JP3959543B2 - スクロ−ル圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍空調機器に使用される冷媒圧縮機に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、本発明者らによる先行例である特願平9−268579に示されるスクロール圧縮機の縦断面図である。1は固定スクロールであり、外周部はガイドフレーム15にボルト(図示せず)によって締結されており、また台板部1aの一方の面(図8において下側)には板状渦巻歯1bが形成されていると同時に、外周部には2個1対のオルダム案内溝1cがほぼ一直線上に形成され、このオルダム案内溝1cにはオルダムリング9の2個1対の固定側爪9cが往復摺動自在に係合されている。さらに固定スクロール1の側面方向(図8において右側)からは吸入管10aが、密閉容器10を貫通して圧入されている。
2は揺動スクロールであり、台板部2aの一方の面(図8において上側)には固定スクロール1の板状渦巻歯1bと実質的に同一形状の板状渦巻歯2bが形成されており、また台板部2aの板状渦巻歯2bと反対側の面(図8において下側)の中心部には中空円筒形状のボス部2fが形成されており、そのボス部2fの内側面には揺動軸受2cが形成されている。また、ボス部2fと同じ側の面の外周部には、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aと圧接摺動可能なスラスト面2dが形成されている。また、揺動スクロール2の台板部2aの外周部には、前記固定スクロールのオルダム案内溝1cとほぼ90度の位相差を持つ2個1対のオルダム案内溝2eがほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝2eにはオルダムリング9の2個1対の揺動側爪9aが往復摺動自在に係合されている。
【0003】
コンプライアントフレーム3の中心部には、電動機によって回転駆動される主軸4を半径方向に支持する主軸受3cおよび補助主軸受3hが形成されている。
ガイドフレーム15の外周面15gは焼きばめもしくは溶接などによって密閉容器10に固着されているものの、固定スクロール1の吐出ポート1fから吐出される高圧の冷媒ガスをガイドフレーム15より電動機側(図8において下側)に設けられた吐出管10bに導く流路は確保されている。またガイドフレーム15の内側面の固定スクロール側(図8において上側)には、上嵌合円筒面15aが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された上嵌合円筒面3dと係合されている。他方ガイドフレーム15の内側面の電動機側(図41において下側)には、下嵌合円筒面15bが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された下嵌合円筒面3eと係合されている。またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝に上シール材16aおよび下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された空間、すなわちフレーム空間15fは、コンプライアントフレーム3に形成された均圧孔3iを介してボス部外側空間2hと連通している。なお、上シール材16aおよび下シール材16bは必ずしも必要ではなく、係合箇所の微小隙間でシールが可能で有れば省略できる部品である。また、上下を揺動スクロールの台板部2aとコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは、板状渦巻歯の巻終わり近傍である吸入空間1gと連通しているので、吸入ガス雰囲気となっている。
【0004】
主軸4の揺動スクロール側(図8において上側)端部には、揺動スクロール2の揺動軸受2cと回転自在に係合する揺動軸部4bが形成されており、その下側には主軸バランサ4eが焼きばめられており、さらにその下側にはコンプライアントフレーム3の主軸受3cおよび補助主軸受3hと回転自在に係合する主軸部4cが形成されている。また主軸の他端部には、サブフレーム6の副軸受6aと回転自在に係合する副軸部4dが形成されており、この副軸部4dと前述した主軸部4cとの間に電動機回転子8が焼きばめられている。また、この電動機回転子8の上端面には上バランサ8aが、下端面には下バランサ8bが締結されており、前述した主軸バランサ4eとの3個のバランサによって静バランスおよび動バランスがとられている。さらに主軸4の下端面にはオイルパイプ4fが圧入されており、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eを吸い上げる。
また、密閉容器10の側面にはガラス端子10fが取り付けれており、電動機固定子7からのリード線が接合されている。
【0005】
次に、この従来のスクロール圧縮機の基本動作について説明する。定常運転時には密閉容器空間10dが吐出ガス雰囲気の高圧となるので、密閉容器10の底部の冷凍機油10eがオイルパイプ4f、主軸4に軸方向に貫通して設けられた高圧油給油穴4gを経由してボス部空間2gに導かれる。そして、この高圧油は揺動軸受2cで減圧されて中間圧となり、ボス部外側空間2hに流れる。中間圧となった冷凍機油は、均圧孔3iを通ってフレーム空間15fに流れ、その後中間圧調整弁などを経由して低圧空間である台板外周部空間2iに開放される。さてコンプライアントフレーム3には、ボス部外側空間2hの中間圧に起因する力およびスラスト軸受3aを介しての揺動スクロール2からの押付け力の合計が下向きの力として作用するものの、フレーム空間15fの中間圧に起因する力および下端面の高圧雰囲気に露出している部分に作用する高圧に起因する力の合計が上向きの力として作用し、そして定常運転時にはこの上向きの力が前述した下向きの力より大きくなるように設定されている。このためコンプライアントフレーム3は、上嵌合円筒面3dをガイドフレーム15の上嵌合円筒面15aに、下嵌合円筒面3eをガイドフレーム15の下嵌合円筒面15bに案内され、固定スクロール側(図8でおいて上方)に浮き上がっている。そしてスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3に押し付けられている揺動スクロール2も、同じく上方に浮き上がり、その結果揺動スクロール2の歯先と歯底は、固定スクロール1のそれぞれ歯底と歯先に接触し摺動する。
【0006】
また起動時や液圧縮時などには、揺動スクロール2に作用するスラスト方向ガス負荷Fgthが大きくり、揺動スクロール2はスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3を反固定スクロール側(図8において下方)に強く押し下げるので、揺動スクロール2の歯先や歯底と固定スクロール1の歯底や歯先との間には比較的大きな隙間が生じ、圧縮室内の異常な圧力上昇が回避される。なお、この時のリリーフ量は、コンプライアントフレーム3のリリーフ当り面3qとガイドフレーム15のリリーフ当り面15hとの距離によって管理される。
さて、コンプライアントフレーム3には、揺動スクロール2に発生する転覆モーメントの一部または全部がスラスト軸受3aを介して伝達されるものの、主軸受3cから受ける軸受負荷と、その反作用である2つの力の合力、すなわち上嵌合円筒面3dを介してガイドフレーム15から受ける反力と下嵌合円筒面3eを介してガイドフレーム15から受ける反力との合力、とによって生ずる偶力が前記転覆モーメントを打ち消すように作用するので、非常に良好な定常運転時追随動作安定性およびリリーフ動作安定性を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明した、コンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である先行例のスクロール圧縮機、いわゆる先行例のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、運転圧力条件の振れや液冷媒の吸入などの僅かな外乱が原因で揺動スクロール2がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの上でばたついた場合に、ボス部外側空間2hの中間圧力が低圧雰囲気である台板外周部空間2iに洩れ、さらに連鎖的にフレーム空間15fの中間圧力も均圧孔3iを介して低圧雰囲気である台板外周部空間2iに洩れる。これにより、コンプライアントフレーム3を固定スクロール側(図8で上方)に持ち上げる力が減少しコンプライアントフレーム3は揺動スクロール2と共に反固定スクロール側(図8で下方)にリリーフしてしまう。すなわち、ちょっとした外乱で容易にリリーフしてしまうという不安定さを有していた。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、僅かな外乱に起因する揺動スクロール2のばたつきでコンプライアントフレーム3および揺動スクロール2が容易にリリーフするという不安定さを改善することを目的とする。
【0008】
また、以上に説明した、コンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である先行例のスクロール圧縮機、いわゆる先行例のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、コンプライアントフレーム3を固定スクロール側(図8で上方)に持ち上げる主要因であるフレーム空間15f(中間圧力空間)の作用面積の設定は、ボス部外側空間2h(前記フレーム空間と同一の中間圧力空間)の作用面積の制約を受けたため、自由度がほとんど無かった。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、フレーム空間15fの作用面積設定に自由度を与えることを目的とする。
【0009】
また、以上に説明した、コンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である先行例のスクロール圧縮機、いわゆる先行例のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、起動直後には、コンプライアントフレーム3を固定スクロール側(図8で上方)に持ち上げる主要因であるフレーム空間15fの中間圧力は、密閉容器10の内圧が上昇しその結果高圧の冷凍機油10eが軸受で絞られてフレーム空間15fに流入することで発生する。それ故に、フレーム空間15fの中間圧力の上昇には時間遅れがある。そのため、コンプライアントフレーム3が浮上し正常運転になるのに時間が掛かる、すなわち起動に時間が掛かるという問題点があった。
この発明は、上記の問題点を解消するためになされたもので、起動性の優れた圧縮機を得ることを目的とする。
【0010】
また、以上に説明した、コンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である先行例のスクロール圧縮機、いわゆる先行例のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、コンプライアントフレーム3の軸方向可動量が小さい時には、運転中に液冷媒が吸入されると液圧縮により固定スクロール1の板状渦巻歯1bと揺動スクロール2の板状渦巻歯2bで形成される圧縮室内が異常昇圧し、前記板状渦巻歯が破損する危険性や、揺動軸受2cや主軸受3cに過大な負荷が作用し焼付を起こすという問題点があった。
この発明は、上記の問題を解消するためになされたもので、圧縮要素である板状渦巻歯の破損の可能性がなく、軸受の焼き付くことのない圧縮機を得ることを目的とする。
【0011】
また、以上に説明した、コンプライアントフレームがそれ自身のモーメントバランスをとりながら軸方向に可動である先行例のスクロール圧縮機、いわゆる先行例のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、コンプライアントフレーム3の軸方向可動量が大きい時には、起動時にコンプライアントフレーム3が最大限にリリーフするすなわち揺動スクロール2が固定スクロール1から軸方向に最大限に離れてしまい、圧縮動作を殆どすることなく空回りし、その結果密閉容器10の内圧がなかなか上昇せず、コンプライアントフレーム3が浮上し正常運転になるのに極端に時間が掛かる、もしくは最悪の場合には起動できないという問題点があった。
この発明は、上記の問題を解消するためになされたもので、起動性に優れた圧縮機を得ることを目的とする。
【0012】
さらに、この発明は、揺動スクロ−ルの摺動損失の低減及び軸受部への安定した給油が可能な圧縮機を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1のスクロ−ル圧縮機は、前記ボス部外側空間と前記フレ−ム空間とを連通し、かつ、前記ボス部外側空間から前記フレ−ム空間への流体の流れを許容すると共に前記フレーム空間から前記ボス部外側空間への流体の流れを阻止する手段を設けたものである。
【0014】
請求項2のスクロ−ル圧縮機は、前記ボス部外側空間の圧力を前記フレーム空間の圧力よりも大きくしたものである。
請求項3のスクロール圧縮機は、冷凍機油の溜まる密閉容器の底部を吐出圧力近傍の高圧として前記冷凍機油を前記ボス部外側空間に導いた後に、前記フレ−ム空間に導くとともに、前記フレーム空間を、前記ボス部外側空間の圧力よりも小さい所定の中間圧力に制御するための圧力調整装置を介して低圧空間に連通させるようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
まず最初に、図1〜図5において、本発明の実施の形態1の説明を行う。
図1は本発明の実施の形態1の縦断面図であり、また図2は本発明の実施の形態1の主要箇所の部分縦断面図ある。1は固定スクロールであり、外周部はガイドフレーム15にボルト(図示せず)によって締結されており、また台板部1aの一方の面(図1において下側)には板状渦巻歯1bが形成されていると同時に、外周部には2個1対のオルダム案内溝1cがほぼ一直線上に形成され、このオルダム案内溝1cにはオルダムリング9の2個1対の固定側爪9cが往復摺動自在に係合されている。さらに固定スクロール1の側面方向(図1において右側)からは吸入管10aが、密閉容器10を貫通して圧入されている。
【0016】
2は揺動スクロールであり、台板部2aの一方の面(図1において上側)には固定スクロール1の板状渦巻歯1bと実質的に同一形状の板状渦巻歯2bが形成されており、また台板部2aの板状渦巻歯2bと反対側の面(図1において下側)の中心部には中空円筒形状のボス部2fが形成されており、そのボス部2fの内側面には揺動軸受2cが形成されている。また、ボス部2fと同じ側の面の外周部には、コンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aと圧接摺動可能なスラスト面2dが形成されている。また、揺動スクロール2の台板部2aの外周部には、前記固定スクロールのオルダム案内溝1cとほぼ90度の位相差を持つ2個1対のオルダム案内溝2eがほぼ一直線上に形成されており、このオルダム案内溝2eにはオルダムリング9の2個1対の揺動側爪9aが往復摺動自在に係合されている。さらに台板部2aには、その固定スクロール1側の面(図1において上側の面)と、コンプライアントフレーム3側の面(図1において下側の面)とを連通する細い穴である抽気孔2jが形成されている。そして、この抽気孔2jのコンプライアントフレーム側の面の開口部、すなわち下開口部2kは、通常運転時にはその円軌跡がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの内部に常時収まるように位置されている。なお、この抽気孔2jは、図1に示すように1本の斜め穴であっても、図2に示すように3本の穴と抽気孔栓2lで構成されていても実質的には同じである。
【0017】
コンプライアントフレーム3の中心部には、電動機によって回転駆動される主軸4を半径方向に支持する主軸受3cおよび補助主軸受3hが形成されている。また、コンプライアントフレーム3には、スラスト軸受3aの面からフレーム空間15fに連通する連通穴3sが形成されている。また、コンプライアントフレーム3には、調整弁収納空間3pも形成されており、この調整弁収納空間3pの一端(図2においての下端)は調整弁前流路3jを介してボス部外部空間2hに連通すると共に他端(図2において上端)は調整弁後流路3nを介して台板外周部空間2iに連通する。また、この調整弁収納空間3pには、その下部に往復運動自在に中間圧調整弁3lが、その上部には中間圧調整スプリング押え3tがコンプライアントフレーム3に固着されて収納されており、これら中間圧調整弁3lと中間圧調整スプリング押え3tとには中間圧調整スプリング3mが自然長より縮められて収納されている。
【0018】
ガイドフレーム15の外周面15gは焼きばめもしくは溶接などによって密閉容器10に固着されているものの、固定スクロール1の吐出ポート1fから吐出される高圧の冷媒ガスをガイドフレーム15より電動機側(図1において下側)に設けられた吐出管10bに導く流路は確保されている。またガイドフレーム15の内側面の固定スクロール側(図1において上側)には、上嵌合円筒面15aが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された上嵌合円筒面3dと係合されている。他方ガイドフレーム15の内側面の電動機側(図1において下側)には、下嵌合円筒面15bが形成されており、コンプライアントフレーム3の外周面に形成された下嵌合円筒面3eと係合されている。またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するリング状のシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝にリング状の上シール材16aおよびリング状の下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された空間は、フレーム空間15fを形成している。なお、上シール材16aおよび下シール材16bは必ずしも必要ではなく、係合箇所の微小隙間で(例えば、油膜形成等で)シールを行うことで省略できる部品である。また、上下を揺動スクロールの台板部2aとコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは、板状渦巻歯の巻終わり近傍である吸入空間1gと連通しているので、吸入ガス雰囲気(吸入圧)の低圧空間となっている。
【0019】
主軸4の揺動スクロール側(図1において上側)端部には、揺動スクロール2の揺動軸受2cと回転自在に係合する揺動軸部4bが形成されており、その下側には主軸バランサ4eが焼きばめられており、さらにその下側にはコンプライアントフレーム3の主軸受3cおよび補助主軸受3hと回転自在に係合する主軸部4cが形成されている。また主軸の他端部には、サブフレーム6の副軸受6aと回転自在に係合する副軸部4dが形成されており、この副軸部4dと前述した主軸部4cとの間に電動機回転子8が焼きばめられている。また、この電動機回転子8の上端面には上バランサ8aが、下端面には下バランサ8bが締結されており、前述した主軸バランサ4eとの3個のバランサによって静バランスおよび動バランスがとられている。さらに主軸4の下端面にはオイルパイプ4fが圧入されており、密閉容器10の底部に溜まった冷凍機油10eを吸い上げる。なお、主軸4を長くすることで、このオイルパイプ4fを廃止しても良い。
【0020】
また、密閉容器10の側面にはガラス端子10fが取り付けれており、電動機固定子7からのリード線が接合されている。
【0021】
次に、この実施の形態1のスクロール圧縮機の定常運転時の動作について説明する。定常運転時には密閉容器空間10dが吐出ガス雰囲気の高圧となるので、密閉容器10の底部の冷凍機油10eがオイルパイプ4f、主軸4に軸方向に貫通して設けられた高圧油給油穴4gを経由してボス部空間2gに導かれる。そして、この高圧油は揺動軸受2cで減圧されて吸入圧より高く、吐出圧以下の中間圧となり、ボス部外側空間2hに流れる。他方もう一つの経路として、高圧油給油穴4gの高圧油は、主軸4に設けられた横穴から主軸受3cの高圧側端面(図1において下端面)に導かれ、この主軸受3cで減圧されて中間圧となり、同じくボス部外側空間2hに流れる。ボス部外側空間2hの中間圧となった冷凍機油(冷凍機油に溶解していた冷媒の発泡で、一般にはガス冷媒と冷凍機油の2相流になっている)は、調整弁前流路3jを通り、中間圧調整スプリング3mによって負荷される力に打ち勝って中間圧調整弁3lを押し上げて吸入圧力雰囲気すなわち低圧雰囲気である調整弁収納空間3pに流れ、その後調整弁後流路3nを通って台板外周部空間2iに開放される。以上に説明したように、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は、中間圧調整スプリング3mのバネ力と中間圧調整弁3lの中間圧露出面積とによってほぼ決定される所定の圧力αによって、
Pm1=Ps+α (Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御されている。
【0022】
本実施の形態では、圧力が常時、吸入空間(台板外周部空間2i)<ボス部外側空間<吐出空間(密閉容器空間10d)の大小関係となり、圧力調整装置によって決まる所定の差圧によって、吐出空間の高圧雰囲気の冷凍機油は安定的にボス部外側空間に流入するので、安定した軸受部への給油が実現できる。
【0023】
他方、揺動スクロール2の台板部2aに設けられた抽気孔2jの下開口部2kは、コンプライアントフレーム3に設けられた連通穴3sのスラスト軸受側開口部すなわち上開口部3u(図2において上側の開口部)と、常時もしくは間欠的に連通する。このため、固定スクロール1と揺動スクロール2とで形成される圧縮室からの圧縮途上の吸入圧より高く、吐出圧以下の中間圧の冷媒ガスが、揺動スクロール2の抽気孔2jおよびコンプライアントフレーム3の連通穴3sを介してフレーム空間15fに導かれる。但し導かれると言っても、フレーム空間15fは上シール材16aと下シール材16bとで密閉された閉空間なので、定常運転時には圧縮室の圧力変動に呼応して圧縮室とフレーム空間15fとは双方向の微小な流れを有する、いわば呼吸している状態となる。以上に説明したように、フレーム空間15fの中間圧力Pm2は、連通する圧縮室の位置でほぼ決定される所定の倍率βによって、
Pm2=Ps×β (Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御される。
【0024】
さて、コンプライアントフレーム3には、ボス部外側空間2hの中間圧Pm1に起因する力およびスラスト軸受3aを介しての揺動スクロール2からの押付け力の合計が下向きの力として作用するものの、フレーム空間15fの中間圧Pm2に起因する力および下端面の高圧雰囲気に露出している部分に作用する高圧に起因する力の合計が上向きの力として作用し、そして定常運転時にはこの上向きの力が前述した下向きの力より大きくなるように設定されている。このためコンプライアントフレーム3は、上嵌合円筒面3dをガイドフレーム15の上嵌合円筒面15aに、下嵌合円筒面3eをガイドフレーム15の下嵌合円筒面15bに案内され、即ち、コンプライアントフレ−ム3はガイドフレ−ム15に対して摺動可能となっており、固定スクロール側(図1でおいて上方)に浮き上がっている。そしてスラスト軸受3aを介してコンプライアントフレーム3に押し付けられている揺動スクロール2も、同じく上方に浮き上がり、その結果揺動スクロール2の歯先と歯底は、固定スクロール1のそれぞれ歯底と歯先に接触し摺動する。
【0025】
なお、本実施の形態では、ボス部外部空間2hを設け内部を吸入圧力より高い中間圧としているので、揺動スクロ−ルとコンプライアントフレ−ムとを軸方向に引き離す作用を持ち、揺動スクロ−ルのスラスト面とコンプライアントフレ−ムのスラスト軸受との圧接力が一部キャンセルされ、揺動スクロ−ルの摺動損失が低減されるとともに過大な負荷によるスラスト軸受の焼付きも回避される。
【0026】
引き続いて図2において起動時の基本動作説明を行う。一般に起動直前は密閉容器10の内部の圧力は全て同一の圧力、いわゆるバランス圧力となっている。すなわち、吸入雰囲気も吐出雰囲気も同一の圧力になっている。そして起動直後から、吸入雰囲気の圧力は圧縮動作に伴い低下し、他方吐出雰囲気の圧力は圧縮動作に伴い上昇する。さて、この実施の形態1のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、起動直後にフレーム空間15fには起動直前のバランス圧をやや圧縮した圧力、すなわちバランス圧よりやや高い圧力(バランス圧力×β)が導かれる。従来のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では密閉容器10の内圧すなわち吐出雰囲気圧力が上昇し、それに遅れてフレーム空間15fの圧力が上昇したのに対して、実施の形態1では吐出雰囲気圧力よりも早くフレーム空間15fの圧力が上昇する。このためコンプライアントフレーム3は比較的短時間に持ち上げられ、それに伴い揺動スクロール2が持ち上げられ固定スクロール1と軸方向に接触摺動し正常運転状態となる。すなわち、起動性に優れた高効率な圧縮機が実現されている。
【0027】
また、従来のフレームコンプライアントスクロール圧縮機、すなわちボス部外側空間2hとフレーム空間15fとが均圧孔3iで連通して実質的に同一の空間となっている圧縮機で、仮にボス部外側空間2hおよびフレーム空間15fの中間圧力を、圧縮途中の冷媒ガスを導くことで生成した場合(中間圧力=吸入圧力×βの場合)、起動直後にフレーム空間15fの圧力が上昇するので本実施の形態1と同様に起動性に優れた圧縮機が得られるように思えるが、実は以下の2点の問題点を有する。第1の問題点は、フレーム空間15fの圧力上昇と同期してボス部外側空間2hの圧力も上昇するので、揺動スクロール2とコンプライアントフレーム3とを引き離す力が大きくなり、揺動スクロールが不安定になることである。このことにより、揺動スクロール2のスラスト面2dとコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aとの洩れ隙間が増大し、フレーム空間15fの中間圧力の減少を招き、起動性が悪化することに加えて、各種軸受の片当たりによる信頼性上のトラブルの危険性が生ずることである。また第2の問題点は、同じくフレーム空間15fの圧力上昇と同期してボス部外側空間2hの圧力も上昇するので、密閉容器10の底部に溜まっている冷凍機油10eの圧力すなわち密閉容器内の吐出圧力よりボス部外側空間2hの圧力が高い状態が起動後しばらく続くことである。このことにより、冷凍機油10eの差圧給油が行われず、このしばらくの間は揺動軸受2cや主軸受3cが無給油運転となり、軸受の摩耗や焼付といった信頼性上のトラブルを生じることである。これに対して、本発明の実施の形態1は、起動性の改善と起動直後の給油確保を両立させた、信頼性の高い高効率な圧縮機が実現されている。
【0028】
また、本発明の実施の形態1のフレームコンプライアントスクロール圧縮機は、何らかの外乱で揺動スクロール2がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの上でバタバタした場合に、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は低下するもののフレーム空間15fの中間圧力Pm2が低下することはないので、容易にリリーフしてしまうことはない。すなわち信頼性の高い高効率な圧縮機が実現されている。
加えて、ボス部外側空間2hとフレーム空間15fとが連通することなく圧力的に独立した空間として形成されているので、各々の空間の軸方向の圧力作用面積設定の自由度の高い、コンパクトで低コストの圧縮機が実現されている。
【0029】
なお、本発明の実施の形態1では、中間圧調整スプリング3mや中間圧調整弁3lを採用することでボス部外側空間2hを中間圧力に制御する例で説明したが、中間圧調整スプリング3mや中間圧調整弁3lを採用せずにボス部外側空間2hと台板外周部空間2iとを直接連通することで、ボス部外側空間2hを台板外周部空間2iと同じ低圧空間(吸入雰囲気空間)とする構造でも同等の効果が得られる。
【0030】
次に図3から図5において、軸方向最大可動量に関する説明を行う。通常運転時には、図3(a)に示すようにコンプライアントフレーム3は揺動スクロール2と共に浮上しているので、コンプライアントフレーム3とガイドフレーム15との間には「軸方向最大可動量(軸方向最大リリーフ量)」の隙間が存在した状態となっている。他方リリーフ運転状態には、図3(b)に示すようにコンプライアントフレーム3とガイドフレ−ム15とは軸方向に接触しているので、両者の軸方向隙間はゼロである。
図4は液冷媒圧縮時の内圧上昇の説明図である。図に置いて横軸は軸方向最大リリーフ量、すなわち定常運転時のコンプライアントフレームとガイドフレームの軸方向間隔であり、縦軸は液冷媒や冷凍機油などの液圧縮時に圧縮室で発生する最大圧力である。図に示すように、軸方向最大リリーフ量が30μm以下の場合には圧縮室で発生する最大圧力が許容圧力を越えるので、固定スクロールおよび揺動スクロールの板状渦巻歯の疲労破壊を含めた破損や、軸受負荷の増大に伴う異常摩耗や焼付と言った信頼性上のトラブルが発生する危険性が高くなる。本発明の実施の形態1のフレームコンプライアントスクロール圧縮機は、軸方向最大リリーフ量を30μm以上に設定しているので、上記のような信頼性上のトラブルを招く危険性はない。なお、一般に揺動スクロールが軸方向に単体で可動であるように構成されたスクロール圧縮機では、揺動スクロールの軸方向最大リリーフ量を大きく設定すると、揺動スクロールがリリーフ動作する際に揺動軸受の片当たり度合が増し軸の焼付を招く危険性が高かったが、本発明の実施の形態1に限らずフレームコンプライアントスクロール圧縮機に於いては、リリーフ動作の際には揺動スクロールとコンプライアントフレームが一体になって上下方向に動くので片当たりの度合が増すことはない。
【0031】
また図5は起動性の善し悪しを説明する図である。図において横軸は図4と同じく軸方向最大リリーフ量であり、縦軸は起動に要する時間すなわち起動後にコンプライアントフレームが浮上し通常運転状態になるまでの時間である。図に示すように、軸方向最大リリーフ量が300μm以上の場合には起動時間が許容起動時間を越えるので、立ち上がりの悪い圧縮機となるばかりか、場合によっては永遠に起動しない不良品となる危険性がある。本発明の実施の形態1のフレームコンプライアントスクロール圧縮機は、軸方向最大リリーフ量を300μm以下に設定しているので、上記のような信頼性上、効率上のトラブルを引き起こす危険性はない。
【0032】
なお、コンプライアントフレーム3には、揺動スクロール2に発生する転覆モーメントの一部または全部がスラスト軸受3aを介して伝達されるものの、主軸受3cから受ける軸受負荷と、その反作用である2つの力の合力、すなわち上嵌合円筒面3dを介してガイドフレーム15から受ける反力と下嵌合円筒面3eを介してガイドフレーム15から受ける反力との合力、とによって生ずる偶力が前記転覆モーメントを打ち消すように作用するので、非常に良好な定常運転時追随動作安定性およびリリーフ動作安定性を有するのは従来のフレームコンプライアントスクロール圧縮機と同様である。
【0033】
実施の形態2.
引き続いて図6において、本発明の実施の形態2の説明を行う。図6は本発明の実施の形態2の主要箇所の部分縦断面図である。他の部分は実施の形態1と同様であり、省略する。
コンプライアントフレーム3には、調整弁収納空間3pが形成されており、この調整弁収納空間3pの一端(図6においての下端)は調整弁前流路3jを介してフレーム空間15fに連通すると共に他端(図6において上端)は調整弁後流路3nを介して台板外周部空間2iに連通する。また、この調整弁収納空間3pには、その下部に往復運動自在に中間圧調整弁3lが、その上部には中間圧調整スプリング押え3tがコンプライアントフレーム3に固着されて収納されており、これら中間圧調整弁3lと中間圧調整スプリング押え3tとには中間圧調整スプリング3mが自然長より縮められて収納されている。さらにコンプライアントフレーム3には、逆止弁収納空間3vが形成されており、この逆止弁収納空間3vの一端(図6においての上端)は逆止弁前流路3wを介してボス部外側空間2hに連通すると共に他端(図6において下端)は逆止弁後流路3xを介してフレーム空間15fに連通する。また、この逆止弁収納空間3vには、その上部に往復運動自在に逆止弁3yが、その下部には逆止弁スプリング押え3zがコンプライアントフレーム3に固着されて収納されており、これら逆止弁3yと逆止弁スプリング押え3zとには逆止弁スプリング3bが自然長より縮められて収納されている。
【0034】
またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するリング状のシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝にリング状の上シール材16aおよびリング状の下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された空間は、フレーム空間15fを形成している。なお、上シール材16aおよび下シール材16bは必ずしも必要ではなく、係合箇所の微小隙間で(例えば油膜形成等で)シールを行うことにより、省略できる部品である。また、上下を揺動スクロールの台板部2aとコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは、板状渦巻歯の巻終わり近傍である吸入空間と連通しているので、吸入ガス雰囲気となっている。
【0035】
次に、この実施の形態2のスクロール圧縮機の定常運転時の動作について説明する。定常運転時には密閉容器空間10dが吐出ガス雰囲気の高圧となるので、密閉容器の底部の冷凍機油が主軸4に軸方向に貫通して設けられた高圧油給油穴4gを経由してボス部空間2gに導かれる。そして、この高圧油は揺動軸受2cで減圧されて吸入圧より高く、吐出圧力以下の中間圧となり、ボス部外側空間2hに流れる。他方もう一つの経路として、高圧油給油穴4gの高圧油は、主軸4に設けられた横穴から主軸受3cの高圧側端面(図6において下端面)に導かれ、この主軸受3cで減圧されて中間圧となり、同じくボス部外側空間2hに流れる。
ボス部外側空間2hの中間圧となった冷凍機油(冷凍機油に溶解していた冷媒の発泡で、一般にはガス冷媒と冷凍機油の2相流になっている)は、逆止弁前流路3wを通り、逆止弁スプリング3bによって負荷される力に打ち勝って逆止弁3yを押し上げて逆止弁収納空間3vに流れ、その後逆止弁後流路3xを通って別の、吸入圧より高く、吐出圧力以下の中間圧空間であるフレーム空間15fに開放される。そしてその後フレーム空間15fの別の中間圧となった冷凍機油(冷凍機油に溶解していた冷媒の発泡で、一般にはガス冷媒と冷凍機油の2相流になっている)は、調整弁前流路3jを通り、中間圧調整スプリング3mによって負荷される力に打ち勝って中間圧調整弁3lを押し上げて吸入圧力雰囲気すなわち低圧雰囲気である調整弁収納空間3pに流れ、その後調整弁後流路3nを通って台板外周部空間2iに開放される。
【0036】
以上に説明したように、まずフレーム空間15fの中間圧力Pm2は、中間圧調整スフ゜リング3mのバネ力と中間圧調整弁3lのフレーム空間露出面積とによってほぼ決定される所定の圧力α1によって、
Pm2=Ps+α1 (Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御されている。
他方、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は、逆止弁スプリング3bのバネ力と逆止弁のボス部外側空間露出面積とによってほぼ決定される所定の圧力α2によって、
Pm1=Pm2+α2=Ps+(α1+α2) (Psは吸入雰囲気圧力)
で制御される。
【0037】
以上に説明したように、本発明の実施の形態2のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、ボス部外側空間2hからフレーム空間15fへの流体の流れを許容すると共にその逆の流れすなわちフレーム空間15fからボス部外側空間2hへの流体の流れを阻止するいわゆる逆止弁を設けたので、何らかの外乱で揺動スクロール2がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの上でバタ付いた場合に、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は低下するもののフレーム空間15fの中間圧力Pm2がその影響で低下することがないので、容易にリリーフすることは起こり得ない。しかも給油機能を損なうことはない、すなわち信頼性の高い高効率な圧縮機が実現されている。
なお、上記α2の設定は逆止弁スプリングのバネ力の設定などで簡単にかつ自由に調整できるので、実際的にはボス部外側空間2hとフレーム空間15fとが独立した空間として扱える。このため、上記2つの中間圧力空間の軸方向の圧力作用面積設定の自由度の高い、コンパクトで低コストの圧縮機が実現されている。
また、本実施の形態では、冷凍機油の溜まる密閉容器の底部を吐出圧力近傍の高圧とするとともに、ボス部外側空間を給油経路途中とし、フレ−ム空間を圧力調整装置を介して低圧空間に連通したので、圧力は常時、吸入空間(台板外周部空間2i)<フレ−ム空間<ボス部外側空間<吐出空間(密閉容器空間10d)の大小関係となり、圧力調整装置及び逆止弁によって決まる所定の差圧によって、吐出空間の高圧雰囲気の冷凍機油は安定的にボス部外側空間に流入するので、安定した軸受部への給油が実現できる。
また、本実施の形態ではボス部外部空間15fへの流体の流れを許容すると共にその逆の流れすなわちフレーム空間15fからボス部外側空間2hへの流体の流れを阻止する手段として、逆止弁を用いたものを記載しているが、逆止弁に限定するものではなく、他のものでも同様の作用をするものであればよい。
【0038】
引き続いて図6において起動時の動作説明を行う。一般に起動直前は密閉容器10の内部の圧力は全て同一の圧力、いわゆるバランス圧力となっている。すなわち、吸入雰囲気も吐出雰囲気も同一の圧力になっている。そして起動直後から、吸入雰囲気の圧力は圧縮動作に伴い低下し、他方吐出雰囲気の圧力は圧縮動作に伴い上昇する。さて、この実施の形態2のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、起動直後にボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は、吸入雰囲気圧力の低下およびそれに伴っての台板外周部空間2iの圧力低下に引きずられる形で低下する。他方吐出雰囲気圧力は起動直後から上昇するので、密閉容器10の底部に溜まっている冷凍機油を揺動軸受2cや主軸受3cに供給するための差圧が起動直後から確保される。すなわち起動直後の軸受給油が十分に確保された信頼性の高い圧縮機が実現されている。
【0039】
以上は、2セットの弁・スプリングモジュールを、1つ(発生差圧α2)はボス部外側空間2hとフレーム空間15fとの間に、もう1つ(発生差圧α1)はフレーム空間15fと低圧雰囲気空間との間に設置することで、
Pm1=Ps+(α1+α2)
Pm2=Ps+α1
で制御する例で説明したが、別の方法として2セットの弁・スプリングモジュールを、1つ(発生差圧α2)はボス部外側空間2hと今度は直接に低圧雰囲気空間との間に、もう1つ(発生差圧α1)はフレーム空間15fと低圧雰囲気空間との間に設置することで、
Pm1=Ps+α2
Pm2=Ps+α1
で制御することでも同様の効果が得られる。この場合には、揺動軸受2cで減圧されて中間圧となる冷凍機油をボス部外側空間に、主軸受3cで減圧されて中間圧となる冷凍機油をフレーム空間に導く構造がシンプルとなる。
【0040】
実施の形態3
次に図7において、本発明の実施の形態3の説明を行う。図7は本発明の実施の形態3の主要箇所の部分縦断面図である。他の部分は実施の形態1と同様であり、省略する。
揺動スクロール2の台板部2aには、その固定スクロール側の面(図7において上側の面)と、コンプライアントフレーム3側の面(図7において下側の面)とを連通する細い穴である抽気孔2jが形成されている。そして、この抽気孔2jのコンプライアントフレーム側の面の開口部、すなわち下開口部2kは、通常運転時にはその円軌跡がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの内部に常時収まるように位置されている。また、台板部2aには、その固定スクロール側の面(図7において上側の面)と、コンプライアントフレーム3側の面(図7において下側の面)とを連通するもう一つの細い穴である第2抽気孔2mが形成されている。そして、この第2抽気孔2mのコンプライアントフレーム側の面の開口部は、通常運転時にはその円軌跡がボス部外側空間2hと常時もしくは間欠的に連通するように位置されている。
またコンプライアントフレーム3には、スラスト軸受3aの面からフレーム空間15fに連通する連通穴3sが形成されている。
またガイドフレーム15の内側面には、シール材を収納するリング状のシール溝が2ヶ所に形成されており、それらのシール溝にリング状の上シール材16aおよびリング状の下シール材16bが嵌着されている。そしてこれら2つのシール材とガイドフレーム15の内側面とコンプライアントフレーム3の外側面とによって形成された空間は、フレーム空間15fを形成している。なお、上シール材16aおよび下シール材16bは必ずしも必要ではなく、係合箇所の微小隙間で(例えば油膜形成等で)シールを行うことにより、省略できる部品である。また、上下を揺動スクロールの台板部2aとコンプライアントフレーム3で囲われたスラスト軸受3aの外周側の空間、すなわち台板外周部空間2iは、板状渦巻歯の巻終わり近傍である吸入空間と連通しているので、吸入ガス雰囲気となっている。
【0041】
次に、この実施の形態3のスクロール圧縮機の定常運転時の動作について説明する。定常運転時には密閉容器空間10dが吐出ガス雰囲気の高圧となるので、密閉容器の底部の冷凍機油が主軸4に軸方向に貫通して設けられた高圧油給油穴4gを経由してボス部空間2gに導かれる。そして、この高圧油は揺動軸受2cで減圧されて中間圧となり、ボス部外側空間2hに流れる。他方もう一つの経路として、高圧油給油穴4gの高圧油は、主軸4に設けられた横穴から主軸受3cの高圧側端面(図31において下端面)に導かれ、この主軸受3cで減圧されて中間圧となり、同じくボス部外側空間2hに流れる。
ボス部外側空間2hの中間圧となった冷凍機油(冷凍機油に溶解していた冷媒の発泡で、一般にはガス冷媒と冷凍機油の2相流になっている)は、次に第2抽気孔2mを通って固定スクロール1と揺動スクロール2とで形成される圧縮室に流れる。つまり圧縮途上の冷媒ガスにインジェクションされることになる。以上に説明したように、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は、第2抽気孔2mが実質的に連通する圧縮室の位置やインジェクションされる冷凍機油などの量によってほぼ決定される所定の倍率β1によって、
Pm1=Ps×β1 (Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御されている。
他方、揺動スクロール2の台板部2aに設けられた抽気孔2jの下開口部2kは、コンプライアントフレーム3に設けられた連通穴3sのスラスト軸受側開口部すなわち上開口部3u(図31において上側の開口部)と、常時もしくは間欠的に連通する。このため、固定スクロール1と揺動スクロール2とで形成される圧縮室からの圧縮途上の冷媒ガスが、揺動スクロール2の抽気孔2jおよびコンプライアントフレーム3の連通穴3sを介してフレーム空間15fに導かれる。但し導かれると言っても、フレーム空間15fは上シール材16aと下シール材16bとで密閉された閉空間なので、定常運転時には圧縮室の圧力変動に呼応して圧縮室とフレーム空間15fとは双方向の微小な流れを有する、いわば呼吸している状態となる。以上に説明したように、フレーム空間15fの中間圧力Pm2は、抽気孔2jが実質的に連通する圧縮室の位置でほぼ決定される所定の倍率β2によって、
Pm2=Ps×β2 (Psは吸入雰囲気圧力すなわち低圧)
で制御される。
【0042】
以上に説明したように、本発明の実施の形態3のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、ボス部外側空間2hとフレーム空間15fとが各々独立した部屋で形成されているので、何らかの外乱で揺動スクロール2がコンプライアントフレーム3のスラスト軸受3aの上でバタ付いた場合に、ボス部外側空間2hの中間圧力Pm1は低下するもののフレーム空間15fの中間圧力Pm2がその影響で低下することがないので、容易にリリーフすることは起こり得ない。すなわち信頼性の高い高効率な圧縮機が実現されている。
【0043】
引き続いて図7において起動時の動作説明を行う。一般に起動直前は密閉容器10の内部の圧力は全て同一の圧力、いわゆるバランス圧力となっている。すなわち、吸入雰囲気も吐出雰囲気も同一の圧力になっている。そして起動直後から、吸入雰囲気の圧力は圧縮動作に伴い低下し、他方吐出雰囲気の圧力は圧縮動作に伴い上昇する。さて、この実施の形態3のフレームコンプライアントスクロール圧縮機では、起動直後にフレーム空間15fには起動直前のバランス圧をやや圧縮した圧力、すなわちバランス圧よりやや高い圧力(バランス圧力×β2)が導かれる。このため吐出雰囲気圧力よりも早くフレーム空間15fの圧力が上昇し、ためコンプライアントフレーム3は比較的短時間に持ち上げられ、それに伴い揺動スクロール2が持ち上げられ固定スクロール1と軸方向に接触摺動し正常運転状態となる。すなわち、起動性に優れた高効率な圧縮機が実現されている。
加えて、ボス部外側空間2hとフレーム空間15fとが独立した空間として形成されているので、各々の空間の軸方向の圧力作用面積設定の自由度の高い、コンパクトで低コストの圧縮機が実現されている。
【0044】
なお、本発明の実施の形態1から3は、すべて小型・中型の冷凍機・空調機で主に採用されている密閉型圧縮機で説明したが、自動車用空調機で主に採用されている駆動要素を圧縮要素収納容器の外部に有するタイプの圧縮機でも同様の効果が得られる。
また、本発明の実施の形態1から3は、密閉容器空間10dを吐出ガス雰囲気又は吐出ガス雰囲気近傍の高圧とした、いわゆる高圧シェルタイプのスクロ−ル圧縮機で説明したが、密閉容器空間10dを吸入ガス雰囲気又は吸入ガス雰囲気近傍の低圧とした、いわゆる低圧シェルタイプのスクロ−ル圧縮機とし、冷凍機油10eを主軸4の端部に給油ポンプを設けて、ポンプ圧力で給油を行うようにしても、ほぼ同様の作用・効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のスクロール圧縮機は、前記ボス部外側空間と前記フレ−ム空間とを連通し、かつ、前記ボス部外側空間から前記フレ−ム空間への流体の流れを許容すると共に前記フレーム空間から前記ボス部外側空間への流体の流れを阻止する手段を設けたので、運転圧力条件の振れや液冷媒の吸入などの僅かな外乱によって揺動スクロールがばたついた時に、ボス部外側空間の中間圧力は低下するものの、流体の逆流がないのでフレーム空間の圧力は低下することがなく揺動スクロ−ルが容易にリリーフしてしまうことが回避される。
また、フレ−ム空間への圧力の導入が容易となる。このため、信頼性が高くかつ低コストな圧縮機が得られる。
【0046】
また、本発明のスクロール圧縮機は、前記ボス部外側空間の圧力を前記フレーム空間の圧力よりも大きくしたので、高圧雰囲気の冷凍機油は安定的にボス部外側空間に流入するので、安定した軸受部への給油が実現できる。その結果、軸受のまさつ係数を小さくできるとともに、軸受の焼付きも回避できる。
即ち、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【0047】
また、本発明のスクロール圧縮機は、冷凍機油の溜まる密閉容器の底部を吐出圧力近傍の高圧として前記冷凍機油を前記ボス部外側空間に導いた後に、前記フレ−ム空間に導くとともに、前記フレーム空間を、前記ボス部外側空間の圧力よりも小さい所定の中間圧力に制御するための圧力調整装置を介して低圧空間に連通させるようにしたので、圧力は常時、吸入空間<フレ−ム空間<ボス部外側空間<吐出空間の大小関係となり、圧力調整装置等によって決まる所定の差圧によって、高圧雰囲気の冷凍機油は安定的にボス部外側空間に流入するので、安定した軸受部への給油が実現できる。その結果、軸受のまさつ係数を小さくできるとともに、軸受の焼付きも回避できる。即ち、高効率で信頼性の高い圧縮機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の縦断面図
【図2】 この発明の実施の形態1の主要箇所の部分縦断面図
【図3】 この発明の実施の形態1の軸方向最大可動量の説明図
【図4】 この発明の実施の形態1の液冷媒圧縮時の内圧上昇説明図
【図5】 この発明の実施の形態1の起動性の説明図
【図6】 この発明の実施の形態2の主要箇所の部分縦断面図
【図7】 この発明の実施の形態3の主要箇所の部分縦断面図
【図8】 先行例のスクロール圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
1 固定スクロール、1b 板状渦巻歯、2 揺動スクロール、2b 板状渦巻歯、2h ボス部外側空間、2i 台板外周部空間、3 コンプライアントフレーム、4 主軸、10 密閉容器、10e 冷凍機油、15 ガイドフレーム、15f フレーム空間、21 圧縮室、22 圧力調整装置、23 圧力調整装置。
Claims (3)
- 密閉容器内に設けられそれぞれの板状渦巻歯が相互間に圧縮室を形成するように噛み合わされた固定スクロ−ル及び揺動スクロ−ルと、この揺動スクロ−ルを軸方向に支持すると共にこの揺動スクロ−ルを駆動する主軸を半径方向に支持し、軸方向に移動可能なコンプライアントフレ−ムと、このコンプライアントフレ−ムを半径方向に支持し、前記密閉容器に固定されたガイドフレ−ムとを備え、前記コンプライアントフレ−ムの前記ガイドフレ−ムに対する軸方向の摺動により前記揺動スクロ−ルを軸方向に移動可能としたスクロ−ル圧縮機において、前記コンプライアントフレ−ムと前記ガイドフレ−ムとの間に形成され、吸入圧より高く、吐出圧以下の圧力としたフレ−ム空間と、前記揺動スクロールと前記コンプライアントフレ−ム間に形成され、吸入圧より高く、吐出圧以下の圧力としたボス部外側空間と、前記ボス部外側空間と前記フレ−ム空間とを連通し、かつ、前記ボス部外側空間から前記フレ−ム空間への流体の流れを許容すると共に前記フレーム空間から前記ボス部外側空間への流体の流れを阻止する手段と、を備えたことを特徴とするスクロ−ル圧縮機。
- 前記ボス部外側空間の圧力を前記フレーム空間の圧力よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のスクロ−ル圧縮機。
- 冷凍機油の溜まる密閉容器の底部を吐出圧力近傍の高圧として前記冷凍機油を前記ボス部外側空間に導いた後に、前記フレ−ム空間に導くとともに、前記フレーム空間を、前記ボス部外側空間の圧力よりも小さい所定の中間圧力に制御するための圧力調整装置を介して低圧空間に連通させるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスクロ−ル圧縮機。
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