JP3952962B2 - ライブラリ制御装置、及びライブラリ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホストコンピュ−タに接続し、多数の磁気記録媒体を格納する複数のライブラリ装置を制御するライブラリ制御装置に関し、特に、ライブラリ装置間での磁気記録媒体の搬送処理を削減したライブラリ制御装置、及びライブラリ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホストコンピュータ等の上位装置と、磁気テープを含む多数の磁気記録媒体とその記録媒体の読み書きを行う複数のドライブ機構を備えたライブラリ装置と、を接続したコンピュータシステムが基幹業務等で利用されている。特に、大規模なシステムでは、複数のホストコンピュータが、ライブラリ制御装置を経由して複数のライブラリ装置をアクセスしている。
【0003】
特許文献1には、複数のホストコンピュータから複数のライブラリ装置を利用するシステムにおいて、各ライブラリ装置のドライブの空き状態を管理するライブラリ装置制御装置について記載されている。
【0004】
上位装置は、ライブラリ装置内の媒体へ書き込みまたは読み出しを実行する前に、未使用のドライブの一覧を取得するため、使用しようとする媒体名を引数としてライブラリ制御装置へドライブリストコマンドを発行するが、従来のライブラリ制御装置では、このコマンドへの応答として、接続された全てのライブラリ装置について使用可能なドライブ一覧(リスト)を、すぐに上位装置へ返却していた。特に、複数の上位装置からアクセスを行うような場合には、どのドライブが未使用状態かを各上位装置から把握できないため、ドライブリストコマンドによってその確認を行う必要がおきる。
【0005】
複数のライブラリ装置を接続するライブラリ制御装置では、上位装置が指定した媒体が存在するライブラリ装置内の全てドライブが使用中で、かつ接続されている他のライブラリ装置内に空きドライブがあった場合、その時点のドライブリスト(上位装置が使用しようとする媒体を格納するライブラリ装置のドライブはすべてビジーで使用できず、他のライブラリ装置にフリーで使用できるドライブがあるという情報)を上位装置に返却することになる。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−35615(ページ2−3、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、その応答を受けた上位装置は、使用しようする媒体を他のライブラリ装置の空いているドライブへ搬送するコマンドを発行する。すると、媒体を持つライブラリ装置は、上位装置が要求した媒体を、空きドライブを持つ他のライブラリ装置へ搬送し、移動先のライブラリ装置のドライブで読み書きが行われることになる。
【0008】
この搬送処理は、指定された媒体をライブラリ装置の媒体格納庫から取り出し、同じライブラリ装置のライブラリ間接続機構へ搬送する処理、ライブラリ装置の接続機構間で搬送を行う処理、受けてのライブラリ装置の接続機構から目的のドライブへ搬送する処理からなっていて、媒体をもともと格納するライブラリ装置のドライブへ搬送して読み書きを開始する場合と比較して、3倍の処理と時間を必要とする。
【0009】
また、この処理の時間は、ドライブは占有され使用できない状態となり、ドライブの空き時間を減少させることになる。従って、上位装置の処理状況によっては、無駄な処理が発生し処理時間を遅延させることになる。
【0010】
特に、上位装置から書き込み/読み込み時間が短い処理が、複数の媒体に多数連続して発生する場合には、ドライブへの媒体のマウント/ディスマウントが短時間に頻発するため、上位装置が指定した媒体を格納するライブラリ装置のドライブが全て使用中に成りやすい。そのため、そのライブラリ装置内のドライブが使用可能状態(媒体への書き込みまたは読み込みを終了し媒体をドライブからライブラリ装置に戻した状態)になるまでの間に上位装置が要求した媒体は、全て他のフリーなドライブを持つライブラリ装置へ搬送されることになり、この状況が繰り返されると、全体の処理が大幅に遅延していた。
【0011】
以上のように、従来の技術のライブラリ制御装置では、必要とする媒体を格納したライブラリ装置内のドライブが全て使用中の場合にも、そのときのドライブの空き状態を上位装置にすぐに返却していたため、上位装置は媒体をライブラリ間で移動させ非効率な処理を行っていた。
【0012】
本発明では、上位装置が指定した媒体のあるライブラリ装置のドライブが全て使用中で、他のライブラリ装置に使用可能なドライブがある場合には、それらのドライブの空き状況(ドライブリスト)をすぐに上位装置に返却せず、指定された一定時間の待ち合わせを行ったあと、再度その時点でのドライブの空き状況を反映したドライブリストを上位装置に報告するようにした。
【0013】
そのため、この待ち合わせの間に、上位装置が指定した媒体を格納するライブラリ装置のドライブに空きが発生すれば、その空いているドライブへ上位装置が処理を要求することになり、媒体をライブラリ装置間で移動する処理を減らすことが可能となる。
【0014】
従来の技術のライブラリ制御装置では前述のように、上位装置に対して非効率な処理をさせてしまうことがあり、上位装置で予定している全体の処理が遅延することがある。特に、上位装置から媒体の書き込み/読み込み時間が短い処理が連続して行われた時は、大幅に処理が遅延する。通常、例えば基幹システムが動作する上位装置では、多数の業務を予めスケジューリングして自動で処理するため、媒体の書き込み/読み込み時間が短い処理を少なくしたり連続したりしないような運用形態とするのは難しく、いつどのような処理を要求されても、業務を遅延させないことが望まれる。
【0015】
本発明は、以上のようにライブラリ装置間での媒体の搬送処理の削減を可能にするライブラリ制御装置、及びライブラリ制御方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のライブラリ制御装置は、上位装置と、上位装置が入出力動作を行うそれぞれ多数の媒体を格納する複数のライブラリ装置と、上位装置と複数のライブラリ装置との間にあって複数のライブラリ装置の制御を行うライブラリ制御装置と、媒体をライブラリ装置間で移動するためのライブラリ装置間移動機構と、を含むコンピュータシステムのライブラリ制御装置であって、ライブラリ制御装置は、上位装置から複数のライブラリ装置の備えるドライブで未使用状態のドライブ一覧を要求するコマンドを媒体を指定されて受けると、複数のライブラリ装置のドライブで未使用状態のものからなる応答用ドライブリストを作成し、媒体を格納するライブラリ装置に未使用状態のドライブが無い場合は、ライブラリ装置のドライブで未使用状態となるドライブの待ち合わせを予め設定された時間行い、設定された時間経過後にその時点における未使用状態のドライブを反映した応答用ドライブリストを再度作成して上位装置に応答し、上位装置は、応答用ドライブリストを受けると、コマンドで指定した媒体を格納するライブラリ装置に未使用状態のドライブが有る場合は、媒体の当該ドライブへの搬送を指示し、未使用状態のドライブが無い場合、未使用状態のドライブを有するライブラリ装置へのライブラリ装置間移動機構による搬送指示をライブラリ制御装置に指示することを特徴とする。
【0022】
本発明の第1のライブラリ制御方法は、上位装置と、上位装置が入出力動作を行うそれぞれ多数の媒体を格納する複数のライブラリ装置と、上位装置と複数のライブラリ装置との間にあって複数のライブラリ装置の制御を行うライブラリ制御装置と、媒体をライブラリ装置間で移動するためのライブラリ装置間移動機構と、を含むコンピュータシステムのライブラリ制御装置におけるライブラリ制御方法であって、ライブラリ制御装置が、上位装置から複数のライブラリ装置の備えるドライブで未使用状態のドライブ一覧を要求するコマンドを媒体を指定されて受けるステップと、複数のライブラリ装置のドライブで未使用状態のものからなる応答用ドライブリストを作成するステップと、媒体を格納するライブラリ装置に未使用状態のドライブが無い場合は、ライブラリ装置のドライブで未使用状態となるドライブの待ち合わせを予め設定された時間行うステップと、設定された時間経過後にその時点における未使用状態のドライブを反映した応答用ドライブリストを再度作成して上位装置に応答するステップとを実行し、上位装置が、応答用ドライブリストを受けるステップと、コマンドで指定した媒体を格納するライブラリ装置に未使用状態のドライブが有る場合は、媒体の当該ドライブへの搬送を指示するステップと、未使用状態のドライブが無い場合、未使用状態のドライブを有するライブラリ装置へのライブラリ装置間移動機構による搬送指示をライブラリ制御装置に指示するステップとを実行することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の構成を図1に基づいて説明する。
【0024】
図1によれば、ライブラリ装置に対して入出力処理を行うジョブ(アプリケーションプログラム)が動作する1または複数の上位装置10と、上位装置10からの入出力要求を受け付け、2台以上のライブラリ装置30を接続し制御するライブラリ制御装置20と、から構成される。
【0025】
ライブラリ装置30は、それぞれ媒体名を付与された複数の媒体が格納された媒体格納庫31と、媒体格納庫31に格納された媒体をマウントして入出力動作を実行する複数のドライブ32と、媒体格納庫31とドライブ32間で媒体を相互に搬送する図示しない搬送機構とライブラリ装置30の間で媒体の搬送を行うライブラリ装置間移動機構とから構成されている。媒体格納庫31に格納される個々の媒体には、その媒体の格納位置を識別する媒体アドレスが予め設定されている。
【0026】
ライブラリ制御装置20は、図示しないCPUやRAMメモリ、ROMメモリ等を備えたコンピュータ機能を有する装置であり、以降説明する各機能はソフトウェアによって実装されていて、それを管理するオペレーティングシステムも備えている。
【0027】
媒体アドレスは、ライブラリ装置30の識別番号と当該ライブラリ装置30の媒体格納庫31における格納位置を識別する番号とからなる。
【0028】
あるライブラリ装置30の媒体格納庫31に格納された媒体は、多くの場合、そのライブラリ装置30が有するドライブ32にマウントされて読み書きが行われる。しかし、そのライブラリ装置30の備える全てのドライブ32が使用中の場合には、他のライブラリ装置30に未使用のドライブ32があると、その未使用のドライブ32を有するライブラリ装置30までライブラリ装置間移動機構によって当該媒体の搬送が行われ、移動先のライブラリ装置30でアクセスされることもある。但し、ライブラリ装置30間の媒体の搬送には時間が伴うため、この搬送をなるべく行わないようにすることが必要となる。
【0029】
図2は本発明によるライブラリ制御装置20の構成を説明する模式図である。
【0030】
図3は、本発明によるライブラリ制御装置20が効率よくドライブを使用する制御方法を説明するフロ−チャ−トである。
【0031】
以降、図2と図3を使用して本発明の実施の形態の動作について説明する。
【0032】
まず、上位装置10は、接続されたライブラリ装置30全てについて、空いているドライブ32全体を知るために、ライブラリ制御装置20へドライブリストの取得を要求するコマンドを発行する(ステップS1)。このコマンドの引数には、上位装置10がこれから読み書き等のアクセスを行おうとする媒体名または、媒体アドレスが指定されている。
【0033】
ライブラリ制御装置20では、インターフェース部21がこのコマンドを受け付ける(ステップS2)。インターフェース部21は、上位装置10から受け付けたコマンドの解析と上位装置10へのコマンドの応答を行う。インターフェース部21によるコマンド解析によって、コマンドは、ドライブリストコマンドであり、コマンドで指定された媒体名または媒体アドレスが取り出される。取り出された媒体名または媒体アドレスは、媒体サーチ機能22に渡される。
【0034】
尚、インターフェース部21は、コマンド受け付け時に、このコマンドを以降処理するため、このコマンドの内容を記載した内部テーブルをライブラリ制御装置20のRAM等からなるメモリ24に作成する。
【0035】
媒体サーチ機能22は、媒体情報を記憶した磁気ディスク等からなる媒体データベース23を、受け取った媒体名または媒体アドレスによって検索し、一致するレコードをメモリ24上に媒体アドレステーブルとして展開する(ステップS3)。
【0036】
尚、ライブラリ制御装置20のメモリ24が十分あれば、予め媒体データベース23の全ての情報を予めメモリ24に展開しておくことも可能である。
【0037】
媒体データベース23には、ライブラリ制御装置20に接続された全てのライブラリ装置30が媒体格納庫31に保有する媒体について、その媒体名と媒体アドレス(その媒体が存在するライブラリ装置30の識別番号と媒体格納庫31での保管場所を示す番号)とが1つのレコードとして記憶されている。さらに、同じレコードには、当該媒体を媒体格納庫31から取り出しドライブ32にマウントするまでの距離または時間について、最も短いドライブ32から最も長いドライブ32までが、短いものから順にソートされて記憶されている。
【0038】
さらに、他のライブラリ装置30のドライブ32を使用する場合も考慮し、他のライブラリ装置30についてもそのライブラリ装置30の持つドライブ32までの搬送処理が短い順にソートされ一緒に記憶されている。
【0039】
図5は、以上説明した媒体アドレステーブルの1レコードの構成を表している。尚、搬送距離または時間の短い順番でソートされたドライブ番号、ライブラリ装置番号ともそのビット表現で例えば4ビットずつを使用するとして1バイトでその識別を行うようにしてもよい。
【0040】
メモリ24に展開した媒体アドレステーブルも媒体データベース23のレコードと同じ構成を持つものである。
【0041】
一方、ドライブ管理機能25は、ドライブ32の使用/未使用状態を管理するテーブルをメモリ24にドライブリストテーブルとして展開する(ステップS4)。
【0042】
このドライブリストテーブルは、それぞれのライブラリ装置30内のドライブ32の使用状態を示すもので、ドライブ32の持つアドレスとそのドライブ32が使用可か使用不可であるかを示す情報を含むものである。
【0043】
ドライブ32が使用可とは、媒体がそのドライブ32にマウントされていず、読み書きの処理が実行されていない状態であり、使用不可とは、ドライブ32が故障中または媒体がマウントされて読み書きの処理が実行中の状態を表している。
【0044】
ドライブ管理機能25は、例えば10ミリセカンド等の一定時間間隔ごとに、各ドライブ32に状態確認コマンドを発行し、ドライブ32からの応答によってそのドライブ32の状態を監視し、状態の変化があったドライブ32に対して、メモリ24上のドライブリストテーブルの該当するドライブの使用状態を更新している。
【0045】
このようにして、常にドライブリストテーブルには、ドライブ32の最新の使用状態が常時展開されている。図6は、このドライブリストテーブルを例示している。これによると、ドライブリストテーブルは、接続されているライブラリ装置30全てについて、そのライブラリ装置番号とそのライブラリ装置30の有するドライブ全てについて、そのドライブ番号、及びそのドライブの使用可/使用不可の区別情報から成っている。
【0046】
ライブラリ制御装置20のメモリ24上に媒体アドレステーブルとドライブリストテーブルが展開されると、ドライブリスト作成機能26が、この2つのテーブルを参照し、上位装置10に応答するため、使用可能なドライブ32の番号をドライブリストコマンドで指定された媒体の格納された媒体格納庫31のドライブの番号から搬送距離の短い順にソートして応答用ドライブリストテーブルをメモリ24上に作成する(ステップS5)。
【0047】
図7には、このようにして作成された使用可能なライブラリ装置番号とドライブ番号とが、指定された媒体の格納位置に近い順に作成された応答用ドライブリストを例示する。尚、全てのドライブ32が使用中の場合は、1バイトの00(hex)を返却する。
【0048】
次に判定機能27は、上位装置10が指定した媒体を格納するライブラリ装置30のドライブ32が応答用ドライブリストテーブルに含まれているかを確認する(ステップS6)。
【0049】
同じ番号が含まれていれば、これは、上位装置10が指定した媒体を格納するライブラリ装置30のドライブ32に未使用のものがあることを意味し、この場合は、応答用ドライブリストテーブルをインターフェース部21へ送り、インターフェース部21は、これを上位装置10へ返却する(ステップS7)。
【0050】
同じ番号が含まれていない場合は、上位装置10へのドライブリストの返却を行わず返却待ちとしてwaitする(ステップS8)。判定機能27は、waitする時間をメモリ24から取り出し、タイマー機構にその時間を設定し、タイマー割り込み待ちのキューに、インターフェース部21で設けたこのコマンドに対応する内部テーブルをリンクする。このとき、この内部テーブルにはそのドライブ32が未使用状態となることを期待するライブラリ装置30の番号が設定される。同時に複数のコマンドに対応した複数の内部テーブルがタイマー割り込み待ちのキューにリンクされても構わない。
【0051】
wait時間が経過して割り込み発生すると、このリンクされた内部テーブルが参照されてコマンドが識別される。
【0052】
このwait時間は、予め利用者から上位装置10に接続された端末を使用して指定でき、この指定された時間は、初期設定時、上位装置10から取り込まれて、予めライブラリ制御装置30のメモリ24に記憶されている。
【0053】
このように判定機能27によって、応答用ドライブリストをインターフェース部21を通して上位装置10に返却すると、応答用ドライブリストのライブラリ装置番号と媒体アドレスのライブラリ装置番号が同じ場合、上位装置10は指定した媒体をその媒体があるライブラリ装置30のドライブ32へ搬送するコマンドをライブラリ制御装置20に発行する。
【0054】
判定機能27が、応答用ドライブリストのライブラリ装置番号と媒体アドレスのライブラリ装置番号が違うと判定した場合、予め設定された時間だけ待ち合わせた後、タイマー機構からの割り込みの通知によって、再度ドライブ作成機能26によってドライブリストテーブルから応答用ドライブリストが再作成され(ステップS9)、再作成された応答用ドライブリストをインターフェース部21を通して上位装置10に返却する(ステップS10)。
【0055】
設定された時間が経過したとき、その間で、ドライブ32の解放が行われ、再作成された応答用ドライブリストにおいて、上位装置10が指定した媒体のアドレスと、その媒体が格納されたライブラリ装置30のアドレスが一致していれば、上位装置10は、媒体をその媒体があるライブラリ装置30のドライブ32へ搬送するコマンドを発行することになる。
【0056】
しかし、再作成された応答用ドライブリストでも、上位装置10が指定した媒体があるライブラリ装置30の番号と、未使用のドライブ32を有するライブラリ装置の番号が一致しない場合は、さらにwaitさせることが非効率であると判断して、再作成された応答用ドライブリストを上位装置10へ返却する。この場合は、上位装置10は媒体を他のライブラリ装置30の使用可能なドライブ32へ移動させて処理を行うことになる。
【0057】
waitさせる時間については、業務の処理状況の統計から、割り出すことによって、ライブラリ装置30間の移動を軽減させ効率よい処理が可能である。
【0058】
尚、このwait時間は、ドライブリストコマンドの引数で指定するようにすることも可能である。
【0059】
さらに、あるドライブリストコマンドがwait状態にある場合に、前述したドライブ32の状態確認コマンドによって、使用状態から未使用状態に変化したドライブ32を検出した場合、この未使用状態に変化したドライブ32の未使用状態待ちのドライブリストコマンドが無いかをタイマー割り込み待ちでタイマーキューにリンクされている内部テーブルからサーチし、もし、あればwait時間の経過前に応答用ドライブリストを上位装置10に返却することも可能である。このときタイマー割り込み待ちのキューからこの内部テーブルを削除して割り込み待ち状態を解除する。
【0060】
本発明のライブラリ制御装置についての前述した内容をもとに、1つの実施例を、図4と図8のタイムチャートを使用して説明する。ここでは説明のため、ライブラリ装置30の構成は2台としてそれぞれライブラリ装置Aとライブラリ装置Bとし、1台あたりのドライブ数は3台で、搬送時間として、媒体格納庫→ドライブ、媒体格納庫→ライブラリ装置間移動機構、ライブラリ装置間移動機構→ドライブ、ドライブ→媒体格納庫は、それぞれ5秒、ライブラリ装置A,B間の移動も5秒とし、処理はライブラリ装置Aの媒体格納庫31にある6個の媒体に対してそれを取り出し、1個あたり10秒の書き込み読み込み処理を行い、その後、再び元の媒体格納庫31に戻すまでを例にして説明する。
【0061】
尚、ライブラリ装置Aからライブラリ装置Bに移動した媒体は、そのままライブラリ装置Bの媒体格納庫31に収容することとする。
【0062】
このような設定条件のもとに、最初に従来技術における処理時間の算定を行う。
【0063】
ライブラリ制御装置20は、上位装置10から一番初めのコマンドとしてドライブリストの要求を受けると、2台のライブラリ装置A,Bを合計した計6個のドライブ32が使用可能状態にあり、上位装置10が指定した媒体の媒体格納庫31に近い順としてライブラリ装置Aのドライブ、ライブラリ装置Bのドライブの順で応答用ドライブリストを返却する。
【0064】
上位装置10は、一番近いアドレスのライブラリ装置Aのドライブ32へ媒体の搬送をライブラリ制御装置20へ指示する。
【0065】
上位装置10は、搬送命令を発行し終えると、すぐに2番目の媒体を指定したドライブリストコマンドをライブラリ制御装置20へ発行する。すると、ライブラリ制御装置20は、1番目の処理で使用しているドライブ32を除く5台のドライブ32を上位装置10が指定した媒体の媒体格納庫31の近い順に応答する。この場合もライブラリ装置Aのドライブ32を先頭に並べた応答用ドライブリストが上位装置10へ返却される。
【0066】
上位装置10は5台の中で一番媒体が格納されている位置に近いドライブ32への搬送処理を命令する。3番目の処理も同様に行われる。
【0067】
まだこの時点においては、上位装置10とライブラリ制御装置20間では、ドライブ32の状態の確認と搬送命令を実行しただけなので1秒もかからないものである。このとき、ライブラリ装置Aのドライブ3台は、全て使用状態となっている。
【0068】
次に、4番目の処理については、前述の通りライブラリ装置Aのドライブは全て使用状態なので、上位装置10からドライブリストの要求があると、ライブラリ装置Bのドライブ32のみが使用可能状態のため、上位装置10が指定した媒体の媒体格納庫31に近い順にライブラリ装置Bのドライブ32からなる応答用ドライブリストを返却する。
【0069】
上位装置10は、ライブラリ装置Bで一番近いアドレスのドライブへ媒体を搬送する処理をライブラリ制御装置へ命令する。同様に、5,6番目の処理についても、ライブラリ制御装置20がライブラリ装置Bのドライブリストを上位装置10に返却し、上位装置10はライブラリ装置Bのドライブへの搬送命令を実行することになる。
【0070】
このように6個の処理を実行させたときにかかる時間は、すべての処理がシリアルに実行されるため、6個目の処理が終了する時間であり、以下のように計算できる。
次に本発明を適用した場合の処理時間を算定する。
【0071】
以上説明した内容を図8の(a)にタイムチャートとして示している。
【0072】
本発明では、4〜6番目の処理からは、ライブラリ制御装置20は、上位装置10からドライブリストの要求があると、ライブラリ装置Aのドライブが全て使用状態なので、waitする。ここでは、wait時間を30秒と設定し説明する。このwaitしている30秒間は、ライブラリ制御装置20は、既に命令されている3つの処理を実行する。
【0073】
まず、ライブラリ装置Aのドライブ3台に対して3つの媒体をドライブ32に搬送(15秒)する。この15秒間に一番目に搬送した媒体の処理については、媒体格納庫31からドライブ32への搬送が5秒、ドライブ32の書き込み読み込み処理が10秒であるため、書き込み読み込み処理が終了しており、すぐに媒体を媒体格納庫31まで戻す。
【0074】
次に、2番目にドライブへ搬送した媒体については、前述の15秒間に一番目に書き込み読み込み処理を終えた媒体を媒体格納位置に戻す時間5秒を加えて20秒経過しているので、書き込み読み込みが終了しており、すぐに媒体を媒体格納位置まで戻す。
【0075】
次に3番目の媒体についても、同様の処理となり、3番目の媒体が媒体格納庫31に戻るまで処理開始から30秒となる。そうすると、ライブラリ装置Aのドライブは全て使用可能状態となり、ライブラリ制御装置20は、waitしていたドライブリストを再作成し、残りの3つの要求に対してドライブBのドライブが使用可能であるという応答用ドライブリストではなく、ライブラリ装置Aのドライブ32が使用可能であるという応答用ドライブリストを上位装置10へ返却する。すると、残りの3個の処理もライブラリ装置Aのドライブを使用して処理が実行されることになる。このように処理をすると、6個の処理にかかる時間は、以下のようになる。
【0076】
以上説明した内容を図8の(b)にタイムチャートとして示している。
【0077】
これによって、前述の装置構成例及び処理例の場合、従来のライブラリ制御装置20と本発明によるライブラリ制御装置20では、本発明によるライブラリ制御装置20のほうが15秒処理を短縮できる。
【0078】
もし、類似するパターンで処理媒体本数が1日あたり、1000本あるような場合は、1000x15(秒)/(6x60)=41.6分短縮することになる。そこで、前述の例のようにライブラリ装置の構成と処理数及び時間を勘案して、最適なwait時間を算出した値を、本発明によるライブラリ制御装置のwait時間に設定すれば、大幅に処理時間を短縮させることが可能である。特に、処理時間の小さい処理が1日に数千個程度ある基幹汎用システムの場合には、有効である。
【0079】
wait時間の算出においては、ライブラリ装置にアクセスする処理回数を、1日等の時間別に分析し、一番多い時間帯における1処理の平均処理時間(この時間には、マウント、読み書き、ディスマウント処理を含む)を求め、この値に1台のライブラリ装置の有するドライブ数を掛け合わせた時間をwait時間とする。この値は、一つの目安であり、wait時間の最適値は、ライブラリ装置の構成と処理の要素(数、順番、タイミング及び時間)に依存するため、最終的には経験、実験によってより上記のように設定した時間を補正して最適化していくことが望ましい。
【0080】
【発明の効果】
システム運用、特に基幹システムの運用では、多数の業務をスケジューリングして自動で処理するため、媒体の書き込みまたは読み込みを行う処理について、いつどのような処理を要求しても、業務を遅延させないことが望まれる。但し、ライブラリ装置を複数接続してライブラリ制御装置にて制御する構成となっているシステムでは、媒体への書き込み読み込み時間が少ない処理が連続してしまうと、従来の技術では、媒体がライブラリ装置間を非効率的に多数移動し処理時間が大幅に悪化することがあった。また、この問題を解決するために全処理のスケジュールの運用を見直すことは現実的に難しい。
【0081】
しかし、本発明が提供するライブラリ制御装置のwait機能により、wait時間を設定するだけで、できるだけライブラリ装置間の媒体の移動を削減し効率よく処理を行うことが可能となり、運用等を見直すことなくシステム全体の媒体書き込み読み込みする処理時間を削減する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態のライブラリ制御装置の構成を説明する模式図である。
【図3】本発明の実施の形態のライブラリ制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態の動作において、ライブラリ装置間の媒体の搬送を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の媒体アドレステーブルの説明図である。
【図6】本発明の実施の形態のドライブリストテーブルの説明図である。
【図7】本発明の実施の形態の応答用ドライブリストの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態の適用前後における媒体搬送、読み込み/書き込み処理を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
10 上位装置
20 ライブラリ制御装置
21 インターフェース部
22 媒体サーチ機能
23 媒体データベース
24 メモリ
25 ドライブ管理機能
26 ドライブリスト作成機能
27 判定機能
30 ライブラリ装置
31 媒体格納庫
32 ドライブ
Claims (2)
- 上位装置と、上位装置が入出力動作を行うそれぞれ多数の媒体を格納する複数のライブラリ装置と、前記上位装置と前記複数のライブラリ装置との間にあって前記複数のライブラリ装置の制御を行うライブラリ制御装置と、媒体を前記ライブラリ装置間で移動するためのライブラリ装置間移動機構と、を含むコンピュータシステムのライブラリ制御装置であって、前記ライブラリ制御装置は、前記上位装置から前記複数のライブラリ装置の備えるドライブで未使用状態のドライブ一覧を要求するコマンドを媒体を指定されて受けると、前記複数のライブラリ装置のドライブで未使用状態のものからなる応答用ドライブリストを作成し、前記媒体を格納する前記ライブラリ装置に未使用状態のドライブが無い場合は、前記ライブラリ装置のドライブで未使用状態となるドライブの待ち合わせを予め設定された時間行い、設定された時間経過後にその時点における未使用状態のドライブを反映した前記応答用ドライブリストを再度作成して前記上位装置に応答し、前記上位装置は、前記応答用ドライブリストを受けると、コマンドで指定した媒体を格納する前記ライブラリ装置に未使用状態のドライブが有る場合は、前記媒体の当該ドライブへの搬送を指示し、未使用状態のドライブが無い場合、未使用状態のドライブを有する前記ライブラリ装置への前記ライブラリ装置間移動機構による搬送指示を前記ライブラリ制御装置に指示することを特徴とするライブラリ制御装置。
- 上位装置と、上位装置が入出力動作を行うそれぞれ多数の媒体を格納する複数のライブラリ装置と、前記上位装置と前記複数のライブラリ装置との間にあって前記複数のライブラリ装置の制御を行うライブラリ制御装置と、媒体を前記ライブラリ装置間で移動するためのライブラリ装置間移動機構と、を含むコンピュータシステムのライブラリ制御装置におけるライブラリ制御方法であって、前記ライブラリ制御装置が、前記上位装置から前記複数のライブラリ装置の備えるドライブで未使用状態のドライブ一覧を要求するコマンドを媒体を指定されて受けるステップと、前記複数のライブラリ装置のドライブで未使用状態のものからなる応答用ドライブリストを作成するステップと、前記媒体を格納する前記ライブラリ装置に未使用状態のドライブが無い場合は、前記ライブラリ装置のドライブで未使用状態となるドライブの待ち合わせを予め設定された時間行うステップと、設定された時間経過後にその時点における未使用状態のドライブを反映した前記応答用ドライブリストを再度作成して前記上位装置に応答するステップとを実行し、前記上位装置が、前記応答用ドライブリストを受けるステップと、コマンドで指定した媒体を格納する前記ライブラリ装置に未使用状態のドライブが有る場合は、前記媒体の当該ドライブへの搬送を指示するステップと、未使用状態のドライブが無い場合、未使用状態のドライブを有する前記ライブラリ装置への前記ライブラリ装置間移動機構による搬送指示を前記ライブラリ制御装置に指示するステップとを実行することを特徴とするライブラリ制御方法。
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