JP3963106B2 - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密着性に優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は種々のフェノール樹脂等の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐湿性、耐薬品性,耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。電子材料分野に関しては、半導体封止材料やプリント配線基板などの用途分野において、エポキシ樹脂と硬化剤として多価フェノール化合物を用いた組成物が主要材料として用いられている。
【0003】
ところで近年、半導体分野においては、半導体装置のリードフレームに関しては、環境上問題となる半田に含まれる鉛を削減することを目的として、銅合金や42アロイ合金等に代わってパラジウムを素材としたものが普及しつつある。しかし、パラジウム素材系のリードフレームは従来型と比較して封止材との密着性が低く、半導体装置を基板に実装する工程でリフロークラックが発生しやすいという問題点がある。
【0004】
また、プリント配線基板分野においては、多層化、薄物化、配線パターンの高密度化に伴い、基材及び銅箔との密着性と耐熱性を兼備することが重要な要求となっている。プリント配線基板用途では、硬化剤としてジシアンジアミドが使用されているが、この系は密着性に優れるものの、満足できる耐熱性を得ることができない。また、耐熱性改良のためにノボラック樹脂を硬化剤として用いる場合技術も知られているが、この系は、耐熱性が向上するものの、基材及び銅箔との密着性に劣る問題があった。
【0005】
前記の問題点を解決する方法として特開平7−292070号公報には低応力特性を有するエポキシ樹脂としてエポキシ基と1級アルコールを反応させて、脂肪族性2級水酸基を含有させたノボラック型エポキシ樹脂が提案されているが、前述の問題点を解決するに十分な耐湿性は発現しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、半導体装置やプリント配線基板等の各種部材への密着性に優れたエポキシ樹脂系材料を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこうした実状に鑑み、密着性に優れるエポキシ樹脂系材料を求めて鋭意研究した結果、一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂中の一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であるエポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物がこれらの要求を満たすものであることを見いだし、また、一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂中に一般式(1)であ表される構造を有するエポキシ樹脂が新規な物質であることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0008】
すなわち、本発明は一般式(2)
【化2】
Figure 0003963106
(式中、Arはベンゼン環又は芳香族縮合環を、Gはグリリジルオキシ基、R はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基またはアリル基を、また、Yは下記一般式(1)
O−R−CHOH ………(1)
(式中、Rは炭素数1〜6の直鎖アルキレン基を表わす。)
で表わされる構造を表わす。また、a、b、及びcは、下記の条件ア)、イ)、及びウ)
ア) 0<(a+b+c)≦2(n+2)
イ) n=(Ar中の芳香環の総数)−1
ウ) 0≦a≦4、0≦b≦4、0<c≦4
を満たす。)で表される構造を有し、かつ、一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であるエポキシ樹脂と硬化剤とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物、これを硬化した硬化物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂は、一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基を0.1重量%以上含有しているエポキシ樹脂である。一般式(1)で表される構造中の脂肪族水酸基の量は、前記エポキシ樹脂(A)中に0.1重量%〜12重量%含有することが好ましく、より好ましくは0.4〜10重量%以上、更に好ましくは0.8〜8重量%以上含有することが好ましい。また、前記構造の脂肪族性1級水酸基とグリシジル基のモル比率としては、[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルエーテル基]=5/95〜30/70の範囲のものである。また、エポキシ樹脂の分子構造としては、1分子中に2個以上のエポキシ基と下記一般式(2)
【化3】
Figure 0003963106
(式中、Arはベンゼン環又は芳香族縮合環を、Gはグリリジルオキシ基、R はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基またはアリル基を、また、Yは下記一般式(1)
O−R −CH OH ………(1)
(式中、R は炭素数1〜6の直鎖アルキレン基を表わす。)
で表わされる構造を表わす。また、a、b、及びcは、下記の条件ア)、イ)、及びウ)
ア) 0<(a+b+c)≦2(n+2)
イ) n=(Ar中の芳香環の総数)−1
ウ) 0≦a≦4、0≦b≦4、0<c≦4
を満たす。)で表される構造を有し、かつ、一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であり、一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基を0.1重量%以上含有するものであって、密着性や硬化性、耐熱性との特性バランスを考慮すると、1分子中に平均して2.5個以上のエポキシ基を含有するものが好ましく、一層の特性バランスを得るためには、エポキシ基が3個〜15個であることが特に好ましい。
【0011】
上記のエポキシ樹脂の例としては、下記一般式(3)が挙げられる。
【化4】
Figure 0003963106
(式中、Xは、直接結合、または下記構造式(4)〜(13)を、またZは一般式(2)或いはグリシジルオキシ基で置換されたベンゼン環又は芳香族縮合環を、また、n、mはそれぞれ独立に1から10の繰り返し単位数表わし、他は一般式(2)と同一。)
【化5】
Figure 0003963106
【0012】
前記エポキシ樹脂としては、前記一般式(2)で表される構造を有し、また、エポキシ樹脂中のグリシジルエーテル基の一部が一般式(1)の構造で置換されたものであって、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゾフェノン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトールダイマーのエポキシ樹脂などの2官能エポキシ樹脂のグリシジルエーテル基の一部が一般式(1)の構造で置換されたエポキシ樹脂が挙げられる。
【0013】
また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、BPAノボラック樹脂などの多官能エポキシ樹脂のグリシジルエーテル基の一部が一般式(1)の構造で置換され、かつ前記一般式(2)で表される構造を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
【0014】
また、上記のエポキシ樹脂の芳香環の一部又は全部がハロゲン原子(例えば臭素原子)に置換されたエポキシ樹脂も含まれる。
【0015】
次いで、本発明の組成物に用いられるエポキシ樹脂の製造方法としては、例えば、下記の2段階の方法(▲1▼及び▲2▼)で得られる。▲1▼多価フェノール化合物中のフェノール性水酸基の一部に一般式(1)で表される構造を導入する。次いで、▲2▼脂肪族一級水酸基が導入された多価フェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させる。
【0016】
脂肪族一級水酸基が導入された多価フェノール化合物としては、前記一般式(2)で表される構造を有し、フェノール化合物中のフェノール性水酸基の一部が一般式(1)構造で置換されたものであって、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ビスフェノールS、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシフェニルエーテル、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、ナフトールダイマーなどの2価フェノール化合物類のフェノール性水酸基の一部分が一般式(1)の構造で置換されたフェノール化合物や、下記一般一般式(14)で表されるフェノール性水酸基の一部分が一般式(1)の構造で置換されたフェノール化合物である。
【化6】
Figure 0003963106
(式中、Xは、前記構造式(5)〜(13)を、また、n、mはそれぞれ独立に1から10の繰り返し単位数を、また、Zはヒドロキシ基で置換されたベンゼン環又は芳香族縮合環を表わし、他は一般式(2)と同一。)
【0017】
脂肪族一級水酸基が導入された多価フェノール化合物は、フェノール化合物とオキシラン環含有化合物類または炭酸エステル化合物類を任意のモル数で反応することで得ることができる。用いられるオキシラン環含有化合物類としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エポキシブタンなどが挙げられ、炭酸エステル化合物類としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。エチレンカーボネートとの反応を例に挙げると、まず、フェノール化合物に所望の脂肪族性1級水酸基濃度になるような理論割合の環状炭酸エステル類を加えて脱炭酸反応をおこない、水酸基の一部を脂肪族性1級水酸基含有基に置換する。反応の際には、必要に応じてトルエン、キシレンやメチルイソブチルケトンのような有機溶媒を使用しても構わないし、また反応速度を高めるためには、塩基触媒を添加すればよい。塩基触媒としては、苛性ソーダ、苛性カリウム、炭酸カリウムなどが使用でき、添加量としては環状炭酸エステル類に対して1〜50モル%の範囲が好ましい。反応温度は50〜150℃の範囲が適当であり、反応時間としては0.5〜10時間が適当である。反応状況は環状炭酸エステル類の濃度分析で追跡でき、反応終了後は触媒を中和によって失活した後に、水洗やろ過等で触媒残を除去して、有機溶媒を蒸留などで除去することによって、目的の多価フェノール化合物(B)を得ることができる。
【0018】
前記一般式(1)中のR1は炭素数1〜6の直鎖アルキレン基である。これらの中でもメチレン基が、密着性と硬化性、耐熱性の特性にバランスに優れることからメチレン基が特に好ましい。
【0019】
次いで、本発明のエポキシ樹脂の製造方法に関して述べる。前記▲1▼において脂肪族一級水酸基を導入した多価フェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得る。前記脂肪族一級水酸基が導入された多価フェノール化合物とエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させることにより本発明のエポキシ樹脂を得ることが出来る。エピハロヒドリンの添加量は、原料の該フェノール樹脂中の水酸基1当量に対して、通常0.3〜20当量の範囲が用いられる。エピハロヒドリンが2.5当量よりも少ない場合、エポキシ基と未反応水酸基が反応しやすくなるため、エポキシ基と未反応水酸基が付加反応して生成する基(-CH2CR(OH)CH2-、R:水素原子又は有機炭素基)を含んだ高分子量物が得られる。一方、2.5当量よりも多い場合、理論構造物の含有量が高くなる。所望の特性によってエピハロヒドリンの量を適宜調節すればよい。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。また、該多価フェノール化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる該フェノール樹脂のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
【0021】
更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。溶媒を使用する場合のその使用量は、エピハロヒドリンの量に対し通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%である。これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンや他の添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピハロヒドリン等を回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量は、粗エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより、脂肪族一級水酸基が導入されたエポキシ樹脂が得られる。
【0022】
次いで、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般式(2)で表される構造を含有しているエポキシ樹脂と硬化剤とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、前記一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であるエポキシ樹脂組成物である。
【0023】
前記硬化剤としては、特に限定されないが、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などの硬化剤を用いることができるが、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等の多価フェノール化合物、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。また、一般式(1)で表わされる構造を含有している多価フェノール化合物も使用可能な硬化剤として挙げられる。またこれらの硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
【0024】
特に、一般式(2)で表される構造を含有し、前記一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であるエポキシ樹脂と、硬化剤として、一般式(1)で表わされる構造を含有している多価フェノール化合物を必須成分としたエポキシ樹脂組成物が本発明の効果が顕著に現れる点から好ましい。
【0025】
一般式(1)で表わされる構造を含有している多価フェノール化合物を硬化剤として用いる場合は、全硬化剤に占める割合を30重量%以上、特に40重量%以上にすることが好ましい。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(2)で表される構造を含有し、前記一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であるエポキシ樹脂とともに他のエポキシ樹脂を併用できる。これらのエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。またこれらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよいが、本発明のエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂に対し、30重量%以上含有していることが好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化が円滑に進行し、良好な硬化物性が得られる点から全硬化剤中の総活性水素基が0.5〜1.5当量になる量が好ましい。
【0028】
また、硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である。半導体封止材料用途としては、リン系ではトリフェニルホスフィン、アミン系ではDBUなどが、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性などが優れるために好ましいものである。
【0029】
また、無機充填材を使用してもよく、用いられる無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等が挙げられる。無機質充填材の配合量を特に大きくする場合は、溶融シリカを用いるのが一般的である。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布がより広くなるように調整することが好ましい。その充填率は難燃性を鑑みれば高い方が好ましく、エポキシ樹脂組成物の全体量に対して65〜92重量%以上が特に好ましい。
【0030】
また、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。また、必要に応じて難燃付与剤を添加できる。難燃付与剤としては、種々のものが全て使用できるが、例えば、ハロゲン化合物、燐原子含有化合物や窒素原子含有化合物や無機系難燃化合物などが挙げられる。
【0031】
それらの具体例を挙げるならば、ハロゲン化合物としては、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂臭素化フェノールノボラック樹脂、
【0032】
燐原子含有化合物としては、赤燐、ポリ燐酸アンモニウム及び燐酸エステル化合物、ホスフィン酸、ホスファゼン化合物などの有機燐化合物が挙げられる。ここでいう赤燐とは、表面処理が施されていてもよく、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の金属水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等および熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等より選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理されたもの等がいずれも使用可能である。また上記燐化合物としては、燐酸アミド等、アミノ基、フェノール性水酸基、エポキシ基等の官能基を有していてもよい。これらの燐化合物の添加量は、前記に例示される充填材を除く他の全配合成分に対して、燐原子の量で0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲内であることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は難燃性の向上効果が少なく、5.0重量%より多いと成形性、耐湿性の低下や燐原子含有化合物のブリードの問題がある。
【0033】
窒素原子含有化合物としては、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンおよび上記したトリアジン化合物から誘導される化合物、硫酸メラミン、硫酸アミノトリアジン、メラミンシアヌレート、シアヌル酸等が挙げられ、これらはフェノール性水酸基等の官能基を有していてもよい。これらの窒素原子含有化合物の添加量は、前記に例示される充填材を除く他の全配合成分に対して、窒素原子の量で0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲内であることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は難燃性の向上効果が少なく、20重量%より多い耐湿性の低下の問題がある。
【0034】
有機ケイ素化合物としては、フェニル基やメチル基等のアルキル基を含有する化合物が挙げられ、これらはフェノール性水酸基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を有していてもよい。これらの有機ケイ素化合物の添加量は、前記に例示される充填材を除く他の全配合成分に対して、窒素原子の量で0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%の範囲内であることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は難燃性の向上効果が少なく、20重量%より多い密着性低下の低下の問題がある。
【0035】
無機系難燃化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の水和金属系化合物、シリカ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の金属酸化物、アルミニウム、鉄、フェロセン、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン等の金属類表面を樹脂や無機物で表面被覆したもの、コバルト、コバルトナフテン酸錯体、コバルトエチレンジアミン錯体等のコバルト金属錯体、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸亜鉛等のホウ酸金属塩、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。上記無機系難燃化合物は、表面を樹脂や無機物で表面被覆したものが使用可能であり、表面被覆により密着性向上など封止材とした場合の信頼性が向上する。これらの無機系難燃化合物の添加量は、前記に例示される充填材を除く他の全配合成分に対して、0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲内であることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は難燃性の向上効果が少なく、10重量%より多い成形性が低下するので好ましくない。
【0036】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。
【0037】
半導体封止材料用のエポキシ樹脂組成物としては、無機充填材を必須成分とする本発明のエポキシ樹脂組成物を押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合することによって得られる。得られたエポキシ樹脂組成物は、射出成型機やトランスファ−成形機などを用いることにより、また、液状の場合はキャスティングやポッティング、印刷等の方式で注型、80〜200℃で2〜10時間に加熱することで、半導体装置のリードフレームや積層板を搭載した半導体素子を封止した半導体装置を得ることができる。
【0038】
また、回路基板材料用のエポキシ樹脂組成物としては、本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させてワニス化して塗料として用いることができる。さらにはそのワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して積層板を得ることができる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%、特に好ましくは15〜65重量%を占める量を用いる。
【0039】
【実施例】
次に、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
【0040】
製造例1
温度計、冷却管、攪拌機、加熱装置を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製:フェノライト TD−2106、軟化点90℃、水酸基当量104g/eq.)416g(水酸基4.0モル)とメチルイソブチルケトン500gとエチレンカーボネート35g(0.4モル)を仕込んで均一溶解した。それに49%苛性ソーダ6.5g(0.08モル)を加えた後に、110℃まで昇温して、その温度で攪拌して反応させた。反応中、脱炭酸の様子が観察でき、5時間後にガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチレンカーボネートのピークが実質的に消失していることを確認した後に、燐酸ソーダで中和して、100gの水で3回水洗して、触媒残を除去した。次いで、共沸脱水して精密ろ過を経て、最後に蒸留でメチルイソブチルケトンを除去して目的の多価フェノール化合物(P1)420gを得た。
【0041】
製造例2
エチレンカーボネートを70g(0.8モル)に変更した以外は、製造例1と同様な操作で、目的の多価フェノール化合物(P2)428gを得た。
【0042】
製造例3
フェノールノボラック樹脂をフェノールアラルキル樹脂(三井化学製 ミレックス XLC−LL、軟化点78℃、水酸基当量175g/eq.)700g(水酸基4.0モル)に変更した以外は、製造例1と同様な操作で、目的の目的の多価フェノール化合物(P3)718gを得た。
【0043】
製造例4
フェノールノボラック樹脂をクレゾールノボラック樹脂(軟化点95℃、水酸基当量120g/eq.)480g(水酸基4.0モル)に変更した以外は、製造例1と同様な操作で、目的の目的の多価フェノール化合物(P4)492gを得た。
【0044】
製造例5
エチレンカーボネートを70g(0.8モル)に変更した以外は、製造例1と同様な操作で、目的の多価フェノール化合物(P5)515gを得た。
【0045】
上記製造例1〜5で得られた化合物の(1)脂肪族性1級水酸基の重量%、(2)脂肪族性1級水酸基当量と芳香族性水酸当量のモル比、(3)脂肪族性1級水酸基価、(4)芳香族性水酸基価を表1にまとめた。尚、これらの(1)〜(4)は次のようにして算出した。
(1):後述の(3)より求めた脂肪族性1級水酸当量から次式により求めた。
脂肪族性1級水酸基の重量%=17×100/((3)の脂肪族性1級水酸当量)
ここで、17は水酸基の分子量を示す。
(2):得られた化合物を13C NMR分析し、まず、芳香性水酸基に直結する炭素原子のシグナル(150〜160ppm)と、脂肪族性水酸基に直結する炭素原子のシグナル(55〜65ppm)の積分値から、両者の比を100分率で算出した。
(3):JIS K0070に準拠し求めた水酸基当量(脂肪族性1級水酸基と芳香族性水酸基の合計)と、(2)で求めた脂肪族性1級水酸基と芳香族性水酸基のモル比より、次式で求めた。
・芳香族性水酸基当量=水酸基当量/(全水酸基中における芳香族水酸基のモル比)
・脂肪族性1級水酸基当量=水酸基当量/(全水酸基中における脂肪族性1級水酸基のモル比)
【表1】
Figure 0003963106
【0046】
製造例6(P1のエポキシ化物の製造例)
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌機、加熱装置を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、製造例1で得られた多価フェノール化合物(P1)120g(芳香族性水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール53g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2.3gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液82g(1.0モル)を5時間かけて滴下した、次いで同条件下で0.5時間攪拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら反応した。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン550gとn−ブタノール55gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水100部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(E1)171gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は203g/eqであった。
【0047】
製造例7
多価フェノール化合物(P1)を多価フェノール化合物(P2)141gに変更した以外は製造例6と同様にして、目的のエポキシ樹脂(E2)191gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は226g/eqであった。
【0048】
製造例8
多価フェノール化合物(P1)を多価フェノール化合物(P3)199gに変更した以外は製造例6と同様にして、目的のエポキシ樹脂(E3)248gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は293g/eqであった。
【0049】
製造例9
多価フェノール化合物(P1)を多価フェノール化合物(P4)138gに変更した以外は製造例6と同様にして、目的のエポキシ樹脂(E4)188gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は223g/eqであった。
【0050】
製造例10
多価フェノール化合物(P1)を多価フェノール化合物(P5)161gに変更した以外は製造例6と同様にして、目的のエポキシ樹脂(E5)210gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は249g/eqであった。
【0051】
製造例11
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌機、加熱装置を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N−665−EXP−S:大日本インキ化学工業製、エポキシ当量202g/eq.)750g、メチルイソブチルケトン1400gを仕込み、80℃に昇温攪拌して樹脂を溶解した。次いで、エチレングリコール52.5g、10重量%のNaOH水溶液15.4mlを加え80℃で2.5時間反応させた。その後、MIBK860g、イオン交換水750gを加えて80℃にて20分間攪拌し、静置後、水層を分離した。更にイオン交換水750gを加え、10重量%NaH2PO4にて中和し、静置後、水層を分離した。更にイオン交換水750gを加え攪拌し、静置後、水層を分離した。次いで得られた樹脂溶液を濾過し、減圧下で溶剤を除去してエポキシ樹脂(E6)を得た。このエポキシ樹脂のエポキシ当量は、204g/eqであった。
【0052】
実施例1〜4、及び比較例1、2
上記のフェノール樹脂(P1)(P3)とエポキシ樹脂(E1)(E3)(E4)と、比較用の硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(PHENOLITETD−2131:大日本インキ化学工業製、軟化点80℃、水酸基当量104g/eq.)、比較用のエポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N−665−EXP−S:大日本インキ化学工業製、エポキシ当量202g/eq.)および製造例11で得たエポキシ樹脂を用いて表2に示した組成で配合し、2本ロールを用いて100℃の温度で10分間溶融混練して目的の組成物を得た。表2中の上記以外の成分は以下のものを用いた。臭素化エポキシ樹脂(EPICLON 153:大日本インキ化学工業製、エポキシ当量400g/eq.)、トリフェニルホスフィン(北興化学株式会社製TPP)、カルナバワックス(天然カルナバワックス)、シランカップリング剤(日本ユニカー株式会社製 A−187)、カーボンブラック(三菱マテリアル株式会社製 750−B)、三酸化アンチモン(日本精工株式会社製 PATOX−M)無機充填材として溶融シリカ(龍森(株)製、RD−8)。次に得られた組成物を粉砕したものを、シリコンチップを搭載したCu合金の上にNi、Pd、Auを順にメッキしてなるメッキリードフレーム(以下、s−Pdメッキフレーム)に、口径28mm、厚さ3.2mmの160QFP用の金型を用いて、金型温度175℃、成形時間100秒、注入圧力70〜90kg/cmの条件下でトランスファー成形した。得られた成形品を175℃で6時間アフターキュアすることで、評価用パッケージを得た。この評価用パッケージを用い、動的粘弾性装置(DMA)によるガラス転移温度、密着性、耐湿性を評価した。尚、密着性と耐湿性は、パッケージを85℃、85%RHの雰囲気下に168時間放置して吸湿させた後、260℃のハンダ浴に10秒浸し、エポキシ樹脂とチップ、フレーム、ダイパッドとの剥離を生じたパッケージ、更には、エポキシ樹脂組成物の成形体にクラックを生じたパッケージを数えて評価した。
【0053】
【表2】
Figure 0003963106
【0054】
実施例5、6、及び比較例3
製造例で得られたフェノール樹脂(P2)(P3)(P5)、エポキシ樹脂(E2)(E5)およびEPICLON 153(大日本インキ化学工業株式会社製 臭素化エポキシ樹脂、エポキシ当量400g/eq)、比較のフェノール樹脂として、TD−2090−60M(大日本インキ化学工業株式会社製 フェノールノボラック樹脂、水酸基当量 104g/eq)、比較用エポキシ樹脂として、N−690−75M(大日本インキ化学工業株式会社製 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量 219g/eq)、1121N−80M(大日本インキ化学工業株式会社製低臭素化エポキシ樹脂、エポキシ当量 495g/eq)を用いて、表3に示した配合で積層板を作成した。フェノール樹脂(P2)(P3)(P5)、エポキシ樹脂(E2)(E5)およびEPICLON153は、各々別にメチルエチルケトンで溶解させ、不揮発分(NV)が80%なる混合溶液を調製した。次いで予めメチルセロソルブ、ジメチルホルムアミドに溶解させておいた硬化促進剤2エチル4メチルイミダゾールを加えて、不揮発分(NV)が55%なる混合溶液を調製した。この際の硬化剤の量としてはエポキシ樹脂中のエポキシ基に対して水酸基当量が1.0当量となるような割合にし、また、硬化促進剤量はプリプレグのゲルタイムが170℃で120秒になる割合にした。しかるのち、それぞれの混合溶液を用い、基材であるガラスクロスWEA 7628 H258N〔日東紡(株)製〕に含浸させ、160℃3分乾燥させて樹脂分40%のプリプレグを作製した。
次いで、得られたプリプレグを8枚重ね合わせ、圧力3.9MN/m、加熱温度170℃、加熱時間120分の条件で硬化させて積層板を作製した。
【0055】
得られた各々の積層板について、Tg、密着性を試験した。その結果を第2表に示す。尚、各試験は以下の方法に従った。
[Tg(ガラス転移温度)] DMA法にて測定。昇温スピード3℃/min
[ピール強度] JIS−K6481に準拠した。
【表3】
Figure 0003963106
【0056】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物からなる硬化物は、金属や他の無機材料への密着性及び硬化物同士の密着性に優れる。とりわけ半導体パッケージにおけるリードフレームとの密着性、プリント配線板における基材及び銅箔との密着性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供できる。従って、本発明のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂は、半導体封止材料やプリント配線板材料、レジストインキ、先端複合材料などにきわめて有用である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(2)
    Figure 0003963106
    (式中、Arはベンゼン環又は芳香族縮合環を、Gはグリリジルオキシ基、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基またはアリル基を、また、Yは下記一般式(1)
    O−R −CH OH ………(1)
    (式中、R は炭素数1〜6の直鎖アルキレン基を表わす。)
    で表わされる構造を表わす。また、a、b、及びcは、下記の条件ア)、イ)、及びウ)
    ア) 0<(a+b+c)≦2(n+2)
    イ) n=(Ar中の芳香環の総数)−1
    ウ) 0≦a≦4、0≦b≦4、0<c≦4
    を満たす。)で表される構造を有し、かつ、一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基と、グリシジルエーテル基との比率が[脂肪族性1級水酸基]/[グリシジルオキシ基]=5/95〜30/70(モル比)であるエポキシ樹脂と硬化剤とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 一般式(1)で表される構造中の脂肪族性1級水酸基が、エポキシ樹脂中に0.1〜12.0重量%含有している請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 一般式(1)で表される構造中のRがメチレン基である請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤が、前記一般式(1)で表わされる構造を含有したフェノール化合物である請求項1〜のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 半導体封止材料用の組成物である請求項1〜に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 更に、無機充填材を必須成分とする請求項1〜のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の充填率が、エポキシ樹脂組成物当たり65重量%以上である請求項記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. Pd系リードフレームを搭載し、且つ請求項に記載の組成物によって封止された半導体装置。
  9. 回路基板材料用の組成物である請求項1〜のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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