記載されており、 これは参照により本明細書に含まれるものである。 別の好ましい態様においては、本発明の方法を用いることにより骨髄移植片が 得られる。したがって、この場合、細胞材料はドナー患者の骨髄から得られる。 細胞材料は、宿主または血縁関係のあるドナー、特に宿主の親、兄弟または子 から得るのが好ましい。細胞材料が同種移植片である場合、ドナーを移植材料の 拒絶を低減する医薬組成物、サイトカインまたはリンホカインで前治療し得る。 さらに、宿主を、骨髄における移植細胞のインキュベーション期間(incubation period)中に治療し得る。 さらに、結果を改善するために患者を移植前に抗原で予備免疫寛容し得る。患 者は、同様に、10注射によりアレルゲンに対して免疫寛容され得る。10空間への 直接BM注射によりGvHDおよびHvGDが低減され得る。 したがって、本発明の方法は、細胞治療に有用である。細胞を骨髄中に直接送 達して細胞数または活性が低下している領域を再構成または補給し得る。骨髄へ の移植に好ましい細胞には被包または非被包細胞が含まれ得る。そのような細胞 としては、例えば、肝細胞または膵島細胞が挙げられる。特に好ましい移植部位 は腸骨稜(IC)である。 移植される細胞は、さらに下記に示したとおり、正常細胞または遺伝子操作さ れた細胞であり得る。組織状態または懸濁液の状態にある細胞を提供することに 加えて、細胞は含浸ゲルの状態で、または中空糸細胞移植片として移植し得る。 本発明の細胞移植の別の局面は、骨髄移植(BMT)植付けを助けることである 。最近、幹細胞の数を増大させることによりBMT植付けを助けることができると いう証拠が示された(Reisnerら,Nature Medicine 1(12):1268-1273(1995))。 10空間にBM細胞を直接注射することにより、幹細胞植付けの数の関数的な増大が 生じ得る。BM植付けを助ける骨髄中に存在する因子には、BMの三次元マトリック スおよび間質細胞による増殖サイトカインの産生が含まれる。 細胞および組織に適した培養環境を提供することに加えて、骨髄は外来遺伝子 、タンパク質および医薬組成物の投与に理想的な場所を提供する。骨髄は免疫特 権部位であるので、投与される材料、特にタンパク質(抗体など)および医薬組 成物に対する免疫応答は最小になる。 同様に、本発明の方法は、骨髄においてデバイスを移植するのに用いられ得る 。骨髄への移植に特に好ましいデバイスとしては薬剤放出デバイス、または透析 デバイスが挙げられる。そのような透析デバイスは、骨髄に移植されると、骨内 (IO)透析(そしてその後に管組織を介した膀胱への排出)を行い得る。 本発明の特に好ましい使用は遺伝子治療に対する使用である。遺伝子材料は形 質転換細胞または裸のDNAの状態で骨髄に導入され得る。裸のDNAの注入は、遺伝 子導入の効果的な方法であることが示されている(Montgomeryら,Current Opin ion in Biotechnology 5(5):505-510(1994))。幹細胞は、BM中にその最大の濃 度で存在するので、直接的なIO注入によりこれらの標的細胞(骨髄幹細胞または 間質細胞)への直接的なアクセスが可能になる。本発明の好ましい方法は、低投 与量化学療法または放射線療法が付与される方法であり、遺伝子は複製期に導入 される。この方法により、標的細胞への遺伝子材料の組み込みが増大する。 骨髄において特に好ましい標的細胞は間質細胞である。BM間質細胞は循環系へ の直接的アクセスを有する分泌場所であり、したがって遺伝子治療に関して魅力 的な標的である(Clarkら,Jrnl of Immunology,155(3):1023-7(1995))。 上記のように、本発明の方法を用いることにより宿主に治療物質を投与し得る 。骨髄はこの意味で特に好ましい部位である。というのは、骨髄は外来的に投与 された核酸によって形質転換され、分裂および分化して外来的に投与された核酸 をさらに含む多数の娘細胞を産生し得る幹細胞を含むからである。 遺伝子ベクターは直接的幹細胞形質導入または間質細胞形質導入のためにBMに 注入し得る。例えば、レトロウイルスベクター、リポソーム、アデノウイルスベ クター、DNA含浸ゲルなどが挙げられる。 したがって、移植されるべき材料には原核細胞および真核細胞の両方が含まれ 得るものであり、それらは目的の核酸を含むベクターで形質転換される。 細胞に供給されるベクターは、好ましくは発現ベクターであり、宿主において 治療作用を有するタンパク質を発現する。ベクターは、ベクターが含まれる細胞 の型における発現に適したプロモーターを含むように選択される。ベクターはプ ラスミドベクターまたはウイルスベクターであり得るものであり、好ましくは宿 主に感染しないウイルスベクターであり得る。しかしながら、ベクターはアンチ センス作用を付与し得るmRNAも供給し得るものであり、またはその他の核酸に結 合して遺伝子調節機能を付与することができる核酸またはタンパク質を供給し得 る。 本発明の方法によって任意のタンパク質を投与し得る。特に、本発明の方法に よって投与され得る治療タンパク質としては、アンジオジェニン(angiogenin)、 上皮増殖因子、エリトロポエチン、繊維芽細胞増殖因子、顆粒球コロニー刺激因 子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヘパリン結合性EGF様増殖因子、 肝細胞増殖因子、インスリン、インスリン様増殖因子、インターロイキン、イン ターフェロン、白血病阻害因子、マクロファージコロニー刺激因子、マクロファ ージコロニー刺激因子、単球走化性タンパク質、単球走化性及び活性化因子、マ クロファージ炎症タンパク質、神経成長因子、オンコスタチン、血小板由来内皮 細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、幹細胞因子、トランスフォーミング増殖因 子、腫瘍壊死因子、血管内皮細胞増殖因子などが挙げられる。 一方、移植されるべき材料は、「裸の」核酸、タンパク質、および医薬、すな わち、適当な媒体または医薬上許容される担体中に核酸、タンパク質および医薬 を含み得るものである。移植されるべき材料は、適当な担体中に核酸およびタン パク質を含み得るものであり、これは材料の持続放出を付与するものである。そ のような持続放出性製剤は当技術分野で周知であり、カプセルおよび錠剤、リポ ソーム、カートリッジならびにゲルが挙げられ得る。骨に移植片を付与する方法 は、米国特許第5,503,558号、5,489,306号および5,461,034号に記載されており 、これらは全て参照により本明細書に含まれるものである。 適当な担体としては、無菌のパイロジェンを含まない水が挙げられ得る。活性 成分としてポリペプチドまたは医薬を含む治療組成物の調製は当技術分野では十 分に理解されている。典型的には、そのような組成物は液体溶液または懸濁液で あるが、移植前に溶液または懸濁液にするのに適した固形製剤も調製され得る。 活性治療成分は、医薬上許容され、活性成分と適合性のある賦形剤と混合される ことが多い。適当な賦形剤は、例えば、水、生理的食塩水、デキストロース、グ リセロール、エタノールなど、およびそれらの組合せである。さらに、所望によ り、組成物は、活性成分の有効性を高める加湿剤または乳化剤、pH緩衝剤のよう な補助物質を少量含むことができる。 ポリペプチド、核酸または医薬組成物は、中和された医薬上許容される塩の状 態で治療組成物に配合され得る。医薬上許容される塩としては、例えば塩酸また はリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有 機酸とともに形成される酸付加塩(ポリペプチドまたは抗体分子の遊離アミノ基 をとともに形成される)が挙げられる。遊離カルボキシル基から形成される塩も 例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、または水酸 化鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチ ルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る 組成物は治療上有効な量が投与される。投与されるべき量は治療されるべき被 検体および所望される治療の程度に依存する。投与に必要な活性成分の正確な量 は、開業医の判断に依存し、各個人に特有のものである。担体は、さらに、主要 な治療薬剤であると考えられるもの以外の医薬を含み得る。特に、抗体および/ またはその他の免疫抑制物質が担体に含まれ得る。 移植されるべき材料のインキュベーションの部位は宿主の身体における任意の 骨髄であり得る。好ましい位置は腸骨稜である。移植の部位は、アクセスの容易 性に関して選択されるのが好ましい。 宿主は、移植されるべき材料に対する免疫応答の機会をさらに減少させ、複製 期における取込を上昇させるために、任意に化学療法または放射線療法を用いて 前治療され得る。そのような免疫抑制薬剤および放射線養生法は当技術分野では 周知である。 移植されるべき材料の送達方法には、骨または骨髄に材料を導入することがで きるあらゆる方法が含まれ得る。好ましくは、この方法は注入によるものであり 、これは比較的非侵襲性の操作である。注入は骨または骨髄に直接行われ得るか 、カテーテルによって行われ得る。 移植されるべき材料の投与の部位は、宿主の任意の骨または骨髄であり得る。 好ましくは、その部位は造血骨内(IO)部位、好ましくは腸骨稜である。一方、 その部位としては、好ましくは頭骨、胸骨、肋骨および椎骨が挙げられ得る。 移植されるべき材料のインキュベーション期間は、所期の目的により変動する 。換言すると、移植されるべき材料が細胞増殖または拡大のための手段である場 合、移植期間は数日または数週間から宿主の生命が続く期間までであり得る。 また、移植されるべき材料は、所望のレベルの細胞増殖および拡大が生じるま で培養され得る。この「所望のレベル」は、外科手術などの侵襲操作、または産 生されるサイトカインまたはリンホカインのレベルなどの移植細胞または組織の 何らかの産物もしくは副産物のレベルを測定する低侵襲性操作により監視され得 る。 治療目的で投与される移植材料、すなわち核酸、タンパク質および医薬組成物 のインキュベーション期間は、指定された治療持続期間のみであり得るか、ドナ ーの寿命の間であり得る。この場合、治療養生法には、血液または尿試験などの 標準診断技術、固相酵素免疫検定法(ELISA)またはウエスタンブロットなどの 免疫アッセイ、またはポリメラーゼ連鎖反応、サザンもしくはノーザンブロット による核酸の検出による核酸、タンパク質または医薬のレベルの監視が含まれ得 る。 宿主は、遺伝子異常を有する患者であり得るものであり、この方法は宿主への 正常遺伝子の送達をもたらすか、または正常よりもかなり高レベルでの遺伝子の 送達をもたらし得るものである。そのような送達は、French Andersonの米国特 許第5,399,346号およびFelgnerらの米国特許第5,589,466号(PCT国際公開WO90/1 1092に対応)(これらは参照により本明細書に含まれるものである)に記載され ているような「遺伝子治療」を含み得るものである。 宿主は、AIDSのような感染症を有する患者でもあり得るものであり、またはパ ーキンソン病、ハンチントン病またはアルツハイマー病のような神経退行性疾患 に苦しんでいる患者でもあり得る。AIDSの場合、移植材料は、インターフェロン などのウイルス複製または遺伝子発現をダウンレギュレートする治療タンパク質 を含み得るか、または例えばプロテアーゼインヒビターなどの複製またはウイル スタンパク質機能を阻害する医薬であり得る。神経退行性疾患の場合、移植材料 は、ドーパミン、アセチルコリンなどの患者宿主において減少している神経伝達 物質または神経伝達物質前駆体を含み得る。宿主は、膵島細胞移植が必要な糖尿 病患者であり得る。同様に、宿主は、肝臓移植片または肝臓移植へのブリッジが 必要であり得る肝不全または劇症肝炎の患者であり得る。本発明は、また、骨髄 炎および骨腫瘍の治療においても使用され得る。 本発明を一般的に記載したが、さらなる理解が一定の特定の実施例を参照する ことによって得られ得る。この実施例は、説明の目的のためだけに記載されてい るものであり、特に示さない限り限定するものではない。 実施例 実施例1骨および骨髄の分析 ヒト骨を外科手術により入手する。骨断片を生理食塩水で洗い、ホルマリンで 固定する。この組織塊を薄片に切りわけ、スライドの上に載せる。骨または骨髄 上のFasリガンドの存在の肉眼的評価のために、タグ付き抗CD95リガンド抗体を スライドに結合させる。 実施例2手術前処置 抗CD4抗体をレシピエントに投与して、もとの抗体応答を中和する。あるいは 、またはそれに加えて、TNFを投与して造血幹細胞上にCD95を動員する。当業者 であれば、上記の説明に従って、有効投与量および適切な製薬上の担体を決定す ることができる。前述の処置に加えて、またはその代わりに、癌の治療分野の当 業者に知られている線量または用量の放射線もしくは化学療法を用いてレシピエ ントを処置する。 実施例3外科手術 骨膜および先端皮質(apical cortex)を焼灼術/レーザーにより分ける。格子 状の骨髄を確認する。骨髄の一部を取り出し、その結果生じた空間に肝臓または 他の細胞性材料の移植片を植え込む。次に、移植部位に皮質をかぶせ、手術部位 を縫い合わせる。手術中/手術後処置で免疫抑制を行っても行わなくともよい。 実施例4造血骨髄への注入 免疫抑制したまたはしない哺乳動物の造血骨髄に、実施例3の方法または針に よる直接注入により、細胞性材料(自己移植片または同種移植片)を注入する。 実施例5骨髄へのバイオハイブリッド構造体の注入 上記したようなバイオハイブリッド構造体を、実施例3の方法または針による 直接注入により、移植部位としての骨髄に挿入する。 実施例6骨髄空間に導入するための細胞の調製 ラットを40mg/kgのペントタール(生理食塩水溶液)で腹腔内麻酔した。手術 すべき足をベタジンまたはアルコールで消毒した。穏やかに組織を後方移動させ て、膝のすぐ下を切開して脛骨を露出させた。乾燥手術領域を確保するように注 意した。近位脛骨から3〜4mm遠位に、歯科用ドリルで小さな穴を作り、骨髄空 間にアクセスした。その後脛骨の骨髄空間にカニューレを約1〜1.5cm挿入した 。このカニューレから細胞を注入した。注入に続いて、挿入部位を骨ろう(bonew ax)で閉じた。 肝細胞の収穫 門脈にPBSを通して洗浄した後で肝臓を摘出した。肝臓が白かったときは、コ ラゲナーゼ25mg/10mlを注入し、その後組織を機械的に裂いて37℃で20分インキ ュベートした。次に、細胞を600rpmで3分洗い、F-12培地を用いて懸濁させた。 膵島細胞の収穫 胆管にカニューレを挿入し、4.2mg/15ml/ラットの濃度のコラゲナーゼPを膵 臓に逆方向で注入した。膵臓を広げてプラスチックのチューブに入れ、37℃の浴 中で40分間インキュベートした。10mlの冷却ハンクス液+1g/lグルコースを添 加し、この混合物をボルテックス混合して遠心分離した。上清を取り除き、細胞 を2回洗浄した。次いで、細胞をメッシュフィルターにかけて洗浄した。ペレッ トに10mlのヒストパク(Histopaque)を加え、ペレットを再懸濁し、10mlのハンク ス基本塩溶液を加えた。細胞を1500rpmで15分間遠心分離した。細胞のバンドを 取り出し、5mlのハンクス液を加え、その後細胞を再遠心分離した。500rpmの遠 心分離にかけて細胞をRPMI-FCSで2回洗浄した。細胞を2本のチューブに分割し 、洗浄し、再懸濁してプレートした。この調製の1日後、膵島細胞を検査し、形 態的に生存可能な膵島細胞を相対的サイズに基づいて拾い上げた。 糖尿病のストレプトゾシン誘発 ストレプトゾシンは60mg/kgの濃度で、2mlのNaClおよび数滴の酢酸で希釈し て調製した。静脈内または腹腔内に注射した。注射の2日後、高血糖症について 動物を検査した。 実施例7実験1 この実験の目的は、骨髄空間に肝細胞を注入することであった。 ラット1 同系肝細胞の注入 ラット2 HeLa(ヒト癌)細胞の注入 両ラットを上述した骨髄移植プロトコールにより準備した。ラット1には1.5 〜3x105個の肝細胞を含む50〜100μlを注入した。ラット2には3x105個のHeLa細 胞を注入した。 ラット1を手術後すぐに犠牲にした。ラット2は手術の3日後に犠牲にした。 実験用脛骨をホルマリンで固定し、カットし、染色した。 ラット1では、肝細胞が形態的に確認され、骨髄空間全体に散在していた。ラ ット2では、抗ケラチノサイト染色により、骨髄空間にヒトHeLa細胞の存在する ことが示された。異種細胞の周辺に炎症は見られなかった。 ラット1とラット2の双方について得られた結果は、細胞が骨髄空間に侵入で きたことを実証している。手術の3日後に免疫適格動物の骨髄にヒト細胞が炎症 の徴候なしに存在していたことは、本方法の有効性を示すものである。実験2 この実験の目的は同系移植を得ることであった。Sprague Dawley(SD)肝細胞を SD骨髄空間に導入した。ラットを手術の3日後に犠牲にし、組織学的検査のため に骨を調製した。 肝細胞は骨髄全体に形態的に確認された。多数の肝細胞が非常に明白なクラス ターとして存在しており、種々の切片では増殖がはっきりと見えた。 この実験の結果は、肝細胞が骨髄内に適切に配置されたことを示している。骨 髄環境は生存と増殖さえも誘導するようである。炎症や拒絶反応の明らかな徴候 は認められなかった。実験3 この実験の目的は、同系/同種異系/異種移植を提供すること、および同系移 植について軟骨からの侵入と皮質からの侵入を比較することであった。A群のラ ットには、右足のSD骨髄空間にSD肝細胞を注入した。軟骨からの侵入と皮質から の侵入を比較した。左足でも、SD骨髄空間にSD肝細胞を注入した。B群のラット については、左右の足のSD骨髄空間にマウスBA/C肝細胞を注入した。C群のラッ トにはSD骨髄空間にヒト生検肝細胞を注入した。それぞれの足への注射液は2〜 3x10個の細胞を含んでいた。A群は0、3、7および14日目に犠牲にした。B 群とC群は3日目に犠牲にした。 犠牲に続いて、骨を固定し、カットし、染色した。全ての群に対して肝細胞特 異的マーカーによる対比染色を行った。 A群について、軟骨からの注入は、皮質注入からの侵入と比べて、技術的によ り難しい手術であった。一方、皮質注入による出血および損傷は比較的少なかっ た。皮質移植に対して軟骨実験では、より局所的な炎症が侵入部位に生じた。 侵入の方法に関係なく、全ての切片に肝細胞が形態的に確認され、また14日目 に抗アルブミン、パン-ケラチンABおよびk167を用いて肝細胞特異的対比染色を 行うことによっても確認された。 B群については、マウス肝細胞がヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色で ラット骨髄に形態的に確認された。k167、k19およびパン-ケラチンによる肝細胞 特異的対比染色は全切片において陽性であった。炎症、過細胞性、感染または 他の免疫応答の明らかな徴候は見られなかった。 C群のグループに関しては、ラット骨髄にヒト肝細胞がH&E染色で形態的に確 認された。k167、k19およびパン-ケラチンによる肝細胞特異的対比染色は全切片 において陽性であった。炎症、過細胞性、感染または他の免疫応答の明らかな徴 候は見られなかった。 かくして、A群から得られた結果は、実験的に好適な侵入モードは皮質からで 、軟骨からではないことを示す。軟骨からの侵入は明らかにより外傷性で、出血 が多かった。従って、これはヒトでは好ましい実施形態ではないかもしれない。 さらに、14日目に生きている同系細胞が存在していたことは、肝細胞移植部位と しての骨髄の実施可能性を示すものである。細胞は、移動や他の明らかな有害作 用を引き起こすことなく、存在しかつ生き延びることが可能である。 B群から得られた結果は、免疫抑制を行っていない免疫適格動物における同種 異系移植を表す。移植の3日後に正規染色と対比染色により確認された肝細胞の 存在は本方法の有効性を実証している。炎症性応答が起こるのであれば、移植後 3日目までに、かかる応答が現れると予想される。なぜならば、これらの細胞は 絶えず血液と接触しているからである。 C群からの結果は、免疫抑制を行っていない免疫適格動物における異種移植を 表す。移植の3日後に正規染色と対比染色により確認された肝細胞の存在は本方 法の有効性を実証している。この場合も、もしも炎症性応答が起こるのであれば 、この時までにそれを検出できると予想される。なぜならば、これらの異種細胞 は絶えず血液と接触しているからである。 B群とC群の実験を繰り返し行って、結果を確認した。 実施例8糖尿病ラットへの膵島移値 移植した細胞が骨髄環境で機能し、免疫抑制なしでも生き延びることができる ことを示すために、ストレプトゾシン誘発糖尿病ラットへのβ細胞の移植の効果 を分析することにより、細胞の機能を解析した。 実験1 同系SD膵島細胞をSD骨髄空間に移植し、移植後さまざまな時点でグルコース測 定を行った。 ラット1: 445個−対照 ラット2: Hi −大きな膵島を移植 ラット3: 228個−小さな膵島を移植 結果を図4に示す。同系モデルでは、小さな膵島の移植が成功した。形態学的 検査で大きな膵島はうまく機能していないと思われた。しかし、この実験から、 骨髄に移植した細胞は少なくとも30日間機能し、生き延びることがわかる。この ことは、骨髄空間が循環系に分泌される必要があるタンパク質の生産部位として 使用でき、それゆえに遺伝子と細胞の両方の実施可能な移植部位であることを立 証している。 実験2 この実験では、Wistarラットの骨髄空間へのLewisラット膵島の同種異系移植 およびWistarラットの骨髄空間へのSD膵島の同種異系移植を行った。 5匹のラットにストレプトゾシン注射で糖尿病を誘発し、4匹に次のような移 植を行った。 ラット1 培地−対照 ラット2 90個のLewis膵島(ドナー1) ラット3 先行実験からの90個のSD膵島(2週間培養) ラット4 140個のLewis膵島(ドナー2) ラット5 140個のLewis膵島(ドナー2) 結果を図5に示してある。ラット#2においては、移植後30日間にわたり正常 血糖血をもたらし、膵島移植の機能的効果が存在したようである。ラット4でも 機能的効果が現れたように思えたが、実験開始後12日目に死亡した。ラット1、 3および5は経時的効果を示さなかったようである。これらの結果は本発明の方 法の有効性を示すものである。なぜならば、このような免疫適格宿主における同 種異系移植は、もしも拒絶が起こっていたならば5〜7日目までに完全に拒絶さ れていたにちがいないからである。7日後に確認できる効果が存在していたとい う事実は非常に重要であり、特に宿主の免疫抑制または準備のない状態ではそう である。他方の動物で効果が見られなかったことは、おそらく機能的効果に必要 とされる細胞数の標準化を行わなかったことによるのだろう。というのは、タイ トレーション実験を行った実験4の同系移植でも同様の成功率が観察されたから である。 実験4 機能を示す移植に必要な同系膵島細胞の数を決定するために、次のタイトレー ション実験を行った。 ラット1 55個の膵島 ラット2 30個の膵島 ラット3 対照1 ラット4 27個の膵島 ラット5 対照2 ラット6 400個の膵島 ラット7 118個の膵島 ラット8 120個の膵島 ラット9 300個の膵島 結果を図6に示す。この実験の結果は、最適量が約100個の膵島であることを 示唆している。理論によって拘束されるつもりはないが、より多数の膵島が機能 的でないように思える事実は、ラット脛骨の骨髄空間の体積が小さいために起こ りうる局所的なダウンレギュレーションによるのだろう。 本明細書中に挙げた全ての文献は参照によりそれらの全体をここに含めるもの とする。 本発明について一般的に説明してきたが、単なる例示であって、特に断らない かぎり限定するものではない特定の実施例を参照することにより、本発明のさら なる理解が得られるだろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ローゼンウォルド,リンゼイ アメリカ合衆国 10024 ニューヨーク州, ニューヨーク,ウェスト エンド アベニ ュー 441

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物の骨髄に細胞を送達することを含んでなる哺乳動物への細胞の移植 方法。 2.機能性遺伝子を含むベクターで形質転換された細胞を哺乳動物の骨髄に送達 することを含んでなる哺乳動物への機能性遺伝子の送達方法。 3.生物学的に活性なタンパク質またはペプチドをコードする遺伝子を発現する ベクターで形質転換された細胞を哺乳動物の骨髄に送達することを含んでなる 、哺乳動物への生物学的に活性なタンパク質またはペプチドの送達方法。 4.生物学的に活性なタンパク質またはペプチドをコードするDNAを哺乳動物 の骨髄に送達することを含んでなる、哺乳動物への生物学的に活性なタンパク 質またはペプチドの送達方法。 5.適当な担体中の生物学的に活性なタンパク質またはペプチドを哺乳動物の骨 髄に送達することを含んでなる、哺乳動物への生物学的に活性なタンパク質ま たはペプチドの送達方法。 6.適当な担体中の医薬を哺乳動物の骨髄に送達することを含んでなる、哺乳動 物への医薬の送達方法。 7.哺乳動物の骨髄にデバイスまたは組成物を植え込む方法であって、 (a)骨髄に隣接した骨の部分を焼灼し、 (b)骨の前記部分と隣接骨髄を取り出して植え込み用の開放空間をあとに残 し、 (c)前記開放空間にデバイスまたは組成物を植え込み、そして (d)ステップ(b)で取り出した骨を元へ戻す、 ことを含んでなる方法。 8.哺乳動物が送達に先立って免疫抑制される、請求項1〜6のいずれか1項に 記載の方法。 9.哺乳動物が植え込みに先立って免疫抑制される、請求項7に記載の方法。 10.骨が腸骨稜(iliac crest)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方 法。 11.デバイスが置換可能な軟骨である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方 法。 12.組成物がDNA、タンパク質、細胞または組織である、請求項1〜7のいず れか1項に記載の方法。 13.組成物がDNA、タンパク質、細胞または組織を含浸させたゲルである、請 求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 14.移植される組成物がドナー患者由来の骨髄である、請求項1〜7のいずれか 1項に記載の方法。 15.哺乳動物が前記タンパク質に対して免疫寛容である、請求項1〜7のいずれ か1項に記載の方法。
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