JP3953846B2 - データ放送番組制作における校正方法 - Google Patents

データ放送番組制作における校正方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ放送を利用したデータ放送番組の制作における制作データの校正確認方法に関する。
【0002】
【従来技術】
データ放送を伴うデジタル放送サービスとしては、BSデジタル放送が2000年よりサービスを開始した。さらに、2002年より蓄積型デジタル放送サービスを行うCSデジタル放送の開始が予定されている。蓄積型デジタル放送とは、放送番組をデジタルデータとして蓄積できるデジタル放送受信機を前提とした放送サービスであって、放送番組を受信機に蓄積した上で、後で都合のよい時に必要な番組だけを選択して再生視聴できるような番組を提供する放送サービスである。
【0003】
デジタル放送のデータ放送番組の記述言語としては、既にサービスが開始したBSデジタル放送の他、東経110度CS放送、地上波デジタル放送のいずれもXMLをベースとしたBML(Broadcast Markup Language)が用いられることが予定されている。BMLは、XML(eXtensible Markup Language)を基本にデータ放送用途に専用化した記述言語である。WWWブラウザがHTML(HyperText Markup Language)データを解釈してコンピュータ画面に表示するのと同じように、データ放送に対応した受信機は、BMLで記述されたデータ放送番組データを解釈してTV画面に表示する機能を備えている。BMLは、さらに、データ放送画面上で動的な動作を表現可能とするために、ECMAScriptという手続き記述言語で、処理手順を記述させることができる。この手続き記述言語でBMLデータの中に挿入された部分を便宜上BMLのスクリプトなどと呼ぶ。ECMAScriptは、JavaScript(登録商標)をベースとしたオブジェクト指向スクリプト言語である。このようにデジタル放送に付随したデータ放送は、TV放送に様々な機能を付加できるため、その有効な利用方法が模索されている。
【0004】
ところで、生活情報として身近なものに新聞の折込みチラシがある。ここでチラシとは、具体的な商品あるいはサービスの販売促進を図るために作成される広告コンテンツの一態様であって、商品またはサービスを特定する名称または型番、商品の機能効能またはサービスの内容、価格など広告主および購買者にとって重要な具体的情報を含むものと定義することができる。インターネットを利用した電子的なチラシの配布サービスとしては既に http://www.dnp-orikomio.com/等において実用化されている。一方、蓄積型デジタル放送のデータ放送サービス(以下蓄積型データ放送)を利用して、電子チラシ情報を蓄積型データ放送番組として放送すれば、TV受信機(データ放送受信機を接続したTVモニタ)上で同様な電子的なチラシ情報を閲覧することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蓄積型データ放送を利用して上記電子チラシ等のデータ放送番組を提供するには、既に実用化されたインターネットによる情報提供と比べて、実際問題として、次のような問題を抱えている。インターネットコンテンツでは、その制作段階において、コンテンツの体裁やリンクの確認は、制作担当者のコンピュータ上のWWWブラウザで行うことができるが、これは一般利用者がそのインターネットコンテンツを閲覧する環境と全く同じである。したがって、制作担当者のコンピュータ上でインターネットコンテンツの体裁確認およびそのコンテンツが複数HTML頁に渡る場合のリンクの確認を完璧に行うことができる。
【0006】
一方、データ放送番組制作時においては、蓄積型データ放送対応受信機は、放送局から提供された番組データだけしか受信機のハードディスクに記録できないため、制作担当者は、一般利用者がデータ放送番組を視聴する環境と全く同じ状態でデータ放送番組の体裁確認およびその番組が複数BML頁に渡る場合のリンクの確認を行なうことは簡単にはできないという問題点がある。一般利用者が閲覧する環境と全く同じ状態でデータ放送番組の確認を行なうには、制作途中のデータ放送番組データを放送局から実際に放送し、これを受信するか、またはその状態を室内環境でシミュレーションする高額な機械を使用する必要があるからである。
【0007】
本発明は、このようなデータ放送番組制作上の難点を解消するためになされたものであって、一般利用者の扱うデジタル放送受信機の環境で、表示体裁および画面遷移等の動作の確認を容易に行なうデータ放送番組制作方法およびデータ放送番組制作システムを提供すること課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための第1の発明は、データ放送番組制作における校正方法であって、その第1の態様は、
視聴者の受信機に、所定のID番号のイベントメッセージを受信した場合には、そのイベントメッセージに添付されたデータから必要な情報を取得して、所定の条件を満たす場合はその受信機に蓄積されている指定されたダミー番組のリンクを変更するリンク変更手段を設定するステップ、
制作途中の番組データを所定のサーバーにアップロードするステップ、
ダミー番組を用意しこれを放送するステップ、
特定の個人を識別する情報、ダミー番組の番組識別情報、ダミー番組のリンクを変更して前記制作途中の番組データを閲覧可能とするために必要な情報をデータ部分に添付したイベントメッセージを発信するステップ、
を順に実行することにより、所定のID番号のイベントメッセージを受けた時に前記リンク変更手段の働きにより、指定された特定の個人の識別情報を保持している受信機においてだけ、前記ダミー番組のリンクが変更されて、前記サーバーにアップロードされた制作途中の番組データを閲覧し内容を検査することが可能となることを利用することを要旨とする。ダミー番組のリンクを変更して前記制作途中の番組データを閲覧可能とするために必要な情報とは、具体的にはリンクの変更箇所と変更後のリンク宛先の情報のリスト等である。
【0009】
イベントメッセージ(以下EM)とは、番組放送中に、放送局から発信されるトリガー信号である。受信機はこのEMによって、番組の表示内容を変更させたり、何らかの割り込み処理を開始するトリガー信号として利用することができる。EMはEMの種類を特定するIDを持ち、データ部分を添付することもできる。
【0010】
視聴者の受信機に、リンク変更手段を設定するステップは、リンク変更手段を実現するソフトウエアプログラムを受信機にインストールすることによって行なってもよいし、または、リンク変更手段として動作するBMLスクリプトを含んだ蓄積番組でない番組を放送局から放送し、受信機に受信させることで行なってもよい。
【0011】
第1の発明に係る異なる態様である第2の態様は、
視聴者の受信機に、所定のID番号のイベントメッセージを受信した場合には、添付されたデータから必要な情報を取得して、所定の条件を満たす場合はその受信機に蓄積されている指定されたダミー番組のリンクを変更するリンク変更手段を設定するステップ、
制作途中の番組データをダミー番組からのリンクのない付加データとしてダミー番組に含めて放送するステップ、
特定の個人を識別する情報、ダミー番組の番組識別情報、ダミー番組のリンクを変更して前記制作途中の番組データを閲覧可能とするために必要な情報をデータ部分に添付したイベントメッセージを発信するステップ、
を順に実行することにより、所定のID番号のイベントメッセージを受けた時に前記リンク変更手段の働きにより、指定された特定の個人の識別情報を保持している受信機においてだけ、前記ダミー番組のリンクが変更されて、制作途中の番組データを閲覧し内容を検査することが可能となることを利用するデータ放送番組制作における校正方法である。
【0012】
第1の発明に係る異なる態様である第3の態様は、
通常の蓄積番組と特別な蓄積番組を区別して扱い、通常の蓄積番組だけをアクセスするユーザーインターフェースを提供する蓄積型デジタル放送受信機に対して、
このような受信機に、所定のID番号のイベントメッセージを受信した場合には、添付されたデータから必要な情報を取得して、所定の条件を満たす場合はその受信機に蓄積されている特別な蓄積番組を通常の蓄積番組として扱うようその属性等を変更する閲覧有効化手段を設定するステップ、
制作途中の番組データを特別な蓄積番組として放送するステップ、
特定の個人を識別する情報、対象とする特別な蓄積番組の番組識別情報をデータ部分に添付したイベントメッセージを発信するステップ、
を順に実行することにより、所定のID番号のイベントメッセージを受けた時に前記閲覧有効化手段の働きにより、指定された特定の個人の識別情報を保持している受信機においてだけ、前記特別な蓄積番組の属性等が変更されてアクセス可能となり、当該受信機上で制作途中の番組データを閲覧し内容を検査することが可能となることを利用するデータ放送番組制作における校正方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて、本発明の校正方法を利用したデータ放送番組制作システム1(以下システム1)を説明してゆく。以下の説明では、作成するデータ放送番組としては、新聞折込みチラシと同様、商店等の商品売出し情報を内容とした番組を制作する場合を例に説明する。したがって以下では、そのようなデータ放送番組を「チラシ番組」とし、そこに掲載する情報を提供する情報提供者を「チラシ出稿企業」と呼ぶことにする。図1はシステム1の全体構成図である。システム1は、データ放送番組制作業者等に設置される設備100に、チラシ出稿企業の担当者が使用するクライアントコンピュータ40がネットワーク9を介して接続された構成をとる。
【0014】
データ放送番組制作業者等に設置される設備100には、WWWサーバー手段11、原稿登録手段12、流し込み手段14、番組編集手段15を備えた第1のサーバー10(以下制作サーバー10と記す)およびがデータ放送番組制作業者等の作業者が使用するクライアントコンピュータ50が設置される。制作サーバー10に接続される記憶装置20には、データ放送番組に掲載される商品画像やテキスト、ロゴ画像等を記録管理する原稿データベース21が備えられている。またデータ放送番組の制作に必要なBMLテンプレート22が記録されている。データ放送番組の割付レイアウトは何種類か用意されており、その各レイアウトのデータ放送番組データを作成するためのBMLテンプレートが用意されている。原稿データベース21には、チラシの1コマ(1掲載商品等)を構成するために必要な情報が1レコードとして記録管理される。その1レコードには、テキスト、使用する画像ファイルへのリンク、およびパラメータ情報(分類・掲載期間、配信地域、店舗情報の有無、クーポンの有無、使用するテンプレートの種類(チラシの割付レイアウトの型))が含まれる。
【0015】
WWWサーバー手段11は、ネットワークを通してアクセスしてくるチラシ出稿担当者のコンピュータ画面に画像・テキスト入力、レイアウトパターンの指定等を行うユーザーインターフェースを提供し、入力されたデータを受けて原稿登録手段12を呼出して必要な処理を行なわせる。WWWサーバー手段11は、入手可能なWWWサーバーソフトウエアをデータサーバー10にインストールして実現する。原稿登録手段12は、WWWサーバー手段11から呼出されるソフトウエアモジュールであって、WWWサーバー手段11が受付けた原稿データを、所定の仕方で原稿データベース21に登録する。流し込み手段14は、受付けた原稿データに基づいて前記BMLテンプレートを利用して一掲載商品のための一画面のBMLデータを作成する。流し込み手段14はWWWサーバー手段11から呼出されるソフトウエアモジュールである。また、クライアントコンピュータ50を使用する作業者は、番組編集手段15の提供するユーザーインターフェースを利用して、複数の確認済みの一画面BMLデータを組合わせてデータ放送用の1本の番組データを作成する。番組編集手段15は、BMLデータに他のBMLデータへのハイパーリンクを付加するなどの編集作業インターフェースをクライアントコンピュータ40または50に提供し、作業者の入力に従って、複数のBMLデータから1まとまりの放送番組データを構成するソフトウエアプログラムである。
【0016】
図3は、蓄積型データ放送サービスのサービス形態の概念図である。ここで蓄積型データ放送サービスについて一般的な説明をしておく。300は、視聴者宅に設置される蓄積型データ放送対応受信機である。放送番組蓄積記録用の記憶装置310を備えている。309は受信アンテナである。320はTVモニタ330の画面をプリントするためのカラープリンタである。受信機300には表示画面データをキャプチャして画像データとしてプリントアウトするプリンタドライバが備えられている。また、受信機300は、ネットワークインターフェースを有しており、回線306を通じて放送局等が設置する配信サーバー30からコンテンツデータ(これを通信コンテンツと呼ぶ)を読み出すこともできる。データ放送番組制作業者の設備100にて作成された番組データは、放送コンテンツとして放送される場合(図3▲1▼)と、この配信サーバー30から通信コンテンツとして提供される場合(図3▲3▼)がある。放送コンテンツのデータは放送局200から放送アンテナ209、中継衛星6を介して受信機300に到達する。(ただし地上波データ放送がサービスされる場合は中継衛星6を経由しない。)放送コンテンツとして受信機300に受信されたデータ放送番組データは、通常、蓄積コンテンツとして記憶装置310に記録され(図3▲2▼)、視聴者の操作により必要な時に呼出される.
【0017】
図2は、データ放送番組制作システム1を使用したデータ放送番組データの制作フローを示している。以下図2に従って、データ放送番組制作システム1を使用した製作フローを説明する。チラシ出稿企業の担当者はクライアントコンピュータ40からサーバー10のURLを指定してサーバー10にログインする(S10)。ログインが了承された場合は、担当者に提供されるデータ入力画面から掲載チラシ1件の入力を行う(S12)。まず、パラメータ情報を入力する。パラメータとは、そのチラシ1件の情報の分類・掲載期間、配信地域、店舗情報の有無、クーポンの有無、テンプレートの種類(チラシの割付レイアウトの型)の選択等の指定情報である。次に、チラシに使用する画像ファイルの指定、テキストの入力を行う。1件の入力・指定(または1画面を構成するのに必要な件数の入力)が終ったところで制作者は流し込み手段14を呼出すことによりチラシ番組の一画面分のBMLデータの作成を行う(S14)。作成されたBMLデータは直ちに配信サーバー30に転送され、プレビュー画面として登録される(S16)。このプレビュー画面は、特定者(チラシ番組制作担当者)だけが閲覧可能なデータである。
【0018】
一方、放送局は、このプレビュー画面を特定者が閲覧するためのダミー番組を放送する。ダミー番組は、特定者以外の者には通常の広告番組あるいは告知番組等として表示されるものである。そして、放送局は、配信サーバー30へプレビュー画面を転送直後に所定のID番号のEMを発信する(S17)。このEMを受信した受信機は、後述するリンク変更手段301の働きにより、特定の視聴者(以下特定者)の受信機においては、前記ダミー番組の内部のリンクが変更され、配信サーバー30にアップロードされたプレビュー画面へアクセス可能となる(S17)。特定者である作業者は、受信機300からリモコン操作により作業者しか閲覧できない頁、すなわちプレビュー画面をTVモニタ330に表示させ、単一画面の表示体裁を確認する(S18)。体裁を確認してよければ、1画面分のデータを本登録する(S20)。
【0019】
図5は、ステップS17で放送されるダミー番組500を模式的に表したものである。このダミー番組はトップ頁(頁1)と頁2から構成され、頁1→頁2→頁1とリンクが貼られていることを表す。ダミー番組500は、特定者の受信機がEMを受信した後は、リンクが変更されテスト番組501となる。図5の下部に示すように、頁2→配信サーバー内のプレビュー頁→頁1と番組内のリンクが変更される。したがってデータ放送番組制作担当者はステップS18で単一画面体裁の確認が受信機300上でできるようになる。制作担当者は表示画面をそのままの画面体裁でプリンタ320からプリントアウトすることもできる。
【0020】
図2のフローに戻る。制作者は適当なタイミングで、本登録された1画面分のデータの集合23から一番組を構成する一まとまりのデータセットを抽出して、必要なリンクの挿入等を行なって一つのデータ放送番組として編集を行う(S30)。このようにして作成されたデータ放送番組は、一般視聴者にも視聴できるダミー番組内に隠されたデータとして付加されて放送される(S32)。そして、放送局は、その直後に所定のID番号のEMを発信する(S34)。このEMを受信した受信機は、後述するリンク変更手段301の働きにより、特定者の受信機においては、前記ダミー番組の内部のリンクを変更し、ダミー番組に隠されていた画面へアクセス可能とする。
【0021】
特定者であるデータ放送番組制作担当者は、受信機300からリモコン操作等を行い、アクセス可能となった制作途中のチラシ番組の動作の確認をおこなう(S36)。問題があれば、ステップS30に戻って手直しする。問題がなければ本放送用のデータとする(S40)。
【0022】
図6は、ステップS32で放送されるダミー番組600を模式的に表したものである。このダミー番組はトップ頁(頁1)と頁2から構成され、頁1→頁2→頁1とリンクが貼られていることを表す。頁3以降の頁はデータとしては存在するが一般の視聴者は決して閲覧することができない。ダミー番組600は、特定者の受信機がEMを受信した後は、リンクが変更されテスト番組601となる。テスト番組601においては、頁2→頁3→その他の頁→頁3と番組内のリンクが変更される。したがってデータ放送番組制作担当者はステップS36で頁3→その他の頁→頁3の本来のデータ放送番組として構成されるべき部分のリンクが正しく貼られているか等のチェックを受信機300のリモコンを操作することにより、後日一般視聴者が完成されたデータ放送番組を閲覧する場合と全く同じ環境で確認することができる。
【0023】
図2に示した方法の特徴は、プレビュー画面データを配信サーバーにセットした直後、または、制作途中の確認のための番組データを放送した直後にEMを発信させ(S17,S34)ることと、このEMのデータ領域に、それらのデータを閲覧できる者を特定するID番号等の識別情報と、それらのデータを特定者に閲覧させるために後述するリンク変更手段301が必要とする情報を含ませること、および、受信機側では、ステップS17またはS34で発信されるEMに応じて、特定の視聴者だけにプレビュー画面データまたは制作途中の番組データへのアクセスを可能とするリンク変更手段301を備えておくことである。
【0024】
リンク変更手段301は、受信機300に内蔵されたCPUが解釈可能なソフトウエアプログラムとして受信機300にあらかじめインストールしておく方法も考えられるが、その処理手順をBMLデータに挿入可能なスクリプトにより記述してデータ放送のBMLデータとして作成して放送局から放送し、各受信機300で受信させるという方法をとってもよい。後者の方が、市販の受信機300を改造することなく機能を実現できるのでより便利である。
【0025】
図4は、リンク変更手段301の動作を説明するフローチャートである。図4に従ってリンク変更手段301の働きを説明する。以下の説明では、リンク変更手段301はそれ自身BMLのスクリプトであって、放送局からの放送波に常に含まれて放送されるBMLデータであるとする。
【0026】
リンク変更手段301の動作を実現するスクリプトの記述を含んだBMLデータが、受信機に受信されると、まず、受信機が割込みイベントとして受付けるEMの種類と、そのEMが到着した場合の割り込み処理関数を設定する(S50)。ここで、ステップS17、S34で発信されるEMについてあらかじめ決められたIDを受付け可能として設定する。以後、受信機300は、ステップS17,S34で発信されるEMを受信することを割込みイベントとして認識することとなる。
【0027】
受信機300が、ステップS17,S34で発信されるEMを受付けると、割り込み処理関数が呼出される(S54)。まず最初に、受付けたEMに添付されているデータ部分を読込む(S60)。EMからデータ部分を抽出するが、この種類のEMには、宛先視聴者の識別番号、対象とするダミー番組の識別番号、リンク変更箇所と変更先リンクのリストが記録されているため、このデータ部分を抜き出す。次に、割り込み処理関数は、受信機300の不揮発メモリまたは受信機300に挿入されているICカードに記録されている当該受信機のIDを読み出し、ユーザーIDと照合する(S62)。照合結果が一致するならば、番組識別番号で指定されるダミー番組の中の幾つかのリンクを、ステップS60で読み出したリンク変更箇所と変更先リンクのリストの内容にしたがって書き換える(S66)。その後呼出し先に戻る。照合結果が一致しない場合は、何もせずに元に戻る。
【0028】
特定者(データ放送番組制作担当者)は、自分のIDが記録されている受信機上で、ダミー番組500または600をテスト番組501または601として閲覧できるため画面体裁やリモコン操作による動作の確認をすることができる。尚、上記ステップS62の認証処理では、視聴者の識別番号により受信機を検証するだけである。その場で視聴している者の認証を厳格に要する場合は、テスト番組501または601において頁2の次に最初に表示される頁において視聴者にパスワードを要求することにより、実際に視聴している人の検証をも併せて行なうことが可能である。この場合には、EMのデータ部分に特定者のパスワードをも含めておけばよい。
【0029】
以上本発明に係るデータ放送番組制作における校正方法を具現化した制作システム1を本発明の実施形態として説明した。新聞折込みチラシと同様な内容の番組制作を例にとって説明したが、本発明の校正方法およびそれを具現化した制作システム1はそれ以外の一般の番組制作にも利用できることは明らかである。この制作システムにおいては、必ず一般視聴者の目にも触れるダミー番組を放送しなければならないという欠点がある。実際上は一般の広告または告知のための番組としてダミー番組と意識させないように放送するわけであるが、制約事項であることにかわりはない。そこで、次に、これまで説明した制作システムの変形例を第2の実施形態として説明する。以下に述べる第2の実施形態は、ダミー番組を必要としない利点を持つ方法である。ただし、受信機300に一定の機能を付加することを必要とする。
【0030】
一般に蓄積型デジタル放送対応受信機300は、視聴者のリモコン操作に応じて、受信機の内蔵ハードディスク310に蓄積されている蓄積番組を提示し、それらの番組を閲覧するためのユーザーインターフェース(これを案内画面と呼ぶことにする)を提供する機能を備えている。これをディレクトリ手段と呼ぶことにする。第2の実施形態では、通常の蓄積番組と通常の蓄積番組とは異なる属性を持つ特別番組とを区別して処理するディレクトリ手段を備える受信機300を使用する。
【0031】
図7の上半分は、第2の実施形態における受信機300のディレクトリ手段の働きを説明する図である。すなわち、通常の蓄積番組である番組1に対しては、これを閲覧するためのボタン701が案内画面700に表示されている。番組2、番組3についても同様である。しかし、特別番組を閲覧するためのボタンは案内画面に作成されない。
【0032】
図7の下半分は、上記のようなディレクトリ手段を備えた特定者の受信機がEMを受信した場合の変化を示したものである。すなわち、リンク変更手段301に変わる閲覧有効化手段の働きにより、それ以後視聴者がリモコンの操作等により案内画面700の表示を要求した場合は、受信機300は特別番組を閲覧するためのボタン704を案内画面に付加する。
【0033】
このようにして、データ放送番組作成者は、ダミー番組を放送するのではなく、特別番組を放送することで、実施形態1と同様に、後日視聴者が閲覧するのと全く同じ環境で、データ放送番組と同じ内容の特別番組の動作を確認することができる。一般の視聴者の受信機もこの特別番組を受信し記憶装置310に蓄積するが、EMを受信後も図7の上側の状態のままにとどまり、決して特別番組を閲覧可能にはならない。
【0034】
この方法は、▲1▼放送局200が、通常の蓄積番組と、特別番組とを異なる属性の蓄積番組として区別して放送する、▲2▼受信機のディレクトリ手段が案内画面を構成する際、特別番組属性の番組は案内画面に加えない、▲3▼リンク変更手段301に代わる閲覧有効化手段は、図4のステップS66において、次にディレクトリ手段が案内画面を作成する際は特別番組を通常の蓄積番組と全く同様に扱えるようにするために必要な設定を行う、の3点を実現することにより実施できる。▲3▼におけるステップS66の処理内容は、具体的には特別番組の属性値を変更すればよいだけである。したがって、この方法において使用されるEMの添付データ部分には、特定者個人を識別する情報と特別番組を指定する情報が含まれていればよい。
【0035】
放送局が放送するデジタル放送番組には、管理情報が含まれるので、この一部を用いて通常の蓄積番組と特別番組とを区別させる属性値を設定することは可能である。したがって以上述べた方法を実現することは可能である。尚、実際には、一定のタイミングで再度EMを発信し、閲覧有効化手段が当別番組を消去するなどの処置も必要となる。これもEMに添付するデータによって閲覧有効化手段の動作を制御することができるため実現可能である。
【0036】
【発明の効果】
本発明の方法によればいずれの実施形態によっても、データ放送番組制作担当者は、制作途中の番組の体裁確認およびリモコン操作等に対する動作の確認を、実際の受信機の上で、後日視聴者が視聴する時と同じ環境で、完全に検証することができる。この結果、室内環境でデジタル放送をシミュレーションするための高価なテスト設備を要することなく安価に正確に番組制作を進める事ができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 データ放送番組制作システム1の全体構成図である。
【図2】 本発明の校正方法を利用したデータ放送番組制作システム1の運用フロー図である。
【図3】 蓄積型データ放送サービスのサービス形態概念図である。
【図4】 リンク変更手段301の処理を説明するフローチャートである。
【図5】 ダミー番組のリンクの変更を説明する概念図である。
【図6】 ダミー番組のリンクの変更を説明する概念図である。
【図7】 案内画面700の変化を説明する概念図である。
【符号の説明】
1 データ放送番組制作システム
6 中継衛星
9 インターネット
10 第1のサーバー(制作サーバー)
11 WWWサーバー手段
12 原稿登録手段
14 流し込み手段
15 番組編集手段
20 記憶装置
21 原稿データベース
22 BMLテンプレート
23 登録済み一画面データ
30 配信サーバー
40 クライアントコンピュータ
50 クライアントコンピュータ
100 データ放送番組制作業者の設備
200 放送局
209 放送アンテナ
300 受信機
301 リンク変更手段
306 通信線
309 受信アンテナ
310 内蔵記憶装置(ハードディスク)
320 プリンタ
330 TVモニタ
500 ダミー番組の一例
600 ダミー番組の一例
700 案内画面

Claims (3)

  1. データ放送番組制作における校正方法であって、
    視聴者の受信機に、所定のID番号のイベントメッセージを受信した場合には、そのイベントメッセージに添付されたデータから必要な情報を取得して、所定の条件を満たす場合はその受信機に蓄積されている指定されたダミー番組のリンクを変更するリンク変更手段を設定するステップ、
    制作途中の番組データを所定のサーバーにアップロードするステップ、
    ダミー番組を用意しこれを放送するステップ、
    特定の個人を識別する情報、ダミー番組の番組識別情報、ダミー番組のリンクを変更して前記制作途中の番組データを閲覧可能とするために必要な情報をデータ部分に添付したイベントメッセージを発信するステップ、
    を順に実行することにより、所定のID番号のイベントメッセージを受けた時に前記リンク変更手段の働きにより、指定された特定の個人の識別情報を保持している受信機においてだけ、前記ダミー番組のリンクが変更されて、前記サーバーにアップロードされた制作途中の番組データを閲覧し内容を検査することが可能となることを利用するデータ放送番組制作における校正方法。
  2. データ放送番組制作における校正方法であって、
    視聴者の受信機に、所定のID番号のイベントメッセージを受信した場合には、添付されたデータから必要な情報を取得して、所定の条件を満たす場合はその受信機に蓄積されている指定されたダミー番組のリンクを変更するリンク変更手段を設定するステップ、
    制作途中の番組データをダミー番組からのリンクのない付加データとしてダミー番組に含めて放送するステップ、
    特定の個人を識別する情報、ダミー番組の番組識別情報、ダミー番組のリンクを変更して前記制作途中の番組データを閲覧可能とするために必要な情報をデータ部分に添付したイベントメッセージを発信するステップ、
    を順に実行することにより、所定のID番号のイベントメッセージを受けた時に前記リンク変更手段の働きにより、指定された特定の個人の識別情報を保持している受信機においてだけ、前記ダミー番組のリンクが変更されて、制作途中の番組データを閲覧し内容を検査することが可能となることを利用するデータ放送番組制作における校正方法。
  3. データ放送番組制作における校正方法であって、通常の蓄積番組と特別な蓄積番組を区別して扱い、通常の蓄積番組だけをアクセスするユーザーインターフェースを提供する蓄積型デジタル放送受信機に対して、
    このような受信機に、所定のID番号のイベントメッセージを受信した場合には、添付されたデータから必要な情報を取得して、所定の条件を満たす場合はその受信機に蓄積されている特別な蓄積番組を通常の蓄積番組として扱うようその属性等を変更する閲覧有効化手段を設定するステップ、
    制作途中の番組データを特別な蓄積番組として放送するステップ、
    特定の個人を識別する情報、対象とする特別な蓄積番組の番組識別情報をデータ部分に添付したイベントメッセージを発信するステップ、
    を順に実行することにより、所定のID番号のイベントメッセージを受けた時に前記閲覧有効化手段の働きにより、指定された特定の個人の識別情報を保持している受信機においてだけ、前記特別な蓄積番組の属性等が変更されてアクセス可能となり、当該受信機上で制作途中の番組データを閲覧し内容を検査することが可能となることを利用するデータ放送番組制作における校正方法。
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