JP3953174B2 - 乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット及びその製造方法 - Google Patents

乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートや石材などに代表される硬脆材に対して孔あけ作業を行う場合、冷却水またはその他の加工液を用いずに、通常のドリルに装着するだけで容易に操作することができ、かつ高速穿孔を可能とした乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石材やコンクリート構造物などの硬脆材に孔を穿設するために用いられる穿孔工具として、従来からダイヤモンドコアビットが汎用されている。これらダイヤモンドコアビットは、中空円筒状のボディの先端にダイヤモンド砥粒とボンドとで形成されたダイヤモンド砥石を取り付け、ビットの回転を介して硬脆材を切削する機構により穿孔される。
【0003】
一般に、ダイヤモンド砥石は熱に弱いため、これを使用する場合は、主に水を供給して刃先を冷却する。特にドリルビットとして用いる場合、刃先のダイヤモンド砥粒は、被削材に常に押しつけられるため、ブレードなどとして使用されるよりもはるかに熱的に過酷な条件となる。
また、ビットが小径になるほど、ビット自体の熱容量と放熱面積が小さくなって、刃先の蓄熱が増大するため、砥粒として最高級レベルのダイヤモンドを用いても、仮に冷却水を用いずにコンクリート等の穿孔を行った場合、穿孔初期(数十秒)で、刃先砥粒のほとんどが熱損耗し、さらにメタルボンドの焼き付きを起こし、すぐに穿孔不能となる。
【0004】
上記の問題点を解決するものとして、ボディの中空孔から刃先に、水又は適宜な加工液を供給することにより、刃先の冷却と切削屑の排出を強制する湿式穿孔型ダイヤモンドコアビットも提案されているが、この方式では水または加工液を供給するための設備や専用の回転工具が必要であることに加え、排水または排液による作業環境の汚染や感電事故対策など、作業前の段取りや作業後の始末などに煩雑な手間を要し、作業のスピードを問われる小径の孔あけ作業に対しては適切なものではなかった。
【0005】
また、上記の問題点を解決するものとして本発明者らは、軸方向に内孔を有する中空円筒状のボディと、その先端部に前記ボディの内孔と連通する中空孔を備えたダイヤモンド砥石を一体に結合した構造のダイヤモンドコアビットであって、前記ダイヤモンド砥石の刃先形状を、ボディとの結合面から先端部に向かって小径化した円錐台形に設計するとともに、ダイヤモンド砥石の中空孔の内径寸法を、その最大外径に対し10〜60%の範囲に設定し、かつボディ側面の適宜な位置に少なくとも1個の切削屑排出口を設けた乾式穿孔用のダイヤモンドコアビットを提案している(特開平8−174537号)。
【0006】
さらに本発明者らは、軸方向の外周に沿って螺旋溝を設けたボディの先端部に、ダイヤモンド砥石を一体に結合した構造のダイヤモンドドリルビットであって、前記ダイヤモンド砥石の刃先形状を、ボディとの結合面から先端部に向かって小径化した円錐台形に形成すると共に、ダイヤモンド砥石の回転軸を含む刃先先端面からボディ回転軸に達し、かつ螺旋溝に連通する少なくとも1条のスリットを形成した乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットを提案した(特開平8−238617号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の発明により、石材やコンクリートへの穿孔作業の際、切削屑が高能率で排出されることになり、刃先で発生する熱も同時に効率よく系外へ排出され、切れ味が良いので刃先での摩擦熱の発生も少なく、かつ高速穿孔によって次々と新しい被削面が現れることによる被削剤への放熱作用も増進するため、比較的小孔径の孔あけ作業において、水またはその他の加工液を用いなくても、優れた穿孔速度での穿設が可能となった。
【0008】
このようにダイヤモンドドリルビットの切れ味を良くするためには、砥石先端の面積をできるだけ小さくし、被削材への先端砥粒の食い込みを良くすることが必要である。すなわち、ダイヤモンド砥石の砥石面とスリットが占める相対面積比において、スリット面積を分母に、砥石面積を分子とした場合に、この面積比を小さくすることが好ましいが、この場合、先端砥粒の必要数を確保するためには、ボンドに対するダイヤモンドのコンセントを高くする必要がある。
【0009】
かように、切れ味を良くするために、先端面積比を小さく、かつダイヤモンドコンセントを高くすると、ボンド部分の絶対体積が小さくなり、砥石全体としての強度が低くなるため、場合によっては穿孔中の砥石の欠けや割れが生じる、という課題を残していた。また、砥石部が大きく割れた場合は、そこでビットの寿命となり、また、小さく欠けが生じる場合でもその直後の穿孔にて砥石部の摩耗が激しくなり、結果として、安定した寿命性能を発揮することは困難であった。
【0010】
一方、特開平8−174537号等のビットの製造方法において、ダイヤモンド砥石部は、一体物として焼結した後に、必要なスリットを後加工で設けるか、もしくはスリットの両サイドに分割した形で別々に焼結した後に、各々をボディに溶接して一体物とする、という2通りの方法が採られているが、例えば前者の方法においては、上記後加工は、放電加工等の熱エネルギーを用いることとなり、しかも非常に長時間を要することから著しく量産性が低いという問題がある。また、後者の方法によれば、分割して作るため、焼結や溶接する部品点数が増加するので、やはり量産性が悪くなり、コスト高になるという課題を残していた。
【0011】
従って、本発明の目的は、上記従来技術に残された課題を解決し、コンクリートや石材などの硬脆材に小孔を穿設するにあたり、水や加工液を用いずに簡便な汎用工具に装着して高速かつ連続的に穿孔が可能で、しかも安定した寿命性能を発揮し、かつ量産性が良く低コストにて生産できる乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットとその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットは、金属ボディと、該金属ボディの先端にダイヤモンド砥石を一体に結合した構造のダイヤモンドドリルビットであって、該ダイヤモンド砥石に、該ダイヤモンド砥石の回転軸を含むように設けたスリットの溝間隔を、該ダイヤモンド砥石の回転軸に相当する部位で狭く、回転軸から外周方向に離れた部位で広く設けると共に、該スリットに充填材を埋設してなることを主要な構成上の特徴とするものである。また該ダイヤモンドドリルビットの製造方法としては、ダイヤモンド砥石部の原料となるメタルボンドおよびダイヤモンド砥粒とが所定の割合に混合された複数のダイヤモンド層一次成形体の間に、ダイヤモンド砥石の回転軸に相当する部位で狭く、回転軸から外周方向に離れた部位で広くなるような寸法に加工された充填材を挟持するかたちで焼結用モールドにセットし、これを加圧焼結することによって、後加工なしでスリットを有するダイヤモンド砥石の一体構造物を得る工程を有することを構成上の特徴とするものである。
【0013】
本発明において使用される充填材は、ダイヤモンド砥石を構成するダイヤモンド砥粒と、ボンドとの焼結体組成に比較して摩耗し易く、かつ熱膨張率が小さい耐熱性材料から選択される。その根拠については後述するが、上記の条件を満たす耐熱性材料としては、カーボン、クラファイト、炭素繊維等の炭素系材料、シリカ、アルミナ、チタニア、チッ化ホウ素等のセラミックス材料、タングステン系化合物などの金属粉末焼結体、マイカ、二硫化モリブデンまたはPb−Cu系固体潤滑材などを挙げることができる。
【0014】
本発明において、より好ましい構成は、充填材が埋設されたスリットの溝間隔が、ダイヤモンド砥石の回転軸から半径1mm以内では0. 5〜3.0mmの範囲であり、より好ましくは0.5〜2.0mmの範囲である。一方、ダイヤモンド砥石の回転軸から半径1mm以上外周方向に離れた部位の溝間隔は、上記の溝間隔より広く設け、具体的には該条件下、1.0mm以上が好ましく、特に好ましくは2.5mm以上である。また、スリットの溝形状としては、上記溝間隔の要件を満足するものであれば特に制限されないが、例えば、ダイヤモンドドリルビットの先端部からみた形状が、図3及び図8に示すようなダンベル形状としたもの、図9に示すような回転軸から外周方向に少し離れた部位から略扇形形状としたもの等が挙げられる。また、ダイヤモンド砥石の砥石面と、スリットが占める相対面積比が30:70〜70:30であること、ダイヤモンド砥石の外径が3〜20mmであり、金属ボディの外径がその98%以下であることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットによる高い穿孔速度(良好な切れ味)を得るためには、前述のように、ダイヤモンド砥石部の先端面積比を小さくし、かつダイヤモンドコンセントを高くすることが必要である。すなわち先端面積を小さくすることによって、先端ダイヤが被削材に食い込みやすくなり、一方、面積比を小さくしていった場合に、先端砥粒の必要数を確保するためには、ボンドに対するダイヤモンドのコンセントを高くすることが必要である。
【0016】
ところが、先端面積を小さくして、かつダイヤモンドのコンセントを高くすることは、同時に砥石中の金属ボンドの占める割合が、減少することを意味することとなり、結果として砥石部としての強度そのものが低下することとなる。
【0017】
しかしながら、上記手段により、このダイヤモンド砥石に設けたスリットに充填材を埋設した本発明の構造によると、該充填材が砥石の肉薄部の補強材となり、砥石部全体としての必要強度が保たれ、砥石部の欠けや割れを防止することができる。すなわちこの構造により、高い穿孔速度と安定した砥石寿命を両立して得ることができる。
【0018】
ところで、穿孔時に発生する切削屑は回転運動による遠心力と傾斜角によって生ずる駆動力を介して、穿孔壁とボディとの隙間、およびボディの螺旋溝から円滑に後方系外に排出され、刃先面に滞留介在する現象は効果的に阻止される。
同時にダイヤモンド砥石のスリットに埋設された充填材は、穿孔時に発生する切削屑によって徐々にかつ適度に摩耗し、穿孔作業の推移と共に、充填材埋設部が常に砥石先端面よりも少し窪む形を維持しながら、砥石部の摩耗と共に充填材埋設部の摩耗も進行する。
一方、砥石で切削されない切削面中心部付近の被削材は、砥石部に埋設された充填材に接触しこれを多少摩耗させるが、絶対的サイズが小さいためコアとして成長せずにすぐに崩れて細かくなり、該充填材にできた窪みを通ってやはり後方系外に排出される。
【0019】
この切削面中心部付近の被削材がコアとして成長せずにすぐに崩れて細かくなるためには、砥石先端のスリットにて生じる非切削域を充分に小さくしてやる必要があり、すなわちこれは砥石先端の回転軸近傍のスリット幅(溝間隔)を一定以下に小さくすることにより達成できる。しかし、砥石全域にわたり小さなスリット幅にしてしまうと、そのぶん砥石の先端面積が大きくなることになるため、前述のごとく良好な切れ味が得られない。したがって、ダイヤモンド砥石部の構造として、ダイモンド砥石の回転軸近傍ではスリット幅を0.5〜3.0mmとし、かつ外周方向に離れた部分では前記スリットの幅以上とすることにより、これを穿孔に用いたときに被削材のコアを大きく成長させずに、かつ高い穿孔速度がもたらされる。
【0020】
これら作用は、脆く、且つ摩耗性が適度に高い特性を持つ充填材が砥石部のスリットに埋設されていることにより、砥石強度の向上と切削屑の良好な排出性とが両立されることによってもたらされるものである。したがって、スリットへの充填物質が本発明の充填材以外の物、例えば曲げ強度が高く、しかも摩耗性が低い金属の場合は、砥石の補強にはなるが切削屑の効果的な排出経路が得られないばかりか、この金属面に被削材が直接当たり、これが切削抵抗になって、高い穿孔速度を発揮することはできない。
【0021】
本発明の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットの製造方法は、ダイヤモンド砥石部の原料となるメタルボンドおよびダイヤモンド砥粒とが所定の割合で混合された複数のダイヤモンド層一次成形体の間に、ダイヤモンド砥石の回転軸に相当する部位で狭く、回転軸から外周方向に離れた部位で広くなるような寸法に加工された充填材を挟持するかたちで焼結用モールドにセットし、これを加圧焼結することによって、あと加工なしでスリットを有するダイヤモンド砥石の一体構造物を得る工程を有することにある。この際、該ダイヤモンド層一次成形体と充填材とのサンドイッチ構造に隣接して、下地層一次成形体をセットして加圧焼結することも好ましい態様のひとつである。上記の方法により、砥石部にスリット空間を設ける従来例のように焼結後のあと放電加工などの加工を施す必要がなく、かつ焼結後には砥石部として一体構造の物が得られるという点において、本発明の製造方法は非常に量産性に優れた方法である。
【0022】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は本発明のダイヤモンドドリルビットを例示した一部を切り欠いて示した図である。図2において、ダイヤモンド砥石1の回転軸を含むように設けられたスリット2は、砥石部先端面の周速がゼロになる回転軸心4とその近傍の周速が極端に低い部分を砥石面から無くし、該ビットの高い穿孔性能を得るための役割を果たす。一方、このスリット2に埋設された充填材5は、砥石の肉薄になった部分を補強する役割を果たし、これによって砥石部全体としての必要強度が保たれて、砥石部の欠けや割れを防止することができる。つまり、この構造によると、高い穿孔速度と安定した砥石寿命を両立して得ることができる。
【0023】
また、穿孔時に発生する切削屑は、回転運動による遠心力と傾斜角によって生ずる駆動力を介して、穿孔壁とボディ7との隙間、およびボディ7の螺旋溝8から円滑に後方系外に排出され、刃先面に滞留介在する現象は効果的に阻止される。同時にダイヤモンド砥石のスリット2に埋設された充填材5は、穿孔時に発生する切削屑によって徐々にかつ適度に摩耗し、穿孔作業の推移と共に、充填材埋設部の先端6が常に砥石先端面よりも少し窪む形を維持しながら、砥石部の摩耗に先行して充填材埋設部の摩耗が進行する。一方、切削されない切削面中心部付近の被削材は、充填材5に接触しこれを多少摩耗させるが、絶対的サイズが小さいためコアとして成長せずにすぐに崩れて細かくなり、該充填材5に出来た窪みを通ってやはり後方系外に排出される。なお、図2の充填材の埋設部の先端6が少し窪んだ形状となっているが、これは穿孔時または穿孔後を例示したものであり、穿孔前では窪み状であっても、また、窪みのない形状であってもよい。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
【0025】
実施例1
タングステン系ボンドとダイヤモンド砥粒とをダイヤモンドコンセント5.0cts/cm3 になる割合で混合成形したダイヤモンド層一次成形体の間に、図1に示す形状のグラファイト板を挟持すると共に、それに隣接して下地層用一次成形体をセットするようにして焼結用モールドに仕込み、加圧焼結することによって得られたダイヤモンド砥石焼結体をツルーイング加工して形成した外径6.0mm、高さ8.0mm、回転軸に対する傾斜角60度の円錐台状を有するダイヤモンド砥石を外径5.0mm、全長140mmのツイストドリルタイプの鋼製ボディ先端部に溶接し、図2及び図3に示すような構造の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットを作製した。なお、図1の寸法数字はmmを示す。
【0026】
次いで、上記の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットを電動回転ドリルに装着し、回転数1600rpm で、高強度コンクリート板(骨材粒径;25mm、板厚;60mm)に荷重10kgで押し付け、穿孔作業を行ったところ、勢い良く切削屑を排出しながらビットはコンクリートを掘り進み、冷却水や切削水を用いずに乾式で連続穿孔することができた。平均穿孔速度は100mm/minであり、またこのビットの砥石部の完耗に達するまでに、55穴( トータル3300mm)の穿孔作業が可能であることが確認された。
【0027】
実施例2
グラファイト板に代えて、図1に示す形状のマイカセラミックス板を用いた以外は、実施例1と同様にして、図2及び図3に示すような構造の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットを作製した。
【0028】
次いで、実施例1と同様のコンクリート板に対して、実施例1と同様にして穿孔作業を行ったところ、勢い良く切削屑を排出しながらビットはコンクリートを堀り進み、冷却水や切削水を用いずに乾式で連続穿孔することができた。なお平均穿孔速度は80mm/min であり、またこのビットの砥石部の完耗に達するまでに、50穴(トータル3000mm)の穿孔作業が可能であることが確認された。
【0029】
実施例3
グラファイト板に代えて、加圧焼結することによって図1に示す形状でかつ曲げ強度が10MPa 以下になるように調製されたタングステン系金属粉末成形体を用いた以外は、実施例1と同様にして、図2及び図3に示すような構造の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットを作製した。
【0030】
次いで、実施例1と同様のコンクリート板に対して、実施例1と同様にして穿孔作業を行ったところ、勢い良く切削屑を排出しながらビットはコンクリートを堀り進み、冷却水や切削水を用いずに乾式で連続穿孔することができた。なお平均穿孔速度は70mm/min であり、またこのビットの砥石部の完耗に達するまでに、80穴(トータル4800mm)の穿孔作業が可能であることが確認された。
【0031】
比較例1
タングステン系ボンドとダイヤモンド砥粒で形成した(グラファイト板を含まない)外径6.0mm、高さ8.0mm、回転軸に対する傾斜角60度の円錐台状を有するダイヤモンド砥石を外径5.0mm、全長140mmのツイストドリルタイプの鋼板ボディ先端部に溶接し、図4及び図5に示すように、 スリットの無い構造のダイヤモンドドリルビットを作成した。
【0032】
次いで、実施例1と同様に、回転数1600rpm で、高強度コンクリート板(骨材粒径;25mm、板厚;60mm)に荷重10kgで押し付け、乾式で穿孔作業を行ったところ、砥石部先端面の回転軸心とその近傍の周速がゼロ若しくは著しく低いため、この部分は被削材に押し付けるだけという状態となり、これが大きな切削抵抗となって、満足に穿孔できなかった。
【0033】
比較例2
タングステン系ボンドとダイヤモンド砥粒とで形成した外径6.0mm、高さ8.0mm、回転軸に対する傾斜角60度の円錐台状を有するダイヤモンド砥石を外径5.0mm、全長140mmのツイストドリルタイプの鋼製ボディ先端部に溶接し、該ダイヤモンド砥石に回転軸を中心とした幅1.7mmのスリットを放電加工によって施し、図6及び図7に示すようにスリット部分が空隙となるような構造の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットを作成した。
【0034】
次いで実施例1と同様に、回転数1600rpm で、高強度コンクリート板(骨材粒径;25mm、板厚;60mm)に荷重10Kgで押し付け、乾式で穿孔作業を行ったところ、勢い良く切削屑を排出しながらビットはコンクリートを掘り進んだが、1穴目の穿孔途中でダイヤモンド砥石の一部が割れて外れ、穿孔不能になった。
【0035】
また、本発明において、金属ボディ本体は、軸方向に内孔を有する中空円筒状のものを用いてもよい。
【0036】
【発明の効果】
実施例及び比較例から明らかなように、本発明によるダイヤモンドドリルビットは、コンクリートや石材などの硬脆材への穿孔作業、とり分け比較的小径の穿設作業において、水や加工液を用いることなく、簡便な汎用工具に装着して高速かつ連続的に穿孔することが可能であり、しかも安定した寿命性能が保証される。一方、本発明のダイヤモンド砥石の製造方法は、簡便な手段で所望のスリットを形成し得るため、量産性が確保され、従来公知の方法に比較して極めて低いコストで優れたダイヤモンド砥石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダイヤモンドドリルビット砥石部のスリットに埋設された充填材料の形状を示した図である。
【図2】本発明に係るダイヤモンドドリルビットを例示した一部を切欠いて示した図である。
【図3】図2の先端部の平面図である。
【図4】従来のダイヤモンドドリルビットの一例を示す一部を切欠いて示した図である。
【図5】図4の先端部の平面図である。
【図6】従来のダイヤモンドドリルビットの一例を示す一部を切欠いて示した図である。
【図7】図6の先端部の平面図である。
【図8】本発明のダイヤモンド砥石先端部を例示する平面図である。
【図9】本発明のダイヤモンド砥石先端部を例示する平面図である。
【符号の説明】
1 ダイヤモンド砥石
2 スリット
3 砥石部先端面
4 回転軸芯
5 充填材料
6 充填材埋設部の先端
7 金属ボディ

Claims (8)

  1. 金属ボディと、該金属ボディの先端にダイヤモンド砥石を一体に結合した構造のダイヤモンドドリルビットであって、該ダイヤモンド砥石に、該ダイヤモンド砥石の回転軸を含むように設けたスリットの溝間隔を、該ダイヤモンド砥石の回転軸に相当する部位で狭く、回転軸から外周方向に離れた部位で広く設けると共に、該スリットに充填材を埋設してなることを特徴とする乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  2. 該充填材が、該ダイヤモンド砥石より摩耗し易く、かつ熱膨張率の小さい耐熱性材料からなる請求項1に記載の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  3. 該充填材が、炭素系材料、セラミックス、金属粉末焼結体、マイカ、二硫化モリブテン及びPb−Cu系固体潤滑材から選ばれる1種又は2種以上である請求項1乃至2に記載の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  4. ダイヤモンド砥石に設けるスリットの溝間隔が該ダイヤモンド砥石の回転軸に相当する部位で0.5〜3.0mm、回転軸から外周方向に離れた部位が、それ以上である請求項1乃至3に記載の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  5. ダイヤモンド砥石の砥石面と、スリットが占める相対面積比が30: 70〜70: 30である請求項1乃至4に記載の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  6. ダイヤモンド砥石の外径が3〜20mmであり、金属ボディの外径がその98%以下である請求項1乃至5に記載の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  7. 金属ボディ本体が、軸方向の外周に沿って螺旋溝が設けられるか、あるいは軸方向に内孔を有する中空円筒状である請求項1乃至6に記載の乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビット。
  8. メタルボンド及びダイヤモンド砥粒とが所定の割合で混合されてなる複数のダイヤモンド層一次成形体の間に、ダイヤモンド砥石の回転軸に相当する部位で狭く、回転軸から外周方向に離れた部位で広くなるような寸法に加工された充填材を挟持するかたちで焼結用モールドにセットした後、加圧焼結することによって、後加工なしでスリットを有するダイヤモンド砥石の一体構造物を得る工程を有することを特徴とする乾式穿孔用ダイヤモンドドリルビットの製造方法。
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