JP3960234B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波加熱装置のインバータの冷却構成に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の高周波加熱装置のインバータの冷却構成を示すものがある。
【0003】
図5において、1はマグネトロン、2はインバータ、3は冷却手段、4はオリフィスである。冷却手段3により発生した冷却風はオリフィス4で冷却手段3の軸方向に整流され、マグネトロン1とインバータ2を冷却する(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−31562号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
現在の高周波加熱装置はスピード調理に伴う高出力化が求められており、高出力化は同時に入力電力の増大と、入力電力の増大によるインバータの半導体スイッチング素子や半導体整流素子の発熱を増大させることになる。
【0006】
しかしながら、前記従来の構成のようにインバータ2全体に均一に冷却風を吹き付けていたのではインバータの半導体スイッチング素子や半導体整流素子の出力アップに伴なう発熱を抑制しきれず、熱破壊に至り、インバータが機能しなくなる課題があった。
【0007】
また、冷却手段3の容量を上げることによっても冷却効果を上げることができるが、冷却手段3で発生する騒音も大きくなり、使用者に不快感を与えてしまう課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷却手段3の容量を上げることなく、インバータ2をより効率良く冷却するもので、冷却効率を向上させることにより従来課題になっていた高出力化に伴うインバータ2の発熱を抑制し、高出力化を実現できる高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、放熱フィンを備えたインバータと、前記インバータから電力を供給されて高周波を発生するマグネトロンと、前記インバータと前記マグネトロンを冷却する冷却手段と、前記冷却手段により発生した冷却風を整流するエアガイドを冷却手段の排気側に備え、前記冷却手段はプロペラファンで構成し、かつ、前記エアガイドは前記プロペラファンの略中心軸より下半分の冷却風を引き込み、エアガイドの排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した外部隔壁を形成するとともに、冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁を形成したものである。
【0010】
これによって、高周波加熱装置の動作時に発熱する部品や温度の高い部材に風速・風圧を上げた冷却風を集中的に効率よく吹き付けることができ、冷却効果を向上させることができる。さらに、冷却手段の容量を上げることによる騒音の増大も防ぐことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、放熱フィンを備えたインバータと、前記インバータから電力を供給されて高周波を発生するマグネトロンと、前記インバータと前記マグネトロンを冷却する冷却手段と、前記冷却手段により発生した冷却風を整流するエアガイドを冷却手段の排気側に備え、前記冷却手段はプロペラファンで構成し、かつ、前記エアガイドは前記プロペラファンの略中心軸より下半分の冷却風を引き込み、エアガイドの排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した外部隔壁を形成するとともに、冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁を形成することにより、
冷却手段であるプロペラファンで発生した冷却風は前記外部隔壁によって上下に分流され、下半分の冷却風は外部隔壁に沿って排気方向に流れると外部隔壁が傾斜しているため徐々に通気経路が狭くなり、冷却風の風速・風圧が増加し、その後内部隔壁を経由することでさらに風速・風圧が増加するため、インバータの冷却効果を一層高めることができる。さらに、局部的に風速・風圧を上げることで冷却手段の容量を上げることと同等の冷却効果が得られ、且つ冷却手段の容量を上げることによる騒音の増大も防ぐことができる。またマグネトロンは高周波を発生させる際に発熱し、さらに高温になるとモーディングや暴走などが発生してマグネトロンが破壊に至る可能性が出てくるため、プロペラファンの略中心軸より上半分の冷却風によって冷却するが、プロペラファンの略中心軸より下半分の冷却風でインバータを冷却し、上半分の冷却風でマグネトロンを冷却することによって、インバータとマグネトロンの双方の信頼性を高めることができる。特に前記外部隔壁によって上下に分流された上半分の冷却風は、外部隔壁の傾斜による負圧によって下方に通気経路が偏向されるため、マグネトロンに効率良く冷却風をあてることができるようになる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載のエアガイドの排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁を経由した冷却風が、インバータの放熱フィンに最初にあたる通気経路にしたもので、前記エアガイドの傾斜した内部隔壁によって風速・風圧を上げられた冷却風は発熱部品の温度の影響を受けていないため冷却風自体の温度が低く、最初にあたる放熱フィンの熱を効率良く奪い取ることができる。つまり、温度が低く、風速・風圧を上げた冷却風を集中的に効率よく放熱フィンに吹き付けるため、放熱フィンと放熱フィンに取り付けた半導体スイッチング素子や半導体整流素子の冷却効果を飛躍的に向上させることができる。さらに、局部的に風速・風圧を上げることによって冷却手段の容量を上げることと同等の冷却効果が得られ、且つ冷却手段の容量を上げることによる騒音の増大も防ぐことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1或いは請求項2に記載のエアガイドをポリプロピレンなどの樹脂で成形したもので、樹脂成形後に一部を折り曲げて冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように内部隔壁を形成する構成にした。この時、折り曲げ部に樹脂ヒンジなどの薄肉部を形成すると、意図した方向に折り曲げ易く、組み立ての作業性が良くなるのは言うまでもない。
【0014】
このように、エアガイドの一部を折り曲げて冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように内部隔壁を形成することによって、エアガイドの成形をする為の金型構成の簡素化と、金型構成の簡素化に伴う成形時間の短縮ができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、特に、請求項1からのいずれか1項に記載のエアガイドを、インバータを取り付ける台座と一体成形したもので、インバータの放熱フィンや放熱フィンに取り付けた半導体スイッチング素子や半導体整流素子などの発熱部品や高温部材とエアガイドの相対位置を固定できるため、冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなった内部隔壁を経由して風速・風圧が上げた冷却風を確実に前記インバータの放熱フィンや放熱フィンに取り付けた半導体スイッチング素子や半導体整流素子などの発熱部品や高温部材に吹き付けることができ、冷却効果を高めることができる。
【0016】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施例1)
図1から3は、本発明の第1の実施例を示すもので、図1は高周波加熱装置の一部切開断面図を示し、図2は冷却手段で発生する冷却風の風速・風圧を示し、図3はエアガイドとインバータの拡大斜視図を示すものである。
【0018】
図1において、1はマグネトロンで、2がインバータで、3が冷却手段のプロペラファンである。インバータ2には放熱フィン5が取り付けられ、さらに放熱フィン5には半導体スイッチング素子6と半導体整流素子7が取り付けられている。さらに、インバータ2を取り付ける台座8とエアガイド9は一体成形され、エアガイド9は冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁9aを形成し、外側にはプロペラファンの略中心軸より下半分の冷却風を引き込む外部隔壁9bを形成する構成としている。
【0019】
以上のように構成された高周波加熱装置、特にインバータの冷却構造について、以下にその動作、作用を説明する。
【0020】
まず、冷却手段3のプロペラファンで発生した冷却風はエアガイド9の外部隔壁9bによってプロペラファンの略中心軸で上下に分流され、上半分の冷却風はマグネトロン1に流れ、下半分の冷却風はエアガイド9に流れる。エアガイド9に流れる下半分の冷却風は内部隔壁9aと外部隔壁9bによって排気流れ方向に進むにつれて通気経路が狭くなるため、風速・風圧が上がる。次に、風速・風圧が上がった冷却風は内部隔壁9aの排気口からインバータ2の放熱フィン5にあたり、放熱フィン5や放熱フィン5に取り付けた半導体スイッチング素子6や半導体整流素子7を効率良く冷却する。
【0021】
また、冷却手段3のプロペラファンで発生した冷却風の風速・風圧は図2のように軸中心近傍は比較的弱く、外周に近づくに従って強くなり、風向は放射状に広がるのが一般的である。外部隔壁9bで分流された上半分の冷却風は外部隔壁9bを通過すると外部隔壁9bの排気側の面に負圧を発生させ(負圧発生部10)、冷却風自体を下方に偏向する。その結果、プロペラファンの外周近傍で発生する強い風速・風圧の冷却風の風向がマグネトロン1を向き、マグネトロン1を強い風速・風圧の冷却風で効率良く冷却できる。
【0022】
以上のように本実施例において、エアガイド9に冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁9aと外部隔壁9bを形成することにより、インバータ2の放熱フィン5や、放熱フィン5に取り付けた半導体スイッチング素子6や半導体整流素子7を風速・風圧を上げた冷却風で効率よく冷却できるようになり、また、外部隔壁9bによってマグネトロン1も強い風速・風圧の冷却風で効率良く冷却できるようになるため、高周波加熱装置の高出力化の実現と高い信頼性を得ることができる。
【0023】
また、図3のように、エアガイド9の内部隔壁9cが冷却風の排気流れ方向に向かって左右方向に通気経路を狭くするように傾斜した構造に形成しても同等の効果が得られる。
【0024】
(実施例2)
図4は、本発明の第2の実施例におけるエアガイド9の要部拡大斜視図である。
【0025】
図4において、エアガイド9の一部を折り曲げることによって冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路を狭くする内部隔壁9aを構成した点が実施例1の構成と異なる。なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0026】
まず、エアガイド9は内部隔壁9aに曲げ角度を規制し、折り曲げを容易にするために局部的に肉厚を薄くした樹脂ヒンジ9dを備えている。高周波加熱装置の組立作業者はこの樹脂ヒンジ9dを折り曲げることによって冷却風の排気流れ方向に向かって通規経路が狭くなる様に内部隔壁9aを容易に組み立てることができるため、エアガイド9を成形するための金型構成の簡素化と、金型構成の簡素化に伴うエアガイド9の成形工程の時間短縮ができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、請求項1〜に記載の発明によれば、インバータ、特に、放熱フィンや放熱フィンに取り付けた半導体スイッチング素子や半導体整流素子などの発熱部品や高温の部材を効率良く冷却することができ、高出力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における高周波加熱装置の一部切開断面図
【図2】 本発明の実施例1におけるプロペラファンで発生する冷却風のモデル図
【図3】 本発明の実施例1におけるエアガイドとインバータの拡大斜視図
【図4】 本発明の実施例2におけるエアガイドの要部拡大斜視図
【図5】 従来の高周波加熱装置における一部切開断面図
【符号の説明】
1 マグネトロン
2 インバータ
3 冷却手段
4 オリフィス
5 放熱フィン
6 半導体スイッチング素子
7 半導体整流素子
8 台座
9 エアガイド
9a 内部隔壁
9b 外部隔壁
9c 内部隔壁
9d 樹脂ヒンジ
10 負圧発生部

Claims (4)

  1. 放熱フィンを備えたインバータと、前記インバータから電力を供給されて高周波を発生するマグネトロンと、前記インバータと前記マグネトロンを冷却する冷却手段と、前記冷却手段により発生した冷却風を整流するエアガイドを冷却手段の排気側に備え、前記冷却手段はプロペラファンで構成し、かつ、前記エアガイドは前記プロペラファンの略中心軸より下半分の冷却風を引き込み、エアガイドの排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した外部隔壁を形成するとともに、冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁を形成したことを特徴とする高周波加熱装置。
  2. エアガイドの排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように傾斜した内部隔壁を経由した冷却風が、放熱フィンに最初にあたる構成とする請求項1に記載の高周波加熱装置。
  3. エアガイドは樹脂製で構成され、樹脂成形後に前記エアガイドの一部を折り曲げて冷却風の排気流れ方向に向かって通気経路が狭くなるように内部隔壁を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の高周波加熱装置。
  4. エアガイドは、インバータを取り付ける台座と一体成形したことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の高周波加熱装置。
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