JP3959533B2 - 超音波タッチパネル - Google Patents

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【発明の属する技術分野】
本発明は入力用すだれ状電極を備えた圧電板および出力用すだれ状電極を備えた圧電板を非圧電板上に設け、その非圧電板上に人指または物体が接触したことを感知し、その位置を検出する超音波タッチパネルに関する。
【従来の技術】
超音波方式による従来のタッチパネルは、非圧電板に弾性表面波を励振させ、その非圧電板に接触することにより弾性表面波が減衰するということを利用したものである。非圧電板に弾性表面波を励振する従来の方法としては、バルク波振動子を用いたくさび形トランスデューサにより間接的に励振する方法、圧電薄膜トランスデューサにより直接的に励振する方法等が挙げられる。くさび形トランスデューサは超音波による非破壊検査等に用いられているが、くさび角の工作精度の問題等から比較的低い周波数領域においてのみ用いられる。圧電薄膜トランスデューサはZnO等の圧電薄膜を基板に蒸着しすだれ状電極により弾性表面波を励振する方法で、すだれ状電極の構成により種々の伝送特性を示すことから高周波デバイスとして用いられるが、UHF,VHF帯に限られるとともに加工性や量産性に問題がある。このようにして、従来の超音波タッチパネルでは応答時間、感度、耐久性、工作精度、加工性、量産性および使用しやすさ等の点で問題があり、使用周波数領域も制限されている。そこで、これらの問題点を解決する超音波タッチパネルが本願発明者により特願平4−218336等で出願された。この超音波タッチパネルは、圧電薄板とすだれ状電極とから成る超音波デバイスを非圧電板の一方の板面に少なくとも2つ設けて成るものであり、低消費電力で効率良く弾性表面波を非圧電板の板面に励振することができる。従って、一方の超音波デバイスを入力用とし、もう一方の超音波デバイスを出力用とした場合、非圧電板の一方の板面における弾性表面波の伝搬路に人指または物体が接触すれば弾性表面波が減衰または消滅することから、出力用超音波デバイスにおけるすだれ状電極に出力される電気信号も減衰または消滅する。しかし、この超音波タッチパネルを含む従来のタッチパネルは、接触位置の細密さにいっそうの向上を要するとともに、信号処理の仕方が複雑にならざるを得なかった。
【発明が解決しようとする課題】
従来の超音波タッチパネルでは感度、工作精度、加工性、量産性、消費電力等に問題があるばかりでなく、信号処理の仕方や回路構成等にも問題があった。
本発明の目的は、加工性、耐久性および量産性に優れ、低消費電力駆動で応答時間が短く、信号処理の仕方が簡単で、回路の規模も小さく、接触位置の細密な検出が可能で、使用しやすさに優れた超音波タッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の超音波タッチパネルは、非圧電板と、超音波送受波手段XおよびYと、前記超音波送受波手段XおよびYに接続された情報処理部から成る超音波タッチパネルであって、
前記各超音波送受波手段は1組の入力用すだれ状電極T0と、N組の入力用すだれ状電極Ti(i=1,2,……,N)と、前記すだれ状電極T0に対応する出力用すだれ状電極R0と、前記各すだれ状電極Tiにそれぞれ対応する少なくとも2組の出力用すだれ状電極Ri1およびRi2(i=1,2,……,N)と、圧電板PTと、圧電板PRから成り、
前記すだれ状電極T0およびTiは前記圧電板PTの一方の板面に設けられ、前記すだれ状電極R0,Ri1およびRi2は前記圧電板PRの一方の板面に設けられており、
前記圧電板PTは前記圧電板PTの前記一方の板面またはもう一方の板面を介して前記非圧電板の上端面に固着され、前記圧電板PRは前記圧電板PRの前記一方の板面またはもう一方の板面を介して前記非圧電板の前記上端面に固着されており、
前記すだれ状電極R0の電極指の方向と、前記すだれ状電極T0の電極指の方向は互いに平行で、
前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向と、前記すだれ状電極Tiの電極指の方向とは互いに平行でなく、前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、前記すだれ状電極Tiの電極指の方向に対し角αの傾きを有し、
前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、前記すだれ状電極T0,TiおよびR0の電極周期長Pとcosαとの積に等しく、
前記すだれ状電極T0およびTiは、前記電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号を入力されることにより、前記圧電板PTに前記電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する弾性表面波を励振し、該弾性表面波を前記非圧電板の前記上端面の表面近傍に伝搬させた後、前記圧電板PRに伝搬させ、
前記非圧電板に伝搬される前記弾性表面波は1次以上の高次モードの波で、前記1次以上の高次モードの弾性表面波の位相速度は、前記非圧電板単体に伝搬するレイリー波の速度とほぼ等しく、
前記すだれ状電極R0は、前記すだれ状電極T0によって前記圧電板PTに励振され前記圧電板PRに伝搬した弾性表面波を、位相θbaseを有する電気信号に変換して出力し、
前記各すだれ状電極Ri1およびRi2は、前記すだれ状電極Tiによって前記圧電板PTに励振され前記圧電板PRに伝搬した弾性表面波を、位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)にそれぞれ変換し、 前記電気信号Ejは前記電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有し、
前記位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零であり、前記電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零であって、前記電気信号TotalEjは前記すだれ状電極Ri1およびRi2において検出されることはなく、
前記各圧電板の厚さdは前記電極周期長Pよりも小さく、
前記非圧電板の厚さは前記電極周期長Pのほぼ3倍以上であり、
前記非圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度は、前記各圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度よりも大きく、
前記すだれ状電極TiおよびRi1は前記非圧電板の前記上端面に弾性表面波の伝搬路Di1(i=1,2,……,N)を形成し、前記各伝搬路Di1はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成り、
前記すだれ状電極TiおよびRi2は前記非圧電板の前記上端面に弾性表面波の伝搬路Di2(i=1,2,……,N)を形成し、前記各伝搬路Di2はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成り、
前記非圧電板の前記上端面における位置Fj(j=1,2,……,χ)は、前記微細伝搬路Zjに対応し、
前記微細伝搬路Zjは前記位相θjに対応し、
前記情報処理部は、微細伝搬路Zxに対応する位置Fxに人指または物体が接触したことを、前記すだれ状電極Ri1またはRi2のどれかにおいて位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知し、前記接触位置Fxを、前記電気信号Eを出力した前記すだれ状電極Ri1またはRi2を判別することと、前記位相θbaseと前記位相θとの差を検出することにより特定し、
前記接触位置Fxは位相θxを有する電気信号Exに対応し、前記出力電気信号Eは前記電気信号TotalEjから前記電気信号Exを除いた成分と等しく、前記位相θは前記位相Totalθjから前記位相θxを除いた成分と等しい。
請求項2に記載の超音波タッチパネルは、前記すだれ状電極Tiにそれぞれ対応するスイッチWi(i=1,2,……,N)を含む超音波タッチパネルであって、
前記スイッチWiの出力端はそれぞれ前記すだれ状電極Tiの入力端に接続されており、
前記各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、
前記各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続され、
前記情報処理部は前記スイッチWiを順次に所定の周期で断続し、前記位置Fxに人指または物体が接触したことを、前記接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知し、前記接触位置Fxを、前記出力電気信号Eが検出された前記接続点Q1またはQ2を判別することと、前記出力電気信号Eが検出された時に接続されていた前記スイッチWiを特定することと、前記位相θbaseと前記位相θとの差を検出することにより特定する。
請求項3に記載の超音波タッチパネルは、前記各すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計が、前記すだれ状電極Tiの電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しい。
請求項4に記載の超音波タッチパネルは、前記すだれ状電極Tiに代えてすだれ状電極Mi(i=1,2,……,N)を備えるとともに、接地電極Gi(i=1,2,……,N)、スイッチWi(i=1,2,……,N)および移相器Sを有する超音波タッチパネルであって、
前記すだれ状電極Miの電極周期長および電極交差幅は前記すだれ状電極Tiの電極周期長Pおよび電極交差幅Lとそれぞれ等しく、前記すだれ状電極Miは前記圧電基板の前記一方の板面上において前記すだれ状電極Tiと同様な位置に設けられており、
前記接地電極Giは前記圧電板PTのもう一方の板面の前記すだれ状電極Miに対応する部分に設けられており、
前記圧電板PTは前記接地電極Giを介して前記非圧電板の上端面に固着されており、
前記圧電板PRは、前記圧電板PRの前記すだれ状電極R0,Ri1およびRi2を有しない方の板面を介して前記非圧電板の前記上端面に固着されており、
前記すだれ状電極Miは、電極Mi-1およびMi-2から成り、
前記電極Mi-1の電極指と前記電極Mi-2の電極指との間の距離には2種類あり、
前記各スイッチWiは2つのスイッチWi1およびWi2から成り、
前記スイッチWi1およびWi2の出力端は前記電極Mi-1およびMi-2の入力端にそれぞれ接続され、
前記各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、
前記各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続され、
前記移相器Sは少なくとも1つのコイルL1を含み、
前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、前記すだれ状電極Miの電極指の方向に対し角αの傾きを有し、
前記各すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、前記電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しく、
前記各すだれ状電極Miおよび前記各接地電極Giは、前記各電極Mi-1と前記各接地電極Giとの間および前記各電極Mi-2と前記各接地電極Giとの間に位相差2πyを有する電気信号ViおよびV2を前記移相器Sを介して入力されることにより、前記圧電板PTに前記電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する一方向性の弾性表面波を励振し、該弾性表面波を前記非圧電板の前記上端面の表面近傍に伝搬させた後、前記圧電板PRに伝搬させ、
前記電気信号V1およびV2は前記電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有し、
前記電極Mi-1の電極指と前記電極Mi-2の電極指との間の距離のうち短い方の距離xPにおいて、x<1/2で、同時に、前記電気信号V1とV2との間の前記位相差2πyにおいて、x+y=±1/2が成り立ち、
前記情報処理部は前記スイッチWiを順次に所定の周期で断続し、前記位置Fxに人指または物体が接触したことを、前記接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知し、前記接触位置Fxを、前記出力電気信号Eが検出された前記接続点Q1またはQ2を判別することと、前記出力電気信号Eが検出された時に接続されていた前記スイッチWiを特定することと、前記位相θbaseと前記位相θとの差を検出することにより特定する。
請求項5に記載の超音波タッチパネルは、前記超音波送受波手段Xにおける前記すだれ状電極T0とR0との間の弾性表面波の伝搬路を遅延素子とする発振器が構成されていて、
前記超音波送受波手段Xにおける前記すだれ状電極R0の出力端は、前記超音波送受波手段XおよびYにおけるそれぞれの前記すだれ状電極T0の入力端に増幅器AXを介して接続されている。
請求項6に記載の超音波タッチパネルは、前記超音波送受波手段Xにおける前記伝搬路Di1およびDi2と、前記超音波送受波手段Yにおける前記伝搬路Di1およびDi2とが互いに直交している。
請求項7に記載の超音波タッチパネルは、前記各超音波送受波手段における前記伝搬路Di1およびDi2が互いに隣接するかまたは一部分を重複させている。
請求項8に記載の超音波タッチパネルは、前記非圧電板の下端面が支持基板で支持されている。
請求項9に記載の超音波タッチパネルは、前記各圧電板が圧電セラミックで成り、該圧電セラミックの分極軸の方向は該圧電セラミックの厚さ方向と平行である。
請求項10に記載の超音波タッチパネルは、前記各圧電板がPVDFその他の圧電性高分子化合物で成る。
【発明の実施の形態】
本発明の超音波タッチパネルは、非圧電板と、超音波送受波手段XおよびYと、その超音波送受波手段XおよびYに接続された情報処理部から成る。
本発明の超音波タッチパネルの第1の構造は、各超音波送受波手段が1組の入力用すだれ状電極T0と、N組の入力用すだれ状電極Ti(i=1,2,……,N)と、すだれ状電極T0に対応する出力用すだれ状電極R0と、各すだれ状電極Tiにそれぞれ対応する少なくとも2組の出力用すだれ状電極Ri1およびRi2(i=1,2,……,N)と、圧電板PTと、圧電板PRから成るものである。すだれ状電極T0およびTiは圧電板PTの一方の板面に設けられ、すだれ状電極R0,Ri1およびRi2は圧電板PRの一方の板面に設けられている。圧電板PTは圧電板PTのどちらか一方の板面を介して非圧電板の上端面に固着され、圧電板PRは圧電板PRのどちらか一方の板面を介して非圧電板の上端面に固着されている。すだれ状電極R0の電極指の方向と、すだれ状電極T0の電極指の方向は互いに平行である。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向と、すだれ状電極Tiの電極指の方向とは互いに平行でなく、すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、すだれ状電極Tiの電極指の方向に対し角αの傾きを有する。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、すだれ状電極T0,TiおよびR0の電極周期長Pとcosαとの積に等しくなるような大きさに設定される。各すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、すだれ状電極Tiの電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しくなるような大きさに設定される。
本発明の超音波タッチパネルの第1の構造では、電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号をすだれ状電極T0およびTiに入力する構造を採用することにより、圧電板PTに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する弾性表面波を励振し、その弾性表面波を非圧電板の上端面の表面近傍に伝搬することができる。各圧電板の厚さdが電極周期長Pよりも小さく、非圧電板の厚さが電極周期長Pのほぼ3倍以上であり、非圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度が、各圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度よりも大きいことから、非圧電板の内部には超音波を漏洩させることなく、非圧電板の表面近傍に効率よく弾性表面波を伝搬させることができる。従って、低消費電力駆動が可能となるばかりでなく、非圧電板の支持が容易になる。非圧電板を支持する場合には、非圧電板の上端面を除く部分の支持が可能である。
非圧電板の上端面に伝搬した弾性表面波は1次以上の高次モードの波である。1次以上の高次モードの弾性表面波の位相速度が、非圧電板単体に伝搬するレイリー波の速度とほぼ等しくなるような構造を採用することにより、すだれ状電極T0およびTiから加えられる電気的エネルギーが弾性表面波に変換される度合を大きくすることができるだけでなく、圧電板PTと非圧電板との界面での音響インピーダンスの不整合等によって生じる反射等を除去することができる。
すだれ状電極T0によって励振され非圧電板の上端面に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、すだれ状電極R0によって位相θbaseを有する電気信号に変換されて出力される。一方、各すだれ状電極Tiによって励振され非圧電板の上端面に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、各すだれ状電極Ri1およびRi2によって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)にそれぞれ変換される。電気信号Ejは電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有する。位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零となり、電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零となる。つまり、電気信号TotalEjは各すだれ状電極Ri1およびRi2において検出されることはない。
本発明の超音波タッチパネルの第1の構造では、非圧電板の上端面において、すだれ状電極TiおよびRi1は弾性表面波の伝搬路Di1(i=1,2,……,N)を形成し、すだれ状電極TiおよびRi2は弾性表面波の伝搬路Di2(i=1,2,……,N)を形成する。各伝搬路Di1はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成り、各伝搬路Di2もまたそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成る。微細伝搬路Zjはそれぞれ位相θjに対応している。また、非圧電板の上端面における位置Fj(j=1,2,……,χ)を、微細伝搬路Zjに対応させることができる。微細伝搬路Zxに対応する位置Fxに人指または物体が接触すると、各すだれ状電極Ri1またはRi2のどれかにおいて位相θを有する出力電気信号Eが情報処理部によって検出される。つまり、非圧電板の上端面を接触しない場合には、各すだれ状電極Ri1またはRi2において弾性表面波から変換される電気信号TotalEjは均衡がとれて零であったものが、接触により超音波の微細伝搬路Zxが遮断されると、その微細伝搬路Zxに対応する弾性表面波が各すだれ状電極Ri1またはRi2において位相θxを有する電気信号Exに変換されることがないので、全体としての均衡が崩れて各すだれ状電極Ri1またはRi2において出力電気信号Eが検出されることになる。従って、出力電気信号Eは電気信号TotalEjから電気信号Exを除いた成分と等しくなり、出力電気信号Eの位相θは位相Totalθjから位相θxを除いた成分と等しくなる。本発明の超音波タッチパネルの情報処理部では、電気信号Eを出力したすだれ状電極Ri1またはRi2を判別することと、位相θbaseと位相θとの差を検出することにより、微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを特定している。
本発明の超音波タッチパネルの第1の構造では、すだれ状電極Tiにそれぞれ対応するスイッチWi(i=1,2,……,N)を備えることが可能である。スイッチWiの出力端はそれぞれすだれ状電極Tiの入力端に接続される。また、各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続される。このとき、情報処理部はまず第1に、スイッチWiを順次に所定の周期で断続する機能を有する。第2に、位置Fxに人指または物体が接触したことを、接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知する。第3に、出力電気信号Eが検出された接続点Q1またはQ2を判別する。第4に、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチWiを特定する。そして第5に、位相θbaseと位相θとの差を検出することにより、微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを特定する。
本発明の超音波タッチパネルの第2の構造は、各超音波送受波手段が1組の入力用すだれ状電極T0と、N組の入力用すだれ状電極Mi(i=1,2,……,N)と、N個の接地電極Gi(i=1,2,……,N)と、すだれ状電極T0に対応する出力用すだれ状電極R0と、各すだれ状電極Miにそれぞれ対応する少なくとも2組の出力用すだれ状電極Ri1およびRi2(i=1,2,……,N)と、圧電板PTと、圧電板PRと、N組のスイッチWi(i=1,2,……,N)と、移相器Sから成るものである。すだれ状電極T0およびMiは圧電板PTの一方の板面に設けられ、接地電極Giは圧電板PTのもう一方の板面のすだれ状電極Miに対応する部分に設けられており、圧電板PTは接地電極Giを介して非圧電板の上端面に固着されている。すだれ状電極R0は圧電板PRの一方の板面のすだれ状電極T0に対向する部分に設けられ、すだれ状電極Ri1およびRi2は圧電板PRの一方の板面の各すだれ状電極Miに対向する部分に設けられており、圧電板PRは圧電板PRのもう一方の板面を介して非圧電板の上端面に固着されている。すだれ状電極Miは、電極Mi-1およびMi-2から成り、電極Mi-1の電極指と電極Mi-2の電極指との間の距離には2種類ある。移相器Sは少なくとも1つのコイルL1を含む。すだれ状電極R0の電極指の方向と、すだれ状電極T0の電極指の方向は互いに平行である。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向と、すだれ状電極Miの電極指の方向とは互いに平行でなく、すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、すだれ状電極Miの電極指の方向に対し角αの傾きを有する。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、すだれ状電極T0,MiおよびR0の電極周期長Pとcosαとの積に等しくなるような大きさに設定される。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、すだれ状電極Miの電極交差幅Lとsecαとの積に等しくなるような大きさに設定される。スイッチWiはスイッチWi-1およびスイッチWi-2から成り、スイッチWi-1の出力端は電極Mi-1の入力端に接続され、スイッチWi-2の出力端は電極Mi-2の入力端に接続されている。各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続される。
本発明の超音波タッチパネルの第2の構造では、電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号をすだれ状電極T0に入力することにより、圧電板PTに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する一方向性の弾性表面波を励振し、その弾性表面波を非圧電板の上端面の表面近傍に伝搬することができる。また、各電極Mi-1と各接地電極Giとの間および各電極Mi-2と各接地電極Giとの間に位相差2πyを有する電気信号ViおよびV2を移相器Sを介して入力することにより、圧電板PTに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する一方向性の弾性表面波を励振し、その弾性表面波を非圧電板の上端面の表面近傍に伝搬することができる。一方向性の弾性表面波の励振は、よりいっそうの低消費電力駆動を可能にする。電気信号ViおよびV2の周波数は電極周期長Pにほぼ対応している。ここで、電極Mi-1の電極指と電極Mi-2の電極指との間の距離のうち短い方の距離xPにおいて、x<1/2で、同時に、電気信号ViとV2との間の位相差2πyにおいて、x+y=±1/2が成り立つ場合に、圧電板PTに一方向性の弾性表面波が励振される。たとえば、xが1/4のときにはy=1/4またはy=−3/4となる。つまり、距離xPをP/4とし、位相差2πyをπ/2(90°)または−3π/2(−270°)とする電気信号ViおよびV2を入力することにより、圧電板PTに一方向性の弾性表面波を励振することが可能となる。各圧電板の厚さdが電極周期長Pよりも小さく、非圧電板の厚さが電極周期長Pのほぼ3倍以上であり、非圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度が、各圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度よりも大きいことから、非圧電板の内部には超音波を漏洩させることなく、非圧電板の表面近傍に効率よく弾性表面波を伝搬させることができる。従って、低消費電力駆動が可能となるばかりでなく、非圧電板の支持が容易になる。非圧電板を支持する場合には、非圧電板の上端面を除く部分の支持が可能である。
非圧電板の上端面に伝搬した弾性表面波は1次以上の高次モードの波である。この1次以上の高次モードの弾性表面波の位相速度が非圧電板単体に伝搬するレイリー波の速度とほぼ等しくなるような構造を採用することにより、すだれ状電極T0およびMiから加えられる電気的エネルギーが弾性表面波に変換される度合を大きくすることができるだけでなく、圧電板PTと非圧電板との界面での音響インピーダンスの不整合等によって生じる反射等を除去することができる。
すだれ状電極T0によって励振され非圧電板の上端面に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、すだれ状電極R0によって位相θbaseを有する電気信号に変換され、すだれ状電極R0から出力される。一方、各すだれ状電極Miおよび各接地電極Giによって励振され、非圧電板の上端面に伝搬された一方向性の弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、各すだれ状電極Ri1およびRi2によって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)にそれぞれ変換される。電気信号Ejは電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有する。位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零であり、電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零である。つまり、電気信号TotalEjは各すだれ状電極Ri1およびRi2において検出されることはない。
本発明の超音波タッチパネルの第2の構造では、非圧電板の上端面において、すだれ状電極MiおよびRi1は弾性表面波の伝搬路Di1(i=1,2,……,N)を形成し、すだれ状電極MiおよびRi2は弾性表面波の伝搬路Di2(i=1,2,……,N)を形成する。各伝搬路Di1はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成り、各伝搬路Di2もまたそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成る。微細伝搬路Zjはそれぞれ位相θjに対応している。また、非圧電板の上端面における位置Fj(j=1,2,……,χ)を、微細伝搬路Zjに対応させることができる。微細伝搬路Zxに対応する位置Fxに人指または物体が接触すると、すだれ状電極Ri1またはRi2のどれかにおいて位相θを有する出力電気信号Eが情報処理部によって検出される。つまり、非圧電板の上端面を接触すると、超音波の微細伝搬路Zxが遮断されることから、その微細伝搬路Zxに対応する弾性表面波が各すだれ状電極Ri1またはRi2において位相θxを有する電気信号Exに変換されることがないので、全体としての均衡が崩れて各すだれ状電極Ri1またはRi2において出力電気信号Eが検出されることになる。従って、出力電気信号Eは電気信号TotalEjから電気信号Exを除いた成分と等しくなり、出力電気信号Eの位相θは位相Totalθjから位相θxを除いた成分と等しくなる。本発明の超音波タッチパネルの情報処理部では、まず第1に、スイッチWiを順次に所定の周期で断続する機能を有する。この場合、スイッチWi-1とそれに対応するスイッチWi-2とは常に同じ状態に置かれる。たとえば、スイッチW2-1が接続していればスイッチW2-2も接続している。このようにして、すだれ状電極Miに順次に所定の周期で電気信号を入力できる。第2に、位置Fxに人指または物体が接触したことを、接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知する。第3に、出力電気信号Eが検出された接続点Q1またはQ2を判別する。第4に、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチWiを特定する。そして第5に、位相θbaseと位相θとの差を検出することにより、微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを特定する。
本発明の超音波タッチパネルでは、超音波送受波手段Xにおけるすだれ状電極T0とR0との間の弾性表面波の伝搬路を遅延素子とする発振器を構成することが可能である。このとき、超音波送受波手段Xにおけるすだれ状電極R0の出力端は、超音波送受波手段XおよびYにおけるそれぞれのすだれ状電極T0の入力端に増幅器AXを介して接続される。このようにして、低電圧で、低消費電力駆動が可能となる。
本発明の超音波タッチパネルでは、超音波送受波手段Xにおける伝搬路Di1およびDi2と、超音波送受波手段Yにおける伝搬路Di1およびDi2とを互いに直交させる構造を採用することにより、互いに直交するそれらの伝搬路をそれぞれX軸およびY軸とする2次元の座標に対応させることが可能となる。
本発明の超音波タッチパネルでは、伝搬路Di1およびDi2を互いに隣接させるかまたは一部分を重複させる構造、すなわち、伝搬路Di1,Di2,D(i+1)1,D(i+1)2……,が互いに隣接するかまたは一部分が重複した構造を採用することにより、非圧電板の上端面にまんべんなく弾性表面波を伝搬させることができる。
本発明の超音波タッチパネルでは、各圧電板として圧電セラミックを採用し、その圧電セラミックの分極軸の方向と厚さ方向とを平行にする構造を採用することにより、圧電板PTに効率よく弾性表面波を励振し非圧電板の表面近傍に伝搬させ、その非圧電板の表面近傍に伝搬した弾性表面波を効率よく圧電板PRに伝搬することを可能にする。
本発明の超音波タッチパネルでは、各圧電板としてPVDFその他の高分子圧電フィルムを採用することにより、圧電板PTに効率よく弾性表面波を励振し非圧電板の表面近傍に伝搬さ、その非圧電板の表面近傍に伝搬した弾性表面波を効率よく圧電板PRに伝搬することを可能にする。
【実施例】
図1は本発明の超音波タッチパネルの第1の実施例を示す断面図である。本実施例は非圧電板1、支持基板2、情報処理部3、スイッチW1,W2、増幅器AX、X軸方向の超音波送受波手段XおよびY軸方向の超音波送受波手段Yから成る。超音波送受波手段Xはすだれ状電極TX0、すだれ状電極TX1,TX2、すだれ状電極RX0、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23,RX24、圧電板PTXおよび圧電板PRXから成る。超音波送受波手段Yはすだれ状電極TY0、すだれ状電極TY1,TY2、すだれ状電極RY0、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23,RY24、圧電板PTYおよび圧電板PRYから成る。各すだれ状電極はアルミニウム薄膜で成る。但し、図1では非圧電板1、支持基板2、圧電板PTX,圧電板PRX、すだれ状電極TX1およびRX11のみが描かれている。各圧電板は厚さ150μmの圧電セラミックで成る。非圧電板1は厚さ1.5mmのガラスで成る。各圧電板は非圧電板1の上端面に厚さ約20μmのエポキシ系樹脂によって固着されている。非圧電板1の下端面は支持基板2に固着され支持されている。
図2は図1の超音波タッチパネルの平面図である。図2では非圧電板1、各圧電板および各すだれ状電極のみが描かれている。すだれ状電極TX0,TX1およびTX2は圧電板PTXの上端面に設けられ、すだれ状電極RX0,RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24は圧電板PRXの上端面に設けられ、すだれ状電極TY0,TY1およびTY2は圧電板PTYの上端面に設けられ、すだれ状電極RY0,RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24は圧電板PRYの上端面に設けられている。このようにして、各すだれ状電極は各圧電板の上端面に設けられているが、下端面に設けられた構造、すなわち各すだれ状電極が各圧電板と非圧電板1との界面に設けられた構造も可能である。また、本実施例では各圧電板がそれぞれ独立した構造を有しているが、隣あった2つの圧電板どうしが結合して一体となった構造を採用することも可能である。すだれ状電極TX0,RX0,TY0およびRY0は同様な構造を有し、それらの電極交差幅はすだれ状電極TX1,TX2,TY1およびTY2よりも短い。すだれ状電極TX1,TX2,TY1およびTY2は同様な構造を有する。また、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23,RX24,RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24は同様な構造を有する。すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24の電極指の方向と、すだれ状電極TX1およびTX2の電極指の方向とは互いに平行ではない。すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24の電極指の方向と、すだれ状電極TY1およびTY2の電極指の方向とは互いに平行ではない。
図3は図1の超音波タッチパネルの部分拡大平面図である。図3では各すだれ状電極の位置関係が示される。各すだれ状電極はそれぞれ10対の電極指を有する。すだれ状電極TX0,RX0,TY0およびRY0の電極交差幅は1mm、電極周期長Pは400μmである。すだれ状電極TX1,TX2,TY1およびTY2の電極交差幅Lは12mm、電極周期長Pは400μmである。すだれ状電極RX11,RX12,RX13およびRX14それぞれの、すだれ状電極TX1の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極TX1の電極交差幅Lと等しく、すだれ状電極RX21,RX22,RX23およびRX24それぞれの、すだれ状電極TX2の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極TX2の電極交差幅Lと等しい。また、すだれ状電極RY11,RY12,RY13およびRY14それぞれの、すだれ状電極TY1の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極TY1の電極交差幅Lと等しく、すだれ状電極RY21,RY22,RY23およびRY24それぞれの、すだれ状電極TY2の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極TY2の電極交差幅Lと等しい。本実施例の超音波タッチパネルでは、非圧電板1の上端面において、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24における各交差幅LNの範囲内の、すだれ状電極TX1およびTX2の電極指の方向に沿った位置Fj(j=1,2,……,χ)を人指または物体で接触した場合に、その位置を検出することができる。同様にして、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24における各交差幅LNの範囲内の、すだれ状電極TY1およびTY2の電極指の方向に沿った位置Fj(j=1,2,……,χ)を人指または物体で接触した場合に、その位置を検出することができる。
図4はすだれ状電極RX11を示す平面図である。すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24の電極指の方向はすだれ状電極TX1およびTX2の電極指の方向に対して角αの傾きを有し、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24の電極指の方向はすだれ状電極TY1およびTY2の電極指の方向に対して角αの傾きを有する。すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23,RX24,RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、電極周期長Pとcosαとの積に等しくなるような大きさに設定されている。すだれ状電極RX11、RX12、RX13およびRX14の電極指の方向でのそれぞれの交差幅LPは交差幅LNとsecαとの積に等しい。つまり、交差幅LPの合計は、電極交差幅Lとsecαとの積に等しくなるような大きさに設定されている。同様にして、すだれ状電極RX21、RX22、RX23およびRX24の電極指の方向でのそれぞれの交差幅LPの合計は、電極交差幅Lとsecαとの積に等しくなるような大きさに設定されている。すだれ状電極RY11、RY12、RY13およびRY14の電極指の方向でのそれぞれの交差幅LPの合計は、電極交差幅Lとsecαとの積に等しくなるような大きさに設定されている。すだれ状電極RY21、RY22、RY23およびRY24の電極指の方向でのそれぞれの交差幅LPの合計は、電極交差幅Lとsecαとの積に等しくなるような大きさに設定されている。
図5は図1の超音波タッチパネルの駆動回路を示す図である。情報処理部3は8つの位相比較器4、コンピュータ5およびスイッチ切り替え器6から成る。スイッチW1の出力端はすだれ状電極TX1およびTY1の入力端に接続され、スイッチW2の出力端はすだれ状電極TX2およびTY2の入力端に接続されている。すだれ状電極RX11とRX21、すだれ状電極RX12とRX22、すだれ状電極RX13とRX23、およびすだれ状電極RX14とRX24において、それぞれ2つの出力端は互いに接続点QX1,QX2,QX3およびQX4で接続され、各増幅器AMPを介して各位相比較器4の入力端に接続されている。すだれ状電極RY11とRY21、すだれ状電極RY12とRY22、すだれ状電極RY13とRY23、およびすだれ状電極RY14とRY24において、それぞれ2つの出力端は互いに接続点QY1,QY2,QY3およびQY4で接続され、各増幅器AMPを介して各位相比較器4の入力端に接続されている。
図5の駆動回路において、すだれ状電極TX0,TX1およびTX2から電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号を入力すると、圧電板PTXに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する弾性表面波が励振され、非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬される。すだれ状電極TX0によって励振され非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRXに伝搬された後、すだれ状電極RX0によって位相θbaseを有する電気信号に変換され出力される。すだれ状電極RX0によって出力された電気信号は増幅器AXによって増幅される。増幅された電気信号の一部▲1▼はすだれ状電極TX0およびTY0に再び入力される。このようにして、すだれ状電極TX0とRX0との間の弾性表面波の伝搬路を遅延素子とする発振器を構成することができる。すだれ状電極RX0から出力され、増幅された電気信号の残部▲2▼は4つの位相比較器4の入力端に接続される。すだれ状電極TX1によって励振され非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRXに伝搬された後、すだれ状電極RX11、RX12、RX13およびRX14それぞれによって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)に変換される。すだれ状電極TX2によって励振され非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRXに伝搬された後、すだれ状電極RX21、RX22、RX23およびRX24それぞれによって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)に変換される。電気信号Ejは電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有する。位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零であり、電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零である。つまり、電気信号TotalEjは各すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24において検出されることはない。
図5の駆動回路において、すだれ状電極TY0,TY1およびTY2から電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号を入力すると、圧電板PTYに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する弾性表面波が励振され、非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬される。すだれ状電極TY0によって励振され非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRYに伝搬された後、すだれ状電極RY0によって位相θbaseを有する電気信号に変換され出力される。すだれ状電極RY0によって出力された電気信号は増幅器AYによって増幅される。増幅された電気信号の一部▲3▼はスイッチ切り替え器6の入力端に入力され、残部▲4▼は4つの位相比較器4の入力端に接続される。スイッチ切り替え器6はコンピュータ5の指令によってスイッチW1およびW2を交互に切り替え、電気信号▲3▼をすだれ状電極TX1およびTY1と、すだれ状電極TX2およびTY2に交互に入力する。すだれ状電極TY1によって励振され非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRYに伝搬された後、すだれ状電極RY11,RY12,RY13およびRY14それぞれによって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)に変換される。すだれ状電極TY2によって励振され非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRYに伝搬された後、すだれ状電極RY21,RY22,RY23およびRY24それぞれによって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)に変換される。電気信号Ejは電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有する。位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零であり、電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零である。つまり、電気信号TotalEjは各すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24において検出されることはない。
第1の実施例の超音波タッチパネルでは、非圧電板1の上端面において、すだれ状電極TX1およびTX2と、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24との間に弾性表面波の伝搬路DX11,DX12,DX13,DX14,DX21,DX22,DX23およびDX24が形成される。同様にして、すだれ状電極TY1およびTY2と、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24との間に弾性表面波の伝搬路DY11,DY12,DY13,DY14,DY21,DY22,DY23およびDY24が形成される。各伝搬路はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)から成る。第1の実施例の超音波タッチパネルでは、位相θjを位置Fjに対応させることが可能である。また、位置Fjを微細伝搬路Zjに対応させることが可能である。もしも、位置Fxを接触すると、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24のどれかにおいて位相θを有する電気信号Eが出力されるとともに、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24のどれかにおいて位相θを有する電気信号Eが出力される。接触位置Fxは、微細伝搬路Zxに対応するとともに、位相θxを有する電気信号Exに対応する。このとき、出力電気信号Eは電気信号TotalEjから電気信号Exを除いた成分と等しく(E=TotalEj−Ex=−Ex)、出力電気信号Eの位相θは位相Totalθjから位相θxを除いた成分と等しくなる(θ=Totalθj−θx=−θx)。つまり、非圧電板1の上端面を接触しない場合には、電気信号TotalEjは均衡がとれて零であったものが、接触により超音波の微細伝搬路Zxが遮断されると、その微細伝搬路Zxに対応する弾性表面波が電気信号Exに変換されることがないので、全体としての均衡が崩れて位相θを有する電気信号Eが出力されることになる。位相比較器4は位相θbaseと位相θとの差(θbase−θ)を検出し、コンピュータ5は、この位相差(θbase−θ)から接触した微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを検出する。第1の実施例の超音波タッチパネルでは、コンピュータ5は、スイッチ切り替え器6に指令を出してスイッチW1およびW2を交互に切り替えるとともに、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチW1またはW2を特定することができる。従って、接触位置Fxに対応する微細伝搬路Zxが伝搬路DX11,DX12,DX13,DX14,DY11,DY12,DY13およびDY14で成るグループに含まれるのか、または伝搬路DX21,DX22,DX23,DX24,DY21,DY22,DY23およびDY24で成るグループに含まれるのかが分かる。また、位相差(θbase−θ)が検出されたときの位相比較器4を特定することにより、接触位置Fxに対応する微細伝搬路Zxが伝搬路DX11およびDX21で成る対に含まれるのか、伝搬路DX12およびDX22で成る対に含まれるのか、伝搬路DX13およびDX23で成る対に含まれるのか、伝搬路DX14およびDX24で成る対に含まれるのか、伝搬路DY11およびDY21で成る対に含まれるのか、伝搬路DY12およびDY22で成る対に含まれるのか、伝搬路DY13およびDY23で成る対に含まれるのか、伝搬路DY14およびDY24で成る対に含まれるのかが分かる。このようにして、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチW1またはW2を特定するとともに、位相差(θbase−θ)が検出された位相比較器4を特定することにより、接触位置Fxに対応する微細伝搬路Zxを含む伝搬路が判明する。さらに、この位相差(θbase−θ)から接触位置Fxを特定することができる。本実施例の超音波タッチパネルでは、超音波送受波手段Xにおける各伝搬路と、超音波送受波手段Yにおける各伝搬路とが互いに直交している。従って、互いに直交するそれらの伝搬路をそれぞれX軸およびY軸とする2次元の座標に対応させることができる。超音波送受波手段Xにおける各伝搬路どうしは互いに隣接しており、超音波送受波手段Yにおける各伝搬路どうしは互いに隣接している。従って、非圧電板1の上端面にまんべんなく弾性表面波を伝搬させることができるので、より細密な接触位置の検出が可能であり、非圧電板1の上端面を隙間なく利用できる。
図6は圧電板PTXの異なる2つの電気的境界条件下での位相速度差から算出した電気機械結合係数k2と、弾性表面波の周波数fと圧電板PTXの厚さdとの積(fd)との関係を示す特性図である。但し、図6では、非圧電板1が、非圧電板1単体を伝搬する弾性表面波の横波の速度が3091m/sで縦波の速度が5592m/sであるような材質で成る場合の特性図が示される。この横波速度3091m/sおよび縦波速度5592m/sという値は、圧電板PTX単体の場合の横波速度2450m/sおよび縦波速度4390m/sそれぞれのほぼ1.3倍である。図6では、入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーは特に1次モードの弾性表面波に最も効率よく変換されることが分かる。入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーが1次モードの弾性表面波に最も変換されやすいのはfd値が約1.3MHz・mmのときで、このときk2は最大値の約4.7%を示す。ここでのk2値は、弾性表面波用の圧電基板として実用域にあるLiNbO3単結晶が5%程度の値であることと比較しても評価に値することが明らかである。
図7は圧電板PTXを伝搬する弾性表面波の速度分散曲線を示す特性図であり、fd値に対する各モードの位相速度を示す図である。但し、図7では、非圧電板1が図6と同様な材質で成る場合の特性図が示される。○印は、入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーが各モードの弾性表面波に最も効率よく変換されるfd値(図6から算出した値で、k2が最大値を示すfd値)を示す。1次以上の高次モードの○印における位相速度はほぼ一定(約2980m/s)で、非圧電板1単体に伝搬するレイリー波速度(2850m/s)とほぼ等しい。
図8は圧電板PTXの異なる2つの電気的境界条件下での位相速度差から算出したk2値と、fd値との関係を示す特性図である。但し、図8では、非圧電板1が、非圧電板1単体を伝搬する弾性表面波の横波の速度が4203m/sで縦波の速度が7604m/sであるような材質で成る場合の特性図が示される。この横波速度4203m/sおよび縦波速度7604m/sという値は、圧電板PTX単体の場合の横波速度2450m/sおよび縦波速度4390m/sそれぞれのほぼ1.7倍である。図8では、入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーは特に1次モードの弾性表面波に最も効率よく変換されることが分かる。入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーが1次モードの弾性表面波に最も変換されやすいのはfd値が約0.7MHz・mmのときで、このときk2は最大値の約14.0%を示す。
図9は圧電板PTXを伝搬する弾性表面波の速度分散曲線を示す特性図であり、fd値に対する各モードの位相速度を示す図である。但し、図9では、非圧電板1が図8と同様な材質で成る場合の特性図が示される。○印は、入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーが各モードの弾性表面波に最も効率よく変換されるfd値(図8から算出した値で、k2が最大値を示すfd値)を示す。1次以上の高次モードの○印における位相速度はほぼ一定(約3800m/s)で、非圧電板1単体に伝搬するレイリー波速度(3860m/s)とほぼ等しい。図6〜9より、非圧電板1に効率よく伝搬される弾性表面波は1次以上の高次モードの波であることが分かる。また、入力用すだれ状電極に加えられる電気的エネルギーが1次以上の高次モードの弾性表面波に最も変換されやすい位相速度は、非圧電板1単体に伝搬するレイリー波速度とほぼ等しい。同様にして、出力用すだれ状電極において1次以上の高次モードの弾性表面波が電気信号に変換される場合、その弾性表面波の位相速度が非圧電板1単体に伝搬するレイリー波速度とほぼ等しいときに効率よく電気信号に変換される。
図10は非圧電板1の上端面の接触位置Fxと、超音波送受波手段XまたはYにおける位相比較器4で検出される位相差(θbase−θ)との関係を示す特性図である。但し、位置FxとFx-1との距離は0.5mmとした。位置Fxが零から12mmの間であるのは、すだれ状電極TX1,TX2,TY1またはTY2の電極交差幅Lが12mmであることによる。位置Fxと位相差(θbase−θ)との間には良好な線形性があることが分かる。このようにして、位相差(θbase−θ)から接触した位置Fxを判別することが可能となる。
図11は本発明の超音波タッチパネルの第2の実施例を示す部分断面図である。本実施例は第1の実施例のすだれ状電極TX1,TX2,TY1およびTY2がすだれ状電極MX1,MX2,MY1およびMY2に置き換わり、スイッチW1がスイッチW11およびW12に置き換わり、スイッチW2がスイッチW21およびW22に置き換わるとともに、新たに接地電極GX1,GX2,GY1,GY2および移相器Sが加わったものである。図11ではすだれ状電極MX1、接地電極GX1および移相器Sの関係が描かれている。接地電極GX1,GX2,GY1およびGY2はアルミニウム薄膜で成り、同様な構造を成す。接地電極GX1およびGX2は、圧電板PTXの下端面のすだれ状電極MX1およびMX2に対応する部分にそれぞれ設けられ、接地電極GY1およびGY2は、圧電板PTYのすだれ状電極MY1およびMY2に対応する部分にそれぞれ設けられている。移相器SはコイルL1を含む。
図12は図11の超音波タッチパネルの部分拡大平面図である。図12では各すだれ状電極の位置関係が示される。すだれ状電極MX1,MX2,MY1およびMY2はそれぞれ10対の電極指を有し、電極交差幅Lは12mm、電極周期長Pは400μmである。すだれ状電極RX11,RX12,RX13およびRX14それぞれの、すだれ状電極MX1の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極MX1の電極交差幅Lと等しく、すだれ状電極RX21,RX22,RX23およびRX24それぞれの、すだれ状電極MX2の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極MX2の電極交差幅Lと等しい。また、すだれ状電極RY11,RY12,RY13およびRY14それぞれの、すだれ状電極MY1の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極MY1の電極交差幅Lと等しく、すだれ状電極RY21,RY22,RY23およびRY24それぞれの、すだれ状電極MY2の電極指の方向での交差幅LNの合計は、すだれ状電極MY2の電極交差幅Lと等しい。本実施例の超音波タッチパネルでは、非圧電板1の上端面において、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24における各交差幅LNの範囲内の、すだれ状電極MX1およびMX2の電極指の方向に沿った位置Fj(j=1,2,……,χ)を人指または物体で接触した場合に、その位置を検出することができる。同様にして、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24における各交差幅LNの範囲内の、すだれ状電極MY1およびMY2の電極指の方向に沿った位置Fj(j=1,2,……,χ)を人指または物体で接触した場合に、その位置を検出することができる。
図13はすだれ状電極MX1を示す平面図である。すだれ状電極MX1は電極MX1-1およびMX1-2から成り、電極MX1-1の電極指と電極MX1-2の電極指との間の距離には2種類あって、そのうち短い方の距離xPは100μmである。すだれ状電極MX2,MY1およびMY2はすだれ状電極MX1と同様な構造を成す。
図14は図11の超音波タッチパネルの駆動回路を示す図である。スイッチW11の出力端はすだれ状電極MX1-1およびMY1-1の入力端に接続され、スイッチW12の出力端はすだれ状電極MX1-2およびMY1-2の入力端に接続され、スイッチW21の出力端はすだれ状電極MX2-1およびMY2-1の入力端に接続され、スイッチW22の出力端はすだれ状電極MX2-2およびMY2-2の入力端に接続されている。すだれ状電極RX11とRX21、すだれ状電極RX12とRX22、すだれ状電極RX13とRX23、およびすだれ状電極RX14とRX24において、それぞれ2つの出力端は互いに接続点QX1,QX2,QX3およびQX4で接続され、各増幅器AMPを介して各位相比較器4の入力端に接続されている。すだれ状電極RY11とRY21、すだれ状電極RY12とRY22、すだれ状電極RY13とRY23、およびすだれ状電極RY14とRY24において、それぞれ2つの出力端は互いに接続点QY1,QY2,QY3およびQY4で接続され、各増幅器AMPを介して各位相比較器4の入力端に接続されている。
図14の駆動回路では、すだれ状電極TX0,RX0,TY0およびRY0は図5の駆動回路と同様な機能を果たす。また、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23,RX24,RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24についても図5の駆動回路と同様な機能を果たす。電極MX1-1と接地電極GX1との間および電極MX1-2と接地電極GX1との間に位相差が90°または−270°の電気信号ViおよびV2が移相器Sおよびスイッチ切り替え器6を介してスイッチW11およびW12から入力されると、圧電板PTXに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する一方向性の弾性表面波が励振され、非圧電板1の上端面の表面近傍に伝搬される。ここで、電極MX1-1の電極指と電極MX1-2の電極指との間の距離のうち短い方の距離xPにおいて、x<1/2で、同時に、電気信号V1とV2との間の位相差2πyにおいて、x+y=±1/2が成り立つ場合に、圧電板PTXに一方向性の弾性表面波が励振される。たとえば、xが1/4のときにはy=1/4またはy=−3/4となる。つまり、距離xPをP/4とし、位相差2πyをπ/2(90°)または−3π/2(−270°)とする電気信号V1およびV2を入力することにより、圧電板PTXに一方向性の弾性表面波を励振することが可能となる。このようにして、すだれ状電極MX1と接地電極GX1によって圧電板PTXに一方向性の弾性表面波を励振することができる。同様にして、すだれ状電極MX2と接地電極GX2によって圧電板PTXに一方向性の弾性表面波を励振することができる。また、すだれ状電極MY1と接地電極GY1、およびすだれ状電極MY2と接地電極GY2によって圧電板PTYに一方向性の弾性表面波を励振することができる。電気信号▲3▼は移相器Sを介してスイッチ切り替え器6の入力端に入力される。スイッチ切り替え器6はコンピュータ5の指令によってスイッチW11およびW12と、スイッチW21およびW22とを交互に切り替え、電気信号▲3▼をすだれ状電極MX1およびMY1と、すだれ状電極MX2およびMY2に交互に入力する。このとき、スイッチW11が接続されればスイッチW12も接続され、またスイッチW21が接続されればスイッチW22も接続される。
第2の実施例の超音波タッチパネルでは、非圧電板1の上端面において、すだれ状電極MX1およびMX2と、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24との間に弾性表面波の伝搬路DX11,DX12,DX13,DX14,DX21,DX22,DX23およびDX24が形成される。同様にして、すだれ状電極MY1およびMY2と、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24との間に弾性表面波の伝搬路DY11,DY12,DY13,DY14,DY21,DY22,DY23およびDY24が形成される。各伝搬路はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)から成る。第2の実施例の超音波タッチパネルでは、位相θjを位置Fjに対応させることが可能である。また、位置Fjを微細伝搬路Zjに対応させることが可能である。もしも、位置Fxを接触すると、すだれ状電極RX11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23およびRX24のどれかにおいて位相θを有する電気信号Eが出力されるとともに、すだれ状電極RY11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23およびRY24のどれかにおいて位相θを有する電気信号Eが出力される。接触位置Fxは、微細伝搬路Zxに対応するとともに、位相θxを有する電気信号Exに対応する。このとき、出力電気信号Eは電気信号TotalEjから電気信号Exを除いた成分と等しく(E=TotalEj−Ex=−Ex)、出力電気信号Eの位相θは位相Totalθjから位相θxを除いた成分と等しくなる(θ=Totalθj−θx=−θx)。位相比較器4は位相θbaseと位相θとの差(θbase−θ)を検出し、コンピュータ5は、この位相差(θbase−θ)から接触した微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを検出する。
第2の実施例の超音波タッチパネルでは、コンピュータ5は、スイッチ切り替え器6に指令を出してスイッチW11およびW12と、スイッチW21およびW22とを交互に切り替えるとともに、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチW11およびW12、またはスイッチW21およびW22を特定することができる。また、位相差(θbase−θ)が検出された位相比較器4を特定することができる。従って、接触位置Fxに対応する微細伝搬路Zxを含む伝搬路が判明するだけでなく、この位相差(θbase−θ)から接触位置Fxを特定することができる。
【発明の効果】
本発明の超音波タッチパネルは、非圧電板と、超音波送受波手段XおよびYと、その超音波送受波手段XおよびYに接続された情報処理部から成る簡単な構造を有する。各超音波送受波手段は1組の入力用すだれ状電極T0と、N組の入力用すだれ状電極Ti(i=1,2,……,N)と、すだれ状電極T0に対応する出力用すだれ状電極R0と、各すだれ状電極Tiにそれぞれ対応する少なくとも2組の出力用すだれ状電極Ri1およびRi2(i=1,2,……,N)と、圧電板PTと、圧電板PRから成る。すだれ状電極T0およびTiは圧電板PTの一方の板面に設けられ、すだれ状電極R0,Ri1およびRi2は圧電板PRの一方の板面に設けられている。圧電板PTは圧電板PTのどちらか一方の板面を介して非圧電板の上端面に固着され、圧電板PRは圧電板PRのどちらか一方の板面を介して非圧電板の上端面に固着されている。すだれ状電極R0の電極指の方向と、すだれ状電極T0の電極指の方向は互いに平行である。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、すだれ状電極Tiの電極指の方向に対し角αの傾きを有する。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、すだれ状電極T0,TiおよびR0の電極周期長Pとcosαとの積に等しくなるような大きさに設定される。各すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、すだれ状電極Tiの電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しくなるような大きさに設定される。
本発明の超音波タッチパネルでは、電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号をすだれ状電極T0およびTiに入力する構造を採用することにより、圧電板PTに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する弾性表面波を励振し、その弾性表面波を非圧電板の上端面の表面近傍に伝搬することができる。各圧電板の厚さdが電極周期長Pよりも小さく、非圧電板の厚さが電極周期長Pのほぼ3倍以上であり、非圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度が、各圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度よりも大きいことから、非圧電板の内部には超音波を漏洩させることなく、非圧電板の表面近傍に効率よく弾性表面波を伝搬させることができる。従って、低消費電力駆動が可能となるばかりでなく、非圧電板の支持が容易になる。非圧電板を支持する場合には、非圧電板の上端面を除く部分の支持が可能である。
非圧電板の上端面に伝搬した弾性表面波は1次以上の高次モードの波である。1次以上の高次モードの弾性表面波の位相速度が、非圧電板単体に伝搬するレイリー波の速度とほぼ等しくなるような構造を採用することにより、すだれ状電極T0およびTiから加えられる電気的エネルギーが弾性表面波に変換される度合を大きくすることができるだけでなく、圧電板PTと非圧電板との界面での音響インピーダンスの不整合等によって生じる反射等を除去することができる。
すだれ状電極T0によって励振され非圧電板の上端面に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、すだれ状電極R0によって位相θbaseを有する電気信号に変換されて出力される。一方、各すだれ状電極Tiによって励振され非圧電板の上端面に伝搬された弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、各すだれ状電極Ri1およびRi2によって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)にそれぞれ変換される。電気信号Ejは電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有する。位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零となり、電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零となることから、電気信号TotalEjは各すだれ状電極Ri1およびRi2において検出されることはない。
本発明の超音波タッチパネルでは、非圧電板の上端面において、すだれ状電極TiおよびRi1は弾性表面波の伝搬路Di1(i=1,2,……,N)を形成し、すだれ状電極TiおよびRi2は弾性表面波の伝搬路Di2(i=1,2,……,N)を形成する。伝搬路Di1およびDi2のそれぞれは微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成る。微細伝搬路Zjはそれぞれ位相θjに対応している。また、非圧電板の上端面における位置Fj(j=1,2,……,χ)を、微細伝搬路Zjに対応させることができる。微細伝搬路Zxに対応する位置Fxに人指または物体が接触すると、各すだれ状電極Ri1またはRi2のどれかにおいて位相θを有する出力電気信号Eが情報処理部によって検出される。非圧電板の上端面を接触すると超音波の微細伝搬路Zxが遮断され、その微細伝搬路Zxに対応する弾性表面波は各すだれ状電極Ri1またはRi2において位相θxを有する電気信号Exに変換されることがないので、全体としての均衡が崩れて各すだれ状電極Ri1またはRi2において出力電気信号Eが検出されることになる。従って、出力電気信号Eは電気信号TotalEjから電気信号Exを除いた成分と等しくなり、出力電気信号Eの位相θは位相Totalθjから位相θxを除いた成分と等しくなる。本発明の超音波タッチパネルの情報処理部では、電気信号Eを出力したすだれ状電極Ri1またはRi2を判別することと、位相θbaseと位相θとの差を検出することにより、微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを特定している。
本発明の超音波タッチパネルでは、すだれ状電極Tiにそれぞれ対応するスイッチWi(i=1,2,……,N)を備えることが可能である。スイッチWiの出力端はそれぞれすだれ状電極Tiの入力端に接続される。また、各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続される。このとき、情報処理部はまず第1に、スイッチWiを順次に所定の周期で断続する機能を有する。第2に、位置Fxに人指または物体が接触したことを、接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知する。第3に、出力電気信号Eが検出された接続点Q1またはQ2を判別する。第4に、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチWiを特定する。そして第5に、位相θbaseと位相θとの差を検出することにより、微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを特定する。
本発明の超音波タッチパネルでは、すだれ状電極Tiの代わりにすだれ状電極Mi(i=1,2,……,N)を備えるとともに、新たに接地電極Gi(i=1,2,……,N)、スイッチWi(i=1,2,……,N)および移相器Sを備えた構造が可能である。このとき、すだれ状電極Miの電極周期長および電極交差幅はすだれ状電極Tiの電極周期長Pおよび電極交差幅Lとそれぞれ等しく、また、すだれ状電極Miは圧電板PTの一方の板面のすだれ状電極Tiと同様な位置に設けられている。接地電極Giは圧電板PTのもう一方の板面のすだれ状電極Miに対応する部分に設けられており、圧電板PTは接地電極Giを介して非圧電板の上端面に固着されている。圧電板PRは、圧電板PRのすだれ状電極R0,Ri1およびRi2を有しない方の板面を介して非圧電板の上端面に固着されている。すだれ状電極Miは、電極Mi-1およびMi-2から成り、電極Mi-1の電極指と電極Mi-2の電極指との間の距離には2種類ある。スイッチWiはスイッチWi-1およびスイッチWi-2から成り、スイッチWi-1の出力端は電極Mi-1の入力端に接続され、スイッチWi-2の出力端は電極Mi-2の入力端に接続されている。各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続される。移相器Sは少なくとも1つのコイルL1を含む。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、すだれ状電極Miの電極指の方向に対し角αの傾きを有する。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、電極周期長Pとcosαとの積に等しくなるような大きさに設定される。すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しくなるような大きさに設定される。
各電極Mi-1と各接地電極Giとの間および各電極Mi-2と各接地電極Giとの間に位相差2πyを有する電気信号ViおよびV2を移相器Sを介して入力することにより、圧電板PTに電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する一方向性の弾性表面波を励振し、その弾性表面波を非圧電板の上端面の表面近傍に伝搬することができる。一方向性の弾性表面波の励振は、よりいっそうの低消費電力駆動を可能にする。電気信号ViおよびV2の周波数は電極周期長Pにほぼ対応している。ここで、電極Mi-1の電極指と電極Mi-2の電極指との間の距離のうち短い方の距離xPにおいて、x<1/2で、同時に、電気信号ViとV2との間の位相差2πyにおいて、x+y=±1/2が成り立つ場合に、圧電板PTに一方向性の弾性表面波が励振される。この一方向性の弾性表面波は、圧電板PRに伝搬された後、各すだれ状電極Ri1およびRi2によって位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)にそれぞれ変換される。
非圧電板の上端面において、すだれ状電極MiおよびRi1は弾性表面波の伝搬路Di1(i=1,2,……,N)を形成し、すだれ状電極MiおよびRi2は弾性表面波の伝搬路Di2(i=1,2,……,N)を形成する。伝搬路Di1およびDi2のそれぞれは微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成る。微細伝搬路Zjはそれぞれ位相θjに対応している。また、非圧電板の上端面における位置Fj(j=1,2,……,χ)を、微細伝搬路Zjに対応させることができる。微細伝搬路Zxに対応する位置Fxに人指または物体が接触すると、超音波の微細伝搬路Zxが遮断され、その微細伝搬路Zxに対応する弾性表面波が各すだれ状電極Ri1またはRi2において位相θxを有する電気信号Exに変換されることがないので、全体としての均衡が崩れて各すだれ状電極Ri1またはRi2において出力電気信号Eが検出されることになる。情報処理部はまず第1に、スイッチWiを順次に所定の周期で断続する機能を有する。第2に、位置Fxに人指または物体が接触したことを、接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知する。第3に、出力電気信号Eが検出された接続点Q1またはQ2を判別する。第4に、出力電気信号Eが検出された時に接続されていたスイッチWiを特定する。そして第5に、位相θbaseと位相θとの差を検出することにより、微細伝搬路Zxに対応する接触位置Fxを特定する。
本発明の超音波タッチパネルでは、超音波送受波手段Xにおけるすだれ状電極T0とR0との間の弾性表面波の伝搬路を遅延素子とする発振器を構成することが可能である。このとき、超音波送受波手段Xにおけるすだれ状電極R0の出力端は、超音波送受波手段XおよびYにおけるそれぞれのすだれ状電極T0の入力端に増幅器AXを介して接続される。このようにして、低電圧で、低消費電力駆動が可能となる。また、超音波送受波手段Xにおける伝搬路Di1およびDi2と、超音波送受波手段Yにおける伝搬路Di1およびDi2とを互いに直交させる構造を採用することにより、互いに直交するそれらの伝搬路をそれぞれX軸およびY軸とする2次元の座標に対応させることが可能となる。さらに、伝搬路Di1およびDi2を互いに隣接させるかまたは一部分を重複させる構造、すなわち、伝搬路Di1,Di2,D(i+1)1,D(i+1)2……,が互いに隣接するかまたは一部分が重複した構造を採用することにより、非圧電板の上端面にまんべんなく弾性表面波を伝搬させることができる。従って、非圧電板の上端面を隙間なく利用することが可能となる。
本発明の超音波タッチパネルでは、各圧電板としてPVDFその他の圧電性高分子化合物や圧電セラミックを採用することにより、圧電板PTに効率よく弾性表面波を励振し非圧電板の表面近傍に伝搬させ、その非圧電板の表面近傍に伝搬した弾性表面波を効率よく圧電板PRに伝搬することを可能にする。各圧電板として圧電セラミックを採用する場合には、その圧電セラミックの分極軸の方向と厚さ方向とを平行にする構造が採用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波タッチパネルの第1の実施例を示す断面図。
【図2】図1の超音波タッチパネルの平面図。
【図3】図1の超音波タッチパネルの部分拡大平面図。
【図4】すだれ状電極RX11を示す平面図。
【図5】図1の超音波タッチパネルの駆動回路を示す図。
【図6】圧電板PTXの異なる2つの電気的境界条件下での位相速度差から算出したk2値と、fd値との関係を示す特性図。
【図7】圧電板PTXを伝搬する弾性表面波の速度分散曲線を示す特性図。
【図8】圧電板PTXの異なる2つの電気的境界条件下での位相速度差から算出したk2値と、fd値との関係を示す特性図。
【図9】圧電板PTXを伝搬する弾性表面波の速度分散曲線を示す特性図。
【図10】非圧電板1の上端面の接触位置Fxと、超音波送受波手段XまたはYにおける位相比較器4で検出される位相差(θbase−θ)との関係を示す特性図。
【図11】本発明の超音波タッチパネルの第2の実施例を示す部分断面図。
【図12】図11の超音波タッチパネルの部分拡大平面図。
【図13】すだれ状電極MX1を示す平面図。
【図14】図11の超音波タッチパネルの駆動回路を示す図。
【符号の説明】
1 非圧電板
2 支持基板
3 情報処理部
4 位相比較器
5 コンピュータ
6 スイッチ切り替え器
X,AY 増幅器
AMP 増幅器
1,W2 スイッチ
X0,RX0,TY0,RY0 すだれ状電極
X1,TX2,TY1,TY2 すだれ状電極
X11,RX12,RX13,RX14,RX21,RX22,RX23,RX24 すだれ状電極
Y11,RY12,RY13,RY14,RY21,RY22,RY23,RY24 すだれ状電極
X1,MX2,MY1,MY2 すだれ状電極
11,W12,W21,W22 スイッチ
X1,GX2,GY1,GY2 接地電極
S 移相器

Claims (10)

  1. 非圧電板と、超音波送受波手段XおよびYと、前記超音波送受波手段XおよびYに接続された情報処理部から成る超音波タッチパネルであって、
    前記各超音波送受波手段は1組の入力用すだれ状電極T0と、N組の入力用すだれ状電極Ti(i=1,2,……,N)と、前記すだれ状電極T0に対応する出力用すだれ状電極R0と、前記各すだれ状電極Tiにそれぞれ対応する少なくとも2組の出力用すだれ状電極Ri1およびRi2(i=1,2,……,N)と、圧電板PTと、圧電板PRから成り、
    前記すだれ状電極T0およびTiは前記圧電板PTの一方の板面に設けられ、前記すだれ状電極R0,Ri1およびRi2は前記圧電板PRの一方の板面に設けられており、
    前記圧電板PTは前記圧電板PTの前記一方の板面またはもう一方の板面を介して前記非圧電板の上端面に固着され、前記圧電板PRは前記圧電板PRの前記一方の板面またはもう一方の板面を介して前記非圧電板の前記上端面に固着されており、
    前記すだれ状電極R0の電極指の方向と、前記すだれ状電極T0の電極指の方向は互いに平行で、
    前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向と、前記すだれ状電極Tiの電極指の方向とは互いに平行でなく、前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、前記すだれ状電極Tiの電極指の方向に対し角αの傾きを有し、
    前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指に直交する方向での電極指の周期長PNは、前記すだれ状電極T0,TiおよびR0の電極周期長Pとcosαとの積に等しく、
    前記すだれ状電極T0およびTiは、前記電極周期長Pにほぼ対応する周波数の電気信号を入力されることにより、前記圧電板PTに前記電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する弾性表面波を励振し、該弾性表面波を前記非圧電板の前記上端面の表面近傍に伝搬させた後、前記圧電板PRに伝搬させ、
    前記非圧電板に伝搬される前記弾性表面波は1次以上の高次モードの波で、前記1次以上の高次モードの弾性表面波の位相速度は、前記非圧電板単体に伝搬するレイリー波の速度とほぼ等しく、
    前記すだれ状電極R0は、前記すだれ状電極T0によって前記圧電板PTに励振され前記圧電板PRに伝搬した弾性表面波を、位相θbaseを有する電気信号に変換して出力し、
    前記各すだれ状電極Ri1およびRi2は、前記すだれ状電極Tiによって前記圧電板PTに励振され前記圧電板PRに伝搬した弾性表面波を、位相θj(j=1,2,……,χ)を有する電気信号Ej(j=1,2,……,χ)にそれぞれ変換し、 前記電気信号Ejは前記電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有し、
    前記位相θjを合成することにより生ずる位相Totalθjは零であり、前記電気信号Ejを合成することにより生ずる電気信号TotalEjの振幅は零であって、前記電気信号TotalEjは前記すだれ状電極Ri1およびRi2において検出されることはなく、
    前記各圧電板の厚さdは前記電極周期長Pよりも小さく、
    前記非圧電板の厚さは前記電極周期長Pのほぼ3倍以上であり、
    前記非圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度は、前記各圧電板単体に伝搬する弾性表面波の位相速度よりも大きく、
    前記すだれ状電極TiおよびRi1は前記非圧電板の前記上端面に弾性表面波の伝搬路Di1(i=1,2,……,N)を形成し、前記各伝搬路Di1はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成り、
    前記すだれ状電極TiおよびRi2は前記非圧電板の前記上端面に弾性表面波の伝搬路Di2(i=1,2,……,N)を形成し、前記各伝搬路Di2はそれぞれ微細伝搬路Zj(j=1,2,……,χ)で成り、
    前記非圧電板の前記上端面における位置Fj(j=1,2,……,χ)は、前記微細伝搬路Zjに対応し、
    前記微細伝搬路Zjは前記位相θjに対応し、
    前記情報処理部は、微細伝搬路Zxに対応する位置Fxに人指または物体が接触したことを、前記すだれ状電極Ri1またはRi2のどれかにおいて位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知し、前記接触位置Fxを、前記電気信号Eを出力した前記すだれ状電極Ri1またはRi2を判別することと、前記位相θbaseと前記位相θとの差を検出することにより特定し、
    前記接触位置Fxは位相θxを有する電気信号Exに対応し、前記出力電気信号Eは前記電気信号TotalEjから前記電気信号Exを除いた成分と等しく、前記位相θは前記位相Totalθjから前記位相θxを除いた成分と等しい超音波タッチパネル。
  2. 前記すだれ状電極Tiにそれぞれ対応するスイッチWi(i=1,2,……,N)を含む超音波タッチパネルであって、
    前記スイッチWiの出力端はそれぞれ前記すだれ状電極Tiの入力端に接続されており、
    前記各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、
    前記各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続され、
    前記情報処理部は前記スイッチWiを順次に所定の周期で断続し、前記位置Fxに人指または物体が接触したことを、前記接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知し、前記接触位置Fxを、前記出力電気信号Eが検出された前記接続点Q1またはQ2を判別することと、前記出力電気信号Eが検出された時に接続されていた前記スイッチWiを特定することと、前記位相θbaseと前記位相θとの差を検出することにより特定する請求項1に記載の超音波タッチパネル。
  3. 前記各すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、前記すだれ状電極Tiの電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しい請求項1または2に記載の超音波タッチパネル。
  4. 前記すだれ状電極Tiに代えてすだれ状電極Mi(i=1,2,……,N)を備えるとともに、接地電極Gi(i=1,2,……,N)、スイッチWi(i=1,2,……,N)および移相器Sを有する超音波タッチパネルであって、
    前記すだれ状電極Miの電極周期長および電極交差幅は前記すだれ状電極Tiの電極周期長Pおよび電極交差幅Lとそれぞれ等しく、前記すだれ状電極Miは前記圧電基板の前記一方の板面上において前記すだれ状電極Tiと同様な位置に設けられており、
    前記接地電極Giは前記圧電板PTのもう一方の板面の前記すだれ状電極Miに対応する部分に設けられており、
    前記圧電板PTは前記接地電極Giを介して前記非圧電板の上端面に固着されており、
    前記圧電板PRは、前記圧電板PRの前記すだれ状電極R0,Ri1およびRi2を有しない方の板面を介して前記非圧電板の前記上端面に固着されており、
    前記すだれ状電極Miは、電極Mi-1およびMi-2から成り、
    前記電極Mi-1の電極指と前記電極Mi-2の電極指との間の距離には2種類あり、
    前記各スイッチWiは2つのスイッチWi1およびWi2から成り、
    前記スイッチWi1およびWi2の出力端は前記電極Mi-1およびMi-2の入力端にそれぞれ接続され、
    前記各すだれ状電極Ri1の出力端は互いに1つの接続点Q1で接続され、
    前記各すだれ状電極Ri2の出力端は互いに1つの接続点Q2で接続され、
    前記移相器Sは少なくとも1つのコイルL1を含み、
    前記すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向は、前記すだれ状電極Miの電極指の方向に対し角αの傾きを有し、
    前記各すだれ状電極Ri1およびRi2の電極指の方向での交差幅LPの合計は、前記電極交差幅Lとsecαとの積にほぼ等しく、
    前記各すだれ状電極Miおよび前記各接地電極Giは、前記各電極Mi-1と前記各接地電極Giとの間および前記各電極Mi-2と前記各接地電極Giとの間に位相差2πyを有する電気信号ViおよびV2を前記移相器Sを介して入力されることにより、前記圧電板PTに前記電極周期長Pとほぼ等しい波長を有する一方向性の弾性表面波を励振し、該弾性表面波を前記非圧電板の前記上端面の表面近傍に伝搬させた後、前記圧電板PRに伝搬させ、
    前記電気信号V1およびV2は前記電極周期長Pにほぼ対応する周波数を有し、
    前記電極Mi-1の電極指と前記電極Mi-2の電極指との間の距離のうち短い方の距離xPにおいて、x<1/2で、同時に、前記電気信号V1とV2との間の前記位相差2πyにおいて、x+y=±1/2が成り立ち、
    前記情報処理部は前記スイッチWiを順次に所定の周期で断続し、前記位置Fxに人指または物体が接触したことを、前記接続点Q1またはQ2において位相θを有する電気信号Eが出力されることにより感知し、前記接触位置Fxを、前記出力電気信号Eが検出された前記接続点Q1またはQ2を判別することと、前記出力電気信号Eが検出された時に接続されていた前記スイッチWiを特定することと、前記位相θbaseと前記位相θとの差を検出することにより特定する請求項1に記載の超音波タッチパネル。
  5. 前記超音波送受波手段Xにおける前記すだれ状電極T0とR0との間の弾性表面波の伝搬路を遅延素子とする発振器が構成されていて、
    前記超音波送受波手段Xにおける前記すだれ状電極R0の出力端は、前記超音波送受波手段XおよびYにおけるそれぞれの前記すだれ状電極T0の入力端に増幅器AXを介して接続されている請求項1,2,3または4に記載の超音波タッチパネル。
  6. 前記超音波送受波手段Xにおける前記伝搬路Di1およびDi2と、前記超音波送受波手段Yにおける前記伝搬路Di1およびDi2とは互いに直交している請求項1,2,3,4または5に記載の超音波タッチパネル。
  7. 前記各超音波送受波手段における前記伝搬路Di1およびDi2は互いに隣接するかまたは一部分を重複させている請求項1,2,3,4,5または6に記載の超音波タッチパネル。
  8. 前記非圧電板の下端面が支持基板で支持されている請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の超音波タッチパネル。
  9. 前記各圧電板が圧電セラミックで成り、該圧電セラミックの分極軸の方向は該圧電セラミックの厚さ方向と平行である請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の超音波タッチパネル。
  10. 前記各圧電板がPVDFその他の圧電性高分子化合物で成る請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の超音波タッチパネル。
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