JP3958440B2 - 水素発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い温度と簡単な構造で省エネルギー的に電解水素を発生する水素発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
環境問題に端を発する大気汚染防止問題、更にCO2 削減問題は、運輸手段である自動車の動力を、化石燃料を燃料とする内燃機関から効率の良い電気モーターを動かす、いわゆる電気自動車へと変えつつある。従来からこの代表的なものは、二次電池を積み、それを燃料源とする電気自動車である。この様な電気自動車は、確かに走行中は排ガスがなく環境を汚さないと言う特徴を有するが、電力源は発電所電力であり、そのエネルギー効率はあまりよくないという事実と共に、二次電池の重量が極めて大きいこと、その二次電池を搭載しているので電気自動車それ自身の重量が大きくなってしまい、そのためにより多くの動力を必要とすること、また一回の充電での走行距離が比較的少なく、一日の走行距離分より少ないという欠点と共に充電に時間がかかるので使用上も問題があった。
【0003】
最近にいたり、電池重量を軽減し、外部電力による充電を不要にすると共に、内燃機関の付加によって燃費率を改良しながら、走行距離を伸ばした、内燃機関と電池とのハイブリッド化したハイブリッド自動車が使われ始めるようになったが、排気ガス中のNOx の低下と走行距離当たりのCO2 排出の削減を達成したものの、構造が複雑であり、排ガス問題が完全には解決したことにならないので、将来の全面的な電気化によるより高効率化に向けての中間段階と捉えられている。
【0004】
最終的なターゲットとしては、走行中に排ガスのない、燃料電池による発電とその電力で効率の良い電気モーターを動かし、それを動力源とする電気自動車であるとされている。ただ燃料電池自身は、かなりの所まで改良されており、残るところはコストダウンというところまで来ているが、燃料である水素の供給が問題となっている。すなわち、水素の供給手段にはメタノールなどの燃料からリフォーマーによって水素を取り出す方法と、水素ガススタンドで水素を補給する方法がある。特に後者の場合、自動車のタンクへの水素の充填は、それ自身で冷却のためにある程度の水素を消費してしまうので、現在のガソリンスタンドのように外部から水素を運搬してきてスタンドに充填、それを更に各自動車に充填していたのでは、原単位、コストの点でかなり不利になると言う問題があった。従ってこの水素の問題解決が大きな課題となっていた。
【0005】
一方、自動車にリフォーマーを積むことは、一見問題ないようにみえるが、それ自身大型になってしまうこと、そこからは排ガスであるCO2 の発生があること、また必ずしも効率がよいとは言えないこと、水素源であるメタノールや天然ガスなどの消費がリフォーマー自身の加熱のために、また生成COの再燃焼のために大きくなってしまい、経済性も悪くなると言うことが言われており、更にコールドスタートが出来ないなどと言う問題点があった。自動車内の水素ガスの保持技術が確立されつつある現在、水素をオンサイト的にスタンドで作りながら供給できれば、しかも効率的に安価に供給できれば、これらの問題の一部が解決することになる。またこの場合も、純度の高い電解水素であれば、自動車側ではそのまま使えるので最も望ましいことになる。
【0006】
また最近では、発電機の軸受け冷却用や電子材料製造などに高純度の水素が必要になっており、そこでは、現在はボンベで運ぶことが行われているが、バッチ作業となること、運搬時に危険が伴うことなどの問題点があった。この様なところでは、電解水素を使うべく従来法の電解水素装置を一部導入する動きもあったが、電解電圧が1.8Vから2.4Vとかなり高く、経済性に問題を残すので、この様なところでも経済的に、しかも水素の純度は電解水素と同等であることが要求されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
極めて小さい電力で電解水素を製造するためには、電解装置自身の性能を上げる方法が行われている。これは国家プロジェクトとして、いわゆるWE−NETやRITE計画に見ることができるが、これは固体電解質型の通常の水電解装置を使ったものであって、通常の水電解の電圧損失を最小にするという考えである。しかし通常の条件では、理論分解電圧である1.23V以下には出来ないと言う問題があり、経済的に海外の水力を使って水素を製造し、それを貯蔵媒体として使い、CO2 発生を減らすと言う計画として使われようとしているものである。従来の電解水素発生装置より経済性は高いが、やはり消費電力が大きいこと、またこの水素で燃料電池を働かせた場合は、発生電力は消費電力の半分以下になってしまうという問題点があった。
【0008】
一方、これらに対して、陽極反応に理論分解電圧が酸素発生より低いハロゲン反応を利用することが提案されている。これは、米国特許第5,219,671号明細書や同第5,443,804号明細書に見られるように、ハロゲン化水素を電解液として電解を行い、ハロゲンを得ると共に陰極室では水素を得る方法であるが、理論分解電圧が、水の1.24Vに対して臭素酸の場合は1.04Vになり、しかも臭素発生では陽極過電圧がほとんどゼロとなるので、実質的には0.5V程度の電圧削減が可能になると言うものである。生成した臭素は、天然ガスやメタノールと反応させてハロゲン酸に戻し、再び電解原料として使うようにしている。この方法は、電力削減にはよいが、構造が複雑となり、しかもその割には十分に低い電力での水素製造は行えないと言う欠点がある。また、ハロゲン酸への転換に高温を必要とするなど、全体で見ると、装置的に複雑であると同時にその運転を考えると、オンサイト型の発生装置にはなりにくいという問題点を合わせ持っていた。
本発明は、叙上の問題点を解決するためになされたもので、低温でしかも電力消費を極端に少なくした電解水素の製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、わずかな電力で電解水素を得るためには、メタンと水蒸気を原料ガスとして、電解リフォーマーの陽極としてのガス拡散電極へ供給すれば、陽極からは炭酸ガスが、陰極からは高純度の電解水素が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の構成からなるものである。
【0010】
(1)電解により水素を発生する水素発生装置において、陽極にガス拡散電極を用い、該陽極と陰極との間にイオン交換膜を介在させ、該陽極のガス拡散電極に水蒸気とメタンガスの混合ガスを供給し、陰極側から水素を得るように形成していることを特徴とする水素発生装置。
(2)前記イオン交換膜に陽極と陰極が密着していることを特徴とする前記(1)記載の水素発生装置。
(3)前記イオン交換膜が環状フッ素樹脂を骨格とするフッ素樹脂にイオン交換基を導入したものであることを特徴とする前記(1)記載の水素発生装置。
(4)前記イオン交換膜として、耐熱性の多孔質基体に耐熱性を有するイオン交換体を含浸させたものを使用することを特徴とする前記(1)記載の水素発生装置。
(5)電解温度を100℃以上とし、陽極供給ガス側に水蒸気発生機構と共に保温機構を設けたことを特徴とする前記(1)記載の水素発生装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
電解による水素製造を水電解で行うと、その反応は
陽極反応 H2 O→ 2H+ +1/2O2 + 2e- (1.22V)
陰極反応 2H2 O+2e- → H2 +2OH- (0.0V)
となり、理論分解電圧は1.22Vである。実際にはこれに電極過電圧、電気抵抗などが加わって、電解電圧は1.8から2V程度になる。
【0012】
これに対して、陽極反応を燃料電池反応であるメタンガスの分解を使うと以下のようになる。
陽極反応 CH4 +2H2 O→CO2 +8H+ +8e- (0.16V)
陰極反応 2H2 O+2e- → H2 +2OH- (0.0V)
つまり、理論的には0.16Vで電解水素が得られることになる。しかも、通常水素反応はその拡散速度が十分に速いために、電解時の電極過電圧が極めて小さくなると言う特徴がある。すなわち、酸素発生反応では400mV程度ある過電圧が100mV以下となること、また電気抵抗はいずれの系でも同じであるので、メタン反応を使うことにより、電解電圧は電気抵抗を入れても、電流密度によるが0.3から0.5Vが期待できる。但し、メタンの分解反応には副反応が起こりやすいと言う問題点があり、これらに関して鋭意検討することにより、実際に極めて低い電圧で、ほぼ理論通り副反応なしに水素製造が可能であることを見いだし、本発明に至った。
【0013】
つまり、これに関連する反応として、従来は燃料電池が考えられてきたが、そこでは溶融炭酸塩や固体電解質型の燃料電池用燃料ということで、温度が最低でも700℃、通常は1000℃程度の運転が行われ、そこでは化学反応と共に電気化学反応が起こるために、また、必然的に還元されやすい状態になるために、副反応である、カーボンやCOの生成などが起こっていた。これは、熱分解によるリフォーマーの作動と同様である。しかしながら、十分な水分と比較的低い温度で作動させた場合には、酸化雰囲気に近づくために、この種の副反応が起こりにくくなることを見いだした。ただリフォーマーでは反応が遅くなるために使えないが、電解の場合は電気エネルギーがモーティブフォースとして働くために合目的な作業ができることを見いだしたものであり、電解用として使用が可能であることを新たに見いだした。
【0014】
換言すれば、燃料としてメタンを陽極に送り、それを酸化することによって電極反応の減極を行い、陽極電位を極めて低く保ったまま水素を陰極から発生させるのが本発明の装置である。ここにおける電解温度は、水が安定に気体としてメタンガスと混合していること、しかもこれらを陽極供給ガスとしてガス拡散電極に送り込み反応させるための温度でなければならず、このための反応からは500℃以下が適当であり、気相を安定に保つためには100℃以上であることが望ましいことがわかった。従って、望ましい温度域は100℃から500℃であり、更に望ましくは100℃から300℃である。これを電解質に密着させたガス拡散陽極に送り込む。供給ガスの成分組成量としては理論的にはメタン一分子に対して水が二分子となるように、すなわち成分ガスの容量比で1:2にすれば良いが、実際には固体電解質自身も含水の方がよいので、水の量は50%程度過剰であることが好ましい。ガス拡散電極に関しては、耐熱性以外特に限定はされないが、300℃以下では通常用いられている炭素の多孔質体に電極物質を担持したものが使えるし、300℃以上では多孔性炭素焼結体にフッ素化グラファイトなどで撥水性を調整したものを基板として、それに電極物質を担持したものが使える。
【0015】
これに電極物質を担持するが、一部COの生成が起こることを考えて、白金とルテニウムとの合金又は白金と酸化ルテニウムとの複合化合物であることが望ましい。しかし、銀など他の電極物質でも本目的の反応が進行するものであれば良く、他の電極物質でも良いことはもちろんである。電極物質の担持は通常の方法でよく、たとえば、炭素粉末の表面に電極物質、又はその前駆体を担持し、それに加熱などの処理を加えて、触媒粒子を形成し、それを電極面にフッ素樹脂と共に焼き付ける方法でも良く、また電極物質を担持していない電極体を作り、その後に電極物質の前駆体、たとえば、塩化白金酸と塩化ルテニウム酸の混合水溶液、又はブチルアルコール溶液を塗布液として、これを電極面に塗布した後、水素を含有する還元雰囲気中で、200から350℃で焼成することにより、白金とルテニウムの合金が電極表面に形成できる。ただ、電極物質に撥水材やバインダーとしてフッ素樹脂を使っている場合は、耐熱性の比較的高いPTFEでも350℃では分解を始めるので熱条件に制限があり、酸化物など酸化雰囲気を必要とする電極物質の場合は、予め電極物質を担持した粒子を作っておき、それをフッ素樹脂などで電極面上に担持する事も出来ることは前述の通りである。
【0016】
陰極に関しては限定されないが、出来るだけ表面積の大きいこと、また電解部分の中の液体は、たとえあってもほとんど導電性を持たないので、補助電解質としての固体電解質に全面にわたり密着していることが必要である。もちろん、これは陽極でも同じである。このためには、固体電解質であるイオン交換樹脂膜に密着できるように、ある程度の柔軟性が必要である。更に低い電解電圧を得るためには、水素発生電位が十分に低いことが、つまり活性化陰極であることが必要である。このために、炭素粒子とフッ素樹脂を混練して多孔性のシート状にしたものの固体電解質側に、活性な電極物質を担持することによって陰極を形成することが出来る。なお、このようなシート状陰極材には、心材として金属線を編んで作った網状体のものを入れることもできる。金属心材を入れることにより電極自身の導電性が向上し、全面にわたり均一な電流分布が期待出来る。これについても当然陽極の場合も同じである。
【0017】
従って、陰極は以下のような手法で作ることが出来る。すなわち、カーボンブラック粉末とPTFE樹脂の水懸濁物を混練してペースト状とし、これをアルミニウム箔上に均一に引き延ばす。このものをホットプレスにより圧力1kg/cm2 から5kg/cm2 程度、温度200℃から300℃で処理することによりシートを得ることが出来る。なお、アルミニウム箔は任意の方法で取り除く。また心材を入れる場合は、たとえば金メッキした銅メッシュやニッケルメッシュをひろげ、その両面に上記のペーストを塗布し、同様にホットプレスすることにより目的の陰極材を得ることが可能となる。
【0018】
陽極と陰極の間に介在させて使用する固体電解質膜として、イオン交換膜は、市販のフッ素樹脂系の陽イオン交換膜、たとえばDuPont社製商品名ナフィオン117等でも良いが、これらは耐熱温度がせいぜい120℃から130℃であり耐熱温度が十分ではないので、樹脂構造が異なる環状構造のフッ素樹脂を骨格とする、より耐熱性のあるフッ素樹脂にイオン交換基を導入したものであることが望ましい。また、耐熱性の多孔基体に、ナフィオンなどの耐熱性を有するイオン交換体又はその他の固体電解質として作用するイオン導電性のある物質を含浸させたものでも良い。たとえば、酸化ジルコニウムの繊維状の粉末をバインダー無しで、又は必要に応じてフッ素樹脂などをバインダーとして用いて、300℃程度で焼結することにより多孔性酸化ジルコニウムのシートを得、それにフッ素樹脂系イオン交換体であるナフィオンを含浸することによっても得られる。
【0019】
電極とこの様な固体電解質は、一体として作ることもできる。たとえば、上記では炭素を中心として述べたが、金属焼結体としてチタン線を編んで作った編みメッシュを基体として、表面にスポンジチタンと呼ばれる多孔性のチタン粉末を、デキストリンなどの焼成により揮散する物質をバインダーとして基体上に塗布し、水素やアルゴン気流中で300℃から500℃で焼結して多孔体を得、その表面に任意の方法で白金とルテニウムの合金を形成した陽極を作成し、その板状の片面に酸化ジルコニウムや酸化チタン、又は酸化珪素の多孔質膜を焼き付け、更に焼き付けた表面からイオン交換樹脂を塗布含浸することにより、陽極と固体電解質隔膜を一体としたものが出来る。陰極も、この表面に更に一体化できるように形成しても良い。なお、このような製造方法に関しては目的を達成できるものであれば、特には限定されないことは言うまでもない。取り扱い、大型化の点からは、電極と固体電解質とが物理的に十分な強度を有する、フレキシブルなシート状になっていることが望ましい。
【0020】
これらへの給電手段は、特には限定されないが、耐熱性、耐食性金属を使ったものであることが望ましく、たとえば、チタンメッシュ表面に酸化ルテニウムなどの導電性の安定な導電性酸化物を被覆したものなどが好ましく用いられる。この様にして作った固体電解質、陽極並びに陰極は、一体化して又は密着するようにして電解槽に設置される。この陽極側には、硫黄などの不純物を取り除いた天然ガス又は都市ガスを水蒸気と共に供給し、上記したような条件で電解を行う。この様にして、COその他の副反応を最小限としながら、極めて低い電圧で電解水素が得られる。なお、水蒸気が不足するとCOが増加する傾向があるので、水蒸気の不足がないように調整することが必要である。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例のみに制限されないことは言うまでもない。
【0022】
実施例1
線径0.1mmのチタン線を編んで作った編みメッシュ上に、チタンスポンジを粉砕した平均粒径5μmの粉末と、その30%量のデキストリンをバインダーとして混練したものを、見かけ厚さ100μmになるように全面に塗布し、水素を10%含むアルゴン気流中で400℃で焼結した。これにより、いわゆるルーズシンタリングといわれる状態の多孔質チタン板が出来た。焼結時間は1時間とし、デキストリンの炭素分が完全に揮散するようにした。この様にして作成したチタンを、今度は酸素5%とあとはアルゴンからなる雰囲気中で30分400℃で焼成して、表面に薄い酸化チタン膜を形成した。
【0023】
これを基材として、金属として白金:ルテニウムが1:1となるように塩化白金酸と塩化ルテニウム酸とをブチルアルコールに溶解した溶液に浸漬し、液を含浸し、液滴を十分に落とした後乾燥し、それを水素10%を含むアルゴン気流中で300℃15分焼成して、基材表面に白金/ルテニウム合金層を形成した。更に今度は、電極としてより大きく作用する片面に、同じ液を塗布し同じ条件で焼き付けを行った。なお、表面酸化を予め行ったのは、スポンジチタンの焼結体は非常に活性であり、そのままでは発火の恐れがあるためであり、表面を酸化しても電気伝導性は失われないことを確認して、その条件で表面酸化を行ったものである。この様にして、電極体全体としては15g/m2 の白金/ルテニウム合金を担持した陽極を作った。
【0024】
この陽極の白金をより多く担持した側に、繊維状の酸化ジルコニウムとその10%量のPTFE樹脂の水懸濁液を混練したものを塗布した。これを300℃のホットプレスにて成型焼結を行った。圧力は1kg/cm2 とした。これにより、見かけ厚さ200μmの酸化ジルコニウム多孔体を形成した。この部分を固体電解質とするために、ナフィオン樹脂液に増粘材としてエチレングリコールを30%量を加えたものを、酸化ジルコニウム層に塗布した。これを180℃で加熱して固体電解質膜を形成した。
【0025】
陰極としては、チタン長繊維を焼結して作った開口率85から90%のチタン多孔体表面に、酸化ルテニウムを熱分解で担持したものを用いた。この製造条件は、酸化ルテニウム粉末を塩化ルテニウム酸に懸濁し、それを基材である多孔性チタンに塗布し、空気中で350℃で熱分解焼き付けを行ったものである。この陰極を、陽極、固体電解質を一体化したシートに密着させるようにして電解槽に取り付けた。なお集電体は、陰極、陽極ともチタン製のエクスパンドメッシュとした。
【0026】
この電解槽を180℃の恒温槽に入れ、陽極側に水蒸気:メタン=3:1となるようにしたガスを供給しながら電解を行った。電流密度を2A/dm2 としたところ電解電圧は0.45Vであった。陽極室ガスには1000ppmほどのCOの生成があったが、ほぼ理論に対して20%増しのメタンの消費であった。また発生水素には、極めてわずかなメタンの混入が見られた。固体電解質によるガスの分離が不十分であったと思われる。なお、陰極側発生水素にはCOやCO2 はいずれも1ppm以下であり、通常の電解水素並の純度を示した。なお水素の生成の電流効率は98%以上であった。
【0027】
実施例2
固体電解質である陽イオン交換膜として、DuPont社製Nafion415を使用し、この両面に密着するように陽極と陰極を設けた。陽極は、見かけ平均粒径2μmのカーボンブラック粉体と、その40%量のPTFE樹脂の水分散液を混練してシート状にし、圧力1kg/cm2 、温度250℃でホットプレスしてカーボンシートを作成した。このカーボンシートに、塩化白金酸と塩化ルテニウム酸を金属比にして1:1となるようにブチルアルコールに溶解したものを塗布し、10%の水素を含むアルゴンガス中で、350℃で加熱焼成をして白金/ルテニウム合金を担持した。この操作を3回繰り返して、白金+ルテニウムで7g/m2 となるようにした。この様にして電極を作成した。この白金・ルテニウム合金担持側を陽イオン交換膜に密着させた。
【0028】
また陰極としては、グラファイト粉末とその20%量のPTFE樹脂を混練し、陽極と同じ条件でホットプレスして作成したシートを用いた。陰極物質としては、塩化白金酸のみのブタノール溶液を作り、これを塗布液として、作成したシートの片面に塗布し、陽極の場合と同じく水素、アルゴンガス雰囲気中で350℃で焼き付けた。これを3回繰り返して3g/m2 の白金を担持した。陰極も、白金を担持した側をイオン交換膜に密着させるようにした。集電体として、厚さ1.5mmのチタンエクスパンドメッシュ表面に、厚さ0.2mmのチタン薄メッシュを溶接したものを使用した。陰極、陽極並びに固体電解質であるイオン交換膜は、圧力10kg/cm2 で固定した。この物を含む電解槽を温度130℃の恒温槽に入れ、陽極ガスとして水蒸気とメタンの混合ガスを供給した。
【0029】
また、陰極室には、固体電解質であるナフィオンが十分に湿分を含んで導電性を保持するように、電解当初には水蒸気を供給した。電解条件は、電流密度を実施例1と同じ2A/dm2 としたが、そのときの電解電圧は0.35から0.45Vであった。電解開始後は送気を止め、陽極室側からの水分の補給と水素イオンの移動に伴う水分の補給によった。第1表には陽極側の水蒸気とメタンの組成による陽極ガス、陰極発生水素の構成を示した。これにより、理論値であるメタン1に対して水分を理論値の2より多く供給することで、ほぼ理論通りの反応をすることがわかったが、特に水分量を理論値の1.5倍程度とすることで最適になることがわかった。
【0030】
【表1】
Figure 0003958440
【0031】
【発明の効果】
本発明により以下の効果を得ることができる。
(1)メタンガスのリフォーマーとして、従来の高温熱分解型ではなく、電解によりわずかな電気の供給で電解水素が得られた。
(2)メタンそれ自体の消費の効率は、熱分解法の自己加熱用熱源に使用することにより、40%程度(メタンから水素への理論転換量の2.5倍程度のメタンを必要とする。)になるのに対して、水蒸気とメタンの混合比率の選択で80%以上となった。また、その代わりに必要とする電解電圧は十分に低く、大きな省エネルギー効果が期待できた。
(3)これを燃料電池と合わせて発電用にした場合にも、消費電力を差し引いて0.5V以上の電圧が期待できるので、電力への変換効率が40%以上と十分に高く出来ることがわかった。
(4)運転条件が極めてマイルドであり、運転が容易であることがわかった。
(5)圧力、温度がマイルドであり、しかも生成水素が電解水素であるので、オンサイト用水素発生装置としても容易に使用できること、また生成水素の純度から、ほとんど後処理の必要のない水素が得られることがわかった。
(6)数気圧の高圧水素であるために、昇圧装置無しに使えることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば上記の諸効果が得られ、オンサイト用として実用性の高い水素発生装置が得られた。

Claims (5)

  1. 電解により水素を発生する水素発生装置において、陽極にガス拡散電極を用い、該陽極と陰極との間にイオン交換膜を介在させ、該陽極のガス拡散電極に水蒸気とメタンガスの混合ガスを供給し、陰極側から水素を得るように形成していることを特徴とする水素発生装置。
  2. 前記イオン交換膜に陽極と陰極が密着していることを特徴とする請求項1記載の水素発生装置。
  3. 前記イオン交換膜が環状フッ素樹脂を骨格とするフッ素樹脂にイオン交換基を導入したものであることを特徴とする請求項1記載の水素発生装置。
  4. 前記イオン交換膜として、耐熱性の多孔質基体に耐熱性を有するイオン交換体を含浸させたものを使用することを特徴とする請求項1記載の水素発生装置。
  5. 電解温度を100℃以上とし、陽極供給ガス側に水蒸気発生機構と共に保温機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の水素発生装置。
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