JP3960798B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機などで代表される遊技機に関する。詳しくは、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様となったことを条件として遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機として従来から一般的に知られているものに、たとえば、パチンコ遊技機のように、識別情報を更新表示可能な可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示結果が、たとえば、「777」の組合せとなったことを条件として大当り状態に制御可能となるものがある。
【0003】
このような遊技機においては、前記可変表示装置において表示される表示態様が変動し遊技が開始されるとともに効果音を連続して出力されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような遊技機においては、出力される効果音と大当り状態に制御されることとの間には何ら関連性を有しておらず、したがって、遊技者は効果音に興味を抱くことがなく、いまいち遊技の興趣に欠けるものとなっていた。
【0005】
この発明は上述の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、出力される効果音と大当り状態に制御されることとの間に関連性を持たせ、複数回の遊技に亘って一連の遊技音を継続して発生させることにより遊技の興趣性が向上した遊技機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段の具体例およびその効果】
(1) 表示状態の可変表示を実行するための実行条件が成立した後(たとえば、打玉の始動入賞後)、実際に可変表示の開始条件が成立(たとえば、変動パターンコマンド受信)したことにもとづいて可変表示を開始する可変表示手段(可変表示装置9)を備え、該可変表示手段の表示結果が予め定められた特定の表示態様(たとえば、「777」)となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り状態)に制御可能となる遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
少なくとも遊技音の発生を制御する演出制御手段(音制御基板70)と、
前記可変表示手段の表示結果にかかわる決定を当該可変表示の開始以前に予め決定する事前決定手段(遊技制御基板31)とを含み、
前記演出制御手段は、遊技音の長さを特定するためのデータとして一の可変表示が行なわれる時間分のデータ(図27のリーチパターン1〜10、通常パターン)を設定して(図30)、前記可変表示手段の可変表示毎に当該可変表示に対応した遊技音を発生させる遊技音演出を実行可能であるとともに、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、遊技音の長さを特定するためのデータとして前記複数回の可変表示が行なわれる時間分のデータ(遊技音1〜11のいずれかで継続演出)を設定して(図30)、複数回の可変表示の実行(複数回の遊技)に亘って一連の遊技音を継続して発生させる遊技音継続演出を実行可能(図20参照)であり、
前記遊技音継続演出を実行することで表示結果が所定の表示結果となることを予告報知可能である。
【0007】
上記の構成によれば、遊技音を継続して演出実行することと可変表示装置の表示結果が所定の表示結果となることとに関連性を有するため、遊技音が継続して演出実行されることによって所定の表示結果になることが迫っていることを予測可能となり、遊技の興趣性が向上する。
【0016】
(2) 前記演出制御手段は、前記可変表示手段によりリーチ状態が表示された場合に、前記遊技音継続演出の実行を中止する。
【0017】
上記の構成によれば、リーチ中はリーチの遊技音を出すことによりさらに遊技者を遊技音に引き付けることが可能となり、遊技者の興趣が向上する。
(3) 前記演出制御手段は、前記可変表示手段によりリーチ状態が終了した後に、前記遊技音継続演出を再開する(図20(D)参照)。
上記の構成によれば、演出制御手段により、可変表示手段によるリーチ状態が終了した後に、遊技音継続演出が再開される。
【0020】
(4) 前記演出制御手段は、前記事前決定手段により前記所定の表示結果にしない旨の決定がなされているときであっても前記遊技音継続演出を実行するときがある。
【0021】
上記の構成によれば、遊技音継続演出が実行されても遊技状態が必ず所定の表示結果となるか否か遊技者は予測できないため、遊技音継続演出が実行される予告の信頼性に幅を持たせることができ、遊技に対する興趣性が向上する。
(5) 前記遊技音継続演出が実行されているときに、可変表示が行なわれるにつれて、一連の遊技音の音量を変化させる遊技音発生量制御手段をさらに含む。
上記の構成によれば、遊技音発生量制御手段により、遊技音継続演出が実行されているときに、可変表示が行なわれるにつれて、一連の遊技音の音量が変化するため、遊技者の緊張感を高め興趣が増す。
(6) 遊技の進行を制御する遊技制御手段(遊技制御基板31)をさらに含み、
該遊技制御手段は、遊技音の発生を指示するための音制御コマンドを前記演出制御手段に送信する音制御コマンド送信手段を含み、
前記演出制御手段は、前記音制御コマンド送信手段からの前記音制御コマンドを受信したことを条件として、前記遊技音演出を実行するか前記遊技音継続演出を実行するかを決定する(図29、図30参照)。
上記の構成によれば、遊技制御手段から送信される遊技音の発生を指示するための音制御コマンドを受信したことを条件として、演出制御手段により、遊技音演出を実行するか遊技音継続演出を実行するかが決定される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、該可変表示装置の表示態様が特定の表示態様となったことを条件として遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であれば他の遊技機においても適用することが可能である。
【0023】
まず、遊技機の一例である第1種パチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。
【0024】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
【0025】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0026】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別可変表示部)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。可変表示装置9の下方には、始動入賞口14としての可変入賞球装置15が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行なう可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0027】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。また、可変表示装置9の下部には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動入賞記憶数を表示する4つのLEDによる特別図柄始動記憶表示器(以下、始動記憶表示器という。)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、始動記憶表示器18は点灯するLEDを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
【0028】
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄始動入賞記憶が上限に達していなければ、所定の乱数値が抽出される。そして、普通図柄表示器10において表示状態が変化する可変表示を開始できる状態であれば、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。普通図柄表示器10において表示状態が変化する可変表示を開始できる状態でなければ、普通図柄始動入賞記憶の値が1増やされる。普通図柄表示器10の近傍には、普通図柄始動入賞記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動入賞記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。なお、特別図柄と普通図柄とを一つの可変表示装置で可変表示するように構成することもできる。その場合には、特別可変表示部と普通可変表示部とは1つの可変表示装置で実現される。
【0029】
この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、可変表示は所定時間(例えば29秒)継続する。そして、可変表示の終了時に左側のランプが点灯すれば当りとなる。当りとするか否かは、ゲート32に遊技球が入賞したときに抽出された乱数の値が所定の当り判定値と一致したか否かによって決定される。普通図柄表示器10における可変表示の表示結果が当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になって遊技球が入賞しやすい状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。
【0030】
さらに、確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が高められ、遊技者にとってさらに有利になる。また、確変状態等の所定の状態では、普通図柄表示器10における可変表示期間(変動時間)が短縮されることによって、遊技者にとってさらに有利になるようにしてもよい。
【0031】
遊技盤6には、複数の入賞口29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0032】
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶数を1増やす。
【0033】
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示態様)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0034】
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
【0035】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。
【0036】
図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、始動記憶表示器18および普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。
【0037】
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子盤34が設置されている。
【0038】
さらに、各基板(主基板31や払出制御基板37等)に含まれる記憶内容保持手段(例えば、電力供給停止時にもその内容を保持可能な変動データ記憶手段すなわちバックアップRAM)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921が搭載されたスイッチ基板190が設けられている。スイッチ基板190には、クリアスイッチ921と、主基板31等の他の基板と接続されるコネクタ922が設けられている。
【0039】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、賞球ケース40Aで覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチ187は遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レールにおける上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
【0040】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、さらに遊技球が払い出されると、遊技球は余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、満タンスイッチ48(図3において図示せず)がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
【0041】
図4は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、払出制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および図柄制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301Aおよびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
【0042】
なお、図4には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路58を介して基本回路53に伝達される。また、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301A等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。スイッチと称されているものがセンサと称されているもの等でもよいこと、すなわち、スイッチが遊技媒体検出手段の一例であることは、他の実施の形態でも同様である。
【0043】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
【0044】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
【0045】
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55の一部または全部が、電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。
【0046】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0047】
図5は、図柄制御基板80内の回路構成を、可変表示装置9の一実現例であるLCD(液晶表示装置)82、普通図柄表示器10、主基板31の出力ポート(ポート0,2)570,572および出力バッファ回路620,62Aとともに示すブロック図である。出力ポート(出力ポート2)572からは8ビットのデータが出力され、出力ポート570からは1ビットのストローブ信号(INT信号)が出力される。
【0048】
表示制御用CPU101は、制御データROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31からノイズフィルタ107および入力バッファ回路105Bを介してINT信号が入力されると、入力バッファ回路105Aを介して表示制御コマンドを受信する。入力バッファ回路105A,105Bとして、例えば汎用ICである74HC540,74HC14を使用することができる。なお、表示制御用CPU101がI/Oポートを内蔵していない場合には、入力バッファ回路105A,105Bと表示制御用CPU101との間に、I/Oポートが設けられる。
【0049】
そして、表示制御用CPU101は、受信した表示制御コマンドに従って、LCD82に表示される画面の表示制御を行なう。具体的には、表示制御コマンドに応じた指令をVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)103に与える。VDP103は、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。VDP103は、入力したデータに従ってLCD82に表示するための画像データを生成し、R,G,B信号および同期信号をLCD82に出力する。
【0050】
なお、図5には、VDP103をリセットするためのリセット回路83、VDP103に動作クロックを与えるための発振回路85、および使用頻度の高い画像データを格納するキャラクタROM86も示されている。キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、LCD82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。
【0051】
入力バッファ回路105A,105Bは、主基板31から図柄制御基板80へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。従って、図柄制御基板80側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。すなわち、入力バッファ回路105A,105Bは、入力ポートともに不可逆性情報入力手段を構成する。図柄制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。
【0052】
高周波信号を遮断するノイズフィルタ107として、例えば3端子コンデンサやフェライトビーズが使用されるが、ノイズフィルタ107の存在によって、表示制御コマンドに基板間でノイズが乗ったとしても、その影響は除去される。また、主基板31のバッファ回路620,62Aの出力側にもノイズフィルタを設けてもよい。
【0053】
図6は、主基板31における音制御コマンドの信号送信部分および音制御基板70の構成例を示すブロック図である。この実施の形態では、遊技進行に応じて、遊技領域7の外側に設けられているスピーカ27の音声出力を指示するための音制御コマンドが、主基板31から音制御基板70に出力される。
【0054】
図6に示すように、音制御コマンドは、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート(出力ポート0,4)570,574から出力される。出力ポート(出力ポート4)574からは8ビットのデータが出力され、出力ポート570からは1ビットのINT信号が出力される。音制御基板70において、主基板31からの各信号は、入力バッファ回路705A,705Bを介して音制御用CPU701に入力する。なお、音制御用CPU701がI/Oポートを内蔵していない場合には、入力バッファ回路705A,705Bと音制御用CPU701との間に、I/Oポートが設けられる。
【0055】
そして、例えばデジタルシグナルプロセッサによる音声合成回路702は、音制御用CPU701の指示に応じた音声や効果音を発生し音量切替回路703に出力する。音量切替回路703は、音制御用CPU701の出力レベルを、設定されている音量に応じたレベルにして音量増幅回路704に出力する。音量増幅回路704は、増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。
【0056】
入力バッファ回路705A,705Bとして、例えば、汎用のCMOS−ICである74HC540,74HC14が用いられる。入力バッファ回路705A,705Bは、主基板31から音制御基板70へ向かう方向にのみ信号を通過させることができる。よって、音制御基板70側から主基板31側に信号が伝わる余地はない。従って、音制御基板70内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号が主基板31側に伝わることはない。なお、入力バッファ回路705A,705Bの入力側にノイズフィルタを設けてもよい。
【0057】
また、主基板31において、出力ポート570,574の外側にバッファ回路620,67Aが設けられている。バッファ回路620,67Aとして、例えば、汎用のCMOS−ICである74HC540,74HC14が用いられる。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、音制御基板70から主基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、バッファ回路620,67Aの出力側にノイズフィルタを設けてもよい。
【0058】
次に遊技機の動作について説明する。図7は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行なう。
【0059】
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行なう(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
【0060】
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CTCは、2本の外部クロック/タイマトリガ入力CLK/TRG2,3と2本のタイマ出力ZC/TO0,1を備えている。
【0061】
この実施の形態で用いられているCPU56には、マスク可能な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU56は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
【0062】
割込モード0:割込要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPUの内部データバス上に送出する。よって、CPU56は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU56は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行なう必要がある。
【0063】
割込モード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
【0064】
割込モード2:CPU56の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行なうときに割込ベクタを送出する機能を有している。
【0065】
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU56は割込モード2に設定される。
【0066】
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、例えば、遊技店員は、クリアスイッチ921をオン状態にしながら遊技機に対する電力供給を開始することによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行なうことができる。
【0067】
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような保護処理が行われていた場合をバックアップありとする。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。
【0068】
この実施の形態では、バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。この例では、図9に示すように、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
【0069】
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行なう(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
【0070】
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0071】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と表示制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行なう(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
【0072】
このように、バックアップフラグとチェックサム等のチェックデータとを用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認することによって、遊技状態を電力供給停止時の状態に正確に戻すことができる。すなわち、バックアップRAM領域のデータにもとづく状態復旧処理の確実性が向上する。なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
【0073】
また、バックアップフラグの状態によって「バックアップあり」が確認されなかった場合には、後述する遊技状態復旧処理を行なうことなく後述する初期化処理を行なうようにしているので、バックアップデータが存在しないのにもかかわらず遊技状態復旧処理が実行されてしまうことを防止することができ、初期化処理によって制御状態を初期状態に戻すことが可能となる。
【0074】
さらに、チェックデータを用いたチェック結果が正常でなかった場合には、後述する遊技状態復旧処理を行なうことなく後述する初期化処理を行なうようにしているので、電力供給停止時とは異なる内容となってしまっているバックアップデータにもとづいて遊技状態復旧処理が実行されてしまうことを防止することができ、初期化処理によって制御状態を初期状態に戻すことが可能となる。
【0075】
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行なう(ステップS11)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行なうためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行なう(ステップS12)。さらに、球払出装置97からの払出が可能であることを指示する払出許可状態指定コマンド(以下、払出可能状態指定コマンドという。)を払出制御基板37に対して送信する処理を行なう(ステップS13)。また、他のサブ基板(ランプ制御基板35、音制御基板70、図柄制御基板80)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド(図柄制御基板80に対して)や賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド(ランプ制御基板35に対して)等がある。
【0076】
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0077】
初期化処理の実行(ステップS11〜S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。
【0078】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS20)を行った後、図8に示すステップS21〜S32の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ24a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0079】
次いで、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS22)。
【0080】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU56は、さらに、表示用乱数および初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS24,S25)。
【0081】
図9は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダム1:大当りを発生させるか否か決定する(大当り判定用=特別図柄決定用)
(2)ランダム2−1〜2−3:左右中のはずれ図柄決定用
(3)ランダム3:大当り時の図柄の組合せを決定する(大当り図柄決定用=特別図柄判定用)
(4)ランダム4:はずれの場合にリーチとするか否か決定する(リーチ判定用)
(5)ランダム5:リーチ時の変動パターンを決定する(変動パターン決定用)なお、遊技効果を高めるために、上記(1)〜(5)の乱数以外の乱数(例えば、初期値決定用乱数)も用いられている。また、例えば各乱数に定期的に初期値(例えば各乱数毎にそれぞれ定められている初期値)を設定するなどして、上記(1)〜(5)の乱数が互いに同期しないように構成されていることが望ましい。
【0082】
ステップS23では、CPU56は、(1)の大当り判定用乱数、(3)の大当り図柄判定用乱数および(4)のリーチ判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行なう。すなわち、それらが判定用乱数であり、それら以外の乱数が表示用乱数である。
【0083】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0084】
次いで、CPU56は、特別図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS28)。また、普通図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS29)。
【0085】
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。
【0086】
また、CPU56は、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う(ステップS31)。可変入賞球装置15または開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16,21,21Aを駆動する。
【0087】
そして、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS32)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの何れかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371は、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。次いで、CPU56は、始動入賞記憶数を確認し、前回確認したときと比べて現在の始動入賞記憶数が変化していた場合に、始動記憶表示器18の該当する保留ランプを点灯/消灯34)、割込許可状態に設定する(ステップS35)。
【0088】
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0089】
図10は、この実施の形態で用いられる左右中図柄の一例を示す説明図である。図10に示すように、この実施の形態では、左右中図柄として表示される各図柄は、左右中で同一の10図柄である。図柄番号0の図柄が表示されると、次に、図柄番号9の図柄が表示される。そして、左右中図柄が、例えば、「1」、「3」、「5」、「7」または「9」で揃って停止すると特別図柄が大当り図柄で揃う確率が高確率状態(確変状態)となる。すなわち、それらが確変図柄となる。
【0090】
図11は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図11に示す特別図柄プロセス処理は、図18のフローチャートにおけるステップS26の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、変動短縮タイマ減算処理(ステップS310)および入賞確認処理(ステップS311)を行った後に、内部状態に応じて、ステップS301〜S307のうちのいずれかの処理を行う。変動短縮タイマは、特別図柄の変動時間が短縮される場合に、変動時間を設定するためのタイマである。
【0091】
入賞確認処理(ステップS311):始動入賞口14に打球入賞して始動口スイッチ14aがオンするのを待つ。始動口スイッチ14aがオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに、大当り決定用乱数等の各乱数を抽出し、大当りとするかはずれとするか、リーチとするかなどを決定する。
【0092】
停止図柄設定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示を開始できる状態になるのを待つ。特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、左右中図柄の停止図柄および図柄の変動パターンを決定する。決定される停止図柄は、大当り、はずれ、リーチなどの特別図柄変動待ち処理(ステップS311)での判定結果に応じた図柄とされる。処理を終えると、内部状態(プロセスフラグ)をステップS302に移行するように更新する。
【0093】
全図柄変動開始処理(ステップS302):可変表示装置9において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、図柄制御基板80に対して、左右中最終停止図柄と変動態様を指令する情報とが送信される。処理を終えると、内部状態(プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する。
【0094】
全図柄停止待ち処理(ステップS303):所定時間(ステップS310の変動短縮タイマで示された時間)が経過すると、可変表示装置9において表示される全図柄が停止される。そして、停止図柄が大当り図柄の組み合わせである場合には、内部状態(プロセスフラグ)をステップS304に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS301に移行するように更新する。
【0095】
大入賞口開放開始処理(ステップS304):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。また、プロセスタイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、大当りフラグ(大当り中であることを示すフラグ)のセットを行う。処理を終えると、内部状態(プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。
【0096】
大入賞口開放中処理(ステップS305):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータを図柄制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。最終的な大入賞口の閉成条件が成立したら、内部状態をステップS306に移行するように更新する。
【0097】
特定領域有効時間処理(ステップS306):V入賞スイッチ22の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行う。大当り遊技状態継続の条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態をステップS304に移行するように更新する。また、所定の有効時間内に大当り遊技状態継続条件が成立しなかった場合、または、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態をステップS307に移行するように更新する。
【0098】
大当り終了処理(ステップS307):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部状態をステップS301に移行するように更新する。
【0099】
図12は入賞確認処理(ステップS311)を示すフローチャートである。打球が遊技盤6に設けられている始動入賞口14に入賞すると、始動口スイッチ14aがオンする。入賞確認処理において、CPU56は、図12に示すように、スイッチ回路58を介して始動口スイッチ14aがオンしたことを判定すると(ステップS41)、始動入賞記憶数が最大値である4に達しているかどうか確認する(ステップS42)。始動入賞記憶数が4に達していなければ、始動入賞記憶数を1増やし(ステップS43)、大当り判定用乱数等の各乱数の値を抽出する(ステップS44)。次いで、CPU56は、抽出した大当り判定用乱数の値にもとづいて大当たり/はずれの判定を行う(ステップS45)。また、CPU56は、ステップS45にてはずれと判定した場合には、抽出したリーチ判定用乱数の値にもとづいてリーチとするか否かの判定を行う(ステップS46)。
【0100】
大当りおよびリーチの判定を行うと、CPU56は、その判定結果を示すデータ(入賞時判定結果情報)を入賞時判定結果情報保存領域に記憶する(ステップS47)。本例では、入賞時判定結果情報保存領域は、例えばRAM55のバックアップ領域に、始動入賞記憶数にそれぞれ対応して複数(すなわち、本例では始動入賞記憶数の最大値と同じ個数である4個)設けられている。ステップS47では、現在の始動入賞記憶数(ステップS43で加算した後の数)に対応して設けられている入賞時判定結果情報保存領域に、判定結果を示すデータを保存する。なお、判定結果を示すデータには、例えば、大当りとするか否かを特定するためのフラグ(大当り判定結果フラグ)や、リーチとするか否かを特定するためのフラグ(リーチ判定結果フラグ)が含まれる。
【0101】
そして、CPU56は、入賞時判定結果コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS48)、コマンドセット処理をコールする(ステップS49)。ステップS48では、入賞時判定結果コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。入賞時判定結果コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、コマンドの1バイト目のデータ、およびコマンドの2バイト目のデータが設定されている。なお、入賞時判定結果コマンドは、打球が始動入賞口14に入賞したことにもとづいて行われた判定(ステップS45、ステップS46での判定)の結果を指定するコマンドである。本例では、入賞時判定結果コマンドには、現在の始動入賞記憶数を示すデータも含まれている。コマンドセット処理については、あとで詳しく説明する。
【0102】
図13は、ステップS45の大当り判定処理の一例を示すフローチャートである。ステップS45において、CPU56は、普通状態である低確率時の判定条件にもとづいて大当り/はずれの判定を行い(ステップS45a)、次のステップで、確変状態である高確率時の判定条件にもとづいて大当り/はずれの判定を行なう(ステップS45b)。要するに、変動開始が可能となったときの遊技状態が、普通状態であるか確変状態であるか、どちらの状態であっても対応できるように大当り判定の処理を行なっている(遊技状態対応手段)。
【0103】
本例では、大当り判定用乱数は0〜299の範囲の値をとることにする。図13に示すように、低確率時には例えばその値が「3」である場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。高確率時には例えばその値が「3」,「7」,「79」,「103」,「107」のいずれかである場合に「大当り」と決定し、それ以外の値である場合には「はずれ」と決定する。
【0104】
図14は、主基板31から他の電気部品制御基板に送出される制御コマンドのコマンド形態の一例を示す説明図である。この実施の形態では、制御コマンドは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」とされる。このように、電気部品制御基板へのコマンドとなる制御コマンドは、複数のデータで構成され、先頭ビットによってそれぞれを区別可能な態様になっている。なお、図14に示されたコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい。
【0105】
図15は、音制御基板70に対する制御コマンドを構成する8ビットの制御信号とINT信号(ストローブ信号)との関係を示すタイミング図である。図15に示すように、MODEまたはEXTのデータが出力ポートに出力されてから、所定期間が経過すると、CPU56は、データ出力を示す信号であるINT信号をオン状態にする。また、そこから所定期間が経過するとINT信号をオフ状態にする。
【0106】
なお、ここでは、音制御コマンドについて説明したが、他のサブ基板に送出される各制御コマンドも、図14および図15に示された形態と同一である。
【0107】
図16は、図柄制御基板80に送出される表示制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図16に示す例において、コマンド8000(H)〜80XX(H)(X=4ビットの任意の値)は、特別図柄を可変表示する可変表示装置9における特別図柄の変動パターンを指定する表示制御コマンドである。なお、変動パターンを指定するコマンドは変動開始指示も兼ねている。
【0108】
コマンド8F00(H)および8F01(H)は、電源投入時に送出される特別図柄電源投入時指定コマンドおよび普通図柄電源投入時指定コマンドである。なお、普通図柄電源投入時指定コマンドは、表示制御手段が普通図柄変動制御を行なう場合に用いられ、普通図柄表示器10がランプ制御手段で制御される場合には、図柄制御基板80には送出されない。表示制御手段は、特別図柄電源投入時指定コマンドを受信すると、初期表示を行なう制御を開始する。
【0109】
コマンド91XX(H)、92XX(H)および93XX(H)は、特別図柄の左中右の停止図柄を指定する表示制御コマンドである。コマンド95XX(H)は、入賞時判定結果の内容と、現在の始動入賞記憶数とを示すコマンドである。例えば、コマンド95XX(H)におけるEXTデータの1桁目の値が大当りとするか、大当りとはならないリーチとするか、あるいはリーチにもならないはずれとするかを示すようにし、EXTデータの2桁目の値が始動入賞記憶数を示すようにすればよい。また、コマンドA000(H)は、特別図柄の可変表示の停止を指示する表示制御コマンド(確定コマンド)である。
【0110】
コマンドBXXX(H)は、大当り遊技開始から大当り遊技終了までの間に送出される表示制御コマンドである。コマンドB300(H)は、大当り遊技中において、所定のタイミングで所定の回数(例えば各ラウンド間に大当り図柄が表示されるようなタイミングで、ラウンド数−1回)送出されるコマンドであり、大当り図柄の表示を指定する表示制御コマンド(大当り図柄表示コマンド)である。また、コマンドCXXX(H)は、特別図柄の変動および大当り遊技に関わらない可変表示装置9の表示状態に関する表示制御コマンドである。そして、コマンドD000(H)〜D400(H)は、普通図柄の変動パターンに関する表示制御コマンドである。
【0111】
図柄制御基板80の表示制御手段は、主基板31の遊技制御手段から上述した表示制御コマンドを受信すると図16に示された内容に応じて可変表示装置9および普通図柄表示器10の表示状態を変更する。
【0112】
図17は、遊技を制御する主基板31から音制御基板70に送出される音制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。音制御コマンドもMODEとEXTの2バイト構成である。図17に示す例において、コマンド80XX(H)(X=4ビットの任意の値)は、特別図柄の変動期間における音発生パターンを指定する音制御コマンドである。コマンドBXXX(H)は、大当り遊技開始から大当り遊技終了までの間における音発生パターンを指定する音制御コマンドである。その他のコマンドは、特別図柄の変動および大当り遊技に関わらない音制御コマンドである。例えば、コマンドC000(H)は、客待ちデモンストレーション時の音発生パターンを指定する音制御コマンドである。音制御基板70の音制御手段は、主基板31の遊技制御手段から上述した音制御コマンドを受信すると図17に示された内容に応じて音声出力状態を変更する。
【0113】
図18は、コマンドセット処理の処理例を示すフローチャートである。コマンドセット処理は、コマンド出力処理とINT信号出力処理とを含む処理である。コマンドセット処理において、CPU56は、まず、コマンド送信テーブルのアドレスをスタック等に退避する(ステップS331)。そして、ポインタが指していたコマンド送信テーブルのINTデータを引数1にロードする(ステップS332)。引数1は、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。また、コマンド送信テーブルを指すアドレスを+1する(ステップS333)。従って、コマンド送信テーブルを指すアドレスは、コマンドデータ1のアドレスに一致する。
【0114】
そこで、CPU56は、コマンドデータ1を読み出して引数2に設定する(ステップS334)。引数2も、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。そして、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS335)。
【0115】
図19は、コマンド送信処理ルーチンを示すフローチャートである。コマンド送信処理ルーチンにおいて、CPU56は、まず、引数1に設定されているデータすなわちINTデータを、比較値として決められているワークエリアに設定する(ステップS351)。次いで、送信回数=4を、処理数として決められているワークエリアに設定する(ステップS352)。そして、払出制御信号を出力するためのポート1のアドレスをIOアドレスにセットする(ステップS353)。この実施の形態では、ポート1のアドレスは、払出制御信号を出力するための出力ポートのアドレスである。また、ポート2〜4のアドレスが、音制御信号、表示制御信号、ランプ制御信号を出力するための出力ポートのアドレスである。
【0116】
次に、CPU56は、比較値を1ビット右にシフトする(ステップS354)。シフト処理の結果、キャリービットが1になったか否か確認する(ステップS355)。キャリービットが1になったということは、INTデータにおける最も右側のビットが「1」であったことを意味する。この実施の形態では4回のシフト処理が行われるのであるが、例えば、払出制御コマンドを送出すべきことが指定されているときには、最初のシフト処理でキャリービットが1になる。
【0117】
キャリービットが1になった場合には、引数2に設定されているデータ、この場合にはコマンドデータ1(すなわちMODEデータ)を、IOアドレスとして設定されているアドレスに出力する(ステップS356)。最初のシフト処理が行われたときにはIOアドレスにポート1のアドレスが設定されているので、そのときに、払出制御コマンドのMODEデータがポート1に出力される。
【0118】
次いで、CPU56は、IOアドレスを1加算するとともに(ステップS357)、処理数を1減算する(ステップS358)。加算前にポート1を示していた場合には、IOアドレスに対する加算処理によって、IOアドレスにはポート2のアドレスが設定される。ポート2は、表示制御コマンドを出力するためのポートである。そして、CPU56は、処理数の値を確認し(ステップS359)、値が0になっていなければ、ステップS354に戻る。ステップS354で再度シフト処理が行われる。
【0119】
2回目のシフト処理ではINTデータにおけるビット1の値が押し出され、ビット1の値に応じてキャリーフラグが「1」または「0」になる。従って、表示制御コマンドを送出すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。同様に、3回目および4回目のシフト処理によって、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送出すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。このように、それぞれのシフト処理が行われるときに、IOアドレスには、シフト処理によってチェックされる制御コマンド(音制御コマンド、払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド)に対応したIOアドレスが設定されている。
【0120】
よって、キャリーフラグが「1」になったときには、対応する出力ポート(ポート1〜ポート4)に制御コマンドが送出される。すなわち、1つの共通モジュールで、各電気部品制御手段に対する制御コマンドの送出処理を行なうことができる。
【0121】
また、このように、シフト処理のみによってどの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきかが判定されるので、いずれの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきか判定する処理が簡略化されている。
【0122】
次に、CPU56は、シフト処理開始前のINTデータが格納されている引数1の内容を読み出し(ステップS360)、読み出したデータをポート0に出力する(ステップS361)。この実施の形態では、ポート0のアドレスは、各制御信号についてのINT信号を出力するためのポートであり、ポート0のビット0〜4が、それぞれ、払出制御INT信号、表示制御INT信号、ランプ制御INT信号、音制御INT信号を出力するためのポートである。INTデータでは、ステップS351〜S359の処理で出力された制御コマンド(音制御コマンド、払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド)に応じたINT信号の出力ビットに対応したビットが「1」になっている。従って、ポート1〜ポート4のいずれかに出力された制御コマンド(音制御コマンド、払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド)に対応したINT信号がハイレベルになる。
【0123】
次いで、CPU56は、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS363,S364)。この処理は、図15のタイミング図に示されたINT信号(制御信号INT)のオン期間を設定するための処理である。ウェイトカウンタの値が0になると、クリアデータ(00)を設定して(ステップS365)、そのデータをポート0に出力する(ステップS366)。よって、INT信号はローレベルになる。そして、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS368,S369)。この処理は、図15のタイミング図に示された1つ目のINT信号の立ち下がりからEXTデータ出力開始までの期間を設定するための処理である。ただし、ここで設定される実際の期間は、ステップS367〜S369で作成される時間に、その後の処理時間(この時点でMODEデータが出力されている場合にはEXTデータを出力するまでに要する制御にかかる時間)が加算された期間となる。このように、INT信号の立ち下がりからEXTデータ出力開始までの期間が設定されることによって、連続してコマンドが送出される場合であっても、一のコマンドの出力完了後、次にコマンドの送出が開始されるまでに所定期間がおかれることになり、コマンドを受信する電気部品制御手段の側で、容易に連続するコマンドの区切りを識別することができ、各コマンドは確実に受信される。
【0124】
従って、ステップS367でウェイトカウンタに設定される値は、1つ目のINT信号の立ち下がりからEXTデータ出力開始までの期間が、制御コマンド受信対象となる全ての電気部品制御手段(サブ基板に搭載されているCPU等)が確実にコマンド受信処理を行なうのに十分な期間になるような値である。また、ウェイトカウンタに設定される値は、その期間が、ステップS351〜S359の処理に要する時間よりも長くなるような値である。
【0125】
以上のようにして、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが送出される。そこで、CPU56は、図18に示すステップS336で、コマンド送信テーブルを指す値を1加算する。従って、3バイト目のコマンドデータ2の領域が指定される。CPU56は、指し示されたコマンドデータ2の内容を引数2にロードする(ステップS337)。また、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)の値が「0」であるか否か確認する(ステップS339)。0でなければ、送信バッファの内容を引数2にロードする(ステップS341)。なお、ワークエリア参照ビットの値が「1」であるときに拡張データを使用するように構成されている場合には、コマンド拡張データアドレステーブルの先頭アドレスをポインタにセットし、そのポインタにコマンドデータ2のビット6〜ビット0の値を加算してアドレスを算出する。そして、そのアドレスが指すエリアのデータを引数2にロードする。
【0126】
送信バッファには賞球個数を特定可能なデータが設定されているので、引数2にそのデータが設定される。なお、ワークエリア参照ビットの値が「1」であるときに拡張データを使用するように構成されている場合には、コマンド拡張データアドレステーブルには、電気部品制御手段に送出されうるEXTデータが順次設定される。よって、ワークエリア参照ビットの値が「1」であれば、コマンドデータ2の内容に応じたコマンド拡張データアドレステーブル内のEXTデータが引数2にロードされる。
【0127】
次に、CPU56は、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS342)。従って、MODEデータの送出の場合と同様のタイミングでEXTデータが送出される。
【0128】
以上のようにして、2バイト構成の制御コマンド(音制御コマンド、払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド)が、対応する電気部品制御手段に送信される。電気部品制御手段ではINT信号の立ち上がりを検出すると制御コマンドの取り込み処理を開始するのであるが、いずれの電気部品制御手段についても、取り込み処理が完了する前に遊技制御手段からの新たな信号が信号線に出力されることはない。すなわち、各電気部品制御手段において、確実なコマンド受信処理が行われる。なお、各電気部品制御手段は、INT信号の立ち下がりで制御コマンドの取り込み処理を開始してもよい。また、INT信号の極性を図15に示された場合と逆にしてもよい。
【0129】
また、この実施の形態では、賞球処理において、賞球払出条件が成立すると賞球個数を特定可能なデータが、同時に複数のデータを格納可能なリングバッファに格納され、賞球個数を指定する払出制御コマンドを送出する際に、読出ポインタが指しているリングバッファの領域のデータが送信バッファに転送される。従って、同時に複数の賞球払出条件の成立があっても、それらの条件成立にもとづく賞球個数を特定可能なデータがリングバッファに保存されるので、各条件成立にもとづくコマンド出力処理は問題なく実行される。
【0130】
さらに、この実施の形態では、1回の賞球処理内で払出停止状態指定コマンドまたは払出可能状態指定コマンドと賞球個数を示すコマンドとの双方を送出することができる。すなわち、2ms毎に起動される1回の制御期間内において、複数のコマンドを送出することができる。また、この実施の形態では、各制御手段への制御コマンド(音制御コマンド、払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド)毎に、それぞれ複数のリングバッファが用意されているので、例えば、音制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび表示制御コマンドのリングバッファに制御コマンドを特定可能なデータが設定されている場合には、1回のコマンド制御処理で複数の表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送出するように構成することも可能である。すなわち、同時に(遊技制御処理すなわち2msタイマ割込処理の起動周期での意味)、複数の制御コマンドを送出することができる。遊技演出の進行上、それらの制御コマンドの送出タイミングは同時に発生するので、このように構成されているのは便利である。ただし、払出制御コマンドは、遊技演出の進行とは無関係に発生するので、一般には、音制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび表示制御コマンドと同時に送出されることはない。
【0131】
次に、大当り予告時に、スピーカ27から発せられる遊技音継続演出の一例について説明する。
【0132】
図20は、この実施の形態において遊技音継続演出の態様を可変表示装置の可変表示と対応させたタイミングチャートである。
【0133】
(A)は始動入賞記憶2にセーブされている入賞時判定結果コマンドが大当りの場合、すなわち、2回目(次回)の可変表示で大当りとなる場合の遊技音継続演出の態様である。まず、1回目(今回)の可変表示の開始と同時に遊技音の発生が開始される。次に、1回目(今回)の可変表示が終了し、2回目(次回)の可変表示が開始されるまでの間も遊技音はインターバルを取ることなく継続して演出されている。そして、遊技音継続演出は2回目(次回)の可変表示で表示態様がリーチとなった場合に、リーチ音を発生させ終了される。
【0134】
続いて(B)は始動入賞記憶3にセーブされている入賞時判定結果コマンドが大当りの場合、すなわち、3回目(次々回)の可変表示で大当りとなる場合の遊技音継続演出の態様である。まず、1回目(今回)の可変表示の開始と同時に遊技音の発生が開始される。次に、1回目(今回)の可変表示が終了し、2回目(次回)・3回目(次々回)の可変表示が開始されるまでの間も遊技音はインターバルを取ることなく継続して演出されている。そして、3回目(次々回)の可変表示で表示態様がリーチとなった場合に、遊技音継続演出はリーチ音を発生させ終了される。(C)の始動入賞記憶4が大当りする場合も各回の可変表示の間も、遊技音を継続して発生させ演出を行なう。
【0135】
(D)は始動入賞記憶4にセーブされている入賞時判定結果コマンドが大当りであって、かつ、始動入賞記憶2にセーブされている入賞時判定結果コマンドがリーチである場合、すなわち、2回目(次回)の可変表示でリーチとなり4回目(次々々回)の可変表示で大当りとなる場合の遊技音継続演出の態様である。まず、1回目(今回)の可変表示の開始と同時に遊技音の発生が開始される。次に、1回目(今回)の可変表示が終了し、2回目(次回)の可変表示が開始されるまでの間も遊技音はインターバルを取ることなく遊技音は継続して演出されている。続いて、遊技音継続演出は2回目(次回)の可変表示がリーチとなることによりリーチ音を発生させ、3回目(次々回)の可変表示の開始と同時に再び遊技音の発生がなされ、4回目(次々々回)の可変表示で表示態様がリーチとなった場合に、遊技音継続演出は再度リーチ音を発生させ終了される。
【0136】
以上のように、遊技音継続演出を行なうことで、次回以降の可変表示の表示結果が大当りとなることを報知可能となっている。
【0137】
なお、この実施の形態では、4つの態様以外挙げていないが、さらに多くの態様を用いてもよい。たとえば、遊技音継続演出は可変表示の表示態様がリーチとなった場合にリーチ音を発生させ終了し、停止図柄が確定するまで継続させる一つの音制御パターンとしているが、リーチ時に遊技音継続演出を終了させるようにしてもよい。また、(D)の場合、2回目(次回)の可変表示でリーチとなり4回目(次々々回)の可変表示で大当りとなる場合を例としてあげているが、それに限らずリーチとなる場合が1回目でも3回目でもよく、大当りとなる場合が2回目でも3回目となる場合であってもよい。さらに、始動入賞記憶にセーブされている入賞時判定結果コマンドが大当りである場合に遊技音継続演出を行っているが、その場合に限らず入賞時判定結果コマンドがリーチとなる場合に遊技音継続演出を行ってもよい。その場合に、大当りが発生する確率の高い遊技音と、大当りが発生する確率が低い遊技音とに分けて設定しているものであってもよい(確率報知手段)。また、始動入賞記憶数が4つの場合について態様を挙げているが、これに限らず、始動入賞記憶数がより複数設定されているもの(たとえば、10個)であってもよい。以上のような遊技音継続演出が、可変表示装置、遊技演出に用いる可動部材、発光体においても同期して行われるようにしてもよい。これにより、報知態様を複数設けることができ,遊技の興趣をより向上させることができる。
【0138】
音制御基板70における音制御用CPU701は、主基板31から音制御コマンドを受信すると、各音制御パターンにおいてあらかじめ決められている遊技音を発生させる制御を行なう。なお、あらかじめ決められている遊技音を発生させたり、あらかじめ決められているタイミングで他の遊技音への切替も行われるが、それらも音制御用CPU701が独自に制御する。
【0139】
図21は、音制御用CPU701が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また音制御の起動間隔を決めるための2msタイマの初期設定等を行なうための初期化処理が行われる(ステップS701)。その後、この実施の形態では、音制御用CPU701は、割込処理による音制御コマンド受信処理が行なわれ(S702)、タイマ割込フラグの監視(ステップS703)の確認を行なうループ処理に移行する。よって、仮にタイマ割込みフラグ=1でなくても音制御コマンドを受信できるよう構成されている。このコマンド受信処理については、図24を用いて詳述する。そして、図22に示すように、タイマ割込が発生すると、音制御用CPU701は、タイマ割込フラグをセットする(ステップS711)。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、音制御用CPU701は、そのフラグをクリアし(ステップS704)、以下の音制御処理を実行する。
【0140】
なお、この実施の形態では、タイマ割込は2ms毎にかかるとする。すなわち、音制御処理は、2ms毎に起動される。また、この実施の形態では、タイマ割込処理ではフラグセットのみがなされ、具体的な音制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込処理で音制御処理を実行してもよい。
【0141】
音制御メイン処理において、音制御用CPU701は、まず、受信した音制御コマンドを解析する(コマンド解析実行処理:ステップS705)。次いで音制御用CPU701は、音制御プロセス処理を行なう(ステップS706)。音制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。そして、遊技音演出決定用乱数を更新する処理が実行される(ステップS707)。その後、ステップS703のタイマ割込フラグの確認を行なう処理に戻る。
【0142】
次に、主基板31からの音制御コマンド受信処理について説明する。図23は、主基板31から受信した音制御コマンドを格納するためのコマンド受信バッファの一構成例を示す説明図である。この例では、2バイト構成の音制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式のコマンド受信バッファが用いられる。従って、コマンド受信バッファは、受信コマンドバッファ1〜12の12バイトの領域で構成される。そして、受信したコマンドをどの領域に格納するのかを示すコマンド受信個数カウンタが用いられる。コマンド受信個数カウンタは、0〜11の値をとる。なお、必ずしもリングバッファ形式でなくてもよく、例えば、遊技音指定コマンド格納領域を3個(2×3=6バイトのコマンド受信バッファ)、それ以外の音制御パターン指定などのコマンド格納領域を1個(2×1=2バイトのコマンド受信バッファ)のようなバッファ構成としてもよい。表示制御手段や、ランプ制御手段においても同様に、リングバッファ形式でないバッファ形式としてもよい。この場合、音制御手段、表示制御手段、ランプ制御手段は、音制御パターンなどの格納領域に格納される最新のコマンドにもとづき制御される。これにより、主基板31からの指示に迅速に対応することができる。
【0143】
図24は、音制御メイン処理のS702で行なわれる割込処理による音制御コマンド受信処理を示すフローチャートである。主基板31からの音制御用のINT信号は音制御用CPU701の割込端子に入力されている。例えば、主基板31からのINT信号がオン状態になると、音制御用CPU701において割込がかかる。そして、図24に示す音制御コマンドの受信処理が開始される。
【0144】
音制御コマンドの受信処理において、音制御用CPU701は、まず、各レジスタをスタックに退避する(ステップS670)。なお、割込が発生すると音制御用CPU701は自動的に割込禁止状態に設定するが、自動的に割込禁止状態にならないCPUを用いている場合には、ステップS670の処理の実行前に割込禁止命令(DI命令)を発行することが好ましい。次いで、音制御コマンドデータの入力に割り当てられている入力ポートからデータを読み込む(ステップS671)。そして、2バイト構成の音制御コマンドのうちの1バイト目であるか否か確認する(ステップS672)。
【0145】
1バイト目であるか否かは、受信したコマンドの先頭ビットが「1」であるか否かによって確認される。先頭ビットが「1」であるのは、2バイト構成である音制御コマンドのうちのMODEデータ(1バイト目)のはずである(図14参照)。そこで、音制御用CPU701は、先頭ビットが「1」であれば、有効な1バイト目を受信したとして、受信したコマンドを受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタが示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS673)。
【0146】
音制御コマンドのうちの1バイト目でなければ、1バイト目を既に受信したか否か確認する(ステップS674)。既に受信したか否かは、受信バッファ(受信コマンドバッファ)に有効なデータが設定されているか否かによって確認される。
【0147】
1バイト目を既に受信している場合には、受信した1バイトのうちの先頭ビットが「0」であるか否か確認する。そして、先頭ビットが「0」であれば、有効な2バイト目を受信したとして、受信したコマンドを、受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタ+1が示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS675)。先頭ビットが「0」であるのは、2バイト構成である音制御コマンドのうちのEXTデータ(2バイト目)のはずである(図14参照)。なお、ステップS674における確認結果が1バイト目を既に受信している場合には、2バイト目として受信したデータのうちの先頭ビットが「0」でなければ処理を終了する。
【0148】
ステップS675において、2バイト目のコマンドデータを格納すると、コマンド受信個数カウンタに2を加算する(ステップS676)。そして、コマンド受信カウンタが12以上であるか否か確認し(ステップS677)、12以上であればコマンド受信個数カウンタをクリアする(ステップS678)。その後、退避されていたレジスタを復帰し(ステップS679)、割込許可に設定する(ステップS680)。
【0149】
音制御コマンドは2バイト構成であって、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)とは、受信側で直ちに区別可能に構成されている。すなわち、先頭ビットによって、MODEとしてのデータを受信したのかEXTとしてのデータを受信したのかを、受信側において直ちに検出できる。よって、上述したように、適正なデータを受信したのか否かを容易に判定することができる。なお、このことは、表示制御コマンド、払出制御コマンドおよびランプ制御についても同様である。
【0150】
図25は、コマンド解析処理(ステップS705)の具体例を示すフローチャートである。主基板31から受信された音制御コマンドは受信コマンドバッファに格納されるが、コマンド解析処理では、受信コマンドバッファに格納されているコマンドの内容が確認される。
【0151】
コマンド解析処理において、音制御用CPU701は、まず、コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されているか否か確認する(ステップS681)。格納されているか否かは、コマンド受信カウンタの値と読出ポインタとを比較することによって判定される。両者が一致している場合が、受信コマンドが格納されていない場合である。コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されている場合には、音制御用CPU701は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出す(ステップS682)。なお、読み出したら読出ポインタの値を+1しておく。
【0152】
読み出した受信コマンドが音制御パターンコマンド(音制御基板80に出力されるパターンコマンド)であれば(ステップS683)、音制御用CPU701は、そのコマンドのEXTデータを音制御パターン格納エリアに格納し(ステップS684)、音制御パターン受信フラグをセットする(ステップS685)。なお、音制御パターン格納エリアは、音制御基板70が備える例えばRAMに設けられている。
【0153】
読み出した受信コマンドが入賞時判定結果コマンドであれば(ステップS686)、音制御用CPU701は、受信したコマンドのEXTデータが示す始動入賞記憶数を保存するとともに(ステップS687)、保存した始動入賞記憶数に対応する入賞時判定結果情報格納エリアに格納する(ステップS688)。なお、始動入賞記憶数は、音制御基板70が備える例えばRAMの所定の領域に保存される。また、入賞時判定結果情報格納エリアは、音制御基板70が備える例えばRAMに、始動入賞記憶数にそれぞれ対応して複数(すなわち、本例では始動入賞記憶数の最大値と同じ個数である4個)設けられている。ステップS688では、受信した入賞時判定結果コマンドが示す始動入賞記憶数に対応して設けられている入賞時判定結果情報格納エリアに、その入賞時判定結果コマンドが示す判定結果情報を保存する。すなわち、大当りとするか否かを示す情報と、リーチとするか否かを示す情報とを含む情報が入賞時判定結果情報格納エリアに格納される。そして、ステップS682にて読み出した受信コマンドがその他の音制御コマンドである場合には、受信コマンドに対応するフラグをセットする(ステップS689)。
【0154】
図26は、音制御用CPU701が扱う遊技音演出決定用乱数を示す説明図である。図26に示すように、遊技音演出決定用乱数は、上述した遊技音演出決定用乱数更新処理(ステップS707)にて更新される。この例では、遊技音演出決定用乱数は、1バイト構成とされ、同一の範囲である0〜255の値を取る。
【0155】
図27は、遊技音演出決定用テーブルの構成例を示す説明図である。遊技音演出決定用テーブルは、複数(ここでは12)設けられている。入賞時判定結果コマンドが大当りのものであるか、また、その始動入賞記憶数未満の始動入賞記憶にリーチとなる可変表示が含まれているか否かによってテーブルは決定される。これについては、後述の図31で詳細に説明する。この実施の形態では、音制御基板70に入賞時判定結果情報を示す音制御コマンドが送出される際に、表示制御基板80およびランプ制御基板35に対しても、入賞時判定結果情報を示す制御コマンドが、主基板31から送出される。従って、音制御基板70以外の各基板80,35においても大当りとするか否かを判定することができる。
【0156】
音制御用CPU701は、遊技音を発生させる際に、遊技音演出決定用乱数を読み出し(抽出し)、その値に応じて、設定されている遊技音演出決定用テーブルを用いて、たとえば、継続演出なしの通常パターン、継続演出なしのリーチパターン、遊技音1で継続演出を行なうパターン等のうちの何れかに決定する。具体的には、設定されている遊技音演出決定用テーブルにおいて、抽出された遊技音演出決定用乱数の値と同値の比較値が割り当てられている演出に決定される。
【0157】
たとえば、遊技音演出決定用テーブル2が設定されている場合、遊技音演出決定用乱数の値によって100/256の確率で通常のリーチパターン2に、156/256の確率で遊技音1で継続演出がなされ遊技状態が大当りとなる。また、決定用テーブル11が設定されている場合には、遊技音演出決定用乱数の値によって100/256の確率で通常のリーチパターン1に、145/256の確率で通常のリーチパターン2に、11/256の確率で遊技音10で大当りとならない継続演出がなされることが決定される。なお、この決定用テーブルの設定については図31を用いて詳述する。
【0158】
図28は、図21に示されたメイン処理における音制御プロセス処理(ステップS706)を示すフローチャートである。音制御プロセス処理では、音制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S805のうちのいずれかの処理が行われる。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0159】
音制御コマンド受信待ち処理(ステップS800):コマンド受信割込処理によって、遊技音発生時間を特定可能な音制御コマンド(音制御パターンコマンド)を受信したか否か確認する。具体的には、音制御パターンコマンドが受信されたことを示すフラグがセットされたか否か確認する。そのようなフラグは、受信コマンドバッファに格納された受信コマンドが、音制御パターンコマンドである場合にセットされる。
【0160】
遊技音演出設定処理(ステップS801):いずれの遊技音演出を行なうか否か決定するとともに、継続演出を行なうことに決定した場合には予告の種類を決定する。
【0161】
遊技音発生開始処理(ステップS802):遊技音の発生が開始されるように制御する。
【0162】
遊技音発生中処理(ステップS803):音制御パターンを構成する各遊技音状態の切替タイミングを制御するとともに、遊技音発生時間の終了を監視する。
【0163】
遊技音発生終了待ち処理(ステップS804):遊技音発生時間の終了時に、終了を指示する音制御コマンド(確定コマンド)を受信していたら、遊技音の発生を終了させる制御を行なう。
【0164】
大当り遊技音発生処理(ステップS805):遊技音の発生終了後、大当り時の遊技音を発生させる制御を行なう。
【0165】
図29は、音制御コマンド受信待ち処理(ステップS800)を示すフローチャートである。音制御コマンド受信待ち処理において、音制御用CPU701は、まず、コマンド無受信タイマがタイムアウトしたか否か確認する(ステップS811)。コマンド無受信タイマは、所定期間以上主基板31から遊技音の発生開始を示す音制御コマンドを受信しなかったときにタイムアウトとする。タイムアウトした場合には、音制御用CPU701は、遊技音を停止させる制御を行なう(ステップS812)。
【0166】
コマンド無受信タイマがタイムアウトしていなければ、音制御用CPU701は、遊技音発生時間を特定可能な音制御コマンドを受信したか否か確認する(ステップS813)。この実施の形態では、遊技音発生時間を特定可能な音制御コマンドは、図17に示された音制御パターン指定コマンド(変動パターン指定#1〜変動パターン指定XX−1)のいずれかである。遊技音発生時間を特定可能な音制御コマンドを受信した場合には、音制御プロセスフラグの値を遊技音演出設定処理(ステップS801)に対応した値に変更する(ステップS814)。
【0167】
遊技音を発生させるときに、主基板31から音制御基板70に最初に送信される音制御コマンドは、遊技音発生時間を示すコマンドと遊技音の種類を指定するコマンドである。それらは、確定コマンドバッファに格納されている。
【0168】
図30は、遊技音演出設定処理(ステップS801)を示すフローチャートである。遊技音演出設定処理において、音制御用CPU701は、まず、始動入賞記憶数に対応する入賞時判定結果情報格納エリアに格納されている入賞時判定結果情報などにもとづいて遊技音演出決定用テーブル設定処理を行なうとともに(ステップS821)、保存している始動入賞記憶数の値を1減らし(ステップS822)、かつ、各入賞時判定結果情報格納エリアの値をシフトする(ステップS823)。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する入賞時判定結果情報格納エリアに格納されている各入賞時判定結果情報を、始動入賞記憶数=n−1に対応する入賞時判定結果情報格納エリアに格納する。
【0169】
次いで、音制御用CPU701は、遊技音演出を決定する(ステップS824)。なお、遊技音発生時間を特定可能な音制御コマンドの内容にもとづいて判断するようにしてもよい。
【0170】
図31は、上述したステップS821の遊技音演出決定用テーブル設定処理を示すフローチャートである。遊技音演出決定用テーブル設定処理において、音制御用CPU701は、始動入賞記憶数に対応する入賞時判定結果情報格納エリアに格納されている入賞時判定結果情報にもとづいて、可変表示演出において大当りとなるか否かを確認する(ステップS821a)。大当りとなる場合には、音制御用CPU701は、可変表示演出において大当りとなる始動入賞記憶数値未満にリーチとすることが決定されているか否か確認する(ステップS821b)。この確認は、大当りとなる始動入賞記憶以前に記憶された始動入賞記憶が対象となり、対応するそれぞれの入賞時判定結果情報格納エリアに格納されている有効な入賞時判定結果情報にもとづいて行われる。有効な入賞時判定結果情報とは、未だ実行される前であって次回以降に実行される可変表示演出に関する入賞時判定結果情報を意味する。具体的には、本例では、4を除く現在の始動入賞記憶数の値未満の数に対応する入賞時判定結果情報格納エリアに格納されている入賞時判定結果情報のことである。例えば、現在の始動入賞記憶数が3である場合には、始動入賞記憶数=1,2に対応する各入賞時判定結果情報格納エリアに格納されているそれぞれの入賞時判定結果情報が、有効な入賞時判定結果情報とされる。
【0171】
ステップS821aにて入賞時判定結果コマンドに大当りとなるコマンド格納されているか否かが判定され、格納されていなかった場合で、今回の可変表示がリーチとなるか否か(S821k)により決定用テーブル11,12を設定する(ステップS8911、S8912)。すなわち決定用テーブル11は、遊技音継続演出が選択される確率が非常に低い通常のテーブルである。ステップS821bにて大当りとなるコマンドの存在を確認できた場合には、その大当りコマンドを確認できた始動入賞記憶以前の始動入賞記憶にリーチとなるコマンドが存在するかを確認する。これは、遊技音継続演出中にリーチの表示態様となり対応するリーチ音の発生を音制御パターンに含ませる必要があるためである。リーチとなるコマンドの存在を確認できなかった場合には、その大当りとなる可変表示が今回または次回行なわれるものかそれとも次々回の可変表示で行なわれるものか、あるいはそれ以降の可変表示で行われるものなのかをステップS821c,d,eで判断がなされ、音制御用CPU701により決定用テーブル1,2,3,4を遊技音演出決定用テーブルとして設定する(ステップS891、S892、S893、S894)。また、ステップS821bでリーチとなるコマンドの存在を確認した場合には、そのリーチとなる可変表示は今回の可変表示でなされるのか、あるいは、次回の可変表示でなされるのか、または、それ以降であるのかがステップS821f,gで判断がなされ、さらに、S821h,i,jで大当りとなる可変表示がどの可変表示で行なわれるものか判断がなされ、最終的に音制御用CPU701により決定用テーブル5,6,7,8,9,10を遊技音演出決定用テーブルとして設定する(ステップS895、S896、S897、S898、S899、S8910)。
【0172】
以上より、まず大当りとなる入賞時判定結果コマンドが格納されているか否かによって判定され、その中からさらに、リーチとなる入賞時判定結果コマンドが格納されているか否か等によって、遊技音継続演出の音制御パターンを選択する確率が比較的高確率に設定されている決定用テーブルが選ばれることになる。一方、大当りとなる入賞時判定結果コマンドが格納されていなかった場合には、遊技音継続演出の音制御パターンを選択する確率が極めて低確率に設定されている決定用テーブルが選ばれることとなる。
【0173】
図32は、ステップS834の遊技音演出決定処理を示すフローチャートである。遊技音演出決定処理において、音制御用CPU701は、まず、遊技音演出決定用乱数を抽出する(ステップS834a)。また、始動入賞記憶に入賞時判定結果情報格納エリアに格納されている入賞時判定結果情報にもとづいて決定される決定用テーブルを用いて遊技音演出を決定する(ステップS834b)。
【0174】
以上のように、遊技音演出が決定されるため、たとえば、その後に実行条件の成立があった場合等は、遊技音の継続期間を遊技者は予測できないため、遊技音が継続して演出実行されている期間はさらに遊技音に集中し興趣性を向上させることができる。
【0175】
図33は、音制御プロセス処理における遊技音発生開始待ち処理(ステップS802)を示すフローチャートである。遊技音発生開始待ち処理において、音制御用CPU701は、まず、遊技音発生時間タイマをスタートする(ステップS840)。次いで、遊技音の発生を開始し(ステップS841)、音制御プロセスフラグの値を遊技音発生中処理に対応した値にする(ステップS842)。
【0176】
図34は、遊技音発生中処理(ステップS803)を示すフローチャートである。次いで、音制御用CPU701は、遊技音発生時間タイマがタイムアウトしたか否か確認する(ステップS859)。遊技音発生時間タイマがタイムアウトした場合には、音制御プロセスフラグの値を遊技音発生終了待ち処理(ステップS804)に対応した値に変更する(ステップS860)。
【0177】
図35は、遊技音発生終了待ち処理(ステップS804)を示すフローチャートである。遊技音発生終了待ち処理において、音制御用CPU701は、遊技音終了を指示する音制御コマンドを受信しているか否か確認する(ステップS871)。そして、次の音制御コマンドの受信までの時間を監視するために、コマンド無受信タイマをスタートさせる(ステップS873)。
【0178】
遊技音発生終了を指定する音制御コマンドを受信していない場合には、監視タイマがタイムアウトしているかどうか確認する(ステップS875)。タイムアウトした場合には、何らかの異常が発生したと判断して、スピーカ27によってエラー音を発生させる制御を行なう(ステップS876)。
【0179】
遊技状態が大当りでない場合には、音制御用CPU701は、音制御プロセスフラグの値を音制御コマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に設定する。
【0180】
図36は、大当り遊技音発生処理(ステップS805)を示すフローチャートである。大当り遊技音発生処理において、主基板31から送信される大当り遊技状態における音制御コマンドにもとづいてスピーカ27の音制御を行なう。また、主基板31から大当り遊技の終了を示す音制御コマンドを受信すると(ステップS884)、音制御プロセスフラグの値を音制御コマンド受信待ち(ステップS800)に対応した値に設定する(ステップS885)。
【0181】
以上説明したように、遊技制御手段(CPU56)が、始動入賞口に遊技球が入賞したことにもとづいて可変表示装置9における識別情報の表示態様の決定に関わる判定の一部(大当りとするか否か、リーチとするか否か等)を行い、その判定結果を示す入賞時判定結果コマンドを音制御基板70に向けて送信する構成とするとともに、音制御基板70が、受信した入賞時判定結果コマンドが示す判定結果にもとづいて音制御パターンの内容を決定する構成としたので、入賞時に行われた判定結果にもとづく演出を実行する場合における遊技制御手段の制御負担を軽減することができる。
【0182】
また、上述したように、識別情報の可変表示が開始されるときに識別情報の表示態様の決定に関わる判定の一部(停止図柄の決定、音制御パターンの決定)を行なう構成とされているので、遊技制御手段の制御負担を時間的に分散させることが可能となる。
【0183】
また、上述したように、入賞時判定結果情報に大当りとするか否かを示す情報を含む構成としたので、今後大当りが発生するということを音制御基板70に対して事前に通知することが可能となる。従って、音制御基板70は、今後大当りが発生するということを加味して遊技音継続演出を行なうことができるようになる。
【0184】
また、上述したように、入賞時判定結果情報にリーチとするか否かを示す情報を含む構成としたので、今後リーチが発生するということを音制御基板70に対して事前に通知することが可能となる。従って、音制御基板70は、今後リーチとなることを加味して遊技音演出決定用テーブルの選択の基準とすることができる。さらに、前述した遊技音継続演出を行なう場合として大当りが発生する時に加えて、リーチとなる場合も遊技音継続演出を行なうことが可能となる。
【0185】
また、上述した実施例では、表示結果が大当りかリーチのいずれかになる場合に入賞時判定結果コマンドが送信されるよう構成されているが、これに限らず、表示結果が大当りとなる場合にのみ入賞時判定結果コマンドを送信するよう構成してもよい。この場合は、大当りになることはコマンドが送信されていることによって判定することができるが、リーチ等の大当り以外をコマンドが送信されていないことによって判定でき、制御負担を軽減することが可能となる。
【0186】
また、上述したように、表示結果が所定の表示結果となる場合として、大当りまたはリーチとなる場合を挙げているが、これに限らず、所定の表示結果として、確率変動図柄による大当りとする場合や、大当り・リーチ・確率変動図柄大当り以外のはずれとなる場合の表示を所定の表示結果として設定してもよい。その場合には、それぞれ入賞時判定結果コマンドが送信されることになる。これにより、遊技音継続演出が行なわれる場面が多くなるとともに、遊技者に期待感を与えることができ興趣が向上する。
【0187】
また、上述した図13のように、遊技制御手段が、始動入賞口に遊技球が入賞したことにもとづいて、確変状態である場合と低確率状態である場合の双方の大当りの判定用乱数を用いて大当り判定を行ない(実行条件成立時判定手段)、どちらを採用するかは該入賞に対応した可変表示開始の際に決定を行ない(開始時判定手段)、大当りを過剰に発生させてしまうことを防止することができる。すなわち、可変表示開始時に大当りの判定がなされる場合には、その前に発生する大当りによって確変状態が終了していることも想定されるので、本来低確率状態で判定されるはずが高確率状態で判定されたことになるのを防止することができるのである。
【0188】
また、上述したように、入賞時判定結果コマンドが示すデータの中に始動入賞記憶数を示す情報が含まれる構成としたので、始動入賞記憶数を示すコマンドを別個に送受する必要をなくすことができ、コマンドの数を少なくすることができる。
【0189】
また、上述したように、遊技制御手段が、始動入賞口14への入賞にもとづく入賞確認処理(図12参照)を、タイマ割込にもとづく一連の処理により実行するように構成されているので、連続して入賞があった場合などにもとづく誤動作などの不具合を防止することができ、入賞確認処理の確実性を向上させることができる。
【0190】
また、上述したように、音制御手段が、受信した入賞時判定結果コマンドが示す入賞時判定結果情報にもとづいて、独自演出である音制御パターン(遊技音継続演出を実行するか否か、および実行する遊技音の態様)を決定する構成としたので、未だ開始されていない将来実行される可変表示に係る情報を加味して独自演出を決定することができる。
【0191】
また、上述したように、音制御手段が、受信した入賞時判定結果コマンドが示す入賞時判定結果情報を入賞時判定結果情報格納エリアに格納し、入賞時判定結果情報格納エリアに記憶されている情報にもとづいて遊技音演出の内容を決定する構成とされているので、遊技音演出を決定するための制御を簡単な構成で行なうことができるようになる。
【0192】
また、上述したように、音制御手段が、受信した入賞時判定結果コマンドが示す情報を始動入賞記憶数に応じて設けられている複数の入賞時判定結果情報格納エリアに順次記憶する構成とされているので、入賞時判定結果情報を今後実行される可変表示毎に別個に記憶させることができる。
【0193】
また、上述したように、音制御手段が、始動入賞記憶数に応じて設けられている複数の入賞時判定結果情報格納エリアの記憶内容を、識別情報の可変表示の実行の際にシフトする構成としているので、始動入賞記憶可能な最大値分の格納エリアを設ければよく、入賞時判定結果情報を記憶する記憶領域の容量を低減させることが可能となる。
【0194】
また、上述したように、遊技音演出決定用テーブルを決定確率が異なる複数種類設け、入賞時判定結果コマンドが示す判定結果に応じた所定の遊技音演出決定用テーブルを用いて遊技音演出の内容を決定する構成としたので、遊技音演出決定用テーブルを変更するだけで決定確率を異ならせることができ、音制御手段の制御負担が軽減される。
【0195】
なお、上述した実施の形態では、演出制御手段として、主として音制御手段(音制御用CPU701)について説明したが、例えばランプ制御手段(ランプ制御用CPU351)や表示御手段(表示制御用CPU101)についても、上述した音制御手段と同様の処理を実行する構成とすることができる。この場合、各演出制御手段が同期して遊技音演出決定用テーブルを設定することができるので、ランプ制御手段による発光体演出や表示制御手段による表示演出を、音制御手段による遊技音演出と同期して行なうことができる。
【0196】
また、上述した各実施の形態において、表示制御手段などの始動記憶表示器18を制御する演出制御手段が、入賞時判定結果コマンドが示す判定結果にもとづいて、始動記憶表示器18の表示態様を変化させるようにしてもよい。例えば、点灯色を変化させたり、点灯する増え方(順番)を異ならせたりするようにすればよい。このように構成すれば、演出制御手段による独自演出の内容を多様化させることができる。なお、始動入賞記憶数を可変表示装置9の表示領域の一部に表示する構成とし、入賞時判定結果コマンドが示す判定結果にもとづいて可変表示装置9における始動入賞記憶数の表示部分の表示態様を変化させるようにしてもよい。これにより、始動入賞記憶数が複数設けることが容易にでき、その場合に、遊技音継続演出がより迫力あり、長時間その遊技音を楽しめるため遊技者の興趣が向上する。
【0197】
また、上述した実施の形態では、何回目の可変表示で大当りまたはリーチとなるかにより遊技音演出決定用テーブルを設定する構成としていたが、そのような場合であっても、所定確率で遊技音演出決定用テーブルを設定する構成としてもよい。このように、入賞時判定結果コマンドが示す判定結果に応じて、所定確率で所定の遊技音演出決定用テーブルを用いる構成とすれば、遊技音継続演出が実行される確率を自由に設定することができるので、遊技音継続演出がなされない場合における遊技者の注目度の減退を防止することができる。
【0198】
また、上述した実施の形態では、入賞時判定結果コマンドが示すデータの中に始動入賞記憶数を示す情報が含まれる構成としていたが、始動入賞記憶数を示すコマンド(例えば始動入賞記憶数指定コマンド)を入賞時判定結果コマンドとは別個に設け、別個に送受する構成としてもよい。このように構成すれば、別個のコマンドにより役割分担が明確になされるので、コマンドにもとづく制御の確実性を向上させることができる。
【0199】
また、上述した実施の形態では、入賞確認処理(図12参照)にて大当りとするか否かの判定およびリーチとするか否かの判定を行なう構成としていたが、いずれか一方の判定のみを行なう構成としてもよい。また、入賞確認処理にて、停止図柄の決定や音制御パターンの決定などの他の判定処理をも行なう構成としてもよい。
【0200】
また、上述した実施の形態では、入賞時判定結果コマンドと、音制御パターンコマンドとを別個に設けていたが、大当りとするか否かやリーチとするか否かのデータを含む音制御パターンとして、入賞時判定結果コマンドが示す情報に変動パターンをも含む構成としてもよい。この場合、入賞確認処理にて音制御パターンの判定をも行い、遊技音の発生開始を指定するコマンドを別途設ける構成として、遊技音発生開始時に遊技制御手段が発生開始を指定するコマンドを送信するようにすればよい。
【0201】
また、上述した実施の形態では、始動入賞にもとづく判定処理(ステップS44〜ステップS46)を実行したあとは常に入賞時判定結果コマンドを送信する構成としていたが、始動入賞にもとづく判定の結果が所定の結果である場合にのみ入賞時判定結果コマンドを送信する構成とされていてもよい。この場合、例えば、判定処理において、大当りとする判定がなされた場合、あるいはリーチとする判定がなされた場合にのみ、入賞時判定結果コマンドを送信するようにすればよい。このように構成すれば、コマンドの送信に関する遊技制御手段の制御負担が軽減される。また、コマンドの受信に関する音制御手段の制御(例えば入賞時判定結果情報格納エリアに入賞時判定結果情報を記憶させる処理)の負担も軽減される。
【0202】
また、上述した各実施の形態では、入賞時判定結果コマンドにもとづいて、音制御基板70が遊技音演出を実行し、その一態様として、遊技音継続演出が構成されているが、その継続して発生させる遊技音としては、どんなものでもよく、特に、可変表示間等にインターバルがなく連続的に発生されているものであればよい。たとえば、歌謡曲を遊技音として流し1回目可変表示時にその曲の1番を流し、2回目可変表示時にその曲の2番を流し、3回目は3番を流し、可変表示の回数にあわせて曲の番数を合わせるものであってもよい。これにより、遊技台に親しみが湧き遊技者の興趣を向上させることができる。また、発生させる遊技音の音量を大当りが近づくにつれて大きく発生させるようにしてもよく、また、その逆に、小さくするような遊技音発生量制御手段を設けてもよい。これにより、遊技者の緊張感を高め興趣が増す。また、発生させる遊技御により、大当りとなる信頼度を遊技者に予測できるようにしてもよい。
【0203】
また、上述した実施の形態では、始動入賞記憶数を最大4個であるとしていたが、他の数であってもよい。例えば4個を超える数とする場合には、4個を超える部分については、可変表示装置9の一部に始動入賞記憶の状態を表示するようにすればよい。これにより、遊技音継続演出が長く演出されることもあり、遊技音継続演出の際に発生させられる遊技音を遊技者の好みにあわせ選択できる遊技音選択手段を設けてもよい。遊技に飽きがこず興趣が増す。
【0204】
また、上述した実施の形態では、音制御手段が始動入賞記憶数に応じた入賞時判定結果情報格納エリアを備える構成としたが、音制御手段は少なくとも始動入賞記憶に大当りやリーチがあるか否か、および大当りやリーチとなるのは何個目の保留であるかを認識できればよいため、例えば、大当りやリーチがあるか否かを示すフラグと、それが何個目であるかを示すカウンタ(例えば入賞時判定結果コマンドに含まれる始動入賞記憶数に応じてセットされ、可変表示が開始される毎に減算されるカウンタ)とを備える構成としてもよい。なお、単に保留の中に大当りやリーチがあるか否かにもとづいて独自演出を行なう独自演出実行手段を構成してもよく、この場合には、音制御手段は大当りやリーチがあるか否かを示すフラグを備えるだけで足りる。
【0205】
また、上述した実施の形態での遊技音継続演出は、例えば3回後に大当りとなる場合には、今回を含めて4回可変表示分の遊技音発生時間タイマをスタートさせるといった、音制御パターンのうちの1パターンとして構成していた。しかし、可変表示装置の可変表示と同期させ1変動パターンごとに音制御パターンを割り当て、例えば3回後に大当りとなる場合には、今回を含めて4回可変表示のそれぞれに対応させた遊技音発生時間タイマをスタートさせ、かつ、音が途切れないようにするといった、音制御パターンを複数組み合わせる構成を採用してもよい。
【0206】
また、パチンコ遊技機に限られず、スロット機等の他の遊技機においても、本発明を適用することができる。
【0207】
なお、上述した実施の形態において、「特定遊技状態」とは、所定の遊技価値が付与された遊技者にとって有利な状態を意味する。具体的には、「特定遊技状態」は、例えば、例えば可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態(大当り遊技状態)、遊技者にとって有利な状態となるための権利が発生した状態、景品遊技媒体払出の条件が成立しやすくなる状態などの、所定の遊技価値が付与された状態である。
【0208】
また、上述した実施の形態において、「特別遊技状態」とは、大当りとなりやすい遊技者にとって有利な状態を意味する。具体的には、「特別遊技状態」は、例えば、特別図柄が大当り図柄で揃う確率が高確率状態とされる確変状態、単位時間あたりの普通図柄の変動回数が高められる時短状態、可変入賞球装置15の開成期間や開成回数が高められる開放延長状態などの大当りとなる確率が高められている高確率状態である。なお、時短状態は、可変入賞球装置15の開放回数が高められていることから単位時間あたりの入賞回数が増加し、単位時間あたりの特別図柄の可変表示回数が高められるので、大当りとなる確率が高められている状態といえる。また、同様に、開放延長状態は、可変入賞球装置15の開成期間や開成回数が高められていることから単位時間あたりの入賞回数が増加し、単位時間あたりの特別図柄の可変表示回数が高められるので、大当りとなる確率が高められている状態といえる。
【0209】
さらに、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、本発明を適用できる。
【0210】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。
【図2】 遊技盤の前面を示す正面図である。
【図3】 パチンコ遊技機の内部構造を示す全体背面図である。
【図4】 遊技制御基板における回路構成を説明するためのブロック図である。
【図5】 主基板における表示制御コマンドの信号送信部分と図柄制御基板内の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図6】 主基板における音制御コマンドの信号送信部分と音制御基板内の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図7】 遊技制御基板が実行するメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】 遊技制御基板が実行する割込処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】 パチンコ遊技機の遊技制御に用いられる乱数を生成するための各種ランダムカウンタを説明するための図である。
【図10】 可変表示図柄を説明するための図である。
【図11】 遊技制御基板が実行する割込処理のうちの特別図柄プロセス処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】 遊技音プロセス処理のうちの入賞確認処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】 遊技音プロセス処理のうちの大当り判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】 遊技制御基板から音制御基板に送出される制御コマンドのコマンド形態を説明するための図である。
【図15】 音制御基板に対する制御コマンドを構成する制御信号とINT信号との関係を時間的に説明するための図である。
【図16】 図柄制御基板に送出される表示制御コマンドの内容を説明するための図である。
【図17】 音制御基板に送出される音制御コマンドの内容を説明するための図である。
【図18】 コマンドセット処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】 コマンド送信処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】 遊技音継続演出のパターンを説明するためのタイミングチャートである。
【図21】 音制御基板が実行するメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】 音制御基板が実行する割込処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】 制御コマンドを格納するためのコマンド受信バッファを説明するための図である。
【図24】 割込処理による制御コマンド受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図25】 音制御基板のメイン処理におけるコマンド解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図26】 遊技音演出決定用乱数を説明するための図である
【図27】 遊技音演出決定用テーブルを説明するための図である。
【図28】 音制御基板のメイン処理における音制御プロセス処理を説明するためのフローチャートである。
【図29】 音制御コマンド受信待ち処理を説明するためのフローチャートである。
【図30】 音制御基板における遊技音演出設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図31】 音制御基板における遊技音演出決定用テーブル設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図32】 音制御基板における遊技音演出決定処理を説明するためのフローチャートである。
【図33】 音制御基板における遊技音発生開始待ち処理を説明するためのフローチャートである。
【図34】 音制御基板における遊技音発生中処理を説明するためのフローチャートである。
【図35】 音制御基板における遊技音発生終了待ち処理を説明するためのフローチャートである。
【図36】 音制御基板における大当り遊技音発生処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機、9 可変表示装置、27 スピーカ、70 音制御基板、31 遊技制御基板、80 図柄制御基板、701 音制御用CPU、53 基本回路。
Claims (6)
- 表示状態の可変表示を実行するための実行条件が成立した後、可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて可変表示を開始する可変表示手段を備え、該可変表示手段の表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であって、
少なくとも遊技音の発生を制御する演出制御手段と、
前記可変表示手段の表示結果にかかわる決定を当該可変表示の開始以前に予め決定する事前決定手段とを含み、
前記演出制御手段は、遊技音の長さを特定するためのデータとして一の可変表示が行なわれる時間分のデータを設定して、前記可変表示手段の可変表示毎に当該可変表示に対応した遊技音を発生させる遊技音演出を実行可能であるとともに、
前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、遊技音の長さを特定するためのデータとして前記複数回の可変表示が行なわれる時間分のデータを設定して、複数回の可変表示の実行に亘って一連の遊技音を継続して発生させる遊技音継続演出を実行可能であり、
前記遊技音継続演出を実行することで表示結果が所定の表示結果となることを予告報知可能に構成されていることを特徴とする、遊技機。 - 前記演出制御手段は、前記可変表示手段によりリーチ状態が表示されたときに、前記遊技音継続演出の実行を中止することを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
- 前記演出制御手段は、前記可変表示手段によりリーチ状態が終了した後に、前記遊技音継続演出を再開することを特徴とする、請求項2に記載の遊技機。
- 前記演出制御手段は、前記事前決定手段により前記所定の表示結果にしない旨の決定がなされているときであっても前記遊技音継続演出を実行するときがあることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の遊技機。
- 前記遊技音継続演出が実行されているときに、可変表示が行なわれるにつれて、一連の遊技音の音量を変化させる遊技音発生量制御手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の遊技機。
- 遊技の進行を制御する遊技制御手段をさらに含み、
該遊技制御手段は、遊技音の発生を指示するための音制御コマンドを前記演出制御手段に送信する音制御コマンド送信手段を含み、
前記演出制御手段は、前記音制御コマンド送信手段からの前記音制御コマンドを受信したことを条件として、前記遊技音演出を実行するか前記遊技音継続演出を実行するかを決定することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の遊技機。
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