JP3962105B2 - 酢化反応の反応開始方法及び反応装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煙草用のフィルタートウ、繊維、写真用フィルム、人工腎臓などに用いられるセルロースアセテートを製造する上で有用なセルロース酢化反応の反応開始方法及び反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースアセテートを工業的に製造する代表的な方法として、硫酸などの酸性触媒の存在下、セルロースを無水酢酸などの酢化剤により酢化する方法が知られている。この方法は、通常、セルロース原料を離解・解砕する離解・解砕工程、離解・解砕されたセルロースを活性化する前処理活性化工程、セルロースを無水酢酸により酢化する酢化反応工程、必要により酢化反応工程で得られるセルロースアセテートを部分的に加水分解してアセチル基置換度を調整する加水分解工程、得られたセルロースアセテートドープを沈殿、洗浄、乾燥し、製品化する後処理工程、及び後処理工程で排出される酸を回収する酸回収工程からなる。
【0003】
前記酢化反応は激しい発熱反応であるため、反応熱の除去に多大のエネルギーを必要とする。また、反応温度が高いとセルロースアセテートの解重合反応が進行して重合度が低下するため、反応温度を比較的低い温度にコントロールする必要がある。
【0004】
上記の点に鑑み、特公平2−5761号公報には、セルロースを原料とし、無水酢酸を酢化剤、酢酸を溶媒、硫酸を触媒とするセルロースアセテートの製造方法において、酢化反応の全期間若しくは初期を含む一部の期間、反応系内を減圧にし、発生する蒸気を凝集させ、反応系外に留出させることにより反応生成物の濃縮を行うセルロースアセテートの製造方法が開示されている。この方法によれば、反応熱を反応系の揮発成分の蒸発潜熱により効率的に除去できると共に、反応温度を比較的低い温度にコントロールできる。また、無水酢酸や反応溶媒の使用量を低減できるので、酸回収工程での負荷を軽減できる。
【0005】
しかし、酢化反応では、反応の進行に伴って、反応器内の混合物は固液状態から次第にドープ状を呈するようになる。特に、前記公報に記載されているように、反応系の気相成分を反応系外に留去しつつセルロースを酢化する減圧酢化反応法では、反応系内のドープ粘度が非常に高くなる。したがって、上記減圧酢化反応法では、撹拌効率を高めるため、酢化反応器として二軸のニーダを使用する場合が多い。そして、このようなニーダを使用する場合には、ニーダの撹拌翼の先端部とニーダの内壁(トラフ)とのクリアランスにおいて、セルロースが圧縮、圧密化され易い。一方、前記公報の実施例では、無水酢酸と酢酸の混合液と前処理活性化したセルロースとを仕込んで撹拌混合し、これに硫酸と酢酸との混合液を添加して酢化反応を開始する方法が採用されている。しかし、この方法では、原料セルロースのうち前記圧縮、圧密化された部分に触媒である硫酸が浸透する前に、添加した硫酸の大部分がセルロースのうち圧密化されていない部分に吸着するためか、反応が均一に進行せず、セルロースアセテート中に未反応の塊状セルロースが残存しやすい。そのため、セルロースアセテートをアセトンなどの溶剤に溶解して濾過する際に、前記塊状セルロースにより濾布の目詰まりを生じ、濾布の交換頻度が増大する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、セルロースの酢化反応において、酢化剤および反応溶媒を多量に用いることなく、反応を均一に進行させることのできる反応開始方法及び反応装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、いわゆる減圧酢化反応法において、反応溶媒を含浸させたセルロースに、酸性触媒と無水酢酸とを混合して添加すると、酢化反応が均一に進行し、反応生成物中に未反応セルロースが残存しにくいことを見出だし本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、酸性触媒の存在下、セルロース100重量部に対して200〜600重量部の反応溶媒を用い、反応系の気相成分を反応系外に留去しつつセルロースを酢化剤により減圧下に酢化してセルロースアセテートを製造する方法において、反応溶媒を含浸させたセルロースに、酸性触媒と酢化剤とを混合して添加し、反応を開始させる酢化反応の反応開始方法であって、前記酸性触媒と酢化剤とを接触時間0.002〜10分で混合した後、添加して反応を開始させる酢化反応の反応開始方法を提供する。酢化反応は、ニーダを備えた反応器中で行ってもよい。また、酸性触媒と酢化剤とをラインミキサによる合流混合とともにセルロースに添加してもよい。
【0009】
本発明は、また、酸性触媒の存在下、反応系の気相成分を反応系外に留去しつつセルロースを酢化剤により減圧下に酢化してセルロースアセテートを生成させる反応装置であって、セルロース100重量部に対して200〜600重量部の反応溶媒を用いて前記酢化を行うための酢化反応器と、酢化反応器に供給する酸性触媒と酢化剤とを接触時間0.002〜10分で混合する混合手段と、反応系を減圧にするための減圧手段と、反応系の気相成分を凝縮させる凝縮手段とを有する反応装置を提供する。前記酢化反応器は、ニーダを備えた反応器であってもよい。前記混合手段はラインミキサであってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の反応装置の一例を示す概略図である。
この反応装置は、セルロースを酢化剤により酢化するための酢化反応器1と、酢化反応器1に供給する酸性触媒と酢化剤とを合流混合するためのラインミキサ2と、反応系を減圧にするための真空ポンプ3と、反応系の気相成分を凝縮させるコンデンサ4とを有している。酢化反応器1には、セルロースなどの原材料を供給するための原材料供給ライン5、およびラインミキサ2から酸性触媒と酢化剤との混合液を供給するための触媒−酢化剤混合液供給ライン8と、反応系の気相成分をコンデンサ4に導くためのガス抜取りライン9とが取付けられている。ラインミキサ2には酸性触媒を供給する触媒供給ライン6と酢化剤を供給する酢化剤供給ライン7とが備えられている。また、コンデンサ4には、コンデンサ4により凝縮された留出液を抜取る留出液抜取りライン10と、真空ポンプ3に通じる減圧ライン11とが取付けられている。
【0011】
酢化反応器1としては、セルロースアセテートの製造に通常用いられる反応器を使用できる。好ましい酢化反応器には、ニーダ(例えば、二軸ニーダ)などの捏和式反応器が含まれる。ラインミキサ2としては、触媒供給ライン6の酸性触媒と酢化剤供給ライン7の酢化剤とを合流混合させて直ちに反応器内に添加できる混合機であればよく、邪魔板や撹拌翼などを備えた慣用のラインミキサを使用できる。また、真空ポンプ3およびコンデンサ4としては、それぞれ慣用のものを使用できる。
【0012】
この反応装置では、酢化反応器1に真空ポンプ3とコンデンサ4とが備えられているので、酸性触媒の存在下、反応系の気相成分を反応系外に留去しつつセルロースを酢化剤により減圧下に酢化してセルロースアセテートを生成させるいわゆる減圧酢化反応法によりセルロースアセテートを製造できる、また、ラインミキサ2を有しているので、酢化反応器1に、酸性触媒と酢化剤とを混合して添加できるだけでなく、前記両成分を極めて短時間内に混合し、直ちに酢化反応器1内に添加することができる。また、前記両成分の混合及び添加操作を簡易にかつ効率的に行うことができる。
【0013】
なお、真空ポンプ3に代えて、例えば、エゼクタ、アスピレータなどの他の減圧手段を用いてもよい。また、ラインミキサ2に代えて、酸性触媒含有液と酢化剤含有液とを混合可能な撹拌混合槽などの他の混合手段を用いてもよい。好ましい混合手段には、酸性触媒と酢化剤とを合流混合とともに酢化反応器に添加可能な混合手段、例えばラインミキサなどが含まれる。
【0014】
以下に、上記反応装置を用いて、いわゆる減圧酢化法におけるセルロース酢化反応の反応を開始する方法について説明する。
【0015】
酢化反応器1に、原材料供給ライン5から、所定量のセルロースと反応溶媒とを供給し、所定の圧力および温度下に、撹拌混合する。そして、酸性触媒を含む触媒含有液と酢化剤を含む酢化剤含有液を、それぞれ触媒供給ライン6および酢化剤供給ライン7を通じてラインミキサ2に供給して混合し、直ちに触媒−酢化剤混合液供給ライン8を通じて酢化反応器1に仕込み、反応を開始させる。
【0016】
反応に用いるセルロース、反応溶媒、酸性触媒および酢化剤としては、セルロースアセテートの製造に通常用いられるものであればよい。例えば、セルロースとしてサルファイト法溶解パルプ等の種々のパルプなど、反応溶媒として酢酸など、酸性触媒として硫酸など、酢化剤として無水酢酸などを使用できる。セルロースは、例えば酢酸などにより前処理活性化したものを用いるのが好ましい。反応溶媒の使用量は、撹拌混合操作を損なわない範囲で定められ、セルロース100重量部に対して、例えば200〜600重量部、好ましくは230〜400重量部程度である。酸性触媒の使用量は、反応を損なわない範囲、例えば、セルロース100重量部に対して、0.4〜10重量部、好ましくは0.6〜2重量部程度である。酢化剤は、所望する酢化度によっても異なるが、通常セルロースのヒドロキシル基に対して等モル以上使用する。酢化剤として無水酢酸を使用する場合、その使用量は、セルロース100重量部に対して、例えば200〜400重量部、好ましくは230〜300重量部程度である。
【0017】
反応開始温度t(℃)(触媒添加時の反応系内の温度)は、酢化反応が進行し、かつ急激な反応を回避できる温度であれば特に限定されないが、好ましくは20〜70℃、さらに好ましくは30〜55℃程度である。反応を上記の温度範囲で開始すると、反応が円滑に開始されると共に、触媒のセルロースへの浸透性が向上する。そのため、セルロースをより均一に酢化できる。
【0018】
反応開始時の反応系の真空度は、反応過程において反応系を沸騰状態にし得る圧力であればよく、反応温度に応じて適宜設定できる。例えば、前記真空度は40〜150Torr、好ましくは45〜100Torr程度である。反応開始時において、反応系は沸騰状態にあってもよい。
【0019】
上記の反応開始方法によれば、反応溶媒を含浸させたセルロースに、酸性触媒と酢化剤とを混合して添加することにより反応を開始するので、反応溶媒と酢化剤とを含浸させたセルロースに酸性触媒を添加する場合と異なり、酸性触媒のセルロースに対する浸透性が向上するためか、セルロースのうち、例えば反応器の撹拌翼の先端部と反応器の内壁とのクリアランスにおいて圧縮、圧密化された部分においても、反応が速やかに進行する。そのため、酢化剤や反応溶媒の使用量を低減化できる減圧酢化反応法において、セルロースアセテート中に未反応の塊状セルロースが混在するのを抑制でき、均質な製品を得ることができる。したがって、セルロースアセテートを溶剤に溶解して濾過する際に、塊状セルロースによる目詰まりを顕著に防止できる。
【0020】
また、酸性触媒と酢化剤との混合をラインミキサ2により行うので、前記両成分を合流混合とともに反応器内に供給できる。すなわち、酸性触媒供給ラインを流れる酸性触媒と、酢化剤供給ラインを流れる酢化剤とを合流させ、極めて短時間で混合して直ちに反応溶媒を含浸させたセルロースに添加することができる。酸性触媒と酢化剤との接触時間が長いと、両成分が反応して触媒不活性な成分が生成する場合がある。例えば、酸性触媒として硫酸、酢化剤として無水酢酸を使用する場合、両成分を長時間接触させると、不活性なスルホ酢酸が生成して、酢化反応速度が低下しやすい。したがって、上記方法によれば、酸性触媒と酢化剤との接触時間を短縮でき、両成分の接触に起因する触媒の不活性化を抑制できる。また、ラインミキサでは、装置を小型化できるので、前記両成分の混合、添加操作を簡易にかつ効率的に行うことができる。
【0021】
なお、酸性触媒と酢化剤とは、前記反応溶媒を含浸させたセルロースに、混合して添加すればよく、上記ラインミキサのほか、慣用の混合手段、例えば撹拌混合槽などにより混合して添加してもよい。本発明において、好ましい反応開始方法には、酸性触媒と酢化剤とを合流混合とともに前記セルロースに添加して反応を開始させる方法が含まれる。
【0022】
酸性触媒および酢化剤は、それぞれ、そのままラインミキサ2に供給してもよいが、溶媒、特に反応溶媒で希釈して供給することもできる。触媒含有液の触媒濃度は、例えば0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度である。酸化剤含有液の酢化剤濃度は、例えば50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%程度である。
【0023】
酸性触媒と酢化剤とを混合して添加する際の両成分の接触時間(セルロースに添加前の接触時間)は、例えば10分以下(0.002〜10分程度)、好ましくは5分以下(例えば0.003〜5分程度)、さらに好ましくは1分以下(例えば0.005〜1分程度、特に0.005〜0.5分程度)である。両成分の接触時間が長いと、触媒不活性な成分が生成して、酢化反応速度が低下しやすい。酸性触媒と酢化剤とを含む混合液の反応器への添加時間は、反応のスケールによっても異なるが、30分以内、例えば0.01〜30分程度、好ましくは0.1〜10分程度、さらに好ましくは0.2〜5分程度である。
【0024】
酸性触媒と酢化剤とを含む混合液の温度は、反応を阻害しない範囲であればよいが、反応開始を円滑に行うため、例えばt±10(℃)程度、好ましくはt±5(℃)の範囲に調整するのが好ましい。例えば、前記混合液の温度は、20〜60℃、好ましくは25〜55℃、さらに好ましくは30〜50℃程度である。前記混合液の温度が高すぎると、前記触媒不活性な成分が生成しやすくなる。前記混合液の温度を上記範囲に調整するため、予め、上記範囲の温度に調整した触媒含有液と酢化剤含有液とを混合してもよい。
【0025】
反応開始後、反応系を沸騰状態とし、反応によって生成した酢酸を含む蒸気をガス抜取りライン9を通じてコンデンサ4に導き、凝縮した留出液を留出液抜取りライン10から留去する。所定時間反応後、反応系を大気圧下とし、必要に応じてさらに反応を進行させた後、例えば反応停止剤を添加して反応を停止させる。得られたセルロースアセテートは、必要に応じて加水分解してアセチル基置換度を調整した後、沈殿、洗浄等の慣用の精製手段により精製される。
【0026】
反応温度は、酢化反応が損なわれず、しかも副反応を抑制できる範囲で選択でき、例えば20〜80℃、好ましくは30〜70℃程度である。減圧下における反応の反応終了時は、例えば、留出液の留出量により定めることができる。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くなり、逆に高すぎると、解重合反応が起こりやすくなり、セルロースアセテートの重合度が低下する。
【0027】
【発明の効果】
本発明の反応開始方法によれば、減圧酢化反応法において、反応溶媒を含浸させたセルロースに、酸性触媒と酢化剤とを混合して添加し、反応を開始させるので、セルロースの酢化反応において、酢化剤および反応溶媒を多量に用いることなく、反応を均一に進行させることができる。
本発明の反応装置によれば、酸性触媒と酢化剤とを混合する混合手段を有しているので、反応開始時において、酢化反応器に酸性触媒と酢化剤とを混合して添加できる。そのため、セルロースの酢化反応が均一に進行し、均質なセルロースアセテートを得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、特に断らない限り、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。また、下記の実施例および比較例において、酢化反応器として、撹拌翼先端と反応器内壁(トラフ)とのクリアランスが1mm、有効容積5L、全容積10Lのシグマ翼付き二軸ウェルナー型ニーダを用い、回転数を60rpmとした。ニーダのジャケットには、約51℃の温水を流通させ、反応器内を断熱に近い状態とした。
【0029】
実施例
図1に示す反応装置を用いて、セルロースからセルロースアセテートを製造した。
セルロース原料としてサルファイト法溶解パルプ(含水率約7%)をフラッフ状に解砕し、パルプ100部に対して、35部の酢酸を用いて前処理活性化し(30℃、120分)、さらに酢酸422部を添加した。この酢酸を含浸したセルロースを、酢化反応器1に撹拌しながら仕込み、温度を50℃とした。酢化反応器1を真空ポンプ3により減圧にし、真空度を57Torrに制御した。
50℃の99.5%無水酢酸−酢酸溶液250部と、50℃の3.2%硫酸−酢酸溶液122部とをラインミキサ2により混合しながら1.5分かけて、触媒−酢化剤混合液供給ライン8を通じて酢化反応器1に仕込み、反応を開始させた。反応系は沸騰状態となり、酢酸と無水酢酸との混合蒸気がコンデンサ4により凝縮され、留出し始めた。反応温度は沸点に相当する約50℃を維持した。なお、酢化反応器に仕込む前の無水酢酸と硫酸との接触時間(ラインミキサ2及び触媒−酢化剤混合液供給ライン8における混合液の滞留時間)は0.02分であった。
反応を開始した後、245部の留出液が留出した時点で、酢化反応器1内を大気圧に戻した。反応混合物(セルロースアセテートドープ)を観察したところ、未反応のセルロース塊状物は見られず、酢化反応は均一に進行していた。
【0030】
比較例
セルロース原料としてサルファイト法溶解パルプ(含水率約7%)をフラッフ状に解砕し、パルプ100部に対して、100部の酢酸を用いて前処理活性化した(30℃、120分)。酢化反応器1に、酢酸263部と無水酢酸250部とを仕込み、撹拌しながら、上記前処理活性化したセルロースを仕込み、温度を50℃とした。酢化反応器1を真空ポンプ3により減圧にし、真空度を57Torrに制御した。
【0031】
50℃の1.4%硫酸−酢酸溶液281部を、1.5分かけて酢化反応器1に仕込み、反応を開始させた。反応系は沸騰状態となり、酢酸と無水酢酸との混合蒸気がコンデンサ4により凝縮され、留出し始めた。反応温度は、沸点に相当する約50℃を維持した。反応を開始した後、245部の留出液がが留出した時点で、酢化反応器1内を大気圧に戻した。反応混合物(セルロースアセテートドープ)を観察したところ、米粒状の未反応セルロース塊状物が多数見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の反応装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…酢化反応器
2…ラインミキサ
3…真空ポンプ
4…コンデンサ
Claims (7)
- 酸性触媒の存在下、セルロース100重量部に対して200〜600重量部の反応溶媒を用い、反応系の気相成分を反応系外に留去しつつセルロースを酢化剤により減圧下に酢化してセルロースアセテートを製造する方法において、反応溶媒を含浸させたセルロースに、酸性触媒と酢化剤とを混合して添加し、反応を開始させる酢化反応の反応開始方法であって、前記酸性触媒と酢化剤とを接触時間0.002〜10分で混合した後、添加して反応を開始させる酢化反応の反応開始方法。
- 酢化反応がニーダを備えた反応器中で行われる請求項1記載の反応開始方法。
- 酸性触媒と酢化剤とをラインミキサによる合流混合とともにセルロースに添加する請求項1又は2記載の反応開始方法。
- 20〜60℃に調整された酢酸含浸セルロースに、それぞれ20〜70℃に調整された硫酸含有液と無水酢酸含有液とを接触時間0.003〜5分で混合した後、添加して反応を開始させる請求項1記載の反応開始方法。
- 酸性触媒の存在下、反応系の気相成分を反応系外に留去しつつセルロースを酢化剤により減圧下に酢化してセルロースアセテートを生成させる反応装置であって、セルロース100重量部に対して200〜600重量部の反応溶媒を用いて前記酢化を行うための酢化反応器と、酢化反応器に供給する酸性触媒と酢化剤とを接触時間0.002〜10分で混合する混合手段と、反応系を減圧にするための減圧手段と、反応系の気相成分を凝縮させる凝縮手段とを有する反応装置。
- 酢化反応器がニーダを備えた反応器である請求項5記載の反応装置。
- 混合手段がラインミキサである請求項5又は6記載の反応装置。
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