JP3954782B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等により形成される静電潜像を現像剤により現像する画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法等のように、静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て感光体上に静電荷像を形成し、トナー粒子を含有する現像剤を用いて前記静電荷像を現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電荷像が可視化される。
【0003】
ところで、前記現像剤には、トナー粒子及びキャリア粒子を含有してなる2成分系現像剤と、磁性トナー粒子又は非磁性トナー粒子を含有してなる1成分系現像剤とが知られている。前記現像剤におけるトナー粒子は、通常、混練粉砕法により製造される。この混練粉砕法は、熱可塑性樹脂等を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤等と共に溶融混練し、冷却後にこの溶融混練物を微粉砕し、これを分級して所望のトナー粒子を製造する方法である。なお、前記混練粉砕法により製造されたトナー粒子には、流動性やクリーニング性等を改善する目的で、さらに必要に応じてその表面にさらに無機及び/又は有機の微粒子が添加されたりする。
【0004】
前記混練粉砕製法により製造されるトナー粒子の場合、通常、その形状は不定型であり、その表面組成は均一でない。使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により、トナー粒子の形状や表面組成は微妙に変化するものの、意図的にこれらを所望の程度に制御することは困難である。また、特に粉砕性の高い材料を用いて前記混練粉砕法により製造されたトナー粒子の場合、現像機内での種々の剪断力等の機械力等により、さらに微粉化されたり、その形状が変化されたりすることがしばしば起こる。その結果、前記2成分系現像剤においては、微粉化されたトナー粒子がキャリア表面へ固着して前記現像剤の帯電劣化が加速されたり、前記1成分系現像剤においては、粒度分布が拡大し、微粉化されたトナー粒子が飛散したり、トナー形状の変化に伴い現像性が低下し、画質の劣化が生じたりするという問題が生ずる。
【0005】
トナー粒子の形状が不定型である場合、流動性助剤を添加しても流動性が十分でなく、使用中に剪断力等の機械力により、前記流動性助剤の微粒子がトナー粒子における凹部へ移動してその内部への埋没し、経時的に流動性が低下したり、現像性、転写性、クリーニング性等が悪化したりするという問題がある。また、このようなトナーをクリーニング処理により回収して再び現像機に戻して再利用すると、画質の劣化が生じ易いという問題がある。これらの問題を防ぐため、さらに流動性助剤の量を増加することも考えられるが、この場合、感光体上への黒点の発生や流動性助剤の粒子飛散を招くという問題が生ずる。
【0006】
このような事情の下、近年、粒子の形状及び表面組成を意図的に制御したトナーを製造する手段として、特開昭63−282752号公報や特開平6−250439号公報において、乳化重合凝集法が提案されている。前記乳化重合凝集法は、乳化重合により樹脂分散液を作成し、一方、分散媒に着色剤を分散させた着色剤分散液を作成し、これらを混合してトナー粒径に相当する凝集粒子を形成した後、加熱することによって融合し、トナー粒子を得る方法である。この乳化重合凝集法によると、加熱温度条件を選択することにより、トナー形状を不定形から球形まで任意に制御することができる。
【0007】
しかし、この乳化重合凝集法の場合、均一な混合状態にある凝集粒子を融合するので、トナーにおける内部から表面にかけての組成が均一になり、意図的にトナーの粒子表面の構造及び組成を制御することは困難である。特に凝集粒子が離型剤を含有する場合は、融合した後のトナー粒子の表面に離型剤が存在し、フィルミングが発生したり、流動性付与のために用いた外添剤がトナーの内部へ埋没してしまうことがある。
【0008】
電子写真プロセスにおいて、様々な機械的ストレス下でトナーの性能を安定に維持・発揮させるには、トナー粒子表面に離型剤が露出するのを抑制したり、トナー粒子の表面硬度を高めたり、トナー粒子表面の平滑性をより高めたりすることが必要となる。なお、前記離型剤は、トナー粒子表面に露出すると種々の問題を招き得るが、定着時におけるトナーの性能を考慮すると、トナー粒子の表面近傍に存在することが望ましい。
【0009】
近年、高画質化への要求が高まっている。高精細画像、特に階調性や解像力を向上させようとする一つの方法として、像露光時のドット数を増やすことが考えられる。これには、ビーム径を絞り、出力パルス数を増やすことになるが、このような高密度記録になると、1ドットを露光するのに要する時間が短くなる。このような場合、従来の感光体では感度が不十分で、1ドットの再現性が劣化するため、階調性や解像力が向上することにならない。また、これを解決する方法として光エネルギー自体を大きくすることも考えられるが、これでは感光層に光疲労などの問題を生じる。
【0010】
上述の課題を解決する方法として、特開平3−37678号公報には、CuKα特性X線(波長1.541Å)に対するX線回折のブラッグ角2θが27.2±0.2°に強いピークを示す結晶型のオキシチタニルフタロシアニンを感光層の光導電性物質として用いる方法が開示されており、このオキシチタニルフタロシアニンを用いることによって、高感度、高γで十分な光応答性を示す感光体を実現でき、この感光体を用いる場合には、高密度記録で各ドットの露光時間が短い場合でも、十分なドット再現性が実現できることが示されている。
【0011】
同公報には、平均粒径が8μm以下の小粒径のトナーを併用することが記載されている。微少なドットが集まった状態で形成される潜像を忠実に再現するためにはトナーを小粒径化することが有効であるが、実際にはトナーが小粒径というだけでは上述の課題は必ずしも十分に解決されない。従来のトナーの粒度分布のままでは、単に小径化を図っても、前記粒度分布における微粉側のトナーの存在により、キャリアや感光体の汚染やトナー飛散の問題が著しくなり、高画質と高信頼性とを同時に実現することは困難である。高画質と高信頼性とを同時に実現するためには、トナーの小粒径化と同時に粒度分布をシャープ化することが必要になる。また、小粒径トナーであっても、ポリマーに着色剤、帯電制御剤等を混合し、次いで溶融混練し、その後押し出し、粉砕、分級する事で製造される粉砕トナーに見られるような不定形トナーでは、形状のばらつきのため潜像上への付着が均一にならず、特に画像の端部において乱れを生ずる傾向にあった。また、不定形トナーでは、潜像上に細密充填されないため、画像濃度がでにくかったり、画像濃度にばらつきが生じる場合があった。
【0012】
さらに、トナーが小粒径になる程、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比べて、トナー粒子の電子写真感光体への付着力(鏡像力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写時にトナーが感光体上に残る(転写残トナーが増加する)傾向があった。
従って、小粒径トナーを用いた場合であっても、高密度、高精細な画像を忠実に再現するには限界があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決することを目的とする。本発明は、トナー粒子の表面から内部に至る構造及び組成を制御するとともに、このトナーを特定の電荷発生剤を含有する感光体と組み合わせて用いることにより、高精細、高画質画像が得られる画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、少なくとも感光体、露光装置、及びトナーを用いる画像形成方法において、該感光体が、Y型オキシチタニウムフタロシアニンを含有する電荷発生層と、電荷移動層が積層した感光層を有し、該露光装置によって該感光体に対し記録ドット密度が600ドット/インチ以上のデジタル像露光を行い、この像露光で形成された静電潜像の現像において、重合法によって得られたカプセルトナーを用いることを特徴とする画像形成方法に存する。
【0015】
また、本発明の別の要旨は、少なくとも感光体、露光装置、及びトナーを備えた画像形成装置であって、該感光体がY型オキシチタニウムフタロシアニンを含有する電荷発生層と、電荷移動層が積層した感光層を有し、該露光装置が記録ドット密度が600ドット/インチ以上のデジタル像露光を行うものであり、該トナーが重合法によって得られたカプセルトナーであることを特徴とする画像形成装置に存する。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の画像形成方法及び、それに用いられる画像形成装置の概要を、フルカラー画像形成方法の一例である非磁性1成分系トナーを使用する電子写真記録装置について説明するが、この一例に限定されるものではない。
図1は本発明に用いられる電子写真記録装置の一実施態様の要部構成の概略図であり、感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7を有している。
【0017】
感光体1は、例えばアルミニウムなどの導電体により形成され、外周面に感光導電材料を塗布して感光層を形成したものである。感光体1の外周面に沿って帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及び、クリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
【0018】
帯電装置2は、例えば周知のスコロトロン帯電器、ローラー帯電器などよりなり、感光体1の表面を所定電位に均一帯電する。 露光装置3は、感光体1の感光面にLED、レーザー光などで露光を行って感光体1の感光面に静電潜像を形成するものである。帯電装置としては、接触帯電によるものが好ましい。
【0019】
現像装置4は、アジテータ42、供給ローラー43、現像ローラー44、規制部材45からなり、その内部にトナーTを貯留している。また、必要に応じ、現像装置にはトナーを補給する補給装置(図示せず)を付帯させてもよく、補給装置にはボトル、カートリッジなどの容器からトナーを補給することができるものである。
【0020】
供給ローラー43は導電性スポンジ等からなるもので、現像ローラー44に当接している。現像ローラー44は、感光体1と供給ローラー43との間に配置されている。現像ローラー44は、感光体1及び供給ローラー43に各々当接している。供給ローラー43及び現像ローラー44は、回転駆動機構によって回転される。供給ローラー43は、貯留されているトナーを担持して現像ローラー44に供給する。現像ローラー44は、供給ローラー43によって供給されるトナーを担持して感光体1の表面に接触させる。
【0021】
現像ローラー44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、又は金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。現像ロール表面は、必要に応じ平滑加工したり、粗面加工したりしてもよい。
【0022】
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラー44に当接し、ばね等によって現像ローラー44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)されており、必要に応じトナーとの摩擦帯電によりトナーに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
【0023】
アジテーター42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーを攪拌するとともに、トナーを供給ローラー43側に搬送する。アジテータは、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
【0024】
転写装置5は、感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラー、転写ベルトなどよりなる。この転写装置5は、トナーの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、感光体1に形成されたトナー像を記録紙Pに転写するものである。
【0025】
クリーニング装置6は、ウレタン等のブレード、ファーブラシなどのクリーニング部材からなり、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。なお、本発明に用いられるトナーのようにトナーの球形度が高い場合には、転写性が高く、クリーニング装置を備えていなくてもよい。
【0026】
定着装置7は、上部定着部材71と下部定着部材72とからなり、上部又は下部の定着部材の内部には加熱装置73を有している。定着部材はステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、定着部材には離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給してもよい。また、上部定着部材と下部定着部材にはバネ等により強制的に圧力を加わえる機構としてもよい。
【0027】
用紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72の間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
【0028】
以上のように構成された電子写真現像装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)は、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。続いて、帯電されたのちの感光体1の感光面を記録すべき画像に応じて露光装置3によって露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を現像装置4で行う。
【0029】
現像装置4は、供給ローラー43により供給されるトナーを現像ブレード45により薄層化されるとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電されて、現像ローラー44に担持し、搬送して感光体1の表面に接触させる。
【0030】
現像ローラー44からいわゆる反転現像法により感光体1の表面に静電潜像に対応するトナー像が形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって用紙Pに転写される。この後、感光体1の感光面は転写されずに残留しているトナーがクリーニング装置6で除去される。
記録紙P上の転写後トナーは定着装置7を通過させて熱定着することで、最終的な画像が得られる。
【0031】
次に本発明に用いられるトナーについて説明する。
本発明においては、トナーとして、重合法により得られたカプセルトナーを用いる。ここで、重合法には大別して乳化重合凝集法と、懸濁重合法があり、どちらの方法で得られたトナーであっても構わない。また、カプセルトナーとは、トナーの表層部と中心部があり、界面によって2層に分かれた構造を有した(カプセル的な構造を有した)トナーであり、すなわち中心部の組成と、表層部の組成が異なるトナーである。
【0032】
好ましいカプセルトナーの一態様としては、低融点ワックスを含有するトナーにおいて該低融点ワックスが表層部には存在しないものであり、これによって、定着特性を向上させることができる。この様なカプセルトナーは例えば特開平5−314573号に開示されている。
また、別の好ましいカプセルトナーの一態様としては、着色剤が表層部に存在しないものである。着色剤は、その構造により帯電性に影響を与えることがあるが、着色剤を表層部に有さないことにより、着色剤の化学構造に起因する帯電均一性の低下を抑えることができる。
また、通常カプセルトナーは中心部が相対的に軟化点が低く、表層部が相対的に軟化点が高く設計される。
【0033】
乳化重合凝集法では、樹脂粒子分散液に着色剤分散液、帯電制御剤分散液、ワックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜制御することによってこれらを凝集しトナーを製造する。
得られたトナーは、表面に界面活性剤等が残存する。これらを除去するため適宜酸洗浄、アルカリ洗浄、水洗浄等を実施しても良い。
【0034】
懸濁重合法では、重合性単量体に着色剤、帯電制御剤、ワックス等を混合し、ホモジナイザー、ディスパーザー等の分散機を用いて分散処理を行い、この分散処理後の単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体の中で通常の攪拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて分散し、好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子サイズ、一般に30μm以下、好ましくは4〜10μmの粒径を有するように攪拌速度、時間を調整し造粒する。その後重合性単量体を重合させてトナーを製造する。生成したトナー粒子を洗浄し、濾過により回収し、乾燥する。
懸濁重合法では、通常単量体組成物100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒体として使用するのが好ましい。また、重合温度は、40℃以上、好ましくは50〜90℃の温度に設定して重合を行う。
【0035】
懸濁安定剤を用いる場合には、重合後にトナーを酸洗浄する事により容易に除去できる、水中で中性又はアルカリ性を示すものを選ぶことが好ましい。さらに、粒度分布の狭いトナーが得られるものを選ぶことが好ましい。これらを満足する懸濁安定剤としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用する事ができる。これらの懸濁安定剤は、ラジカル重合性単量体に対して1〜10重量部使用する事ができる。
【0036】
乳化重合凝集法及び懸濁重合法に用いられる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ(2,4−ジメチル)バレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、又はレドックス系開始剤などを使用する事ができる。
これらの内、乳化重合凝集法ではレドックス系開始剤が好ましく、懸濁重合法ではアゾ系開始剤が好ましい。
【0037】
本発明に用いられるカプセルトナーは、上記方法によりトナーを製造した後に、更に樹脂微粒子分散液、着色剤微粒子分散液、帯電制御剤微粒子分散液、ワックス微粒子分散液等を添加しトナー表面を被覆するか、あるいは、上記方法によりトナーを製造する際に、個々の一次粒子の親水性・疎水性を変化させておく等して、中心部と表層部の組成が異なるように製造し、カプセル構造を持つトナーとする。
【0038】
次に、重合法により得られるカプセルトナーの好ましい一実施態様としては、トナーが、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程(A1工程)、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(A2工程)、及び、前記付着粒子を加熱して融合する工程(A3工程)を含む製造方法によって得られたものであるトナーが挙げられる。
【0039】
(A1工程)A1工程は、分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程である。
【0040】
前記分散液は、少なくとも樹脂粒子を分散させてなるものである。前記樹脂としては、例えば熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系単量体とのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
これらの樹脂の中でも、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれら樹脂のアクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂が特に好ましい。
前記少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液は、例えば以下のようにして調製される。前記樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。前記樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル系単量体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いてイオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
【0042】
前記分散の手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
【0043】
また、本発明に用いられる樹脂粒子は、ワックスエマルジョンの存在下で前記したモノマー類のシード乳化重合を行って得た、ワックス内包型の樹脂粒子であってもよい。
【0044】
樹脂粒子としてワックス内包の樹脂粒子を用いる場合、シードとして用いられるワックスは、公知のワックス類の任意のものを使用することができるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基を有するシリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、長鎖脂肪酸アルコール、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコール、及びその部分エステル体、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、等が例示される。
【0045】
これらのワックスの中で定着性を改善するためにより好ましいのは、融点が100℃以下のワックスであり、更に好ましいワックスの融点は40〜90℃の範囲、特に好ましいのは50〜80℃の範囲である。融点が100℃を越えると定着温度低減の効果が乏しくなる傾向にある。
【0046】
本発明で用いるワックス微粒子は、上記ワックスを公知のカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の中から選ばれる少なくともひとつの乳化剤の存在下で乳化して得られる。これらの界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、等があげられる。
【0047】
また、アニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等があげられる。
【0048】
さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖、等があげられる。
【0049】
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01μm〜3μmが好ましく、さらに好ましくは0.03〜1μm、特に0.05〜0.8μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えば日機装社製マイクロトラックUPAを用いて測定することができる。ワックス微粒子の平均粒径が上記範囲より著しく大きい場合にはシード重合して得られる樹脂粒子の平均粒径が大きくなり、その結果、それを用いて粒度分布の揃った小粒径トナーを製造することが困難になる傾向があるので、トナーとして高解像度を要求される用途には不適当である。また、ワックス微粒子の平均粒径が上記範囲より著しく小さい場合には、シード重合後の重合体一次粒子中のワックス含有量が低くなりすぎるためワックスの効果が低くなる。
【0050】
ワックス微粒子分散液の存在下でシード乳化重合をするに当たっては、好ましくは、極性基を有するモノマー(酸性極性基を有するモノマーもしくは塩基性官能基有するモノマー)、及び、その他のモノマーとを添加する事により、ワックスを含有する分散液内で重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えても良いし、予め複数のモノマー混合しておいて添加しても良い。更に、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加しても良いし、予め水や界面活性剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。界面活性剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
【0051】
シード乳化重合を進行するにあたっては、乳化剤を一定量ワックス微粒子分散液に添加してもかまわない。また重合開始剤の添加時期は、モノマー添加前、モノマーと同時添加、モノマー添加後のいずれでも良く、またこれらの添加方法の組み合わせであっても構わない。
【0052】
前記樹脂粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前期平均粒径は、例えばマイクロトラックUPAなどを用いて測定することができる。
【0053】
本発明においては、後述のA2工程における微粒子分散液として着色剤微粒子分散液を用いない場合は、前記分散液中にさらに着色剤を分散させておく必要がある。なお、その場合、樹脂粒子を分散させてなる分散液中に着色剤を分散させてもよいし、樹脂粒子を分散させてなる分散液に、着色剤を分散させてなる分散液を混合してもよい。
【0054】
本発明に用いられる着色剤微粒子分散液に含有される着色剤は、従来より重合トナーに用いられる公知のものがいずれも使用できるが、これらの具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタとしてキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンとしてフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。これらの着色剤は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0055】
着色剤微粒子分散液は、上記の着色剤を前記の界面活性剤の存在下で乳化して得られる。前記着色剤の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前期平均粒径は、例えばマイクロトラックUPAなどを用いて測定することができる。
【0056】
前記分散液中で、前記着色剤微粒子と前記樹脂粒子とを併用する場合には、その組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜自由に選択することができる。
【0057】
なお、本発明においては目的に応じて、前記分散液に、ワックス、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分が分散させていてもよい。なお、その場合、樹脂粒子を分散させてなる分散液中にその他の粒子を分散させてもよいし、樹脂粒子を分散させてなる分散液に、その他の粒子を分散させてなる分散液を混合してもよい。
【0058】
前記ワックスとしては、シードとして用いられるワックスとして前述したものを用いることができる。
【0059】
前記内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体などが挙げられる。
【0060】
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料、ヒドロキシナフタレン系化合物などが挙げられる。なお、本発明における帯電制御剤としては、凝集時や融合時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
【0061】
前記無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。前記滑剤としては、例えば、エチレンビスステアラミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げられる。前記研磨材としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0062】
前記その他の成分の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前期平均粒径は、例えばマイクロトラックUPAなどを用いて測定することができる。
【0063】
前記分散液における分散媒としては、例えば水系媒体などが挙げられる。前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいても良い。界面活性剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
【0064】
前記分散液における前記樹脂粒子の含有量としては、前記凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中において、50重量%以下であればよく、5〜40重量%程度であるのが好ましい。また、前記分散液に前記着色剤や磁性体をも分散させる場合、前記分散液における前記着色剤あるいは磁性体の含有量としては、前記凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中において、50重量%以下であればよく、2〜40重量%程度であるのが好ましい。
【0065】
さらに、前記分散液に前記その他の成分をも分散させる場合、前記分散液における前記その他の成分の含有量としては、前記凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中において、0.01〜20重量%程度であり、0.5〜15重量%程度が好ましい。
【0066】
前記凝集粒子の調整法としては、例えば、1)加温して凝集を行う方法と、2)電解質を加えて凝集を行う方法とがある。
加温して凝集を行う場合に、凝集温度としては具体的には、Tg−20℃〜Tgの温度範囲(但し、Tgは樹脂のガラス転移温度)であり、Tg−10℃〜Tg−5℃の範囲が好ましい。上記温度範囲であれば、電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させることができる。
粒度分布の良好な凝集粒子を製造するには、凝集温度は所定の温度で通常少なくとも30分保持することにより所望の粒径のトナー粒子とする。所定の温度までは一定速度で昇温しても良いし、ステップワイズに昇温しても良い。保持時間は、Tg−20℃〜Tgの範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下がさらに好ましい。
【0067】
次に、電解質を添加して凝集粒子を製造する場合に用いられる電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでも用いることができ、具体的には例えば、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3CO2Na、C65SO3N等が挙げられる。
電解質の添加量は、電解質の種類によっても変わるが、通常は重合体固形分100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.1〜25重量部で用いられる。電解質添加量が0.01部より少ないときには、凝集反応の進行が遅くなり、凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた凝集粒子の体積平均粒径が3μm以下となる傾向にある。電解質添加量が100重量部より多いときには、急速で制御の効かない凝集となりやすく、得られた凝集粒子の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形のものになるなどの傾向にある。
【0068】
電解質を添加する場合の温度は、通常5〜60℃の範囲で行う。30℃以上に加熱して凝集反応の速度を上げても良いが、あまり加熱すると急速な凝集が起こり、粒径制御が困難となったり、得られた粒子の嵩密度が低くなることがあるので、混合分散液の温度は40℃以下に保つことが好ましく、より好ましくは5〜30℃の温度範囲、更に好ましくは10〜25℃の温度範囲に保って電解質添加を行うと良い。
また、電解質添加終了後の反応温度は、通常、Tg+20℃以下が好ましい。より好ましい温度範囲は、Tg−10℃〜Tg+10℃である。反応温度がTg+20℃よりも高い場合には、所望の粒径に制御することが難しく、粗粉ができやすい。
【0069】
反応は、所望の温度で少なくとも10分以上保持し、より好ましくは20分以上保持することにより所望の粒径のトナー粒子とする。所望の温度までは一定速度で昇温しても良いし、ステップワイズに昇温しても良い。
pHの値は使用する乳化剤の種類、量、目標とするトナーの粒径によって適宜選択すればよいが、アニオン系界面活性剤をメインに用いる場合にはpH2〜6、カチオン系界面活性剤を用いる場合には、pH8〜12とするのが好ましい。
【0070】
形成される凝集粒子の平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようとする静電荷像現像用トナーの平均粒径と同じ程度になるように制御される。前記制御は、例えば、温度と前記攪拌混合の条件とを適宜設定・変更することにより容易に行うことができる。以上の第1工程により、静電荷像現像用トナーの平均粒径とほぼ同じ平均粒径を有する凝集粒子が形成され、該凝集粒子を分散させてなる凝集粒子分散液が調製される。
【0071】
(A2工程)A2工程は、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程である。
【0072】
前記微粒子としては、樹脂含有微粒子、無機微粒子、着色剤微粒子、ワックス微粒子、内添剤微粒子、帯電制御剤微粒子などが挙げられる。
【0073】
前記樹脂含有微粒子は、上述の樹脂の少なくとも1種を含有してなる微粒子である。前記樹脂含有微粒子は、上述の樹脂の少なくとも1種を100重量%含有してなる樹脂微粒子であってもよいし、上述の樹脂の少なくとも1種と、上述の着色剤、無機粒体、ワックス、内添剤及び帯電制御剤の少なくとも1種とを含有してなる複合微粒子であってもよい。
【0074】
前記無機微粒子は、上述の無機粒体の少なくとも1種を含有してなる微粒子である。前記着色剤微粒子は、上述の着色剤の少なくとも1種を含有してなる微粒子である。前記ワックス微粒子は、上述のワックスの少なくとも1種を含有してなる微粒子である。前記内添剤微粒子は、上述の内添剤の少なくとも1種を含有してなる微粒子である。前記帯電制御剤微粒子は、上述の帯電制御剤の少なくとも1種を含有してなる微粒子である。
【0075】
これらの微粒子の中でも、樹脂含有微粒子、帯電制御剤微粒子が好ましい。前記樹脂含有微粒子は、例えば多色の静電荷像現像用トナーを製造する場合に好適に用いられる。前記樹脂含有微粒子を使用すると、前記樹脂粒子と前記着色剤とを凝集させてなる凝集粒子の表面に、樹脂含有微粒子の層が被覆形成されるので、前記着色剤による帯電挙動への影響を最少化でき、着色剤の種類による帯電特性の差を生じにくくすることができる。また、前記樹脂含有微粒子における樹脂として、Tgの高い樹脂を選択すれば、熱保存性と定着性とを両立した静電荷像現像用トナーを製造することができる。
【0076】
前記樹脂含有微粒子(樹脂と着色剤との複合粒子)を用い、これを前記凝集粒子に付着させると、より複雑な階層構造を有する静電荷像現像用トナーを製造することができる。前記無機微粒子を用い、これを前記凝集粒子に付着させると、第3工程における融合後に、この無機微粒子による層でカプセル化された構造を有する静電荷像現像用トナーを製造することができる。
【0077】
前記微粒子の平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、微粒子による層構造を形成する点で有利である。なお、前記平均粒径は、例えばマイクロトラックUPAなどを用いて測定することができる。
【0078】
前記微粒子の体積としては、得られる静電荷像現像用トナーの体積分率に依存し、得られる静電荷像現像用トナーの体積の50%以下であるのが好ましい。前記微粒子の体積が得られる静電荷像現像用トナーの体積の50%を越えると、前記微粒子が前記凝集粒子に付着・凝集せず、前記微粒子による新たな凝集粒子が形成されてしまい、得られる静電荷像現像用トナーの組成分布や粒度分布の変動が著しくなり、所望の性能が得られなくなることがある。
【0079】
前記微粒子分散液においては、これらの微粒子を1種単独で分散させてもよいし、2種以上を併用して分散させてもよい。後者の場合、併用する微粒子の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0080】
前記微粒子分散液における分散媒としては、例えば上述の水系媒体などが挙げられる。本発明においては、前記水系媒体に上述の界面活性剤の少なくとも1種を添加混合しておくのが好ましい。
【0081】
前記微粒子分散液における前記微粒子の含有量としては、通常5〜60重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。前記含有量が前記範囲外であると、静電荷像現像用トナーの内部から表面にかけての構造及び組成の制御が十分でないことがある。また、凝集粒子が形成された際における、凝集粒子分散液中の凝集粒子の含有量は、通常40重量%以下である。
前記微粒子分散液は、上述の界面活性剤と、上述の分散装置によって得ることができる。
【0082】
A2工程においては、A1工程において調製された凝集粒子分散液中に、前記微粒子分散液を添加混合して、前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する。前記微粒子は、前記凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、本発明においては「追加粒子」と称されることがある。
【0083】
前記添加混合の方法としては、特に制限はなく、例えば、徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、前記微粒子(追加粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布をシャープにすることができる。なお、複数回に分割して段階的に添加混合を行うと、前記凝集粒子の表面に段階的に前記微粒子による層が積層され、静電荷像現像用トナーの粒子の内部から外部にかけて構造変化や組成勾配をもたせることができ、粒子の表面硬度を向上させることができ、しかも、A3工程における融合時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融合時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基又は酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質の改善が可能となる点で有利である。
【0084】
前記凝集粒子に前記微粒子を付着させる条件としては、以下の通りである。即ち、温度としては、A1工程における樹脂粒子の樹脂のTg+20℃以下の温度である。Tg+20℃以下の温度で加熱すると、前記凝集粒子と前記微粒子とが付着し易くなり、その結果、形成される付着粒子が安定し易くなる。処理時間としては、前記温度に依存するので一概に規定することはできないが、通常5分〜2時間程度である。なお、前記付着の際、前記凝集粒子と前記微粒子とを含有する分散液は、静置されていてもよいし、ミキサー等により穏やかに攪拌されていてもよい。後者の場合の方が、均一な付着粒子が形成され易い点で有利である。
【0085】
本発明において、このA2工程が行われる回数としては、1回であってもよいし、複数回であってもよい。前者の場合、前記凝集粒子の表面に前記微粒子(追加粒子)による層が1層のみ形成されるのに対し、後者の場合、前記凝集粒子の表面に前記微粒子(追加粒子)による層が2層以上順次形成される。したがって、後者の場合、複雑かつ精密な階層構造を有する静電荷像現像用トナーを得ることができ、静電荷像現像用トナーに所望の機能を付与し得る点で有利である。
【0086】
A2工程が複数回行われる場合、前記凝集粒子に対し、最初に付着させる微粒子と、次以降に付着させる微粒子とは、いかなる組み合わせであってもよく、静電荷像現像用トナーの用途、目的等に応じて適宜選択することができる。ワックス又は着色剤はトナー表層部に存在しないことが好ましいので、前記凝集粒子に対し、例えば、前記離型剤微粒子と前記樹脂含有微粒子とをこの順で付着させる組み合わせ、前記着色剤微粒子と前記樹脂含有微粒子とをこの順で付着させる組み合わせが好ましい。他に、前記樹脂含有微粒子と前記無機微粒子とをこの順に付着させる組み合わせ、前記離型剤微粒子と前記無機微粒子とをこの順に付着させる組み合わせ、などが好ましい。
【0087】
前記ワックス微粒子と前記樹脂含有微粒子とをこの順で付着させる組み合わせの場合、静電荷像現像用トナーの粒子の最表面に前記樹脂含有微粒子の層が存在するため、前記ワックス微粒子は、静電荷像現像用トナーの粒子表面に露出せず、該粒子表面の近傍に存在する。このため、前記ワックス微粒子の露出を抑制しつつ、定着時においてはワックス微粒子を有効に作用させることができる。前記着色剤微粒子と前記樹脂含有微粒子とをこの順で付着させる組み合わせの場合、静電荷像現像用トナーの粒子の最表面に前記樹脂含有微粒子の層が存在するため、前記着色剤微粒子は、静電荷像現像用トナーの粒子表面に露出しない。このため、着色剤による帯電挙動への影響を抑えられる。
【0088】
前記樹脂含有微粒子と前記無機微粒子とをこの順に付着させる組み合わせの場合、静電荷像現像用トナーの粒子の最表面に、無機微粒子による層が存在するため、該無機微粒子の層によりカプセル化された構造を有する静電荷像現像用トナーが製造される。ワックス粒子分散液と、硬度の高い樹脂含有微粒子や無機微粒子とをこの順に付着させる組み合わせを採用すると、静電荷像現像用トナーの最表面に硬質のシェルを形成することができる。
【0089】
A2工程が複数回行われる場合、前記微粒子を添加混合する毎に、前記微粒子と前記凝集粒子とを含有する分散液を、A1工程における樹脂粒子の樹脂のガラス転移点以下の温度で加熱する態様が好ましく、この加熱の温度が段階的に上昇される態様がより好ましい。このようにすると、遊離粒子の発生を抑制することができる点で有利である。
【0090】
以上のA2工程により、A1工程で調製された凝集粒子に前記微粒子を付着させてなる付着粒子が形成される。なお、第2工程を複数回行った場合には、A1工程で調製された凝集粒子に、前記微粒子が複数回付着させてなる付着粒子が形成される。したがって、A2工程において、前記凝集粒子に、適宜選択した微粒子を付着させることにより、所望の特性を有する静電荷像現像用トナーを自由に設計し、製造することができる。
【0091】
(A3工程)A3工程は、前記付着粒子を加熱して融合する工程である。
【0092】
前記加熱の温度としては、付着粒子に含まれる樹脂のガラス転移点温度〜該樹脂の分解温度であればよい。したがって、前記加熱の温度は、前記樹脂粒子の樹脂の種類に応じて異なり、一概に規定することはできないが、一般的には付着粒子に含まれる樹脂のガラス転移点温度〜180℃である。なお、前記加熱は、それ自体公知の加熱装置・器具を用いて行うことができる。前記融合の時間としては、前記加熱の温度が高ければ短い時間で足り、前記加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、前記融合の時間は、前記加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には30分〜10時間である。本発明においては、第3工程の終了後に得られた静電荷像現像用トナーを、適宜の条件で洗浄、乾燥等することができる。なお、得られた静電荷像現像用トナーの表面に、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機粒体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を、乾燥状態で剪断力を印加して添加してもよい。これらの無機粒体や樹脂粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。
【0093】
以上のA3工程により、前記凝集粒子(母粒子)の表面に前記微粒子(追加粒子)が付着したままの状態で、A2工程で調製された付着粒子が融合され、本発明に用いられるトナーが製造される。
【0094】
本発明に用いられる好ましい重合法によって得られるトナーの別の一実施態様としては、トナーが、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程(B1工程)、前記凝集粒子を加熱して融合しトナー芯材を得る工程(B2工程)、及び前記トナー芯材に微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記トナー芯材に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(B3工程)を含む製造方法によって得られたものであるトナーが挙げられる。
【0095】
(B1工程)B1工程は、分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程であり、上述のA1工程と同様であり、B1工程で用いられる樹脂、また、必要に応じて用いられる着色剤、帯電制御剤、ワックス、またそれらを分散するために用いられる乳化剤(界面活性剤)等は、上述のものが用いられる。
【0096】
(B2工程)B2工程は、前記凝集粒子を加熱して融合しトナー芯材を得る工程である。上述のA1〜A3工程では、凝集粒子分散液を調整した後、これを加熱によって融合することなく、次の樹脂等の微粒子を追加混合して凝集粒子に付着させ、そしてこれを加熱融合するのであるが、B1〜B3工程では、凝集粒子分散液を調整した後、一旦、樹脂のTg以上の温度により加熱することによってこれを融合し、ほぼトナー粒子に近い大きさと円形度の粒子(トナー芯材)を作製しておいて、これに更に樹脂等の微粒子を追加混合してトナー芯材に微粒子が付着したものを製造する。
【0097】
(B3工程)B3工程は、B2工程で得られたトナー芯材に、樹脂等の微粒子を追加混合してトナー芯材に微粒子が付着したものを作製する工程である。
B3工程で用いられる微粒子は、上述のA2工程で用いられる微粒子と同様である。
また、B3工程で得られた粒子は、このままトナー粒子として使用しても良いが、好ましくは、これを更に加熱融合して、一定の粒径と粒度分布のトナーとして用いる。
【0098】
本発明に用いられるトナーは、前記凝集粒子を芯粒子とし、その表面を前記微粒子の層が被覆されてなる構造を有する。前記微粒子の層は、1層であってもよく、2層以上であってもよく、その数は、前記本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法におけるA2工程あるいはB3工程を行った回数と同じである。
【0099】
前記トナーは、その内部から表面にかけての組成、物性等が連続的又は不連続的に変化している構造を有し、しかもその変化が所望の範囲に制御されているので、現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性に優れる。また、前記諸性能を安定に発揮・維持するので、信頼性が高い。前記静電荷像現像用トナーは、前記本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法により製造されるので、混練粉砕法等により製造される場合と異なり、その平均粒径が小さく、しかもその粒度分布がシャープである。
【0100】
本発明に用いられるトナーは2成分系現像剤又は非磁性1成分系現像剤のいずれの形態で用いてもよい。2成分系現像剤として用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの混合物等が利用できる。
本発明においては、トナーの形状を定量化する方法として、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、下記式(I)より求められた値の50%における累積粒度値に相当する円形度を50%円形度と定義する。
【0101】
【数2】
円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長 (I)
【0102】
本発明におけるトナーの50%円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを示し、トナーが完全な球形の場合1となる。表面形状が複雑になるほど円形度の値は小さくなる。
本発明に用いられるトナーは、この円形度が、0.9〜1であることが好ましく、0.95〜1であることが更に好ましい。
【0103】
また、本発明においては、トナーの粒子径を規定する方法として、ベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター マルチサイザーIIを用いる。
本発明に用いられるトナーは、上記コールターカウンターで測定した体積平均粒径(DV)が3〜9μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。
【0104】
また、トナーの粒度分布としてはシャープなもののほうが着色剤や帯電制御剤等均一に分布して帯電性が均一となりやすく好ましい。具体的には、体積平均粒径(DV)と個数平均粒径(DN)の関係が、1.0≦DV/DN≦1.3を満たすものが好ましい。
【0105】
また、0.6μm〜2.12μmの微細な粒子を測定するには、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いる。
フロー式粒子像分析装置による0.6μm〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が全粒子数の15%以下であるトナーが好ましい。これは、微細な粒子が一定量より少ないことを意味しているが、微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性が向上し、着色剤や帯電制御剤等均一に分布して帯電性が均一となりやすい。また、0.6μm〜2.12μmの微粒子数は、全粒子数の10%以下が更に好ましく、8%以下が特に好ましい。また、該微粒子の割合の下限は特になく、微粒子が全く存在しないのが最も好ましいが、それは製造上困難であり通常1%以上である。
【0106】
次に本発明で用いられる感光体を説明する。
本発明に用いられる感光体は、導電性支持体上に、電荷発生層と電荷移動層が積層された積層型感光体であり、少なくとも、導電性支持体と電荷発生層、電荷移動層から成る。
電荷発生層と電荷移動層は、通常は、電荷発生層の上に電荷移動層が積層された構成をとるが、逆の構成でも良い。
また、これらの他に、接着層、ブロッキング層等の中間層や、保護層など、電気特性、機械特性の改良のための層を設けても良い。導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。
【0107】
導電性支持体は、具体的には例えばアルミニウム、ステンレス、銅等の金属ドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、ブラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。また、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
【0108】
電荷発生層は、少なくともバインダーポリマー、及び電荷発生剤を含んでおり、本発明においては、電荷発生剤としてオキシチタニウムフタロシアニンが用いられる。これに、必要に応じ有機光導電性化合物、色素、電子受容性化合物等を含んでいても良い。
電荷発生層に用いられるバインダーとしては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。オキシチタニウムフタロシアニンとバインダーポリマーとの割合は、特に制限はないが、一般には、オキシチタニウムフタロシアニン100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
【0109】
本発明の特徴の一つは、電荷発生剤として、特定の結晶型であるY型オキシチタニウムフタロシアニンを用いることにある。本発明に用いられるY型オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に明瞭な回折ピークを示すものである。
【0110】
この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは、例えば特開昭62−67094号公報の第2図(同公報ではII型と称されている)、特開平2−8256号公報の第1図、特開昭64−17066号公報の第1図、特開昭63−20365号公報の第1図、電子写真学会誌第92巻(1990年発行)第3号第250〜258頁(同刊行物ではY型と称されている)に示されたものであり、27.3°に最大回折ピークを示すことが特徴である。また、この結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは27.3°以外に通常7.4゜、9.7゜、24.2゜に回折ピークを示す。本明細書では、本発明に用いられる結晶型オキシチタニウムフタロシアニンを、学術発表での呼称に従いY型と呼ぶこととする。
【0111】
回折ピークの強度は、結晶性、試料の配向性、及び測定法により変化する場合があるが、粉末試料のX線回折を行う場合に通常用いられるブラッグ−ブレンターノの集中法による測定では、Y型結晶は27.3°に最大回折ピークを有する。また、薄膜光学系(一般に薄膜法あるい平行法とも呼ばれる)により測定された場合、試料の状態によっては27.3°が最大回折ピークとならない場合があるが、これは結晶粉末が特定の方向に配向しているためと考えられる。
【0112】
本発明においては、感度を調節する等の目的で、Y型オキシチタニウムフタロシアニン以外の電荷発生剤を混合して用いても良いが、混合する場合には、電荷発生物質がα型オキシチタニウムフタロシアニン、β型オキシチタニウムフタロシアニン等のチタン含有フタロシアニン系化合物とのみ混合するのであれば、電荷発生剤中のY型オキシチタニウムフタロシアニンの割合は通常30重量%以上であり、50%重量以上が好ましく、70重量%以上が更に好ましい。また、チタン含有フタロシアニン系化合物以外の電荷発生剤とも混合するのであれば、電荷発生剤中のY型オキシチタニウムフタロシアニンの割合は通常40重量%以上であり、60%重量以上が好ましく、80重量%以上が更に好ましい。
【0113】
電荷発生層の膜厚は、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。電荷発生層から電荷キャリアーが注入される。電荷移動層は、キャリアーの注入効率と移動効率の高いキャリアー移動媒体を含有する。
【0114】
電荷移動層は、少なくともバインダー及び電荷移送剤を含んでおり、これに、必要に応じ、酸化防止剤、増感剤、可塑剤、流動性付与剤、架橋剤等の各種添加剤が含まれていても良い。
電荷移送剤としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセンのような複素環化合物や縮合多環芳香族化合物を側鎖に有する高分子化合物、低分子化合物としては、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、カルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタンのようなトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミンのようなトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン化合物などが挙げられ、特に、置換アミノ基やアルコキシ基のような電気供与性基、あるいはこれらの置換基を有する芳香族環基が置換した電子授与性の大きい化合物が挙げられる。
これらの内、分子内に式(II)、式(III)、式(IV)、又は式(V)で表される原子団を有する化合物が好ましい。
【0115】
【化1】
【0116】
電荷移動剤として好ましい化合物の具体例を以下に示す。なお、下記の具体例の内、(A−1)〜(A−14)は式(II)で表される原子団を有する化合物であり、(B−1)〜(B−8)は式(III)で表される原子団を有する化合物であり、(C−1)〜(C−5)は式(IV)で表される原子団を有する化合物であり、(D−1)〜(D−3)は式(V)で表される原子団を有する化合物である。
【0117】
【化2】
【0118】
【化3】
【0119】
【化4】
【0120】
【化5】
【0121】
【化6】
【0122】
【化7】
【0123】
【化8】
【0124】
【化9】
【0125】
【化10】
【0126】
更に、電荷移動層には必要に応じバインダーポリマーが用いられる。バインダーポリマーとしては、上記電荷移動剤(キャリアー移動媒体)との相溶性が良く、塗膜形成後にキャリアー移動媒体が結晶化したり、相分離することのないポリマーが好ましく、それらの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタジエン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なかでも、離形性、耐久性を考慮すると、ポリカーボネート又はポリエステルを含む樹脂が好ましい。
【0127】
キャリアー移動媒体が高分子化合物の場合は、特にバインダーポリマーを用いなくても良いが、可とう性の改良等で混合することも行われる。低分子化合物の場合は、成膜性のため、バインダーポリマーが用いられ、その使用量は、通常キャリアー移動媒体100重量部に対し50〜3000重量部、好ましくは70〜1000重量部の範囲である。電荷移動層にはこの他に、塗膜の機械的強度や、耐久性向上のための種々の添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、周知の可塑剤や、種々の安定剤、流動性付与剤、架橋剤等が挙げられる。
【0128】
次に、感光体に潜像を形成するために露光を行う露光装置としては、レーザー光、LED光等によりデジタル露光を行う装置が用いられるが、上記のY型オキシチタニウムフタロシアニンの吸光度を考慮すると、530〜850nmの光を発する露光装置が好ましい。更に具体的には、532nm付近、635nm付近、650nm付近、780nm付近、830nm付近の光を発する露光装置が好ましい。
【0129】
上述のトナー、感光体、定着装置、及び露光装置を用いて画像を形成する際、感光体のドット露光後の現像において、600dpi以上とドット数が多い場合に、重合法によって得られたカプセルトナーと組み合わせて用いると、潜像上へのトナーの付着が良好になるので、高階調、高解像度の潜像を忠実に再現できるものである。さらに、トナーの低温定着性が良好なため、100〜160℃の低温定着装置を備えた画像形成装置にも好ましく使用できる
本発明の画像形成方法が上記の効果を発揮する理由は必ずしも明確ではないが、重合法により得られたカプセルトナーは、比較的円形に近く、凹凸が少ない等の形状を有するため、ドット面積の小さい潜像を完全に再現するように現像することが良好となるものと推定される。
【0130】
また更に、このようなトナーは比較的粒形が揃っているために、粒子の形が異なることによる粒子個体内での帯電部位の局在化、及びそれに伴う個体間の帯電量のばらつきが起こりにくく、その結果、どの粒子も感光体上にほぼ均一な力で付着するので、潜像を忠実に再現するものと考えられる。
【0131】
しかも、上記のオキシチタニウムフタロシアニンを感光体の電荷発生物質として用いることで、感光体が高感度を示すので、600dpi以上とドット数が増えて各ドットの露光時間が短くなってもなお十分なトナー濃度で現像することができる。更に、より小型、高速、高解像度、低温定着の画像形成装置に有効に適用できる。
従って、本発明の画像形成方法は、1200dpi以上の解像度を有する画像を形成する場合に特に有効であり、電子写真感光体の回転速度が1.5回/秒以上である場合に特に有効であり、また、電子写真感光体の内径が25mm以下のドラムである場合に特に有効である。更にまた、100〜150℃の低温定着装置である場合に特に有効である。そして、これらにより、省エネルギーを達成することができる。
【0132】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものでない。なお、実施例におけるトナーは、上述のB1〜B3工程により製造されたものである。
【0133】
【表1】
(トナー芯材)
イ)トナー芯材−1(乳化重合凝集法トナー)
・樹脂粒子分散液 500部
スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸=59/39/2のモノマー混合物をドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで乳化し、過酸化水素を開始剤として乳化重合した樹脂粒子分散液(Mw54000、樹脂Tg40℃、樹脂濃度20wt%)
・着色剤微粒子分散液 17部
シアン顔料(銅フタロシアニン)分散物(固形分濃度35wt%)
・ワックス微粒子分散液 20部
パラフィンワックス(日本精蝋製 LUVAX−1266)分散物:(固形分濃度25wt%)
・帯電制御剤微粒子分散物 12部
4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕分散物(固形分濃度5wt%)
【0134】
上記の分散液混合物を攪拌しながらpH3.5に調整した後、時々粒子径を測定しながら1℃/分で昇温して体積平均粒径が5.5μmとなったところでpHを7に調整して粒径成長を止め、更に60℃で1時間保持した後冷却し、凝集トナースラリー(固形分濃度22%)を得た(これをトナー芯材Aとする)
【0135】
【表2】
ロ)トナー芯材−2(懸濁重合法トナー)
・スチレン 60部
・ブチルアクリレート 39.4部
・ジビニルベンゼン 0.4部
・カーボンブラック(三菱化学製 MA100S) 4部
・パラフィンワックス(日本精蝋製 LUVAX−1266)5部
・分散剤(楠本化成製 ディスパロン) 1.5部
・重合開始剤(和光純薬製 V−65) 5部
【0136】
上記の各成分を常法により混合分散してモノマー混合物を調整した。別に、リン酸三カルシウム 25部、ポリアクリル酸ナトリウム 0.05部、塩化カルシウム 200部、脱塩水 300部の混合分散液を用意しておき、これに上記のモノマー混合物を添加して懸濁液を調整し、常法により懸濁重合して、酸洗浄、濾過、水洗浄、乾燥を行い、Mw33000、樹脂Tg40℃、体積平均粒径6.9μmの懸濁重合トナーを得た(これをトナー芯材Bとする)。
【0137】
ハ)トナー芯材−3(懸濁重合法トナー)
上述のトナー芯材−2において、モノマー混合物の組成を下記に変更した以外は、トナー芯材−2と同様に懸濁重合して、Mw32000、樹脂Tg50℃、体積平均粒径8.2μmの懸濁重合トナーを得た(これをトナー芯材Cとする)。
【0138】
【表3】
・スチレン 67部
・ブチルアクリレート 32.6部
・ジビニルベンゼン 0.4部
・カーボンブラック(三菱化学製 MA100S) 4部
・パラフィンワックス(日本精蝋製 LUVAX−1266)5部
・分散剤(楠本化成製 ディスパロン) 1.5部
・重合開始剤(和光純薬製 V−65) 5部
【0139】
(樹脂微粒子分散液)
イ)樹脂微粒子分散液−1(パラフィンワックス内包化微粒子分散液)
パラフィンワックス(日本精蝋製 LUVAX−1266)10部の微粒子をシードとして、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを乳化剤として、過酸化水素を開始剤として、スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸=75:23:2のモノマー混合物90部を乳化重合して、Mw74000、樹脂Tg65℃、体積平均粒径0.2μm、樹脂濃度20wt%のパラフィンワックス内包化樹脂微粒子分散液を得た(これを、樹脂微粒子分散液Aとする)
【0140】
ロ)樹脂微粒子分散液−2(エステルワックス内包化微粒子分散液)
エステルワックス(日本油脂製 ユニスターM2222SL)10部の微粒子をシードとして、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを乳化剤として、過酸化水素を開始剤として、スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸=72:26:2のモノマー混合物90部を乳化重合して、Mw69000、樹脂Tg60℃、体積平均粒径0.24μm、樹脂濃度20wt%のエステルワックス内包化樹脂微粒子分散液を得た(これを、樹脂微粒子分散液Bとする)
【0141】
ハ)樹脂微粒子分散液−3(微粒子分散液)
ジアリルフタレート−アクリル酸エステル共重合樹脂(ダイソー製 DAP−SPHD−E)のエマルジョン(樹脂Tg90℃、体積平均粒径0.1μm)
(これを、樹脂微粒子分散液Cとする)
【0142】
(トナーの製造)
イ)トナー(T1)
樹脂微粒子分散液A 50部、脱塩水 600部を反応容器に取り、25℃で平羽根攪拌機で300回転/分で攪拌しながら、トナー芯材A 100部を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調整して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を35℃に昇温して2時間反応を継続し、トナー芯材に樹脂微粒子を固着させた後、濾過、水洗、乾燥してトナーを得た。トナー100部に対して、疎水性の表面処理をしたシリカを1部混合攪拌し、現像用トナーを得た(これをトナーT1とする)。
【0143】
ロ)トナー(T2)
樹脂微粒子分散液A 50部、脱塩水 600部を反応容器に取り、25℃で平羽根攪拌機で300回転/分で攪拌しながら、トナー芯材B 100部を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調整して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を60℃に昇温して2時間反応を継続し、トナー芯材に樹脂微粒子を固着させた後、濾過、水洗、乾燥してトナーを得た。トナー100部に対して、疎水性の表面処理をしたシリカを1部混合攪拌し、現像用トナーを得た(これをトナーT2とする)。
【0144】
ハ)トナー(T3)
樹脂微粒子分散液B 50部、脱塩水 600部を反応容器に取り、25℃で平羽根攪拌機で300回転/分で攪拌しながら、トナー芯材C 100部を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調整して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を60℃に昇温して2時間反応を継続し、トナー芯材に樹脂微粒子を固着させた後、濾過、水洗、乾燥して樹脂粒子固着トナーを得た。トナー100部に対して、疎水性の表面処理をしたシリカを1部混合攪拌し、現像用トナーを得た(これをトナーT3とする)。
【0145】
ニ)トナー(T4)
樹脂微粒子分散液A 50部、脱塩水 600部を反応容器に取り、25℃で平羽根攪拌機で300回転/分で攪拌しながら、トナー芯材A 100部を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調整して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を40℃に昇温して2時間反応を継続し、トナー芯材に樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。
続いて、樹脂微粒子分散液D 50部を添加して、pH2.0に調整して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。反応温度を段階的に60℃まで昇温し、60℃にて2時間反応して、樹脂微粒子を固着させた後、室温まで冷却した。続いて、濾過、水洗、乾燥してトナーを得た。トナー100部に対して、疎水性の表面処理をしたシリカを1部混合攪拌し、現像用トナーを得た(これをトナーT4とする)。
【0146】
ホ)トナー(T5)
樹脂微粒子分散液C 27.5部、脱塩水 600部を反応容器に取り、25℃で平羽根攪拌機で300回転/分で攪拌しながら、トナー芯材A 100部を徐々に添加して均一分散した。次に、攪拌下pHを3.0に調整して、分散液に白濁がなくなるまで反応させた。続いて、反応温度を40℃に昇温して2時間反応を継続し、トナー芯材に樹脂微粒子を固着させた後、濾過、水洗、乾燥してトナーを得た。トナー100部に対して、疎水性の表面処理をしたシリカを1部混合攪拌し、現像用トナーを得た(これをトナーT5とする)。
【0147】
ヘ)トナー(T6)
ポリエステル樹脂(Tg=60℃、Sp=135℃、1%架橋)94部に、ピグメントブルー15:3を40%含有する前記ポリエステル樹脂のマスターバッチ10部、帯電制御剤として4−4’メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕、1部を溶融混練した後、粉砕分級して、体積平均径7.8μm、個数平均径5.8μm、50%円形度0.94のシアントナーを得た。トナー100部に対して、疎水性の表面処理をしたシリカを1部混合攪拌し、現像用トナーを得た(これをトナーT6)とする。
【0148】
(感光体の製造)
(オキシチタニウムフタロシアニンの製造例)
常法に従って合成したオキシチタニウムフタロシアニン100gを2kgの濃硫酸に溶解し、20リットルの水にあけて析出させて濾取し、十分水洗いを繰り返し(所望によりアンモニア水等の希アルカリ水を使用)アモルファス状態のウェットペーストを得た。
このウェットペースト2gに、1,2−ジクロロエタン300gを加え、室温下で3時間撹拌を行なった。メタノールで希釈して濾過し、メタノール洗浄後、乾燥して、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有する結晶を得た。
【0149】
(感光体の製造−1)
上記製造例で製造したオキシチタニウムフタロシアニン4部、ポリビニルブチラール2部を、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300部と共に、サンドグラインダーミルで8時間分散した。これを、アルミニウムドラム(30mmΦ)に浸漬塗布により塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次いで、キャリア移動媒体として4−(2,2−ジフェニルエテニル)−N,N−ジフェニルベンゼンアミンを100部とポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製 ユーピロン Z200)100部からなる膜厚20μmの電荷移動層を積層し、積層型感光層を有する電子写真感光体を得た(これをPC1とする)。
【0150】
(感光体の製造−2)
感光体の製造−1で使用したアルミニウムドラムの代わりに表面がアルミ蒸着層になっているポリエステルフィルムを使用し、侵漬塗布の代わりにコーター塗布機を使用した以外は感光体(PC1)と同様に製造し、シート状感光体を得た(これをPC2とする)。
【0151】
(感光体の製造−3)
感光体の製造−1において、オキシチタニウムフタロシアニンとしてβ型を用いた以外は、感光体の製造−1と同様にして積層型感光層を有する電子写真感光体を得た(これをPC3とする)。
【0152】
(感光体の製造−4)
感光体の製造−2において、オキシチタニウムフタロシアニンとしてβ型を用いた以外は、感光体の製造−2と同様に製造し、シート状感光体を得た(これをPC4とする)。
【0153】
(評価法)
以上のようにして得られた感光体PC1及びPC3をCASIO社製Color PageprestoN4−612IIに搭載した(600dpiの評価)。
また、感光体PC2及びPC4ついては、テクトロニクス社製Phaser560Jに搭載した(1200dpiの評価)。
【0154】
以下の評価を実施した。
(A)階調性
画像濃度が網点の面積率で10段階の濃度を判別できるような画像モードを有したプリントローラを接続し、プリント画像が何段階まで判別できるかを評価した。
(B)解像度−1
プリント画像上に1mmあたり等間隔の縦線をもうけて評価した。
600dpiでは、6本、9本、12本もうけて評価した。
12000dpiでは、17本、20本、23本もうけて評価した。
【0155】
(C)解像度−2
プリント画像上に直径50μmの孤立ドットの再現性により評価した。
A:再現性極めて良好
B:良好
C:解像力不充分
【0156】
(D)オイルレス定着温度領域
上記の各装置にて現像工程まで行い、未定着のトナー像を担持した記録紙を取り出し、次に、別に用意した定着装置(シャープ社製複写機JX−8200用定着機)にて加熱ローラの表面温度を100℃から190℃まで変化させ、定着ニップ部に搬送し、排出されたときの定着状態を観察した。
定着時に加熱ローラにトナーのオフセットが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とする。定着装置の加熱ローラは35mmφ、プロセススピード120mm/s、ニップ幅は4mmで、シリコンオイルを使用せずに評価した。
【0157】
【表4】
【0158】
【表5】
【0159】
【発明の効果】
上述した特定のチタニルフタロシアニンを用いた感光体と、上述の第1工程、第2工程及び第3工程を含む製造方法により得られたトナーを用い、記録ドット密度600dpi以上の露光を行う事により、高階調、高解像度の画像が得らることができる。また、本発明は、小型、高速、低温定着の電子写真装置に有利に適用できる。
【0160】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられる画像形成装置の一例の概略図である。
【図2】本発明に用いられるタンデム型フルカラー画像形成装置の一例の主要構成部の概略図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像槽
4k ブラック現像槽
4y イエロー現像槽
4c シアン現像槽
4m マゼンタ現像槽
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材
72 下部定着部材
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (6)

  1. 少なくとも感光体、露光装置、及びトナーを用いる画像形成方法において、該感光体が、Y型オキシチタニウムフタロシアニンを含有する電荷発生層と、電荷移動層が積層した感光層を有し、該露光装置によって該感光体に対し記録ドット密度が600ドット/インチ以上のデジタル像露光を行い、この像露光で形成された静電潜像の現像において、該トナーが次のA又はBの製造方法によって得られたカプセルトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
    A;トナーが、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調整する工程(A1工程)、前記凝集粒子分散液中に、ワックスを含有した複合微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記ワックスを含有した複合微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(A2工程)、及び、前記付着粒子を加熱して融合する工程(A3工程)によって製造されたカプセルトナー。
    B;トナーが、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調整する工程(B1工程)、前記凝集粒子を加熱して融合しトナー芯材を得る工程(B2工程)、及び前記トナー芯材にワックスを含有した複合微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記トナー芯材に前記ワックスを含有した複合微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(B3工程)によって製造されたカプセルトナー。
  2. 樹脂粒子が、その体積平均粒径が1μm以下である請求項記載の画像形成方法。
  3. ワックスを含有した複合微粒子が、その体積平均粒径が1μm以下である請求項1記載の画像形成方法。
  4. 記録密度が1200ドット/インチ以上である請求項1乃至に記載の画像形成方法。
  5. デジタル像露光が、530〜850nmの範囲の波長の単色光で行われ流請求項1乃至に記載に記載の画像形成方法。
  6. 少なくとも感光体、露光装置、及びトナーを備えた画像形成装置であって、該感光体がY型オキシチタニウムフタロシアニンを含有する電荷発生層と、電荷移動層が積層した感光層を有し、該露光装置が記録ドット密度が600ドット/インチ以上のデジタル像露光を行うものであり、該トナーが次のA又はBの製造方法によって製造されたカプセルトナーであることを特徴とする画像形成装置。
    A;トナーが、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調整する工程(A1工程)、前記凝集粒子分散液中に、ワックスを含有した複合微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記ワックスを含有した複合微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(A2工程)、及び、前記付着粒子を加熱して融合する工程(A3工程)によって製造されたカプセルトナー。
    B;トナーが、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調整する工程(B1工程)、前記凝集粒子を加熱して融合しトナー芯材を得る工程(B2工程)、及び前記トナー芯材にワックスを含有した複合微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記トナー芯材に前記ワックスを含有した複合微粒を付着させて付着粒子を形成する工程(B3工程)によって製造されたカプセルトナー。
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