JP3953182B2 - 3つの機能の全てを達成するための出口プーリードラムを使用して回転鋳造ベルトを操舵し、ベルトに張力を付与し、ベルトを駆動する装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明の属する技術分野は、実質的に真っ直ぐな又は平らな移動鋳型又は鋳造領域(また、「鋳造キャビティ」と称する場合もある)を有し、ベルトが鋳型領域の入口からその出口まで鋳造平面に沿って走行するベルト型連続金属鋳造設備(「連鋳機」と呼ばれることもある)である。本発明の開示は、2本ベルト型連鋳機について行うものとする。ただし、本発明の内容の中には、実質的に平らな又は真っ直ぐな移動鋳型又は鋳造領域を有する形式のオープントップ式1本ベルト型連鋳機にも当てはまるものがあり、その作用効果も同一である。本明細書で用いる「実質的に平らな」という用語は、走行中の鋳造ベルトを移動鋳型領域内でバックアップ手段に押し当てた状態に保つほど穏やかな長手方向曲率を含み、さらに、走行中の鋳造ベルトをかかるバックアップ手段と鋳造されている収縮凝固中の製品の両方又はいずれか一方に押し当てた状態に保つほど穏やかな横方向曲率をも含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属を連続的に鋳造するための2本ベルト型連続鋳造設備の上側鋳造ベルト及び下側鋳造ベルトは比較的薄く且つ幅広である。これら鋳造ベルトは、当該技術分野で知られている適当な熱伝導性及び可撓性の金属材料、例えば、厚さが通常例えば約0.045インチ〜0.080インチ(0.11cm〜0.2cm)の範囲にある4分の1硬度(1/4H)の低炭素圧延薄鋼板で作られている。これら上側及び下側のベルトは、大きな引張り力を受けた状態でベルトキャリジの周りに長円形の経路をなして回転走行する。各ベルトは、その長円形経路で回転している間、連鋳機の移動鋳型領域の入口端及び出口端のところにそれぞれ設けられた入口プーリードラム及び出口プーリードラムの周りに交互に繰り返し通る。
【0003】
上側及び下側回転ベルトは、これらの間に移動鋳型領域又は鋳造領域を構成する。この鋳造領域は実質的に、移動鋳型領域への入口から、これからの出口まで走行する平らな鋳造ベルト相互間に構成されるようになっている。かくして、鋳型領域は、入口から出口まで実質的に平らな鋳造平面に沿って延びるようになっている。
本発明は、上側及び下側回転鋳造ベルトを操舵し、このベルトに張力を付与し、ベルトを駆動することに関する。したがって、理解を一層容易にするためにこの従来技術の項目における説明を次の3つの副題の下で行う。
操 舵:強く張られた各ベルトは、その長円形経路をなして回転しているとき、予測できない仕方で次第に縁に沿いクリープ現象を起こす傾向がある。かくして、各ベルトを個別的に操舵する必要がある。ベルトを縁案内方式では操舵することができない。というのは、強く張られた薄い金属製ベルトの縁に沿って生じるクリープ現象では大きな側方への(縁に沿う)力が生じるので回転ベルトの縁が皺になり、無駄に配置された縁案内に当たって裂ける場合があるからである。それゆえ、各ベルトの操舵は、各出口プーリードラムの回転軸線を僅かに傾斜させることにより行われる。入口プーリードラムを操舵のために使用することはできない。というのは、入口プーリードラムの軸線は、鋳型入口をこれに通じる溶融金属送込み装置と所要所定の協働関係をなした状態に維持するよう固定されたままでなければならないからである。
【0004】
現状では、出口プーリードラムの傾斜方式による操舵は、鋳造平面に実質的に垂直な平面内での動作によって達成されることが好ましい。
鋳造平面に垂直な動作で出口プーリードラム軸線を傾斜させることに関して生じる問題は、かかる操舵により各ベルトの出口側部分がよじれて鋳造平面から僅かに離れるようになることである。その結果、新たに鋳造されるスラブは、その下流側部分が鋳造領域に沿って連鋳機の出口端に向かって移動している際、肝心なときに支持を失う。
ベルトへの張力付与:上側及び下側の長円形経路に沿ってそれぞれ回転走行する上側及び下側鋳造ベルトは、上側及び下側出口プーリードラムの軸線を下流側方向へ移動させるための大きな力を及ぼすことによって強く張られる。操舵に関連して既に説明した理由により張力付与を目的としては入口プーリードラムを移動させることはない。したがって、各ベルトは、大きな力を鋳造平面に平行な方向に及ぼして同一キャリジ上の出口プーリードラムと入口プーリードラムとの間の距離を僅かに大きくすることにより出口プーリードラムの回転軸線を移動させることによって強く張られる。出口プーリードラムのこの僅かな下流側への移動により、ベルトの弛みを取るのに必要な下流側への移動が続けられる。かかる弛みは、古くなったベルトの取外し及びキャリジへの新品のベルトの取付けを可能にするよう先に行われた出口プーリーの上流側への移動に起因して新たに取り付けられたベルトに生じている。
【0005】
鋳造ベルトの一方の縁は他方よりもほんのわずか長いことがあり、即ち、ベルトは、自由に支持された場合、形体がほんのわずか切頭円錐形になる。それにもかかわらず、連続鋳造作業中、ベルトは移動鋳型領域の幅全体にわたって実質的に一様の大きな張力を受ける必要がある。
各出口プーリードラムが操舵目的のために鋳造平面に実質的に垂直な平面内で傾斜状態にあり、そのために問題が生じる。というのは、このドラムは又、大きな引張り力をベルトに与えるために鋳造平面に実質的に平行な方向に及ぼされる大きな力によって鋳造平面に実質的に平行な平面内で可動でなければならず、かかる引張り力は鋳造キャビティの幅全体にわたり実質的に一様である。
図6A〜図6Fに概略的に示すような或る従来型連鋳機では(なお、図6B及び図6Eに示すように中立位置においては、相当な間隔が出口プーリードラムと鋳造平面Pとの間に存在する)、鋳造ベルトの傾斜方式の操舵で必要な力によって著しい斜め応力が生じ、これにより回転ベルトの斜め方向のひだ付け又は段付けが生じる場合がある。事実上、傾斜方式の操舵で必要とされる大きな引張り力により、結果的に鋳造ベルトの平らな走行部に斜め応力が生じることになった。経験の示すところによれば、もし操舵上の動作を最小限に抑えることができれば、ベルトは平らな状態のままであり、より良好な製品が鋳造される。この動向に沿った技術的進展が、デゾーテルズ氏及びカイザー氏の米国特許第4,940,076号に見られ、この米国特許では、操舵の精度を上げ、それにより操舵の実施回数及び動作の大きさ(振幅)を最小限に抑える方法及び装置が開示されている。デゾーテルズ氏及びカイザー氏によって発明されたかかる方法及び装置は、「ゼロ−ポイント(zero-point)」ベルト位置検出及び操舵方式と呼ばれている。しかしながら、かかる発明による出口プーリードラムの傾斜パターンは、その発明以前の状態と同一のままであり、即ち、図6A〜図6Cに示した状態と同一のままである。
【0006】
ベルト駆動:上側及び下側鋳造ベルトが入口プーリードラム及び出口プーリードラムの周りにそれぞれの長円形経路で回転する連鋳機に関して技術的に見た最近の数年間において、回転駆動力を入口プーリードラムに及ぼすことにより回転自在な鋳造ベルトを駆動することが通例になった。上側及び下側入口プーリードラムを駆動することが好ましかった。というのは、中空出口プーリードラムの内部は従来技術の大径「直角調整用シャフト」(これは筒状の「直角調整用管」の場合が多い)によって占有され、それにより出口プーリードラムの駆動を殆ど行うことができないようになっているからである。かかる直角調整用シャフトは、本出願人に譲渡されたハゼレット氏、ウッド氏及びカーマイケル氏の米国特許第3,949,805号及び第3,963,068号に記載されている。かかる従来技術の直角調整用シャフトは、出口プーリードラムを上述したように鋳造平面に平行な方向で上流側及び下流側に移動させている間、これら出口プーリードラムが連鋳機のキャリジフレームと直角をなしたままであるようにするよう設計された。
【0007】
入口プーリードラムを回転自在に駆動することによって各ベルトを入口プーリードラム及び出口プーリードラムの周りに回転させる方式について問題が生じたが、その原因は、ベルトがその戻り(上流側)走行部に沿って出口から入口の方へ引っ張られているということにあった。逆に、鋳造領域に沿ってその下流側への走行中、回転自在に駆動される入口プーリードラムによってベルトに及ぼされている駆動力は、入口プーリードラムから見てすぐ下流側のベルト部分のベルト張力を減少させる傾向があった。連鋳機の入口近くのこれら鋳造ベルト部分は連鋳機の性能において非常に重要である。というのは、入口に到来流入する溶融金属は当初、かかるベルト部分に当たって凝固しはじめるからである。初期凝固により回転鋳造ベルトに隣接して乱されやすい薄い層が生じる。熱によるベルトの望ましくない変形がベルト張力が入口プーリードラムによって及ぼされるベルト駆動力に起因して減少する入口付近の部分に生じがちである。かかる熱による変形は、溶融金属の初期凝固を乱して妨害し、それにより、結果的に得られる連続鋳造製品の表面特性と総合品質の両方又はいずれか一方に悪影響を与える場合がある。
【0008】
それ故、出口プーリーを駆動することが望ましい。出口プーリーの駆動方式では各出口プーリードラムの一端部、即ち、機内側端部に駆動スタブシャフトを取り付けて各出口プーリードラムを回転自在に駆動できるようにするために必然的に出口プーリードラムの内部から従来技術の直角調整用シャフトを無くさなければならない。各出口プーリードラムの機外側端部にもスタブシャフトが取り付けられる。各出口プーリードラムの各端から突出したスタブシャフトは、ジャーナル63,64として役立つ。さらに、「直角調整」機能の必要性は依然として残る。
【0009】
【発明の概要】
本発明の目的は、2本ベルト型連続鋳造設備の上側及び下側回転ベルトの操舵、ベルトへの張力付与、ベルトの駆動を同時に行うという複雑な課題を、実用的な方法及び装置において出口プーリードラムが、(1) 操舵、(2) 張力付与、及び、(3) ベルト駆動の3つを全て達成できるようにすることによって克服し、或いは実質的に解決することにある。
「直角調整用シャフト」(「直角調整用管」)は各出口プーリードラムから無くなることになるので、本発明の目的は、直角調整用シャフト又は直角調整用管を不要にする新規な機構又は装置によって機械的「直角調整用」機能と事実上同一機能を達成することにある。
【0010】
本発明の一特徴によれば、上側及び下側可撓性金属鋳造ベルトが入口プーリードラム及び出口プーリードラムの周りに上側長円形経路及び下側長円形経路に沿って回転し、入口プーリードラム及び出口プーリードラムが入口から出口まで、互いに間隔を置いた回転ベルトの対向した部分の間に位置する鋳造平面に沿って延びる移動鋳型又は鋳造領域を構成するために入口端及び出口端の近くに位置している2本ベルト型連鋳機において、回転鋳造ベルトの操舵、ベルトへの張力付与、及びベルトの駆動の全ての機能は、各出口プーリードラムと作動的に連携した装置によって達成される。この装置は、第1の方向へのベルトの操舵が必要なときにのみ出口プーリードラムの第1の端部を傾斜させて鋳造平面から遠ざける第1の操舵組立体を有する。第1の操舵組立体によるこの傾斜は、鋳造平面に垂直な平面内で生じる。第1の方向とは逆の第2の方向へのベルトの操舵が必要なときにのみ出口プーリードラムの第2の端部を傾斜させて鋳造平面から遠ざける第2の操舵組立体が設けられており、第2の操舵組立体によるこの傾斜は、鋳造平面に垂直な平面内で生じる。第1及び第2の操舵組立体のための操舵制御装置が、出口プーリードラムの第1及び第2の端部のうち少なくとも一方を常時、鋳造平面に近接した状態に保つ。ベルトに関する操舵・張力付与・駆動装置は、第1の端部を前記入口から鋳造平面に平行な方向に遠ざけてベルトに張力を付与するために前記入口から遠ざかる方向へ鋳造平面に実質的に平行に作用する第1の力を第1のスタブシャフトに及ぼす第1の張力付与組立体を更に有する。第2の張力付与組立体が、第2の端部を前記入口から鋳造平面に平行な方向に遠ざけてベルトに張力を付与するために前記入口から遠ざかる方向へ鋳造平面に実質的に平行に作用する第2の力を第2のスタブシャフトに及ぼす。操舵制御装置と協調して動作する張力付与制御装置が、ベルトの張力付与具合及び操舵具合を最適化するために第1及び第2の力の相対的大きさを調節する。出口プーリードラムの第1の端部に連結された回転駆動機構が、ベルトを出口プーリードラム及び入口プーリードラムの周りで長円形経路に沿って回転させるために出口プーリードラムを回転させ、ベルトは入口から出口に向かう方向に鋳造平面に沿って走行する。
【0011】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付の図面と関連した現時点において好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより十分に理解されよう。なお、図面は、例示的なものであって、必ずしも同一縮尺で作成されておらず、また、かかる図面の記載内容は本発明を限定するものではない。図中、同一の部品又は要素を指示するために対応関係にある符号が用いられている。大きな外形線の矢印は、長手方向(上流側〜下流側)における「下流側」を示し、かくし梃れらの矢印は、入口から出口への製品の流れの方向を指示しており、通常、各回転鋳造ベルトの裏側(内側)に当てられる液体冷却剤(主として、水)の流れを指示している。簡単で真っ直ぐな1本線の矢印は、ベルトの回転方向を示している。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1には、ベルト型の連続鋳造設備(「連鋳機」と呼ばれることがある)が示されており、これは2本ベルト型連鋳機10として図示されている。溶融金属が2本ベルト型連鋳機の技術分野で知られているように送込み装置11によって入口端E内へ送り込まれる。この溶融金属は、上側鋳造ベルト12と下側鋳造ベルト14との間に構成された移動鋳型領域M内へ入る。
鋳造金属製品Pは、鋳造設備10の下流側端部又は出口側端部Dから出てくる。(Pは、空間的にパスライン又は鋳造平面と一致しているものとする。)鋳造ベルト12,14はそれぞれ、上側キャリジ組立体U及び下側キャリジ組立体Lによって支持された状態で駆動される。上側キャリジUは、本発明のこの実施形態に示すように、2つの主ロール形プーリードラム16(ニッププーリードラム又は入口プーリードラム)及び18(下流側ドラム又は操舵、張力付与及び駆動用出口プーリードラム)を有し、これらのプーリードラムの周りに上側鋳造ベルト12が矢印で示すように回る。これらプーリードラムは、例えば溶接鋼で作られた上側キャリジフレーム19内に設けられている。
【0013】
同様に、下側キャリジLは、図示のように本発明のこの実施形態では、ニップ又は入口プーリードラム20及び下流側又は操舵、張力付与及び駆動用出口プーリードラム22を有し、これらプーリードラムの周りに下側鋳造ベルト14が矢印で示すように回る。これらプーリードラムは、下側キャリジフレーム21内に設けられている。上側キャリジUと下側キャリジLは共に、機枠24に取り付けられており、この機枠は、ベース23上に設置されている。この移動鋳型領域Mによって定まる鋳造平面Pは通常は、図1に示すように下流側又は出口方向へ僅かに下方に傾斜している。
鋳造ベルト12,14を同時に駆動するために、上側キャリジ及び下側キャリジの両方の出口プーリードラム18,22は、自在継手で連結された上側駆動シャフト25と下側駆動シャフト27(概略的に示す)を介して同一の回転速度で互いに反対方向に連帯した状態で駆動され、これら駆動シャフトは、当該技術分野で知られているように機械的同期形駆動装置29(概略的に示す)によって駆動される。
【0014】
2つの横方向に間隔を置いたエッジダム28が代表的にはローラ30の周りに走行して、鋳造ベルト12,14間に構成された移動鋳型領域Mに入る(図1にはエッジダムを1つしか示していない)。
本発明の目的のためには、2つのキャリジL,Uは、鋳造平面P、即ち、製品P及び鋳型領域Mの幅及び長さにわたって延びる平面に関して互いに鏡像関係にあるものと見なすことができる。以下に示す符号の大部分は、両方のキャリジの構成部品に同一のまま付けられ、また場合によってはこれらの部品が同一である場合には機外側の部分と機内側の部分の両方に付けられている。以下の説明を、下側キャリジLに係る機器に関して行う。
図2は、説明の目的上、本発明による操舵及び張力付与の相関した機能を概略的な形態で示している。
【0015】
2軸ロボット、即ち各々が2つの力アクチュエータから成る機械的位置決め組立体が、「浮動」ハウジングを介して駆動出口プーリードラム22の各ジャーナルに用いられる。かくして、各ジャーナルは、2軸ロボットによって2つの座標方向に調節自在に位置決めされる。これら2つの座標方向は、鋳造平面Pと平行なX−X平面及び鋳造平面Pに垂直なY−Y平面(図1)内に位置している。2軸ロボットにより、各々が自在連結部67(図4)を介して作用する駆動シャフト25,27により出口プーリードラム18,22の所望の駆動を行うことができ、それと同時に他の幾つかの問題が解決される。ロボットは、図3に最も明確に示されている作動シリンダ、レバー及び球形ブッシュを有し、これらは、図2に概略的に示された記載事項を参照すると概念的には最もよく理解される。2軸ロボット装置は機械的には互いに独立している。これら相互の協調関係は、いくつかの制御モードのうち任意のモードで動作できる電気式制御装置によって生じる。
【0016】
ベルトへの張力付与。図3は、出口端に位置した下側キャリジLの機外側の側面図である。機外側テンションシリンダ48(図3)及び機内側テンションシリンダ46(図3には示さず)が、それぞれ図2に48′,46′として概略的に示されている。これらテンションシリンダ48,46は、符号44のところでそれぞれのキャリジフレームに回動自在に取り付けられている。各シリンダは、それぞれのピストンロッド49(及び47、これは図3には示さず)を介して、ピン52に取り付けられた第1の球形ブッシュ50に作用し、そこで力がそれぞれの可動ハウジング54,56に加わり、最終的にはテーパころ軸受58(図4)に加わる。この張力は、それぞれの可動ハウジング54,56を第2の球形ブッシュ60及びピン62の回りに揺動させるのに役立ち、そして機外側ジャーナル又はスタブシャフト64(図5)及び機内側ジャーナル又はスタブシャフト63(図4)を下流側へ押す。かくして、出口プーリードラム22は、X−X平面内で下流側方向に押されてベルト14に押し付けられ、これに張力を付与する。軸受用シールキャップ66がテーパころ軸受58を密封している。
【0017】
可動ハウジング54,56は、キャリジフレーム21に対して「浮動」状態にあることは注目されるべきである。球形ブッシュ50,60により、これらのハウジングは定位置で「浮動」することができる。ピン62を備えた第2の球形ブッシュ60は、可動の支点、即ち舵取りピボット軸線102(図7C)となる。ピン52を備えた第1の球形ブッシュ50は、力(作用力)をハウジング54に及ぼし、それによりハウジングを、支点として働いている第2の球形ブッシュ60の回りに梃(てこ)のように揺動させる。かくして、機外側浮動ハウジング54及び機内側駆動ハウジング56は、符号60,62のところで支点が形成され、符号50,52のところに作用力が加えられる「二次」梃であり、テーパ軸受58及びこれらのそれぞれのジャーナル64,63は、支点と作用力との間に位置する「荷重」である。(二次梃は、支点と加えられた作用力との間に位置する「荷重」を有する。)
駆動シャフト27は、自在継手67(図4)によって機内側ジャーナル63の機内側端部に連結されている。図4の出口プーリードラム22は、液体冷却剤が当該技術分野で公知のように流れることができる溝65を備えた状態で示されている。
【0018】
出口プーリードラムの両端に位置すると共に鋳造平面Pに非常に近接して位置するシフト可能な操舵ピボット軸線100(図7A)及び102(図7C)を得るために、ピン62を備えた第2の球形ブッシュ60の軸線Sは、Y−Y平面内に位置し(また、図1のこのY−Y平面を参照されたい)、またこの軸線Sは、出口プーリードラムの軸線Aから距離D(図3)のところに位置し、この距離Dは、出口プーリードラムの半径Rの少なくとも約70%である。換言すると、図3に示す有利にもコンパクトな機械的構成を検討して理解されるように、軸線Sは、舵取りレバー116(これは一次梃である)の所要物理的サイズを考慮しながら鋳造平面Pに妥当程度に可能なほど近接して位置決めされ、操舵レバーは、可動ブッシュ60及びピン62を支持した状態で移動させる。図3に示すような中立の操舵位置(これは図7Bにも示されている)では、3つすべての軸線、即ち操舵軸線S、操舵レバー116のための固定ピボット118の軸線T及び操舵レバー116と操舵作動シリンダ108のピストンロッド112との間のピボット連結部114の軸線Vは、鋳造平面Pと平行な、即ち鋳造平面Pからほんの僅かな距離dだけ一定の間隔をおいて位置する平面S−T−V内で整列する。なお距離dは、出口プーリードラムの半径Rの約30%以下である。
【0019】
第1に、直角調整用シャフト(squaring shaft)又はその何らかの代替物が必要とされる。その目的は、プーリードラム22全体をこれが鋳造ベルト14に張力を付与する位置まで出口端に向かって下流側へ移動させる際の張力付与プーリードラムの心ずれを防止することにある。上述したように、プーリー22の移動は、プーリーの各端に一つずつ設けられた2つのシリンダ又は力アクチュエータによって行われて張力をベルトに付与する。もし出口プーリードラムの一端を他端のかなり前方で下流側に移動させれば、プーリードラムとプーリードラムの端の近くに位置した連鋳機部品との間に結合状態又は妨害が生ずる場合がある。
「発明の概要」の項目中で指摘したように、「直角調整用シャフト」は有利には出口プーリードラム18,22から省かれている。図4に注意を向けると、出口プーリードラム22は中空且つ中になにも入っていない状態で示されている。この中空シリンダ22の両端は、ドラム22に溶着された剛性の切頭円錐形端部ベル73によって閉じられており、ジャーナル63,64は、これら端部ベル73と剛性的に一体の状態になっている。
【0020】
プーリードラムの一端のその他端に対する上述の望ましくない下流側への過剰移動又は行き過ぎを防止するため、本発明は、各キャリジU,Lの機内側側部及び機外側側部で働く対をなすテンションシリンダ46,48の張力付与運動を協調させる他の手段を提供する。本発明者は、テンションシリンダ46,48の動作を電気的に指令して制御し、それにより出口プーリードラム22,18の機内側端部(ジャーナル)63及び機外側端部(ジャーナル)64の動作も指令してこれを制御することにより、従来型の捩り剛性機械的直角調整用管又はシャフトを省くことができ、このようにすることが非常に有利であることを発見した。
テンションシリンダ46,48への作動油流量及び圧力は、出口プーリードラムの両端63,64のところでシリンダを等しく伸長させるよう電気的に制御される。各シリンダ46,48内の油圧は、それぞれのシリンダによって及ぼされている力に比例している。各シリンダ内のこの圧力は、油圧シリンダ及びピストン制御技術分野で公知の適当なトランスデューサによって測定される。その結果得られた圧力測定値電気信号は、電気的制御装置又はコントローラ(図示せず)に伝送される。
【0021】
プーリードラムの機外側端部64(図3)及び機内側端部63(図4)の下流側(X−X平面)位置を定めるために、リンク68(図3には1つしか示さず)が、符号70のところでそれぞれの可動ハウジング54,56に回動自在に取り付けられている。各リンク68は、符号71のところで位置検出電位差計74のアーム72に回動自在に取り付けられている。かくして、各センサ74は、それぞれ関連した油圧シリンダから成る力アプリケータ46,48の伸長量を測定し、位置信号を電気的制御装置に送る。この電気的制御装置は、PID(比例積分及び微分)プログラムを利用したソフトウェアで動作するプログラマブルロジックコントローラである。このコントローラは、油圧及びプーリードラム端部のX−X平面の位置決めに関するそれぞれの信号に応答する。かかるPIDプログラムの詳細は、プロセスコントローラ技術分野の当業者には公知である。本発明の例示の実施形態では、“Using Industrial Hydraulics ”(第2版)と題するトム・フランケンフィールド氏の文献(オハイオ州44114クリーブランドの雑誌“Hydraulics & Pneumatics ”によって1984年に発表)の第52頁に記載されているストローク制御式電磁弁がある。
【0022】
切頭円錐形ベルトは、張力付与装置を設計する上で問題を提起する。鋳造ベルトの切頭円錐形の形状は、かかる非円筒形の形状を回避するようベルトの製造にあたって十分に用心をしているにもかかわらず生じる。ハゼレット氏の2本ベルト型鋳造設備の従来型設計では、回転中の鋳造ベルトに張力を付与するために用いられている出口プーリードラム22又は18は、キャリジに対し常時直角のままであるよう拘束される必要があることが予想され、また、ベルト14,12に力を及ぼして切頭円錐形の形状から、張力付与出口プーリードラムの精度の高い剛性により提供される優越性によって必要とされるような円筒形の形状に変えることによってそれ自体形を変えることは適当な機能であることが考えられる。切頭円錐形のベルトに力を及ぼしてこれを円筒形の形に引き伸ばすというこの理論は、もっともであり、適切であると考えられた。というのは、前者に関するある特定の作動条件のもとにおいては、ベルトは連続的な回転を行う度に非常に僅かな量だけ連続的に少しずつ引き伸ばされ、そして引き伸ばされたベルトが円筒形の形状に正確に一致するようになったからである。しかしながら、本発明者は最近、鋳造中に生じる小刻みなベルトの引き伸ばしに関して見解を変えた。今、本発明者は、ベルトの引き伸ばしが連続鋳造作業中に生じないように連鋳機10を作動させることが良いやり方であると信じるに至っている。
【0023】
図8の平面図では、出口プーリードラム22は、下側キャリジに対して直角に位置した状態で示されている。プーリードラム22上に位置した状態で示されたベルト14′は、それ自体正方形ではなく(円筒形ではなく)、その切頭円錐形状(円錐度又は直角度の誤差)は隙間80として示されている。なお、図8ではこの隙間は説明の便宜上かなり誇張して示されている。プーリードラム端部82の近くのベルト縁部の長手方向張力は存在しないか、或いは最適レベルよりも小さく、これに対して反対側のプーリードラム端部84の近くのベルト縁部の張力は、結果的に最適レベルを優に越えることになる。端部84の近くのベルト縁部の張力は恐らくは、たとえ張力が次第に増加したとしても、ベルト14′を損傷させるほど最適レベルを優に越えることになるであろう。
【0024】
最近の驚くべき観察結果の教示するところによれば、連鋳機をベルトに適合させることが一層良いやり方である。上述のハードウェア及び全体的な制御方式を用いて、適当なプログラムにより、任意の中実機械的直角調整用シャフトが行うような任意の方法で行うことができる「事実上の直角調整用シャフト」となるような各出口プーリードラム22,18の作動を達成できることになるが、それに加えて、事実上の直角調整用シャフトが、中実機械的直角調整用シャフトでは達成することができない有利な方法でより多くの機能を達成することができるようになる。適当なソフトウェアにより5つの動作モードのうち任意のものがえられることになり、ここでは、これら動作モードのうち2つが適している。5つをすべて列記すると、(1) 事実上の直角調整用シャフトは、上述のように完全に剛性のものとして提供可能である。(2) キャリジに対して直角なこの状態では、出口プーリードラムを用いると、キャリジの右の鋳造ベルトのレベリング又はコンディショニングが可能になる。ベルトのかかるレベリング又はコンディショニングは、追加の機器、即ちバーゲロン氏、ウッド氏及びハゼレット氏の米国特許第4,921,037号に示されているような嵌め合せ式小径ベルトローラを用いることが必要である。なお、かかる米国特許は、本出願人に譲渡されており、その内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
【0025】
さらに、(3) 事実上の直角調整用シャフトは、ベルトの一方の縁部が他方よりも長い湾曲した又は切頭円錐形ベルトに対応するために、「捩り剛性」の無い状態で提供可能である。この事実上の直角調整用シャフトを用いると、均一の圧力をベルトの両縁部に向けて及ぼすことにより非円筒形ベルト形状に対応できる。または、(4) 事実上直角調整用シャフトを操舵の問題も考慮して切頭円錐形ベルトに最も良く対応するために、0と事実上無限との間の任意のレベルの事実上の捩り剛性のものであるよう構成できる。最後に、(5) 角度が0°の整列状態にある事実上の捩りシャフトの固有初期状態を、事実上、例えばそれぞれのキャリジの機内側側部と機外側側部との間の連鋳機10のキャリジ組立体U又はL全体の長さの僅かな整合不良を補償するために僅かに「斜め」になっている場合がある。
【0026】
上述のモード(3)に戻ると、ベルトの初期湾曲度又は初期の切頭円錐形形状が誇張された状態で図8に示されている。これは、ベルト製造中に不用意に導入される場合のある2つの縁部の僅かに異なる長さの問題である。かかる切頭円錐形は、望ましくない動作状態をもたらす。というのは、軽く張られている縁部86は、高い鋳造熱を受けている間にその平坦度を維持するほどの張力を有しておらず、他方一層強く張られた縁部88は過剰応力を受けてその降伏強さを越えて引き伸ばされ、その平坦度を失うからである。また、ベルトを操舵する上での問題、即ち、ベルトがそのキャリジ上の2つのプーリードラムの周りに走行する時の側方へのドリフトを防止するという問題がある。
これらの問題に対応するために適した張力付与モード(上述の3)は、鋳造ベルトの2つの縁部の相対的長さの僅かな誤差を補償する。即ち、最も単純な形のこのモードは、たとえベルトが僅かに切頭円錐形であっても、幅の広い鋳造ベルトを横切って一定の力をベルトに及ぼし、それにより、その縁部86のうち一方を「円筒形」にするのとは違って、他方88よりも少し長くする。
【0027】
鋳造ベルト14′をピンと張り始める際、機内側シリンダ46′が強い接触力を図8の点88にまず最初に生じさせるものとする。(実際のベルト形状に対応するため、機外側張力付与シリンダ48は、機内側シリンダ46′よりも遠くに伸びて機外側シリンダが図9の点86のところでベルトに追い付き、ついには一定の所定の力が両方のシリンダ46′,48′によって等しくベルトに及ぼされ、その結果、ベルトを横切って比較的等しい張力が生じるようになる。今や、出口プーリードラム22の軸線は、キャリジの長さ方向寸法まで角度φ(非常に誇張して示されている)、円で囲んだ領域90の周りに回転させる。その結果得られる張力の均等性は従来技術とは異なっている。というのは、本発明者が鋳造ベルトを製造する際の僅かな誤差に対する対応がこのように首尾よく行われ、他方、その他の問題が導入されることはないということを発見したからである。即ち、キャリジがベルトを支配するよう構成するのではなく、ベルトがキャリジの動作の少なくとも一部を支配するようにする。
【0028】
上述のモード(4) で言及したように、事実上の直角調整用シャフトを、0と事実上無限との間の任意レベルの有効捩り剛性のものであるよう構成するのがよい。この適合レベルから極度に大きなレベルの剛性までのこの広い制御範囲内において、完全に順応的なベルト張力付与具合と剛性的に直角にされるプーリードラムによって与えられる順応度ゼロとの間で妥協点が見出だされる。この広い制御範囲は、不揃いな鋳造ベルトを正しく操舵する際に役立つ場合がある。
事実上の直角調整用シャフトを用いて、2軸ロボット装置を制御し、プーリーがあたかも剛性の機械的な直角調整用シャフトによって拘束されるかのように作用し、それによりプーリーの両端の長手方向運動が同期され、それにより円筒形鋳造ベルトへの張力付与具合が調整される。また、この制御モードにより、通常機械的直角調整用管又はシャフトで得られる有効剛性よりも大きな有効剛性で連鋳機上の右側のベルトのレベリングが可能になる。変形例として、剛性を電気的に「軟化」させ、或いは再び0の目盛りに合わせ、又は無くしても良い。その目的は、ベルト鋳造における僅かな誤差に対応するためである。この場合も、鋳造キャリジの長さの組込み寸法において僅かな誤差があっても、部分的に電気的な事実上の直角調整用シャフトを有効に非弾性的に「捩じる」電気的調整により有効にこの誤差を効果的に無くすことができる。
【0029】
横方向傾斜による従来のシーソーベルト操舵方式(16A、16B、16C)は、鋳造平面Pに垂直なY−Y平面内で中央直径部の周りに円で囲んだプーリードラム傾斜軸線92を角度θ傾斜させることによって行われる。Y−Y平面もまた、図1のX−X平面に垂直である。この従来型シーソー操舵方式では、図6Bに中立操舵位置で示されている出口プーリードラム22は、鋳造平面Pから相当な間隔94を置いて位置している。
鋳造平面Pからの出口プーリードラムの従来の中立位置におけるこの相当な間隔94のために、出口に近いベルトの部分は常時、鋳造平面から実質的に離れており、それにより従来技術の項目で言及したように、新しく鋳造されたスラブを肝心なときに支持体から奪い、他方、この新しく鋳造されたスラブの下流側部分は鋳造領域に沿って連鋳機の出口端部Dに向かって移動している。
【0030】
種々の連鋳機形態における従来型横方向傾斜舵取りを提供するための種々の方法及び装置が、米国特許第3,036,348号、第3,123,874号、第3,142,873号、第3,167,830号、第3,228,072号、第3,310,849号、第3,878,883号、第3,949,805号及び第3,963,068号に示されており、これらはすべて本出願人に譲渡されている。上述の米国特許第3,963,068号の従来技術が図6A,図6B及び図6Cに概略的に示されている。
初期従来型のポンプ−ハンドル−傾斜舵取り方式が図6D、図6E、図6Fに示されている。このポンプ−ハンドル−傾斜操舵は、このドラム軸線を出口プーリードラムの一端のところに位置していて円で囲んだ操舵軸線96の回りに回動させることによってプーリードラム回転軸線Aを角度θ傾斜させることによって達成される。この傾斜は、鋳造平面Pに対して垂直であり、また図1から理解されるようにX−X平面にも垂直なY−Y平面で生じる。
【0031】
ポンプ−ハンドル操舵方式の中立操舵位置では、出口プーリードラムは図6Eに示すように、シーソー操舵で生じる間隔94(図6B)よりも鋳造平面から大きな距離98離れて位置している。その結果、図6Eから理解されるように、出口に近いベルトの部分は常時、図6Bの場合よりも相当な程度鋳造平面から更にそれており、それにより、鋳造キャリジに沿って連鋳機の出口端部Dに向かって移動している新たに鋳造されたスラブの下流側部分についての支持能力がかなり低くなる。
シーソー傾斜操舵方式において(図6A、図6B及び図6C)、操舵ピボット軸線92はキャリジ上のある位置に固定した状態のままであることに注目することは重要である。同様に、ポンプ−ハンドル−傾斜操舵方式(図6D、図6E及び図6F)において、操舵ピボット軸線96はキャリジ上の定位置に固定状態のままである。
【0032】
図7A、図7B及び図7Cに示すような「歩行型傾斜」操舵方式は、「シーソー傾斜」操舵方式(図6A、図6B及び図6C)又はポンプ−ハンドル傾斜操舵方式(図6D、図6E及び図6F)の改良例である。歩行傾斜操舵方式は、人の歩き方に類似しているものと考えることができる。この「歩行」との類似性は、図7A、図7B及び図7Cを見ても非常にぴったりとしているわけではない。というのは、傾斜平面Pはこれらの図においてはプーリードラム22の上に位置した状態で示されているからである。しかしながら、図7A、図7B及び図7Cを逆さまにすると、歩行と類似した特徴が目で見て理解されるようになる。以下に延べる「右」及び「左」という用語は、図7A、図7B及び図7Cを逆さにした状態でいうものとする。
【0033】
類似性についての説明を続けると、例えば左側の足は地面P(図7A)についていて、これに対し右側の足は地面から離れて動いている。図7Aでは、ベルト14は、キャリジの機内側側部に向かって操舵されている。次に、中立操舵について右側の足は地面に直ぐに戻る(図7B)。図7Cでは、左側の足は持ち上げられ、これに対し右側の足は地面についたままである。図7Cでは、ベルトはキャリジの機外側側部に向かって操舵されている。人が歩くとき、両方の足が地面から離れるような瞬間はない。同様に、歩行傾斜操舵方式では、操舵及びベルトへの張力付与プーリードラムの両端が鋳造平面Pから離れるような瞬間はない。換言すると、出口プーリードラムのうちドラムの少なくとも一方の端は常時鋳造平面Pに近接している。
【0034】
図7A、図7B及び図7Cは、1サイクルの歩行モード操舵中の注目に値する操舵位置を誇張すると共に単純化して示している。これらの図では、下側キャリジのベルト張力付与プーリードラム22は、連鋳機10の排出端Dのところで上流側に見える状態で示されている。一方の「足」、即ち張力付与プーリードラム22の一方の端部82,84のいずれかは常時「下」に位置する。即ち、少なくとも一方の端82又は84が鋳造平面Pに対し近接していないような場合はない。
図7Bは、中立歩行傾斜位置を示している。下側出口プーリードラム22の両端は有利には、従来技術における間隔94(図6B)又は98(図6E)とは異なり、鋳造平面Pに近接して位置している。図7Aでは、円で囲んだ操舵ピボット軸線100は、出口プーリードラム22の機内側端部84のところで鋳造平面Pに隣接して位置し、これに対しこのプーリーはキャリジの機内側側部に向かって回転ベルト14を操舵するために示された方向に傾斜している。図7Cにおけるように機外側側部に向かって操舵している時、円で囲んだ操舵ピボット軸線102は、プーリードラムの反対側の端に完全にシフトされ、したがってこの操舵ピボット軸線102は今や、プーリードラム22の機外側端部82のところに位置し、これに対しプーリードラムは図7Cに示す方向に傾斜している。図7A、図7B及び図7Cに示すように達成される大きな利点は、鋳造ベルト14の出口部分が鋳造平面Pから最小レベルだけ離隔していることである。
【0035】
図2、図3、図4及び図5に注意を戻すと、機内側操舵シリンダ106及び機外側操舵シリンダ108(図3には108のみ示す)は、ピボット110によってキャリジフレーム21に取り付けられている。これら操舵シリンダ(106,108)は、一次梃であるレバー116に符号114のところで回動自在に連結されているピストンロッド112を有している。即ち、レバー116は、下側キャリジフレーム21内に固定された支点ピン118の回りに回動する。操舵レバー116の他端は、球形ブッシュ60を支持している。かくして、操舵シリンダ108を作動させると、そのピストンロッド112は伸縮し、それにより操舵レバー116がその固定ピボット118の回りに揺動する。レバー116のこの揺動操舵運動を可能にするための隙間が符号119のところに生じている。ピストンロッド112を伸長させると、球形ブッシュ60が移動し、それにより操舵ピボット軸線Sが図3において下方に鋳造平面から遠ざかって移動し、ピストンロッド112が引っ込められる時にはその逆になる。球形ブッシュ60の上下動により、可動軸受ハウジング54又はその機内側均等物(図示せず)が昇降する。テーパころ軸受58(図4及び図5)を通って出口プーリードラムの一方又は他方のジャーナル63又は64がそれに対応して昇降し、それにより回転鋳造ベルト14に歩行−傾斜操舵作用(図7A、図7B及び図7C)が与えられる。
【0036】
上述の歩行傾斜ベルト操舵方式により、別の有利な効果が得られ、即ち、妨害が傾斜操舵動作の横方向成分に起因して生じる限り、比較的妨害されない鋳造領域が得られる。図6A〜図6Fに示すような従来技術では、傾斜操舵動作は一般に、X平面における著しい左右の運動が例えば符号14″のところで引き起こされ、それゆえ鋳造ベルトが符号14″のところで操舵プーリードラムに接触する平面P内における鋳造ベルトについて幾分かの変形が生ずる。
この問題は、上記に例示したように歩行傾斜操舵方式で主として解決され、ここでは、鋳造ベルト(これは、符号14″′のところにおいて出口プーリードラムに近い鋳造平面P内に位置する(図3、図7A、図7B、図7C))が有利には、ベルト操舵動作中、横方向に、即ちX平面内において右又は左の方にほとんどシフトしない。この結果は、本発明における出口プーリードラム22又は18が、軸線Aに沿ってどこにでも横方向に拘束されず、その浮動軸受ハウジング54,56が、操舵リンク156内に捕捉される球形ブッシュ60によって拘束され、操舵リンクがキャリジフレーム21内のしっかりと取り付けられたピボットピン118上に横方向に捕捉されるという事実から得られるものと予測される。それゆえ、平面Y内での傾斜のためのピボット点(図3、図7A〜図7C)が、軸線Aに達する大きな距離Rではなく、鋳造平面Pから比較的僅かな距離Dのところに位置する。この大きな距離Rがあると、操舵中点14″′のところで著しい側方への厄介なベルト運動が生ずることになる。したがって、鋳造ベルトの操舵中、出口プーリードラムの傾動は、ベルトを、ベルトがプーリードラムの近くの平面P内に位置する点14″′のところで最小限度のみ側方へ移動させることができる。それにより、有害な斜め応力の発生、それ故、操舵機構の作動中に生じる鋳造領域内でのベルトの変形及び段付けが防止される。ベルトは、鋳造製品との良好な接触状態を保ち、それにより鋳造速度及び鋳造塀品の品質が向上する。
【0037】
デゾーテルズ氏及びカイザー氏の米国特許第4,940,076号に記載されているようなベルト位置センサは、回転ベルト14の側方ドリフトを測定し、コントローラに送られる電気信号を出す。キャリジ内の固定部材122に取り付けられていて、電気導線124を備えた位置検出電位差計120が、各操舵レバー116の被駆動端の上下方向の位置を測定する。この情報は、上記の電気的コントローラユニットに送られ、この電気的コントローラユニットは、上述したベルトへの張力付与の制御を司り、このプログラマブルロジックコントローラは、比例積分及び微分プログラム利用のソフトウェアで動作する。これらプログラムは、プロセス制御分野の当業者には公知である。
コンピュータ情報プログラムにより、本明細書で述べた変数の表示、監視及び調整が可能であり、それと同時に、ベルトへの張力付与及び操舵だけでなく、連鋳機及びその関連機器の作動に係る全てのパラメータの同調、問題解決及び保守のためのデータ収集システムが構築される。
【0038】
張力付与プーリードラムを鋳造平面に平行な平面内で斜めにすることによって生じる僅かな操舵上の動作は、「同一平面上の斜め操舵方式(coplanar-skew steering)」と呼ばれている。この操舵方式は、ダイクス氏、ダニエル氏及びウッド氏の米国特許第4,901,785号荷開示され、特許請求の範囲に記載されている。場合によっては、この操舵方式を、電気的コントローラユニットによる適当な協調を行って歩行傾斜操舵方式と併用すると有利である。
要約すると、出口プーリードラム22の軸線Aの機外側端部を始点とする図1及び図3の運動ベクトルMで示されているように、図示し説明した装置は、出口プーリードラムの互いに反対側の端部をそれぞれの運動ベクトルMで独立的に移動させ(図1及び図3には機外側のベクトルMだけが示されている)、各ベクトルMは、鋳造平面に平行なX−X平面(図1)と整列した動作成分を有し、各ベクトルMは、鋳造平面に垂直なY−Y平面(図1)と整列した動作成分を有し、X−X平面と整列した運動成分の大きさは、運動ベクトルMの始点から終点までの長さ範囲にあり、Y−Y平面と整列した運動成分の大きさは、運動ベクトルMの始点から終点までの長さ範囲にある。また、この出口プーリードラム22の軸線Aの機内側端を始点とする運動ベクトルM(図示せず)がある。記載した装置は、上側出口プーリードラム18の互いに反対側の端部を、下側出口プーリードラム22の機外側端部及び機内側端部について上述した運動ベクトルと類似したそれぞれの運動ベクトルMで独立的に移動させる。
【0039】
本発明の現時点で好ましい特定の実施形態を詳細に説明したが、本発明のこの実施形態は例示の目的で記載されていることは理解されるべきである。記載した方法及び装置の細部は、本発明の範囲から逸脱することなく特定の鋳造設備又は鋳造状況に適合するよう当業者によって設計変更されるので、実施形態に関する上述の説明は本発明の範囲を限定するものではない。たとえば、上記説明は、2本ベルト型連続鋳造設備に関するものであるが、本発明は、比較的平らな鋳造領域を有する1本ベルト型連鋳機で具体化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が有利に用いられたベルト型連続鋳造設備の例示として示された2本ベルト型連続鋳造設備の側面図である。
【図2】入口プーリードラム及び出口プーリードラムを備えた下側回転鋳造ベルトを上方且つ幾分下流側から見た概略斜視図である。なお、下側キャリジは、図面を分かりやすくするために省略してある。図2は、本発明を具体化した方法及び装置に係る2軸操舵及び張力付与動作を説明するために必要な関係を示している。この図は、概念的には正しい作用状態で示されているが、実際の位置にあるわけではなく、実際の連結状態で示されているわけでもない力アクチュエータを概略的に示している。また、この略図は、真(実際)の操舵ピボット軸線が出口プーリードラムの端から端まで前後にどのようにシフトするかを示しているわけではなく、図7A、図7B及び図7Cに示すような「歩行傾斜」操舵を達成するために真の操舵ピボット軸線が有利にはどのように鋳造平面Pに非常に近接して位置するかを示しているわけでもない。
【図3】本発明を具体化した装置を示すために図1に示されている連鋳機の下側ベルトキャリジの出口端部の部分断面拡大側面図であり、図4の3−3線矢視図である。
【図4】図1の4−4線で示す位置から上流側に見た下側出口プーリードラムの断面側面図であり、下側ベルトの一部を切り欠き、機内側軸受の一部が断面で示された図である。
【図5】下側キャリジの機外側の上方から見た下側キャリジの出口部分の一端の拡大部分断面平面図であり、図3及び図4の5−5線矢視図である。
【図6A】従来技術を示す図であり、従来のベルト型連鋳機の下流側端部又は出口側端部の側面図であり、図1の6A−6A線で示された平面から上流側方向に見た従来型連鋳機の図である。この図は、従来型の「シーソー」傾斜方式による操舵動作を(誇張して)示しており、かかる操舵操作では、下側出口プーリードラムの傾斜は鋳造平面に実質的に垂直な平面内で生じ、このシーソー傾斜動作の傾斜中心軸線(ピボット軸線)が小さな円で指示されている。
【図6B】従来技術を示す図であり、従来のベルト型連鋳機の下流側端部又は出口側端部の側面図であり、図1の6A−6A線で示された平面から上流側方向に見た従来型連鋳機の図である。この図は、従来型の「シーソー」傾斜方式による操舵動作を(誇張して)示しており、かかる操舵操作では、下側出口プーリードラムの傾斜は鋳造平面に実質的に垂直な平面内で生じ、このシーソー傾斜動作の傾斜中心軸線(ピボット軸線)が小さな円で指示されている。図Bに示す中立操舵位置では、出口プーリードラム全体は、鋳造平面から相当な距離離れて位置する。
【図6C】従来技術を示す図であり、従来のベルト型連鋳機の下流側端部又は出口側端部の側面図であり、図1の6A−6A線で示された平面から上流側方向に見た従来型連鋳機の図である。この図は、従来型の「シーソー」傾斜操舵動作方式を(誇張して)示しており、かかる動作方式では、下側出口プーリードラムの傾斜は鋳造平面に実質的に垂直な平面内で生じ、このシーソー傾斜動作の傾斜中心軸線(ピボット軸線)が小さな円で指示されている。
【図6D】図6A〜図6Cに示した従来技術よりも更に初期の従来技術を示す図であり、見る向きにおいて図6A〜図6Cと類似している。この図は、初期従来技術の傾斜操舵動作方式を(誇張して)示しており、かかる動作方式では、傾斜は、鋳造平面に実質的に垂直な平面内で生じると共に出口プーリードラムの一端のところに位置した傾斜軸線(小さな円の中心に示されている)の回りに行われる。この初期従来型操舵方式は「ポンプ−ハンドル−傾斜(pump-handle-tilt) 」操舵方式と呼ばれる。
【図6E】図6A〜図6Cに示した従来技術よりも更に初期の従来技術を示す図であり、見る向きにおいて図6A〜図6Cと類似している。この図は、初期従来技術の傾斜操舵動作方式を(誇張して)示しており、かかる動作方式では、傾斜は、鋳造平面に実質的に垂直な平面内で生じると共に出口プーリードラムの一端のところに位置した傾斜軸線(小さな円の中心に示されている)の回りに行われる。この初期従来型操舵方式は「ポンプ−ハンドル−傾斜(pump-handle-tilt) 」操舵方式と呼ばれる。
【図6F】図6A〜図6Cに示した従来技術よりも更に初期の従来技術を示す図であり、見る向きにおいて図6A〜図6Cと類似している。この図は、初期従来技術の傾斜操舵動作方式を(誇張して)示しており、かかる動作方式では、傾斜は、鋳造平面に実質的に垂直な平面内で生じると共に出口プーリードラムの一端のところに位置した傾斜軸線(小さな円の中心に示されている)の回りに行われる。この初期従来型操舵方式は「ポンプ−ハンドル−傾斜(pump-handle-tilt) 」操舵方式と呼ばれる。
【図7A】本発明を具体化した連鋳機の有利な歩行傾斜操舵動作を(誇張して)示した図であり、図1及び図3の7A−7A線で示した位置から見た図である。
【図7B】本発明を具体化した連鋳機の有利な歩行傾斜操舵動作を(誇張して)示した図であり、図1及び図3の7B−7B線で示した位置から見た図である。
【図7C】本発明を具体化した連鋳機の有利な歩行傾斜操舵動作を(誇張して)示した図であり、図1及び図3の7C−7C線で示した位置から見た図である。
【図8】上側キャリジを省いた状態で上から見た下側出口プーリードラムの単純化平面図であり、出口プーリードラムが、長手方向張力がベルトに加わりはじめたときに最初に湾曲し又は「切頭円錐形」になったベルトに先ず最初に接触した状態でこれを示す図であり、図1、図3及び図4の8−8線矢視図である。切頭円錐形ベルトの形体は、説明の便宜上、大幅に誇張して示してある。ベルトに張力を付与するシリンダは、これらの実際の位置にある状態では示しておらず、実際のリンク装置は示していない。
【図9】図8と類似した単純化平面図であり、出口プーリードラムが図8に示す湾曲した又は「切頭円錐形」の鋳造ベルトに一様に張力を付与するために一定の操作力を及ぼしているときの出口プーリードラムの位置を示す図である。
【符号の説明】
10 2本ベルト型連続鋳造設備又は連鋳機
11 送込み装置
12 上側鋳造ベルト
14 下側鋳造ベルト
16,20 入口プーリードラム
18,22 出口プーリードラム
19 上側キャリジフレーム
21 下側キャリジフレーム
M 移動鋳型領域
P 鋳造平面
U,L キャリジ組立体
Claims (10)
- 実質的に真っ直ぐな鋳造平面によって画定された鋳型領域を有し、出口プーリードラムの周りに無端可撓性鋳造ベルトが回転し、鋳造平面に沿って下流側方向に走行するようになっているベルト型連続金属鋳造設備について、回転鋳造ベルトを操舵する方法が、回転鋳造ベルトが第1の方向に操舵される必要があるときだけ出口プーリードラムの第1の端部を鋳造平面から遠ざける段階と、回転鋳造ベルトが前記第1の方向とは逆の第2の方向に操舵される必要があるときだけ出口プーリードラムの第2の端部を鋳造平面から遠ざける段階と、出口プーリードラムの少なくとも一方の端部を常時、鋳造平面に近接保持する段階とを有することを特徴とする回転鋳造ベルトの操舵方法。
- 出口プーリードラムをその第2の端部のところに位置した第1の操舵軸線の回りに揺動させることにより出口プーリードラムの第1の端部を鋳造平面から遠ざける段階と、出口プーリードラムをその第1の端部のところに位置した第2の操舵軸線の回りに揺動させることにより出口プーリードラムの第2の端部を鋳造平面から遠ざける段階とを有することを特徴とする請求項1記載の回転鋳造ベルトの操舵方法。
- 出口プーリードラムは回転軸線A及び半径Rを有しており、前記方法は、第1の操舵軸線を鋳造平面から、半径Rの約30%以下の距離dのところに位置させる段階と、第2の操舵軸線を鋳造平面から、半径Rの約30%以下の距離dのところに位置させる段階とを有することを特徴とする請求項2記載の回転鋳造ベルトの操舵方法。
- 鋳型領域の下流側の端に位置した出口プーリードラムを回転自在に駆動することにより鋳造ベルトを回転させる段階と、出口プーリードラムの両端部が鋳造平面に近接する中立操舵位置を出口プーリードラムについて規定する段階と、出口プーリードラムの中立操舵位置において、第1及び第2の操舵軸線を、回転軸線Aと整列した状態でこれを通ると共に鋳造平面Pに垂直なY−Y平面内に配置する段階とを有することを特徴とする請求項2記載の回転鋳造ベルトの操舵方法。
- 出口プーリードラムは回転軸線を有し、そのベルト接触面が回転軸線から半径Rのところに位置しており、前記方法は、出口プーリードラムをその回転軸線の回りに回転自在に駆動することにより鋳造ベルトを回転させる段階と、出口プーリードラムの第1の端部を鋳造平面から遠ざけると共に出口プーリードラムの第2の端部を鋳造平面に近接保持した状態で出口プーリードラムの回転軸線を鋳造平面にほぼ垂直な平面内で傾斜させることによって回転鋳造ベルトを第1の方向に操舵する段階と、出口プーリードラムの第2の端部を鋳造平面から遠ざけると共に出口プーリードラムの第1の端部を鋳造平面に近接保持した状態で出口プーリードラムの回転軸線を鋳造平面にほぼ垂直な平面内で傾斜させることによって回転鋳造ベルトを第2の方向に操舵する段階とを有することを特徴とする請求項2記載の回転鋳造ベルトの操舵方法。
- 出口プーリードラムの回転軸線を出口プーリードラムの第2の端部に隣接して鋳造平面から、半径Rの約30%以下の第1の距離dのところに位置した第1の操舵軸線の回りに傾斜させることにより、出口プーリードラムの第2の端部が鋳造平面に近接保持された状態で第1の端部が鋳造平面から遠ざけられ、出口プーリードラムの回転軸線を出口プーリードラムの第1の端部に隣接して鋳造平面から、半径Rの約30%以下の第2の距離dのところに位置した第2の操舵軸線の回りに傾斜させることにより、出口プーリードラムの第1の端部が鋳造平面に近接保持された状態で第2の端部が鋳造平面から遠ざけられることを特徴とする請求項5記載の回転鋳造ベルトの操舵方法。
- ほぼ真っ直ぐな鋳造平面によって画定された鋳型領域を有し、出口プーリードラムの周りに無端可撓性鋳造ベルトが回転し、鋳造平面に沿って鋳型領域への入口から、鋳型領域からの出口へ長手方向に走行して鋳型領域を通過するようになっているベルト型連続金属鋳造設備において、出口プーリードラムの互いに反対側の端部をそれぞれの運動ベクトルMで独立的に移動させる装置を有し、各運動ベクトルMは、鋳造平面に平行なX−X平面と整列した運動成分を有し、各運動ベクトルMは、鋳造平面に垂直なY−Y平面と整列した運動成分を有し、X−X平面と整列した運動成分の大きさは、前記運動ベクトルMの始点から終点までの長さ範囲にあり、Y−Y平面と整列した運動成分の大きさは、前記運動ベクトルMの始点から終点までの長さ範囲にあり、
さらに、出口プーリードラムは回転軸線を有すると共に回転軸線と同心状の中空円筒形の形をしており、出口プーリードラムは、第1及び第2の端部を有し、第1及び第2の端部ベルが、出口プーリードラムの第1の端部及び第2の端部にそれぞれ固定され、第1及び第2のスタブシャフトが、第1及び第2の端部ベルにそれぞれ固定され、第1及び第2のスタブシャフトは、前記回転軸線と同心状であって第1及び第2の端部ベルから外方へ突出しており、出口プーリードラムを前記回転軸線の回りに回転させる回転駆動機構が、第1のスタブシャフトに結合されていることを特徴とする装置。 - 第1の張力付与組立体が、第1の端部を前記入口から鋳造平面に平行な方向に遠ざけてベルトに張力を付与するために前記入口から遠ざかる方向へ鋳造平面に実質的に平行に作用する第1の力を第1のスタブシャフトに及ぼし、第2の張力付与組立体が、第2の端部を前記入口から鋳造平面に平行な方向に遠ざけてベルトに張力を付与するために前記入口から遠ざかる方向へ鋳造平面に実質的に平行に作用する第2の力を第2のスタブシャフトに及ぼすことを特徴とする請求項7記載の装置。
- 鋳造ベルトは、キャリジの周りに回転し、第1及び第2の可動ハウジングが、第1及び第2のスタブシャフトをそれぞれ回転自在に支持し、第1及び第2の操舵用一次梃が、第1と第2の操舵用一次梃の上流側端部と下流側端部との中間に設けられたそれぞれのピボットピンによってキャリジに回動自在に取り付けられ、操舵用一次梃は、鋳造平面にほぼ平行に差し向けられ、ピボットピンは、鋳造平面から等間隔を置いたそれぞれの位置でキャリジに取り付けられ、ピボットピンの位置は、出口プーリードラムの回転軸線よりも鋳造平面に近接し、第1及び第2の可動ハウジングは、第1及び第2の操舵用一次梃の下流側端部の近くにそれぞれ設けられた第1及び第2の球形ブッシュによって支持され、キャリジに取り付けられた第1及び第2の操舵用駆動機構が、第1及び第2の操舵用一次梃の上流側端部の近くで第1及び第2の操舵用一次梃にそれぞれ連結され、第1及び第2の操舵用駆動機構は、可動ハウジングを選択的に鋳造平面から遠ざけたり、これに近づけて鋳造ベルトを回転させるために第1及び第2の操舵用一次梃の上流側端部を選択的に鋳造平面に近づけたり、これから遠ざけ、第1及び第2のベルト張力付与用駆動機構が、キャリジに取り付けられ、第1及び第2のベルト張力付与用駆動機構はそれぞれ、第3及び第4の球形ブッシュによって第1及び第2の可動ハウジングに連結され、第3及び第4の球形ブッシュはそれぞれ、第1及び第2の球形ブッシュの位置からみて、出口プーリードラムの回転軸線のほぼ反対側の端に配置され、第1及び第2のベルト張力付与用駆動機構は、第1及び第2の可動ハウジングをそれぞれ第1及び第2の球形ブッシュの周りに揺動させることによって第1及び第2の可動ハウジングを選択的に下流側へ移動させることを特徴とする請求項7記載の装置。
- 円筒形出口プーリードラムは、その回転軸線からの外半径Rを有し、第1及び第2の球形ブッシュは、第1及び第2の軸線Sを有し、第1及び第2の操舵用一次梃の中立操舵位置では、軸線Sは、鋳造平面から等距離dのところに位置し、距離dは、外半径Rの約30%以下であることを特徴とする請求項9記載の装置。
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