JP2000310887A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

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JP2000310887A
JP2000310887A JP11910399A JP11910399A JP2000310887A JP 2000310887 A JP2000310887 A JP 2000310887A JP 11910399 A JP11910399 A JP 11910399A JP 11910399 A JP11910399 A JP 11910399A JP 2000310887 A JP2000310887 A JP 2000310887A
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Masakichi Kato
政吉 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 懸濁重合法によるトナーの製造において、荷
電制御剤などの添加剤に起因する水中への溶解物の除去
効果の良好なトナーの製造方法を提供することにある。 【解決手段】 少なくとも重合性単量体及び着色剤を含
有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で懸濁さ
せて重合を行い、着色重合体粒子を生成させた後、酸洗
浄を行い、脱水後、35℃以上、かつ、着色重合体粒子
のガラス転移点Tg−10℃以下の温度の温水で洗浄
し、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を乾燥するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子印刷の如き画
像形成方法において、静電荷像を現像するためのトナ
ー、または、トナージェット方式の画像形成方法におけ
るトナー定着画像を形成するためのトナーの製造方法に
関し、特に、トナー像を転写材の如きプリントシートに
加熱定着させる定着方式に供されるトナーの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は米国特許第2,297,6
91号明細書等に記載されている如く、多数の方法が知
られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の手
段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をト
ナーと呼ばれる着色樹脂組成物からなる微粒子を用いて
現像し、必要に応じて、感光体上から紙等の転写材にト
ナー像を転写した後、加熱、圧力、或いは溶剤蒸気等に
より転写材上に定着させて、複写物やプリントを得てい
る。また、上記の方法において、トナーを用いて潜像を
現像する方法や、或いはトナー像を転写材上に定着する
方法としては、従来より各種の方法が提案され、それぞ
れの画像形成プロセスに適した方法が採用されている。
【0003】さらに、電気的潜像を現像するために用い
られるトナーは、従来、一般的には、熱可塑性樹脂中に
染料及び顔料の如き着色剤を溶融混合させ、これらの材
料を均一に分散した後、微粉砕装置により微粉砕物を
得、その後、微粉砕物を分級機を用いて分級し、所望の
粒径を有するトナー(樹脂着色剤分散体)を得る、所謂
粉砕法によって製造されている。
【0004】上記の粉砕法によるトナーの製造方法によ
れば、かなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制
限、即ちトナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば
樹脂着色剤分散体が十分に脆く、経済的に可能な製造装
置で微粉砕し得るものでなくてはならない。ところが、
こういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆く
すると、実際に高速で微粉砕した場合に形成された粒子
の粒径範囲が広くなり易く、特に比較的大きな割合の微
粒子がこれに含まれるという問題が生ずる。さらに、こ
のように脆性の高い材料は、複写機等現像用に使用する
際、さらなる微粉砕ないしは粉化を受け易い。また、こ
の方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均
一に分散することは困難であり、その分散の度合によっ
ては、カブリの増大、画像濃度の低下や混色性・透明性
の不良の原因となるので、分散に注意を払わなければな
らない。また、破断面に着色剤が露出することにより、
現像特性に変動を引き起こす場合もある。
【0005】一方、これら粉砕法によるトナーの問題点
を克服するため、特公昭36−10231号、特公昭4
3−10799号及び特公昭51−14895号公報等
に、懸濁重合法トナーやその製造方法が提案されてい
る。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、着
色剤、重合開始剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御
剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて重合性
単量体組成物を作製した後、該単量体組成物を分散安定
剤を含有する連続相、例えば水相中に適当な撹拌機を用
いて分散させて、同時に重合反応を行って、所望の粒径
を有するトナー粒子を得ている。
【0006】このような重合方法を利用したトナーの製
造方法は、粉砕工程を含まないため、粉砕方法によって
製造する場合のように、トナーの形成材料に脆性が要求
されることがないので、軟質の材料を使用することがで
きる。また、分級工程の省略をも可能にするため、エネ
ルギーの節約、製造時間の短縮、工程収率の向上等、コ
スト削減効果が大きい。
【0007】また、近年の複写機やプリンターの高画質
化、フルカラー化、省エネルギー化等トナー自体の多機
能化が要求されている。例えば、高画質化にともない高
解像度・デジタル方式に対応するトナー粒子の微小粒径
化、フルカラー化にともなうOHP画像の透明性の向
上、省エネルギー化にともなう低温定着化に対応するた
めトナー中に低軟化点物質の含有、転写材への転写効率
の向上に有効であるトナー粒子の形状化等が要求されて
おり、これらの要求を実現する手段として重合法による
トナーが挙げられる。
【0008】フルカラー画像用のトナーに用いる荷電制
御剤としては、カルボキシル基を含有する化合物が良
く、重合トナーの場合、重合性単量体中に分散させて用
いられる。色の影響を考慮すると、無色または、白色ま
たは淡色の結晶状態のものが好ましく、特に、アルキル
サリチル酸の金属錯体または、錯塩または、錯体と錯塩
の混合物がカラートナー用に好ましく用いられる。
【0009】しかしながら、重合法においては、水中で
の造粒・重合工程が必要となり、その際、重合性単量体
中に分散あるいは溶解した物質が水に対して溶解性を有
する場合、あるいは不安定な場合には、その物質が水中
に溶解し、その物質の効果が十分に働かなくなるだけで
なく、溶解した分解不純物がトナー表面に付着し、帯電
性の阻害や、流動性の悪化を起こす等の弊害を生じるこ
とが明らかになった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のごとき問題を解決したトナーの製造方法を提供するこ
とにある。
【0011】詳しくは、本発明の目的は、懸濁重合法に
よるトナーの製造において、荷電制御剤などの添加剤に
起因する水中への溶解物の除去効果の良好なトナーの製
造方法を提供することにある。
【0012】また、本発明の目的は、環境安定性が良
く、画像濃度変化やカブリのないトナーを得るトナーの
製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、荷電
制御剤であるアルキルサリチル酸の金属錯体または錯
塩、または錯体と錯塩の混合物の分解生成物や他の添加
剤の水中への溶解物の残留分の少ない重合トナーの製造
方法を鋭意検討した結果、重合終了後の酸洗浄工程、及
び、その後の洗浄工程に着目し、酸洗浄工程後の水洗浄
工程において、35℃以上、かつ、着色重合体粒子のガ
ラス転移点Tg−10℃以下の温度の温水で洗浄し、脱
水すること、もしくは、酸洗浄工程自体を35℃以上、
かつ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下
の一定温度に加温して行うことにより、荷電制御剤であ
るアルキルサリチル酸の金属錯体または、錯塩または、
錯体と錯塩の混合物の分解生成物や他の添加剤の水中へ
の溶解物の除去効果が良く、かつ、低コストな製造方法
を提供することを見出し、本発明に達した。
【0014】即ち、本発明は、少なくとも重合性単量体
及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散
媒体中で懸濁させて重合を行い、着色重合体粒子を生成
させた後、酸洗浄を行い、脱水後、35℃以上、かつ、
着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下の温度
の温水で洗浄し、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子
を乾燥することを特徴とするトナーの製造方法である
(第1発明)。
【0015】また、本発明は、少なくとも重合性単量体
及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系分散
媒体中で懸濁させて重合を行い、着色重合体粒子を生成
させた後、35℃以上、かつ、着色重合体粒子のガラス
転移点Tg−10℃以下の一定温度に加温し、酸洗浄を
行った後、脱水し、さらに水洗浄後、脱水し、得られた
湿潤着色重合体粒子を乾操することを特徴とするトナー
の製造方法である(第2発明)。
【0016】ここで、本発明の第1発明のフローチャー
トは図1のように示され、第2発明のフローチャートは
図2のように示される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のトナーの製造方法
の好ましい形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明のトナー製造方法においては、以下
の如き製造方法によって具体的にトナーを製造すること
が可能である。
【0019】即ち、重合性単量体中に低軟化点物質から
なる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の
添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によっ
て均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤
を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー,
ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量
体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌
速度,時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の
作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防
止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以
上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行
うのが良い。また、重合反応後半に昇温しても良く、更
に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性
単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、
反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了
後、生成したトナー粒子を本発明の洗浄方法によって洗
浄・脱水した後、乾燥することにより製品とする。
【0020】懸濁重合法においては、通常単量体系10
0重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒と
して使用するのが好ましい。
【0021】本発明に係る重合トナーにおいて、特に分
散剤を用いた懸濁重合を利用する場合用いる分散剤とし
ては、無機化合物として、リン酸三カルシウム,リン酸
マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸
カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水
酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カ
ルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイ
ト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。これら安定化剤
は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜20重
量部を使用することが好ましい。
【0022】これら安定化剤の中で、無機化合物を用い
る場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい
粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成さ
せても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹
拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウ
ム水溶液を混合すると良い。
【0023】また、これら安定化剤の微細な分散の為
に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を使用して
もよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進す
る為のものであり、その具体例としては、ドデシルベン
ゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,
オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステア
リン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられ
る。
【0024】本発明で重要な点は、重合が実質的に終了
した後の洗浄工程にある。通常は、重合が終了した後、
30℃程度の室温にまで冷却した後、酸洗浄を行い、脱
水し、さらに水洗浄・脱水することにより、上記無機化
合物の安定化剤を除去を行う。
【0025】本発明の1つの方法(第1発明;図1)
は、重合が終了し、冷却した着色重合体粒子スラリーに
酸を加え、撹拌し、無機化合物の安定化剤を溶解させた
後、固液分離することにより、無機化合物の安定化剤を
除去する。
【0026】用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭
化水素酸、クロム酸、ヨウ化水素酸、亜硫酸、クエン
酸、酢酸、ホウ酸、炭酸、フッ酸、リン酸、亜硝酸等が
挙げられるが、塩酸、硫酸、硝酸等が価格や取扱の点で
好ましい。
【0027】また、酸添加後のpHは、3以下、より好
ましくは2以下が無機化合物の安定化剤の除去効果が高
く、好ましい。
【0028】酸洗浄の時間は、数10分から3時間が好
ましく、10分以下では、無機化合物の安定化剤の除去
効果が低く、3時間以上行っても、それ以上の除去効果
は得られない。
【0029】固液分離は、市販の固液分離装置で行える
が、後工程の洗浄をケーキヘの注水で行うことができ、
乾燥装置へ供給できるケーキを排出することが容易な、
加圧ろ過方式の装置:例えば、SPフィルター((株)
ニッセン製)や、KFフィルター(三進製作所製)、も
しくはフィルタープレス(各社)等が好ましく用いれ
る。
【0030】さらに、固液分離装置中に残った、着色重
合体粒子ケーキに、35℃以上、かつ、着色重合体粒子
のガラス転移点Tg−10℃以下の温度の温水を注水す
ることにより、着色重合体粒子ケーキに付着した無機化
合物の安定化剤を除去すると同時に、荷電制御剤である
アルキルサリチル酸の金属錯体または、錯塩または、錯
体と錯塩の混合物の分解生成物や他の添加剤の水中への
溶解物の除去を行うものである。
【0031】着色重合体粒子ケーキに温水を加え、撹拌
し、リスラリーした後に、再度固液分離装置で固液分離
をすれば、除去効果は高い。だが、工程が煩雑になりコ
スト上の問題から、固液分離装置中に残った着色重合体
粒子ケーキに、35℃以上、かつ、着色重合体粒子のガ
ラス転移点Tg−10℃以下の温度の温水を注水し、脱
水することが望ましい。
【0032】注水する温水の量は、固液分離をしたスラ
リー1重量部に対して1から5重量部が好ましい。
【0033】注水する温水の温度が35℃よりも低い場
合には、注水する(温)水の量を、固液分離をしたスラ
リー1重量部に対して5重量部以上注水しても、荷電制
御剤であるアルキルサリチル酸の金属錯体または、錯塩
または、錯体と錯塩の混合物の分解生成物や他の添加剤
の水中への溶解物を完全に除去することは難しく、生産
効率が悪い。
【0034】また、注水する温水の温度が着色重合体粒
子のガラス転移点Tg−10℃よりも高い場合には、着
色重合体粒子ケーキがブロッキングしてしまい、脱水
後、解砕し、乾燥して得られた着色重合体粒子表面は凹
凸になり、重合粒子特有の球形度を損なってしまう。
【0035】本発明のもう1つの方法(第2発明;図
2)は、重合が終了した着色重合体粒子スラリーを35
℃以上、かつ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−1
0℃以下の温度に保ちながら、酸を加え、撹拌し、無機
無機化合物の安定化剤並びに荷電制御剤であるアルキル
サリチル酸の金属錯体または、錯塩または、錯体と錯塩
の混合物の分解生成物や他の添加剤の水中への溶解物を
溶解させた後、固液分離することにより除去する。
【0036】さらに、固液分離装置中に残った着色重合
体粒子ケーキに、注水をすることにより、着色重合体粒
子ケーキに付着した無機化合物の安定化剤や荷電制御剤
であるアルキルサリチル酸の金属錯体または、錯塩また
は、錯体と錯塩の混合物の分解生成物や他の添加剤の水
中への溶解物の除去を十分に行うものである。
【0037】酸洗浄をする温度が35℃より低い場合に
は、前述の場合のように、酸洗浄後の水洗いを特定の温
度で行わないと、荷電制御剤であるアルキルサリチル酸
の金属錯体または、錯塩または、錯体と錯塩の混合物の
分解生成物や他の添加剤の水中への溶解物を完全に除去
することは難しい。
【0038】一方、酸洗浄をする温度が、着色重合体粒
子のガラス転移点Tg−10℃よりも高い場合には、着
色重合体粒子が凝集してしまい、固液分離装置への供給
が連続的にできなくなってしまう。また、脱水後、解砕
し、乾操して得られた着色重合体粒子表面は凹凸にな
り、重合粒子特有の球形度を損なってしまう。
【0039】また、酸洗浄をする温度を、35℃以上、
かつ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−10℃以下
のある一定の温度に保って酸洗浄を行うことにより、荷
電制御剤であるアルキルサリチル酸の金属錯体または、
錯塩または、錯体と錯塩の混合物の分解生成物を一定量
に保って、洗浄することができるため、荷電制御剤であ
るアルキルサリチル酸の金属錯体または、錯塩または、
錯体と錯塩の混合物の分解生成物による荷電制御を任意
に設定することができる。
【0040】本発明においては、酸洗浄を行った後、脱
水し、さらに水洗浄後、脱水し、得られた湿潤着色重合
体粒子ケーキを解砕し、乾燥することにより、製品とす
る。
【0041】本発明によるトナーは、高画質化のためよ
り微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナーも
より微小粒径の、具体的にはコールターカウンターによ
り測定された重量平均径が4〜8μmで個数変動係数が
35%以下のトナーが最も好ましい。重量平均径が4μ
m未満のトナーにおいては、転写効率の悪さから感光体
や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ,
転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となり好まし
くない。また、トナーの重量平均径が8μmを超える場
合には、部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動
係数が35%を超えると更にその傾向が強まり問題とな
る。
【0042】本発明に係るトナーに用いられる低軟化点
物質としては、ASTM D3418−8に準拠し測定
された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物
が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点
物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセ
ット性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。
一方、極大ピークが90℃を超えると定着温度が高くな
り、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難と
なり混色性の点から好ましくない。更に直接重合方法に
よりトナーを得る場合においては、水系で造粒・重合を
行うため、極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に
低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ま
しくない。
【0043】上記の極大ピーク値の温度の測定には、例
えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検
出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量
の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプ
ルは、アルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセッ
トし、昇温速度10℃/分で測定を行う。
【0044】具体的にはパラフィンワックス,ポリオレ
フィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,
アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこ
れらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等
が利用できる。好ましくは下記一般構造式で示す炭素数
が10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するエステ
ルワックスが、OHPの透明性を阻害せずに高温オフセ
ット性に効果を有するので本発明においては特に好まし
い。本発明に好ましい具体的なエステルワックスの代表
的化合物の構造式を以下に一般構造式,一般構造式
及び一般構造式として示す。
【0045】
【化1】 (式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4で
あり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、
且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、
n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0に
なることはない。)
【0046】
【化2】 (式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4で
あり、R1は炭素数が1〜40の有機基を示し、n及び
mは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になるこ
とはない。)
【0047】
【化3】 (式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3以
下であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示
し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示
し、R3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは
0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることは
ない。)
【0048】本発明で好ましく用いられるエステルワッ
クスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。
エステルワックスの硬度は、直径20mmφで厚さが5
mmの円筒形状のサンプルを作製した後、例えば島津製
作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を
用いビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、
0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で
10μm変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形
状を測定しビッカース硬度を求める。エステルワックス
の硬度が0.5未満では定着器の圧力依存性及びプロセ
ススピード依存性が大きくなり、耐高温オフセット効果
の発現が不十分となりやすく、他方5.0を超える場合
ではトナーの保存安定性に乏しく、ワックス自身の自己
凝集力も小さいため同様に耐高温オフセットが不十分と
なりやすい。具体的化合物としては、下記化合物が挙げ
られる。
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】近年フルカラー両面画像の必要性も増して
きており、両面画像を形成せしめる際においては、最初
に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画
像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能
性があり、よりトナーの耐高温オフセット性を十分に考
慮する必要がある。その為にも本発明においては、多量
の低軟化点物質の添加が必須となる。具体的には、低軟
化点物質をトナー中に5〜40重量%添加することが好
ましい。5重量%未満の添加では十分な耐高温オフセッ
ト性を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画
像がオフセット現象を示す傾向がある。また40重量%
を超える場合は、造粒時にトナー粒子同士の合一が起き
やすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明に
は不適当であった。
【0054】本発明のトナー粒子を製造する方法として
は、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53
856号公報、特開昭59−61842号公報に述べら
れている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方
法を用いトナーを製造することが可能である。
【0055】本発明においては、一旦得られた重合粒子
に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合
せしめる所謂シード重合方法も本発明に好適に利用する
ことができる。
【0056】また、本発明においては、定着性の観点か
ら多量の低軟化点物質をトナー粒子に含有せしめる必要
性から、必然的に低軟化点物質を外殻樹脂中に内包化せ
しめる必要がある。低軟化点物質を内包化せしめる具体
的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量
体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極
性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化
点物質を外殻樹脂で被覆した所謂コア−シェル構造を有
するトナー粒子を得ることができる。トナー粒子の粒度
分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロ
イド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法や機
械的装置条件、例えばローターの周速,パス回数,撹拌
羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固
形分濃度等を制御することにより所定の本発明のトナー
粒子を得ることができる。
【0057】本発明においてトナー粒子の断層面を測定
する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中
にトナーを十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2
日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必
要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、
ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサ
ンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナ
ー粒子の断層形態を測定した。本発明においては、用い
る低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化
度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため
四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。代
表的な一例を図3に示す。明らかに低軟化点物質が外殻
樹脂で内包化されていることが観測された。
【0058】上記重合トナーに使用できる重合性単量体
としては、スチレン,o(m−,p−)−メチルスチレ
ン,m(p−)−エチルスチレン等のスチレン系単量
体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エ
チル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル
酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アク
リル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メ
タ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチ
ル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプ
レン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,ア
クリル酸アミド等のビニル系単量体が好ましく用いられ
る。これらは、単独または一般的には出版物ポリマーハ
ンドブック第2版III−p139〜192(John
Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス温度
(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を適宜混
合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場
合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面
から問題が生じ、一方75℃を超える場合は定着点の上
昇をもたらし、特にフルカラートナーの場合においては
各色トナーの混色が不十分となり色再現性に乏しく、更
にOHP画像の透明性を著しく低下させ高画質の面から
好ましくない。
【0059】本発明においては、外殻樹脂中に低軟化点
物質を内包化せしめるため外殻樹脂の他に更に極性樹脂
を添加せしめることが特に好ましい。本発明に用いられ
る極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の
共重合体,マレイン酸共重合体,飽和ポリエステル樹
脂,エポキシ樹脂が好ましく用いられる。該極性樹脂
は、外殻樹脂又は単量体と反応しうる不飽和基を分子中
に含まないものが特に好ましい。不飽和基を有する極性
樹脂を含む場合においては、外殻樹脂層を形成する単量
体と架橋反応が起きフルカラー用トナーとしては、極め
て高分子量になり四色トナーの混色には不利となり好ま
しくない。
【0060】本発明に用いられる着色剤は、黒色着色剤
としてカーボンブラック,磁性体,以下に示すイエロー
/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたもの
が利用される。
【0061】イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合
物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,
アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代
表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピ
グメントイエロー12、13、14、15、17、6
2、74、83、93、94、95、109、110、
111、128、129、147、168等が好適に用
いられる。
【0062】マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合
物,ジケトピロロピロール化合物,アンスラキノン,キ
ナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール
化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合
物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.
I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、4
8:2、48:3、48:4、57:1、81:1、1
22、144、146、166、169、177、18
4、185、202、206、220、221、254
が特に好ましい。
【0063】シアン着色剤としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物,塩基染
料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.
ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、
15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に
利用できる。
【0064】これらの着色剤は、単独又は混合し更には
固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤
は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性,トナ
ー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量
は、樹脂100重量部に対し1〜20重量部添加して用
いられる。
【0065】黒色着色剤として磁性体を用いた場合に
は、他の着色剤と異なり、樹脂100重量部に対し40
〜150重量部添加して用いられる。
【0066】本発明に用いられる荷電制御剤としては、
公知のものが利用できるが、フルカラー画像用のトナー
に用いる荷電制御剤としては、カルボキシル基を含有す
る化合物が良く、重合トナーの場合、重合性単量体中に
分散させて用いられる。色の影響を考慮すると、無色ま
たは、白色または淡色の結晶状態のものが好ましく、特
に、アルキルサリチル酸の金属錯体または錯塩または、
錯体と錯塩の混合物がカラートナー用に好ましく用いら
れる。
【0067】本発明に係る重合トナーに使用できる重合
開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサ
ン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス
イソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始
剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペル
オキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ク
メンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイル
ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系
重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目
的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対
し0.5〜20重量%添加され用いられる。重合開始剤
の種類は、重合方法により若干異なるが、10時間半減
期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
【0068】重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖
移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能で
ある。
【0069】本発明の着色重合体粒子のガラス転移点T
gはDSC測定により求められる。
【0070】DSC測定では、測定原理から、高精度の
内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好
ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が
利用できる。
【0071】測定方法は、ASTM D3418−82
に準じて行う。測定は、1回昇温、降温させ前履歴を取
った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測
定されるDSC曲線を用いる。
【0072】トナーの粒度分布は種々の方法によって測
定できるが、本発明においてはコールターマルチサイザ
ーを用いて行った。
【0073】測定装置としてはコールターマルチサイザ
ー(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均
分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC
9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続
して電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl
水溶液を調製する。
【0074】測定法としては前記電解水溶液100〜1
50ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアル
キルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さら
に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解
液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記
コールターカウンターTA−II型により、アパチャー
として100μmアパチャーを用いて、個数を基準とし
て2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それから
各種値を求める。
【0075】また、平均円形度は、フロー式粒子像分析
装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)で測定し
た。測定法としては、イオン交換水約20ml中に分散
剤として界面活性剤、好ましくは、アルキルベンゼンス
ルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に、試料を
2〜20mg加える。次に、試料を懸濁したイオン交換
水を超音波分散機(エスエステー社製UH−150型:
出力150W、周波数20kHz、チップ先端径12m
m)で150秒間分散処理を行い、前記FPIA−10
00で測定を行った。
【0076】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本
発明を更に具体的に説明する。
【0077】<実施例1>まず、イオン交換水710重
量部に0.1モル/リットル−Na3PO4(米山化学社
製)水溶液450重量部を投入し60℃に加温した後、
クリアミキサー(エム・テクニック社製)を用いて3,
500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リッ
トル−CaCl2水溶液68重量部を添加し、Ca3(P
42を含むpH6.0の水系媒体を得た。
【0078】一方、分散質としては、まず、下記処方の
うち、C.I.ピグメントレッド122、ジアルキルサ
リチル酸アルミニウム化合物とスチレン単量体100重
量部をアトライター(三井三池化工機製)を用い3時間
分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に下
記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間
溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8重量部を
溶解し、重合性単量体組成物を調製した。 ・スチレン単量体 165重量部 ・n−ブチルアクリレート 35重量部 ・C.I.ピグメントレッド122 15重量部 ・飽和ポリエステル 15重量部 ・ジアルキルサリチル酸アルミニウム化合物 2重量部 ・化合物(1) 25重量部 (DSCにおけるピーク温度59.4℃,ビッカース硬度1.5)
【0079】上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒
中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。そ
の後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変
え、内温を60℃に昇温させ50回転/分で重合を5時
間継続させた後、内温を80℃に昇温させ8時間重合を
継続させた。重合終了後、スラリーを30℃まで冷却し
た。着色重合体粒子スラリーを洗浄容器に移し、撹拌し
ながら、希塩酸を添加し、pHl.5で2時間撹拌し、
Ca3(PO42を溶解させた後、加圧ろ過方式の装置
KFフィルター(三進製作所製)で固液分離を行った。
尚、得られた着色重合体粒子のガラス転移点は、59℃
であった。
【0080】次に、40℃の温水を、KFフィルター中
に残った着色重合体粒子ケーキに、導入したスラリー量
の3倍量注水した。さらに脱水した後、解砕し、乾燥を
行った。
【0081】乾燥後の着色重合体粒子表面に付着残存し
ている荷電制御剤の不純物及び、分解物の濃度を以下の
ようにして求めた。着色重合体粒子1.0gを0.1規
定の水酸化ナトリウム水溶液50g中に投入し、3時間
撹拌させた後、ろ過によって得られた濾液を吸光度測定
法により所定の検量線を用い測定した。その結果、15
00ppmであった。
【0082】また、着色重合体粒子の重量平均粒径は
6.8μmであった。その着色重合体粒子の断層写真の
模式図を図3に示す。低軟化点物質である化合物(1)
が外殻樹脂で覆われた構造を示している。
【0083】得られた着色重合体粒子100重量部に対
し、平均粒径0.03μmの疎水性シリカ0.8重量部
と平均粒径0.05μmの酸化チタン0.3重量部を添
加してヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
【0084】このトナー5重量部に対し、アクリルコー
トされたフェライトキャリア95重量部を混合し、現像
剤とした。
【0085】この現像剤を用いて、キヤノン製カラー複
写機CLC500改造機を用いて23℃/65%RHの
環境下で画出し試験を行ったところ、1万枚耐久におい
ても、初期と耐久後の画像濃度に変化がなく、中抜けの
ない高画質の画が得られた。また、有機半導体である感
光体に、トナー融着、メモリーゴーストのような問題を
生じなかった。さらに両面画像を形成させたが、転写材
の表裏面共にオフセットの発生は認められなかった。
【0086】また、下記の方法により求めた転写効率
は、98%であった。
【0087】[転写効率]10cm2のベタ画像を感光
体上に形成し、感光体上のトナーの量(W1)と、転写
後の紙上のトナーの量(W2)を用い、両者の比:W2
/W1×100(%)より算出した。
【0088】また、30℃/80%RHの環境下で同様
な画出し試験を行ったところ、同様な結果が得られた。
【0089】<実施例2>酸洗浄後の固液分離をフィル
タープレス(則武鉄鋼所製)で行い、45℃の温水をフ
ィルタープレス中に残った着色重合体粒子ケーキに、導
入したスラリー量の4倍量注水した以外は実施例1と同
様に行った。乾燥後の着色重合体粒子表面に付着残存し
ている荷電制御剤の不純物及び、分解物の濃度は、18
00ppmであった。
【0090】実施例1と同様に得られた着色重合体粒子
100重量部に対し、平均粒径0.03μmの疎水性シ
リカ0.8重量部と平均粒径0.05μmの酸化チタン
0.3重量部を添加してヘンシェルミキサーで混合しト
ナーとした。
【0091】このトナー5重量部に対し、アクリルコー
トされたフェライトキャリア95重量部を混合し、現像
剤とした。さらに、この現像剤を用いて、実施例1と同
様の画出し評価を行ったところ、実施例1と同様に良好
な画像が得られた。
【0092】<比較例1>酸洗浄後の固液分離を加圧ろ
過方式の装置KFフィルターで行い、5℃の水をKFフ
ィルターで中に残った着色重合体粒子ケーキに、導入し
たスラリー量の5倍量注水した以外は実施例1と同様に
行った。乾燥後の着色重合体粒子表面に付着残存してい
る荷電制御剤の不純物及び、分解物の濃度は、3800
ppmであった。
【0093】実施例1と同様に得られた着色重合体粒子
100重量部に対し、平均粒径0.03μmの疎水性シ
リカ0.8重量部と平均粒径0.05μmの酸化チタン
0.3重量部を添加してヘンシェルミキサーで混合しト
ナーとした。
【0094】このトナー5重量部に対し、アクリルコー
トされたフェライトキャリア95重量部を混合し、現像
剤とした。さらに、この現像剤を用いて、実施例1と同
様の画出し評価を行ったところ、23℃/65%RHの
環境下では、実施例1よりも若干濃度が低いものの良好
な画像が得られたが、30℃/80%RHの環境下で
は、次第に画像濃度が低くなり、カブリが顕著になっ
た。
【0095】<比較例2>酸洗浄後の固液分離をフィル
タープレス(則武鉄鋼所製)で行い、15℃の水をフィ
ルタープレス中に残った着色重合体粒子ケーキに、導入
したスラリー量の8倍量注水した以外は実施例1と同様
に行った。乾操後の着色重合体粒子表面に付着残存して
いる荷電制御剤の不純物及び、分解物の濃度は、350
0ppmであった。
【0096】実施例1と同様に得られた着色重合体粒子
100重量部に対し、平均粒径0.03μmの疎水性シ
リカ0.8重量部と平均粒径0.05μmの酸化チタン
0.3重量部を添加してヘンシェルミキサーで混合しト
ナーとした。
【0097】このトナー5重量部に対し、アクリルコー
トされたフェライトキャリア95重量部を混合し、現像
剤とした。さらに、この現像剤を用いて、実施例1と同
様の画出し評価を行ったところ、比較例1と同様な結果
となった。
【0098】<比較例3>酸洗浄後の固液分離を加圧ろ
過方式の装置KFフィルターで行い、60℃の温水をフ
ィルタープレス中に残った着色重合体粒子ケーキに、導
入したスラリー量の3倍量注水した以外は実施例1と同
様に行った。
【0099】乾燥した着色重合体粒子を、電子顕微鏡で
観察したところ、表面が凹凸であることが観察された。
また、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA
−1000を用いて測定を行い、平均円形度を算出した
ところ、実施例1、2及び比較例1、2の着色重合体粒
子は、0.970以上と円形であることを示したのに対
し、この比較例3の着色重合体粒子は、0.935と、
表面が凹凸であることを示した。
【0100】実施例1と同様に得られた着色重合体粒子
100重量部に対し、平均粒径0.03μmの疎水性シ
リカ0.8重量部と平均粒径0.05μmの酸化チタン
0.3重量部を添加してヘンシェルミキサーで混合しト
ナーとした。
【0101】このトナー5重量部に対し、アクリルコー
トされたフェライトキャリア95重量部を混合し、現像
剤とした。さらに、この現像剤を用いて、実施例1と同
様の画出し評価を行ったところ、転写効率は85%と低
く、また、転写中ぬけによる画像欠陥が見られ、実用に
は値しない画像であった。
【0102】上記実施例1〜2及び比較例1〜3の結果
を比較のためにまとめると表1のようになる。
【0103】
【表1】
【0104】<実施例3>まず、イオン交換水710重
量部に0.1モル/リットル−Na3PO4(ラサ工業社
製)水溶液450重量部を投入し60℃に加温した後、
クリアミキサーを用いて3,500回転/分にて撹拌し
た。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液6
8重量部を添加し、Ca3(PO42を含むpH10.
5の水系媒体を得た。
【0105】一方、分散質としては、まず、下記処方の
うち、銅フタロシアニン顔料、結晶性ジアルキルサリチ
ル酸の亜鉛錯体とスチレン単量体100重量部をアトラ
イター(三井三池化工機製)を用い3時間分散し、着色
剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に上記処方の残り
すべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合し
た。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)8重量部を溶解
し、重合性単量体組成物を調製した。 ・スチレン単量体 160重量部 ・n−ブチルアクリレート 40重量部 ・銅フタロシアニン顔料 15重量部 ・飽和ポリエステル 20重量部 ・結晶性ジアルキルサリチル酸の亜鉛錯体 3重量部 ・化合物(1) 25重量部 (DSCにおけるピーク温度59.4℃,ビッカース硬度1.5)
【0106】上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒
中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。そ
の後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変
え、内温を60℃に昇温させ50回転/分で重合を5時
間継続させた後、内温を80℃に昇温させ8時間重合を
継続させた。重合終了後、スラリーを45℃まで冷却し
た。着色重合体粒子スラリーを洗浄容器に移し、撹拌し
ながら、希塩酸を添加し、pH1.8で45℃に温度を
保ったまま2時間撹拌し、Ca3(PO42を溶解させ
た後、加圧ろ過方式の装置KFフィルター(三進製作所
製)で固液分離を行った。尚、得られた着色重合体粒子
のガラス転移点は、56℃であった。
【0107】次に、15℃の水を、KFフィルター中に
残った着色重合体粒子ケーキに、導入したスラリー量の
3倍量注水した。さらに脱水した後、解砕し、乾燥を行
った。
【0108】乾燥後の着色重合体粒子表面に付着残存し
ている荷電制御剤の不純物及び、分解物の濃度を求めた
結果、200ppmであった。また、着色重合体粒子の
重量平均粒径は6.5μmであった。
【0109】この得られた着色重合体粒子100重量部
に対し、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ115
重量部を添加してヘンシェルミキサーで混合し、本実施
例のトナーとした。
【0110】このトナーを用いて、中間転写体を備えた
キヤノン製カラーレーザージェットプリンター(カラー
レーザーショット−2030改造機)を用いて23℃/
65%RHの環境下で画出し試駿を行ったところ、5,
000枚耐久においても、初期と耐久後の画像濃度に変
化がなく、中抜けのない高画質の画像が得られた。
【0111】また、30℃/80%RHの環境下で同様
な画出し試験を行ったところ、同様な結果が得られた。
【0112】<実施例4>重合終了後、スラリーを35
℃まで冷却し、着色重合体粒子スラリーを洗浄容器に移
し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.8で35
℃に温度を保ったまま2時間撹拌し、Ca3(PO42
を溶解させた後、加圧ろ過方式の装置KFフィルター
(三進製作所製)で固液分離を行った以外は、実施例3
と同様に行った。乾操後の着色重合体粒子表面に付着残
存している荷電制御剤の不純物及び、分解物の濃度は、
500ppmであった。
【0113】実施例3と同様に得られた着色重合体粒子
をトナー化し、さらに、このトナーを用いて、実施例3
と同様の画出し評価を行ったところ、実施例3と同様に
良好な画像が得られた。
【0114】<比較例4>重合終了後、スラリーを20
℃まで冷却し、着色重合体粒子スラリーを洗浄容器に移
し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.8で20
℃に温度を保ったまま2時間撹拌し、Ca3(PO42
を溶解させた後、加圧ろ過方式の装置KFフィルターで
固液分離を行った以外は、実施例3と同様に行った。乾
操後の着色重合体粒子表面に付着残存している荷電制御
剤の不純物及び、分解物の濃度は、3200ppmであ
った。
【0115】実施例3と同様に得られた着色重合体粒子
をトナー化し、さらに、このトナーを用いて、実施例3
と同様の画出し評価を行ったところ、30℃/80%R
Hの環境下で画像濃度の低下および、カブリの増加がみ
られた。
【0116】<比較例5>重合終了後、スラリーを55
℃まで冷却し、着色重合体粒子スラリーを洗浄容器に移
し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.8にした
ところ、スラリー中の着色重合体粒子は凝集沈殿を起こ
した。これを、強制的に加圧ろ過方式の装置KFフィル
ターで固液分離を行った以外は、実施例3と同様に行っ
た。この着色重合体粒子の粒径は、10数μmの不均一
なものとなり、トナーとして所望のものが得られなかっ
た。
【0117】上記実施例3〜4及び比較例1〜2の結果
を比較のためにまとめると表2のようになる。
【0118】
【表2】
【0119】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、懸濁重
合法によって得られた着色重合体粒子から、無機化合物
の安定化剤や荷電制御剤であるアルキルサリチル酸の金
属錯体または、錯塩または、錯体と錯塩の混合物の分解
生成物や他の添加剤の水中への溶解物を効率良く除去を
行い、環境安定性の良く、画像濃度変化及びカブリのな
いトナーを得るトナーの製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1発明のフローチャートを示す図で
ある。
【図2】本発明の第2発明のフローチャートを示す図で
ある。
【図3】実施例1のトナー粒子の断面を示す模式図であ
る。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも重合性単量体及び着色剤を含
    有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で懸濁さ
    せて重合を行い、着色重合体粒子を生成させた後、酸洗
    浄を行い、脱水後、35℃以上、かつ、着色重合体粒子
    のガラス転移点Tg−10℃以下の温度の温水で洗浄
    し、脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を乾燥するこ
    とを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 該重合性単量体組成物が、アルキルサリ
    チル酸の金属化合物を含有することを特徴とする請求項
    1に記載のトナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 該アルキルサリチル酸の金属化合物が、
    低結晶性または非結晶性のアルキルサリチル酸の金属錯
    塩または金属錯体、または金属錯塩と金属錯体の混合物
    であることを特徴とする請求項2に記載のトナーの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 酸洗浄後の洗浄が、脱水ケーキへの注水
    によって行われることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載のトナーの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記着色重合体粒子が、低軟化点物質を
    5〜40重量%含有しており、透過型電子顕微鏡を用い
    たトナーの断層面測定方法で、低軟化点物質が外殻樹脂
    層で内包化されていることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記着色重合体粒子が含有する低軟化点
    物質が、炭素数10以上の長鎖エステル部分を1個以上
    有するエステルワックスであることを特徴とする請求項
    5に記載のトナーの製造方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも重合性単量体及び着色剤を含
    有する重合性単量体組成物を、水系分散媒体中で懸濁さ
    せて重合を行い、着色重合体粒子を生成させた後、35
    ℃以上、かつ、着色重合体粒子のガラス転移点Tg−1
    0℃以下の一定温度に加温し、酸洗浄を行った後、脱水
    し、さらに水洗浄後、脱水し、得られた湿潤着色重合体
    粒子を乾燥することを特徴とするトナーの製造方法。
  8. 【請求項8】 該重合性単量体組成物が、アルキルサリ
    チル酸の金属化合物を含有することを特徴とする請求項
    7に記載のトナーの製造方法。
  9. 【請求項9】 該アルキルサリチル酸の金属化合物が、
    低結晶性または非結晶性のアルキルサリチル酸の金属錯
    塩または金属錯体、または金属錯塩と金属錯体の混合物
    であることを特徴とする請求項8に記載のトナーの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 酸洗浄後の水洗浄が、脱水ケーキへの
    注水によって行われることを特徴とする請求項7乃至9
    のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記着色重合体粒子が、低軟化点物質
    を5〜40重量%含有しており、透過型電子顕微鏡を用
    いたトナーの断層面測定方法で、低軟化点物質が外殻樹
    脂層で内包化されていることを特徴とする請求項7乃至
    10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記着色重合体粒子が含有する低軟化
    点物質が、炭素数10以上の長鎖エステル部分を1個以
    上有するエステルワックスであることを特徴とする請求
    項11に記載のトナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7517631B2 (en) 2003-03-12 2009-04-14 Zeon Corporation Method for manufacturing polymerized toner

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