JP3956129B2 - トレイロック装置及び記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器本体に対して抜き差し可能なトレイの抜き出しをロックするトレイロック装置及びこのトレイロック装置を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば従来の記録装置は、箱状の装置本体の上面に開閉可能な原稿カバーが配設され、装置本体の側面に抜き差し可能な記録紙カセット(トレイ)及びこの記録紙カセットの抜き出し規制機構を規制解除するレバーが配設されている。このような構成の記録装置を使用して原稿をコピーする場合、レバーを操作して記録紙カセットの抜き出し規制機構を規制解除した後、記録紙カセットを装置本体から抜き出す。続いて、記録紙を記録紙カセット内に収納し、記録紙が収納された記録紙カセットを装置本体へ差し込む。そして、原稿カバーを開いて原稿を原稿読み取り面上に載置し、原稿カバーを閉じてコピーボタンを押す。これにより、原稿が読み取られて記録紙に記録され、記録済みの記録紙が装置本体外へ排出される(特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平5−268399号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した記録装置におけるレバーは、記録装置の作動状態に関わらず常に操作可能であるため、例えば記録中にレバーを操作して記録紙カセットの抜き出し規制機構を規制解除して、記録紙カセットを装置本体から抜き出した場合、搬送中の記録紙の後端が記録紙カセットに引っ掛かり、最悪はジャムが発生するおそれがある。
【0004】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、機器の動作中は機器本体からのトレイの抜き出しを確実に防止することができるトレイロック装置及びこのトレイロック装置を備えた記録装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明に係る記録装置では、記録媒体を収納する機器本体に対して抜き差し可能なトレイと、当該トレイの抜き出しをロックするトレイロック装置と、前記トレイ内に収納された記録媒体を搬送する搬送部と、前記記録媒体に記録ヘッドにて記録する記録部とを備えた記録装置であって、前記トレイロック装置は、手動で動作する第1のロック手段と、前記記録部の駆動・停止状態に従って動作する第2のロック手段とを有し、当該第2のロック手段は、前記記録部が停止状態であるときは、前記トレイの抜き出しをロックしていない非ロック状態と、前記記録部が駆動状態であるときは、前記トレイの抜き出しをロックするロック状態とを切り換えることを特徴としている。これにより、機器本体からのトレイの抜き出しは第1のロック手段及び第2のロック手段という2つのロック手段で規制されることになるので、例えば機器の動作中は第1のロック手段をロック解除しても第2のロック手段はロックされた状態が維持されるように設定し、トレイが機器本体から不用意に抜き出されないようにすることができる。また、例えば機器が記録装置である場合、記録中にはトレイを装置本体から抜き出すことができないので、搬送中の記録媒体とトレイとの干渉を防止することができる。そして、上記各作用効果を奏する記録装置を提供することができる。
【0006】
また、本発明に係る記録装置では、前記第2のロック手段は、前記記録ヘッドを封止するキャップを上下動させるキャップ駆動カムの回転に連動して前記ロック状態と前記非ロック状態を切り換えることを特徴としている。これにより、記録ヘッドによる記録中は、キャップが開状態となり、第2のロック手段によってトレイの抜き出しがロックされるため、トレイが記録中に抜き出されることを防止することができる。
【0007】
また、本発明に係る記録装置では、前記第1のロック手段は、前記トレイを前記機器本体から抜き出す際のトリガーボタンの操作と連動してロック解除することを特徴としている。これにより、トリガーボタンを1回押すのみでトレイのロック解除と抜き出しを行うことができ、トレイロック装置の操作性を高めることができる。
【0008】
また、本発明に係る記録装置では、そして、少なくとも前記トレイの着脱が同一の装置側面側にて実行可能なことを特徴としている。これにより、上記各作用効果を奏する前面操作型の記録装置を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を斜め前方から見た斜視図である。このインクジェット式プリンタ100は、上方から見たときに凸形状をした扁平な略直方体の形状をしており、一側面(以下、前面という)側から全ての操作を行うことが可能なように構成されている。したがって、装置上面には可動部や操作部等が無く、装置上面は平坦に形成されているので、装置上面に周辺機器等を載置することが可能となっている。
【0011】
また、上記前面側に対する背面側の両端もしくは一端の切り欠き部には、各種のケーブルコネクタを配設することが可能なように構成されている。このケーブルコネクタとしては、例えばAC100Vの電源コネクタ、USBポート、パラレル(RS232C)ポート等があり、電源コネクタには電源ケーブルコネクタが、USBポートにはUSBケーブルコネクタが、パラレルポートにはパラレルケーブルコネクタがそれぞれ接続される。このとき、切り欠き部は、各ケーブルコネクタが背面から飛び出ないような大きさに切り欠かれているので、インクジェット式プリンタ100を切り欠き部が無い矩形状の面積とほぼ同等のスペースに設置することができる。
【0012】
さらに、このインクジェット式プリンタ100の前面から切り欠き部の背面までの距離が、切り欠き部の無い直方体状のプリンタの場合の前面から背面までの距離に比べて短くなるので、1枚の基板に前面側のインターフェース部品と背面側のインターフェース部品を実装する場合に、基板の奥行き寸法を小さくすることができ、部品の実装効率を向上させることができると共に、コストダウンを図ることができる。
【0013】
このインクジェット式プリンタ100の後述する図4等に示す用紙搬送部140や記録部150等は、前面側が開放された筐体101及びこの筐体101の前面側にはめ込まれた前枠102により覆われている。筐体101は、例えば金属板の板金加工により、あるいはプラスチックの射出成形により形成され、前枠102は、例えばプラスチックの射出成形により形成されている。筐体101は、例えば底板と上蓋に分割可能に形成されており、底板と上蓋は、ネジ止めもしくはスナップフィット等により締結されるようになっている。前枠102は、筐体101に対してネジ止めもしくはスナップフィット等により締結されるようになっている。
【0014】
前枠102の略中央部には、図示矢印aで示す主走査方向(記録ヘッド153の走査方向)を回動軸として図示矢印bで示す方向に開閉自在な排紙される記録用紙を受けるためのスタッカ110が配設され、このスタッカ110の下部には、図示矢印cで示す副走査方向(記録用紙の搬送方向)に抜き差し自在な給紙する記録用紙を収納するためのトレイ120が配設されている。
【0015】
スタッカ110は、図1に示すように、前枠102に対して閉じているときは格納状態であり、図2に示すように、前枠102に対して開いているときは記録完了後に排紙される記録用紙を受けて載置が可能なように構成されている。トレイ120は、図1に示すように、前枠102に対して後方の筐体101内に収納された状態にて記録用紙の供給が可能であり、図3に示すように、前枠102に対して前方へ引き出された状態にて記録用紙の補充や交換が可能なように構成されている。この記録用紙としては、普通紙、専用紙、推奨OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ラベルシート、官製葉書等が利用できる。
【0016】
図2は、上記スタッカ110を開にして記録用紙が受けられるようにした状態を示す斜視図である。このスタッカ110は、3段構成となっており、下部両端が前枠102に回動可能なように取り付けられた基台111と、この基台111に対し出し入れ自在に収納された第1の受け台112と、この第1の受け台112に対し出し入れ自在に収納された第2の受け台113を備えている。
【0017】
基台111の両側面の下部には、回動軸となる突起が形成され、基台111の両側面に対向する前枠102の面の下部には、上記突起が回動可能に填め込まれる孔が形成されている。基台111に形成されている突起が前枠102に形成されている孔内にそれぞれ差し込まれることにより、基台111は前枠102に対して略垂直状態から略水平状態までの間を回動し、排紙口を開閉するようになっている。
【0018】
また、基台111の一側面に対向する前枠102の面の上部から内部にかけて、基台111の回動止めとなるロック機構が取り付けられ、基台111の一側面の上部には、上記ロック機構を構成するボールが填め込まれる凹部が形成されている。このロック機構は、ボールが前枠102の面から突き出るように取り付けられ、前枠102の面に対して内部で垂直方向にスライド可能なボールプランジャと、このボールプランジャを前枠102の面方向に垂直に付勢する圧縮コイルバネを備えている。
【0019】
これにより、基台111が開状態のときは、ボールプランジャは圧縮コイルバネにより付勢されて、ボールが前枠102の面から突き出ている。一方、基台111が閉じられてきて基台111の一側面の縁部がボールに対し接触・押圧すると、ボールプランジャがボールとともに前枠102の面から内部にスライドする。そして、基台111が完全に閉じられると、ボールプランジャは圧縮コイルバネにより付勢されて、ボールが前枠102の面から突き出て凹部に填り込み、基台111の閉状態をロックする。
【0020】
基台111は、前方に引き出された状態の第1の受け台112の後端部を保持し、第1の受け台112は、前方に引き出された状態の第2の受け台113の後端部を保持している。第1及び第2の受け台112、113が引き出された状態のスタッカ110は、例えばA4サイズの大きさの記録用紙より若干大きく作製されている。
【0021】
基台111と第1の受け台112の収納口の両端部には、ガイドとなる突起が設けられ、第1の受け台112と第2の受け台113の両側面には、上記各突起が填め込まれるガイド溝が設けられている。これにより、上記各突起がガイド溝内にてスライドするので、第1の受け台112の基台111に対する出し入れ及び第2の受け台113の第1の受け台112に対する出し入れをスムーズに行うことができる。さらに、上記各突起が収納口にてガイド溝壁に係止されるので、第1の受け台112の基台111に対する引き抜けや、第2の受け台113の第1の受け台112に対する引き抜けを防止することができる。
【0022】
図3は、上記トレイ120を引き出して記録用紙が収納可能なようにした状態を示す斜視図である。このトレイ120は、記録前の記録用紙を積層収納する本体121と、積層収納した記録用紙を1枚ずつ供給するために記録用紙の前部を斜め上方に持ち上げるホッパ122を有している。
【0023】
本体121は、例えばA4サイズの大きさの記録用紙より若干大きく作製されており、記録用紙を内部に配設されている記録用紙の幅方向の位置決め用部材121a及び図示しない長さ方向の位置決め用部材により所定位置に位置決めして積層収納するようになっている。各位置決め用部材は、幅や長さを段階的に調整可能なスライダ及びストッパを備えており、ストッパを外してスライダをスライドさせ、スライダを本体121内に収納された記録用紙の側面に当接させてストッパを掛けることにより、記録用紙を位置決めするようになっている。
【0024】
本体121は、前枠102から飛び出ずに面一となるように筐体101内に収納されるため引き出しが困難となるおそれがあるが、前面の下部内側にユーザが指を掛けることができる凹部が形成されており、これによりトレイ120の引き出しを容易に行うことができるようになっている。さらに、本体121の側面をガイドするガイドレールが筐体102内に配設されており、これによりトレイ120の出し入れをスムーズに行うことができるようになっている。
【0025】
ここで、上述したようにトレイ120はインクジェット式プリンタ100の前面側で抜き差しされるため、後述する用紙搬送部140はトレイ120の上方に配設されている。したがって、トレイ120から用紙搬送部140へ記録用紙を供給するには、トレイ120内の記録用紙を一旦持ち上げる必要があり、またトレイ120を抜き差しする際に記録用紙が用紙搬送部140と干渉しないようにするには、トレイ120内の記録用紙を一旦下げる必要があり、このためにホッパ122が配設されている。
【0026】
ホッパ122は、本体121内の前部に配設された用紙支持部122a及びこの用紙支持部122aと一体形成された脚部122bを有しており、脚部122bと本体121の内底面に係止されている付勢部材122cにより、脚部122bの端部を中心に旋回する用紙支持部122aにより記録用紙の前部を斜め上方に持ち上げ、また持ち上げた記録用紙の前部を下げるようになっている。
【0027】
図4は、前枠102、スタッカ110及びトレイ120を取り外した状態を示す斜視図、図5は、筐体101、前枠102及びスタッカ110を取り外した状態を示す斜視図、図6は、その平面図、図7は、その側面図である。トレイ120の上部には用紙搬送部140が配設され、この用紙搬送部140の上方には記録部150が配設されている。
【0028】
用紙搬送部140は、記録用紙を筐体101内に収納されているトレイ120から前面側に引き出されているスタッカ110まで搬送する機能を有しており、後面側から前面側にかけて以下の部材が順に配設されている。すなわち、トレイ120の上部に配設されている第1紙案内141(図5〜7参照)、上下に対向配置されている給紙ローラ142(図5〜7参照)とパッド143a(図7参照)を有するパッドホルダ143(図7参照)が配設されている。
【0029】
さらに、パッドホルダ143を支持する第2紙案内144(図7参照)、上下に対向配置されている従動ローラ145(図5〜7参照)と紙送りローラ146(図5〜7参照)、記録部150の下部に配設されている第3紙案内147(図5〜7参照)、上下に対向配置されている排紙ギザローラ148(図5〜7参照)と排紙ローラ149(図5、7参照)が配設されている。
【0030】
給紙ローラ142は、ホッパ122により持ち上げられた記録用紙のうち最上層の記録用紙の前部に接触して摩擦により引き込むようになっている。パッドホルダ143に取り付けられているパッド143aは、給紙ローラ142により引き込まれた記録用紙が複数枚あるとき、最上層の記録用紙のみが搬送されるように最上層の記録用紙とそれより下層の記録用紙とを分離して、下層の記録用紙をトレイ120内に戻すようになっている。
【0031】
従動ローラ145と紙送りローラ146は、給紙ローラ142から搬送されてくる記録用紙を挟持して送り出すようになっている。排紙ギザローラ148と排紙ローラ149は、従動ローラ145と紙送りローラ146から搬送されてくる記録用紙を挟持して送り出すようになっている。そして、各紙案内141、144、147は、一部に凸部が形成された平坦な面を有しており、凸部により搬送中の記録用紙面を支持して記録用紙を平坦な状態に維持するようになっている。
【0032】
記録部150は、主走査方向に移動可能なキャリッジ151(図5〜7参照)、キャリッジ151に対して前後方向に脱着可能に取り付けられたインクカートリッジ152(図5〜7参照)、キャリッジ151に搭載された記録ヘッド153(図7参照)、キャリッジ151の移動を案内するガイド軸154(図5〜7参照)、記録ヘッド153と制御部160の専用コントローラボード等を電気的に接続するフレキシブル配線板155(図5、6参照)等を備えている。
【0033】
キャリッジ151は、インクジェット式プリンタ100が非記録状態であるオフ状態もしくはスタンバイ状態のときは図4〜6に示す待機位置(ホームポジション)に位置しており、記録状態のときはホームポジションを離脱して搬送されてくる記録用紙の両端部間を往復移動するようになっている。インクカートリッジ152は、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの計4色のタンクを備えており、フルカラー記録が可能なように構成されている。
【0034】
記録ヘッド153は、インクカートリッジ152の上記各色毎のタンクに繋がる複数の圧力発生室とそれらに繋がるノズルを備えており、例えば圧電素子や発熱素子等により圧力発生室内の圧力を変動させて、圧力発生室内に貯留されているインクをノズルから吐出させるようになっている。なお、記録ヘッド153は、ホームポジションに位置しているときは、インク乾燥等によるノズルの目詰まり等を防止するために、キャッピング装置により封止されている。
【0035】
ガイド軸154は、例えば軸受を介して取り付けられているキャリッジ151が摺動可能なように配設されている。フレキシブル配線板155は、キャリッジ151の往復移動の際に、キャリッジ151等と干渉せず、かつ折り曲げられないように、主走査方向に湾曲させて配設されている。
【0036】
そして、図5、6に示すように、用紙搬送部140を駆動する搬送駆動部170として駆動モータ171及びギア機構172が、用紙搬送部140の一側面側に配設され、記録部150の記録駆動部180として駆動モータ181及びベルト機構182が、記録部150の後方側に配設されている。
【0037】
駆動モータ171としては、例えばステッピングモータが使用されるが、DCモータを使用してもよい。ギア機構172としては、通常のギア輪列が使用されるが、ベルト機構を併用してもよい。なお、このギア機構172の途中には、記録用紙の搬送位置を検出するためのエンコーダが配設されている。
【0038】
また、駆動モータ181としては、例えばDCモータが使用されるが、ステッピングモータを使用してもよい。ベルト機構182としては、歯付きベルトと歯付きプーリが高精度であるため望ましいが、平ベルトとプーリでもよい。なお、このベルト機構182のベルトと平行して、キャリッジ151の移動位置を検出するためのリニアエンコーダが配設されている。
【0039】
図8及び図9は、本発明の実施形態であるトレイロック装置のロック状態及びロック解除状態を示す斜視図である。このトレイロック装置200は、上記トレイ120の筐体101からの抜き出しをロックする機能を有しており、主ロック210と副ロック220を備えている。主ロック210は、手動で動作し、副ロック220は、インクジェット式プリンタ100の駆動・停止状態に従って動作する。
【0040】
主ロック210は、図8に示すように、略L字状を形成するように一体化された係止部211と軸部212を備えている。係止部211は、楔形状に形成されている。軸部212は、トレイ120を筐体101から抜き出す際のトリガーとなる取出ボタン103が押されたとき、軸回転して係止部211が旋回するように、軸端部に取出ボタン103に形成されているギア103aと噛み合うギア212aが形成されている。
【0041】
これにより、図8に示すように、係止部211は、トレイ120が筐体101内に差し込まれると、トレイ120の側壁に沿って持ち上げられ、トレイ120の側壁に設けられている主ロック溝123に入り込み、主ロック溝123の側面と当接してトレイ120の筐体101からの抜き出しをロックするようになっている。一方、図9に示すように、係止部211は、取出ボタン103が押されると、軸部212が回転して主ロック溝123から離間し、トレイ120の筐体101からの抜き出しのロックを解除するようになっている。
【0042】
副ロック220は、図8に示すように、略Z字状を形成するように一体化された係止部221と軸部222を備えている。係止部221は、直方体状に形成されている。軸部222は、記録ヘッド153の封止用のキャップ157を上下動するキャップ駆動カム158が回転したとき、係止部221とともに直線移動するように、軸端部にキャップ駆動カム158に取り付けられているギア158aと噛み合うギア222aが形成されている。
【0043】
これにより、図8に示すように、係止部221は、キャップ駆動カム158が回転してキャップ157が開状態、すなわち記録ヘッド153による記録中は、トレイ120の側壁に設けられている副ロック溝124に入り込み、副ロック溝124の側面と当接してトレイ120の筐体101からの抜き出しをロックするようになっている。一方、図9に示すように、係止部221は、キャップ駆動カム158が回転してキャップ157が閉状態、すなわち記録ヘッド153が待機中(非記録中あるいは停止中)は、軸部222とともに直線移動して副ロック溝124から離間し、トレイ120の筐体101からの抜き出しのロックを解除するようになっている。
【0044】
このような構成において、図10に示すように、記録ヘッド153による記録中は、トレイ120は筐体101内に差し込まれているので、主ロック210の係止部211は主ロック溝123に入り込み、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロックされている。さらに、キャップ駆動カム158が回転してキャップ157は開状態であるため、副ロック220の係止部221も副ロック溝124に入り込み、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロックされている。
【0045】
ここで、図11に示すように、記録中に取出ボタン103が押された場合、主ロック210の軸部212が回転するので、係止部211は主ロック溝123から離間し、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロック解除される。ところが、記録中であるため、キャップ157は開状態であり、副ロック220の係止部221は副ロック溝124に入り込んだままであるので、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロックされた状態が維持されることになる。
【0046】
また、図12に示すように、記録ヘッド153が待機中(非記録中あるいは停止中)は、トレイ120は筐体101内に差し込まれているので、主ロック210の係止部211は主ロック溝123に入り込み、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロックされている。一方、キャップ駆動カム158が回転してキャップ157は閉状態であるため、副ロック220の係止部221は副ロック溝124から離間し、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロック解除されている。
【0047】
したがって、図13に示すように、待機中(非記録中あるいは停止中)に取出ボタン103が押された場合、主ロック210の軸部212が回転するので、係止部211は主ロック溝123から離間し、トレイ120の筐体101からの抜き出しはロック解除され、トレイ120は筐体101から抜き出されることになる。
【0048】
以上のように、トレイ120の抜き出しは主ロック210と副ロック220という2つのロックで規制されることになるので、記録中にはトレイ120が筐体101から不用意に抜き出されないようにすることができ、搬送中の記録用紙とトレイ120との干渉やジャム等を防止することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、記録中に取出ボタン103を押したとき主ロック210は一旦ロック解除され、取出ボタン103を離したとき主ロック210は再びロックされるように構成したが、記録中に取出ボタン103を押してから離しても、主ロック210は記録終了後に副ロック220がロック解除されるまでロック解除された状態で待機するように構成してもよい。また、取出ボタン103の操作によりオンとなる記録中止スイッチを配設しておき、記録中に取出ボタン103を押したときは直に主ロック210及び副ロック220がロック解除されように構成してもよい。また、上述した実施形態では、副ロック220はギアにより機械的に駆動するようにしたが、ソレノイドプランジャにより電気的に駆動するように構成してもよい。
【0050】
以上のような構成のインクジェット式プリンタ100において、その動作の概略を説明する。なお、インクジェット式プリンタ100とテレビジョン・システムやコンピュータ等との接続配線や電源プラグの接続は既に完了しているものとする。先ず、ユーザは、図1に示す状態で指で取出ボタン103を押した後、指をトレイ120の底面に設けられている凹部に掛けて引っ張ることにより、図2に示すようにトレイ120を前方へ引き出す。
【0051】
続いて、トレイ120の本体111内の所定位置に複数枚の記録用紙を積層した状態で収納した後、トレイ120を後方へ押し込んでセットする。このとき、記録用紙の前部はホッパ112により斜め上方に持ち上げられ、最上部の記録用紙の前部先端が給紙ローラ142に接触する。次に、ユーザは、指をスタッカ110の上部に掛けて引っ張ることにより、図3に示すようにスタッカ110を前方へ引き出す。そして、インクジェット式プリンタ100をスタンバイ状態にし、テレビジョン・システムやコンピュータ等から記録指令を入力する。
【0052】
すると、図7に示すように、トレイ120内の最上部の1枚の記録用紙Pは、第1紙案内141と第2紙案内144に案内されつつ、給紙ローラ142の回転により副走査方向である前方へ引き出されて給紙ローラ142とパッド143aとの間に挟持されて更に前方へ送り出される。このとき、記録用紙Pがトレイ120内の最上部の1枚のみでなく複数枚あるときは、最上部の記録用紙Pとそれより下部の記録用紙Pとがパッド143aにより分離され、最上部の記録用紙Pのみが給紙ローラ142とパッド143aとの間に挟持されて更に前方へ送り出され、下部の記録用紙Pはトレイ120内に戻される。
【0053】
そして、最上部の記録用紙Pは、従動ローラ145と紙送りローラ146との間に挟持されて更に前方へ送り出される。その記録用紙Pが第3紙案内147に達すると、キャリッジ151の主走査方向への移動が開始される。すなわち、待機位置(ホームポジション)に位置してしたキャリッジ151は、ホームポジションを離脱して搬送されてくる記録用紙Pの両端部間を往復移動する。そして、記録ヘッド153は、副走査方向に搬送されつつある記録用紙Pに対し例えば圧電素子により圧力発生室内の圧力を変動させて、圧力発生室内に貯留されているインクをノズルから吐出して、記録用紙P上に所定の記録情報を記録する。
【0054】
このときの記録ヘッド153の走査タイミングやインク吐出タイミングは、制御部160の専用コントローラボード等により制御され、高精度なインクドット制御、ハーフトーン処理等が実行されるようになっている。そして、その記録用紙Pは、排紙ギザローラ148と排紙ローラ149との間に挟持されて更に前方へ送り出され、最終的に記録が完了した記録用紙Pはスタッカ110上に排紙される。
【0055】
以上のように、このインクジェット式プリンタ100によれば、記録前の記録用紙Pのセッティングから記録後の記録用紙Pの取り出し、さらにはインクカートリッジ152の交換等にいたるまで前面側で全て処理することができるので、操作が迅速かつ容易となり、記録効率を向上させることができると共に、プリンタ上部への周辺機器の設置が可能となり、作業空間を有効利用することができる。
【0056】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は以上の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるのは勿論である。例えば、記録装置としてプリンタを例に説明したが、これに限られるものではなく、例えばファクシミリ装置やコピー装置等の記録装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】 図1のインクジェット式プリンタのスタッカを開にして記録用紙が受けられるようにした状態を示す斜視図である。
【図3】 図1のインクジェット式プリンタのトレイを引き出して記録用紙が収納可能なようにした状態を示す斜視図である。
【図4】 図1のインクジェット式プリンタの前枠、スタッカ及びトレイを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】 図1のインクジェット式プリンタの筐体、前枠及びスタッカを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】 図5のインクジェット式プリンタの平面図である。
【図7】 図5のインクジェット式プリンタの側面図である。
【図8】 本発明の実施形態であるトレイロック装置のロック状態を示す斜視図である。
【図9】 図8のトレイロック装置のロック解除状態を示す斜視図である。
【図10】 記録中における図8のトレイロック装置の状態を示す第1の斜視図である。
【図11】 記録中における図8のトレイロック装置の状態を示す第2の斜視図である。
【図12】 非記録中における図8のトレイロック装置の状態を示す第1の斜視図である。
【図13】 非記録中における図8のトレイロック装置の状態を示す第2の斜視図である。
【符号の説明】
100 インクジェット式プリンタ、101 筐体、102 前枠、103 取出ボタン、110 スタッカ、111 基台、112 第1の受け台、113第2の受け台、120 トレイ、121 本体、122 ホッパ、123 主ロック溝、124 副ロック溝、140 用紙搬送部、141 第1紙案内、142 給紙ローラ、143 パッドホルダ、144 第2紙案内、145 従動ローラ、146 紙送りローラ、147 第3紙案内、148 排紙ギザローラ、149 排紙ローラ、150 記録部、151 キャリッジ、152 インクカートリッジ、153 記録ヘッド、154 ガイド軸、155 フレキシブル配線板、157 キャップ、158 キャップ駆動カム、160 制御部、170 搬送駆動部、171 駆動モータ、172 ギア機構、180 記録駆動部、181 駆動モータ、182 ベルト機構、200 トレイロック装置、210 主ロック、211、221 係止部、212、222 軸部、220 副ロック
Claims (4)
- 記録媒体を収納する機器本体に対して抜き差し可能なトレイと、
当該トレイの抜き出しをロックするトレイロック装置と、
前記トレイ内に収納された記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録媒体に記録ヘッドにて記録する記録部とを備えた記録装置であって、
前記トレイロック装置は、
手動で動作する第1のロック手段と、
前記記録部の駆動・停止状態に従って動作する第2のロック手段とを有し、
当該第2のロック手段は、
前記記録部が停止状態であるときは、前記トレイの抜き出しをロックしていない非ロック状態と、
前記記録部が駆動状態であるときは、前記トレイの抜き出しをロックするロック状態とを切り換えることを特徴とする記録装置。 - 前記第2のロック手段は、前記記録ヘッドを封止するキャップを上下動させるキャップ駆動カムの回転に連動して前記ロック状態と前記非ロック状態を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記第1のロック手段は、前記トレイを前記機器本体から抜き出す際のトリガーボタンの操作と連動してロック解除することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 少なくとも前記トレイの着脱が同一の装置側面側にて実行可能なことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の記録装置。
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