JP3961063B2 - 酸化亜鉛の添加により変性されたuv分解性防カビ剤含有シリコーン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、UV分解性防カビ剤を含む室温硬化性シリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
室温で硬化してエラストマーを作りだすシリコーン組成物は、それらが建築物建設に対して特異な特性輪郭(property profile)を有するので、シーラント及びコーキング材として広く使用されている。これらの特性は、耐侯性、耐熱性、低温柔軟性、適用の容易さ、及び現場での迅速な硬化を含む。しかしながら、硬化したシリコーン組成物は時間のたつに連れて、しばしば汚れたものになり、又はそれらに隣接する周囲の基体を汚す。これは魅力のない外観を作りだし、この硬化した組成物及び隣接する建造物材料上の汚れを清浄にするのは、高価であり、その結果はしばしば満足できるものではない。それ故、建設産業の需要は、汚れず、隣接する建造物材料を汚さないシリコーン組成物を開発することである。建設用途における室温硬化性(RTV)シリコーン組成物の使用の際に遭遇するこれら問題を除去するために多数の方法が提案されている。
【0003】
これら問題を克服するためのアプローチは、米国特許No.4460740及び4695603;並びにJP−A 56−76453及び56−76542に記載された界面活性剤を使用することである。
【0004】
これら問題に対する特に成功的なアプローチは、米国特許No.5357025に記載されており、これは1分子あたり少なくとも1つのペルフルオロカーボン基を有する疎シロキサン剤の使用を記載している。この基は一般式Cx F(2x+1)−(ここに、xは平均値が少なくとも6である)で示される。この疎シロキサン剤を乾性油と共に用いると、特に有用なシリコーン組成物を生じる。本発明者等は、乾性油を含むRTVシリコーン組成物が用いられるときは、硬化(した)シリコーン組成物は乾性油酸化生成物層を有し、この層は徐々に消滅し、清浄であり続ける効果は徐々に減っていくことを見いだした。更に、そのような暴露された生成物層は、しばしば追加の問題、シーラント表面にカビが生成するという問題を経験し、これは埃の捕捉又は汚れることよりも問題である。しかしながら、防カビ剤の使用は他の困難に通ずる。例えば、防カビ剤によっては不満足な性質変化を引き起こす。幾つかの防カビ剤は有効であるが、紫外(UV)線に曝されると劣化し(化学的に変化する)、無効になったり硬化組成物を変色する。一旦、硬化した組成物が変色すると、この変色の除去は実際的でない。それ故、より実際的な解決によりこれらの問題を克服するのが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を回避する防カビ剤を含むRTV組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、湿分縮合性シリル末端基を持ったポリマー、湿分感受性架橋剤、充填材、紫外線分解性防カビ剤、及び前記ポリマー100重量部あたり少なくとも2重量部の粒状酸化亜鉛を含む、非酸性、RTV硬化性シリコーン組成物を紹介する。
【0007】
本発明は、硬化して、UVに暴露された表面が防カビ剤の劣化による変色に抵抗する硬化組成物を提供する非酸性RTVシリコーン組成物である。この変色に対する抵抗性は、我々のRTVシリコーン組成物中に粒状酸化亜鉛が存在し、その量が前記硬化性組成物中のポリマーの100重量部あたり少なくとも2重量部であるとき、達成される。好ましくは、前記酸化亜鉛はポリマー100重量部あたり2〜15重量部、より好ましくは、3〜10重量部存在する。
【0008】
本発明にとって、用語UVによる「劣化する」又は「劣化」は、UVへの暴露により防カビ剤が化学的に変化し、永久的に発達した発色性を有する形の化合物として変色するという意味を含む。黄変は、UV放射により防カビ剤の劣化から見いだされる、しばしば遭遇する変色である。
【0009】
殆ど全ての状況に対応する多数の公知の防カビ剤が存在する。これらの防カビ剤の内には、UV放射線によって分解するという欠点を有するために、シリコーン配合物には望ましくないものもある。この防カビ剤の分解は硬化組成物を非常に見苦しい色にし、これは埃の捕捉又は基体の汚染と同様に問題である。UV分解性防カビ剤を含む非酸性RTVシリコーン組成物に、この組成物中のポリマー100重量部あたり2重量部の粒状酸化亜鉛を加えることにより、本発明者等は、驚くべきことに、硬化生成物はUVへの長い暴露の間に色を形成することに抵抗することを見いだした。UVに曝されたとき変色しない防カビ剤を含む硬化組成物を持つことは大いなる利益である。本発明組成物の他の明瞭な利益は、それらが色調和安定性の能力を有することである。硬化組成物の色が隣接する基体に調和している場合には、色は一定に保たれることが重要である。そうでないときは、変色は硬化組成物中に見栄えの悪い変化を引き起こし、建造物に用いたときの美観を損ねる恐れがある。本発明の特に適当な非酸性、RTVシリコーン組成物は、乾性油表面層を形成するもので、これは埃の捕捉を減らす。より好ましいのは、我々の非酸性、RTVシリコーン組成物が1分子あたり少なくとも1つのCx F(2x+1)−基を有する疎シロキサン剤を含むときである。本発明に適した防カビ剤は、UV分解性のもの、例えばジヨードメチル−p−トリルスルホンである。
【0010】
ここでのRTVシリコーン組成物は、加水分解性(縮合性)基の加水分解が非酸性脱離化合物を作りだす、当技術分野で公知の硬化性組成物を含む。この用途において、これらの組成物は非酸性RTVシリコーン組成物と呼ばれ、縮合性シリル末端基を有するポリマー、湿分感受性架橋剤、充填材、及び任意に、この組成物用の硬化触媒を含む。
【0011】
代表的なポリマーは、縮合性末端基及び主としてジオルガノシロキサン単位(R’2 Si)を有する。少量の他のシロキサン単位、例えば分岐を与えるモノオルガノシルセスキオキサン単位(R’SiO3/2 単位)又はSiO2 単位、及びポリマー鎖の末端を提供するトリオルガノシロキシ単位があってもよい。R’は、1価の炭化水素基又はハロゲン化1価炭化水素基である。1価の炭化水素基の例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びn−オクチル;アルケニル基、例えばビニル及びアリル;アリール基、例えばフェニル及びトリル;シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル;並びにアラルキル基、例えば2−フェニルエチルがある。ハロゲン化1価炭化水素基の例としては、ペルフルオロアルキルエチル基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル及びγ−クロロプロピルがある。これらポリマーの有用な縮合性末端基は、ヒドロキシル基、又は加水分解性基、例えばケイ素に結合したアルコキシ、ケトキシモ、アミノ、アミド、アミノキシ及びアルケノキシである。これらの加水分解性基を有するポリジオルガノシロキサンは、一般に式−Si(X)y (R’)(3-y) (ここに、R’は上に定義した通りであり、Xは加水分解性基であり、yは1、2又は3である)で示される連鎖停止シロキサン単位を持つ。
【0012】
前記湿分感受性架橋剤は1分子あたり少なくとも2つの加水分解性基、好ましくは1分子あたり2より多くの加水分解性基を有する。これらの加水分解性基は、脱離基が非酸性であるものである。このポリジオルガノシロキサンが1分子あたり2つより多くの加水分解性基を含むときは、この架橋剤は1分子あたり2又はそれより多くの加水分解性基を有する。これらの架橋剤は、シラン類又はそれらの部分加水分解生成物である。これらの架橋剤の上のケイ素に結合した加水分解性基の例としては、アルコキシ、ケトキシモ、アミド、アミノ、アミノキシ及びアルケノキシである。アルコキシ基の特別な例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びメトキシエトキシがある。適当なケトキシモ基は、ジメチルケトキシモ、メチルエチルケトキシモ、メチルプロピルケトキシモ、メチルブチルケトキシモ及びジエチルケトキシモである。アミノ基の例としては、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−プロピルアミノ、N,N−メチルシクロヘキシルアミノ、N−ブチルアミノ、及びN−シクロヘキシルアミノがある。アルケニルオキシ基の例としては、プロペノキシ、イソプロペノキシ及びブテノキシがある。アミド基の幾つかの例としては、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N−ブチルアセトアミド、及びN−メチルベンズアミドがある。典型的なアミノキシ基は、N,N−ジメチルアミノキシ、N,N−メチルエチルアミノキシ及びN,N−ジエチルアミノキシがある。
【0013】
架橋剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリ(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシモ)シラン、エチルトリ(N,N−ジエチルアミノ)シラン、ジメチルジ(N,N−ジブチルアミノ)シラン、ビニルトリ(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)シラン、メチルトリ(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルビニルジ(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルトリ(イソプレノキシ)シラン、n−プロピルオルソシリケート、及びエチルポリシリケートがある。
【0014】
この架橋剤は、室温で硬化する硬化性シリコーン組成物を作るための従来の量で使用される。使用される量は、選択された特定の架橋剤及び硬化したエラストマーの望みの性質に依存して変化するであろう。通常、この架橋剤は、前記ポリマーの100重量部あたり、0.5〜15重量部の量で存在する。
【0015】
ポリジオルガノシロキサンと架橋剤の混合物は、通常、湿分に曝されると、室温で硬化する。しかしながら、場合によっては、この時間は実際の用途には遅すぎることがあり、しばしば硬化速度を促進し、硬化時間を減らすのが望ましい。このような状況の下では、触媒が使用される。これらの触媒は、カルボン酸の金属塩、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、及び錫2−エチルヘキサノエート;並びに有機チタネート、例えばテトラブチルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、ジイソプロポキシジ(エトキシアセトアセチル)チタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジイソプロピルチタネートを含む。
【0016】
本発明のRTVシリコーン組成物が望みの性質を持つためには、それらは充填材も含む。1又はそれより多くの充填材が使用できる。この充填材は、補強性充填材、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラック並びにトリメチルシロキシ単位及びSiO4/2 単位からなるシロキサン樹脂である。これらの補強性充填材は当技術分野で知られているように、処理されていてもよく、処理されていなくてもよい表面を持つ。この充填材は、増量性充填材、例えば炭酸カルシウム、石英、珪藻土(半補強性充填材とも考えられている)、酸化鉄及び二酸化チタンであってもよい。
【0017】
ここで用いる好ましいRTVシリコーン組成物の1つのグループは、乾性油を含み、これは天然の乾性油、例えば桐油、あまに油、ベルノニア油(vernonia oil)、及びオイチシカ油;並びに変性乾性油、例えば沸騰あまに油及び脱水ひまし油を含む。桐油及びオイチシカ油が好ましい。なぜならば、それらは、種々のRTVシリコーン組成物と共に最も広い用途を提供し、最も改善された結果を与えるからである。有効量の乾性油は、ポリマー100重量部あたり、0.5〜10重量部で、乾性油の好ましい量は0.5〜4重量部である。
【0018】
RTVシリコーン組成物を配合するのに従来使用された他の成分は、それらが防カビ剤の有効性を阻害しないか、又は硬化エラストマーの変色に抵抗する酸化亜鉛の能力を無効にしなければ、本発明に使用できる。これらの成分は、ノンスランプ剤(non−slump agents)を含む。
【0019】
本発明の組成物は、上記のようにUV分解性防カビ剤及び酸化亜鉛を含む。好ましい組成物は、ポリマーに架橋剤及び硬化触媒(もし使用されるならば)を組み合わせ、次いで粒状酸化亜鉛を加え、最後に乾性油(もし使用されるならば)を加えることにより調製される。前記乾性油は、しばしば前記シリコーン組成物の残りの成分から分離する傾向がある。それ故、乾性油は、硬化のための空気雰囲気に曝す前に、残りの成分と組み合わせるのが好ましい。我々の硬化性RTVシリコーン組成物を貯蔵するときは、そして乾性油がこの組成物の一部であるときは、前記ポリマー、架橋剤、充填材、硬化触媒、防カビ剤及び酸化亜鉛が混合され、1つの貯蔵容器中に貯蔵される。乾性油は第2の貯蔵容器中に貯蔵するのが便利である。次いで、これら2つの容器中に貯蔵された内容物は、前記組成物が基体へ適用(例えばシーラント又はコーキング材として適用する)される直前にこれらを混合し、次いで、これを大気の湿分に曝し、加硫させる。ここでは、商業的に入手可能な非酸性RTVシリコーン組成物を用いることができ、防カビ剤及び粒状酸化亜鉛を容易にそれらに配合できる。前記防カビ剤は、好ましくは、酸化亜鉛を前記配合物に混合した後我々の硬化性シリコーン組成物に添加される。以下のシリコーン組成物において、これらの組成物は公知であるが、ここで特許請求しているUV分解性防カビ剤及び粒状酸化亜鉛を組み合わせることは、先行技術では公知でない。
【0020】
我々の組成物を基体に適用した後、硬化したエラストマーが得られるまで、これを湿分、例えば大気の湿分に曝す。異なったRTVシリコーン組成物は異なった速度で硬化するであろうが、表面が粘着性であるかどうかチェックすることにより、硬化時間を容易に評価できる。表面に指で軽くさわって粘着性が感じられると、この表面は未だ硬化した状態に達していない。これとは対照的に、粘着性が感じられなければ、この表面は硬化したと考えられる。通常、この表面は数時間ないし1日で硬化した状態になり、塵や埃が接触してその表面に接着するのを回避する。
【0021】
硬化したシリコーンエラストマー表面は艶のある表面ないし非常に艶のある表面を持っていることが知られている。もし乾性油が存在すると、時間の経過と共に、この硬化組成物の表面は鈍くなりビロード様の外観、即ち、艶消し仕上げとしても知られている鈍い表面又は仕上げを持つようになる。この組成物の硬化した表面が鈍くなるに従って、空気に曝された表面上に乾性油層が形成され、酸化が進行する。
【0022】
好ましいRTVシリコーン組成物は、ここでは、ヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサン、充填材及び1分子あたり少なくとも3つのケイ素に結合したケトキシモ基を有する湿分感受性架橋剤を混合して得られる。適当なケトキシモケイ素架橋剤は、ケトキシモシラン類及びアルコキシケトキシモシラン類の混合物である。そのような混合物の1つは、メチルトリ(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルジ(メチルエチルケトキシモ)メトキシシラン、及びメチルジメトキシ(メチルエチルケトキシモ)シランを含む。他のケトキシモシラン混合物はテトラケトキシモシラン、エトキシトリ(メチルエチルケトキシモ)シラン、ジエトキシジ(メチルエチルケトキシモ)シラン、及びトリエトキシ(メチルエチルケトキシモ)シランを含む。後者の混合物は当技術分野、例えば米国特許No.4657967及び4973623から公知であり、これら特許はケトキシモシラン混合物及びそのような混合物を含有するRTVシリコーン組成物を教えている。これらのケトキシモシラン混合物から作られた本発明のRTVシリコーン組成物は、好ましくは触媒、例えば錫触媒、例えばジブチル錫ジラウレート又はチタネート触媒、例えばジイソプロポキシジ(エトキシアセトアセチル)チタネートを含む。また、本発明硬化性RTVシリコーン組成物は、好ましくは、充填材として処理された炭酸カルシウム、例えばステアリン酸で処理された炭酸カルシウムを含む。
【0023】
ここで有用な他の好ましいRTVシリコーン組成物は、ヒドロキシルで末端停止したポリジオルガノシロキサン、アミノキシケイ素架橋剤、及び、連鎖延長剤としても働くジオルガノジ(アミド)シラン、例えばメチルビニル(N−メチルアセトアミド)シランを混合することによって得られる。同様のアミノキシケイ素架橋剤及びアミドシラン連鎖延長剤は、米国特許No.3817909及び3996184から公知であ。この鎖延長剤は、典型的には建築物建造産業に有用な低モジュラスシリコーン組成物を作るのに使用される。これらの組成物は、触媒なしに調製される。炭酸カルシウムは、そのような組成物に有用な充填材である。
【0024】
他のここで好ましいものは、2パッケージ(package)組成物であり、第1のパッケージはヒドロキシルで末端停止したポリジオルガノシロキサン及び充填材であり、第2のパッケージは湿分感受性架橋剤を含む。第2のパッケージは、充填材及び硬化性RTVシリコーン組成物用の硬化触媒を含んでいてよい。乾性油が存在し、これが第1のパッケージ中に存在しないときは、それは3パッケージ組成物の一部としての第三のパッケージ中に含まれていてもよい。この発明の粒状酸化亜鉛はいずれのパッケージにも容易に添加される。この種の1つの特定のRTVシリコーン組成物は、湿分感受性架橋剤が、アルコキシシラン架橋剤、例えばn−プロピルオルソシリケート又はエチルポリシリケートであり、錫触媒が使用される場合である。これらの組成物は、組成物の使用前に長すぎる期間全成分を混合するならば起こすであろう時期尚早な硬化を防ぐために、上記のように、別々のパッケージにして貯蔵される。
【0025】
アルコキシケイ素化合物を湿分感受性架橋剤として使用する組成物は、全ての成分を只1つのパッケージ中に含んでよい。チタネート触媒が硬化触媒として使用されるときは、貯蔵安定な組成物が得られ、ポリジオルガノシロキサンの末端基に対するアルコキシケイ素化合物の比は、ポリジオルガノシロキサン末端基1つあたり少なくとも1つのアルコキシケイ素分子が存在するようなものである。アルコキシケイ素架橋剤を含む適当な1パッケージRTVシリコーン組成物は、米国特許No.3161614、3175993、3334067及び4871827に記載されている。前記乾性油は、もし使用されるときは、好ましくは別の容器又は1パッケージRTVシリコーン組成物の残りとは隔離された貯蔵区画に貯蔵される。次いで、乾性油は、それが使用される直前に前記組成物に混合される。天然の乾性油は桐油である。
【0026】
ここで使用するための他の好ましいRTVシリコーン組成物は、疎シロキサン剤及び乾性油を含むものであり、米国特許No.5357025に記載されている。この疎シロキサン剤は、硬化組成物に疎シロキサン表面層を与える材料である。疎シロキサン剤はフルオロカーボンアルコール、フルオロカーボンアルコールと加水分解性シランの反応生成物、又はフルオロカーボンアルコール及びフルオロカーボンアルコールと加水分解性シランとの反応生成物の混合物である。前記フルオロカーボンアルコールは、式C x F (2x+1) −(ここに、xは平均値が少なくとも6である)で示される少なくとも1つのペルフルオロカーボン基を有する。本発明者等はxが6より小さいフルオロカーボンアルコールは硬化した組成物の表面にシロキサン種の移行するのを防がないことを見いだした。好ましくは、フルオロカーボンアルコールは、xが平均値6〜20であるフルオロカーボン基を有するものである。前記フルオロカーボンアルコールは商業的に入手可能であり、次式で示される。
【0027】
【化1】
【0028】
(ここに、gは6〜20の値を取る)。商業的混合物は販売されており、それはgが平均値7を持ち、gの範囲が6〜10の種を含む。そのような混合物は、FC−10TMであり、これはMinnesota Mining and Manufacturing Company (3M)TM, Minneapolis, Minnesotaによって販売されている。3MTMによって販売されている他の商業的な混合物は、FC−170TM(これは次の式で示されるフルオロカーボンアルコールである)
【0029】
【化2】
【0030】
及びFC−171TM(これはフルオロカーボンアルコールであり次の式で示される)である。
【0031】
【化3】
【0032】
他の商業的に入手可能なフルオロカーボンアルコールは、C8 F17CH2 CH2 OH及びCx F(2x+1)CH2 CH2 O(CH2 CH2 O)f H(ここに、xは6〜16であり、fは正の整数である)を含む。
【0033】
前記疎シロキサン剤は、好ましくは、フルオロカーボンアルコールと加水分解性シランの反応生成物である。これらの剤は、少なくとも0.01モルのフルオロカーボンアルコールを1モルの加水分解性シランと、湿分を排除した条件下に混合することにより作られる疎シロキサン剤反応生成物混合物である。好ましくは、加水分解性シラン1モルあたり0.1モルのフルオロカーボンアルコールが使用される。フルオロカーボンアルコールは単独で使用できるが、中には、室温で固体であり、取扱い又は他の成分との混合は充分には受け入れられないものもある。フルオロカーボンアルコールは上記のものであり、加水分解性シランは、架橋剤としてやはり上に挙げたものである。得られた混合物は、フルオロカーボンアルコールの幾らかが加水分解性シランと反応し、C−O−Si結合を形成するまで、加熱される。
【0034】
得られた反応混合物は、未反応加水分解性シラン、未反応フルオロカーボンアルコール、及びフルオロカーボンアルコールと加水分解性シランとの反応生成物の混合物であり、前記加水分解性シランにおいて、以下の式に示すように、少なくとも1つのY基はフルオロカーボンアルコールで置換される。
【0035】
【化4】
【0036】
これらの疎シロキサン性反応生成物混合物は、>0%ないし100%のフルオロカーボンアルコールとシランの反応生成物を含む。これらの混合物は、好ましい疎シロキサン剤を与え、特にフルオロカーボンアルコールとシランの反応生成物が<50%の疎シロキサン反応混合物を与えるとき好ましい疎シロキサン剤を与える。好ましい疎シロキサン反応混合物は、フルオロカーボンアルコールが次式で示されるものであり、
【0037】
【化5】
【0038】
(ここに、xは平均値が少なくとも6である。)加水分解性基シランが次式で示されるものであり、
【0039】
【化6】
【0040】
前記フルオロカーボンアルコールと加水分解性シランの反応生成物が次式で示されるものを含む混合物である。
【0041】
【化7】
【0042】
(ここに、xは平均値が少なくとも6である)。この疎シロキサン反応混合物が好ましいのは、疎シロキサン表面層がエラストマー状ポリオルガノシロキサン組成物の硬化の間に急速に形成され、この表面が、硬化されたエラストマーが塵や埃の攻撃を受けやすい時期に、塵や埃の蓄積に抵抗するからである。
【0043】
この疎シロキサン反応混合物は、何らかの未知の機構によって、未反応フルオロカーボンアルコールを使用したとき、即ち単にフルオロカーボンアルコールが他の組成物成分と混合されたときよりも、疎シロキサン性表面層を、より容易に形成する。前記疎シロキサン表面層は、硬化したシリコーン組成物の有用な寿命に亘って再生される。前記疎シロキサン反応混合物は、貯蔵物として働き、疎シロキサン表面層が年と共に枯渇するに従って、疎シロキサン表面を断えず更新する。この疎シロキサン表面層は、気候に曝される表面及び隣接する周囲領域の上に色が形成されるのを阻止する硬化組成物をも提供する。この疎シロキサン表面層は、この硬化したエラストマーの性質が年と共に変わらないように保つこともする。何故なら、シロキサン成分は、移行又は蒸発によって容易に失われることがなく、硬化シロキサンマトリックスの中に適切に維持されるからである。この疎シロキサン反応混合物はシリコーン材料又はコーキング材料の硬化特性に悪い影響を与えず、種々の基体、特に建造物の建造に使用されるものへの接着性は優れている。この疎シロキサン反応生成物は少量で使用されるが、長期間に亘って有用な性質を提供する。この量は、フルオロカーボン基が、この組成物中に、この組成物の重量を基準として0.1〜7重量%、好ましくは1〜3重量%となるような量である。
【0044】
【実施例】
以下の例は説明の目的で提示するものであり、特許請求の範囲に適切に記載された本発明の実例を示すものである。これらの例において、部は重量部を表し、全ての粘度は25℃で測定した。
【0045】
(例1)
湿分の進入から保護する条件下で混合することにより、RTVシリコーン組成物を調製した。ミキサー中で、100部の粘度50Pa・sのシラノール末端ポリジメチルシロキサン及び1部のケトキシモシラン混合物を1分間、74.29kPaの真空下に混合し、30分放置した。尚、前記ケトキシモシラン混合物は、72重量%のメチルトリ(メチルエチルケトキシモ)シラン、21重量%のメチルジ(メチルエチルケトキシモ)メトキシシラン、0.5重量%のメチルジメトキシ(メチルエチルケトキシモ)シラン及び6.5重量%の不純物からなっていた。次いで、1部のメチルビニルジ(N−メチルアセトアミド)シランを加え、74.29kPaの真空下に1分攪拌した。得られた混合物に、12部の以下の混合物を加え、74.29kPaの真空下に1分攪拌した。前記混合物は、2.5部の上記ケトキシモシラン混合物、2.4部のフルオロカーボンアルコール(FC−10TM)、0.4部のβ−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、0.4部のγ−グリシドキシプロピルトリメトシシラン、0.07部のジブチル錫ジラウレート、4部のメチルトリメトキシシラン、1部のジイソプロポキシジ(エトキシアセトアセチル)チタネート、1.1部の、FC−10TMフルオロカーボンアルコールと次式で示されるケトキシモシラン混合物の反応生成物
【0046】
【化8】
【0047】
(ここに、gは平均値が7である)、及び0.6部の不純物からなっていた。FC−10TMは、Minnesota Mining and Manufacturing Company (3M)TM, Minneapolis, Minnesotaによって販売されており、次式で示されるものの混合物である。
【0048】
【化9】
【0049】
(ここに、gは6〜10の値をとる)。
【0050】
次に、平均粒子直径0.04μm を有し、ステアリン酸で処理された沈降炭酸カルシウム充填材60部及び2,5−フランジオンと1,3−ブタジエンのポリマー1部を加え、74.29kPaの真空下に5分攪拌した。得られた混合物はベース組成物として識別され、6つのそのようなベース混合物を調製した。これらベース組成物の1つは対照の配合物と考えられ、これに1.75部の桐油を加え、74.29kPaの真空下に攪拌した。5つの他のベース組成物に、2、4、6、8及び10部の、平均粒子直径0.12μm の粒状酸化亜鉛を、それぞれに加え、次いで74.29kPaの真空下に5分攪拌した。各組成物に、0.216部のジヨードメチル−p−トリルスルホン(Angus ChemicalCompany, Nrthbrook, Illinois, USAから購入したAmicalTM50)を加え、次いでこの混合物を74.29kPaの真空下に5分攪拌した。調製された各組成物に、1.75部の桐油を加え、74.29kPaの真空下に1分攪拌した。
【0051】
次いで、各々の得られた配合物をSemcoTMチューブ(Courtlands Aerospace, California製)に詰め、遠心分離し、同伴した空気を除去した。6つの配合物の各サンプルをアルミニウムパネル上に厚さ0.254cmで、5.08cm×5.08cmのスラブとしてキャストし、21℃、相対湿度50%で5日硬化させた。硬化させた後、各々のシートは艶消し仕上げが発達し、これは桐油で変性されたシリコーンシーラント表面を示す。この6つの配合物を含むテストパネルをQUVTM促進暴露室に入れ、QUVTM A340光源を用い、70℃での紫外線暴露を8時間、その後の50℃での凝縮性湿度下での4時間のサイクルに曝した。これらの評価はASTM D 4587−86に従って行った。前記QUVTM室は、Q−Panel Corp.,Cleveland, Ohioから入手したものである。この室の中で979時間後に、対照とサンプル(酸化亜鉛2部を含んでいる)は、桐油による表面変性を示す艶消し仕上げをもはや示さなかった。4、6、8及び10部の酸化亜鉛を含むサンプルは、同じ室中で979時間の後に依然として艶消し仕上げを持っていた。ジヨードメチル−p−トリルスルホンは、UVに曝したとき分解して黄変した(クロモホンの形成)。この理由で、試験パネルの黄変を前記室中で異なった時間間隔で測定した。
【0052】
各試験パネルの黄色度を、始めに、ASTM D 1925に従って反射分光光度法(MacbethTM分光光度計)を用いて測定し、黄色指数(yellowness index)を得た。この黄色度は、上記室中で、323時間後及び979時間後に測定した。黄色指数(YI)を表1に示す。
【0053】
【0054】
6つのRTVシリコーン組成物を上記のようにして調製した。但し、ジヨードメチル−p−トリルスルホンは加えなかった。更に、炭酸カルシウム充填材及び粒状酸化亜鉛の合計量を、ポリジメチルシロキサン100部あたり60部で一定に保った。例えば、対照組成物=60部の炭酸カルシウムであり;2部の酸化亜鉛を含有する組成物は、58部の炭酸カルシウムを有し;4部の酸化亜鉛を含有する組成物は、56部の炭酸カルシウムを有し;等々。酸化亜鉛と炭酸カルシウムの合計の部を一定に保ったのは、バインダーに対する顔料の比の変化のために物性が潜在的に変わるのを避けるためである。次いで、各得られた配合物をSemcoTMチューブに詰め、遠心分離して同伴された空気を除いた。6つの配合物の各サンプルをポリエチレンシート上に厚さ0.254cmで、5.08cm×5.08cmのスラブとしてキャストし、21℃、相対湿度50%で14日硬化させた。14日硬化させた後、各々のテストパネルは艶消し仕上げが発達し、これは桐油で変性されたシリコーンシーラント表面を示す。この6つの配合物を含むテストパネルを上述のようにQUVTM室中に置いた。650時間後に、テストパネルの全ては当初観察したものに比べて黄変しなかった。これらの結果は黄色は防カビ剤の分解によるもので、酸化亜鉛の存在は色の発達を阻害することを示した。この室中で650時間の後、対照の配合物は艶消し仕上げが消えていたので、桐油の表面が劣化していた。これに対して、酸化亜鉛を含む配合物の表面は、その艶消し仕上げが、当初に観察された艶消し仕上げに等しく観察されたので、表面桐油の損失の兆候を全く示さなかった。これらの結果は、RTVシリコーン配合物中の酸化亜鉛は、意外にも、その表面の乾性油の寿命を増すことを示す。
【0055】
これらの6つの配合物の各々を、ジュロメーターについて、ASTM D 2240により、ショアAスケールを用いて試験した。また、破断時引張り強度(kPaで報告)、破断時伸び(%で報告)、及び100%モジュラス(kPaで報告)についてはASTM D 412に従って試験した。これらの試験の結果を表2に報告する。
【0056】
【0057】
硬化した物性は、対照の性質を酸化亜鉛を含む本発明配合物のそれらと比較することによって示されるように、粒状酸化亜鉛の存在によって機能上影響されなかった。
Claims (6)
- 湿分縮合性シリル末端を有するポリマー、湿分感受性架橋剤、充填剤、紫外線分解性防カビ剤、及び前記ポリマー100重量部あたり少なくとも2重量部の粒状酸化亜鉛を含む非酸性室温硬化性シリコーン組成物。
- 前記組成物が更に乾性油を含む、請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物が更に硬化触媒を含む、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記組成物が更に疎シロキサン剤としてのフッ化化合物を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 次のことを含む、紫外線分解性防カビ剤が非酸性室温硬化性シリコーン組成物の変色を引き起こす傾向を減らす方法:
(A)請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を調製すること;
(B)(A)を大気の湿分に曝して硬化した組成物を作ること;及び
(C)前記硬化した組成物を紫外線に曝すこと。 - 請求項5に記載の方法によって得ることができる硬化した組成物。
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