《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の構成を示すシステム図であり、図2は、車両用運転操作補助装置1を搭載した車両の構成図である。
まず、車両用運転操作補助装置1の構成を説明する。レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを照射して車両前方領域を走査する。レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、前方車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、複数の前方車までの車間距離とその存在方向を検出する。検出した車間距離及び存在方向はコントローラ50へ出力される。なお、本実施の形態において、前方物体の存在方向は、自車両に対する相対角度として表すことができる。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
前方カメラ20は、フロントウィンドウ上部に取り付けられた小型のCCDカメラ、またはCMOSカメラ等であり、前方道路の状況を画像として検出し、コントローラ50へと出力する。前方カメラ20による検知領域は水平方向に±30deg程度であり、この領域に含まれる前方道路風景が画像として取り込まれる。
車速センサ30は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより自車両の車速を検出し、検出した自車速をコントローラ50に出力する。
コントローラ50は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成されており、CPUのソフトウェア形態により車両用運転操作補助装置1全体の制御を行う。コントローラ50は、車速センサ30から入力される自車速と、レーザレーダ10から入力される距離情報と、前方カメラ20から入力される車両周辺の画像情報とから、自車両周囲の走行環境すなわち障害物状況を検出する。なお、コントローラ50は、前方カメラ20からの画像情報を画像処理し、自車両周囲の障害物状況を検出する。ここで、自車両周囲の障害物状況としては、自車両前方を走行する先行車両までの車間距離、隣接車線を走行する他車両の有無と接近度合、および車線識別線(レーンマーカ)およびガードレールに対する自車両の左右位置(相対位置と角度)、さらにレーンマーカおよびガードレールの形状などである。
コントローラ50は、検出した障害物状況に基づいて各障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出し、後述するようにリスクポテンシャルに応じたアクセルペダル反力制御を行う。
図3に示すように、アクセルペダル82のリンク機構にはサーボモータ81およびアクセルペダルストロークセンサ83が組み込まれている。アクセルペダル反力制御装置80は、コントローラ50からの指令に応じてサーボモータ81で発生させるトルクを制御する。サーボモータ81は、アクセルペダル反力制御装置80からの指令値に応じて発生させる反力を制御し、運転者がアクセルペダル82を操作する際に発生する踏力を任意に制御することができる。アクセルペダルストロークセンサ83は、リンク機構を介してサーボモータ81の回転角に変換されたアクセルペダル82の操作量すなわちアクセルペダルストローク量を検出する。
なお、アクセルペダル反力制御を行わない場合の通常のアクセルペダル反力特性は、例えば、アクセルペダルストローク量が大きくなるほどアクセルペダル反力がリニアに大きくなるよう設定されている。通常のアクセルペダル反力特性は、例えばアクセルペダル82の回転中心に設けられたねじりバネ84のバネ力によって実現することができる。
次に、第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を説明する。その動作の概略を以下に述べる。
コントローラ50は、自車両の走行車速、および自車両と自車前方や隣接車線に存在する他車両との相対位置やその移動方向と、レーンマーカやガードレールに対する自車両の相対位置等の自車両周囲の障害物状況を認識する。コントローラ50は、認識した障害物状況に基づいて、各障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを求める。さらに、算出したリスクポテンシャルに基づいてアクセルペダル82の反力制御量を算出する。コントローラ50は、リスクポテンシャルに応じた反力制御量を発生するような指令をアクセルペダル反力制御装置80に出力し、アクセルペダル反力制御を行う。
このように、運転者がアクセルペダル82を操作している場合に、自車両周囲のリスクポテンシャルをアクセルペダル反力として運転者に知らせることができる。ただし、運転者がアクセルペダル82を操作していない場合、またはアクセルペダル82に軽く足をのせているだけの場合には、自車両周囲のリスクポテンシャルをアクセルペダル反力として伝達することが困難となる。すなわち、一般的にアクセルペダル82には遊びが持たせてあるため、アクセルペダル82に足をのせているだけでは運転者はアクセルペダル反力の変化を正確に理解することができない。そこで、第1の実施の形態では、自車両周囲のリスクポテンシャルをアクセルペダル反力として運転者に伝達しにくい状況においてアクセルペダル82に振動を発生させる。
以下に、第1の実施の形態におけるアクセルペダル反力制御について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、第1の実施の形態のコントローラ50による運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS101で、レーザレーダ10,前方カメラ20および車速センサ30によって検出される自車両周囲の走行環境を読み込む。ここで検出される走行環境は、自車両周囲に存在する障害物までの相対距離D、相対速度Vrおよび自車速Vf等である。
ステップS102で、ステップS101で検出した走行環境に基づいて、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRPを算出するために、まず、自車両と障害物、例えば先行車との余裕時間TTCおよび車間時間THWを算出する。
余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量である。余裕時間TTCは、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速Vfおよび相対車速Vrが一定の場合に、何秒後に車間距離Dがゼロとなり自車両と先行車両とが接触するかを示す値であり、以下の(式1)により求められる。
余裕時間TTC=−D/Vr ・・・(式1)
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどのドライバが減速行動を開始することが知られている。
車間時間THWは、自車両が先行車に追従走行している場合に、想定される将来の先行車の車速変化による余裕時間TTCへの影響度合、つまり相対車速Vrが変化すると仮定したときの影響度合を示す物理量である。車間時間THWは、以下の(式2)で表される。
車間時間THW=D/Vf ・・・(式2)
車間時間THWは、車間距離Dを自車速Vfで除したものであり、先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を示す。この車間時間THWが大きいほど、周囲環境変化に対する予測影響度合が小さくなる。つまり、車間時間THWが大きい場合には、もしも将来に先行車の車速が変化しても、先行車までの接近度合には大きな影響を与えず、余裕時間TTCはあまり大きく変化しないことを示す。なお、自車両が先行車に追従している場合は、(式2)において自車速Vfの代わりに先行車速を用いて車間時間THWを算出することもできる。
つぎに、上述したように算出した余裕時間TTCおよび車間時間THWを用いて、先行車に対するリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRPは以下の(式3)により算出できる。
RP=a/THW+b/TTC ・・・(式3)
ここで、定数a、bは、車間時間THWおよび余裕時間TTCにそれぞれ適切な重み付けをするパラメータである。定数a、bは、a<bとなるように予め適切に設定しておく(例えばa=1,b=8)。
ステップS103で、ステップS102で算出したリスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル反力制御量、すなわち反力制御指令値f1を算出する。図5に、リスクポテンシャルRPと反力制御指令値f1との関係を示す。図5に示すように、反力制御指令値f1は、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど増加する。
ステップS104では、アクセルペダルストロークセンサ83によって検出されるアクセルペダルストローク量θを読み込む。つづくステップS105で、ステップS104で読み込んだアクセルペダルストローク量θが、閾値θ0より小さいか否かを判定する。ここで、閾値θ0は、アクセルペダル反力を変化させても運転者がその変化に気付かないようなストローク量θの範囲を示すものである。閾値θ0は、例えばアクセルペダル82の遊びに対応して、アクセルペダル82を完全に踏み込んだときのストローク量θの1%程度に設定する。現在のアクセルペダルストローク量θが閾値θ0よりも小さいと判定されると、リスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル反力の変化に運転者が気付かないと判断して、ステップS106へ進む。
ステップS106では、アクセルペダル82に付加する振動反力f2を設定する。振動反力f2は、例えば周波数100Hz、p−p振幅0.5kgfに設定する。このように、アクセルペダルストローク量θが0付近である場合は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPをアクセルペダル反力として伝達しづらい状況であることを、アクセルペダル82に振動を発生させることにより運転者に知らせる。一方、ステップS105が否定判定され、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0以上である場合は、ステップS107へ進む。ステップS107では振動反力f2=0に設定し、振動を発生しないようにする。
ステップS108では、ステップS103で算出したリスクポテンシャルRPに応じた反力制御指令値f1と、ステップS106またはステップS107で設定した振動反力f2とから、実際にアクセルペダル82に付加する反力の指令値FAを算出する。反力指令値FAは、FA=f1+f2である。ステップS109では、ステップS108で算出した反力指令値FAをアクセルペダル反力制御装置80に出力する。アクセルペダル反力制御装置80は、入力された反力指令値FAに応じてサーボモータ81を制御し、アクセルペダル82に発生する反力を制御する。これにより、今回の処理を終了する。
図6(a)〜(c)に、第1の実施の形態による作用を説明するための図を示す。図6(a)は時間tに対するリスクポテンシャルRPとアクセルペダルストローク量θとの関係を示す。図6(b)は、時間tに対する反力制御指令値f1および振動反力f2の変化を示し、図6(c)は時間tに対する反力指令値FAの変化を示す。
図6(a)〜(c)に示すように、アクセルペダル82が閾値θ0以上のストローク量θで操作されている場合は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じた付加反力FA(=f1)が発生する。運転者がアクセルペダル82を緩めはじめ、時間t=t1においてアクセルペダルストローク量θが閾値θ0を下回ると、振動反力f2が所定値に設定される。これにより、アクセルペダル82にはリスクポテンシャルRPに対応する反力制御指令値f1に振動反力f2を上乗せした付加反力FA(=f1+f2)が発生する。アクセルペダル82の振動は、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0以上となるまで継続して発生する。運転者は、アクセルペダル82に発生するわずかな振動を知覚することにより、アクセルペダルストローク量θが0付近であるためリスクポテンシャルRPがアクセルペダル反力FAとして十分に伝わってこないことを理解することができる。
このように、以上説明した第1の実施の形態においては、以下のような効果を奏することができる。
(1)コントローラ50は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じてアクセルペダル82の操作反力を制御するとともに、アクセルペダル82の操作量θが所定値θ0を下回る場合にはその旨を運転者に報知する。これにより、アクセルペダルストローク量θが0付近で、自車両周囲のリスクポテンシャルRPの情報をアクセルペダル反力FAから取得することが困難な状況であることを運転者に理解させることができる。
(2)コントローラ50は、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0よりも小さい場合は、アクセルペダル82に振動を発生させる。アクセルペダルストローク量θが小さくてアクセルペダル反力FAの変化に気付かないような状態でも、運転者は通常、アクセルペダル82に発生する振動は知覚することができる。これにより、アクセルペダルストローク量θが0付近であることを運転者に理解させることができる。なお、アクセルペダル82に発生する振動の振幅および周波数は、運転者に煩わしさを与えないように予め適切に設定しておくことが望ましい。
(3)所定量θ0は、アクセルペダル82の操作量θの遊びに対応するように設定される。これにより、運転者はアクセルペダル82を操作しているつもりでも実際には操作反力の変化に気付かないような操作量を適切に設定することができる。
《第2の実施の形態》
つぎに、本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
上述した第1の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0を下回ると常にアクセルペダル82に振動を発生させるようにしたが、第2の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0を下回った状態でリスクポテンシャルRPが大きくなったときに、アクセルペダル82に振動を発生させる。すなわち、第2の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0を下回るか否かで、アクセルペダル反力制御のモードを変更する。
以下に、第2の実施の形態におけるアクセルペダル反力制御について、図7を用いて詳細に説明する。図7は、第2の実施の形態のコントローラ50による運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS201およびS202における処理は、上述した第1の実施の形態で説明した図4のフローチャートのステップS101およびS102と同様である。ステップS203では、アクセルペダルストロークセンサ83によって検出されるアクセルペダル82のストローク量θを読み込む。
ステップS204では、ステップS203で読み込んだアクセルペダルストローク量θと閾値θ0とを比較し、アクセルペダル反力制御のモードを選択する。現在のアクセルペダルストローク量θが閾値θ0よりも小さい場合は、振動発生モードを選択し、ステップS205へ進む。
ステップS205では、アクセルペダル82に付加する振動の振幅Aを算出する。ここでは、ステップS202で算出したリスクポテンシャルRPに応じて振幅Aを設定する。図8に、リスクポテンシャルRPと振幅Aとの関係を示す。図8に示すように、リスクポテンシャルRPが所定値RP0以下の領域では振幅A=0とし、振動は発生させない。リスクポテンシャルRPが所定値RP0を越えて増加すると振幅Aが徐々に大きくなり、リスクポテンシャルRPが所定値RP1以上となると、振幅A=A1に固定される。
ステップS206では、ステップS205で算出した振幅Aでアクセルペダル82に振動を発生するような指令を、アクセルペダル反力制御装置80に出力する。ここで、振動の周波数fは例えば100Hzとする。
一方、ステップS204でアクセルペダルストローク量θが閾値θ0以上であると判定されると、連続反力発生モードを選択し、ステップS207へ進む。ステップS207では、ステップS202で算出したリスクポテンシャルRPに応じてアクセルペダル反力制御指令値f1を算出する。具体的には、上述した第1の実施の形態と同様に、図5のマップを用いてリスクポテンシャルRPに応じた反力制御指令値f1を設定する。ステップS208では、ステップS207で算出した反力制御指令値f1をアクセルペダル反力制御装置80に出力し、リスクポテンシャルRPに応じた反力FA(=f1)をアクセルペダル82に連続的に発生させる。これにより、今回の処理を終了する。
図9(a)(b)に、第2の実施の形態による作用を説明するための図を示す。図9(a)は時間tに対するリスクポテンシャルRPとアクセルペダルストローク量θとの関係を示し、図9(b)は、時間tに対する反力制御指令値f1および振動反力f2の変化を示す。
図9(a)(b)に示すように、アクセルペダル82が閾値θ0以上のストローク量θで操作されている場合は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じた付加反力FA(=f1)がアクセルペダル82に発生する。運転者がアクセルペダル82を緩めはじめ、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0を下回ると、連続反力発生モードが終了する。すなわち、アクセルペダルストローク量θが0付近の状態では、リスクポテンシャルRPに応じた付加反力FA(=f1)は発生しない。また、アクセルペダルストローク量θが0付近、かつリスクポテンシャルRPが所定値RP0を下回った状態では、アクセルペダル82に振動を発生させない。ここで、例えば先行車両の減速等により自車両周囲のリスクポテンシャルRPが増加し、所定値RP0を越えると、アクセルペダル82に振動が発生し始める。アクセルペダル82に発生する振動は、リスクポテンシャルRPの増加に応じてその振幅が大きくなり、アクセルペダルストローク量θが閾値θ0以上となるまで継続して発生する。
このように、以上説明した第2の実施の形態においては、以下のような効果を奏することができる。
コントローラ50は、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0より小さく、かつ自車両周囲のリスクポテンシャルRPが所定値RP0よりも大きい場合に、アクセルペダル82に振動を発生させる。すなわち、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0よりも小さいか否かで、アクセルペダル反力の制御モードを変更する。具体的には、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0以上の場合は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル反力FAを発生する。一方、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0よりも小さい場合は、リスクポテンシャルRPが所定値RP0よりも大きくなるとアクセルペダル82に振動を発生させる。これにより、アクセルペダルストローク量θが0付近で、アクセルペダル反力FAの変化を運転者が十分に認識できないような状況でも、アクセルペダル82を振動させることによって自車両周囲のリスクポテンシャルRPの増加を運転者に伝達することができる。さらに、リスクポテンシャルRPが所定値RP0以下の場合にはアクセルペダル82に振動が発生しないので、アクセルペダルストローク量θが0付近の場合に常にアクセルペダル82に振動が発生するといった煩わしさを運転者に与えることがない。
なお、以上説明した第2の実施の形態では、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0より小さくなり、連続反力発生モードが終了するとリスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル反力FAの発生を停止したが、これには限定されない。例えば、連続反力発生モードが終了して振動発生モードに移行してからも、リスクポテンシャルRPに応じたアクセルペダル反力FA(=f1)は継続して発生させ、リスクポテンシャルRPが所定値RP0より大きくなった場合に、アクセルペダル反力f1に振動反力f2を付加することもできる。
《第3の実施の形態》
つぎに、本発明の第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
上述した第1の実施の形態では、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0未満となったときにアクセルペダル82に振動を付加したが、第3の実施の形態では、これに加えて視覚情報によりアクセルペダルストローク量θが所定値θ0を下回ることを運転者に知らせる。
具体的には、図10(a)に示すようなリスクポテンシャル表示装置90を自車両のメータクラスタ内に設置する。リスクポテンシャル表示装置90は、リスクポテンシャルRPの変化に応じて点灯範囲が変化するように設定されている。アクセルペダルストロークセンサ83によって検出されるアクセルペダルストローク量θが所定値θ0を下回ると、アクセルペダル82に振動を発生させるとともに、図10(b)に示すようにリスクポテンシャル表示装置90を点滅させる。
これにより、アクセルペダルストローク量θが0付近で、自車両周囲のリスクポテンシャルRPがアクセルペダル反力FAとして十分に伝わってこないことを、より確実に運転者に知らせることができる。
なお、図10(a)(b)に示すリスクポテンシャル表示装置90に代えて、図11(a)(b)に示す報知ランプ100をメータクラスタ内に設置することもできる。アクセルペダルストローク量θが所定値θ0以上である場合は、図11(a)に示すように報知ランプ100は消灯している。アクセルペダルストローク量θが所定値θ0を下回ると、アクセルペダル82に振動が発生するとともに、報知ランプ100が図11(b)に示すように点灯する。これにより、アクセルペダルストローク量θが0付近であることを確実に運転者に知らせることができる。
以上説明したように、第3の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0を下回ることを、アクセルペダル82の振動および視覚情報から運転者に知らせた。しかし、これには限定されず、リスクポテンシャル表示装置90の点滅、または報知ランプ100の点灯といった視覚情報のみで、アクセルペダルストローク量θが0付近であることを運転者に知らせることもできる。視覚情報によるリスクポテンシャルRPの伝達については、第7の実施の形態以降で詳細に説明する。
《第4の実施の形態》
つぎに、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ただし、第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置は、警報音を発生するブザーをさらに備えている。上述した第3の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0未満の場合に、アクセルペダル82を振動させるとともに、視覚情報を出力したが、第4の実施の形態では、警報音を発生させる。
図12(a)〜(c)に、第4の実施の形態による作用を説明するための図を示す。図12(a)は、時間tに対するリスクポテンシャルRPおよびアクセルペダルストローク量θの変化を示し、図12(b)は、時間tに対するアクセルペダル付加反力FAの変化を示す。また、図12(c)は警報音の出力状態を示す。
図12(a)(b)に示すように、アクセルペダル82が閾値θ0以上のストローク量θで操作されている場合(領域A)は、リスクポテンシャルRPに応じた付加反力FA(=f1)がアクセルペダル82に発生する。時間t=t1でアクセルペダルストローク量θが閾値θ0を下回ると、リスクポテンシャルRPに対応する反力制御量f1に振動反力f2を付加した付加反力FA(=f1+f2)がアクセルペダル82に発生する。さらに、図12(c)に示すように警報音が出力される。
これにより、アクセルペダルストローク量θが0付近になり、自車両周囲のリスクポテンシャルRPがアクセルペダル反力FAとして十分に伝わってこないことを、より確実に運転者に知らせることができる。
以上説明したように、第4の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0を下回ることを、アクセルペダル82の振動および警報音の発生により運転者に知らせた。しかし、これには限定されず、警報音の発生のみで、アクセルペダルストローク量θが0付近であることを運転者に知らせることもできる。
《第5の実施の形態》
本発明の第5の実施の形態よる車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第5の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、アクセルペダル82に振動を発生させてアクセルペダルストローク量θが0付近であることを運転者に知らせる。このとき、アクセルペダルストローク量θが小さくなっていく段階で、アクセルペダルストローク量θの大きさに応じて振動の大きさを変化させる。
以下に、第5の実施の形態におけるアクセルペダル反力制御について、図13を用いて詳細に説明する。図13は、第5の実施の形態のコントローラ50による運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS301〜S304における処理は、上述した第1の実施の形態で説明した図4のフローチャートのステップS101〜S104と同様である。ステップS305では、ステップS304で読み込んだアクセルペダルストローク量θが閾値θ1よりも小さいか否かを判定する。ここで、閾値θ1は、例えばアクセルペダル82を完全に踏み込んだときのストローク量θの5%程度に設定する。閾値θ1は、上述した第1の実施の形態で設定した閾値θ0よりも大きい値であり(θ1>θ0)、アクセルペダルストローク量θが小さくなっていることを示すものである。
ステップS305で、アクセルペダルストローク量θが閾値θ1よりも小さいと判定されると、ステップS306へ進む。ステップS306では、アクセルペダルストローク量θに応じて振動反力f2を設定する。具体的には、アクセルペダルストローク量θに応じて、アクセルペダル82に発生させる振動の振幅Aの大きさを設定する。図14に、アクセルペダルストローク量θと振幅Aとの関係を示す。図14に示すように、閾値θ1未満の領域でアクセルペダルストローク量θが小さくなるほど、振幅Aが大きくなる。これにより、アクセルペダルストローク量θが0に近づくほど、アクセルペダル82に大きな振動が発生する。振動の周波数fは、例えばf=100Hzに設定する。このようにして、振動反力f2を設定する。
一方、ステップS305が否定判定されると、ステップS307へ進む。ステップS307では、振動反力f2=0に設定し、アクセルペダル82に振動を発生させないようにする。ステップS308ではステップS303で算出した反力制御指令値f1と、ステップS306またはS307で算出した振動反力f2とから、反力指令値FAを算出する(FA=f1+f2)。つづくステップS309では、ステップS308で算出した反力指令値FAをアクセルペダル反力制御装置80に出力する。これにより、今回の処理を終了する。
図15(a)〜(c)に、第5の実施の形態による作用を説明するための図を示す。図15(a)は時間tに対するリスクポテンシャルRPとアクセルペダルストローク量θとの関係を示す。図15(b)は、時間tに対する反力制御指令値f1および振動反力f2の変化を示し、図15(c)は時間tに対する反力指令値FAの変化を示す。
図15(a)〜(c)に示すように、アクセルペダル82が閾値θ1以上のストローク量θで操作されている場合は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じた付加反力FAが発生する。運転者がアクセルペダル82を緩めはじめ、時間t=t2においてアクセルペダルストローク量θが閾値θ1を下回ると、アクセルペダル82には振動が発生し始める。具体的には、リスクポテンシャルRPに対応する反力制御指令値f1に、アクセルペダルストローク量θに応じた振幅Aの振動反力f2を上乗せした付加反力FAがアクセルペダル82に発生する。アクセルペダル82に発生する振動は、アクセルペダルストローク量θが小さくなるほど振幅Aが大きくなり、アクセルペダルストローク量θが閾値θ1以上となるまで継続して発生する。
このように、以上説明した第5の実施の形態においては、以下のような効果を奏することができる。
コントローラ50は、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0よりも大きな値θ1から所定値θ0以下に低下する過程で、アクセルペダル82に振動を発生させる。このとき、アクセルペダルストローク量θに応じて振動の形態、すなわち振幅Aを変更する。これにより、アクセルペダルストローク量θが小さくなるとアクセルペダル82に振動が発生し、アクセルペダルストローク量θが0に近づくほど振動の振幅Aが大きくなる。その結果、アクセルペダルストローク量θが0付近であることを運転者に知らせることができる。さらに、振動の振幅Aの変化により、アクセルペダルストローク量θが0付近となってアクセルペダル反力FAからリスクポテンシャルRPの情報を得ることができなくなるまでの余裕を、運転者に理解させることができる。すなわち、運転者は振幅Aの大きさにより現在のアクセルペダルストローク量θを理解することができる。
《第6の実施の形態》
本発明の第6の実施の形態よる車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。第6の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様である。ただし、第6の実施の形態による車両用運転操作補助装置は、警報音を発生するブザーをさらに備えている。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第6の実施の形態においては、アクセルペダルストローク量θが0付近で、リスクポテンシャルRPの変化がアクセルペダル反力から十分に伝わってこないことを、警報音により運転者に知らせる。このとき、アクセルペダルストローク量θが小さくなっていく段階で、警報音を出力する間隔をアクセルペダルストローク量θの大きさに応じて変化させる。
以下に、第6の実施の形態における制御について、図16を用いて詳細に説明する。図16は、第6の実施の形態のコントローラ50による運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS401〜S404における処理は、上述した第1の実施の形態で説明した図4のフローチャートのステップS101〜S104と同様である。ステップS405では、ステップS403で算出したリスクポテンシャルRPに応じた反力制御指令値f1をアクセルペダル反力制御装置80に出力する。
ステップS406では、ステップS404で検出した現在のアクセルペダルストローク量θが閾値θ2よりも小さいか否かを判定する。ここで、閾値θ2は、例えばアクセルペダル82を完全に踏み込んだときのストローク量θの3%程度に設定する。閾値θ2は、上述した第1の実施の形態で設定した閾値θ0よりも大きい値であり(θ2>θ0)、アクセルペダルストローク量θが小さくなっていることを示すものである。なお、警報音を発生させることにより運転者に煩わしさを与えないように、閾値θ2は、上述した第5の実施の形態で設定したアクセルペダル82に振動を発生させるための閾値θ1よりも小さい値とすることが望ましい。
ステップS406で、アクセルペダルストローク量θが閾値θ2よりも小さいと判定されると、ステップS407へ進む。ステップS407では、アクセルペダルストローク量θに応じて警報音の発生間隔を設定する。具体的には、アクセルペダルストローク量θに応じて、断続的に発生する警報音の発生間隔sを設定する。図17に、アクセルペダルストローク量θと警報音の間隔sとの関係を示す。図17に示すように、閾値θ2未満の領域でアクセルペダルストローク量θが小さくなるほど、警報音の発生間隔sが短くなる。これにより、アクセルペダルストローク量θが0に近づくほど、短い間隔で警報音が発生する。なお、警報音の出力時間は、所定値、例えば30msに固定する。このようにして設定した間隔sで、警報音を発生する。
一方、ステップS406が否定判定されると、ステップS408へ進み、警報音は発生させない。また、警報音が発生していた場合には、その出力を停止する。これにより、今回の処理を終了する。
図18(a)〜(c)に、第6の実施の形態による作用を説明するための図を示す。図18(a)は時間tに対するリスクポテンシャルRPとアクセルペダルストローク量θとの関係を示す。図18(b)は時間tに対する反力制御指令値f1の変化を示し、図18(c)は警報音の出力状態を示す。
図18(a)(b)に示すように、アクセルペダル82が閾値θ2以上のストローク量θで操作されている場合は、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じた付加反力FAが発生する。運転者がアクセルペダル82を緩めはじめ、時間t=t3においてアクセルペダルストローク量θが閾値θ2を下回ると、アクセルペダル82には付加反力FA(=f1)が発生したままで、断続的に警報音が発生し始める。警報音の発生間隔sは、アクセルペダルストローク量θが小さくなるほど短くなり、アクセルペダルストローク量θが閾値θ2以上となるまで発生する。
このように、以上説明した第6の実施の形態においては、以下のような効果を奏することができる。
コントローラ50は、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0よりも大きな値θ2から所定値θ0以下に低下する過程で、警報音を発生する。このとき、警報音の発生形態、すなわち発生間隔sをアクセルペダルストローク量θに応じて変更する。これにより、アクセルペダルストローク量θが小さくなると断続的に警報音が発生し、アクセルペダルストローク量θが0に近づくほど警報音の発生間隔sが短くなる。その結果、アクセルペダルストローク量θが0付近であることを運転者に知らせることができる。さらに、警報音の発生間隔sの変化により、アクセルペダルストローク量θが0付近となってアクセルペダル反力FAからリスクポテンシャルRPの情報を得ることができなくなるまでの余裕、すなわち現在のアクセルペダルストローク量θを運転者に理解させることができる。
上述した第1から第6の実施の形態においては、自車両と障害物との余裕時間TTCおよび車間時間THWからリスクポテンシャルRPを算出したが、これには限定されず、例えば余裕時間TTCおよび車間時間THWのいずれかを用いてリスクポテンシャルRPを算出することもできる。また、リスクポテンシャルRPと反力制御指令値f1との関係は、図5に示すマップには限定されず、例えばリスクポテンシャルRPの増加に対して反力制御指令値f1がリニアに増加するように設定することもできる。
上述した第1の実施の形態においては、アクセルペダル82に発生する振動の周波数を100Hz、p−p振幅を0.5kgfとして説明したが、これらには限定されず、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0よりも小さい状態でアクセルペダル82が振動していることを運転者に認識できる程度の周波数および振幅を設定することができる。
上述した第3の実施の形態では、図10(a)(b)に示すようなリスクポテンシャルRPの大きさに応じて点灯範囲が変化するリスクポテンシャル表示装置90を用いたが、これには限定されない。例えばコントローラ50が検出された障害物に対してアクセルペダル反力制御を行っている場合に点灯し、アクセルペダルストローク量θが所定値θ0を下回ると点滅するような表示ランプを設けることもできる。
本発明による車両用運転操作補助制御装置1が適用される車は、図2に示す構成には限定されない。
以上説明した第1から第6の実施の形態においては、走行環境検出手段として、レーザレーダ10,前方カメラ20および車速センサ30を用い、操作反力制御手段としてコントローラ50およびアクセルペダル反力制御装置80を用い、操作量検出手段としてアクセルペダルストロークセンサ83を用いた。また、報知手段として、コントローラ50,アクセルペダル反力制御装置80,リスクポテンシャル表示装置90または報知ランプ100を用いた。ただし、これらには限定されず、走行環境検出手段として、レーザレーダ10の代わりに例えば別方式のミリ波レーダを用いることもできる。
《第7の実施の形態》
次に、本発明の第7の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。
自車両周囲の走行環境から算出されるリスクポテンシャルを例えばアクセルペダル反力により運転者に伝達するシステムにおいては、アクセルペダルが運転者が直接触れて操作をする操作機器であることから、アクセルペダルを介して運転者の触覚を刺激することによりリスクポテンシャルを運転者に伝達することができる。ただし、このようなシステムにおいて、視覚情報を付加的に与えることが望ましい場合がある。例えば、触覚によりリスクポテンシャルを認識するシステムに慣れていない運転者にとっては、アクセルペダル反力からリスクポテンシャルを正確に判断することが難しいことが考えられる。
そこで、第7の実施の形態による車両用運転操作補助装置は、自車両周囲のリスクポテンシャルを、運転者の触覚を刺激する刺激量として伝達するとともに、視覚情報により運転者に伝達する。図19は、本発明の第7の実施の形態による車両用運転操作補助装置2の構成を示すシステム図であり、図20は、車両用運転操作補助装置2を搭載した車両の構成図である。
まず、車両用運転操作補助装置2の構成を説明する。レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを照射して車両前方領域を走査する。レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、前方車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、複数の前方車までの車間距離とその存在方向を検出する。検出した車間距離及び存在方向はコントローラ60へ出力される。なお、本実施の形態において、前方物体の存在方向は、自車両に対する相対角度として表すことができる。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
前方カメラ20は、フロントウィンドウ上部に取り付けられた小型のCCDカメラ、またはCMOSカメラ等であり、前方道路の状況を画像として検出し、コントローラ60へと出力する。前方カメラ20による検知領域は水平方向に±30deg程度であり、この領域に含まれる前方道路風景が画像として取り込まれる。
車速センサ30は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより自車両の車速を検出し、検出した自車速をコントローラ60に出力する。
コントローラ60は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成され、車両用運転操作補助装置2全体の制御を行う。図22に、コントローラ60の内部および周辺の構成を示すブロック図を示す。コントローラ60は、例えばCPUのソフトウェア形態により、障害物状況認識部60A、リスクポテンシャル算出部60B、必要情報判定部60C、刺激量算出部60D、および表示量算出部60Eを構成する。
コントローラ60は、車速センサ30から入力される自車速と、レーザレーダ10から入力される距離情報と、前方カメラ20から入力される車両周辺の画像情報とから、自車両周囲の走行環境すなわち障害物状況を検出する。なお、コントローラ60は、前方カメラ20からの画像情報を画像処理し、自車両周囲の障害物状況を検出する。ここで、自車両周囲の障害物状況としては、自車両前方を走行する先行車両までの車間距離、隣接車線を走行する他車両の有無と接近度合、および車線識別線(レーンマーカ)およびガードレールに対する自車両の左右位置(相対位置と角度)、さらにレーンマーカおよびガードレールの形状などである。
コントローラ60は、検出した障害物状況に基づいて各障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出し、後述するようにリスクポテンシャルに応じたアクセルペダル反力制御を行う。さらに、算出したリスクポテンシャルを視覚情報として運転者に伝達する。
図21に示すように、アクセルペダル82のリンク機構にはサーボモータ81およびアクセルペダルストロークセンサ83が組み込まれている。アクセルペダル反力制御装置80は、コントローラ60からの指令に応じてサーボモータ81で発生させるトルクを制御する。サーボモータ81は、アクセルペダル反力制御装置80からの指令値に応じて発生させる反力を制御し、運転者がアクセルペダル82を操作する際に発生する踏力を任意に制御することができる。アクセルペダルストロークセンサ83は、リンク機構を介してサーボモータ81の回転角に変換されたアクセルペダル82の操作量すなわちアクセルペダルストローク量を検出する。
なお、アクセルペダル反力制御を行わない場合の通常のアクセルペダル反力特性は、例えば、アクセルペダルストローク量が大きくなるほどアクセルペダル反力がリニアに大きくなるよう設定されている。通常のアクセルペダル反力特性は、例えばアクセルペダル82の回転中心に設けられたねじりバネ84のバネ力によって実現することができる。
表示装置110は、例えば液晶モニタを備え、コントローラ60で算出された自車両周囲のリスクポテンシャルを液晶モニタに表示して視覚情報として運転者に伝える。
次に、第7の実施の形態による車両用運転操作補助装置2の動作を説明する。
コントローラ60は、障害物状況認識部60Aにおいて、自車両の走行車速、および自車両と自車前方や隣接車線に存在する他車両との相対位置やその移動方向と、レーンマーカやガードレールに対する自車両の相対位置等の自車両周囲の障害物状況を認識する。リスクポテンシャル算出部60Bは、障害物状況認識部60Aで認識した障害物状況に基づいて、各障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを求める。
必要情報判定部60Cは、リスクポテンシャル算出部60Bで算出したリスクポテンシャルを触覚情報および視覚情報として運転者に伝達するために必要な情報を判定する。必要情報判定部60Cは、例えばリスクポテンシャルが所定値以上であるかを判定する。刺激量算出部60Dは、リスクポテンシャルに基づいて運転者に伝達する刺激量を算出する。ここで、刺激量は触覚を介してリスクポテンシャルを運転者に伝達するための物理量であり、具体的には、アクセルペダル82の反力制御量である。刺激量算出部60Dで算出された反力制御量は反力指令値としてアクセルペダル反力制御装置80に出力され、アクセルペダル反力制御装置80は、反力指令値に応じてアクセルペダル反力制御を行う。
このように、自車両周囲のリスクポテンシャルをアクセルペダル反力によって運転者に伝達することにより、運転者は触覚を介して直感的に情報を認識することができる。ただし、アクセルペダル反力から、すなわち触覚を介してリスクポテンシャルを伝達する場合、運転者の触覚を司る感覚器の分解能や個人差、また体調等による個人内差等によって十分な情報伝達が行えないことがある。そこで、第7の実施の形態では、自車両周囲のリスクポテンシャルをアクセルペダル反力として触覚を介して運転者に伝達するとともに、リスクポテンシャルを表示することにより視覚を介して運転者に伝達する。
具体的には、コントローラ60の表示量算出部60Eにおいて、リスクポテンシャルの表示量、すなわちリスクポテンシャルの表示内容を決定する。表示装置110は、表示量算出部60Eで決定された表示内容に従って表示を行い、リスクポテンシャルを視覚情報として運転者に伝達する。
このように、リスクポテンシャルを触覚を介して運転者に伝達する際に、視覚情報を用いて、運転者が容易にリスクポテンシャルを認識できるように補助する。特に、触覚を介したリスクポテンシャルの伝達システムになれていない運転者に対しては、システムに慣れるまでの学習課程を短縮することができる。また、既にシステムに慣れた運転者に対しても、システムの作動を開始した時のリスクポテンシャルの容易な認識を補助することができる。
以下に、第7の実施の形態におけるアクセルペダル反力制御およびリスクポテンシャル表示制御について、図23を用いて詳細に説明する。図23は、第7の実施の形態のコントローラ60による運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS1100で、レーザレーダ10,前方カメラ20および車速センサ30によって検出される自車両周囲の走行環境を読み込む。ステップS1200で障害物状況認識部60Aは、ステップS1100で読み込んだ走行環境から自車両周囲の障害物状況を認識する。なお、ここで認識される障害物状況は、自車両周囲に存在する障害物までの相対距離D、相対速度Vrおよび自車速Vf等である。
ステップS1300でリスクポテンシャル算出部60Bは、ステップS1200で認識した障害物状況に基づいて、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRPを算出するために、まず、自車両と障害物、例えば先行車との余裕時間TTCおよび車間時間THWを算出する。
余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量である。余裕時間TTCは、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速Vfおよび相対車速Vrが一定の場合に、何秒後に車間距離Dがゼロとなり自車両と先行車両とが接触するかを示す値であり、以下の(式4)により求められる。
余裕時間TTC=−D/Vr ・・・(式4)
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどのドライバが減速行動を開始することが知られている。
車間時間THWは、自車両が先行車に追従走行している場合に、想定される将来の先行車の車速変化による余裕時間TTCへの影響度合、つまり相対車速Vrが変化すると仮定したときの影響度合を示す物理量である。車間時間THWは、以下の(式5)で表される。
車間時間THW=D/Vf ・・・(式5)
車間時間THWは、車間距離Dを自車速Vfで除したものであり、先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を示す。この車間時間THWが大きいほど、周囲環境変化に対する予測影響度合が小さくなる。つまり、車間時間THWが大きい場合には、もしも将来に先行車の車速が変化しても、先行車までの接近度合には大きな影響を与えず、余裕時間TTCはあまり大きく変化しないことを示す。なお、自車両が先行車に追従している場合は、(式5)において自車速Vfの代わりに先行車速を用いて車間時間THWを算出することもできる。
つぎに、上述したように算出した余裕時間TTCおよび車間時間THWを用いて、先行車に対するリスクポテンシャルRPを算出する。リスクポテンシャルRPは以下の(式6)により算出できる。
RP=a/THW+b/TTC ・・・(式6)
ここで、定数a、bは、車間時間THWおよび余裕時間TTCにそれぞれ適切な重み付けをするパラメータである。定数a、bは、a<bとなるように予め適切に設定しておく(例えばa=1,b=8)。
ステップS1400で刺激量算出部60Dは、ステップS1300で算出したリスクポテンシャルRPに応じて刺激量、すなわちアクセルペダル反力制御量dFを算出する。反力制御量dFはリスクポテンシャルRPに比例し、例えば以下の(式7)より算出することができる。
dF=k1・RP ・・・(式7)
ここで、k1は定数であり、予め適切な値を設定しておく。
つづくステップS1500では、ステップS1400で算出したアクセルペダル反力制御量dFをアクセルペダル反力制御装置80に出力する。アクセルペダル反力制御装置80は、コントローラ60からの指令に応じてアクセルペダル反力を制御し、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを触覚情報として運転者に伝達する。
また、ステップS1600で表示量算出部60Eは、ステップS1300で算出したリスクポテンシャルRPに基づいて表示量、すなわち表示装置110に表示するリスクポテンシャルRPの表示内容を決定する。ここで決定するリスクポテンシャルRPの表示内容および表示形態については、後述する。
ステップS1700では、ステップS1600で算出した表示量を表示装置110に出力する。表示装置110は、コントローラ60からの指令に応じた表示内容を表示モニタに表示し、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを視覚情報として運転者に伝達する。これにより、今回の処理を終了する。
つぎに、表示装置110においてどのようにリスクポテンシャルRPを表示するかについて説明する。リスクポテンシャルRPの表示形態としては、以下に示すものがある。
(1)リスクポテンシャルRPを数値で表示
(1−1)リスクポテンシャルRPを絶対値で表示
(1―2)リスクポテンシャルRPを相対値で表示
(2)リスクポテンシャルRPを図形で表示
(2−1)リスクポテンシャルRPのみを棒グラフで表示
(2−2)リスクポテンシャルRPと先行車の有無を表示
(2−2a)自車両と先行車を上方からみた図として表示
(2−2b)先行車を後方からみた図として表示
(2−3)リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を表示
(2−3a)リスクポテンシャルRPの表示エリアと車間距離の表示エリアを分離
(2−3b)リスクポテンシャルRPの表示エリアと車間距離の表示エリアを共有
(2−3c)リスクポテンシャルRPを等高線(曲線)で表示
(2−3d)リスクポテンシャルRPを等高線(直線)で表示
第7の実施の形態においては、ここに挙げた表示形態のうちのいずれかによりリスクポテンシャルRPを表示する。以下に、各表示形態の表示内容を、図面を用いて詳細に説明する。
(1)リスクポテンシャルRPを数値で表示
(1−1)リスクポテンシャルRPを絶対値で表示
図24(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPを絶対値表示する場合の表示例を示す。表示量算出部60Eは、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されたリスクポテンシャルRPの値をそのまま表示するように、表示装置110に指令を出力する。これにより、表示装置110の表示モニタには、図24(a)〜(c)に示すようにリスクポテンシャルRPの絶対値が表示される。
(1―2)リスクポテンシャルRPを相対値で表示
図25(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPを相対値表示する場合の表示例を示す。表示量算出部60Eは、一般的な運転行動の統計データから得られる規定値を上限100%として、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されたリスクポテンシャルRPの相対値(%)を算出する。ここでは、例えば統計データにおけるリスクポテンシャルRPの95%tile値を、規定値とする。表示量算出部60Eは、リスクポテンシャルRPを相対値表示するように、表示装置110に指令を出力する。これにより、表示装置110の表示モニタには、図25(a)〜(c)に示すようにリスクポテンシャルRPの相対値(%)が表示される。
(2)リスクポテンシャルRPを図形で表示
(2−1)リスクポテンシャルRPのみを棒グラフで表示
図26(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPを棒グラフで表示する場合の表示例を示す。図26(a)〜(c)は、リスクポテンシャルRPが小さい場合、中程度の場合、および大きい場合をそれぞれ示している。リスクポテンシャルRPが増加するに従って、図26(a)〜(c)に示すように表示モニタにおける棒グラフAの点灯エリアが上昇する。また、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど濃い色で表示される。
例えば、リスクポテンシャルRPが小さい場合は、図26(a)に示すように棒グラフAのうち、下から2つのエリアA1のみが薄い色で点灯し、残りのエリアは消灯している。リスクポテンシャルRPが増加すると、図26(b)に示すように棒グラフAの点灯エリアが増加する。ここではエリアA1に加えてエリアA2がやや濃い色で点灯する。さらにリスクポテンシャルRPが増加すると、図26(c)に示すように棒グラフAの全エリアが点灯する。リスクポテンシャルRPが大きい場合のエリアA4は、リスクポテンシャルRPが中程度の場合のエリアA2,A3よりもさらに濃い色で点灯する。
表示量算出部60Eは、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されるリスクポテンシャルRPに基づいて表示モニタにおける棒グラフの点灯エリアを決定し、表示装置110に指令を出力する。
(2−2)リスクポテンシャルRPと先行車の有無を表示
(2−2a)自車両と先行車を上方からみた図として表示
図27(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPと先行車の有無を、自車両と先行車を上方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図27(a)〜(c)は、先行車が存在しない場合、先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが小さい場合、および先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きい場合をそれぞれ示している。
図27(a)に示すように、先行車が検出されていない場合は、自車両Bのみが表示モニタ上に表示される。なお、自車両Bは、表示モニタの下方、かつ自車線のレーンマーカを表すラインCの間に、例えば五角形で表示される。自車両Bの前方、すなわち表示モニタの上方には何も表示されず、先行車が検出されていないことを示している。
先行車が検出されている場合は、図27(b)(c)に示すように、自車両Bの前方、すなわち表示モニタの上方に先行車Dが点灯し、自車両Bとともに表示モニタ上に表示される。先行車Dは、例えば自車両Bと同様に五角形で表す。また、自車両Bと先行車Dとの間のスペースをリスクポテンシャルRPの表示エリアとし、リスクポテンシャルRPを段階的にバー表示する。具体的には、リスクポテンシャルRPの大きさをバーの数で表し、リスクポテンシャルRPが増加するほど点灯するバーの数を増加させる。また、リスクポテンシャルRPの表示の全体は、自車両Bから離れるほど幅が広がる台形として表され、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど先行車D側の幅および高さが大きくなる。
なお、表示モニタ上では自車両Bと先行車Dを容易に区別できるように、自車両Bと先行車Dの色を変えることが望ましい。例えば、自車両Bよりも先行車Dを濃い色、すなわち視認性の高い目立つ色で表示し、リスクポテンシャルRPを先行車Dと同色で表示する。
(2−2b)先行車を後方からみた図として表示
図28(a)〜(d)に、リスクポテンシャルRPと先行車の有無を、先行車を後方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図28(a)〜(d)は、先行車が存在しない場合、先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが小さい場合、先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが中程度の場合、および先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きい場合をそれぞれ示している。
図28(a)に示すように、先行車が検出されない場合は、先行車Eを薄い色、すなわち背景色に近い色で表示する。このとき、自車線のレーンマーカを表すラインFも表示され、レーンマーカFの表示の上方に先行車Eが表示される。レーンマーカFは、遠近感を表すために先行車Eに近づくほど間隔が狭くなる。なお、先行車が検出されない場合は先行車を表示しないようにすることもできる。
先行車が検出されると、図28(b)〜(d)に示すように先行車Eを点灯、あるいは先行車Eの視認性を向上させるような目立つ色で表示する。このとき、先行車Eと自車両の間、すなわち表示モニタにおける先行車Eの下方、かつレーンマーカFの間にリスクポテンシャルRPを表示する。リスクポテンシャルRPの大きさは、表示される楕円状のエリアの数で表され、リスクポテンシャルRPが増加するほど点灯エリアが多く、かつ大きくなる。
例えばリスクポテンシャルRPが小さい場合は、図28(b)に示すように先行車Eの直下に楕円状のエリアを一つだけ表示する。リスクポテンシャルRPが中程度になると、図28(c)に示すように表示されるエリアの数が先行車Eの下方へ向かって増加する。このとき、先行車Eの下方ほど点とエリアの幅が大きくなる。さらにリスクポテンシャルRPが大きくなると、図28(d)に示すように点灯エリアの数がさらに増加し、点灯エリアの幅もさらに大きくなる。すなわち、リスクポテンシャルRPの全体は、先行車Eから離れるほど幅が広くなるピラミッド状に表示され、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど点灯エリアが拡大し、表示モニタ下方の仮想の自車両位置に近づくように表示される。
(2−3)リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を表示
(2−3a)リスクポテンシャルRPの表示エリアと車間距離の表示エリアを分離
図29(a)〜(e)に、リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を、自車両と先行車を上方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図29(a)は先行車が存在しない場合、図29(b)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが小さく車間距離が大きい場合、図29(c)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPおよび車間距離が小さい場合、図29(d)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPおよび車間距離が大きい場合、および図29(e)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きく車間距離が小さい場合をそれぞれ示している。
図29(a)に示すように、先行車が存在しない場合は、表示モニタの下方、かつ自車線のレーンマーカを表すラインHの間に自車両Gが表示される。自車両Gは例えば五角形で表される。このとき、自車両Gの前方、すなわち表示モニタの上方には何も表示されず、先行車が存在しないことを示している。先行車が存在する場合は、図29(b)〜(e)に示すように、先行車Iが点灯し、さらに自車両と先行車との実際の車間距離に応じた表示位置に先行車Iが表示される。先行車Iは、例えば自車両Gと同様に五角形で表す。ここでは、車間距離を大と小の2つの領域に分類し、車間距離が大の領域にある場合は、図29(b)(d)に示すように自車両Gから遠方の位置、すなわち表示モニタにおける上方に先行車Iを表示する。一方、車間距離が小の領域にある場合は、図29(c)(e)に示すように自車両Gに近い位置に先行車Iを表示する。
また、表示モニタ上の自車両Gと先行車Iとの間をリスクポテンシャルRP表示エリアとし、リスクポテンシャルRPを段階的にバー表示する。具体的には、リスクポテンシャルRPの大きさをバーの数で表し、リスクポテンシャルRPが増加するほど点灯するバーの数を増加させる。また、リスクポテンシャルRPの表示の全体は、自車両Gから離れるほど幅が広がる台形として表され、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど先行車I側の幅および高さが大きくなる。このように、表示モニタにおいて上方を先行車の有無、および先行車までの車間距離を表示するエリアJとし、車間距離の表示エリアJと自車両Gとの間をリスクポテンシャルRPの表示エリアKとする。
すなわち、表示モニタ上で車間距離表示エリアJとリスクポテンシャル表示エリアKとを分離し、車間距離がセンサによって検出可能な最小の値となった場合でも、先行車Iは車間距離表示エリアJ外には表示されない。また、リスクポテンシャルRPの表示エリアKとしては、リスクポテンシャルRPの上限値を表示できるだけのスペースを確保する。表示モニタ上では自車両Gと先行車Iを容易に区別できるように、自車両Gと先行車Iの色を変えることが望ましい。例えば、自車両Gよりも先行車Iを濃い色、すなわち視認性の高い目立つ色で表示し、リスクポテンシャルRPを先行車Iと同色で表示する。
(2−3b)リスクポテンシャルRPの表示エリアと車間距離の表示エリアを共有
図30(a)〜(e)に、リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を、自車両と先行車を上方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図30(a)は先行車が存在しない場合、図30(b)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが小さく車間距離が大きい場合、図30(c)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPおよび車間距離が小さい場合、図30(d)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPおよび車間距離が大きい場合、および図30(e)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きく車間距離が小さい場合をそれぞれ示している。
図30(a)に示すように、先行車が存在しない場合は、表示モニタの下方、かつ自車線のレーンマーカを表すラインMの間に自車両Lが表示される。自車両Lは例えば五角形で表される。このとき、自車両Lの前方、すなわち表示モニタの上方には何も表示されず、先行車が存在しないことを示している。先行車が存在する場合は、図30(b)〜(e)に示すように、先行車Nが点灯し、さらに自車両Lと先行車Nとの車間距離に応じた表示位置で先行車Nが表示される。先行車Nは、例えば自車両Lと同様に五角形で表す。ここでは、車間距離を大と小の2つの領域に分類し、車間距離が大の領域にある場合は、図30(b)(d)に示すように自車両Lから遠方の位置、すなわち表示モニタにおける上方に先行車Nを表示する。一方、車間距離が小の領域にある場合は、図30(c)(e)に示すように自車両Lに接近した位置に先行車Nを表示する。
表示モニタにおける自車両Lの上方には、リスクポテンシャルRPを段階的にバー表示する。リスクポテンシャルRPの大きさはバーの数で表され、リスクポテンシャルRPが増加するほど点灯するバーの数を増加させる。また、リスクポテンシャルRPの表示の全体は、自車両Lから離れるほど幅が広がる台形として表され、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど上辺の幅および高さが大きくなる。
なお、先行車までの車間距離が小さい場合には、先行車NをリスクポテンシャルRPに重ね合わせて表示する。すなわち、車間距離の表示エリアとリスクポテンシャルRPの表示エリアを共有する。このとき、表示モニタ上で先行車NとリスクポテンシャルRPとを容易に区別できるように、それぞれの表示色が異なるように設定する。例えば、先行車Nの表示色に対してリスクポテンシャルRPを薄い色で表示する。また、自車両Lと先行車Nを容易に区別できるように、自車両Lと先行車Nの色を変えることが望ましい。
なお、図30(a)〜(e)に示すように車間距離表示エリアとリスクポテンシャル表示エリアを共有する場合は、これらを分離する場合に比べて車間距離表示エリアを大きく取ることができる。そこで、例えば先行車までの車間距離を大、中、小の3段階に分類し、各領域に対応する位置に先行車を表示したり、実際の車間距離に対応した表示位置とすることもできる。
(2−3c)リスクポテンシャルRPを等高線(曲線)で表示
図31(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を、自車両と先行車を上方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図31(a)は先行車が存在しない場合、図31(b)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが小さい場合、および図31(c)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きい場合をそれぞれ示している。
図31(a)に示すように、先行車が存在しない場合は、表示モニタの下方、かつ自車線のレーンマーカを表すラインPの間に自車両Oが表示される。自車両Oは例えば五角形で表される。このとき、自車両Oの前方、すなわち表示モニタの上方には何も表示されず、先行車が存在しないことを示している。先行車が存在する場合は、図31(b)(c)に示すように、先行車Qが点灯するとともに、リスクポテンシャルRPが先行車Qを基準とした等高線(曲線)Rで表示される。先行車Qは、例えば自車両Oと同様に五角形で表される。
図31(b)(c)において、リスクポテンシャルRPのレベルが等しい領域が等高線Rで区切られており、色の濃い領域ほどリスクポテンシャルRPが大きいことを示している。なお、等高線Rは、自車線内、すなわちレーンマーカRの間に表示される。リスクポテンシャルRP、すなわち等高線Rの表示範囲は、先行車Qに対するリスクポテンシャルRPに応じて変化する。具体的には、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど、等高線Rの表示範囲が表示モニタの下方に移動し、色の濃い領域が自車両Oに接近する。自車両Oと等高線Rの表示とが重なるときは、等高線Rの表示範囲の上に自車両Oを表示する。
現在の自車両OのリスクポテンシャルRPのレベルは、自車両Oの先端部O1で示される。例えば、図31(b)に示すように自車両Oの先端部O1が色の薄い領域にある場合は、先行車Qに対するリスクポテンシャルRPが小さいことを示し、図31(c)に示すように自車両Oの先端部O1が色の濃い領域にある場合は、先行車Qに対するリスクポテンシャルRPが大きいことを示している。
リスクポテンシャルRPの等高線Rは、上述した(式6)から算出されるリスクポテンシャルRPに基づいて先行車に対するリスクポテンシャルRPのレベルを表すように適切に設定される。なお、先行車付近でも、先行車の斜め後方は先行車の真後ろ比べてリスクポテンシャルRPが低いと考えられる。そこで、図31(b)(c)に示すように、先行車Qの真後ろ、すなわち表示モニタにおける先行車Qの直下の領域のリスクポテンシャルRPが最も大きくなるように、等高線Rを曲線で表している。
なお、表示モニタにおける自車両Oと先行車Qとの間隔は、先行車Oまでの車間距離に応じて変化する。例えば、表示モニタにおける自車両Oと先行車Qとの間隔を、実際の車間距離に対応させる。あるいは、車間距離を複数の領域に分類し、各領域に対応する位置で先行車Qを表示することもできる。表示モニタ上では自車両Oと先行車Qを容易に区別できるように、自車両Oと先行車Qの色を変えることが望ましい。例えば、自車両Oよりも先行車Qを濃い色、すなわち視認性の高い目立つ色で表示する。
(2−3d)リスクポテンシャルRPを等高線(直線)で表示
図32(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を、自車両と先行車を上方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図32(a)は先行車が存在しない場合、図32(b)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが小さい場合、および図32(c)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きい場合をそれぞれ示している。
図32(a)に示すように、先行車が存在しない場合は、表示モニタの下方、かつ自車線のレーンマーカを表すラインTの間に自車両Sが表示される。自車両Sは例えば五角形で表される。このとき、自車両Sの前方、すなわち表示モニタの上方には何も表示されず、先行車が存在しないことを示している。先行車が存在する場合は、図32(b)(c)に示すように、先行車Uが点灯するとともに、リスクポテンシャルRPが先行車Uを基準とした等高線V(直線)で表示される。先行車Uは、自車両Sと同様に五角形で表される。リスクポテンシャルRPの等高線Vは、上述した(式6)から算出されるリスクポテンシャルRPに基づいて先行車Uに対するリスクポテンシャルRPのレベルを表すように適切に設定される。
図32(b)(c)において、リスクポテンシャルRPのレベルが等しい領域が等高線Vで区切られており、色の濃い領域ほどリスクポテンシャルRPが大きいことを示している。なお、等高線Vは、自車線内、すなわちレーンマーカRの間に表示される。リスクポテンシャルRP、すなわち等高線Vの表示範囲は、先行車Uに対するリスクポテンシャルRPに応じて変化する。具体的には、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど、等高線Uの表示範囲が表示モニタの下方に移動し、色の濃い領域が自車両Oに接近する。自車両Sと等高線Vの表示とが重なるときは、等高線Vの表示範囲の上に自車両Sを表示する。
現在の自車両SのリスクポテンシャルRPのレベルは、自車両Sの先端部S1で示される。例えば、図32(b)に示すように自車両Sの先端部S1が色の薄い領域にある場合は、先行車Uに対するリスクポテンシャルRPが小さいことを示し、図32(c)に示すように自車両Sの先端部S1が色の濃い領域にある場合は、先行車Uに対するリスクポテンシャルRPが大きいことを示している。
なお、表示モニタにおける自車両Sと先行車Uとの間隔は、先行車までの車間距離に応じて変化する。例えば、表示モニタにおける自車両Sと先行車Uとの間隔を、実際の車間距離に対応させる。あるいは、車間距離を複数の領域に分類し、各領域に対応する位置で先行車Uを表示することもできる。表示モニタ上では自車両Sと先行車Uを容易に区別できるように、自車両Sと先行車Uの色を変えることが望ましい。
なお、図31(a)〜(c)、および図32(a)〜(c)に示す等高線表示において、表示モニタにおける先行車の表示位置を固定とすることもできる。この場合、例えば先行車に対するリスクポテンシャルRPの大きさに応じて、等高線で区切られる等リスクポテンシャル領域の形状を変更する。
このように、以上説明した第7の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ60は、レーザレーダ10,前方カメラ20および車速センサ30によって検出される自車両周囲の走行環境に基づいて、自車両周囲のリスクポテンシャルRPを算出する。コントローラ60は、算出したリスクポテンシャルRPを、触覚を介して運転者に伝達するとともに、リスクポテンシャルRPに関する情報を表示装置110に表示して、リスクポテンシャルRPを視覚情報として運転者に伝達する。これにより、例えば運転者の触覚を司る感覚器の分解能、個人差、および個人内差等によって、触覚からだけではリスクポテンシャルRPを十分に伝達できないような状況においても、視覚情報によってリスクポテンシャルRPを正確に伝達することができる。また、触覚により自車両周囲のリスクポテンシャルRPを認識するシステムに慣れていない運転者にとっては、視覚情報を付加的に得ることにより、リスクポテンシャルRPの認識を容易に行うことが可能となり、さらにシステムを学習する過程を短縮することができる。
(2)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を図形表示することにより、リスクポテンシャルRPを視覚情報として運転者に伝達する。これにより、運転者はリスクポテンシャルRPを直感的に認識することができる。
(3)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を数値表示することにより、リスクポテンシャルRPを視覚情報として運転者に伝達する。これにより、運転者はリスクポテンシャルRPの具体的な値を速やかに認識することができる。
(4)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を図形表示する際に、例えば等高線を用いて表示する。具体的には、図31(a)〜(c)、および図32(a)〜(c)に示すように、リスクポテンシャルRPのレベルの等しい領域を等高線で示す。より具体的には、障害物、すなわち先行車を中心としたリスクポテンシャルRPの等高線を描く。これにより、運転者は自車両周囲のリスクポテンシャルRPの分布を、直感的に認識することができる。また、表示モニタに表示される自車両の先端部で現時点でのリスクポテンシャルRPを示すようにするので、運転者は、先行車に対するリスクポテンシャルRPの分布において自車両の現在のリスクポテンシャルRPがどの程度であるかを容易に認識することができる。
(5)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を図形表示する際に、例えば棒グラフを用いて表示する。具体的には、図26(a)〜(c)に示すように、表示モニタにおける棒グラフの点灯範囲をリスクポテンシャルRPに応じて変更する。これにより、運転者は自車両周囲のリスクポテンシャルRPを直感的に認識することができる。
(6)さらに、コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を図形表示する際に、自車両周囲に存在する障害物、すなわち先行車を自車両とは区別して表示する。例えば、図27(a)〜(c)に示すように、自車両前方の先行車がレーザレーダ10および前方カメラ20等のセンサによって検出されると、表示モニタにおいて先行車を点灯する。これにより、運転者は先行車がセンサによって検出されたことを認識できる。
(7)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報、例えば先行車の有無、リスクポテンシャルRPの変化、およびリスクポテンシャルRPに応じた触覚情報、すなわち刺激量の変化等を、表示モニタにおける図形の大きさ、明るさ、および/または点滅状態を制御することにより提示する。例えば、先行車に対するリスクポテンシャルRPの変化は、図27(a)〜(c)に示すように、点灯するバーの数で表す。先行車の有無は、例えば図28(a)〜(d)に示すように、先行車の表示色により表すことができる。また、リスクポテンシャルRPに応じた刺激量の変化は、図33および図34を用いて後述するように、表示モニタに表示される先行車を点滅することにより表すことができる。このように、リスクポテンシャルRPに関する種々の情報を表示モニタにおける図形の大きさ、明るさ、および/または点滅状態によって提示することにより、運転者は各情報を容易に認識することができる。
(8)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を数値表示する際に、例えば絶対値を用いて表示する。具体的には、図24(a)〜(c)に示すように、自車両周囲の走行環境に基づいて算出したリスクポテンシャルRPの値を、そのまま表示モニタに表示する。このようにリスクポテンシャルRPの絶対値を表示することにより、本システムに慣れた運転者にとってはリスクポテンシャルRPを直接的に判定することができる。とくに、経験を積むことにより、表示装置110に表示されるリスクポテンシャルRPに対して、運転者が実際にどの程度のリスクを感じるかを理解することができるようになり、運転者自身の基準でリスクポテンシャルRPを判断することができる。
(9)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を数値表示する際に、例えば相対値を用いて表示する。具体的には、図25(a)〜(c)に示すように、自車両周囲の走行環境に基づいて算出したリスクポテンシャルRPの相対値を、表示モニタに表示する。ここで、上述したように、一般的な運転行動によるリスクポテンシャルRPの統計データから、例えば95%tile値を上限100%として設定し、リスクポテンシャルRPの相対値を算出する。これにより、運転者はリスクポテンシャルRPの度合を容易に理解することができる。とくに、リスクポテンシャルRPを数値で認識する経験を積んでいない運転者にとっては、統計データに基づいて設定したリスクポテンシャルRPの上限に対してリスクポテンシャルRPを相対値表示することにより、リスクポテンシャルRPの理解が容易になる。
(10)車両用運転操作補助装置2は、自車両周囲のリスクポテンシャルをアクセルペダル反力として運転者に伝達する。具体的には、コントローラ60は、リスクポテンシャルRPを触覚を介して運転者に伝達するために、リスクポテンシャルRPに応じた刺激量を算出する。ここで、刺激量はアクセルペダル82の反力制御量dFであり、アクセルペダル反力に反力制御量dFを付加することにより、運転者の触覚を介してリスクポテンシャルRPを伝達する。走行中に運転者が接触している時間の長いアクセルペダル82の反力を介してリスクポテンシャルRPを伝達することにより、リスクポテンシャルRPを運転者に確実に知らせることができる。
−第7の実施の形態の変形例1−
上述した第7の実施の形態では、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されるリスクポテンシャルRPを触覚情報および視覚情報として運転者に伝達する例を説明した。ここでは、リスクポテンシャルRPを表す視覚情報と触覚情報とを連動させて運転者に伝達する。
図33に、第7の実施の形態の変形例1におけるリスクポテンシャルRPと反力制御量dFとの関係を示す。図34(a)〜(c)に、リスクポテンシャルRPと先行車までの車間距離を、自車両と先行車を上方からみた図として表示する場合の表示例を示す。図34(a)は先行車が存在しない場合、図34(b)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが中程度の場合、および図34(c)は先行車が存在する状態でリスクポテンシャルRPが大きい場合をそれぞれ示している。
図34(a)に示すように、先行車が存在しない場合は自車両Wのみを表示モニタに表示する。自車両Wは、レーンマーカを表すラインXの間に、例えば五角形で表し、自車両Wの上方には何も表示しない。先行車が検出されると、図34(b)に示すように例えば五角形で表す先行車Yを点灯するとともに、自車両Wと先行車Yとの間にリスクポテンシャルRPを段階的にバー表示する。リスクポテンシャルRPが大きくなるほど、点灯するバーの数を多くする。また、リスクポテンシャルRPの表示の全体は、自車両Wから離れるほど幅が広がる台形として表され、リスクポテンシャルRPが大きくなるほど上辺の幅および高さが大きくなる。
リスクポテンシャルRPが所定の最大値RPaを超えると、図34(c)に示すように点灯するバーの数が最大となる。さらにこのとき、先行車Yの表示が点滅する。ここでは、先行車Yの表示が点滅することを、先行車Yの回りに示すZの表示で簡略化して示している。
図33に示すように、リスクポテンシャルRPが大きくなるに従って、反力制御量dFが増加する。リスクポテンシャルRPが上限値RPaを超えると反力制御量dFが微小に増減し、アクセルペダル82に振動を発生させる。このように、リスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えると、表示装置110における先行車の表示が点滅するとともに、アクセルペダル82には振動が発生する。なお、リスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えるか否かの判断は、コントローラ60の必要情報判定部60Cで行われる。
以上説明したように、コントローラ60は、リスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えると、表示モニタにおける先行車を点滅するとともにに、アクセルペダル82を振動させる。これにより、リスクポテンシャルRPaが最大値に達したことを視覚情報および触覚情報により確実に運転者に知らせることができる。
−第7の実施の形態の変形例2−
上述した第7の実施の形態では、リスクポテンシャル算出部60Bによって算出される現在のリスクポテンシャルRPを種々の形態で表示装置110に表示する例を説明した。ここでは、現在のリスクポテンシャルRPとともに、過去の値を表示する。以下に、第7の実施の形態の変形例2の動作について説明する。
図35に、第7の実施の形態の変形例2における運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS2100〜S2500での処理は、図23のフローチャートに示したステップS1100〜S1500での処理と同様である。なお、ステップS2300で算出されるリスクポテンシャルRPは、算出されるたびにコントローラ60のメモリに記憶される。
ステップS2550では、コントローラ60のメモリに記憶された過去のリスクポテンシャルRPから、走行開始、すなわちイグニッションキーがオンとなってからのリスクポテンシャルRPの過去平均値RPaveを算出する。ステップS2600では、現在のリスクポテンシャルRPおよび過去平均値RPaveに基づいて表示量、すなわち表示装置110に表示するリスクポテンシャルRPの表示内容を決定する。ここで決定するリスクポテンシャルRPの表示内容および表示形態については、後述する。
そして、ステップS2700では、ステップS2600で算出した表示量を表示装置110に出力する。これにより、今回の処理を終了する。
つぎに、表示装置110におけるリスクポテンシャルRPの現在値と過去平均値の表示形態を説明する。ここでは、リスクポテンシャルRPの絶対値あるいは相対値を時系列表示する。具体的には、リスクポテンシャルRPの現在値および過去平均値の絶対値あるいは相対値を折れ線グラフで表示する。まず、リスクポテンシャルRPの絶対値を時系列表示する場合について説明する。
(A)リスクポテンシャルRPの絶対値の時系列表示
図36(a)〜(c)に、現在のリスクポテンシャルRPおよび過去平均値RPenvの絶対値を時系列的に表示する場合の表示例を示す。図36(a)〜(c)はリスクポテンシャルRPの絶対値の時間変化を対数表示したものであり、現在のリスクポテンシャルRPが小さい場合(例えばRP≦1.0)、中程度の場合(例えば1.0<RP≦2.0)、および大きい場合(例えば2.0<RP≦3.0)をそれぞれ示している。
図36(a)〜(c)において、現在のリスクポテンシャルRPを○で示し、過去平均値RPenvの時間変化を折れ線グラフで示している。例えば、現在から15分前の値は、走行開始の時点から、15分前の時点までのリスクポテンシャルRPの平均値を示している。ここでは、リスクポテンシャルRPの表示の上限を例えばRP=3.0とする。リスクポテンシャルRPの上限値は例えば太線で表し、算出されたリスクポテンシャルRPが上限値を超える場合は、リスクポテンシャルRPを上限値で固定して表示する。また、リスクポテンシャルRPが小さい領域、中程度、および大きい領域で、表示画面の背景色を変更する。具体的には、リスクポテンシャルRPが大きい領域ほど背景色を濃くして、リスクポテンシャルRPの値とのコントラストを大きくする。
図36(a)に示すように、現在のリスクポテンシャルRPが小さい場合は、現在のリスクポテンシャルRPと過去平均値RPaveを同色で示す。リスクポテンシャルRPが小さい領域の背景色は淡い色である。図36(b)に示すように、現在のリスクポテンシャルRPが中程度の場合は、現在のリスクポテンシャルRPと過去平均値RPaveを同色で示す。リスクポテンシャルRPが中程度の領域の背景色は、リスクポテンシャルRPが小さい領域よりも濃い色である。
図36(c)に示すように、現在のリスクポテンシャルRPが大きい場合は、現在のリスクポテンシャルRPを、過去平均値RPaveよりも明るい色で示す。リスクポテンシャルRPが大きい領域の背景色は、リスクポテンシャルRPが中程度の領域よりも濃い色である。従って、現在のリスクポテンシャルRPと過去平均値RPave、およびリスクポテンシャルRPと背景色とのコントラストがそれぞれ大きくなり、現在のリスクポテンシャルRPの視認性が向上する。
(B)リスクポテンシャルRPの相対値の時系列表示
図37(a)〜(c)に、現在のリスクポテンシャルRPおよび過去平均値RPenvの相対値を時系列的に表示する場合の表示例を示す。図37(a)〜(c)はリスクポテンシャルRPの相対値の時間変化を対数表示したものであり、現在のリスクポテンシャルRPが小さい場合、中程度の場合、および大きい場合をそれぞれ示している。
図37(a)〜(c)において、現在のリスクポテンシャルRPを○で示し、過去平均値RPenvの時間変化を折れ線グラフで示している。例えば、現在から15分前の値は、走行開始の時点から、15分前の時点までのリスクポテンシャルRPの平均値を示している。表示量算出部60Eは、一般的な運転行動の統計データから得られる規定値を上限100%として、現在のリスクポテンシャルRPおよび過去平均値RPaveの相対値(%)を算出する。ここでは、例えば統計データにおけるリスクポテンシャルRPの95%tile値を、規定値とする。算出されたリスクポテンシャルRPの相対値が100%を超える場合は、リスクポテンシャルRPの相対値を100%に固定して表示する。リスクポテンシャルRPの相対値の上限(100%)を太線で示している。
ここで、例えばリスクポテンシャルRPの相対値の表示範囲(0〜100%)を3つに分割し、値の小さい方からリスクポテンシャルRPの小さい領域、中程度の領域、および大きい領域とする。そして、リスクポテンシャルRPが小さい領域、中程度、および大きい領域で、表示モニタ上の背景色を変更する。具体的には、リスクポテンシャルRPが大きい領域ほど背景色を濃くして、リスクポテンシャルRPの値とのコントラストを大きくする。
図37(a)に示すように、現在のリスクポテンシャルRPの相対値が小さい場合は、現在のリスクポテンシャルRPと過去平均値RPaveを同色で示す。リスクポテンシャルRPが小さい領域の背景色は淡い色である。図37(b)に示すように、現在のリスクポテンシャルRPの相対値が中程度の場合は、現在のリスクポテンシャルRPと過去平均値RPaveを同色で示す。リスクポテンシャルRPが中程度の領域の背景色は、リスクポテンシャルRPが小さい領域よりも濃い色である。
図37(c)に示すように、現在のリスクポテンシャルRPの相対値が大きい場合は、現在のリスクポテンシャルRPを、過去平均値RPaveよりも明るい色で示す。リスクポテンシャルRPが大きい領域の背景色は、リスクポテンシャルRPが中程度の領域よりも濃い色である。従って、現在のリスクポテンシャルRPと過去平均値RPave、およびリスクポテンシャルRPと背景色とのコントラストがそれぞれ大きくなり、現在のリスクポテンシャルRPの視認性が向上する。
このように、以上説明した第7の実施の形態の変形例2においては、上述した第7の実施の形態の効果に加えて以下の作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPに関する情報を図形表示する際に、折れ線グラフを用いて表示する。例えば、図36(a)〜(c)または図37(a)〜(c)に示すように、リスクポテンシャルRPに関する情報の時系列変化を折れ線グラフで表示する。これにより、運転者は、過去のリスクポテンシャルRPの遷移に基づいて現在の状況を客観的に理解することが可能となる。
(2)コントローラ60は、走行開始からのリスクポテンシャルRPの平均値を過去値として算出し、現在のリスクポテンシャルRPとともに、リスクポテンシャルRPの過去平均値RPaveを表示する。これにより、運転者は、過去のリスクポテンシャルRPの遷移に基づいて現在の状況を客観的に理解することが可能となる。
(3)コントローラ60は、リスクポテンシャルRPの絶対値または相対値を折れ線グラフを用いて表示する。リスクポテンシャルRPの絶対値を表示した場合、経験を積むことにより、表示装置110に表示されるリスクポテンシャルRPに対して、運転者が実際にどの程度のリスクを感じるかを理解することができるようになり、運転者自身の基準でリスクポテンシャルRPを判断することができる。一方、リスクポテンシャルRPの相対値を表示した場合、とくに、リスクポテンシャルRPを数値で認識する経験を積んでいない運転者にとっては、統計データに基づいて設定したリスクポテンシャルRPの上限に対してリスクポテンシャルRPを相対値表示することにより、リスクポテンシャルRPの理解が容易になる。
《第8の実施の形態》
以下に、本発明の第8の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。図38に、第8の実施の形態による車両用運転操作補助装置2Aの構成、特にコントローラ60の内部および周辺の構成のブロック図を示す。図38において、図22に示した第7の実施の形態と同様な機能を有する箇所には同一の符号を付している。ここでは、第7の実施の形態との相違点を主に説明する。
図38に示すように、車両用運転操作補助装置2Aは、リスクポテンシャルRPの表示形態を選択するための選択スイッチ40をさらに備えている。ここでは、選択スイッチ40の操作により、リスクポテンシャルRPを絶対値表示あるいは相対値表示するかを、運転者の好みに応じて選択可能とする。
選択スイッチ40からの信号はコントローラ60に入力され、必要情報判定部60Cにおいて判定される。必要情報判定部60Cは、選択スイッチ40によってリスクポテンシャルRPの絶対値表示が選択された場合は、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されたリスクポテンシャルRPをそのまま表示装置110に表示するように、表示量算出部60Eに指令を出力する。表示装置110には、例えば図24(a)〜(c)に示すようにリスクポテンシャルRPの絶対値が数値で、あるいは図36(a)〜(c)に示すようにリスクポテンシャルRPの絶対値の時系列変化が折れ線グラフで表示される。
一方、選択スイッチ40によってリスクポテンシャルRPの相対値表示が選択された場合は、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されたリスクポテンシャルRPの相対値を算出して表示するように、表示量算出部60Eに指令を出力する。表示装置110には、例えば図25(a)〜(c)に示すようにリスクポテンシャルRPの相対値が数値で、あるいは図37(a)〜(c)に示すようにリスクポテンシャルRPの相対値の時系列変化が折れ線グラフで表示される。リスクポテンシャルRPの相対値の算出方法は、上述した第7の実施の形態と同様である。
なお、リスクポテンシャルRPを数値で表示するか、あるいは折れ線グラフで表示するかを選択スイッチ40で選択可能とすることもできる。さらには、上述した第7の実施の形態で説明した各種の表示形態を、選択スイッチ40によって選択可能とすることもできる。
このように、以上説明した第8の実施の形態においては、上述した第7の実施の形態による効果に加えて以下のような作用効果を奏することができる。
(1)表示装置110におけるリスクポテンシャルRPに関する情報の表示形態が切換可能であるので、走行環境や運転者の好みに応じて表示形態を切り換えることができる。
(2)運転者は、選択スイッチ40を操作することにより、リスクポテンシャルRPの絶対値および相対値を切り換えて表示装置110に表示させることができる。これにより、運転者の好みに応じた表示形態でリスクポテンシャルRPに関する情報を提示することができる。とくに、リスクポテンシャルRPの絶対値を表示した場合、経験を積むことにより、表示装置110に表示されるリスクポテンシャルRPに対して、運転者が実際にどの程度のリスクを感じるかを理解することができるようになり、運転者自身の基準でリスクポテンシャルRPを判断することができる。一方、リスクポテンシャルRPの相対値を表示した場合、とくに、リスクポテンシャルRPを数値で認識する経験を積んでいない運転者にとっては、統計データに基づいて設定したリスクポテンシャルRPの上限に対してリスクポテンシャルRPを相対値表示することにより、リスクポテンシャルRPの理解が容易になる。
《第9の実施の形態》
以下に、本発明の第9の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。図39に、第9の実施の形態による車両用運転操作補助装置2Bの構成、特にコントローラ60の内部および周辺の構成のブロック図を示す。図39において、図22に示した第7の実施の形態と同様な機能を有する箇所には同一の符号を付している。ここでは、第7の実施の形態との相違点を主に説明する。
第9の実施の形態においては、自車両周囲のリスクポテンシャルRPとともに、リスクポテンシャルRPに応じた触覚情報、すなわち反力制御量を表示装置110に表示する。
図39に示すように、表示量算出部60Eには、刺激量算出部60Dからの信号が入力される。表示量算出部60Eは、リスクポテンシャル算出部60Bで算出されるリスクポテンシャルRPと、刺激量算出部60Dで算出される反力制御量dFに基づいて、表示装置110の表示内容を決定する。
図40に、表示装置110におけるリスクポテンシャルRPと反力制御量dFの表示例を示す。図40に示すように、リスクポテンシャルRPおよび反力制御量dFの相対値の時系列変化が折れ線グラフで示されている。現在のリスクポテンシャルRPを、●で示している。図40では、見やすくするために、リスクポテンシャルRPを実線で、反力制御量dFを点線で示している。表示装置110に実際に表示する際は、これらを別々の色で表示することも可能である。リスクポテンシャルRPの相対値は、上述した第7の実施の形態と同様に一般的な運転行動の統計データから得られる規定値(例えば95%tile値)を上限100%として算出する。
図41に、リスクポテンシャルRPと反力制御量dFとの関係を示す。上述した第7の実施の形態と同様に、反力制御量dFはリスクポテンシャルRPに比例して増加する。ただし、リスクポテンシャルRPが所定値RPaを超えると、反力制御量dFを最大値dFmaxに固定する。所定値RPaは、リスクポテンシャルRPを触覚情報として運転者に伝達するときのリスクポテンシャルRPの最大値である。反力制御量dFの相対値(%)は、反力制御量の最大値dFmaxを100%として算出する。
図40に示すように、現在のリスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えて反力制御量の相対値が100%を超えると、反力制御量dFの相対値を100%に固定して表示する。このとき、さらに現在のリスクポテンシャルRPを示す●を点滅させる。ここでは、表示モニタ内で現在のリスクポテンシャルRPの表示が点滅する様子を、aの表示で示している。
以下に、第9の実施の形態の動作を、図42を用いて説明する。図42は、第9の実施の形態における運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
ステップS3100〜S3500での処理は、図23のフローチャートに示したステップS1100〜S1500での処理と同様である。なお、ステップS3400では、上述したように図41のマップに従って反力制御量dFを算出する。
ステップS3510で必要情報判定部60Cは、ステップS3300で算出されたリスクポテンシャルRPが最大値RPaを上回るか否かを判定する。ステップS3510が肯定判定され、現在のリスクポテンシャルRPが上限値RPaを超える場合は、ステップS3520へ進む。ステップS3520では、表示モニタにおいて現在のリスクポテンシャルRPを点滅表示すると判定する。一方、ステップS3510が否定判定され、現在のリスクポテンシャルRPが上限値RPa以下の場合は、ステップS3530へ進む。ステップS3530では、表示モニタにおいて現在のリスクポテンシャルRPを点灯表示すると判定する。
ステップS3600で表示量算出部60Eは、ステップS3300で算出したリスクポテンシャルRPおよびステップS3400で算出した反力制御量dFに基づいて表示量、すなわち表示装置110に表示するリスクポテンシャルRPの表示内容を決定する。具体的には、上述したように現在のリスクポテンシャルRPおよび反力制御量dFの相対値をそれぞれ算出し、リスクポテンシャルRPの相対値および反力制御量dFの相対値の時系列変化を折れ線グラフで表示するように表示量を決定する。さらに、ステップS3520あるいはステップS3530での判定結果に応じて、現在のリスクポテンシャルRPを点滅表示するか、点灯表示するかを決定する。
ステップS3700では、ステップS3600で算出した表示量を表示装置110に出力する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、以上説明した第9の実施の形態においては、上述した第7の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ60は、例えば図40に示すように、リスクポテンシャルRPに加えて、自車両周囲のリスクポテンシャルRPに応じて算出する刺激量を表示する。刺激量は、具体的にはアクセルペダル反力に付加する反力制御量dFである。これにより、リスクポテンシャルRPに連動してアクセルペダル反力がどのように変化するかを、運転者が視覚情報から容易に理解することが可能となる。
(2)図41に示すように、反力制御量dFはリスクポテンシャルRPの増加に応じて増加し、リスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えると最大値dFmaxに固定される。このように、自車両周囲の走行環境から算出されるリスクポテンシャルRPは無限の値を取ることが可能であるが、アクセルペダル82に発生させる反力は有限の値を取る。そこで、反力制御量dFが最大値dFmaxに達したことを表示することにより、本誌ステムによる最大のアクセルペダル反力が発生していることを視覚情報を介して運転者に確実に知らせることができる。コントローラ60は、例えば図40に示すように、リスクポテンシャルRPおよび反力制御量dFの相対値の時系列変化を折れ線グラフにより表示する。反力制御量dFが最大値dFmaxに達し、反力制御量dFの相対値が100%に達すると、表示モニタにおいて現在のリスクポテンシャルRPの表示を点滅する。このように表示装置110の表示状態を制御することにより視認性が向上し、反力制御量dFが最大、すなわちリスクポテンシャルRPが非常に大きいことを、運転者に確実に知らせることができる。
なお、上述した第9の実施の形態では、図40に示すようにリスクポテンシャルRPの相対値を折れ線グラフで表示したが、上述した第7の実施の形態の変形例2と同様に、リスクポテンシャルRPの過去平均値RPaveを折れ線グラフで表示することもできる。また、リスクポテンシャルRPを反力制御量dFを絶対値で表示することもできる。さらに、リスクポテンシャルRPに応じた反力制御量dFのみを表示することもできる。
上述した第7の実施の形態の変形例1では、触覚情報と視覚情報とを連動し、リスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えると表示モニタ上の先行車を点滅させるとともに、アクセルペダル82を振動させた。ただし、これには限定されず、第9の実施の形態と同様に、リスクポテンシャルRPが最大値RPaを超えると、反力制御量dFを最大値dFmaxに固定し、先行車表示を点滅することもできる。これにより、リスクポテンシャルRPが非常に大きく反力制御量dFが最大となっていることを、視覚情報により運転者に知らせることができる。
第7から第9の実施の形態で図示したリスクポテンシャルRPに関する情報の表示形態は一例である。本発明はこれらの表示形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、図36(a)〜(c)に示したように、リスクポテンシャルRPの絶対値を折れ線グラフで表示するときに、背景色を3段階に色分けしたが、これらを同色とすることもできる。ただし、この場合でも、背景色に対してリスクポテンシャルRPの時間変化をはっきりと視認することができ、とくにリスクポテンシャルRPが大きい領域では現在のリスクポテンシャルRPがより目立つように表示することが好ましい。
また、上述した第7から第9の実施の形態においては、リスクポテンシャルRPを触覚を介して運転者に伝達するために刺激量を、アクセルペダル82に発生させる反力制御量dFとしたが、これには限定されない。例えば刺激量としてブレーキペダルの反力制御量を用いることも可能である。
なお、第7から第9の実施の形態において説明したリスクポテンシャルRPを視覚情報として運転者に伝達するシステムを、リスクポテンシャルRPを触覚情報として運転者に伝達するシステムから独立して設けることも可能である。この場合、リスクポテンシャルRPから刺激量を算出する刺激量算出部を備える触覚コントローラと、リスクポテンシャルRPから表示内容を決定する表示量算出部を備える視覚コントローラとを別々に設けることができる。さらには、視覚コントローラのみを車両に搭載することも可能である。
以上説明した第7から第9の実施の形態においては、走行環境検出手段として、レーザレーダ10,前方カメラ20および車速センサ30を用い、リスクポテンシャル算出手段、表示制御手段、刺激量算出手段としてコントローラ60を用い、触覚情報伝達手段としてコントローラ60およびアクセルペダル反力制御装置80を用いた。また、表示手段として表示装置110を用い、選択手段として選択スイッチ40を用いた。ただし、これらには限定されず、走行環境検出手段として、レーザレーダ10の代わりに例えば別方式のミリ波レーダを用いることもできる。また、選択手段として例えばコントローラ60の必要情報判定部60Cを用い、自車両周囲の走行環境が変化したと判定したときに表示量算出部60Eに指令を出力して表示装置110の表示形態を変更するように構成することもできる。