JP3961735B2 - プリント配線基板及び焼損検出方法 - Google Patents

プリント配線基板及び焼損検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を搭載したプリント配線基板及び焼損検出方法に係り、特に、焼損による障害を検出することができるプリント配線基板及びその焼損検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子装置は、使用している電子部品がショートする等の障害が発生した場合、電源の過電流や電圧の変動を監視し、ブレーカ、ヒューズ等により電源の供給側から負荷側を保護してきた。この種の従来技術の1例として、例えば、特開平8−149684号公報等に記載された技術が知られている。
【0003】
しかし、電子装置は、使用している電子部品の高密度化が進むに従い、1つの電源から供給する電流量が増加してきており、供給電流が500Aを越えることも珍しくなくなってきた。また、使用されている電子部品の種類によっては、部品にショートが発生しても、そのとき流れるショート電流が4Aから20Aと小さく、電源供給側から見れば通常の消費電流の範囲内にある。このため、ショートしたことを検出できず、電子部品およびプリント配線基板が焼損し、電子装置全体が焼損してしまうことが発生してしまう。このため、電源の過電流や電圧の変動を監視して、電源の供給側から負荷側を保護するという前述した従来技術は、電子部品のショートを検出できなくなっており、負荷側での対策が必要となっている。
【0004】
このような負荷側で電子部品のショート等の障害の発生を検出して、電子装置の保護を行うことができる従来技術として、例えば、特開平11−111136号公報等に記載された技術が知られている。この従来技術は、電子部品がショートし電子部品が加熱されることを利用して障害の発生を検出するものである。すなわち、この従来技術は、具体的にはプリント配線基板上に、ウッド・メタル、リポウィッツ・メタル、ローズ・メタル等の特別な溶融部材によるパターンを設け、電子部品が発熱することによりこの溶融部剤が溶融することを検出して、電子部品の異常発熱によりショート等の障害を検出するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術は、温度上昇を検出するために、プリント配線基板上に特別な溶融部材によるパターンを設ける必要があるため、コスト上昇の要因になるという問題点を有している。また、前述した従来技術は、検出時間を縮めるためにはプリント配線基板上の溶融部材によるパターン間隔を狭める必要があるが、搭載される部品の種類によっては、パターン間隔を1cm以下にすることができず、すなわち、パターン間隔として1cm以上の間隔を必要とするため、検出時間を縮められないという問題点が生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、焼損検出を確実に短時間で行うことができる安価なプリント配線基板及びその焼損検出方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、プリント配線基板に焼損プレートを埋め込み、このプレートと他のプレート間の電圧あるいは電流を計測しておき、プリント配線基板の焼損が進行し、プレート間の誘電体が炭化し、プレート間の抵抗が下がり、このプレート間の電圧あるいは電流が変化することによりプリント配線基板の焼損検出信号を出力することにより達成される。この方法であれば、プリント配線基板一面にプレートがあるため、プリント配線基板の一部が焼損した段階ですばやく焼損を検出することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるプリント配線基板及び焼損検出方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の第1の実施形態によるプリント配線基板の構成を説明するブロック図、図2は本発明の第1の実施形態によるプリント配線基板の断面構造を説明する図である。図1、図2において、1はプリント配線基板、2は電源回路、3は電源制御回路、10、11は電子部品、12は終端抵抗、13はインバータゲート、20は焼損検出用配線パターン(以下、焼損パターンという)、30、33は信号プレート、31は電源プレート、32はグランドプレートである。
【0011】
本発明が適用されるプリント配線基板1は、図1に示すように、電子部品A10と電子部品B11とが搭載され、これらの部品に電源回路2から電圧3.3Vの電源が供給されて動作するように構成されている。そして、本発明の第1の実施形態によるプリント配線基板1は、搭載されている電子部品A10と電子部品B11との直下に、焼損パターン20が張り巡らされて全体が1本のラインに形成されて構成されている。焼損パターン20は、プリント基板の配線材と同一の配線材、例えば、銅箔等により形成され、基板の配線を形成する工程で同時に形成される。また、焼損パターン20は、各電子部品の端子になるべく近い位置となるように張り巡らされる。
【0012】
前述した焼損パターン20の一端は、電源回路2からの電源電圧3.3Vに接続され、他端は、終端抵抗R12及び焼損検出用のインバータゲート13の入力に接続されている。焼損検出用のインバータゲート13の出力は、焼損検出信号21となりプリント配線基板1の外部に出力され、これが電源制御回路3に接続されている。電源制御回路3は、焼損が検出されると電源回路2に電源オフ信号22を出力する。
【0013】
また、本発明が適用されるプリント配線基板1は、図2にその断面構造を示すように、4層基板であり、部品搭載面より信号プレートA30、3.3V電源プレート31、グランドプレート32及び信号プレートB33とにより構成され、各プレート間には、ガラスエポキシ等による誘電体層34が設けられてプレート相互間を絶縁しいる。図2には搭載される電子部品として、電子部品A10のみを示しているが、電子部品A10、B11は、信号プレートA30上に搭載される。信号プレートA30上には、この信号プレート上での配線パターンと、本発明のための焼損パターン20が、電子部品の接続ピンの間等を通るように設けられている。
【0014】
次に、前述したように構成される本発明の第1の実施形態において、電子部品A10がショートした場合の動作について説明する。
【0015】
焼損パターン20は、前述したようにその一端が電源電圧3.3Vに接続されているので、プリント配線基板に焼損が生じていなく正常に動作している場合、検出インバータゲート13の入力はハイレベルとなっている。このため、正常時、焼損検出インバータゲート13の出力である焼損検出信号21はローレベルとなつており、電源制御回路3は何の動作も行わない。
【0016】
ここで、電子部品A10がショートしたとする。これにより、電子部品A10は発熱をし始め、部品直下を加熱する。プリント配線基板1の誘電体層34は、難燃性の材料であるエポキシ、ガラスエポキシ材等を使用しているため、発火することはないが炭化してくる。このため、電源プレート31とグランドプレート32との間の誘電体層34の絶縁抵抗が小さくなり、電源プレート31とグランドプレート32とがプリント配線基板内でショートし発熱を始める。プリント配線基板1がショートすると、その部分の銅プレート及び銅パターンが溶け、プリント配線基板1は、益々加熱され、誘電体34の炭化が進行する。
【0017】
この炭化部分35が焼損パターン20の部分まで進行すると、焼損パターン20は、その部分で焼き切れることになる。この結果、終端抵抗R12には、3.3Vの電圧が印加されなくなるので、この終端抵抗R12の焼損パターン20との接続点の電位がグランドレベルまで落ちる。このため、焼損検出インバータゲート13の入力はローレベルとなり、その出力である焼損検出信号21をハイレベルにする。電源制御回路3は、焼損検出信号21がハイレベルになったことを受け取ると、電源オフ信号22をハイレベルにして電源回路2に電源断指示を行う。電源回路2は、プリント配線基板1への電力提供を中止し、これにより、プリント配線基板1及び電子部品A10のこれ以上の発熱を停止させる。
【0018】
前述した本発明の第1の実施形態によれば、通常のプリント配線基板に通常の配線パターンと同じ手段で焼損パターンを形成しておくことにより、プリント配線基板の焼損を検出することができるので、確実に、短時間ので焼損を検出することができるプリント配線基板を安価に提供することができる。
【0019】
前述した本発明の第1の実施形態は、焼損パターンが設けられていないと焼損を検出することができない。しかし、電子部品によってはその直下に検出パターンを引けない場合があり、検出パターンが引けるエリアまで焼損しないと検出できないという欠点がある。次に、このような欠点を補うことのできる本発明の他の実施形態について説明する。
【0020】
図3は本発明の第2の実施形態によるプリント配線基板の構成を説明するブロック図、図4は本発明の第2の実施形態によるプリント配線基板の断面構造を説明する図である。図3、図4において、14は焼損検出ドライバゲート、36は焼損プレートであり、他の符号は図1、図2の場合と同一である。
【0021】
図3、図4に示す本発明の第2の実施形態によるプリント配線基板1の前述した第1の実施形態との相違は、プリント配線基板1上に焼損パターン20を設けることなく、プリント配線基板の内層に基板面全面を覆うように設けられる銅箔等による焼損プレート36を設けていることである。この焼損プレート36は、終端抵抗R12と焼損検出ドライバゲート14とに接続されていて、他のどこにも接続されていない。また、焼損プレート36は、信号プレートA30と3.3V電源プレート31との間に挿入されており、通常のプリント配線基板の製造技術により形成することができる。焼損検出ドライバゲート14は、焼損検出信号21を電源制御回路3に出力する。
【0022】
次に、前述したように構成される本発明の第2の実施形態において、電子部品A10がショートした場合の動作について説明する。
【0023】
焼損プレート36は、前述したように終端抵抗R12に接続されているだけで他のどこにも接続されていないので、プリント配線基板に焼損が生じていなく正常に動作している場合、焼損検出ドライバゲート14の入力はローレベルとなっている。このため、正常時、焼損検出ドライバゲート14の出力である焼損検出信号21はローレベルとなっており、電源制御回路3は何も動作も行わない。
【0024】
ここで、電子部品A10がショートしたとする。これにより、電子部品A10は、発熱し初め部品の直下を加熱するため、第1の実施形態の場合と同様に、プリント配線基板1の誘電体層34を炭化させ始める。このため、電源プレート31と焼損プレート36との間の誘電体層34が炭化して絶縁抵抗が低減して導通状態となり、終端抵抗R12に3.3Vの電圧が印加されることになる。
【0025】
焼損検出ドライバゲート14は、これにより入力信号のレベルがハイレベルとなるので、その出力である焼損検出信号21をハイレベルにする。電源制御回路3は、焼損検出信号21がハイレベルになったことを受け取ると、電源オフ信号22をハイレベルにして電源回路2に電源断指示を行う。電源回路2は、プリント配線基板1への電力提供を中止し、これにより、プリント配線基板1及び電子部品A10のこれ以上の発熱を停止させる。
【0026】
前述した本発明の第2の実施形態によれば、プリント配線基板に別のプレートを設けているので、電子部品の実装上の制限を受けることがないという効果を得ることができる。また、この第2の実施形態によれば、焼損を面で検出することができるため、焼損の進行が焼損プレートから3.3V電源プレートまで進めば、即座に焼損の発生を検出することができるという利点がある。さらに、本発明の第2の実施形態によれば、通常のプリント配線基板技術で焼損プレートを含んだプリント配線基板を製造することができるため、製造原価の上昇をプレート1層分の追加だけに押さえることができる。
【0027】
前述した本発明の第2の実施形態は、焼損プレートを独自に設けなければならないため、コスト高となるという欠点がある。次に、このような欠点を補うことのできる本発明の他の実施形態について説明する。
【0028】
図5は本発明の第3の実施形態によるプリント配線基板の構成を説明するブロック図、図6は本発明の第3の実施形態によるプリント配線基板の断面構造を説明する図である。図5、図6において、15は電圧コンパレータ、37は1.5V電源プレートであり、他の符号は図1、図2の場合と同一である。以下に説明する本発明の第3の実施形態は、複数の電源種により動作するプリント配線基板に本発明を適用した場合の例で、電源プレートを焼損プレートと兼用することを可能にした例である。すなわち、現在の電気部品は、電源種が増えており、この電源種の差を利用して、電源プレートを焼損プレートと兼用することができる。
【0029】
図5、図6に示す本発明の第3の実施形態によるプリント配線基板1の前述した第2の実施形態との相違は、電子部品A10、電子部品B11の少なくとも一方が1.5Vと3.3Vとの2種の電源を必要とするものであり、このため、1.5V電源プレートがプリント配線基板1の内部に設けられている点、及び、プリント配線基板の内部に特別に焼損プレート36を設けることなく、プリント配線基板1の内部に設けられている1.5V電源プレート37を利用する点である。この1.5V電源プレート37は、電子部品A10、電子部品B11に1.5Vの電源を供給すると共に、電圧コンパレータ15に接続されている。電圧コンパレータ15は、他の入力端子に、1.5V電源プレート37とは別のルートからリファレンス電圧1.5Vが入力されており、1.5V電源プレート37からの電圧がリファレンス電圧1.5Vより10%の差が生じると焼損検出信号21を電源制御回路3に出力する。1.5V電源プレート37は信号プレートA30と3.3V電源プレート31との間に挿入されている。
【0030】
次に、前述したように構成される本発明の第2の実施形態において、電子部品A10がショートした場合の動作について説明する。
【0031】
1.5V電源プレート37は、前述したように、1.5V電源に接続されると共に、電圧コンパレータ15の一方の端子に接続されており、また、電圧コンパレータ15の他方の端子には1.5Vのリファレンス電圧が入力されているので、プリント配線基板に焼損が生じていなく正常に動作している場合、電圧コンパレータ15の出力である焼損検出信号21はローレベルとなっており、電源制御回路3は何も動作も行わない。
【0032】
ここで、電子部品A10がショートしたとする。これにより、電子部品A10は、発熱し初め部品の直下を加熱するため、第1の実施形態の場合と同様に、プリント配線基板1の誘電体層34を炭化させ始める。このため、3.3V電源プレート31と1.5V電源プレート37との間の誘電体層34が炭化して絶縁抵抗が低減して導通状態となり、1.5V電源プレート37の電位が上昇する。電圧コンパレータ15は、この上昇する一方の端子に入力される電位と変化しない1.5Vのリファレンス電圧との差により、その出力である焼損検出信号21をハイレベルにする。電源制御回路3は、焼損検出信号21がハイレベルになったことを受け取ると、電源オフ信号22をハイレベルにして電源回路2に電源断指示を行う。電源回路2は、プリント配線基板1への電力提供を中止し、これにより、プリント配線基板1及び電子部品A10のこれ以上の発熱を停止させる。
【0033】
前述した本発明の第3の実施形態は、1.5V電源プレート37に隣接して3.3V電源プレート31が設けられているとして説明したが、本発明は、1.5V電源プレート37に隣接してグランドプレート32が設けらた基板であってもよく、すなわち、3.3V電源プレート31とグランドプレート32とが入れ替わった基板であってもよく、全く同一の結果を得ることができる。但し、この場合、1.5V電源プレート37の電位は下降することになるが、電圧コンパレータ15は、前述した場合とまったく同一の動作を行う。
【0034】
また、前述した本発明の第3の実施形態は、1.5V電源プレート37の電位変化を検出するとして説明したが、本発明は、1.5V電源プレート37の電流変化を検出するようにしてもよい。また、本発明は、3.3V電源プレート31の電圧、電流の変化を検出するようにしてもよい。但し、この場合、一般には、消費電流の小さい側の電源プレートの電圧または電流の変化を検出する方が検出感度を上げることができる。
【0035】
前述した本発明の第3の実施形態によればプリント配線基板に専用の焼損プレートを設ける必要がないため、プリント配線基板の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0036】
本発明は、前述した本発明の第1〜第3の実施形態の構成以外に、1枚のプリント配線基板に、第1の実施形態の焼損パターン、第2の実施形態の焼損プレート、第3の実施形態の電源プレートを部分的に組み合わせ、そのプリント配線基板の特質にあった焼損検出回路を有するプリント配線基板を作成することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、特別な部材を使用することなく、既存のプリント配線基板製造技術のみで、電子部品のショート等によるプリント配線基板の焼損を検出することのできるプリント配線基板を製造することができ、このため、装置の製造原価を安価に抑えることができる。さらに、本発明によれば、焼損プレートを設けることにより、焼損検出の感度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるプリント配線基板の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるプリント配線基板の断面構造を説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるプリント配線基板の構成を説明するブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態によるプリント配線基板の断面構造を説明する図である。
【図5】本発明の第3の実施形態によるプリント配線基板の構成を説明するブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態によるプリント配線基板の断面構造を説明する図である。
【符号の説明】
1 プリント配線基板
2 電源回路
3 電源制御回路
10、11 電子部品
12 終端抵抗
13 インバータゲート
14 焼損検出ドライバゲート
15 電圧コンパレータ
20 焼損パターン
30、33 信号プレート
31 電源プレート
32 グランドプレート
36 焼損プレート
37 1.5V電源プレート

Claims (2)

  1. 電子部品を搭載したプリント配線基板において、該プリント配線基板は、信号プレート、電源プレート、焼損プレートを含む複数のプレートにより構成され、前記プレート間は誘電体により構成され、前記焼損プレートと電源プレートとは隣接して配置されており、前記焼損プレートと電源プレートとの間の誘電体の炭化による損プレートと電源プレートとの間の抵抗の変化を検出し、その抵抗値が小さくなったことを検出した場合に、焼損が発生したことを外部に通知する回路を備えることを特徴とするプリント配線基板。
  2. 電子部品を搭載したプリント配線基板の焼損検出方法において、前記プリント配線基板は、信号プレート、電源プレート、焼損プレートを含む複数のプレートにより構成され、前記プレート間は誘電体により構成され、前記焼損プレートと電源プレートとは隣接して配置されており、前記焼損プレートと電源プレートとの間の誘電体の炭化による損プレートと電源プレートとの間の抵抗の変化を検出し、その抵抗値が小さくなったことを検出した場合に、焼損が発生したことを外部に通知することを特徴とするプリント配線基板の焼損検出方法。
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