JP3960543B2 - トナー用アゾ顔料組成物及びこれを用いたトナー - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、電子印刷、静電記録等の画像記録における記録剤あるいはその製造に使用されるトナー用アゾ顔料組成物及びこのアゾ顔料組成物を用いたトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フルカラー又はモノカラーの電子写真、静電写真、静電記録等に使用される画像記録用着色剤としては、油溶性染料、分散性染料、チオインジコ系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン顔料等の縮合多環系顔料が知られている。しかしながら、上記の顔料は製造コストが高く、着色力も劣り、又、上記染料では耐光性が劣る等の問題があり、トナー用着色剤として十分に満足できるものではなかった。
【0003】
これらの問題を解決すべくアゾ系顔料に着目して開発が進められてきた。例えば、特許文献1にはモノアゾ系顔料をトナー用途に使用する方法が、特許文献2や特許文献3にはナフトール系アゾ顔料をトナー用途に使用する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、近年画像記録の高解像度化等の高性能化が進むにつれてトナーに使用する着色剤は、顔料構造による選別から、高度に粒子設計、顔料設計された顔料へと開発が移りつつある。
例えば、特許文献4には、活性剤の使用により微細化した顔料を使用することが記載されているが、顔料を微細化するためには特定構造の活性剤の使用が必要であり、このような活性剤の使用はトナーの製造範囲を著しく制限する。又、顔料の耐熱性や耐溶剤性が不十分であることから、トナーを製造する際、顔料粒子の成長を防ぐことができず、トナーに必要な特性である透明性や着色力をも低下させてしまう。
【0005】
又、特許文献5には、ソルトミリング法による顔料微細化工程での耐熱性を向上させるためナフトール系アゾ顔料に酸性基を導入することが記載されているが、ソルトミリングに対する耐熱性はあっても、これら顔料を用いてトナー製造する際、特に重合法や凝集法では油性分散媒や水性分散媒により顔料が結晶成長するため、トナーに必要な透明性や着色力が不十分であった。さらには水溶性無機塩を使用したソルトミリング工程によるコストアップや環境負荷も生じ、工業的にも著しく不利となっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−296167号公報
【特許文献2】
特開昭59−165069号公報
【特許文献3】
特開平5−19536号公報
【特許文献4】
特開平11−272014号公報
【特許文献5】
特開平11−84733号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、顔料の微細化に優れ、且つトナーの製造工程における顔料の結晶成長が抑制され、透明で着色力を有するとともに、その他のトナーに要求される特性を良好にバランスさせ、さらには工業的にも有利なトナーの製造に使用可能な着色剤及びこれを用いたトナーを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、トナーに使用される特定のアゾ顔料に、その合成時に前記顔料とは異なる構造を持つ化合物を生成、混在させることにより、顔料が微細化し、且つ、アゾ顔料がトナー製造において使用される分散媒に対する顕著に向上し結晶成長抑制効果を示し、該顔料を使用したトナーが解像性及び着色力等に優れた性能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有する芳香族アミン類のジアゾ化物と、置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有するβ−オキシナフトエ酸のアリルアミド類をカップリングしてなる赤色アゾ顔料と、上記赤色アゾ顔料に対して0.1〜50モル%の割合の、上記のジアゾ化物と2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′ジカルボン酸とのカップリング反応物とを同時に生成、混在させてなることを特徴とするトナー用アゾ顔料組成物及びこれを用いたトナーである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明のトナー用アゾ顔料組成物は、前記芳香族アミン類のジアゾ化物と、前記β−オキシナフトエ酸のアリルアミド類をカップリングしてなる赤色アゾ顔料と、上記赤色アゾ顔料に対して0.1〜50モル%の割合の、上記のジアゾ化物と2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′ジカルボン酸とのカップリング反応物とを同時に生成、混在させてなることが特徴である。
このような本発明のアゾ顔料組成物は、従来慣用のアゾ顔料と比べ、非常に微細で、且つ、トナーの製造において使用する分散媒に対して良好な結晶成長抑制効果を有し、トナーが透明で着色力があり、その他のトナーに要求される特性が良好にバランスしたトナー用の着色剤として有用である。
【0011】
ところで、従来のトナー用アゾ顔料は、透明性や色再現性のため合成時に特殊な界面活性剤を使用する方法や水溶性無機塩を使用したソルトミリング法等により顔料を微細化している。しかし、これらの方法で微細化された顔料を用いてトナーを製造すると、顔料粒子がトナーの製造工程中に結晶成長し、トナーの色調再現性や透明性が損なわれていた。特にこれら顔料の結晶成長は重合法によるトナーや、バインダー樹脂とアゾ顔料を凝集または融着させる工程を経て製造する、いわゆる凝集法において顕著に表れた。
【0012】
重合法トナーは、アゾ顔料、又はそれを含む着色剤を、分散媒である重合性単量体に分散させ、この分散液を水中に懸濁させた状態で重合して製造される。しかし、従来のアゾ顔料は、それを分散媒の重合性単量体に分散させる工程で特に結晶成長し、その結果、製造されたトナーは不透明で、トナー特性として不十分であった。又、凝集法トナーは、アゾ顔料、又はそれを含む着色剤を、分散助剤と水の混合物からなる分散媒に分散させ、この分散液をバインダー樹脂と混合し、これを凝集剤にて凝集させ、必要ならば加温等して樹脂(重合体)と融着させて製造される。しかし、従来のアゾ顔料は、上記の分散媒に分散させる工程で特に結晶成長し、製造されたトナーは不透明で、トナー特性として不十分であった。更に、粉砕法トナーは、アゾ顔料、又はそれを含む着色剤を、バインダー樹脂、ワックス等の助剤と混練後、粉砕して製造されるが、従来のアゾ顔料は混練する工程で結晶成長していた。その結果、製造されたトナーは不透明で、トナー特性として不十分であった。
従って、アゾ顔料を含むトナーが良好なトナー特性を発現するためには、アゾ顔料が十分に微細で、且つ、トナー製造において使用される分散媒中で結晶成長しない顔料であることが必要である。
【0013】
本発明者はこのようなアゾ顔料を開発すべく鋭意研究を行った結果、トナーに使用される、ある特定のアゾ顔料にそれとは異なる構造を持つ化合物を前記アゾ顔料の合成時に同時に生成させ、混在させることにより、得られるアゾ顔料組成物は、顔料の粒子制御性に優れ、十分に微細で、且つ、トナー製造において使用される分散媒に対する顕著に向上した結晶成長抑制性を示し、トナー製造工程での結晶成長が防止され、該顔料を使用したトナーが解像性や着色力等に優れた性能となることを見出した。
【0014】
本発明のトナー用アゾ顔料は、置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有する芳香族アミン類のジアゾ化物と、カップリング成分としての置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有するβ−オキシナフトエ酸のアリルアミド類をカップリングしてなる赤色アゾ顔料(a)を合成する際に、2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′ジカルボン酸(b)を混在させたものである。
【0015】
上記化合物(b)の混在による効果は、同一反応系で生成する目的の特定のアゾ顔料(a)に対して、上記化合物(b)を0. 1〜50モル%、好ましくは0. 2〜30モル%の範囲の割合で生成させた場合に奏される。少なすぎるとアゾ顔料の結晶成長抑制効果が十分でなく、多過ぎるとこの効果は飽和し、色調再現性、分散媒への分散性等が悪くなる。
【0016】
本発明において、目的のアゾ顔料を製造するに際し、主顔料(目的のアゾ顔料)(a)及びそれと構造が類似した化合物を同時に生成させることで、生成した顔料組成物では、それぞれの粒子が混晶、微結晶混合物、一部無定形物の混在等の状態となって、微細な一次粒子を形成し、トナーの製造において分散媒中での結晶成長を抑制する効果を発揮していると考えられる。
【0017】
上記芳香族アミン類としては、下記の一般式(1)で表されるアニリン誘導体が通常使用される。アニリン誘導体としては、赤色アゾ顔料の製造に従来から使用されている置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有するものがいずれも使用でき、特に限定されない。置換基としては、例えば、塩素、臭素等のハロゲン、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素数が1〜4程度の低級アルキル基、炭素数が1〜4程度の低級アルキレン基を有するアルコキシ基、スルホン基又はその金属塩又はそのアミン塩、カルボキシル基又はその金属塩又はそのアミン塩、カルボン酸エステル基、ウレイレン基、イミノジカルボニル基、窒素原子が置換されても良いアミノスルホニル基、窒素原子が置換されても良いアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、又は芳香環が置換されても良いナフチルメチル基等が挙げられる。特に好ましいアニリン誘導体は、3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリドである。
【0018】
カップリング成分は、下記の一般式(2)で表される置換基がないか、又は同じでも、異なっていてもよい1〜3個の置換基を有するβ−オキシナフトエ酸のアリールアミド類が含まれる。これらも、従来の赤色アゾ顔料の製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。β−オキシナフトエ酸のアリールアミド類の置換基は、前記のX 1 〜X 3 と同じであり、例えば、ハロゲン、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜4程度の低級アルキル基を有するアルコキシ基、スルホン基、又はその金属塩又はアミン塩、カルボキシル基又はその金属塩又はアミン塩、カルボン酸エステル基、ウレイレン基、イミノジカルボニル基、窒素原子が置換されてもよいアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、置換されてもよいフェニル基等が挙げられる。
(式中のY1、Y2及びY3は水素、又は同じでも異なってもよい上記の置換基である。)
【0019】
本発明のアゾ顔料組成物は、上記のジアゾ成分とカップリング成分とをカップリングして特定なアゾ顔料(a)を合成する際に、前記化合物(b)を存在させることで製造される。製造方法は使用するジアゾ成分とカップリング成分の組み合わせを上記のように限定する以外は、公知のアゾ顔料の製造方法を用いることができる。化合物(b)は下記の構造式を有する2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′−ジカルボン酸である。本発明の顔料組成物中のこれらの化合物(b)の含有割合は、アゾ顔料(a)に対して0.1〜50モル%、好ましくは0.2〜30モル%の割合である。
【0020】
本発明の顔料組成物におけるアゾ顔料(a)として、カップリング成分がβ−オキシナフトエ酸のアリルアミド類で、カップリング反応物が下記の一般式(3)で示される場合の例を表1に示す。
(式中のX1、X2、X3、Y1、Y2及びY3は水素、又は同じでも異なってもよい前記定義の置換基である。)
【0021】
本発明の顔料組成物において、特に好ましいのは、顔料(a)が、C.I.Pigment Red 146、147、184又は269であるものである。
【0022】
上記の方法で得られる本発明のアゾ顔料組成物は、混在して合成しない単一のアゾ顔料と比べ、顔料の平均粒径は小さく、0.3μm以下であり、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。
【0023】
本発明のトナーは、以上説明した赤色アゾ顔料組成物を着色剤として用い、重合法、凝集法、粉砕法のいずれでも製造することができる。これらの方法は公知の方法が使用でき、特に制限されない。その際、着色剤としての本発明のアゾ顔料組成物は、色相等を調整するために他の着色剤と任意に混合することもできる。
【0024】
具体的には、重合法にて本発明のトナーを得るには、重合性単量体中に本発明のアゾ顔料組成物を含む着色剤、重合開始剤、必要ならば更に帯電制御剤、ワックス、分散剤等を均一に分散混合し、得られた混合物を安定剤を含む水中に懸濁または乳化させた後、重合することでトナーが得られる。着色剤として本発明のアゾ顔料組成物を含有するトナーは、主に非水系である重合性単量体に対する結晶成長抑制効果があり、透明性と着色力の高いトナーが得られる。
【0025】
凝集法により本発明のトナーを得るには、バインダー樹脂等の乳化液に、着色剤として本発明のアゾ顔料組成物、必要ならば、さらに帯電制御剤、ワックス、分散剤等を、水を主体とした分散媒に分散させて添加し、温度、pH等を制御、又は凝集剤を添加し凝集させ、必要ならば加温により融着し、トナーを製造する。着色剤として本発明のアゾ顔料組成物を含有するトナーは、主に水系である分散媒に対する結晶成長抑制効果があり、透明性と着色力の高いトナーが得られる。
【0026】
粉砕法としては、公知の粉砕法がいずれも使用でき、特に制限されない。具体的には、本発明のアゾ顔料組成物を含む着色剤を、バインダー中に予め高濃度で分散させバインダー樹脂にてマスターバッチを作り、それを混練時に添加して希望する濃度まで希釈しても良いし、バインダー樹脂と共に混練する際に直接添加しても良い。着色剤として本発明のアゾ顔料組成物を含有するトナーは、バインダー樹脂等に対して顔料の結晶成長抑制効果があり、透明性と着色力の高いトナーが得られる。
【0027】
本発明のトナーに適した結着樹脂としては、公知のバインダー樹脂がいずれにも使用でき、特に制限されない。重合法および凝集法トナーの製造におけるバインダー樹脂を構成する重合性単量体も同様である。バインダー樹脂の製造に使用される重合性単量体としては、例えば、スチレンあるいはスチレン誘導体、メタアクリル酸エステル誘導体、アクリル酸エステル誘導体、オレフィン類、ハロゲン系ビニル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、その他のビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等があり、これらを単独あるいは組み合わせて使用することが出来る。これら重合性単量体は、ラジカル重合開始剤、例えば、アゾ系またはジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、過硫酸塩系重合開始剤、過酸化水素等を用いて重合することができる。又、粉砕法で使用されるバインダー樹脂としては、例えばスチレン・アクリル系樹脂、スチレン・メタアクリル系樹脂等の共重合体、必要ならば架橋成分を含有するポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等があり、これらを単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0028】
トナーの帯電制御は、バインダー樹脂、着色剤自体で行っても良いが、必要に応じて帯電制御剤を併用しても良い。本発明のトナーに適した帯電制御剤も同様に公知のものが全て使用できる。例えば、正帯電制御剤として第4級アンモニウム塩等が、負帯電制御剤としてサリチル酸系金属錯体等を用いることができる。
【0029】
本発明に使用されるワックス類としては、例えば、オレフィン系ワックス等があり、好ましくは低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、パラフィンワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコン等がある。これら以外の成分として上記樹脂と着色剤を主成分とするトナー粒子に対して添加される無機微粒子や有機微粒子等で構成される内添剤又は外添加剤がある。
【0030】
本発明のトナーは、例えば、磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合等が挙げられるが、いずれのトナーにおいても本発明のアゾ顔料組成物による前記の効果が奏される。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0032】
実施例1
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド100g(0. 41モル)を水1500gに分散させ、氷を加えて温度を0〜5℃に調整し、35%塩酸水溶液120g(1. 15モル)を加えて10分間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム29g(0. 42モル)を水に溶解後添加し、60分間攪拌後、スルファミン酸4g(0. 04モル)を加えて亜硝酸を消去した。更に酢酸ソーダ100g(0. 74モル)、90%酢酸150g(2. 24モル)を添加し、ジアゾニウム塩溶液とした。
【0033】
これとは別にN−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド131g(0. 40モル)及び2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′−ジカルボン酸4g(0. 01モル)を水1500g、苛性ソーダ50g(1. 25モル)と共に90℃で溶解後、水を追加して20℃とし、カップラー溶液とした。
【0034】
このカップラー溶液を20℃以下に制御した上記ジアゾニウム塩溶液に添加し、カップリング反応を行い、1時間攪拌した。この顔料スラリーを90℃の加熱処理をした後、ろ過、水洗を行い、アゾ顔料組成物を得た。
【0035】
比較例1
2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′−ジカルボン酸を使用せずにN−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミドのみ138g(0. 42モル)用いる以外は実施例1と同様にしてアゾ顔料を得た。
【0036】
実施例1のアゾ顔料組成物及び比較例1の顔料の平均粒径を表2に示す。平均粒径は、各サンプル0.5gと分散剤0.7gとをフーバー式マーラーで荷重150ポンド、練り回数300回の条件で分散させ、測定装置に規定されている濃度まで水で希釈した後、超音波を1分間作用させて調製した試験液をコールターサブミクロン粒子アナライザー(コールター社製MODEL N−4)で測定した。
【0037】
【0038】
実施例2、比較例2(重合法トナー)
実施例1のアゾ顔料組成物及び比較例1のアゾ顔料を用い、下記の方法により重合法トナーを作製した。
(1)水系分散体の製造
反応器にイオン交換水710gと0. 1モル/リットルの燐酸三ナトリウム水溶液450gを加えて65℃に加温し、1. 0モル/リットルの塩化カルシウム水溶液68gを徐々に加え、コロイド状燐酸カルシウムを含む分散液を含む水系分散媒体を調整した。
【0039】
(2)トナーの製造
スチレンモノマー165g、n−ブチルアクリレート35gに顔料組成物または顔料14gを加えてサンドグラインダーで分散させた分散液にエステルワックス30gを加え、80℃で溶解させた。ついでn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルを2g、重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)11gを加えたものを前記水系分散媒体中に攪拌しながら徐々に加え、水中にモノマーを含む溶液を分散させた。ついで65℃、10時間重合反応を行った。pH調整、ろ過、洗浄、乾燥してトナーを得た。
【0040】
実施例3、比較例3(凝集法トナー)
実施例1のアゾ顔料組成物及び比較例1のアゾ顔料を用い、下記の方法により凝集法トナーを作成した。
(1)着色剤分散液の製造
各実施例または比較例の顔料組成物または顔料20gにイオン交換水80g、アルキルベンゼンスルホン酸塩3gを添加し、機械式分散機にて分散処理して各顔料の着色分散液を得た。
【0041】
(2)ポリマー乳化液の製造
反応器にエステルワックスエマルジョン(固形分として)330g、イオン交換水13Kgを入れて90℃に昇温し、アルキルベンゼンスルホン酸塩3g、スチレン2. 5Kg、n−ブチルアクリレート650g、メタクリル酸170g、8%過酸化水素水溶液330g、8%アスコルビン酸水溶液330gを添加した。90℃7時間反応を継続しポリマー乳化液を得た。
【0042】
(3)トナーの製造
ポリマー乳化液150gに着色剤分散液9. 5gを注入し混合攪拌した。この中に0. 5%の硫酸アルミ溶液40gを攪拌しながら注入する。60℃に昇温し、2時間攪拌を継続し融着させ、ろ過、洗浄、乾燥し凝集法トナーを得た。
【0043】
実施例4、比較例4(粉砕法トナー)
実施例1、比較例1のアゾ顔料組成物を用い、ポリエステル樹脂100g、顔料5gをボールミルにて攪拌混合後、溶融混連、冷却し、粉砕分級して粉砕法トナーを得た。
【0044】
上記各実施例、比較例で得られたトナー50gに疎水性シリカ0. 3gを外添して、電子写真プリンターで以下の評価を行った。結果を表3〜5に示す。
(1)透明性
ベタ画像をOHPシート上にプリントし、画像の透明性を観察した。
○:良好 △:やや悪い ×:不良
(2)着色力
ベタ画像をOHPシート上にプリントし、画像の着色力を観察した。
○:良好 △:やや悪い ×:不良
【0045】
表3に示す通り比較例では重合法トナーにおいて、透明性と着色力が劣る。
【0046】
表4に示す通り比較例では凝集法トナーにおいて、透明性と着色力が劣る。
【0047】
表5に示す通り比較例では粉砕法トナーにおいて、透明性と着色力が劣る。
【0048】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、微細な顔料粒子を形成し、トナーの製造において、分散媒に対して結晶成長抑制効果を有し、トナーが透明で着色力が有り、その他トナーに要求される特性ををバランス良く満たし、且つ工業的にも有利なトナー用アゾ顔料組成物が提供される。
Claims (8)
- 置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有する芳香族アミン類のジアゾ化物と、置換基がないか、又は同じでも異なってもよい1〜3個の置換基を有するβ−オキシナフトエ酸のアリルアミド類をカップリングしてなる赤色アゾ顔料と、上記の赤色アゾ顔料に対して0.1〜50モル%の割合の、上記ジアゾ化物と2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ジナフチルメタン−3,3′−ジカルボン酸とのカップリング反応物とを同時に生成、混在させてなることを特徴とするトナー用アゾ顔料組成物。
- ジアゾ成分が、3−アミノ−4−メトキシベンズアニリドである請求項1に記載のトナー用アゾ顔料組成物。
- 赤色アゾ顔料が、ピグメントレッド146、147、184、又は269である請求項2に記載のトナー用アゾ顔料組成物。
- アゾ顔料組成物の平均粒径が、0. 3μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー用アゾ顔料組成物。
- 少なくともバインダー樹脂と着色剤として有機顔料を含有するトナーにおいて、有機顔料が請求項1に記載のアゾ顔料組成物であることを特徴とするトナー。
- トナーが、重合法または凝集法で製造される請求項5に記載のトナー。
- 凝集法が、少なくともバインダー樹脂粒子と有機顔料とを凝集、又は融着させる工程を有する請求項6に記載のトナー。
- 重合法が、少なくとも重合性単量体と有機顔料とからなる組成物を水系媒体中で重合する工程を有する請求項6に記載のトナー。
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