JP3960045B2 - 個人識別装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、個人識別方法及び個人識別装置に係わり、特に、個人の身体的特徴を示す特徴量を採取し、該特徴量に基づいて生成した同一人物を特定するための識別データを予め記憶しておき、識別対象の個人から身体的特徴を示す特徴量を採取し、該識別対象の個人から採取した特徴量と記憶されている前記識別データとに基づいて、識別対象の個人が該識別データに対応する人物であるか否かを識別する個人識別方法及び個人識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、銀行のATM(Automated Teller Machine)や、チケット販売や各種予約を行うためにコンビニエンスストアなどに置かれる情報端末装置において、利用者が口座名義人本人や利用会員本人であることを確認する認証が行われている。また、インターネットを通じた銀行業務や、通信販売においても本人認証が行われている。この認証の際の利用者本人であるか否かの識別には、利用者が持参したカード或いは会員番号などのID番号と共に暗証番号(パスワード)を用いることが一般的である。
【0003】
この暗証番号を用いた認証の方法は、例えばカードが他人に盗まれるなどによってID番号が盗まれた場合に、何らかの方法によりこの窃盗者が暗証番号も知り得てしまえば、窃盗者は簡単に本人に成りすまして、銀行から現金を引出すなどサービスの不正利用が可能である(所謂成り済まし詐称)。また、利用者側からしてみれば、暗証番号を忘れてしまったらサービスを利用できない不便さがある。
【0004】
このような暗証番号の欠点を補う技術として、近年、指紋などに代表される本人しか持ち得ない身体的な特徴を検出して予め登録されている特徴と比較し、両者が一致する(似ている)かによって認証をおこなうバイオメトリック認証が普及しつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バイオメトリックス認証で一般的な技術である身体的特徴に指紋を用いた指紋認証は、
・凹凸の少ない指紋、乾燥した指紋、逆に湿潤した指紋では指紋検出が難しく、全ての人に対して安定した精度を得られない。
・微細な指紋の文様を識別するため指紋検出器は指紋採取面の少量の汚れにより指紋検出ができなくなる。指紋の検出は指紋採取面に指先を接触させて行われるため、利用者が多いと普通に使われているだけでも皮脂などで汚損される。
・利用者に指紋押捺を強いるため、犯罪捜査などのマイナスイメージにより利用者の心理的な抵抗感が高く、利用者が拒否することがあり、普及のためにはマイナスイメージ払拭という技術以前の困難な問題を抱えている。
・偽造指紋の製作が容易であり、利用者本人の指紋を変えることはできないため、指紋が偽造された利用者本人は、生涯に渡り自分の指紋では本人認証を行えなくなってしまう。
などの問題があり、銀行のATMやコンビニエンスストアなどに置かれる情報端末装置のように多くの人に利用される装置、すなわち公共性の高い場に適用するのは難しかった。
【0006】
このため、指紋に代わる身体的特徴として、眼の網膜の血管パターンや虹彩を用いることも検討されている。これらは特徴採取に対してマイナスイメージが浸透しておらず偽造も困難ではあるが、それぞれ以下のような問題を抱えている。すなわち、網膜の血管パターンを用いる場合は、利用者にセンサーを覗き込む行動を強いたり、検出のために眼に光を照射しなければならないなど、利用者の負担が大きいという問題があった。虹彩を用いる場合は、検出の際の照明条件を一定にすることが要求され、銀行やコンビニエンスストアでは支店や店舗毎に照明条件が異なるため、公共性の高い場への適用が難しいという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、公共性の高い場にも適用可能で、且つバイオメトリックス認証の際の利用者の負担を軽減することができる個人識別方法及び個人識別装置を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、身体の少なくとも一部に光を照射する照射手段と、
前記照射手段により照射された光のうち、身体内部に浸透し且つ身体内部で散乱された光の光量を、前記照射手段による照射位置と異なる身体の一部から検出する検出手段と、前記照射手段による照射及び前記検出手段による検出時に、同一人物の身体上における前記照射手段による照射位置及び前記検出手段による検出位置を毎回略同一となるように保持するための保持手段と、前記検出手段により検出した検出光量に基づいて生成された同一人物を特定するための識別データを記憶する記憶手段と、識別対象の個人から前記検出手段により検出した検出光量と、前記記憶手段に記憶されている前記識別データとに基づいて、前記識別対象の個人が該識別データに対応する人物であるか否かを識別する識別手段と、 を有することを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、照射手段により身体の少なくとも一部に光を照射し、検出手段により、照射手段により照射された光のうち、身体内部に浸透し且つ身体内部で散乱された光の光量を、前記照射手段による照射位置と異なる身体の一部から検出する。ここで、身体に光を照射したときに、内部に浸透し且つ内部で散乱されてから外部に放出される放出光量は、身体の形状や厚みなどの外形や、骨格の位置などの内部構造といった各人の身体的特徴により異なり、照射手段による照射位置及び検出手段による検出位置は、保持手段により同一人物であれば毎回略同一位置となるように保持されるので、同一人物であれば毎回略同等の放出光量が検出される。したがって、検出手段により検出した放出光量から同一人物を識別するための識別データを生成することができ、これを記憶手段に予め記憶しておき、個人を識別する際には、識別手段によって、識別対象の個人から同様にして検出した放出光量と記憶手段に記憶されている識別データとに基づいて、識別対象の個人が該識別データに対応する人物であるか否かを識別する。
【0013】
すなわち、本個人識別装置では、身体の一部に光を照射したときに、照射位置と異なる身体の一部から放出された放出光量を検出して、この検出結果を身体的特徴を示す特徴量として用いてバイオメトリック認証が行われるので、身体(の一部)の外形のみならず内部構造の違いも利用して識別を行うことができ、高精度で認証を行うことができると共に、偽造や模造による詐称の防止効果が高い。また、指紋のように微細な文様の識別を必要としないので汚損に強く、指紋採取と異なり利用者の心理的な抵抗感も少ない。さらに、光を照射したり放出光量を検出する身体の部位についての制限がないので、該身体の部位を利用者の負担を考慮して選択することができる。したがって、本個人識別装置は、公共性の高い場にも適用可能である。
【0014】
なお、上記個人識別装置においては、認証精度の向上のために、請求項2に記載されているように、照射手段は、光を走査する走査手段を備えるとよい。この場合、請求項3に記載されているように、識別手段は、走査手段による前記光の1走査分の前記検出手段による検出結果を複数回サンプリングして、該サンプリング結果を前記識別に用いるとよく、このとき請求項4に記載されているように、識別手段は、光の1主走査内における予め定められた所定の走査位置に対応するタイミングでサンプリングを行うようにするとよい。
【0015】
また、請求項5に記載されているように、識別データとしては、走査手段による光の1走査分の検出手段による検出結果を複数回サンプリングし、各回のサンプリング結果を要素とするパターンベクトルを同一人物に対して複数回測定して求めた前記パターンベクトルのベクトルの平均ベクトルを用いることができ、識別手段は、識別対象の個人から検出手段により検出した検出光量をサンプリングして求めたパターンベクトルと平均ベクトルとの類似度を求め、該類似度と予め定められた所定の閾値との比較結果に基づいて識別を行うようにするとよい。
【0016】
この類似度は、請求項6に記載されているように、パターンベクトルと平均ベクトルとのユークリッド距離とすることができ、この場合、識別手段は、ユークリッド距離が閾値より小さい場合に識別対象の個人が該識別データに対応する人物であると判定すればよい。
【0017】
また、類似度は、請求項7に記載されているように、パターンベクトルと平均ベクトルとのマハラノビス距離としてもよく、この場合、識別手段は、マハラノビス距離が閾値より小さい場合に識別対象の個人が該識別データに対応する人物であると判定すればよい。
【0018】
また、類似度は、請求項8に記載されているように、パターンベクトル及び平均ベクトルの両者を連続データとして扱って求めた相互相関としてもよく、この場合、識別手段は、相互相関の最大値と、該最大値が得られた相互相関と連続する相互相関の値の和が、閾値より大きい場合に識別対象の個人が該識別データに対応する人物であると判定すればよい。この相互相関は、請求項9に記載されているように、パターンベクトル及び平均ベクトルの何れか一方を循環させて求めるとよい。
【0019】
また、上記個人識別装置においては、認証精度の向上のために、請求項10に記載されているように、検出手段が、身体上の互いに異なる複数の位置で前記光量を検出するようにするとよい。
【0020】
この場合、識別手段での複数の検出位置各々から得られた検出結果の扱いが問題となるが、請求項11に記載されているように、識別手段は、複数の位置における検出光量各々に基づいて識別を行い、各々の識別結果の多数決により最終的な識別結果を判定するようにすればよい。
【0021】
或いは、請求項12に記載されているように、識別手段は、複数の位置における検出光量各々に予め定められた重み付けをして、識別を行うようにすればよい。
【0022】
また、上記個人識別装置においては、光の利用効率の向上のためには、照射された光が身体内部に高効率で浸透することが求められる。したがって、照射手段は、請求項13に記載されているように、所定のスポット径に集光して光を照射するとよい。より好ましくは直径数mm程度のスポットにするとよい。
【0023】
また、照射手段は、請求項14に記載されているように、800〜900nmの波長の光を照射するとよい。
【0024】
また、上記個人識別装置においては、外来光の影響による誤識別を防止するために、請求項15に記載されているように、照射手段が、光を周期波形に基づいて変調或いは点滅させて照射し、検出手段において、周期波形と同期した光成分のみを抽出して検出するようにするとよい。
【0025】
また、上記個人識別装置においては、請求項16に記載されているように、照射手段の照射位置及び検出手段の検出位置を手とすれば、通常露出されていて保持手段により保持しやすいので、利用者の作業負担を軽減することができる。
【0026】
この場合、請求項17に記載されているように、保持手段が、略楕円形のドーム状に形成され、且つ各指先及び手首近傍の掌に対応する各々の位置に、各指及び手首近傍の掌の位置を保持するための窪みを有するようにすれば、利用者は容易に手の位置を保持手段により毎回略同一位置に位置決めすることができる。
【0027】
また、請求項18に記載されているように、検出手段として、窪みに受光素子を埋設すれば、装置を頑強にすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0029】
<構成>
図1、2に本実施の形態に係わる個人識別装置の概略構成図及び上面図を夫々示す。図1に示されるように、個人識別装置10は、水平平面の台12上に載置され、認証の際に利用者の手がのせられる本体部14と、光Aを矢印Bで示される範囲内で走査させながら本体部14に向けて照射する照射手段としての照射装置16と、個人識別装置10全体の動作を司るコントローラ18とを備えて構成されている。
【0030】
本体部14は、全長100mmから150mmほどの楕円形の略ドーム状に形成され、且つ図2に示されるように指をのせるための5つの窪み20A〜E、及び手首付近の掌にあてがうための窪み22とが設けられている。すなわち、図3に示すように、利用者が右手30を手首付近の掌を窪み22にあてがって本体部14のドーム部にのせ、且つ親指、人差し指、中指、薬指、小指を窪み20A〜Eにそれぞれ収めると、本体部14のドーム部、窪み20A〜E、及び窪み22によって、右手30が本体部14に対して毎回同じ位置に保持されて位置決めされるようになっている。すなわち、本体部14が本発明の保持手段として機能する。なお、図1、2は右手用を示しているが当然ながら左手用であってもよい。
【0031】
また、図2に示すように、本体部14の照射装置16による光Aの走査領域には、光Aの波長成分を透過するプラスチック製の透過部材24が用いられており、照射装置16から照射された光Aは透過部材24を透過し、本体部14に利用者の手がのせられていれば、掌(指の腹部分も含んでもよい)に光Aが照射されるようになっている。なお、透過部材24は、少なくとも光Aの波長成分を透過することができればプラスチック製に限らず如何なるものでもよく、また、選択的に光Aの波長成分を透過するフィルタ効果を有するものでもよいし、透明ガラスのように波長に限らずに光を透過するものでもよい。
【0032】
また、図2に示すように、本体部14には、検出手段を構成する受光素子26A〜Eが窪み20A〜E内に、該窪み20A〜Eに接触する指の方向に感度指向性を有するように受光面を外側に向けて埋設されている。この受光素子26A〜Eとしては、フォトダイオードあるいはフォトトランジスタなどを用いることができる。以下では、窪み20A〜E、受光素子26A〜Eを特に区別しない場合は、符号末尾のアルファベットを省略して説明する。
【0033】
したがって、各受光素子26では、図4に示すように、照射装置16から本体部14にのせられた利用者の右手30の掌(指の腹も含む)に照射された光Aのうち、該掌から身体内部に浸透した後、各々対応する指先の腹部分から外に放出された光(放出光)を受光し、その受光量に応じた電気信号を出力するようになっている。
【0034】
なお、本実施の形態では、放出光を効率的に検出するために、利用者が本体部14に手をのせて位置決めしたときに、放出光の検出位置である5本の指各々と接触するように受光素子26A〜Eを設けた場合を例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、受光素子26と指との間に間隔が設けられるようにしてもよい。この場合も、図4に点線で示すように、受光素子26と指との間に集光レンズ28を設けるなどして、指の表面から放出される光Aを効率的に検出できるようにすると好ましい。
【0035】
各受光素子26はドライバ(図示省略)を介してコントローラ18と接続されており、各受光素子26から出力された受光量に応じた電気信号は放出光量の検出結果としてコントローラ18へ入力され、バイオメトリック認証のための利用者の身体的特徴を示すデータとして用いられる。すなわち、本個人識別装置10は、人間の掌に光を照射し、掌から身体内部に入り込み内部で散乱されて指から身体外部へ放出された光量を身体的特徴として用いてバイオメトリック認証を行うようになっている。
【0036】
なお、本実施の形態では、掌を光Aの照射対象とし、身体から放出された光の検出対象を指先とした場合を例にしたが、本発明は、人間の身体の表面の一部であれば、光を照射するのは掌でなくてもよいし、放出された光を検出するのも指でなくてもかまわない。ただし、常に露出していて、本体部に対して位置決めしやすい身体部分として照射対象や検出対象には掌や指といった手が適している。
【0037】
照射装置16は、図1に示すように、光Aを出力する光源50と、光源50から出力された光Aを走査させる走査機構52とを備えており、これら光源50及び走査機構52にはドライバ(図示省略)を介してコントローラ18からの制御信号が各々入力され、この制御信号に基づいて駆動するようになっている。
【0038】
光源50には、光Aが身体を一部浸透することが条件であることから、600nm〜1500nm程度の波長の光を出力するもの、例えばレーザダイオード、発光ダイオード、白熱電球及び放電管などを用いることができる。また、特に近赤外領域である800nm〜900nmの波長の光は身体への浸透性に優れ、この波長域の光はレーザダイオードや発光ダイオードを用いることで容易に得ることができる。
【0039】
ただし、指向性の鋭さや発光効率を考慮すると、光Aがレーザ光となるレーザダイオードを用いるのが好ましい。また、発光ダイオードに集光レンズを組み合わせて、光Aを照射位置の掌表面近傍で焦点を結ばせる様にしてもよく、この場合は光Aがレーザ光ではないので、誤って光Aが利用者の目に入った場合により安全性が高い。いずれの場合も、光Aを効率的に身体内部に浸透させて受光素子26により検出するため、すなわち光の利用効率向上化のためには、照射手段16からは、光Aを所定のスポット径に集光した状態で利用者の掌へ照射することが求められ、より好ましくは、利用者の掌表面近傍、又は内部でスポットの直径が数ミリメートル以下であるとよい。
【0040】
ここで、利用者が本体部14に手をのせて位置決めしても、受光素子26による検出光には、利用者本人の放射熱や受光素子26の受光面と指の隙間から入った部屋の照明光など、光A以外の光(外来光)も混在してしまう。この外来光の認証への影響を抑えるために、照射装置が発する光Aには、周期波形により変調あるいは点滅操作を加え、受光素子26による受光結果から同期検波器などを用いて光Aの成分のみを検出して、この検出結果をコントローラに入力するようにするとよい。この場合の関数波形としては正弦波や矩形波あるいは周期を有するランダム波形などを用いることができる。
【0041】
走査機構52は、例えば図5に示すように、光源50が載置された回転台54と、回転台54を回転させる回転モータ56とで構成することができる。詳しくは、光源50を回転モータ56による回転軸と一致する位置に、その光Aの出力方向が回転モータ56による回転軸に対して斜めになるように、回転台54上に固定されている。なお、回転台54には、ロータリートランス58が取りつけられており、光源50及び本走査機構52に電力及び制御信号が供給されるようになっている。回転モータ56が駆動されて、回転台54が矢印C方向に回転すると、光源50から出力された光Aは円形の軌跡Dを描くことになり、これにより光Aが円形に走査する。
【0042】
また、走査機構52には、該走査機構52より走査され、且つ軌跡D上の所定位置へ進行する光の径路途中にミラー60が設けられており、ミラー60により、走査機構52により走査されている光Aのうち該軌跡D上の所定位置へ進行する光が反射されて、フォトダイオードやフォトトランジスタなどを用いた走査タイミング検知センサ62へと案内されるようになっている。したがって、走査タイミング検知センサ62には、走査機構52によって光Aが1走査される(円形の軌跡Dを1回描く)度に、毎回同じ走査位置の光Aが入射されるので、走査機構52による走査タイミングを検知することができる。この走査タイミングの検知結果は、走査同期信号として、ドライバ(図示省略)を介してコントローラ18へ入力される。
【0043】
なお、本例では、ミラー60及び走査タイミング検知センサ62の組合せて走査タイミングを検知するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。走査タイミングの検知は、この他にも、例えば、回転モータ56の回転を監視するロータリエンコーダを設けることによっても可能である。
【0044】
また、上記例では、一例として回転モータ56を用いて光Aを円形に走査する走査機構52を説明したが、本発明は、本体部14にのせられた利用者の手の掌表面に照射される光Aを走査することができれば、走査機構の構成や走査形状を特に限定するものではない。例えば、図6に示すように、2枚のガルバノミラー70A、70Bを用いて光Aを矩形に走査させる走査機構52を用いることもできる。なお、図6で示すX、Y、Z方向は互いに略直交方向である。
【0045】
詳しくは、光源50から出力され、Y方向に進行する光Aの進行方向に、Z方向を軸線方向とした回転軸Mを中心に部分回転運動を繰返すガルバノミラー70Aが配設されている。したがって光源50から出力された光Aはガルバノミラー70AにX方向に反射されると共に、該反射の際の部分回転運動によりY方向に走査される。このガルバノミラー70Aにより反射された光Aの進行方向には、回転軸Nを中心に部分回転運動を繰り返すガルバノミラー70Bが、回転軸NがY方向と略平行にされて配設されている。したがって、ガルバノミラー70Aにより反射された光Aは、ガルバノミラー70BによりZ方向に反射されると共に、該反射の際の部分回転運動によりX方向に走査される。すなわち、光Aはガルバノミラー70A、70Bによって反射されることによりX、Y方向の両方向に走査されるので、矩形領域面Eを走査することになる。このガルバノミラー70Bにより反射された光Aの進行方向前方に、本体部14を配設すれば、本体部14にのせられた利用者の手30の掌に矩形領域面Eが投影される。
【0046】
このようなガルバノミラー70A、70Bは、例えば図7の如く構成することで実現できる。すなわち、ミラー部72は中心線Pの延長線上にある支持材74A、74Bされ、フレーム76に保持されている。これによりミラー部72は中心線Pを中心に部分回転運動をすることができる可動状態で保持される。この中心線Pがガルバノミラー70A、70Bの回転軸M、Nとなる。
【0047】
また、支持材74A、74Bは、ミラー部72を定位置に戻すように働くバネの役目を果たしている。このような支持材の材料としては、プラスチックや金属を用いることができるが、金属のなかでもバネ効果が大きい、鋼材、ステンレスあるいはベリリューム銅・隣青銅が適する。或いは、支持材として、図8で示す如くバネ材となる金属部78とその周りをゴムなどによる振動吸収材80で囲むようにコーティングした構造の物を用いると、自由振動を抑えることができ、光Aの走査をより高速且つ正確に行うことが可能となり、ひいては本個人識別装置10の認証精度向上につながる。
【0048】
また、図7に示されているように、ミラー60の裏面側には、矩形枠形のボビン82が取りつけられており、このボビン82の周りにコイル84が巻かれている。コイル84にはリード線86によって外部からミラー部72を部分回転運動させるための駆動電流が制御信号として流される。コイル84の内部には磁性コア88Aが配置され、コイル84を挟んで両側面外側にも磁性コア88B、88Cが配置されている。これら磁性コア88A〜Cは、矢印Qで示す方向に磁化した永久磁石90とEの字形となるように接着され、これら磁性コア88A〜C及び永久磁石90はフレーム76と共に図示しない支持部材により固定されている。
【0049】
このように構成されたガルバノミラー70A、70Bは、コイル84への駆動電流の向きおよび大きさを変化させることにより、ミラー60を中心線Pを中心に部分回転運動させることができる。例えば、駆動電流として正弦波電流を印加すれば、ミラー60は周期的に反転する部分回転運動を繰り返す。
【0050】
したがって、ガルバノミラーを用いた走査機構では、ガルバノミラー70A、70Bに対する駆動電流波形および互いの位相関係をコントローラ18により制御することで、光Aの走査形状を矩形以外にも任意に設定することができる。例えば、同一周波数の正弦波で互いの位相を90度ずらせば光Aの走査形状を円形にすることもでき、さらに互いの位相をずらすことで、直線から楕円まで任意に変化させることができる。
【0051】
また、ガルバノミラーを用いた走査機構の走査同期信号には、前述の回転モータを用いた走査機構と同様に、図6に示すように、走査機構52により走査されている光Aのうち該軌跡D上の所定位置へ進行する光をミラー60により反射して、フォトダイオードやフォトトランジスタなどを用いた走査タイミング検知センサ62へと案内するようにし、該センサによる走査タイミングの検知結果を用いることもできるし、コントローラ18において、ガルバノミラー70A、70Bに対する駆動電流波形および互いの位相関係に基づいて、走査同期信号を生成することもできる。
【0052】
ガルバノミラーとしては、上記のような電磁力を利用するものの他に、回転モータ式やマイクロマシン技術により製作したものなどがあるが何れの方式のものでも用いることができる。また、走査機構52には、上記で説明した他にもポリゴンミラーを用いて光Aを走査することも挙げられる。
【0053】
コントローラ18には、CPU、RAM、ROMなどを備えたマイコンを用いることができ、図9に示す如く発光制御部100、サンプリング部102、本人データ記憶部104、比較演算部106、及び結果判定部108の各機能が構築されており、本人データ記憶部104が本発明の記憶手段として機能し、サンプリング部102、比較演算部106、及び結果判定部108が本発明の識別手段として機能する。なお、図9は、本発明に関係する機能構成のみ示している。
【0054】
発光制御部100は、照射装置16の光源50及び走査機構52の各々を制御するための制御信号を照射装置16へ送出し、照射装置16の駆動を制御する。サンプリング部102は、本体部14の受光素子26A〜Eによる検出結果(後述する受光量パターン)及び走査同期信号が入力され、各々の検出結果を走査同期信号と同期してサンプリングする。
【0055】
本人データ記憶部104には、個人を識別するための識別情報(ID情報)と対応付けて、各利用者毎の本人データとして、予め各利用者から採取した受光素子26A〜Eによる検出結果から得られた各人の身体的特徴を示す識別データ(後述する平均ベクトルY)が記憶されている。なお、本人データ記憶部104は、多数の利用者の本人データを登録するために大容量化が要求される場合を想定して、コントローラ18の外部に設けられたメモリ装置を該コントローラ18と有線又は無線により接続して用いるようにしてもよい。
【0056】
比較演算部106は、サンプリング部102によるサンプリング結果と本人データ記憶部104に記憶されている本人データとを比較して類似度を求め、結果判定部108は、比較演算部106で求められた類似度に基づいて、利用者が本人であるか否かを判定する。
【0057】
<作用>
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0058】
利用者は個人識別装置10で認証を受けたい場合、ID番号を入力すると共に、身体的特徴を採取するために、本体部14に右手をのせる。なお、ID番号の入力については、従来公知の技術を用いることができるため、本実施の形態では詳細な説明を省略する。このとき、利用者が本体部14の窪み22に手首付近の右掌をあてがって本体部14のドーム部に右手をのせ、窪み20A〜Eに親指、人差し指、中指、薬指、小指をそれぞれ乗せるだけで、該右手が本体部14に対して毎回同じ位置に位置決めされる。すなわち、同一人物であれば、身体上の照射装置16による光Aの照射位置及び受光素子26A〜Eによる放射光量の検出位置が毎回同じ位置になるようになっている。
【0059】
この状態でコントローラ18の制御により照射装置16から光Aが円形に走査されながら、本体部14にのせられた利用者の掌に照射される。この掌に照射された光Aの多くは反射されるが、一部は皮膚を通して身体内部にまで到達する。身体内部に入った光Aは身体組織の内部を通過することにより散乱及び吸収が生じて、散乱した光はさらに散乱を繰り返して、利用者の右手の各指の内部を通過してそれぞれの指の先端まで導かれ、指の先端の腹部分の皮膚を通って身体外部へ放出される。各指の先端の腹部分から放出された光は各々対応する受光素子26A〜Eの受光面に入射し、受光素子26A〜Eにより受光され、各々の受光量に応じた信号が検出結果としてコントローラ18に入力される。
【0060】
ここで、受光素子26による検出結果について、具体的に、図10に示す如く、光源50から出力され、走査機構52により走査された光Aによって右手30にできるスポットFが、点Gの位置を始点とし円周Hの上を時計方向に回転する場合を例に詳細に説明する。この円周Hは走査機構52により走査された光Aが投影面(光Aの進行方向と直交する平面)上に描く図形であり、実際に掌に投影される図形は掌の凹凸などにより複雑な図形となる。
【0061】
点Gを始点とするスポットFは、走査機構52による光Aの走査によって円周Hの円周上を移動する。このときのスポットFの点Gからの移動角度(以下、「スポット位置角度」と称す)をθとすると、例えば人差し指に対応して設けられた受光素子26Bによる受光量Iとスポット位置角度θとの関係は図11のようになる。
【0062】
すなわち、スポット位置角度θが0度から約5度までの間は、スポットFが点Gの位置にあり、スポットFからの光Aは中指の付け根付近に入ってから一旦手の甲の部分に入り、そこから人差し指を通じて受光素子26Bに入射する。また他の経路として、スポットF付近の皮膚から指の中で散乱した光が身体外部へ放出され、それらが人差し指から身体内部に入って受光素子26に入射する。何れの経路からの光であってもそれらの合算値が受光量Iとして検出される。
【0063】
スポットFが移動して、スポット位置角度θが約5度から10度の時は、スポットFは人差し指と中指との間の隙間部分を走査しているため、掌に光Aがあたらない。したがって光Aは掌の内部に入らなくなるため受光素子26Bによる受光量Iが減少する。
【0064】
スポットFがさらに移動して、スポット位置角度θが約10度から45度の時は、スポットFは人差し指の根本部分を走査しており、受光素子26Bに一番近い部分に光Aが入るため、受光量Iはピークに達する。
【0065】
その後もスポットFは円周H上を移動していき、スポット位置角度θが約45度から85度の時は、スポットFが人差し指と親指との間の間隙部分を走査しているので、受光量Iは減少し、さらに移動してスポット位置角度θが約85度以上となると、再び掌を走査することとなり受光量Iが増え、スポットFが小指と薬指との間の間隙部分を走査するスポット位置角度θが約285度から290度の間で再び受光量Iが減少する。
【0066】
このようにスポットFの位置により受光素子26Bで検出される受光量Iが変化し、この受光量パターンは、掌形の個人差によって変化することは勿論のこと、掌の厚みや掌の骨格の位置などによっても変化する。したがって、この受光量パターンを比較することにより正確な本人認証が可能である。
【0067】
コントローラ18には、前述したように、受光素子26A〜Eによる受光量に応じた信号がそれぞれ入力されるため、認証を受けたい利用者の身体的特徴として、上記で説明したような受光量パターンが5パターン得られる。これら受光素子26A〜Eによる受光量パターンは、それぞれサンプリング部102により1主走査内で複数回サンプリングされ、各サンプリング点における受光量値を要素としたパターンベクトルXが得られる。
【0068】
例えば、スポット位置角度θについて10度間隔でサンプリングすると、各受光量パターンにおけるθ=0、10、…、350度の場合の受光量値がそれぞれ要素x(0)、x(1)、…、x(35)となり、1つの受光量パターンから36次元のパターンベクトルXを得ることになる。なお、このサンプリングは、走査同期信号が入力されてからの経過時間に基づいて行うことができる。
【0069】
そして、このパターンベクトルXを比較演算部106において本人データと比較して、パターンベクトルXの本人データに対する類似度Sを求める。すなわち、比較演算部106では、認証を受けたい利用者から採取した身体的特徴と、本人データとして予め記憶されている本人の身体的特徴との類似度Sが求められる。この類似度Sを結果判定部108により予め実験等により求められて設定されている本人と他人とを分ける類似度の閾値Tとを比較し、この比較結果により本人であるか否かを判定する。
【0070】
具体的に、本実施の形態では、本人データとして、各利用者からこのパターンベクトルXを複数回採取して、その平均ベクトルYが本人データ記憶部104に記憶されており、比較演算部106では、認証を受けたい利用者により入力されたID番号に対応する本人データとして記憶されている平均ベクトルYを本人データ記憶部104から読出し、類似度Sとして、該認証を受けたい利用者から今採取したパターンベクトルXと、読み出した平均ベクトルYとのユークリッド距離を求めるようになっている。類似度Sとして用いるユークリッド距離は、その値が小さいほどより本人データに近い(似ている)ことを示すため、この場合、結果判定部108では、例えば、類似度Sが閾値Tを超えている場合(S>T)は他人、閾値以内の小さい値あるいは閾値と同値(S≦T)ならば本人であると判定する。
【0071】
このユークリッド距離を類似度として用いた判定は、類似度の算出が簡単であり、また本人データを記憶しておく本人データ記憶部104に必要とされるメモリー容量も少なくても済むが、わずかな誤差によって誤りを起こすことが多い。
【0072】
より高精度の認証を行うことが必要とされる場合の判定方法としては、類似度としてマハラノビス距離を用いることが挙げられる。この場合、本人データとして、平均ベクトルYと共に、マハラノビス距離の算出に必要な分散・共分散行列を記憶しておき、比較演算部106において、同様に認証を受けたい利用者の本人データを読み出して、類似度Sとして、パターンベクトルXと平均ベクトルYとのマハラノビス距離を求める。この類似度Sとして用いるマハラノビス距離も、値が小さいほどより本人データに近いことを示すため、結果判定部108では、ユークリッド距離を用いる場合と同様に、例えば、類似度Sが閾値Tを超えている場合(S>T)は他人、閾値以内の小さい値あるいは閾値と同値(S≦T)ならば本人であると判定すればよい。
【0073】
また、他の判定方法としては、採取したパターンベクトルXと本人データとしての平均ベクトルYとの相互相関を用いる方法がある。この場合、採取したパターンベクトルXの各要素がもともと同一の円周H上にある点から採取された物理量であることに着目し、相互相関として、パターンベクトルX及び平均ベクトルYの何れか一方を循環させて、これについてもう一方のベクトルの相関値ベクトルRを求める。
【0074】
例えば、本人データとしての平均ベクトルYを連続させた相関値ベクトルRを求める場合、パターンベクトルをN次元とし、パターンベクトルXの要素をx(i)、平均ベクトルYの要素をy(i)、相関値ベクトルRの各要素をr(i)とすると、r(i)は次式で求められる(ただしi=0、1、…、N-1)。
【0075】
【数1】
Figure 0003960045
【0076】
この場合、次式で示すように、求めた相関値ベクトルRの各要素のうち最大値となる要素r(q)と、その近傍の値としてその前後の要素r(q-1)及び要素r(q+1)の合計を類似度Sとする。ただし、q=0の場合には、q-1をN-1 とし、q=N-1の場合には q+1を0とする。
【0077】
【数2】
Figure 0003960045
【0078】
この類似度Sは、その値が大きいほどより本人データに近いことをを示すため、結果判定部108において閾値Tを設けて本人か否かの判別を行う場合は、例えば類似度Sが閾値Tよりも大きいか同値の場合(S≧T)は本人、閾値Tに満たなければ(S<T)他人と判定する。この相互相関を用いる判定方法は、本実施の形態の如く光Aを円形の走査する場合に、掌の回転による認証精度の低下を防ぐことができるという効果も有する。
【0079】
また、さらに他の判定方法としては、予め本人のパターンベクトルで学習させておいたニューラルネットワークにより、採取したパターンベクトルを判定する方法もある。この他、本人か否かを判定することができれば、従来公知の判定方法も適用可能である。
【0080】
ここで、本実施の形態では、前述したように5つの受光素子26A〜Eにより同時に受光量を検出して受光量パターンが5パターン得られるため、一回の身体的特徴の採取で5つのパターンベクトルXが同時に得られる。したがって比較演算部106では、1つのパターンベクトルXについて類似度がそれぞれ求められる。結果判定部108ではこの求められた類似度毎に、すなわち1つのパターンベクトルXについて本人か否かの判断をそれぞれ行い、そのうち少なくとも3個が本人と判定していれば本人と判定する多数決判定などにより本人であるか否かの最終判定を行うようになっている。
【0081】
或いは、結果判定部108では、受光素子26A〜Eの各々の検出結果にそれぞれ重み付けをして、本人であるか否かの判定を行うようにしてもよい。具体的には、5つのパターンベクトルXから求めた類似度をそれぞれS1、S2、S3、S4、S5とし、次式のようにそれぞれに係数A1、A2、A3、A4、A5を乗じて加算し、最終的な類似度SAを求め、この類似度SAを閾値と比較すればよい。ただし、係数A1、A2、A3、A4、A5は実験などにより求められた本人と他人とを識別するために有効な値が設定される。
【0082】
【数3】
Figure 0003960045
【0083】
何れの最終的な判定方法によっても、このように複数のパターンベクトルXにより判定を行うこより、1つのパターンベクトルXだけを用いる場合よりも精度よく判定を行う、すなわち高精度な本人認証が可能となる。
【0084】
上記をまとめると、本実施の形態では、予め各利用者毎に、本体部14を保持手段として機能させて、同一人物であれば毎回略同一の位置となるように、該利用者の手30を本体部14に対して位置決めした状態で光Aを照射し、照射された光Aのうち該利用者の掌から身体内部に浸透し、且つ身体内部散乱されて指先から放出された光を各受光素子26で検出し、この検出結果により生成された利用者本人の身体的特徴を示す特徴量を本人データとして記憶しておき、利用者が認証を受けたい場合に、同様に光Aを照射して指先から放出された光の各受光素子26による検出結果が示す身体的特徴量と本人データとの類似度によって、該認証を受けたい利用者が本人であるか否かを判定するようになっている。
【0085】
すなわち、身体に光を照射したときに、内部に入り込み内部で散乱されてから外部に放出される光量(放出光量)が、身体の形状や厚みなどの外形や、骨格の位置などの内部構造といった各人の身体的特徴により異なることに注目して、身体の一部としての掌に光Aを照射したときの放出光量の大小に応じて認証を受けたい利用者が本人であるか否かを判定するものである。このように外形のみならず内部構造の違いも利用して個人を識別するので、高精度で認証を行うことができると共に、偽造や模造による詐称の防止効果が高い。
【0086】
また、指紋のように微細な文様の識別を必要としないので汚損に強く、また本実施の形態のように窪み20A〜E内部に検出手段としての受光素子26A〜Eを配置するなど、検出手段が表面にさらされることもないので、装置を頑強にすることも可能である。また、指紋採取と異なり、利用者の心理的に抵抗感も少ない。
【0087】
このように、高精度で認証可能で、偽造や模造による詐称を防止できると共に、利用者の心理的な抵抗感も軽減されるので、本個人識別装置10は公共性の高い場にも適用可能である。
【0088】
さらに、光を照射したり放出光量を検出する身体の部位についての制限がないので、該光を照射したり放出光量を検出する身体の部位を利用者の負担を考慮して選択することができる。例えば、本実施の形態のように掌や指といった手であれば、普段から露出されているので、利用者に要求される作業は手を本体部14にのせるなど非常に簡単な作業だけでよく、また光が照射されても不快感が生じないので、利用者の負担が少ない。
【0089】
なお、上記では、光Aを走査して身体に照射し、その放射光を複数位置(5本の指各々)で検出する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ただし、身体上で1ヶ所の照射位置および1ヶ所の検出位置からの検出光量(受光量)だけでは他人同士でも同一の光量となることがある。したがって、認証精度向上のためには、互いに異なる位置を照射するように複数の光源を設けて照射位置を複数ヶ所にしたり、或いは本実施の形態のように光Aを走査して照射することで照射位置を連続的に変化させ、1走査により得られる受光量パターンを用いるとよい。
【0090】
特に光Aを走査して照射する場合は、得られた受光量パターンをサンプリングすることにより、1つの光源だけで、サンプリング数と等しい個数の光源を設けて照射位置を複数ヶ所とした場合と同等となり、コスト的に有利である。また光Aを走査して照射した場合、照射位置が身体以外の部分になることがあり、これにより重要な身体的特徴である身体の外形を検出することもできるという効果もある。したがって光Aの走査範囲をその照射対象となる掌などの身体の一部よりも広めに取るようにしてもよい。
【0091】
また、受光位置についても、認証精度向上のためには、本実施の形態のように5本の指各々に対応して5つの受光素子を配設するなど、複数の位置に受光素子を設けて検出位置を複数ヶ所にするとよい。この場合、複数の検出位置各々から得られた検出結果(受光パターン)の扱いが問題となるが、前述したように、複数の検出位置各々の検出結果に基づいて本人であるか否かの認証をそれぞれ行って、最終的な結果を多数決により求めたり、複数の検出位置における各々の検出結果にそれぞれ重み付けをして、本人であるか否かの判定を行うようにすればよい。
【0092】
【発明の効果】
上記に示したように、本発明は、高精度で認証可能で、偽造や模造による詐称を防止できると共に、利用者の心理的な抵抗感も軽減されるので、公共性の高い場に適用することができるという優れた効果を有する。また、利用者の負担を軽減することもできるという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わる個人識別装置の構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係わる個人識別装置の上面図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係わる個人識別装置により利用者が認証を受けるために本体部に手をのせている状態を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係わる個人識別装置による身体的特徴の採取の概念を説明するための図である。
【図5】 図1の個人識別装置に用いる走査機構の一例を示す構成図である。
【図6】 図1の個人識別装置に用いる走査機構の別の一例を示す構成図である。
【図7】 図6の走査機構のガルバノミラーの詳細構成図である。
【図8】 図7のガルバノミラーの保持材の構造を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態に係わる個人識別装置のコントローラの詳細構成を示すブロック図である。
【図10】 走査機構により光を円形走査して掌に照射した場合のスポット軌跡を示す図である。
【図11】 受光素子により得られる受光量パターンの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
10 個人識別装置
14 本体部
16 照射装置
18 コントローラ
20A〜E、22 窪み
24 透過部材
26、26A〜E 受光素子
50 光源
52 走査機構
62 走査タイミング検知センサ
70A、B ガルバノミラー
100 発光制御部
102 サンプリング部
104 本人データ記憶部
106 比較演算部
108 結果判定部

Claims (18)

  1. 身体の少なくとも一部に光を照射する照射手段と、
    前記照射手段により照射された光のうち、身体内部に浸透し且つ身体内部で散乱された光の光量を、前記照射手段による照射位置と異なる身体の一部から検出する検出手段と、
    前記照射手段による照射及び前記検出手段による検出時に、同一人物の身体上における前記照射手段による照射位置及び前記検出手段による検出位置を毎回略同一となるように保持するための保持手段と、
    前記検出手段により検出した検出光量に基づいて生成された同一人物を特定するための識別データを記憶する記憶手段と、
    識別対象の個人から前記検出手段により検出した検出光量と、前記記憶手段に記憶されている前記識別データとに基づいて、前記識別対象の個人が該識別データに対応する人物であるか否かを識別する識別手段と、
    を有することを特徴とする個人識別装置。
  2. 前記照射手段が、前記光を走査する走査手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の個人識別装置。
  3. 前記識別手段が、前記走査手段による前記光の1走査分の前記検出手段による検出結果を複数回サンプリングして、該サンプリング結果を前記識別に用いる、
    ことを特徴とする請求項2に記載の個人識別装置。
  4. 前記識別手段が、前記光の1主走査内における予め定められた所定の走査位置に対応するタイミングで前記サンプリングを行う、
    ことを特徴とする請求項3に記載の個人識別装置。
  5. 前記識別データが、前記走査手段による前記光の1走査分の前記検出手段による検出結果を複数回サンプリングし、各回のサンプリング結果を要素とするパターンベクトルを同一人物に対して複数回測定して求めた前記パターンベクトルのベクトルの平均ベクトルであり、
    前記識別手段は、識別対象の個人から前記検出手段により検出した検出光量をサンプリングして求めた前記パターンベクトルと前記平均ベクトルとの類似度を求め、該類似度と予め定められた所定の閾値との比較結果に基づいて前記識別を行う、
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の個人識別装置。
  6. 前記類似度が、前記パターンベクトルと前記平均ベクトルとのユークリッド距離であり、
    前記識別手段は、ユークリッド距離が前記閾値より小さい場合に前記識別対象の個人が該識別データに対応する人物であると判定する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の個人識別装置。
  7. 前記類似度が、前記パターンベクトルと前記平均ベクトルとのマハラノビス距離であり、
    前記識別手段は、マハラノビス距離が前記閾値より小さい場合に前記識別対象の個人が該識別データに対応する人物であると判定する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の個人識別装置。
  8. 前記類似度が、前記パターンベクトル及び前記平均ベクトルの両者を連続データとして扱って求めた相互相関であり、
    前記識別手段は、前記相互相関の最大値と、該最大値が得られた相互相関と連続する相互相関の値の和が、前記閾値より大きい場合に前記識別対象の個人が該識別データに対応する人物であると判定する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の個人識別装置。
  9. 前記相互相関が、前記パターンベクトル及び前記平均ベクトルの何れか一方を循環させて求められた、
    ことを特徴とする請求項8に記載の個人識別装置。
  10. 前記検出手段が、身体上の互いに異なる複数の位置で前記光量を検出する、
    ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の個人識別装置。
  11. 前記識別手段は、前記複数の位置における検出光量各々に基づいて前記識別を行い、各々の識別結果の多数決により最終的な識別結果を判定する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の個人識別装置。
  12. 前記識別手段は、前記複数の位置における検出光量各々に予め定められた重み付けをして、前記識別を行う、
    ことを特徴とする請求項10に記載の個人識別装置。
  13. 前記照射手段が、所定のスポット径に集光して前記光を照射する、
    ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の個人識別装置。
  14. 前記照射手段が、800〜900nmの波長の光を照射する、
    ことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の個人識別装置。
  15. 前記照射手段が、前記光を周期波形に基づいて変調或いは点滅させて照射し、
    前記検出手段が、前記周期波形と同期した光成分のみを抽出して検出する、
    ことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の個人識別装置。
  16. 前記照射手段による照射位置及び検出手段による検出位置が手である、
    ことを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の個人識別装置。
  17. 前記保持手段が、略楕円形のドーム状に形成され、且つ各指先及び手首近傍の掌に対応する各々の位置に、各指及び手首近傍の掌の位置を保持するための窪みを有する、
    ことを特徴とする請求項16に記載の個人識別装置。
  18. 前記検出手段が、前記窪みに埋設された受光素子である、
    ことを特徴とする請求項17に記載の個人識別装置。
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