JP3959038B2 - 内燃機関の吸気ラインにおける圧力に基づいて気圧を算定する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気ラインにおけるエア・フィルタの下流側で測定した吸気圧、このエア・フィルタの下流側で測定した空気質量流量および吸気温度に基づいて気圧を算定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代の内燃機関において出力、排出物質および快適さの面で益々増大する要求には、エンジンの電子制御装置を使用する以外に対応することができない。それは、内燃機関の動作パラメータ、例えば、回転速度、温度、圧力を検知し、かつこれらからエンジン駆動変数に関する最適設定値、例えば、噴射開始、噴射持続時間、充填圧力および排ガス・フィードバック率を算定する。これらの動作パラメータを測定するために、例えば、気圧センサ、吸気圧センサ、吸気温度センサまたは空気質量流量メータなどのセンサを使用する。時には、他の測定変数から動作パラメータを得ることによって、センサに関するコストを節約することも可能である。
【0003】
ドイツ特許第DE19710981A1号が、エア・フィルタの汚染度を算定する一般的なタイプの方法を開示する。この公報は、2つの代替方法を開示する。一方では、エア・フィルタ下流側の内燃機関の吸気系統内で優勢な圧力をセンサによって測定することを提案する。さらに、周囲圧力を、例えば、吸気系統の外側に配置してある空気調節システム用のセンサによって検知できるようになっており、次いでエア・フィルタの汚染度をその差圧から測定する。ここでは、2つの圧力センサが必要なことが不利である。別の代替方法として、内燃機関が、既定の動作状態にあるとき、空気質量流量、空気温度および吸気マニホルド圧の測定変数から、エア・フィルタ上流側の気圧を算定できることを開示する。次いで、このような方式で算出した気圧を使用して、差圧を形成することによって、エア・フィルタの汚染度を測定することになる。気圧を算定するべき方式は開示されていない。
【0004】
しかし、気圧の算出に関して、エア・フィルタの汚染度は、どんな状況下でも無視すべきではない重要な入力変数であるという問題がここにある。しかし、従来技術によれば、先に算出した気圧から、前記入力変数を第2ステップにおいて算出するのみである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、内燃機関の吸気マニホルド内の測定圧力に基づいて、確実にかつ十分な精度をもって、気圧およびエア・フィルタ汚染度を算出できる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0007】
本発明による方法は、別体の気圧センサを不要にできるように、吸気圧、吸気温度および空気質量流量に基づいて気圧を算定することを可能にする。これは、そのコストおよび内燃機関の吸気系統内の必要な組み付けスペースに関して有利である。
【0008】
気圧を算定するときに、エア・フィルタの汚染度を無視し得ないという問題が、エア・フィルタの汚染度の算出を気圧の算出から分離することによって回避される。現在の気圧を算出することが必要でなく、エア・フィルタの汚染度が最初に算出される。次いで、空気の汚染度が気圧を算出するために第2ステップで使用される。
【0009】
このことは、空気質量流量を既定の基準温度と既定の基準圧力に対して標準化することによって可能になる。この標準化によって、標高の増加または空気の温度変化によって生じるエア・フィルタにおける差圧の変化が、進展中に確実に標準化条件に変換されることになる。その場合に、このような標準化によって、差圧は、標準化空気質量流量およびエア・フィルタ汚染度のみに依存する。
【0010】
吸気温度を標準化空気質量流量の算出に含むことによって、この方法の精度を向上させることができる。
【0011】
エンジンの動作によっては、測定を実行する2つの標準化空気質量流量の一方が、相対的に長時間にわたって生じないこともあり得る。結果として、それぞれの気圧を検知する間に、車両が相対的に大きな標高差を走り抜ける場合がある。このような場合、この方法は、不正確なエア・フィルタ汚染度を算定することになろう。これを回避するために、気圧を直接監視することもできるし、あるいは他に、2つの標準化空気質量流量の測定の間に、既定の時間または既定の距離を超えないように監視することも可能である。
【0012】
内燃機関の非定常状態動作モードでは、標準化空気質量流量と吸気圧の間で位相のずれが生じる可能性があり、それが気圧の算出における誤差につながる。これを回避するために、時間経過に伴う標準化空気質量流量の変化を連続的に監視することが可能であり、かつ非定常状態動作時には、気圧の算定を中断することが可能である。
【0013】
気圧およびエア・フィルタの汚染度は、非常にゆっくりと変化する変数なので、相対的に小さい干渉を除去するための一次時間遅延フィルタを、それぞれ気圧またはエア・フィルタの汚染度に関する評価ユニットの出力に設けることができる。
【0014】
本発明の他の利点および改良点は、他の請求項および説明から明らかになる。
【0015】
図面を参照して、以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に表した構造図は、内燃機関2の吸気系統1を示す。エア・フィルタ4、空気質量流量メータ5および吸気圧センサ6が、吸気ライン3内で流れ方向に一方が他方の背後になるように配置してある。吸気の温度T1も、組込み温度センサを備える空気質量流量メータ5を使用して同時に測定することが好ましい。言うまでもなく、その代替物として他の別体のセンサを設けることもできる。エア・フィルタ4の上流側で、吸気圧P1は気圧Patmに等しい。吸気は、エア・フィルタおよび空気質量流量メータ5を通って流れる。この空気質量流量メータ5が、吸気の空気質量流量LM’を測定し、かつ組込み温度センサによって、エア・フィルタ4の下流側の吸気温度T1を測定する。吸気圧センサ6は、エア・フィルタ4の下流側で吸気圧P1を検知する。
次の差圧dPが、流動抵抗のために、エア・フィルタ4の入力と出力の間で蓄積する。
【0017】
【数1】
【0018】
流体物理学の法則および一般的な気体式によれば、差圧dPは以下の4つのパラメータに依存する。すなわち、
空気質量流量LM’
エア・フィルタの汚染度V
エア・フィルタの下流側の吸気圧P1
吸気温度T1である。
【0019】
【数2】
【0020】
図2に一群の特性曲線として、差圧特性図をグラフ表示することによって、いかにエア・フィルタ4での差圧dPがその他のパラメータに依存するかを定性的な様態で示す。矢印は、パラメータがその後の矢印の方向に変化するとき、差圧dPが上昇することを示す。
【0021】
式(2)によるエア・フィルタ4における物理的関係の説明は、4つの入力パラメータを考慮しなければならないので複雑である。適切な標準化規則を導入し、空気質量流量LM’を標準化した空気質量流量LM’standに置き換えれば、それを単純化することができる。
【0022】
このような標準化規則LM’stand=f(LM’)が、以下において導き出される。それを適用すると、差圧dPは、特に、次の2つのパラメータのみに依存する。すなわち、
標準化空気質量流量LM’standおよび
エア・フィルタ汚染度Vである。
【0023】
流体物理学の法則によれば、次式が、圧力降下と流れが存在するチューブ内の流量とに当てはまる。
圧力低下
【0024】
【数3】
【0025】
上式において、
α=流れ係数
ρ=気体密度
c=流量である。
流量
【0026】
【数4】
【0027】
A=流れ断面積
ρ=気体密度である。
一般的な気体密度は次式である。
【0028】
【数5】
【0029】
上式において、
ρ=気体密度
p=圧力
T=温度
R=特定の気体定数である。
式(4)を式(3)に挿入すると、次式を得る。
【0030】
【数6】
【0031】
式(5)を式(6)に挿入すると、次式を得る。
【0032】
【数7】
【0033】
この結果を流れが通過するエア・フィルタ4に適用し、かつ式(1)および(2)からの関係を式(7)に挿入すれば、差圧dPに関して、次式を得る。
【0034】
【数8】
【0035】
空気質量流量LM’を標準化するために、吸気温度T1に関して一定の基準温度T1refを求め、かつエア・フィルタP1の下流側の吸気圧に関して、一定の基準圧P1refを求める。これらの標準化条件下では、差圧をdPstandと呼び、空気質量流量をLM’standと呼ぶ。これらの値を式(8)に挿入すると、次式を得る。
【0036】
【数9】
【0037】
上式において、
T1ref=吸気の基準温度
P1ref=吸気圧の基準圧力
LM’stand=通常条件下の空気質量流量
dPstand=通常条件下の差圧である。
標準化によって、差圧が、測定条件下および標準化条件下で等しいことが保証される。これは、式(8)と式(9)が等しくなるべきことを意味する。
【0038】
【数10】
【0039】
LM’standによって解くと、空気質量流量に関する標準化規則を得る。すなわち、
【0040】
【数11】
【0041】
このような標準化によって、その場合、差圧が、標準化空気質量流量LM’standとエア・フィルタ汚染度(V)という2つのパラメータのみに依存する。すなわち、
【0042】
【数12】
【0043】
これによって、図3の一群の特性曲線による差圧特性図の表現が明確になる。エア・フィルタ4における差圧dPは、エア・フィルタの汚染度Vが上昇するにつれて増大する。各特性曲線に、エア・フィルタの汚染度Viが明白に対応付けられている。
【0044】
組込み空気温度センサを設けない設計の空気質量流量メータを使用する場合は、吸気温度T1を測定値として利用できない。近似値T1=T1refを式(10)に挿入すると、標準化空気質量流量(LM’stand)に関して、次式を得る。
【0045】
【数13】
【0046】
結果として、
の大きさの標準化誤差が生じる。吸気温度(T1)が、基準温度(T1ref)から最大+/−30ケルビン外れると仮定すると、LM’standの算出時の最大誤差は、+/−5%である。したがって、気圧(Patm)およびエア・フィルタ汚染度Vに関する算出精度は、無視できる程度に減じるだけである。
【0047】
差圧の特性図dP=f(LM’stand、V)をエンジンのテスト・ベンチで算定することができる。この目的のために、エア・フィルタ汚染度Vと標準化空気質量流量LM’standを変化させ、その関連する差圧dPを測定する。図4に示すように、一定のエア・フィルタ汚染度に関して、これらの測定値を特性曲線によってグラフ表示すると、次のことが明白になる。すなわち、
各特性曲線の傾きが、LM’standが増加するにつれて大きくなること、各特性曲線の平均的な傾きが、エア・フィルタ汚染度Vが増加するにつれて大きくなることである。
【0048】
これらの定性的な陳述に基づいて、エア・フィルタの差圧の特性図を与えれば、標準化空気質量流量LM’standとエア・フィルタ下流側の吸気圧P1から、エア・フィルタ汚染度Vの算定を可能にする、定量化可能な、コンピュータ志向の方法が得られる。
【0049】
最初に、差圧の特性図の各特性曲線に関して、平均的な傾きを求める。これを行うために、LM’stand軸上の2つの固定支持点LM’1およびLM’2を選択し、差圧に関してこの特性図から、汚染度Viごとに関連する差圧dP1iおよびdP2iを求める。
差圧、すなわち、
【0050】
【数14】
【0051】
は、汚染度Viに関連する一定の差圧特性曲線の傾きである。残りの導出に関しては、差圧dPiを用いて算出することで十分である。区間[LM’1、LM’2]が一定なので、特性曲線の傾きdPi/(LM’2−LM’1)を用いる必要はない。
【0052】
上の方法にしたがって、汚染度Viごとに関連する差圧dPiを算定すると、i値の対[Vi、dPi]を得る。dPに対してプロットされるVとして、これらの値の対を図5による特性曲線上にグラフ表示する。この特性曲線は、差圧ごとに特定の汚染度を対応付けるので、それを汚染特性曲線と呼ぶ。
式(1)を式(12)に挿入すると、次式を得る。
【0053】
【数15】
【0054】
支持点LM’1およびLM’2における測定値の登録時に気圧が変化しないとき、式(13)の第1項がゼロに等しいと仮定すると、次式を得る。
【0055】
【数16】
【0056】
よって、エア・フィルタの汚染度Vを次の4つのステップで算定することができる。すなわち、
エア・フィルタの下流側の吸気圧P1_1を標準化空気質量流量LM’1において測定するステップと、
エア・フィルタの下流側の吸気圧P1_2を標準化空気質量流量LM’2において測定するステップと、
差圧dPiを式(14)にしたがって算出するステップと、
差圧dPiに関連するエア・フィルタの汚染度Vを汚染特性曲線から読み取るステップである。
【0057】
この方法は、エンジン電子システムにおける実装に適切である。自動車での実際の応用例では、式(13)から式(14)への移行要件が満たされていることに注目されたい。エンジンの動作に応じて、標準化空気質量流量LM’1またはLM’2が、相対的に長時間にわたって生じない場合があり、さらに車両が、P1_1とP1_2の登録の間に、相対的に大きな標高差を走り抜ける場合がある。この場合、上の方法は、エア・フィルタの不正確な汚染度Vを算定することになろう。
【0058】
この理由のために、好ましくは、電子エンジン・システムは、P1_1とP1_2の登録の間に、標高の変化を監視するべきである。標高の変化が固定制限値を超える場合は、電子エンジン・システムは、エア・フィルタの汚染に関する値を更新してはならない。
【0059】
標高の許容外変化を検出するために、例えば、計算上の気圧Patmをモニタリング変数として使用することができる。電子エンジン・システムが、エア・フィルタの汚染度Vに関する値を更新するのは、式(13)中の第1項の絶対値が制限値Patmlimitよりも小さい場合だけである。
【0060】
【数17】
【0061】
この制限Patmlimitを、式(14)中の実際に生じる差圧dPiよりもごく小さい値に設定するべきである。そうすれば、エア・フィルタ汚染度Vの算定時の誤差は小さく、かつそれを無視し得る。
【0062】
しかし、気圧Patmの代わりに、時間または距離をモニタリング変数として使用することも可能である。この場合、電子エンジン・システムは、P1_1およびP1_2の登録が、固定した間隔時間内にあること、またはその間に走行する距離が大きすぎないことを監視する必要があろう。
式(1)を気圧Patmによって解き、かつ式(11)を考慮すると、次式を得る。
【0063】
【数18】
【0064】
上式右辺のすべてのパラメータが次のように与えられる。すなわち、
エア・フィルタ下流側の吸気圧(P1)は、測定変数であること、
差圧の特性図dPをエンジンのテスト・ベンチで算定できること、
標準化空気質量流量(LM’stand)を、空気質量流量(LM’)、エア・フィルタ下流側の吸気圧(P1)および吸気温度(T1)の測定変数から算出すること、
エア・フィルタの汚染度(V)を上述のように算定することである。
【0065】
このような方式で、式(16)を使用して気圧Patmを算定することができる。
【0066】
気圧Patmおよびエア・フィルタ汚染度Vの算出を試験するために、上述の方法に関してシミュレーション・モデルを開発した。このシミュレーション・モデルを、実際の運転動作モードで記録しておいたデータによって実験した。その測定は約50kmの距離と約1000mの標高差にわたって行われた。エア・フィルタの汚染度を変えるために、用意した複数のエア・フィルタを使用し、それらをデータ記録時に交換した。すべての測定時に、追加的なセンサで気圧も記録した。この測定気圧が、計算上の気圧に関する誤差を評価するときの基準を形成する。
【0067】
図5から図7を参照して、本発明による方法を以下にさらに詳細に説明する。センサ10から12を使用して測定した、エア・フィルタ下流側の吸気圧P1、吸気温度T1および空気質量流量LM’を含む動作パラメータを入力変数として用いた。気圧Patmおよびエア・フィルタ汚染度Vを上記変数から出力変数として算出する。
【0068】
式(10)にしたがって、エア・フィルタ下流側の吸気圧P1、吸気温度T1および空気質量流量LM’を含む入力変数から、標準化空気質量流量LM’ standをブロック13において算出する。エア・フィルタ下流側の吸気圧P1、標準化空気質量流量LM’standおよび計算上の気圧Patmから、エア・フィルタ汚染度Vをブロック14において算出する。最後に、エア・フィルタ下流側の吸気圧P1、標準化空気質量流量LM’standおよびエア・フィルタ汚染度Vから、気圧Patmをブロック15において算定する。
【0069】
ここで、図7を参照して、ブロック14の内容をさらに詳細に説明する。最初の2つの方法ステップでは、吸気圧P1_1およびP1_2を、それぞれ恒久的に既定した標準化空気質量流量LM’1およびLM’2に関して登録することになる。エンジン動作モードでの応用に関して、これは、次式を適用する測定時間を、標準化空気質量流量LM’standの信号形状中に登録するべきことを意味する。
a)LM’stand=LM’1
b)LM’stand=LM’2
【0070】
a)ならば、このタスクをブロック16によって実行し、b)ならば、ブロック17によって実行する。LM’standの限定的な分解能のために、これらの固定値LM’1およびLM’2を、LM’1およびLM’2回りに対称的に位置する2つの狭い空気質量流量帯域によって置き換えることが好ましい。ブロック16の出力LMB1は、標準化空気質量流量LM’standが、LM’1回りのこの狭い空気質量流量帯域内にあれば、値1をとり、それ以外ではLMB1が値0をとるブーリアン変数である。同様に、ブロック17は、LM’2回りの空気質量流量帯域に関して信号LMB2を形成する。
【0071】
次いで、ブロック18では、式(14)による差圧(dP)を以下のステップで算出する。すなわち、
1.信号LMB1を監視し、かつLMB1が値1をとれば、P1値を登録する。
2.式(14)の第1加数P1_1を、好ましくはP1値の所定の最小数を平均することによって求める。平均値を形成することによって、エンジンの非定常状態動作モードにおいて、エア・フィルタ汚染の算定時の誤差を防止する。
3.P1_1を算出した後、気圧Patmを主メモリに確保する。
4.式(14)の第2加数P1_2に関する信号LMB2を監視することによって、ステップ1から3を同様の方式で実行する。
5.加数P1_1またはP1_2を算出するときは常にモデル・ブロックが、P1_1とP1_2の算出の間に、気圧の変化が大きすぎるかどうかを確認する(式15)。
6.問題がない場合は、式(14)にしたがって差圧dPを算出する。
【0072】
差圧dPを算出すると直ちに、ブロック21において、メモリに格納しておいた汚染特性曲線がエア・フィルタ汚染Vk1を供給する。
【0073】
運転サイクルの始めでは、変数dP_算出が値0を有する。この値は、差圧dPがまだ算出されていないことを示す。この場合、定数V_メモリが、スイッチ20を介して一貫して接続されている。この定数V_メモリは、最終運転サイクルの終わりで有効であったエア・フィルタ汚染度の値を有する。この値は、エンジンを停止するときは常にEEPROMメモリ19中に確保されている。最初に差圧dPを算出すると直ちに、dP_算出の値が0から1に変わり、かつスイッチ20が、新たに算出されたエア・フィルタ汚染Vk1を出力側へ切り換える。
【0074】
さらに、エア・フィルタ汚染Vk1に関する信号を平滑化するブロック22を設けることができる。エア・フィルタの汚染は非常に遅いプロセスなので、一次時間遅延フィルタとして実装することが好ましいこのブロック22の時間定数を分範囲内で選択する。
【0075】
ここで、図8を参照して、ブロック15の内容をさらに詳細に説明する。このブロック15では、式(16)にしたがって気圧Patmを算出する。したがって、ブロック23が、標準化空気質量流量LM’standとエア・フィルタ汚染度Vの関数として、メモリ中に格納してある特性図に基づいて差圧dPを算出する。エア・フィルタ下流側の吸気圧P1と差圧dPとの和によって、気圧Patm_1が得られる。
【0076】
エンジンの非定常状態動作モードでは、気圧Patm_1の算出時に誤差を引き起こす位相のずれが、標準化空気質量流量LM’standと吸気圧の間に生じる可能性がある。これを回避するために、ブロック24が標準化空気質量流量LM’standの動的状態を監視し、かつ信号LMstatによって、非定常状態プロセスを示す。LM’standの傾きが、固定制限値を下回れば、LMstatが値1をとり、それ以外では値0をとる。
【0077】
LMstatが値1をとる限り、ブロック25は入力Patm_1を出力Patm_2に切り換える。LMstatが値0に切り変わり、したがって非定常状態動作モードを示すと、ブロック25は、LMstatが再び定常状態動作の信号を送るまで、Patm_2の最終有効値を格納する。
【0078】
把持機能の切り換えの結果として、小さい誤差が気圧Patm_2中に生じる可能性があるが、一次時間遅延フィルタとして実装することが好ましい追加ブロック26によって、その誤差を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の吸気システムを示す構造図である。
【図2】空気質量流量の関数として、一群の特性曲線としての差圧特性図を示す基本図である。
【図3】標準化空気質量流量の関数として、一群の特性曲線としての差圧特性図を示す基本図である。
【図4】傾きを算定するために、エア・フィルタの一定の汚染の特性曲線によって差圧特性図を示す基本図である。
【図5】汚染特性曲線と呼ばれるものを示す基本図であり、エア・フィルタの汚染度が、差圧に対してプロットされている。
【図6】本発明による方法の構成を示す概観図である。
【図7】図6のブロック14を示す詳細図である。
【図8】図6のブロック15を示す詳細図である。
【符号の説明】
1 吸気系統
2 内燃機関
3 吸気ライン
4 エア・フィルタ
5 空気質量流量メータ
6 吸気圧センサ
Claims (8)
- 内燃機関(2)の吸気ライン(3)内のエア・フィルタ(4)の下流側で測定した吸気圧(P1)と、エア・フィルタ(4)の下流側で測定した空気質量流量(LM’)とに基づいて、気圧(Patm)を算定する方法であって、
標準化条件下の標準化空気質量流量(LM’stand)が測定条件下の空気質量流量(LM’)に関する測定値および吸気圧(P1)に関する測定値から算定されるものであり、
吸気圧(P1_1,P1_2)が標準化空気質量流量の2つの固定値である第1標準化空気質量流量(LM’1)および第2標準化空気質量流量(LM’2)において測定され、この測定された両吸気圧から差圧(dP)が算出され、さらにエア・フィルタの汚染度(V)が差圧(dP)の関数として格納されている特性曲線を基準とすることによって、この算出された差圧(dP)から算定され、
差圧(dP)が標準化空気質量流量(LM’stand)とエア・フィルタの汚染度(V)との関数として格納されている差圧特性図から読み取られ、
気圧(Patm)が吸気ライン(3)内で測定した吸気圧(P1)とエア・フィルタ(4)で生じる差圧(dP)との和から算定されることを含む方法。 - 吸気温度(T1)を検知するセンサが追加的に設けられ、測定された吸気温度(T1)が標準化空気質量流量(LM’stand)の算定に考慮されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 気圧(Patm)が第1および第2標準化空気質量流量(LM’1、LM’2)の測定の間に監視されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 第1および第2標準化空気質量流量(LM’1、LM’2)に関する計算上の気圧(Patm_2i、Patm_1i)間の絶対差が既定の制限値(Patmlimit)を超えない場合だけ、エア・フィルタの汚染度(V)の変化が検知されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 第1および第2標準化空気質量流量(LM’1、LM’2)の測定の間に既定の時間または既定の距離を越えない場合だけ、エア・フィルタの汚染度(V)の変化が検知されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 内燃機関が停止されるとき、エア・フィルタの汚染度(V)の最終有効値が不揮発性メモリ(19)に格納されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 時間経過に伴う標準化空気質量流量(LM’stand )の変化が連続的に算定されること、およびこの変化が既定制限値を超える場合は、気圧(Patm)の算定が中断されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 気圧(Patm)および/またはエア・フィルタの汚染度(V)に関して算定される値が一次時間遅延フィルタによって平滑化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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