JP3963755B2 - ポリウレタン組成物およびポリウレタン組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン組成物およびポリウレタン組成物の製造方法に関する。詳しくは、例えば、車両、船舶、航空機等の輸送体の内装装飾部品;店舗、オフィス、その他の建築内装部品;一般および事務用家具など、特に、各種自動車内装装飾部品、例えば自動車計器盤(インストルメントパネル)等のスキン層形成に好適なポリウレタン組成物およびポリウレタン組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のダッシュボード、すなわち、インストルメントパネルなどに代表される自動車内装装飾部品等としては、長期間の耐熱性、耐光性が必要される。このような耐熱性および耐候性が必要とされる内装装飾部品等の分野において、その表皮材としては、ポリウレタン等が挙げられる。
【0003】
ポリウレタン表皮は、その伸び、加工性に優れ、ポリウレタンフォームパッドとの接着性についても良好なものが得られうるが、ポリウレタン表皮の金型からの離型には、外部離型剤または内部離型剤が必須である。これらの内部離型剤、外部離型剤はこれまでに鋭意検討されてきた。外部離型剤は、ポリウレタン表皮とポリウレタンフォームパッドとの接着性を損なわず、金型からの離型性を向上させるが、毎回金型へ離型剤を塗布するため作業性が低下し、繰り返し離型をすると、金型の離型面が汚れ、定期的に洗浄工程が必要となる。これに対し内部離型剤は、金型への外部離型剤の塗布回数を削減できるうえ、金型離型面の汚染も削減できる。しかしながら、内部離型剤は金型とポリウレタン表皮との接着力を低下させることで離型性能を向上させるため、同時にポリウレタンフォームパッドとポリウレタン表皮との接着性が低下してしまうという問題がある。
【0004】
また、ポリウレタン表皮(ポリウレタン組成物)とポリウレタンフォームパッドとの接着性は内部離型剤のポリウレタン組成物の表面へのブリードに大きく影響があることが考えられる。内部離型剤がブリードすることにより、ポリウレタン組成物とポリウレタンフォームパッドの接着が阻害されるため、内部離型剤のブリードがないことが好ましい。
【0005】
例えば、特開平02−283711号公報において、スプレー工法によりシロキサンエーテルコポリマー系の内部離型剤を用いたポリウレタンの製造方法が記載されている。ここで使用している内部離型剤は末端にOH基を持っており、本発明者らの検討の結果、末端にOH基をもつジメチルシロキサン系内部離型剤を使用した場合、ポリウレタンフォームパッドとの接着性が著しく低下することが確認されている。
【0006】
したがって、金型からの離型性とポリウレタンフォームパッドとの接着性が共に良好である性能を有するポリウレタン組成物の出現が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は新規なポリウレタン組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、金型からの離型性、ポリウレタンフォームパッドとの接着性能を有するポリウレタン組成物を提供することを目的とする。
本発明は、さらにスプレー工法により得られるポリウレタン組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究し、以下に示すような特性をもつ新規なポリウレタン組成物を見出し、以下のような本発明を完成するに至った。
本発明に係るポリウレタン組成物は、少なくとも、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および内部離型剤(C)を配合してなるポリウレタン組成物であって、前記内部離型剤(C)が下記一般式(C−1)
【0009】
【化6】
【0010】
(前記式(C−1)中、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、nは3〜200の整数を表わす)で表される化合物であり、イソシアネート化合物(A)とポリオール(B)と内部離型剤(C)との総質量に対する前記内部離型剤(C)の含有量が0.01〜10質量%であり、かつ、
【0011】
前記R1、R2は、下記一般式(C−2)
【0012】
【化7】
【0013】
で表わされる置換基であり、前記式(C−2)中、pは1〜10の整数を表わし、R3は、下記(a)または (b) で表わされる置換基であることを特徴としている。
(a) 下記一般式(C−3)
【0014】
【化8】
【0015】
(前記式(C−3)中、mは0〜50の整数を表わし、R4は水素原子またはメチル基を表わし、R5はグリシジルオキシ基またはメタクリルカルボニルオキシ基を表わす。)で表される置換基
(b)下記一般式(C−4)
【0016】
【化9】
【0017】
(前記式(C−4)中、mは0〜50の整数を表わし、R4は水素原子またはメチル基を表わし、R5はグリシジルオキシ基またはメタクリルカルボニルオキシ基を表わす。)で表わされる置換基。
【0018】
前記イソシアネート化合物(A)は、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物および芳香族基に直接結合しない少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記イソシアネート化合物(A)は、該イソシアネート化合物中に、2、5−−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタンおよび/または2、6−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタン、および/またはその誘導体を少なくとも20質量%含むことが好ましい。
【0019】
前記イソシアネート化合物(A)は、脂肪族イソシアネート化合物および脂環族イソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、これらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物であることが好ましい。
前記ポリウレタン組成物は、ポリウレタン組成物の成形後に前記内部離型剤(C)が成形物の表面にブリードすることがないことが好ましい。
【0020】
本発明に係るポリウレタン組成物は、少なくとも、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および内部離型剤(C)を配合してなるポリウレタン組成物であって、
前記イソシアネート化合物(A)が脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物および芳香族基に直接結合しない少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネート化合物の群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記内部離型剤(C)が4〜200のジメチルシロキサンの繰り返し単位を有する、分子内に活性水素をもたないポリシロキサン系化合物であり、イソシアネート化合物(A)とポリオール(B)と内部離型剤(C)との総質量に対する前記内部離型剤(C)の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴としている。
【0021】
本発明に係るポリウレタン組成物の製造方法は、少なくとも、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および内部離型剤(C)を接触させるポリウレタン組成物の製造方法であって、前記内部離型剤(C)が下記一般式(C−1)
【0022】
【化10】
【0023】
(前記式(C−1)中、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、nは3〜200の整数を表わす)で表される化合物であり、かつ、
前記R 1 、R 2 が、下記一般式(C−2)
【化14】
で表わされる置換基であり、前記式(C−2)中、 p は1〜10の整数を表わし、R 3 は、下記 ( a ) または ( b ) で表わされる置換基であり、かつ、
該内部離型剤(C)を、前記イソシアネート化合物(A)、前記ポリオール(B)および前記内部離型剤(C)の合計量に対して0.01〜10質量%の割合で用いることを特徴としている:
( a ) 下記一般式(C−3)
【化15】
(前記式(C−3)中、mは0〜50の整数を表わし、R 4 は水素原子またはメチル基を表わし、R 5 はグリシジルオキシ基またはメタクリルカルボニルオキシ基を表わす)で表わされる置換基
( b ) 下記一般式(C−4)
【化16】
(前記式(C−4)中、mは0〜50の整数を表わし、R 4 は水素原子またはメチル基を表わし、R 5 はグリシジルオキシ基またはメタクリルカルボニルオキシ基を表わす)で表される置換基。
【0024】
本発明に係るポリウレタン組成物は、少なくとも、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および内部離型剤(C)を接触させるポリウレタン組成物の製造方法であって、
前記イソシアネート(A)が脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物および芳香族基に直接結合しない少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記内部離型剤(C)が4〜200のジメチルシロキサンの繰り返し単位を有する、分子内に活性水素をもたないポリシロキサン系化合物であり、
該内部離型剤(C)を前記イソシアネート化合物(A)、前記ポリオール(B)および前記内部離型剤(C)の合計量に対して0.01〜10質量%の割合で用いることを特徴としている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ポリウレタン組成物、その製造方法、ポリウレタン成形物
本発明に係るポリウレタン組成物は、少なくともイソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および特定の内部離型剤(C)を配合してなるポリウレタン組成物である。
【0026】
なお、本発明において「配合してなるポリウレタン組成物」とは、少なくともイソシアネート化合物(A)とポリオール(B)とが接触して得られる、分子中にウレタン結合を有するポリマーを含む組成物を意味している。
このようなポリウレタン組成物は、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)とを、内部離型剤(C)と、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、ウレタン化触媒、ヌレート化触媒、顔料、可塑剤、難燃剤、その他添加剤等の成分共存下、接触させることにより得られる。
【0027】
ポリウレタン組成物の製造では、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)とを、内部離型剤(C)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、多機能安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒又はヌレート化触媒等の触媒とを共存下接触させることが好ましい。
このようなポリウレタン組成物の製造では、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)の各々いずれか又は双方にその他の添加剤を予め混合した液をそれぞれ調製し、その2液を混合反応してポリウレタン組成物を製造することが更に好ましい。このようなポリウレタン組成物は通常2液型ポリウレタンと呼称される(以下単に2液型ポリウレタンと呼称する)。
【0028】
これらのポリウレタン組成物の製造に際してはスプレー成形工法を用いることが好ましい。その際のスプレー設備としては、特に限定されるものではなく種々のものを用いることが可能であるが、ポリオール(B)とイソシアネート化合物(A)の反応時に優れた混合性を示すものを好ましく用いることができる。
また、本発明のポリウレタン成形物は、このようなポリウレタン組成物がその製造過程で所望の形状に成形された成形物である。
【0029】
2.内部離型剤(C)
本発明に用いられる内部離型剤としては、4〜200のジメチルシロキサンの繰り返し単位を有する、分子内に活性水素をもたないポリシロキサン系化合物が好ましく、その配合量は前記イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)、内部離型剤(C)の総質量に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%であることが望ましい。
【0030】
このような内部離型剤(C)は、下記一般式(C−1)
【0031】
【化11】
【0032】
で表される化合物であることが好ましい。
式(C−1)中、R1、R2は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が2〜120の活性水素含有官能基を有しない置換基であり、nは、3〜200、好ましくは5〜150、さらに好ましくは10〜100の整数であることが望ましい。
【0033】
前記一般式(C−1)中の、R1、R2は、下記一般式(C−2)で表わされる置換基であることが好ましい。
【0034】
【化12】
【0035】
前記式(C−2)中、pは1〜10、好ましくは1〜6の整数を表わし、R3は、下記(a)、(b)および(c)から選ばれるいずれかの置換基であることが望ましい。
(a)炭素数が1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6の活性水素を有しない置換基が望ましく、さらにこのような炭素数を有するアルキル基が望ましい。該置換基(a)は酸素原子を含有しないことが好ましい。このような置換基としては、具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ペンチル基、iso−ヘキシル基等の脂肪族アルキル基またはシクロペンチルメチル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシル基等の脂環族アルキル基などが挙げられる。
(b)下記一般式(C−3)で表される置換基
【0036】
【化13】
【0037】
ただし、式(C−3)中、mは0〜50、好ましくは0〜30、さらに好ましくは0〜10の整数を表わし、R4は水素、またはメチル基を表わし、R5は炭素数が、1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6である活性水素を有しない置換基を表わしている。R4はメチル基であることがより好ましい。R5としては、具体的には、たとえば、メチル基、メトキシ基、アセチル基、アセチルオキシ基、ビニル基、ビニルカルボニル基、ビニルカルボニルオキシ基、メタクリル基、メタクリルカルボニル基、メタクリルカルボニルオキシ基、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基およびエポキシシクロヘキシルオキシ基の中から選ばれる基であることが望ましく、これらのうちでは、メタクリルカルボニルオキシ基、グリシジルオキシ基、メタクリル基、メタクリルカルボニル基、エポキシ基、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルオキシ基から選ばれる基であることが望ましい。
(c)下記一般式(C−4)で表される置換基
【0038】
【化14】
【0039】
ただし、式(C−4)中、mは0〜50、好ましくは0〜30、さらに好ましくは0〜10の整数を表わし、R4は水素、またはメチル基を表わし、R5は炭素数が1〜10、好ましくは1〜8である活性水素を有しない置換基を表わしている。R5としては、具体的には、たとえば、メチル基、アセチル基、アセチルオキシ基、ビニル基、ビニルカルボニル基、ビニルカルボニルオキシ基、メタクリル基、メタクリルカルボニル基、メタクリルカルボニルオキシ基、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基およびエポキシシクロヘキシルオキシ基の中から選ばれる基であることが望ましく、これらのうちでは、メタクリルカルボニルオキシ基、グリシジルオキシ基、メタクリル基、メタクリルカルボニル基、エポキシ基、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルオキシ基から選ばれる基であることが望ましい。
【0040】
さらに、前記式(C−1)で表される置換基中のR1またはR2の少なくとも一方は、前記式(C−2)で表され、(C−2)中のR3は前記式(C−3)または(C−4)、好ましくは式(C−3)で表わされる置換基を有することが望ましい。
さらに、前記式(C−1)で表される置換基中のR1、R2が互いに異なる置換基である場合、R1、R2の一方が前記式(C−2)中置換基(a)を有し、他が、前記式(C−3)または(C−4)で表わされる置換基を有することが望ましい。
【0041】
このような構造の内部離型剤を特定量用いると、得られるポリウレタン組成物は金型からの離型性能に優れるとともに、ポリウレタンフォームパッドとの接着性能に優れるものとなる。また、ポリウレタンフォームパッドとの接着面に内部離型剤のブリードを著しく低減させることができる。
3.イソシアネート化合物(A)
本発明に用いられるイソシアネート化合物(A)としては、ポリウレタンの製造に用いるものであれば用いることができるが、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物および芳香族基に直接結合しない少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0042】
なお、本明細書では、イソシアネート化合物(A)と、その他の添加剤等を含有する成分をイソシアネート成分ということがある。
これらのイソシアネート化合物は、単独でも複数を併用してもよく、それらの変性物やその他のTDIやMDI等の芳香族イソシアネート化合物等と併用してもよい。
【0043】
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、たとえば1、6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)等が挙げられる。
前記脂環族ポリイソシアネート化合物としては、たとえば2、5−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタンおよび/または2、6−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタン(これらの単独または混合物を「NBDI」と称することがある。)、3、3、5−トリメチル−1−イソシアナト−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、1、6−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン(H6−XDI)、1、6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、ビス(4、4’イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12−MDI)等が挙げられる。
【0044】
前記芳香族基に直接結合しない少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネート化合物としては、たとえば1、6−ビスイソシアナトメチルベンゼン(XDI)等が挙げられる。
また、前記イソシアネート化合物(A)は、脂肪族イソシアネート化合物および脂環族イソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、これらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物であってもよい。
【0045】
混合質量比率は、(脂肪族イソシアネート化合物および脂環族イソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種)/(これらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種)が、99/1〜50/50であることが望ましい。
これらのうちでは、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物が好ましく、脂環族がさらに好ましく、2、5−および/または2、6−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタン(NBDI)(a−1)、NBDIから得られる誘導体をイソシアネート化合物中に少なくとも20質量%含むことが特に好ましい。
【0046】
本発明では、前記誘導体としては、前記イソシアネート化合物から得られる変性体が好ましい。
変性体としては、たとえば、ウレタン変性体、アロファネート変性体、ビウレット変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、ウレタンウレア変性体、カルボジイミド変性体、オキサゾリジンジオン変性体、オキサゾリジン変性体などが挙げられる。
【0047】
これらの変性体のうちでは、ヌレート変性体が好ましい。
前記NBDI(a−1)/NBDIから得られる変性体(a−2)の好ましい混合質量比率は99/1〜60/40であることが望ましい。
NBDIから得られる変性体(a−2)
前記NBDIから得られる変性体(a−2)としては、NBDIから得られる多官能体であることが好ましい。
【0048】
また、NBDIとその変性体は他のイソシアネートと併用して用いることができる。他のイソシアネートとしては、例えば、3、3、5−トリメチル−1−イソシアナト−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、1、6−ビスイソシアナトメチルベンゼン(XDI)、1、6−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン(H6−XDI)、1、6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、ビス(4、4’イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12−MDI)、上記イソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、イソシアヌレート変性体があげられる。
【0049】
前記多官能体としては、NBDIから得られるイソシアネート基を3ヶ以上有し、NBDIを反応して得られる化合物であればいずれでもよいが、特にノルボルナン環またはトリシクロ環を維持したものが好ましく、さらにはヌレート体がより好ましい。
前記ヌレート体としては、ポリイソシアヌレートの3量体であり、イソシアヌレート環(トリアジン環と呼称することもある)を有するものが挙げられる。
【0050】
NBDIから得られる変性体(a−2)が多官能体であるヌレート体である場合、(a−1)/(a−2)の混合質量比率は、好ましくは99/1〜60/40である。
前記ヌレート体の質量比率が1%以上であることにより、反応が早くなり、得られたポリウレタンの耐熱・耐光物性が向上するため好ましい。40質量%(質量%)以下であるとポリオール成分との相溶性が良好となり、その結果反応硬化速度が向上する。又、得られたポリウレタン組成物の伸び率も優れたものとなる。さらに、得られたポリウレタン組成物のソフトタッチ性も向上する。
【0051】
NBDIの製造方法
NBDIの製造方法は、特に限定されないが例えば、DE P3,018,198.7 、DE−OS 1,645,595および同2,819,980 号に記載されるような、二量化シクロペンタジエンからヒドロホルミル化、還元性アミノ化合物およびホスゲン化の順次反応による方法で製造する方法、あるいは、USP 3,143,570号公報に記載されているような、該当するジアミンのホスゲン化反応による方法等に準じて製造することができる。
【0052】
ウレタン変性プレポリマー
本発明において用いられるイソシアネート化合物(A)として、たとえば、上記混合ポリイソシアネート((a−1)と(a-2)との混合物)をポリオール成分(Bpre)により一部ウレタン変性したプレポリマーをより好ましく用いることができる。
【0053】
上記混合イソシアネートを一部ウレタン変性したプレポリマーにすると、反応硬化速度が速くなり、ソフトタッチ性能も大幅に向上する。
プレポリマー製造用ポリオール成分(B pre )
ウレタン変性に使用する変性剤であるポリオール成分(Bpre)としては、特に限定されるものではなく、通常のポリウレタン組成物に用いられるものであればいずれでもよい。例えば、多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等が例示できるが、このうち、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
【0054】
なかでも、特に好ましい態様においては、前記ポリオール成分(Bpre)が、(b−1)活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜3、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオール、
であり、さらに好ましい態様においては、前記ポリオール成分(Bpre)が、
(b−1−2)非アミン系多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜3、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオールであることが望ましい。
【0055】
上記のように変性剤として好ましく使用されるポリエーテルポリオールは、その平均官能基数が2〜3、水酸基価が24〜120mgKOH/gである。平均官能基数が2より低い、あるいは、水酸基価が24mgKOH/gより低くなると、反応硬化速度を速くする効果が無くなり、また得られたポリウレタン組成物の硬度が低くなり過ぎる。一方、平均官能基数が3より高い、あるいは、水酸基価が120mgKOH/gより高くなるとポリウレタン組成物のソフトタッチ性能が向上しない。
【0056】
さらに上記のように変性剤として好ましく使用されるポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールは、その水酸基価が、55〜120mgKOH/gのものである。水酸基価が55mgKOH/g以上とすることにより反応速度が向上し、120mgKOH/g以下とすることによりポリウレタン組成物の硬度を所定の範囲に制御しやすいので好ましい。
【0057】
ポリエーテルポリオール(b−1)
前記ウレタン変性に使用することのできるポリエーテルポリオール(b−1)としては、活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜3、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0058】
ポリエーテルポリオール(b−1)製造用の活性水素化合物
ポリエーテルポリオールの製造に際して開始剤として用いられる活性水素化合物としては酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物、窒素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物等が挙げられる。
(1) 酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物
本発明の方法における活性水素化合物のうち、酸素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物としては水、炭素数1ないし20のカルボン酸、炭素数2ないし20の2ないし6個のカルボキシル基を有する多価カルボン酸、カルバミン酸類、炭素数1ないし20のアルコール、炭素数2ないし20の2ないし8個の水酸基を有する多価アルコール、糖類またはその誘導体、炭素数6ないし20の1ないし3個の水酸基を有する芳香族化合物等が挙げられる。
【0059】
炭素数1ないし20のカルボン酸としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、フェニル酢酸、ジヒドロ桂皮酸またはシクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、パラメチル安息香酸または2-カルボキシナフタレン等が挙げられる。
炭素数2ないし20の2ないし6個のカルボキシル基を有する多価カルボン酸としては例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸酸、ブタンテトラカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸またはピロメリット酸等が挙げられる。
【0060】
カルバミン酸としては例えば、N,N-ジエチルカルバミン酸、N-カルボキシピロリドン等が挙げられる。
炭素数1ないし20のアルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、ノルマル-プロパノール、イソプロパノール、ノルマル-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、ノルマル-オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノールまたはシンナミルアルコール等が挙げられる。
【0061】
炭素数2ないし20の2ないし8個の水酸基を有する多価アルコールとしては例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0062】
糖類またはその誘導体としては例えば、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトースまたはシュクロース等が挙げられる。
炭素数6ないし20の1ないし3個の水酸基を有する芳香族化合物としては例えば、フェノール、2-ナフトール、2,6-ジヒドロキシナフタレンまたはビスフェノールA等が挙げられる。
【0063】
2ないし8の末端を有しその末端に1ないし8の水酸基を有するポリアルキレンオキシドとしては例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらのコポリマー等であって2ないし8の末端を有しその末端に1ないし8の水酸基を有するポリアルキレンオキシドが挙げられる。
(2) 窒素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物
また本発明の方法における活性水素化合物のうち、窒素原子上に活性水素原子を有する活性水素化合物としては、炭素数1ないし20の脂肪族または芳香族一級アミン、炭素数2ないし20の脂肪族または芳香族二級アミン、炭素数2ないし20の2ないし3の一級もしくは二級アミノ基を有する多価アミン、炭素数4ないし20の飽和環状二級アミン、炭素数4ないし20の不飽和環状二級アミン、炭素数4ないし20の2ないし3個の二級アミノ基を含む環状の多価アミン、炭素数2ないし20の無置換またはN-一置換の酸アミド、5ないし7員環の環状アミド類、炭素数4ないし10のジカルボン酸のイミド等が挙げられる。
【0064】
炭素数1ないし20の脂肪族または芳香族一級アミンとしては例えば、メチルアミン、エチルアミン、ノルマル-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマル-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、β-フェニルエチルアミン、アニリン、o-トルイジン、m-トルイジンまたはp-トルイジン等が挙げられる。
【0065】
炭素数2ないし20の脂肪族または芳香族二級アミンとしては例えば、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジ-ノルマル-プロピルアミン、エチル-ノルマル-ブチルアミン、メチル-sec-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、n-メチルアニリンまたはジフェニルアミン等が挙げられる。
【0066】
炭素数2ないし20の2ないし3の一級もしくは二級アミノ基を有する多価アミンとしては例えば、エチレンジアミン、ジ(2-アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、トリ(2-アミノエチル)アミン、N,N'-ジメチルエチレンジアミン、N,N'-ジエチルエチレンジアミンまたはジ(2-メチルアミノエチル)アミン等が挙げられる。
【0067】
炭素数4ないし20の飽和環状二級アミンとしては例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンまたは1,2,3,4-テトラヒドロキノリン等が挙げられる。
炭素数4ないし20の不飽和環状二級アミンとしては例えば、3-ピロリン、ピロール、インドール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾールまたはプリン等が挙げられる。
【0068】
炭素数4ないし20の2ないし3個の二級アミノ基を含む環状の多価アミンとしては例えば、ピペラジン、ピラジンまたは1,4,7-トリアザシクロノナン等が挙げられる。
炭素数2ないし20の無置換またはN-一置換の酸アミドとしては例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチル安息香酸アミドまたはN-エチルステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0069】
5ないし7員環の環状アミドとしては例えば、2-ピロリドンまたはε-カプロラクタム等が挙げられる。
炭素数4ないし10のジカルボン酸のイミドとしては例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミドまたはフタルイミド等が挙げられる。
これらの活性水素化合物のうち、炭素数2ないし20のアルコール、炭素数2ないし20の2ないし8の水酸基を有する多価アルコール、糖類またはその誘導体、2ないし8の末端を有しその末端に2ないし8の水酸基を有する分子量100ないし4500のポリアルキレンオキシド、炭素数2ないし20の脂肪族または芳香族二級アミン、炭素数2ないし20の2ないし3個の一級もしくは二級アミノ基を有する多価アミン、炭素数4ないし20の飽和環状二級アミン、炭素数4ないし20の2ないし3個の二級アミノ基を含む環状の多価アミンが好ましい。
【0070】
更に、炭素数2ないし10の2ないし4の水酸基を有する多価アルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドもしくはそれらのコポリマー等であって2ないし6の末端を有しその末端に2ないし4の水酸基を有する分子量100ないし4500のポリアルキレンオキシド、炭素数2ないし10の2ないし3個の二級アミノ基を有する多価アミン、炭素数4ないし10の飽和環状二級アミン、炭素数4ないし10の2ないし3の二級アミノ基を含む環状の多価アミン等が特に好ましい。
【0071】
ポリエーテルポリオール(b−1)製造用のアルキレンオキシド化合物
アルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0072】
これらのアルキレンオキシド化合物のうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが最も好ましい。
非アミン系開始剤を使用することにより、長期間高温下に保持しても変色の恐れが著しく低減し好ましい。
【0073】
ポリエーテルポリオール(b−1 - 2)
前記本発明により好ましく用いられる前記ポリエーテルポリオール(b−1−2)は、非アミン系多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜3、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0074】
例えば炭素数1乃至16の多価アルコール好ましくは炭素数1乃至10の多価アルコールを開始剤にアルキレンオキシド類を1種又は2種以上を付加重合したものである。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の非アミン系多価アルコールが挙げられ、この中でもエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリンが好ましい。
【0075】
アルキレンオキシド類としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0076】
これらのアルキレンオキシド化合物のうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが最も好ましい。
非アミン系開始剤を使用することにより、長期間高温下に保持しても変色の恐れが著しく低減し好ましい。
【0077】
プレポリマーの調製
イソシアネートを前記ポリオール成分(Bpre)により一部ウレタン変性したプレポリマーの好ましいNCO含量は、20〜30質量%である。20質量%以上とすることによりプレポリマーの粘度低く操作性が向上し好ましく、また30質量%以下とすることにより反応硬化速度、ソフトタッチ性能の向上と合わせてポリウレタン組成物の伸び率が向上するので好ましい。
【0078】
4.ポリオール成分
ポリオール成分とは、ポリオール(B)を、さらに、必要に応じて、内部離型剤(C)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒又はヌレート化触媒等の触媒、その他添加剤を含有する成分である。
これらの各成分について以下に説明する。
【0079】
ポリオール(B)
本発明においてポリイソシアネート化合物と反応させるポリオール(B)としては、例えば多価アルコール、ポリエーテルポリオール(ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールと呼称されることもある)、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。このうちポリオキシアルキレンポリオールを用いることが好ましい。
【0080】
本発明のポリオール(B)として以下のポリエーテルポリオール(b−4)または、該ポリエーテルポリオール(b−4)と非アミン系グリコール(b−5)との混合物からなるポリオールを好ましく用いることができる。これらのうちでは混合物を用いることが望ましい。
(b−4)活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜4、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオール
(b−5)平均官能基数が1.5〜2.5、代表的には2で、水酸基価が1000〜2000mgKOH/gの非アミン系グリコール
このようなポリオールは、紫外線吸収剤(d−1)、酸化防止剤(d−2)、耐熱安定剤(d−3)および多機能安定剤(d−4)からなる群から選ばれてなる少なくとも1種の安定剤(D)と、ウレタン化触媒(e−1)およびヌレート化触媒(e−2)からなる群から選ばれてなる少なくとも1種の触媒(E)と、顔料(F)とを併用することが好ましい。
【0081】
その量比は、特に限定されるものではないが、例えば、前記ポリエーテルポリオール(b−4)またはその混合物100質量部に対して、紫外線吸収剤(d−1)、酸化防止剤(d−2)、耐熱安定剤(d−3)および多機能安定剤(d−4)からなる群から選ばれてなる少なくとも1種の安定剤(D)0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、ウレタン化触媒(e−1)およびヌレート化触媒(e−2)からなる群から選ばれてなる少なくとも1種の触媒(E)0.5〜3質量部、より好ましくは0.6〜2質量部、顔料(F)0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜8質量部の割合にすることが望ましい。
【0082】
ポリエーテルポリオール(b−4)
本発明でポリオール(B)として用いられるポリエーテルポリオール(b−4)は、活性水素化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜4、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオールであり、平均官能基数2〜4、水酸基価24〜55mgKOH/gであることが更に好ましい。
【0083】
水酸基価が24mgKOH/g以上であると、ポリエーテルポリオールの粘度が低く、取り扱いが簡便であり好ましく、120mgKOH/g以下であると、得られたポリウレタン組成物の伸び率高く好ましい。
また平均官能基数が2以上であると、ポリオール成分とイソシアネート化合物(A)との反応硬化が向上し好ましく、平均官能基数が4以下であると、得られたポリウレタン組成物の伸び率が高くなるので好ましい。
【0084】
ポリエーテルポリオール(b−4)製造用の活性水素化合物
前記ポリエーテルポリオール(b−4)の製造用に用いられる活性水素化合物としては、ポリエーテルポリオール(b−1)製造用の活性水素化合物と同じものを用いることができ、これらは(b−1)を製造するものと同じでも異なっていてもよく、それらを単独で用いても複数を併用してもよい。
【0085】
ポリエーテルポリオール(b−4)製造用のアルキレンオキシド
前記ポリエーテルポリオール(b−4)の製造用に用いられるアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0086】
これらのアルキレンオキシド化合物のうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが最も好ましい。
非アミン系開始剤を使用することにより、長期間高温下に保持しても変色の恐れが著しく低減し好ましい。
【0087】
このようにして得られる本発明に用いられるポリエーテルポリオール(b−4)としてより好ましいものは、非アミン系多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合した平均官能基数2〜4、水酸基価24〜120mgKOH/gのポリエーテルポリオールが好ましく、平均官能基数2〜4、水酸基価24〜55mgKOH/gであることが更に好ましい。
【0088】
水酸基価が24mgKOH/g以上であるとポリエーテルポリオールの粘度が低く、取り扱いが簡便であり好ましく、120mgKOH/g以下であると、得られるポリウレタン組成物の伸び率高くなり好ましい。
また平均官能基数が2以上であると、ポリオール成分とイソシアネート化合物(A)の反応硬化が向上し好ましく、4以下とすることにより得られるポリウレタン組成物の伸び率が高くなり好ましい。
【0089】
非アミン系多価アルコールとしては、例えば炭素数1〜16の多価アルコール好ましくは炭素数1〜10の多価アルコールを開始剤にアルキレンオキシド類を1種又は2種以上を付加重合したものが挙げられる。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の非アミン系多価アルコールが挙げられ、この中でもエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリンが好ましい。
【0090】
アルキレンオキシド類としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0091】
これらのアルキレンオキシド化合物のうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが最も好ましい。
非アミン系開始剤を使用することにより、長期間高温下に保持しても変色の恐れが著しく低減し好ましい。
【0092】
非アミン系グリコール(b−5)
本発明で用いられる非アミン系グリコール(b−5)は、平均官能基数が1.5〜2.5、水酸基価1000〜2000mgKOH/gの非アミン系グリコールであり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタジオール等が挙げられ、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールである。
【0093】
その水酸基価が1000mgKOH/g以上、2000mgKOH/g以下であると、ポリオール成分とイソシアネート成分の反応硬化、ポリウレタン組成物の硬度を好ましい範囲に保つことができ、好ましい。また平均官能基数が2の非アミン系グリコールがさらに好ましい。
非アミン系グリコール(b−5)の使用量は、前記ポリエーテルポリオール(b−4)を100質量部としたとき、8〜40質量部が好ましく、さらに好ましくは10〜35質量部が好ましい。8質量部以上40質量部以下の範囲とすることにより得られるポリウレタン組成物の硬度が好ましい範囲に保つことができる。
【0094】
5.安定剤(D)
本発明で用いられる安定剤(D)は、紫外線吸収剤(d−1)、酸化防止剤(d−2)、耐熱安定剤(d−3)、および多機能安定剤(d−4)の群から選ばれる少なくとも1種であり、前記ポリエーテルポリオール(b−4)100質量部に対し、安定剤(D)を、0.01〜5質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の量で用いることが好ましい。
【0095】
添加部数が0.01質量部以上であると得られたポリウレタン組成物の耐熱,耐光物性が著しく向上し好ましく、添加部数が5質量部以下であると、安定剤のポリウレタン組成物の表面へのブリードアウトすることを防止でき、ポリウレタンフォームパッドとの接着性能を高く維持することができ、更にポリウレタン組成物の表面の白化を予防することができ好ましい。
【0096】
これら紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、多機能安定剤は単独で使用してもよく、あるいは併用して使用してもよい。
紫外線吸収剤(d−1)
前記紫外線吸収剤(d−1)は、紫外線吸収能をもった安定剤であり、特に限定されるわけではないが、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、およびニッケルないしコバルト錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0097】
使用できる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤が特に好ましい。
前記紫外線吸収剤(d−1)の配合量は、ウレタン系組成物100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲が好ましい。0.01質量部より少ないと、ウレタン系組成物の耐候性が、充分に優れたものとならない場合があり、他方、10質量部より多いときは、他の組成物添加物とともに組成物表面に噴き出したりするという問題がおこる場合がある。上記範囲のうち、0.1〜3質量部の範囲が特に好ましい。
【0098】
酸化防止剤(d−2)
前記酸化防止剤(d−2)は、酸化防止能をもった安定剤であり、特に限定されるわけではないが、例えば、ヒンダードフェノール系安定剤、アミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ安定剤等の安定剤が挙げられる。
使用できる酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系安定剤が特に好ましい。
【0099】
耐熱安定剤(d−3)
前記耐熱安定剤(d−3)は、耐熱安定能をもった安定剤であり、特に限定されるわけではないが、例えば、リン化合物等を用いることができる。
多機能安定剤(d−4)
前記多機能安定剤(d−4)は、例えば、紫外線吸収機能と酸化防止機能の両機能を併せ持った安定剤が挙げられ、具体的にはベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物を好ましく例示できる。
【0100】
前記ベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物の含有量に特に限定は無いが、ポリウレタン組成物の製造に用いられるポリオール成分の総量又はポリウレタン組成物に対して0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜5質量%の量で用いられる。このようなポリオール組成物を用いることによって得られたポリウレタン組成物では着色又熱劣化を著しく抑制できる。
【0101】
前記ベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物は、前記ベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物は、単に所定温度において攪拌混合する等任意の方法でポリオール成分と配合することができる。特に鉱油、パラフィン油又は植物油等で希釈した後、ポリオールに添加することにより、相溶性を一層改善するので好ましい。
【0102】
ベンゾトリアゾリル−アルキルビスフェノール化合物を含有したポリオール組成物は親油性に富み、耐揮散性が良好である。該ポリオール組成物及び該ポリオール組成物により得られたポリウレタン組成物は外気および光の作用に長期間にわたり連続的に暴露された場合にも効果的に保護される。
6.触媒(E)
本発明のポリウレタン組成物の製造に際しては、触媒(E)を用いることが好ましく、この触媒としてはウレタン化触媒(e−1)、ヌレート化触媒(e−2)が挙げられる。これらは単独でも併用しても良いが、ポリオール成分(B)とイソシアネート成分(A)の反応硬化を著しく早めるためには、併用することが好ましい。
【0103】
これら触媒(E)の使用量は、前記ポリエーテルポリオール(b−4)を100質量部としたとき、0.5〜3質量部であることが望ましい。0.5質量部以上であると、ポリオール成分とイソシアネート成分の反応硬化時間を著しく短縮できるので好ましく、3質量部以下であると得られたポリウレタン組成物の耐熱,耐光物性向上し好ましい。
【0104】
ウレタン化触媒(e−1)
ウレタン化触媒(e−1)としては、Sn系あるいはBi系金属触媒が挙げられる。Sn系触媒としては、酢酸錫、オクタン酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジメルカプチド、ジブチルチンマレエート、ジメチルチンジラウレート、ジオクチルチンジメルカプチド等があり、Bi系触媒としては、ネオデカン酸ビスマス等が挙げられる。
【0105】
これらの中で、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジラウレートが、ポリオール成分とイソシアネート成分の反応硬化を早めるので、特に好ましい。
ヌレート化触媒(e−2)
ヌレート化触媒(e−2)としては、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、カリウムフェノラート、非アミン系グリコールあるいは非アミン系ポリエーテルポリオールのKOH水溶液による一部アルコラート化脱水した化合物等が挙げられる。
【0106】
このなかでカリウムフェノラートがポリオール成分とイソシアネート成分の反応硬化を著しく早め、しかも得られたポリウレタン組成物の耐熱,耐光物性を良好に保つことから好ましい。
7.顔料(F)
顔料(F)は、ポリウレタン組成物を着色させる為の添加剤である。顔料としては、公知の無機および有機顔料のいずれを用いることも可能である。例えば無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタンなどが、また、有機顔料としては、例えば、、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジRK、パーマネントレッド4R、ブリリアントカーミンB、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキフタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカアイトグリーンレーキなどを例示的に示すことができるが、もちろんこれらに何ら限定されるものではない。
【0107】
これらは粉体で取り扱いにくい為、ポリエーテルポリオール中に練り込んで使用することが好ましい。
これら粉体の添加量は、前記ポリエーテルポリオール(b−4)を100質量部としたとき、0.1〜10質量部であることが望ましい。10質量部以下とすると、ポリオール成分の粘度を低くすることができ取り扱いが容易になるので好ましい。
【0108】
8.その他の添加剤
また、他の添加剤として、可塑剤、金属不活性化剤、滑剤、乳化剤、界面活性剤、脱泡剤、充填剤、発泡剤、蛍光増感剤、難燃剤、帯電防止剤等を用いてもよい。
なお、前記においては、ポリオール成分中に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、多機能安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒又はヌレート化触媒等の触媒、顔料、その他の添加剤を予め配合しておく態様を示したが、本発明において、これらの添加剤の添加形態としては、必ずしもこのような態様に限定されるものではなく、ポリオール成分とイソシアネート化合物(A)との混合時に別途添加する、イソシアネート化合物(A)に予め配合する、あるいは、ポリオール成分とイソシアネート化合物(A)との双方に予め配合しておく、といった態様を取ることも可能である。
【0109】
9.ポリウレタン組成物の用途および複合体
本発明に係るポリウレタン組成物は、前記したように、優れた外観品質を有し、耐熱性、耐光性、耐スクラッチ性能、ソフトタッチ性能にも優れ、また従来表皮材として汎用される塩化ビニル組成物とは異なり、ポリウレタンフォームパッドとの接着性に優れ、廃棄焼却時にダイオキシン等の有害物質の発生のないものである。
【0110】
このため、本発明に係るポリウレタン組成物は、各種のポリウレタン成形物に適用可能である。ポリウレタン成形物は、ポリウレタン組成物の製造過程で、所望の形状となるようにして得られる成形物である。
例えば、車両、船舶、航空機等の輸送体の内装装飾部品;店舗、オフィス、その他の建築内装部品;一般および事務用家具など、特に、各種自動車内装装飾部品、例えば自動車計器盤(インストルメントパネル)等のスキン層形成に用いられる表皮材として、好適に用いられる。しかし、その用途としても上記したものに特に限定されるものではない。
【0111】
このような表皮材として使用される態様においては、ポリウレタン組成物のシートの肉厚は、特に限定されるものではないが、例えば、0.3〜3.0mm、より好ましくは0.5〜2.0mm程度のものとされる。
また、本発明のポリウレタン組成物を用いて、上記したようなポリウレタン組成物のシートと、フォーム材及び/または芯材とを有する複合体を得ることもできる。この複合体において、ポリウレタン組成物のシートからなる層は、その特性から表皮、すなわち、スキンとして最表面に通常位置し、そのスキンより下層となるフォーム材及び/または芯材により、複合体として必要とされる他の特性を補っている。
【0112】
このような複合体において、ポリウレタン組成物のシートとしては、例えば、厚みが0.3〜3.0mm、より好ましくは0.5〜2.0mmのシートが好ましく、例えば、スプレー工法により得られるスプレースキンである。
またフォーム材としては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン組成物からなるシートとの接着性が良好となり、また再生利用が容易となるといった観点から、ポリウレタンフォームであることが望ましい。なお、このフォームとしては、複合体として所望される特性に応じて、硬質フォーム、半硬質フォーム、軟質フォーム等から適宜選択され得、その肉厚としても適宜選択され得る。
【0113】
また芯材としても、特に限定されるものではなく、例えば、複合体に必要とされる剛性、強度、弾性等の特性を付与し得るものであれば、任意のものを用いることができる。例えば、ABS組成物、スチレン組成物、オレフィン組成物、アクリル組成物等の組成物ないしエラストマー、その他、アルミニウム板、鋼板等の金属板等を例示することができるが、もちろんこれらに何ら限定されるものではなく、また、その肉厚等も複合体として所望される特性に応じて適宜選択され得る。
【0114】
このような複合体における各層の被着方法としても、特に限定されるものではなく、例えば、各種接着剤、ヒートシール等を用いて接合することも可能であるが、ウレタンフォームの成形時に、ポリウレタンスキン、あるいはポリウレタンスキンおよび芯材を、型内に配置しておき、一体発泡成形を行なうことが望ましい。なお、このような一体発泡成形方法として、公知のいずれの方法も用いることが可能である。
【0115】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るポリウレタン組成物は、金型からの離型性能に優れるとともに、ポリウレタンフォームパッドとの接着性能に優れ、ポリウレタンフォームパッドとの接着面に内部離型剤のブリードがない。
【0116】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。また本実施例の項に記載する「%」は、特に記載がない限り、「質量%」を意味する。
原料
また以下の比較例および実施例において用いた原料は、以下の通りである。
・ポリエーテルポリオール
グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合した後、エチレンオキシドを付加重合した。なお、プロピレンオキシド/エチレンオキシドは85/15の質量比率で付加重合した。平均官能基数3、水酸基価34mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・グリコール
1,4BD(1247):三菱化学社製1,4−ブタンジオール。水酸基価1247mgKOH/g
・紫外線吸収剤
T−770:チバガイギー社製TINUVIN770
・酸化防止剤
I−1035:チバガイギー社製IRGANOX1035
・多機能安定剤
JAST−500:城北化学工業社製JAST−500
・10%安定剤溶液の調製
ポリエーテルポリオール/T−770/I−1035/JAST−500を13.5/0.5/0.5/0.5の質量比率で溶解させた安定剤のポリオール溶液
なお、この安定剤溶液は、ポリエーテルポリオール 450gとT−770 16.7gとI−1035 16.7gとJAST−500 16.7gを1Lのビ−カーに仕込み、攪拌しながら130℃に加熱し、完全に溶解させた。
・ウレタン化触媒
DMTDL:ジメチルチンジラウレート
・ヌレート化触媒
弗化カリウムとポリエチレングリコール(PEG400)を室温で3時間混合し、1.6%弗化カリウムのPEG400溶液とした。
・消泡剤
SAG−47:日本ユニカー社製シリコーン SAG−47
・顔料の調製
ポリエーテルポリオール/カーボンブラック/酸化チタンを28.87/11.4/7.6の質量比率で混合、分散させたものを顔料として使用した(以下この顔料成分をトナーグレーと略す)。
・外部離型剤
内容量5Lの耐圧ホモミキサーに、水1500mlおよび水酸化カリウム5.3gを入れ、200℃に加熱して、500rpmで攪拌しながら、1軸押出し機で190℃溶融混練した低密度ポリエチレン/無水マレイン酸含有ポリエチレン1500gを供給した。さらに15分攪拌後、室温まで冷却し、0.5質量%ポリアクリル酸水溶液を加え、水性分散剤の艶消し剤を得た(pH=9.0、平均粒径=6μm、固形分濃度=40%、粘度500mPa・s)。この艶消し剤に水系離型剤(シリコーン類および乳化剤6.5%、水93.5%)を艶消し剤/水系離型剤=100/15の質量比率で混合し、外部離型剤とした。
・イソシアネート
NBDI:三井化学社製コスモネートNBDI NCO含量40.7%
NBDIヌレートマス:室温でNBDI 430.0gと、弗化カリウム 1.70gを5時間攪拌し、混合した後、ろ過を行う。ろ液にジブチルチンラウレートを0.043g添加し、減圧脱気を行う。次に40℃に昇温し、ヌレート化触媒を1.83g添加、40〜45℃で17.3時間反応を行った。次に反応停止剤(JP−506H:城北化学社製)を130g添加後、40〜45℃で1時間攪拌したものを排出し、NBDIヌレートマスを得た。NCO含量32.1%ヌレート含量38.1%
・プレポリマー
500mlセパラブルフラスコにNBDIヌレートマス 372.60g、NBDI 100.60g、ポリエーテルポリオール126.92g装入し、窒素雰囲気下、攪拌しながら90℃、3.5時間反応した。その後60℃まで冷却したところでSAG−47を2.5g装入し、攪拌、分散させた。これを排出し、プレポリマーを得た。NCO含量は26.115%であった。
・内部離型剤
内部離型剤1:一般式(C−1)で表わされ、(C−1)中のnが57、R1がn−ブチル基であり、R2が一般式(C−2)で表わされ、(C−2)中のpが3、R3が一般式(C−3)で表わされ、(C−3)中のmが0、R5がグリシジルオキシ基であるポリジメチルシロキサン。
【0117】
内部離型剤2:一般式(C−1)で表わされ、(C−1)中のnが56、R1がn−ブチル基であり、R2が一般式(C−2)で表わされ、(C−2)中のpが3、R3が一般式(C−3)で表わされ、(C−3)中のmが0、R5がメタクリルカルボニルオキシ基であるポリジメチルシロキサン。
内部離型剤3:一般式(C−1)で表わされ、(C−1)中のnが62、R1がn−ブチル基であり、R2が一般式(C−2)で表わされ、(C−2)中のpが2、R3が一般式(C−3)で表わされ、(C−3)中のmが0、R5がヒドロキシル基であるポリジメチルシロキサン。
【0118】
内部離型剤4:一般式(C−1)で表わされ、(C−1)中のnが22、R1、R2が一般式(C−2)で表わされ、(C−2)中のpが3、R3が一般式(C−4)で表わされ、(C−4)中のmが12、R4が水素、R5がヒドロキシル基であるポリジメチルシロキサン。
(内部離型剤の測定方法)
主鎖、側鎖の構造はCDCl3を溶媒とした核磁気共鳴測定装置(1H−NMR)により測定し、一般式(C−1)ないし(C−4)中のp、n、mは、高分子合成の実験法;化学同人 1994年 第14刷;木下 雅悦、大津 隆行 共著に記載の光散乱法により測定した質量平均分子量から算出した。
・ポリウレタンスキン/ポリウレタンフォームパッド複合体の成形
ポリウレタンスキンを用いて以下の方法によりポリウレタンフォームとの複合体を成形した。
【0119】
型温30〜40℃に調節した300x400x15mm厚みのアルミニウム製テストモールドの上型にポリウレタンスキンを装着し、下記に示すポリオール成分 97.7gとイソシアネート成分 62.3gを5秒攪拌混合した半硬質ポリウレタンフォーム反応液を流し込み、上型を閉じて、50秒後に上型を開け開圧し、その10秒後に再び上型を閉じ、さらに30秒硬化させた後、ポリウレタンスキン/半硬質ポリウレタンフォームの2層を一体化した複合体をモールドより離型した。
(半硬質ポリウレタンフォーム反応液)
1)ポリオール成分
ポリエーテルポリオール 93.46%
水 2.80%
トリエタノールアミン 1.87%
ジエタノールアミン 0.93%
トリエチルアミン 0.47%
トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液 0.47%
2)イソシアネート成分
ポリメリックMDI(三井武田ケミカル(株)製コスモネートM−200)
物性測定方法
以下に示す実施例および比較例において得られたポリウレタン組成物の物性評価は次に示すような方法および基準より行なった。
・金型からのポリウレタンスキンの離型性能評価方法
ポリウレタンスキンを金型から離型する際、プッシュプルゲージにより剥離強度を測定した。予め外部離型剤を金型に5gスプレーした条件で、内部離型剤を含まないポリウレタンスキンの成形と離型を4回繰り返し、その後外部離型剤を用いることなく、内部離型剤を含有したスキンの成形、離型を繰り返した。このときの連続剥離強度が1.1kgf以下の場合、離型可能とした。また、連続離型可能回数が連続5回以上であったものを離型性能○と判定した。
・ポリウレタンフォームパッドとの接着性能評価方法
ポリウレタンスキンとポリウレタンフォームパッドとの一体成形を行い、ポリウレタンフォームパッドとの接着性能を測定した。スキンにフォームパッドが90〜100面積%付着しているものを接着性能○と判定した。接着性能の評価は、ポリウレタンスキン成形後当日、1日後、30日後について行った。
・ポリウレタンスキン表面における内部離型剤のブリード評価方法
ポリウレタンスキンのポリウレタンフォームパッドとの接着面において、目視による観察で内部離型剤のブリードによる光沢がないものを○、光沢があるものを×とした。
【0120】
【実施例1】
(1)レジンの調製
ポリエーテルポリオールを42.2g、10%安定剤溶液を8.8g、トナーグレーを13.0g、1,4BD(1247)を17.7g、SAG−47を0.3g、内部離型剤1を1.18g、常温、大気圧下にて30分攪拌し、レジン1を調製した。
(2)ポリウレタン組成物の成形
200mlセパラブルフラスコ中で、レジン1 80.35gとプレポリマー79.2gとDMTDL 0.58gを5秒間攪拌・真空脱泡し、予め70℃に加温され、外部離型剤5gをスプレーガンにより噴霧された金型上に排出し、ポリウレタンスキンの厚みが1mmになるようにステンレス製の板でキャストした。離型性能、接着性能の結果を表1に示す。
【0121】
【実施例2】
実施例1の(1)において、内部離型剤1を1.16g用いたのに代えて、内部離型剤1を2.32g用いた以外は実施例1と全く同様の操作を行った。離型性能、接着性能の結果を表1に示す。
【0122】
【実施例3】
実施例1の(1)において、内部離型剤1を1.16g用いたのに代えて、内部離型剤2を1.16g用いた以外は実施例1と全く同様の操作を行った。離型性能、接着性能の結果を表1に示す。
【0123】
【実施例4】
実施例1の(1)において、内部離型剤1を1.16g用いたのに代えて、内部離型剤2を2.32g用いた以外は実施例1と全く同様の操作を行った。離型性能、接着性能の結果を表1に示す。
【0124】
【比較例1】
実施例1の(1)において、内部離型剤1を1.16g用いたのに代えて、内部離型剤3を1.16g用いた以外は実施例1と全く同様の操作を行った。離型性能、接着性能の結果を表2に示す。
【0125】
【比較例2】
実施例1の(1)において、内部離型剤1を1.16g用いたのに代えて、内部離型剤4を1.16g用いた以外は実施例1と全く同様の操作を行った。離型性能、接着性能の結果を表2に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
Claims (8)
- 少なくとも、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および内部離型剤(C)を配合してなるポリウレタン組成物であって、
前記内部離型剤(C)が下記一般式(C−1)
前記R 1 、R 2 が、下記一般式(C−2)
イソシアネート化合物(A)とポリオール(B)と内部離型剤(C)との総質量に対する前記内部離型剤(C)の含有量が0.01〜10質量%であることを特徴とするポリウレタン組成物:
( a ) 下記一般式(C−3)
( b ) 下記一般式(C−4)
- 前記内部離型剤(C)が、
前記一般式(C−1)で表わされ、式(C−1)中のnが3〜200、R 1 がn−ブチル基、R 2 が前記一般式(C−2)で表わされ、式(C−2)中のpが3であり、R 3 が前記一般式(C−3)で表わされ、式(C−3)中のmが0、R 5 がグリシジルオキシ基ま たはメタクリルカルボニルオキシ基であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン組成物。 - 前記イソシアネート化合物(A)が、
脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物および芳香族基に直接結合しない少なくとも2個のNCO基を有するイソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン組成物。 - 前記イソシアネート化合物(A)が、
該イソシアネート化合物中に、2、5−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタンおよび/または2、6−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2、2、1]ヘプタン、および/またはその誘導体を少なくとも20質量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。 - 前記イソシアネート化合物(A)が、
脂肪族イソシアネート化合物および脂環族イソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、これらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。 - ポリウレタン組成物の成形後に前記内部離型剤(C)が成形物の表面にブリードすることがないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。
- 少なくとも、イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)および内部離型剤(C)を接触させるポリウレタン組成物の製造方法であって、
前記内部離型剤(C)が下記一般式(C−1)
前記R 1 、R 2 が、下記一般式(C−2)
該内部離型剤(C)を、前記イソシアネート化合物(A)、前記ポリオール(B)および前記内部離型剤(C)の合計量に対して0.01〜10質量%の割合で用いることを特徴とするポリウレタン組成物の製造方法:
( a ) 下記一般式(C−3)
( b ) 下記一般式(C−4)
- 前記内部離型剤(C)が、
前記一般式(C−1)で表わされ、式(C−1)中のnが3〜200、R 1 がn−ブチ
ル基、R 2 が前記一般式(C−2)で表わされ、式(C−2)中のpが3であり、R 3 が前記一般式(C−3)で表わされ、式(C−3)中のmが0、R 5 がグリシジルオキシ基またはメタクリルカルボニルオキシ基であることを特徴とする請求項7に記載のポリウレタン組成物の製造方法。
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