JP3952341B2 - 酸化物膜の製造方法およびcvd装置 - Google Patents

酸化物膜の製造方法およびcvd装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加水分解反応を用いる酸化物膜の製造方法とCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板を連続的に搬送しながら、基板上に酸化スズ膜を成膜する方法として、四塩化スズの加水分解反応を用いるCVD法が広く知られている。四塩化スズと水蒸気および反応に寄与しないガスとの混合ガスを基板へ向けて吹き出し、基板上において四塩化スズの加水分解反応を発生させて酸化スズ膜を成膜していた。
【0003】
四塩化スズと水蒸気の濃度が高いほど、且つ成膜温度が高いほど四塩化スズの加水分解反応が活発になる性質を利用して、通常の成膜工程では、基板は高温に熱せられた状態で成膜を行う。得られる酸化スズ膜は導電膜として、太陽電池やタッチパネルなどの透明薄膜電極に用いられている。四塩化スズの加水分解反応により酸化スズ膜を成膜する方法は、その高い反応性を利用した効率の良い成膜と、高透過かつ低抵抗という高品質な酸化スズ膜を得られることが大きな特徴である。
【0004】
連続的に移動する基板上に、酸化スズ膜を成膜するCVD装置の要部平面図を図1に示す。また、図2に、図1に示すII−II線に沿う、従来のガス吹出口の配置例を示すインジェクター先端の要部断面図を示す。搬送ベルト3上に置かれた基板2の上部に、CVD装置のインジェクター1が配置され、このインジェクター1から基板2へ向けて、四塩化スズと水蒸気を含むガスが吹き出されるようになっている。インジェクター1には、四塩化スズを含むガスを吹き出すスリット状の吹出口4と、この吹出口4の両側に設けられ、反応に寄与しないガスを吹き出すスリット状の吹出口5a、5bと、さらに吹出口5a、5bの両側に設けられ、水蒸気を含むガスを吹き出すスリット状の吹出口6a、6bと、これらガスの吹出部の外側に設けられたスリット状の排気口7a、7bとを有する。
【0005】
インジェクター1の表面は、高温に熱せられた基板2からの熱輻射により、成膜対象外であるインジェクター1の表面温度は、基板2に近い温度まで上昇する。
四塩化スズ用の吹出口4と水蒸気用の吹出口6a、6bの間に、反応に寄与しないガスの吹出口5a、5bが介在するのは、基板2に対して四塩化ガスと水蒸気とを分離して吹き出すためである。このような構成にすることで、吹出口間のインジェクター表面上において、四塩化ガスと水蒸気との反応を抑え、酸化スズ膜の堆積による吹出口先端の目詰まりを防止することができる。
【0006】
ところが、このような吹出口の構成からなる、従来のインジェクター1を有するCVD装置を用いた酸化スズ膜の製造方法では、四塩化スズの反応性が高いため、成膜対象外であるインジェクター1の表面A部にも酸化スズ膜が堆積してしまう問題点を有している。インジェクター1の表面A部に酸化スズ膜が堆積してしまうと、連続成膜の過程で前記表面A部の膜厚が増加していくに従い、酸化スズ膜内部の熱応力が起因となって膜に亀裂が生じ、A部に堆積した酸化スズ膜の一部が剥がれて基板2上へ落下する。剥がれ落ちた酸化スズ膜は、ピンホールと呼ばれる成膜抜けや膜厚ムラなどの重大な品質欠点要因となるため、定期的にインジェクター1の表面A部に堆積した酸化スズ膜を取り除くメンテナンス作業を必要としている。このため、品質欠点の発生率が高いことに加え、定期的なメンテナンス作業により生産性が低下する原因となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インジェクター自体への酸化物膜の堆積を防止することにより、品質欠点要因発生を低減するとともに、インジェクターのメンテナンス作業頻度を減少することで生産性を向上することができる酸化物膜の製造方法およびCVD装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、CVD法により基板上へ酸化物膜を成膜する酸化物膜の製造方法において、インジェクターの前記基板に面する表面に設けた吹出口及び排気口であって、前記インジェクター表面の中央部に設けた第1吹出口から酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスを吹き出し、第1吹出口の両側に設けた第2吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出し、2つの第2吹出口の外側にそれぞれ設けた第3吹出口から水蒸気を含むガスを吹き出し、前記第3吹出口の外側にそれぞれ設けた排気口からガスを排気すると共に、前記2つの第3吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ設けた第4吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記基板との間に前記酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスと前記水蒸気とが周囲へ拡散することを抑制するエアーカーテンを形成し、前記2つの第4吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ設けた第5吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記インジェクター表面に沿って流すことを特徴とする酸化物膜の製造方法を提供する。
【0009】
本発明においては、それぞれの第4吹出口と排気口との間に設けた第5吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出すことが好ましい。
また、前記インジェクターの基板に面する表面を冷却することが好ましい。
また、インジェクターに対し、基板を相対的に移動させるようにし、連続的に成膜することが好ましい。
【0010】
本発明は、また、基板上へ酸化物膜を成膜するCVD装置において、インジェクターの前記基板に面する表面に設けた吹出口及び排気口であって、インジェクター表面の中央部に、酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスを吹き出す第1吹出口を有し、第1吹出口の両側に、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出す第2吹出口を有し、2つの第2吹出口の外側に、水蒸気を含むガスを吹き出す第3吹出口をそれぞれ有し、前記2つの第3吹出口の外側に、ガスを排気する排気口を有すると共に、前記2つの第3吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記基板との間に前記酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスと前記水蒸気とが周囲へ拡散することを抑制するエアーカーテンを形成する第4吹出口を備え、前記2つの第4吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記インジェクター表面に沿って流す第5吹出口を備えたことを特徴とするCVD装置を提供する。
【0011】
それぞれの第4吹出口と排気口との間には、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出す第5吹出口を有することが好ましい。
前記インジェクターの基板に面する表面を冷却する冷却機構を有することが好ましい。
また、インジェクターに対し、基板を相対的に移動させ、連続的に成膜する機構を有することが好ましい。
【0012】
本発明は、特に、スズの酸化物膜、またはケイ素の酸化物膜の形成に好ましく用いられる。また、酸化物膜を形成する化合物としては、加水分解により酸化物を形成する化合物が用いられ、ハロゲン化合物が好ましく用いられる。スズの酸化物膜を形成する場合は四塩化スズを用いることが好ましく、ケイ素の酸化物膜を形成する場合は四塩化ケイ素を用いることが好ましい。
【0013】
従来のインジェクター1の表面A部に酸化物膜、例えば酸化スズ膜が堆積するのは、吹出口4と吹出口6a、6bから吹き出された直後の四塩化スズと水蒸気が、図2中の矢印8のような拡散と矢印9のような上昇対流による移動に伴ってA部に到達するため、A部でも基板上と同様に、加水分解反応が発生するためである。さらに、インジェクター1の表面A部が高温であることが、四塩化スズの加水分解反応をより促進させている。
【0014】
本発明では、第4吹出口から吹き出される反応に寄与しないガスがエアーカーテンとなって、第1吹出口から吹き出される四塩化スズと第3吹出口から吹き出される水蒸気が周囲の雰囲気へ拡散することをまず抑制することができ、これに加えて、第5吹出口から吹き出される反応に寄与しないガスが、基板に面するインジェクター表面に沿って流れることによって、上昇対流に乗った四塩化スズ水蒸気の到達を抑制するエアーバリアーとなり、前記インジェクター表面近傍の四塩化スズと水蒸気の濃度を希釈することができるため、前記インジェクター表面での酸化スズ膜の堆積を極力防止することが可能である。さらに、上記インジェクター表面を冷却することで四塩化スズの加水分解反応を抑え、酸化スズ膜の堆積防止効果をより高めることが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る酸化スズ膜の製造方法およびCVD装置の詳細について、図面に示す一実施例に基づいて説明する。なお、従来装置と同一部分には同一の番号を付す。図1は、酸化物膜の製造装置の要部平面図である。なお、従来および本発明の一実施例に係る製造装置の要部平面図は同じである。図2は、図1に示すII−II線に沿う、従来装置のガス吹出口の配置例を示すインジェクター先端の要部断面図である。図3は、図1に示すII−II線に沿う、本発明の一実施例に係るガス吹出口の配置例を示すインジェクター先端の要部断面図である。
【0016】
図1〜図3に示す本発明の一実施例に係る酸化物膜の製造装置は、常圧CVD装置であり、搬送ベルト3上にガラス板などの基板2が所定間隔で配置され、搬送ベルト3が図1中のI方向へ進行することによって、基板2の表面に酸化物膜を連続的に成膜する装置である。
インジェクター10には、搬送ベルト3の進行方向に対して直角方向に細長いスリット状の吹出口4、5a、5b、6a、6bと排気口7a、7bが複数形成してある。これら吹出口と排気口の幅(図1のI方向に垂直な方向の幅)は、基板2の幅(図1のI方向に垂直な方向の幅)と同等以上であることが好ましい。本実施例では同等としている。これは、搬送ベルト3上に置かれ、搬送されてくる基板2に対して、均等にガスを吹き出すためである。吹出口4、5a、5b、6a、6bの先端と基板2との間隔は、特に限定されないが、たとえば10〜15mmが好ましい。
【0017】
インジェクター10の最も中央に位置する第1吹出口4からは、酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガス(本実施例では窒素ガスをキャリアーとした四塩化スズ)を吹き出すようになっている。
第1吹出口4の両側に位置する第2吹出口5a、5bからは、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス(本実施例では窒素ガス)を吹き出すようになっている。
【0018】
第2吹出口5a、5bの両側に位置する第3吹出口6a、6bからは、水蒸気を含むガス(本実施例では窒素ガスをキャリアーとした水蒸気)を吹き出すようになっている。
第2吹出口5a、5bから窒素ガス(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)を吹き出すのは、第1吹出口4と第3吹出口6a、6bからそれぞれ吹き出される四塩化スズ(酸化物膜を形成する化合物)と水蒸気が、第1吹出口4と第3吹出口6a、6bの先端で反応し、酸化スズ膜(酸化物膜)が堆積することによって発生する目詰まりを防止するためである。
【0019】
また、CVD反応後の余分なガスは排気口7a、7bから排気するようになっている。第3吹出口6aから排気口7aまで、および第3吹出口6bから排気口7bまでの距離は、約50mmである。
本実施例では図3に示すように、第3吹出口6aと排気口7aの間に第4吹出口11aと第5吹出口12aを、また、第3吹出口6bと排気口7bの間に第4吹出口11bと第5吹出口12bをそれぞれ設けており、窒素ガス(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)を基板2に向けて吹き出すようになっている。
【0020】
第1〜第5吹出口の幅は、基板2の幅と同等、または若干より広い幅を有することが好ましい。
さらに、インジェクター10の内部にパイプ状のバイパス13aと13bを、搬送ベルト3の進行方向Iへ垂直な方向に設けており、第5吹出口12aと排気口7aの間の2箇所と、第5吹出口12bと排気口7bの間の2箇所を、外部空気が通過するようになっている。このバイパス13aと13bの幅(図1のI方向に垂直な方向の幅)は、第4吹出口と第5吹出口の幅(図1のI方向に垂直な方向の幅)と同等であることが好ましい。本実施例では同等としている。
【0021】
第3吹出口6aと第4吹出口11a、および第3吹出口6bと第4吹出口11bとの距離は、できるだけ近づけることが好ましく、本実施例では1mmとしている。このとき、第4吹出口11a、11bから吹き出されるガス流量は、基板2へ向かう主ガス流を乱さないように、第2吹出口5a、5bから吹き出される窒素の流量と同程度にすることが好ましい。本実施例では同程度とした。
【0022】
第4吹出口11aと第5吹出口12a、および第4吹出口11bと第5吹出口12bとの間隔は、特に限定されないが、10〜15mm程度であり、第5吹出口12a、12bから吹き出される窒素ガス(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)の流量は、第4吹出口11a、11bよりも同等以上であることが好ましい。本実施例では同等とした。
【0023】
また、バイパス13aと13bの断面形状は、直径が約10mmの円形をしている。断面円の中心から、インジェクター10の表面A部までの距離は、特に限定されないが、15〜20mm程度である。
インジェクター10の温度よりも低温の外部空気をバイパス13aと13bへ流すと、インジェクター10の内部を通過する外部空気は、熱伝達作用によってインジェクター10から脱熱する効果があるので、インジェクター10の表面A部も同時に冷却することができる。バイパス13aと13bに流入する外部空気の流量を変更すると、その流量に応じて外部空気への熱伝達量も変化するので、インジェクター10の表面A部の温度を調節することが可能である。本実施例では、常温の外部空気を用いて、インジェクター10の表面A部を摂氏約150度まで冷却することができる。
【0024】
本発明において用いられる基板としては、ガラス板などが用いられる。ガラス板などの基板2は摂氏約520度に熱せられた状態でインジェクターの下に搬送され、連続的に成膜を行っていく過程で、インジェクター10の表面A部の温度は、基板2からの熱輻射により上昇し、定常状態において摂氏約380度になる。前記した冷却によりインジェクター10の表面A部を効果的に下げることができる。
【0025】
本実施例では、第4吹出口11a、11bから吹き出される窒素(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)がエアーカーテンとなり、第1吹出口4から吹き出される四塩化スズ(酸化物膜を形成する化合物)と、第3吹出口6a、6bから吹き出される水蒸気が、周囲の雰囲気へ拡散することをまず抑制する。次に、図3中の矢印14に示すように、第5吹出口12a、12bから吹き出される窒素ガス(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)がインジェクター表面に沿って流れるエアーバリアーとなり、上昇対流に乗った四塩化スズ(酸化物膜を形成する化合物)と水蒸気が、インジェクター10の表面A部へ到達することを抑制する。これら2つの効果により、インジェクター10の表面A部での四塩化スズ(酸化物膜を形成する化合物)と水蒸気の濃度を希釈することができ、インジェクター10の表面A部での酸化スズ膜(酸化物膜)の堆積を極力防止している。さらに、バイパス13aと13bに流した外部空気によって、インジェクター10の表面温度を低下させることで、インジェクター10の表面A部での四塩化スズ(酸化物膜を形成する化合物)の加水分解反応を抑制し、酸化スズ膜(酸化物膜)の堆積防止効果をより高めている。
【0026】
従来のインジェクター1を用いた成膜時に、インジェクター1の表面A部へ堆積した酸化スズ膜(酸化物膜)が、実際に亀裂を生じ始めるまでの経過時間を1.00とすると、表1に示すように、本実施例のインジェクター10を用いると、例えば第4吹出口からのみ窒素ガス(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)を吹き出した場合(ケースA)では1.78であり、第4吹出口と第5吹出口の両方から窒素ガス(酸化物膜を形成する化合物と反応しないガス)を吹き出した場合(ケースB)では2.94であった。ケースBでは、インジェクター表面へ堆積した酸化スズ膜(酸化物膜)が要因となる品質欠点の発生時間は、従来よりも約3倍長くなり、インジェクター表面に堆積した酸化スズ膜(酸化物膜)を除去するためのメンテナンス作業頻度も約1/3になる。
【0027】
ケースBで、バイパス13aと13bに流した外部空気によって、インジェクター10の表面A部の温度を低下させ、表面温度による酸化スズ膜(酸化物膜)の堆積防止効果の差異をみると、表2に示すように、インジェクター表面を冷却することで、酸化スズ膜(酸化物膜)の堆積防止効果をさらに高めていることが分かる。これは、四塩化スズ(酸化物膜を形成する化合物)の加水分解反応は高温になるほど活発化するが、逆に温度が低下するほど反応が抑制される性質を利用していることによる。
【0028】
これらの結果、基板上へ成膜する酸化スズ膜(酸化物膜)に対して、品質欠点の発生率を従来よりも低減することになり、インジェクター表面へ堆積した酸化スズ膜(酸化物膜)を除去するためのメンテナンス作業頻度も減少することから、生産性を従来よりも向上することが可能になる。
なお、本実施例は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。例えば、基板としてはガラス板に限定されず、その他の基板であっても良い。基板を搬送する手段も、搬送ベルトに限定されず、回転ローラーなど他の搬送手段を用いることもできる。
バイパス13a、13bに流す媒質も空気に限定されず、窒素、酸素などの他の気体や、水、油などの液体を用いても良い。
また、本実施例では、第1吹出口および第3吹出口から吹き出すガスのキャリアガスとして窒素ガスを用いたが、希ガス類(例えばアルゴン)、酸素、乾燥空気なども使用できる。
また、第2吹出口、第4吹出口および第5吹出口から吹き出されるガスの主成分には、本実施例で用いた窒素ガスのほか、希ガス類(例えばアルゴン)、酸素、乾燥空気などの所望の酸化物膜を形成する化合物の加水分解反応に寄与しないガスであれば特に限定されず用い得る。
その他、フッ酸(HF)に代表されるように、基板への酸化スズ膜(酸化物膜)の成膜量には影響を与えず、電気抵抗値など特性値のみを調節するために用いられるガスを、第1吹出口〜第5吹出口から吹き出すガスに混入させても良い。
【0029】
【表1】
Figure 0003952341
【0030】
【表2】
Figure 0003952341
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、基板上へ成膜する酸化物膜の品質欠点発生率を低減することができ、インジェクター表面へ堆積した酸化物膜を除去するためのメンテナンス作業の頻度が減少するため、生産性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来および本発明の一実施例に係る酸化物膜の製造装置の要部平面図
【図2】図1に示すII−II線に沿う、従来装置のガス吹出口の配置例を示すインジェクター先端の要部断面図
【図3】図1に示すII−II線に沿う、本発明の一実施例に係るガス吹出口の配置例を示すインジェクター先端の要部断面図
【符号の説明】
1…従来のインジェクター
2…基板
3…搬送ベルト
4…酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスを吹き出す第1吹出口
5a、5b…酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出す第2吹出口
6a、6b…水蒸気を含むガスを吹き出す第3吹出口
7a、7b…排気口
8…酸化物膜を形成する化合物と水蒸気の拡散方向
9…酸化物膜を形成する化合物と水蒸気を含んだ上昇対流の流れ方向
10…本発明の一実施例に係るのインジェクター
11a、11b…酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出す第4吹出口
12a、12b…酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出す第5吹出口
13a、13b…インジェクター表面冷却用の空気を流すバイパス
14…第4吹出口と第5吹出口から吹き出された酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスの流れ

Claims (5)

  1. CVD法により基板上へ酸化物膜を成膜する酸化物膜の製造方法において、
    インジェクターの前記基板に面する表面に設けた吹出口及び排気口であって、
    前記インジェクター表面の中央部に設けた第1吹出口から酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスを吹き出し、第1吹出口の両側に設けた第2吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出し、2つの第2吹出口の外側にそれぞれ設けた第3吹出口から水蒸気を含むガスを吹き出し、前記第3吹出口の外側にそれぞれ設けた排気口からガスを排気すると共に、
    前記2つの第3吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ設けた第4吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記基板との間に前記酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスと前記水蒸気とが周囲へ拡散することを抑制するエアーカーテンを形成し、
    前記2つの第4吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ設けた第5吹出口から前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記インジェクター表面に沿って流すことを特徴とする酸化物膜の製造方法。
  2. 前記第4吹出口から吹き出されるガス流量は、前記第2吹出口から吹き出されるガス流量と同程度であり、前記第5吹出口から吹き出されるガス流量は前記第4吹出口から吹き出されるガス流量よりも同等以上であることを特徴とする請求項1記載の酸化物膜の製造方法。
  3. 前記インジェクターの基板に面する表面を冷却することを特徴とする請求項1または2記載の酸化物膜の製造方法。
  4. 基板上へ酸化物膜を成膜するCVD装置において、
    インジェクターの前記基板に面する表面に設けた吹出口及び排気口であって、
    インジェクター表面の中央部に、酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスを吹き出す第1吹出口を有し、第1吹出口の両側に、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出す第2吹出口を有し、2つの第2吹出口の外側に、水蒸気を含むガスを吹き出す第3吹出口をそれぞれ有し、前記2つの第3吹出口の外側に、ガスを排気する排気口を有すると共に、
    前記2つの第3吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記基板との間に前記酸化物膜を形成する化合物の蒸気を含むガスと前記水蒸気とが周囲へ拡散することを抑制するエアーカーテンを形成する第4吹出口を備え、
    前記2つの第4吹出口の外側と前記2つの排気口との間にそれぞれ、前記酸化物膜を形成する化合物と反応しないガスを吹き出して前記インジェクター表面に沿って流す第5吹出口を備えたことを特徴とするCVD装置。
  5. 前記インジェクターの基板に面する表面を冷却する冷却機構を有することを特徴とする請求項4記載のCVD装置。
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