JP3956789B2 - 炊飯器用鍋の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外層に電磁誘導加熱可能な発熱金属部を有する炊飯器用鍋の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、広く世間一般に市販されている電磁誘導加熱式炊飯器は、本体内部に備えられた加熱誘導コイルに高周波電流を流す時に生じる磁力線が鍋を構成するフェライト系ステンレス等の電磁誘導加熱可能な磁性金属に進入する際に、磁性金属に渦電流が生じ、この渦電流の電気抵抗として鍋が発熱し、この熱を米の調理に応用したものである。
【0003】
従来、この種の電磁誘導加熱式炊飯器用の鍋は、内面がフッ素樹脂塗装で覆われ、その下層に熱伝導が良好なアルミニウムを配し、そして、その外面、つまり、鍋の最外面にフェライト系ステンレス、鉄、パーマロイ等の磁性金属層を設け、この磁性金属層が電磁誘導加熱の発熱部となっている。この鍋の内面のフッ素樹脂塗装は、約400℃の高温で大気中で焼成焼付けを行っていた。
【0004】
また、本発明者らは、すでに電磁誘導加熱可能な発熱金属部に磁性金属層とその外層に非磁性金属層を1層以上設けた炊飯器用鍋を提案している(特開2001−145558号公報参照)が、この非磁性金属層の形成は、元の磁性金属層を有する積層金属板を鍋形状に加工した後、フッ素樹脂塗装を施し大気中で焼成焼付けを行い、さらに鍍金などの手段で形成していた。
【0005】
さらに、平板状で片面をエッチングした後、フッ素樹脂塗装を施し、大気中で焼成焼付けした後に鍋形状に加工する方法も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の構成と製造方法では、つぎのような問題があった。第1は、フッ素樹脂塗装の焼成焼付け温度は一般の塗装と比べて約400℃と高く、通常の大気中での焼成焼付けを行うと、鍋の外層の金属層が酸化して変色してしまい、実用的な鍋の外観としては使用に耐えないものとなってしまっていた。そのために、外面を研磨して酸化物層を取り除き、実用に耐えうる外面に仕上げをする必要があった。
【0007】
第2は、外層の金属層の酸化を防止して実用的な外観を得るため、予めフッ素樹脂塗装を施し焼成焼付けした鍋を作製し、その後に最外層を形成する金属層を酸化が起こらない低温で形成する必要があった。
【0008】
第3は、外層の金属層の酸化物を除去し実用的な外観にするために研磨を行うと、かなり厚く研磨して酸化物層を除去するため、外層の金属の厚さをコントロールすることが難しく、望む厚さに調整することが困難であった。
【0009】
第4は、外層の金属層の酸化物を塗装により隠蔽して仕上げたものでは、金属の持つ素材色を活かした意匠性を持つ外観の仕上げが不可能であった。
【0010】
第5は、平板状で片面をエッチングした後、フッ素樹脂塗装を施し大気中で焼成焼付けした後に鍋形状に加工する方法では、この後、平板状で鍍金して鍋形状に加工することは可能であるが、プレスなどで鍋形状に絞り加工する際に、鍋の内面側になるフッ素樹脂塗装に加工による大きな歪が生じて、フッ素樹脂塗装が剥がれたり、塗装の表面が白化したり、耐久性が低下したりする問題があった。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、電磁誘導加熱可能な発熱金属部を酸化変色させることなく加工した鍋を得て、良好な発熱ができるようにするとともに、金属素材色を生かした美しい外観を伴った炊飯器用鍋を得ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、外層に電磁誘導加熱可能な発熱金属部を有する鍋の内面に、少なくとも1層のフッ素樹脂塗装を施し、発熱金属部が大気中で酸化変色する温度以上の温度で、かつ窒素ガス叉は他の不活性ガスを用いて発熱金属部が酸化する酸素濃度よりも低い酸素濃度の雰囲気でフッ素樹脂塗装を焼成焼付けするようにした炊飯器用鍋の製造方法である。
【0013】
これにより、電磁誘導加熱可能な発熱金属部を酸化変色させることなく加工した鍋を得ることができ、良好な発熱ができるとともに、金属素材色を生かした美しい外観を伴った炊飯器用鍋を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、外層に電磁誘導加熱可能な発熱金属部を有する鍋の内面に、少なくとも1層のフッ素樹脂塗装を施し、前記発熱金属部が大気中で酸化変色する温度以上の温度で、かつ窒素ガス叉は他の不活性ガスを用いて前記発熱金属部が酸化する酸素濃度よりも低い酸素濃度の雰囲気でフッ素樹脂塗装を焼成焼付けするようにした炊飯器用鍋の製造方法であり、具体的にはステンレス、アルミニウム、銅、チタンまたは黄銅などの金属を外層とし、その金属が酸化変色しないように、窒素雰囲気や還元性を有する水素と窒素の混合ガス雰囲気などでフッ素樹脂塗装の焼成焼付けを行うものである。これらの金属はおおよそ120℃から200℃以上で焼成すると酸化変色を生じ、一般的なフッ素樹脂塗装の焼成焼付け温度である350〜420℃の加熱を大気雰囲気で行うとテンパーカラーとして茶色や青など様々な色に変色したり、黒色のぼろぼろの酸化皮膜ができて、鍋の外観としては全く実用に適さないものとなってしまうが、前述の低酸素雰囲気下で焼成焼付けするとそれぞれの金属そのままの外観の鍋を形成することができ、良好な発熱ができるとともに、金属素材色を生かした美しい外観を伴った炊飯器用鍋を得ることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、外層の電磁誘導加熱可能な発熱金属部と、内層の非発熱金属部とを予め平板状に積層し、プレスなどにより絞り加工して鍋形状に形成し、その後鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施し、さらに外面を塗装するようにした炊飯器用鍋の製造方法であり、発熱金属部の酸化を防ぐためにフッ素樹脂塗装後に発熱金属部を形成する工程は不要であり、より合理的に鍋を形成することができる。外面の塗装はクリアー塗装にすることにより、外層の発熱金属部の素材感を活かせる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、磁性金属層とその外層に磁性金属層よりも薄い非磁性金属層を1層以上設けた電磁誘導加熱可能な発熱金属部と、内層の非発熱金属部とを予め平板状に形成し、プレスなどにより絞り加工して鍋形状に形成し、その後鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施し、さらに外面を塗装するようにした炊飯器用鍋の製造方法であり、発熱金属部の酸化を防ぐためにフッ素樹脂塗装後に発熱金属部を形成する工程は不要であり、非磁性金属層を任意に選択することにより、外面をより意匠性のある金属の素材感を活かせる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、外層の非磁性金属層の厚みは鉄が有する表皮電気抵抗値と同一の表皮電気抵抗値が得られる厚みの0.1〜2.0倍とし、プレスなどによる絞り加工前後に研磨により厚みを減じて前記厚みに加工するようにした炊飯器用鍋の製造方法であり、鉄の表皮電気抵抗値は25kHzにおいて、9.4×10−4Ωである。今、25kHzの高周波電流で電磁誘導加熱式炊飯器を稼動させるとして、非磁性金属層がアルミニウムで、鉄が有する表皮電気抵抗値と同一の表皮電気抵抗値が得られる厚みは、t=28μm、銅ではt=18μm、チタンではt=586μmとなり、この領域付近でこれらの材料は鉄のような良好な電磁誘導加熱が得られる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、上記請求項3または4に記載の発明において、外層の非磁性金属層は鍍金によって形成するようにした炊飯器用鍋の製造方法であり、外層の非磁性金属層の選択の自由度を広げることができ、併せて表面を酸化させることなく加工できるので、より非磁性金属層の素材感をもたせた意匠性のある鍋を得ることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1〜5に記載の発明において、鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施した後、発熱金属部の外面に保護塗装を施すようにした炊飯器用鍋の製造方法であり、特に透明性の高い保護塗装を施すことにより、酸化を防止して作製した鍋の金属層の光沢ある素材感を長年にわたって維持できる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の製造方法の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施例1)
図3に示すように、炊飯器本体1は、上面が開口する略円筒上に形成しており、この炊飯器本体1の内部に鍋収納部である保護枠2を配設し、この保護枠2の内部に鍋3を着脱自在に収納している。保護枠2の外側に鍋3を加熱する電磁誘導加熱コイル4を配設している。加熱制御手段5は電磁誘導加熱コイル4への高周波電力の供給を制御するものである。冷却ファン6は加熱制御手段5を冷却するものであり、フェライト7は電磁誘導加熱コイル4の下方に設け、磁束が炊飯器本体1外へ放出するのを防止するようにしている。
【0022】
蓋体8は炊飯器本体1の上部に開閉自在に取り付けており、蓋体8の下部に加熱板9を配設し、蓋体8の上部表面に蒸気キャップ10を配設している。鍋底温度センサ11は鍋3の温度を検知するもので、鍋底温度センサ11の温度情報に基づいて、加熱制御手段5および操作部12により、炊飯および保温工程を制御している。
【0023】
つぎに、上記構成における鍋3の製造方法について説明する。
【0024】
図1に示すように、発熱金属部13は、鍋3の外層を構成し電磁誘導加熱可能なもので、厚さ0.8mmのフェライト系ステンレス鋼で形成している。非発熱金属部14は、鍋3の内層を構成し、厚さ1mmのアルミニウムで形成している。これら発熱金属部13と非発熱金属部14とを予め平板状に積層したクラッド材をプレスなどにより絞り加工し、図2に示すように、鍋体15を形成する。
【0025】
ここで、発熱金属部13として、フェライト系ステンレス鋼を用いたが、材料はこれに限定されるものではなく、電磁誘導加熱可能な材質であればいかなる材料でもよい。
【0026】
プレス成形の際に、鍋体15の外面に若干の肌荒れやしわが発生したので、羽布研磨を行い、仕上げた。なお、この研磨はフッ素樹脂塗装とその焼成焼付け後に実施しても同じ効果をもたせることができる。
【0027】
その後、鍋体15の内面に2層のフッ素樹脂塗装16を施す。下層はフッ素樹脂を主成分とし、密着性を高めるためにバインダー成分として耐熱性のあるポリアミドイミドを含み、さらに、黒色顔料とアルミニウムの箔からなる光輝材を含むプライマー層であり、上層はフッ素樹脂100%の粉体塗料を用いて形成している。
【0028】
下層の形成は、液体のフッ素樹脂塗料をスプレー塗装した後、比較的低温で金属が酸化変色しない120℃で乾燥を行い、さらに上層の形成は静電粉体塗装した後、酸素濃度が10ppmの窒素雰囲気下で鍋体15を昇温し、400℃で20分間焼成焼付けをした後、100℃まで降温し、その後、通常の大気雰囲気中に取り出した。このとき、外層のフェライト系ステンレス鋼の外面は酸化して茶色く変色することなく、フェライト系ステンレス鋼の本来の色で金属光沢を有していた。フッ素樹脂塗装の焼成焼付けの際、低酸素濃度の窒素雰囲気下で焼成焼付けしたため、フッ素樹脂塗装の下地となるアルミニウムの酸化も防止され、フッ素樹脂塗膜の密着性が向上するという効果も確認できた。
【0029】
(表1)は、本実施例と併せて、他の実施例と従来例を比較して外層の金属層(フェライト系ステンレス鋼)の酸化変色の有無をまとめたものである。
【0030】
【表1】
Figure 0003956789
【0031】
(表1)に示したのは、フッ素樹脂塗装を400℃で20分焼成焼付けした場合のものである。外層の金属がフェライト系ステンレスの場合は、大気雰囲気や酸素濃度が100または1000ppmの窒素雰囲気のときにテンパーカラーの茶色に変色し、実用的ではなかった。なお、本実施例では、窒素ガスを主に使用したが、他の不活性ガスや還元性のガスを用いて所定の低酸素濃度の雰囲気を用いて焼成焼付けを行っても同様の効果を得ることができる。
【0032】
さらに、外層の外面に保護塗装17として、透明なエポキシ樹脂を約20μm塗装し、フェライト系ステンレス鋼が変色しないよう大気中で170℃で20分の加熱を行い、エポキシ樹脂を硬化させて、炊飯器用の鍋3を得た。
【0033】
このようにして得られた炊飯器用の鍋3は、外観はェライト系ステンレス鋼の金属光沢を持つ非常に意匠性に優れたものとなり、内面はフッ素樹脂コートが施され、ご飯の粘着を防止できて手入れ性のよいものとなり、電磁誘導加熱性は磁性金属であるフェライト系ステンレス鋼の発熱が効率よく行われる優れた炊飯器用鍋となった。
【0034】
本実施例において、電磁誘導加熱コイル4には炊飯中に25kHzの高周波電流が流れるが、このとき、電磁誘導加熱コイル4より発生する磁力線は鍋3の発熱金属部13を構成するフェライト系ステンレス鋼を通過する際に渦電流を生じ、鍋3が発熱する仕組みであり、この熱によって炊飯工程が実行され、ご飯が炊き上がる。また、外面にクリアーな保護塗装17を施しているため、金属の傷つきを防止でき、炊飯中の温度による酸化変色も長年にわたって防止することができるものとなった。
【0035】
(実施例2)
図4に示すように、発熱金属部18は、鍋3の外層を構成し電磁誘導加熱可能なもので、中間層としての厚さ0.8mmのフェライト系ステンレス鋼(磁性金属層)19と、外層としての厚さ21μmの銅(非磁性金属層)20とで形成している。非発熱金属部21は、鍋3の内層を構成し、厚さ1mmのアルミニウムで形成している。これら発熱金属部18を構成するフェライト系ステンレス鋼19と銅20と、非発熱金属部21を構成するアルミニウムとを予め平板状に積層して形成したクラッド材をプレスなどにより絞り加工し、上記実施例1と同様に、鍋体を形成する。
【0036】
ここで、発熱金属部18の磁性金属層素材として、フェライト系ステンレス鋼を用いたが、材料はこれに限定されるものではなく、電磁誘導加熱可能な材質であればいかなる材料でもよい。
【0037】
プレス成形の際に鍋の外面に若干の肌荒れやしわが発生したので、羽布研磨を行い、仕上げ研磨として約1ミクロンの銅を除去して20ミクロンの銅になるように仕上げた。なお、この研磨はフッ素樹脂塗装とその焼成焼付け後に実施しても同じ効果をもたせることができる。
【0038】
その後、鍋体の内面に2層のフッ素樹脂塗装22を施す。下層はフッ素樹脂を主成分とし、密着性を高めるためにバインダー成分として耐熱性のあるポリアミドイミドを含み、さらに、黒色顔料とアルミニウムの箔からなる光輝材を含むプライマー層であり、上層はフッ素樹脂100%の粉体塗料を用いて形成している。
【0039】
下層の形成は、液体のフッ素樹脂塗料をスプレー塗装した後、比較的低温で金属が酸化変色しない120℃で乾燥を行い、さらに、上層の形成は静電粉体塗装した後、酸素濃度が10ppmの窒素雰囲気下で鍋体を昇温し、400℃で20分間焼成焼付けをした後、100℃まで降温し、その後通常の大気雰囲気中に取り出した。このとき、外面の銅は酸化して黒く変色することなく、銅本来の銅色で金属光沢を有していた。
【0040】
フッ素樹脂塗装の焼成焼付けの際、低酸素濃度の窒素雰囲気下で焼成焼付けしたため、フッ素樹脂塗装の下地となるアルミニウムの酸化も防止され、フッ素樹脂塗膜の密着性が向上するという効果も確認できた。
【0041】
(表2)は、本実施例と併せて、他の実施例と従来例を比較して外層の金属層(銅)の酸化変色の有無をまとめたものである。
【0042】
【表2】
Figure 0003956789
【0043】
(表2)に示したのは、フッ素樹脂塗装を400℃で20分焼成焼付けした場合のものである。外層の金属が銅の場合は、大気雰囲気や酸素濃度が1000ppmのときに酸化して黒く変色し実用的ではなかった。特に、大気中では黒くぼろぼろの酸化皮膜ができ、そのままでは鍋として使用できるものではなかった。
【0044】
なお、本実施例では、窒素ガスを主に使用したが、他の不活性ガスや還元性のガスを用いて所定の低酸素濃度の雰囲気を用いて焼成焼付けを行っても同様の効果を得ることができる。
【0045】
さらに、外層の銅20の外面に保護塗装23として、透明なエポキシ樹脂を約20μm塗装し、銅が変色しないよう大気中で170℃で20分の加熱を行い、エポキシ樹脂を硬化させて、炊飯器用の鍋を得た。
【0046】
このようにして得られた炊飯器用の鍋は、外観は銅の金属光沢を持つ非常に意匠性に優れたものとなり、内面はフッ素樹脂コートが施されてご飯の粘着を防止でき、手入れ性のよいものとなり、電磁誘導加熱性は磁性金属であるフェライト系ステンレスと非磁性金属である銅の両方の発熱が効率よく行われる優れた炊飯器用鍋となった。
【0047】
本実施例において、電磁誘導加熱コイルには炊飯中に25kHzの高周波電流が流れるが、このとき、電磁誘導加熱コイルより発生する磁力線は鍋の発熱金属部18を構成するフェライト系ステンレス鋼19を通過する際に渦電流を生じ、鍋3が発熱する仕組みであり、この熱によって炊飯工程が実行され、ご飯が炊き上がる。また、外面にクリアーな保護塗装23を施しているため、金属の傷つきを防止でき、炊飯中の温度による酸化変色も長年にわたって防止することができるものとなった。
【0048】
なお、本実施例では、発熱金属部18は、フェライト系ステンレス鋼(磁性金属層)19と銅(非磁性金属層)20とを平板状のクラッド材で構成しているが、非磁性金属層を鍍金によって形成してもよく、この場合は、外層の非磁性金属層の選択の自由度を広げることができ、併せて表面を酸化させることなく加工できるので、より非磁性金属層の素材感をもたせた意匠性のある鍋を得ることができる。
【0049】
(実施例3)
図4に示す銅(非磁性金属層)20の厚みは、鉄が有する表皮電気抵抗値と同一の表皮電気抵抗値が得られる厚みの0.1〜2.0倍とし、プレスなどによる絞り加工前後に研磨により厚みを減じて前述の厚みに加工するようにしている。他の製造方法は上記実施例2と同じである。
【0050】
これにより、発熱金属部を構成するフェライト系ステンレス鋼(磁性金属層)19の発熱と銅(非磁性金属層)20の発熱の両方の発熱を利用することができ、かつ加工による表面の凹凸をさらに軽い仕上げ研磨により平滑にして高級感をもつ金属素材面とし、発熱性と金属の素材感を併せ持つ合理的な炊飯器用鍋を得ることができる。
【0051】
鉄の表皮電気抵抗値と同一の値を得るための非磁性金属層の厚みtは以下の計算式により導き出せる。
【0052】
t=非磁性金属層のδ×非磁性金属層のRs/鉄のRs
ただし、δは表皮深さ、Rsは表皮電気抵抗値であり、δとRsは以下の式で表わされる。
【0053】
δ=5.03×103×(ρ/μ/f)1/2
Rs=ρ/δ=1.99×10−4×(μ×ρ×f)1/2
ただし、ρはその材料の固有抵抗値、μは透磁率、fは周波数である。
上式より計算すると、鉄の表皮電気抵抗値は25kHzにおいて9.4×10−4Ωである。
【0054】
今、25kHzの高周波電流で電磁誘導加熱式炊飯器を稼動させるとして、上式にアルミニウムを当てはめると、t=28μm、銅ではt=18μm、チタンではt=586μmとなり、この領域付近でこれらの材料は鉄のような良好な電磁誘導加熱が得られる。
【0055】
そこで、使用する周波数帯を考慮し、鉄の表皮電気抵抗値と同一の値を得るために必要な非磁性金属層の厚みを算出し、その厚みの0.1〜2倍の厚みとなる非磁性金属層を磁性金属層の外面に配し、磁性金属層とその外層の非磁性金属層の両者の発熱を利用することができ、併せて外観上も非磁性金属層の金属色を利用することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、外層に電磁誘導加熱可能な発熱金属部を有する鍋の内面に、少なくとも1層のフッ素樹脂塗装を施し、前記発熱金属部が大気中で酸化変色する温度以上の温度で、かつ窒素ガス叉は他の不活性ガスを用いて前記発熱金属部が酸化する酸素濃度よりも低い酸素濃度の雰囲気でフッ素樹脂塗装を焼成焼付けするようにした炊飯器用鍋の製造方法であるから、外層の発熱金属部の金属そのままの外観の鍋を形成することができ、良好な発熱ができるとともに、金属素材色を生かした美しい外観を伴った炊飯器用鍋を得ることができる。
【0057】
また、請求項2に記載の発明によれば、外層の電磁誘導加熱可能な発熱金属部と、内層の非発熱金属部とを予め平板状に積層し、プレスなどにより絞り加工して鍋形状に形成し、その後鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施し、さらに外面を塗装するようにした炊飯器用鍋の製造方法であるから、発熱金属部の酸化を防ぐためにフッ素樹脂塗装後に発熱金属部を形成する工程は不要であり、より合理的に鍋を形成することができる。外面の塗装はクリアー塗装にすることにより、外層の発熱金属部の素材感を活かせる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0058】
また、請求項3に記載の発明によれば、磁性金属層とその外層に磁性金属層よりも薄い非磁性金属層を1層以上設けた電磁誘導加熱可能な発熱金属部と、内層の非発熱金属部とを予め平板状に形成し、プレスなどにより絞り加工して鍋形状に形成し、その後鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施し、さらに外面を塗装するようにした炊飯器用鍋の製造方法であるから、発熱金属部の酸化を防ぐためにフッ素樹脂塗装後に発熱金属部を形成する工程は不要であり、非磁性金属層を任意に選択することにより、外面をより意匠性のある金属の素材感を活かせる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0059】
また、請求項4に記載の発明によれば、外層の非磁性金属層の厚みは鉄が有する表皮電気抵抗値と同一の表皮電気抵抗値が得られる厚みの0.1〜2.0倍とし、プレスなどによる絞り加工前後に研磨により厚みを減じて前記厚みに加工するようにした炊飯器用鍋の製造方法であるから、磁性金属層とその外層の非磁性金属層の両者の発熱を利用することができ、併せて外観上も非磁性金属層の金属色を利用できる炊飯器用鍋を得ることができる。
【0060】
また、請求項5に記載の発明によれば、外層の非磁性金属層は鍍金によって形成するようにした炊飯器用鍋の製造方法であるから、外層の非磁性金属層の選択の自由度を広げることができ、併せて表面を酸化させることなく加工できるので、より非磁性金属層の素材感をもたせた意匠性のある鍋を得ることができる。
【0061】
また、請求項6に記載の発明によれば、鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施した後、発熱金属部の外面に保護塗装を施すようにした炊飯器用鍋の製造方法であるから、特に透明性の高い保護塗装を施すことにより、酸化を防止して作製した鍋の金属層の光沢ある素材感を長年にわたって維持できる炊飯器用鍋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の炊飯器用鍋の製造方法により製造した鍋の要部断面図
【図2】 同炊飯器用鍋の製造方法により絞り加工した鍋体の断面図
【図3】 同炊飯器用鍋を備えた炊飯器の断面図
【図4】 本発明の第2の実施例の炊飯器用鍋の製造方法により製造した鍋の要部断面図
【符号の説明】
3 鍋
13 発熱金属部
16 フッ素樹脂塗装

Claims (6)

  1. 外層に電磁誘導加熱可能な発熱金属部を有する鍋の内面に、少なくとも1層のフッ素樹脂塗装を施し、前記発熱金属部が大気中で酸化変色する温度以上の温度で、かつ窒素ガス叉は他の不活性ガスを用いて前記発熱金属部が酸化する酸素濃度よりも低い酸素濃度の雰囲気でフッ素樹脂塗装を焼成焼付けするようにした炊飯器用鍋の製造方法。
  2. 外層の電磁誘導加熱可能な発熱金属部と、内層の非発熱金属部とを予め平板状に積層し、プレスなどにより絞り加工して鍋形状に形成し、その後鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施し、さらに外面を塗装するようにした請求項1記載の炊飯器用鍋の製造方法。
  3. 磁性金属層とその外層に磁性金属層よりも薄い非磁性金属層を1層以上設けた電磁誘導加熱可能な発熱金属部と、内層の非発熱金属部とを予め平板状に形成し、プレスなどにより絞り加工して鍋形状に形成し、その後鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施し、さらに外面を塗装するようにした請求項1記載の炊飯器用鍋の製造方法。
  4. 外層の非磁性金属層の厚みは鉄が有する表皮電気抵抗値と同一の表皮電気抵抗値が得られる厚みの0.1〜2.0倍とし、プレスなどによる絞り加工前後に研磨により厚みを減じて前記厚みに加工するようにした請求項3記載の炊飯器用鍋の製造方法。
  5. 外層の非磁性金属層は鍍金によって形成するようにした請求項3または4記載の炊飯器用鍋の製造方法。
  6. 鍋の内面にフッ素樹脂塗装を施した後、発熱金属部の外面に保護塗装を施すようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器用鍋の製造方法。
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