JP3953384B2 - 毛髪用化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪に対し優れたコンディショニング効果を付与することができ、且つその持続性にも優れる毛髪用化粧料に関する。さらに詳しくは、ベタインのアミド及びその塩より選択した1種又は2種以上を含有して成る毛髪用化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、毛髪は皮脂腺から分泌される皮脂等により覆われているが、石鹸や洗浄剤などで洗髪すると、皮脂が必要以上に除去される。そのため洗髪後の毛髪は、滑らかさが失われ、ぱさぱさした硬い感触となり、櫛通りが悪くなって枝毛が生じやすい。
【0003】
このような皮脂の除去などに伴う不都合を解決するため、毛髪処理剤として各種の毛髪化粧料が開発されており、その代表的なものとして、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロライド等のモノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等のジ長鎖ジ短鎖アルキルアンモニウム塩などの長鎖アルキルアミンの第4級アンモニウム塩を主要構成成分とする毛髪化粧料がある。
【0004】
しかしながら、これら長鎖アルキルアミンの第4級アンモニウム塩は、毛髪への吸着力が不十分で、すすぎ等をおこなうと毛髪から脱離しやすい傾向にある。また消費者の安全性への関心は非常に高くなる一方であり、毛髪化粧料に使用される界面活性剤が高いマイルド性を有していることはすでに前提条件といっても過言ではない。また、これらの長鎖アルキルアミンの第4級アンモニウム塩は生分解性に乏しく、環境への影響を配慮することがより強く求められる現代の化粧品原料としては不満足な面もあった。
【0005】
そのため、これまでに安全性や生分解性に優れた天然物を利用若しくは模倣した、新規な界面活性剤が開発されてきた。例えば、アミノ酸から誘導されたカチオン界面活性剤として、N−脂肪酸−L−アルギニンエチルエステルが既に市販されており、安全性の高いカチオン界面活性剤として知られている。また、L−アルギニンの側鎖中のグアニジウム基をカチオン性基として利用した界面活性剤として、グアニジノアルキル脂肪酸アミドが開発されており、分子中にアミド結合を含有することで毛髪や皮膚への吸着性が向上したという興味深い報告がなされている。このように、長鎖アルキルアミンの第4級アンモニウム塩を主要有効成分とする毛髪化粧料は、使用性としては不満足な結果を与えることがあったため、より高いマイルド性とコンディショニング性を備えたカチオン界面活性剤の開発が求められてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、べたつき等の悪影響を生じることなく、優れたコンディショニング効果を毛髪に付与することができ、しかもそのコンディショニング効果の持続性にも優れる毛髪用化粧料を得ることを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく種々検討した結果、特定の構造を有するベタインのアミド及びその塩から選択される1種又は2種以上を毛髪化粧料に含有させることにより、コンディショニング効果及びその持続性の顕著な向上が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。なお、本発明で用いる特定の構造を有するベタインのアミド及びその塩は、皮膚に対し低刺激性を示し、生分解性にも優れるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるベタインのアミドは、式(1)に示されるように、アミノ酸のアミノ基をトリメチル化により4級化したベタインや、トリメチルグリシン,カルニチン等の天然のベタイン化合物のカルボキシル基を、アルキルアミンやアルケニルアミンと縮合してアミド化して得られる、第4級アンモニウム基を親水基とする新しいタイプのアミノ酸誘導体型カチオン界面活性剤である。この界面活性剤は、高級アルコールの炭素数により、疎水性を調節することができ、優れた界面活性能を発現する。また、カチオン性の第4級アンモニウム塩により優れた毛髪への吸着能を発揮する。
【0009】
【化2】
【0010】
ここで、式中R1,R2は、同一若しくは異なってもよく0〜2個のアミノ基若しくは水酸基を有し、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖を有するアルキレン基若しくはアルケニレン基を、R3は炭素数1〜24の直鎖状若しくは分岐鎖を有するアルキル基若しくはアルケニル基を、R4はメチル基若しくはエチル基を、nは0〜5の整数を示す。かかるR1,R2としては、メチレン基,エチレン基,プロピレン基、及びこれらのうちの1以上の水素原子に炭素数1〜3のアルキル基,ヒドロキシアルキル基が置換した基が好ましい。R3の鎖長を調整することにより任意の疎水性を与えることができ、具体的な炭素数は1〜24であればとくに限定されないが、6〜24の範囲とするのが好ましく、10〜22の範囲とするのが特に好ましい。
【0011】
かかるベタインとしては、グリシンベタイン,トリメチルアラニン,トリメチルグリシルグリシン,トリメチルアラニン,ブチロベタインが好ましく例示される。
【0012】
本発明において用いる上記のようなベタインのアミドを得る方法は、特に限定されないが、例えば、ベタインとアミン,アルキルアミン若しくはアルケニルアミンを反応容器に等モル計量し、酢酸エチル,アセトニトリル,N,N-ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド等の溶媒を加えて溶解し、0℃に冷却し、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を変化した後室温にて12時間撹拌することにより,アミド化を行う。析出したジシクロヘキシル尿素等の副生成物を除去し、溶液を乾固することにより粗ベタインのアミドを得ることができる。またさらに必要に応じて、再結晶やカラム分画等の精製処理を行う。
【0013】
また本発明において用い得る上記アシルベタインのアミドの塩としては、塩酸塩等の無機酸塩や、グリコール酸塩,酢酸塩,乳酸塩,ピロリドンカルボン酸塩,クエン酸塩,アスパラギン酸塩,グルタミン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。水性基剤への溶解性を考慮すれば、塩酸塩,グリコール酸塩,酢酸塩,乳酸塩等を用いることが好ましい。
【0014】
本発明に係る毛髪用化粧料には、上記したベタインのアミド及びその塩より1種又は2種以上を選択して配合する。毛髪用化粧料全量に対する配合量としては、0.1〜8.0重量%とすることが好ましい。0.1重量%未満では、十分なコンディショニング効果を付与することができず、8.0重量%を超えて配合すると、べたつき感が生じたり、仕上がり感が重くなることがあり、好ましくない。特に好ましい配合量としては、0.5〜5.0重量%である。
【0015】
本発明に係る毛髪用化粧料は、主として乳化状の剤型をとり、ヘアーシャンプー,ヘアーリンス,ヘアートリートメント等として提供され得る。
【0016】
また本発明に係る毛髪用化粧料には、本発明の特徴を損なわない範囲で、低級アルコール、他の界面活性剤、高級アルコール,炭化水素油,エステル油,動植物油,シリコーン油等の油性成分、グリセリン,プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコール,ポリエチレングリコール等の保湿剤、グリシン等のアミノ酸類、エラスチン,ケラチン,コラーゲン等のタンパク質加水分解物及びその修飾物、カチオン化セルロース,カチオン化グアーガム,ポリグリコール・ポリアミン縮合体等のカチオン化高分子化合物、塩酸ピリドキシン,サリチル酸,ジンクピリチオン等の抗フケ剤、ホップ抽出物,センブリ抽出物,トウガラシチンキ,カンフル等の育毛成分、ヒノキチオール,塩化ベンザルコニウム,感光素等の殺菌剤、pH調整剤、防菌防黴剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、着色剤、香料等、一般的に毛髪用化粧料に用いられる原料及び添加剤成分を含有させることができる。
【0017】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。
【0018】
本発明の実施例1〜実施例6に係るヘアーリンスの処方を、比較例1及び比較例2の処方とともに表1に示した。表1中の配合量は重量%で表している。これらは、表1中A成分を混合,加熱溶解して70℃とし、あらかじめ混合,溶解して70℃に加熱したB成分に加え、ホモミキサーにて乳化した後、冷却して調製する。
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示した本発明の実施例1〜実施例6、及び比較例1,比較例2について、熱損傷毛に対するコンディショニング効果の評価を行った。まず、20cmの長さの毛束各5gを80℃にて5時間減圧乾燥して熱損傷毛とし、これをシャンプーした後、各試料0.5gをそれぞれ塗布して均一に伸ばし、25℃,湿度65%にて一昼夜静置した。次いで、毛髪のくし通り性、なめらかさ、しっとり感及び柔軟性について、官能評価を行った。官能評価は、シャンプー処理したのみの熱損傷毛を前記と同じ条件下に一昼夜静置したものと比較して、「◎;非常によい」,「○;ややよい」,「△;同程度である」,「×;悪い」の4段階で行わせた。結果を表2に示した。
【0021】
【表2】
【0022】
表2より明らかなように、本発明の実施例を塗布した熱損傷毛については、実施例4についてのくし通り性の評価以外のすべての項目において、何も塗布していない熱損傷毛に比べて良好であると評価されていた。これに対し、アシルカルニチンのアミドの塩を含有せずに、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含有する比較例1を塗布した熱損傷毛では、くし通り性及び柔軟性についての評価が悪く、他の項目についても、何も塗布していない熱損傷毛と同程度であった。また、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムを含有する比較例2を塗布した場合においては、全項目について何も塗布していない熱損傷毛と同程度であった。
【0023】
続いて、本発明の他の実施例の処方を示す。
【0024】
[実施例7] リンス一体型シャンプー
(1)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0(重量%)
(2)ジメチルポリシロキサン 1.0
(3)2-ラウリル-N-カルボキシメチル-N- 16.0
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
(4)N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム 1.0
(5)グリシンベタイン-N-ステアリルアミド塩酸塩 2.0
(6)ポリオキシエチレンアルキルポリアミン 1.0
(7)安息香酸ナトリウム 0.2
(8)精製水 74.7
(9)香料 0.1
製法:(1),(2)の油相成分を混合,加熱溶解し、70℃とする。一方、(3)〜(8)の水相成分を混合,溶解して70℃に加熱し、これに前記油相成分を添加してホモミキサーにて乳化する。冷却後40℃にて(9)を添加,混合する。
【0025】
[実施例8] ヘアーリンス
(1)ヘキサデカノール 2.0(重量%)
(2)オクタデカノール 2.0
(3)ホホバ油 0.5
(4)グリセリルモノステアリン酸エステル 1.0
(5)2-エチルヘキサン酸セチル 1.5
(6)N,N,N-トリメチルアラニン-N'-ステアリル
アミド塩酸塩 1.5
(7)1,3-ブチレングリコール 7.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 84.3
(10)香料 0.1
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合,加熱溶解し、70℃とする。一方、(6)〜(9)の水相成分を混合,溶解して70℃に加熱し、これに前記油相成分を添加してホモミキサーにて乳化する。冷却後40℃にて(10)を添加,混合する。
【0026】
[実施例9] ヘアートリートメント
製法:(1)〜(3)の油相成分を混合,加熱溶解し、70℃とする。一方、(4)〜(11)の水相成分を混合,溶解して70℃に加熱し、これに前記油相成分を添加してホモミキサーにて乳化する。冷却後30℃にて(12),(13)を添加,混合する。
【0027】
上記実施例7〜実施例9について、女性パネラー20名を1群とした使用試験を行った。その際、各実施例において含有されるベタインのアミドの塩をすべて塩化ステアリルトリメチルアンモニウムに代替したものを比較例3,比較例4,及び比較例5として、同時に試験に供した。
【0028】
使用試験は、実施例7〜実施例9及び比較例3〜比較例5の各試料を、各群にブラインドにて使用させ、使用後の毛髪のくし通り性、なめらかさ、しっとり感、ぱさつき、べたつき及びコンディショニング効果の持続性について、官能評価させて行った。評価結果は表3に示す評価基準に従って点数化し、20名の平均値を算出して表4に示した。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
表4より明らかなように、本発明の実施例使用群においては、上記評価項目について全群でほぼ良好ないし良好な評価が得られていた。これに対し、アシルカルニチンのアミドの塩を塩化ステアリルトリメチルアンモニウムに代替した各比較例使用群においては、各評価項目についての評価は、それぞれ対応する実施例使用群に比べて低くなっていた。特に、比較例3使用群ではくし通り性,ぱさつき及びコンディショニング効果の持続性についての評価が悪く、比較例5使用群では、かなりのべたつきが認められていた。
【0032】
なお、上記実施例1〜実施例9については、25℃で6カ月間保存した場合において状態の変化は全く認められず、使用に際し、眼や頭皮に対する刺激性反応や刺激感も認められなかった。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、べたつき等の悪影響を生じることなく、優れたコンディショニング効果を毛髪に付与することができ、しかもそのコンディショニング効果の持続性にも優れる毛髪用化粧料を得ることができた。
Claims (1)
- O−ドデカノイル−L−カルニチン−N−ヘキサデシルアミド、O−テトラデカノイル−L−カルニチン−N−ヘキサデシルアミド、O−ヘキサデカノイル−DL−カルニチン−N−ドデシルアミド及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有してなる毛髪用化粧料。
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