JP3952278B2 - ルーティング方法およびフォトニックルータ - Google Patents
ルーティング方法およびフォトニックルータ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3952278B2 JP3952278B2 JP2002094666A JP2002094666A JP3952278B2 JP 3952278 B2 JP3952278 B2 JP 3952278B2 JP 2002094666 A JP2002094666 A JP 2002094666A JP 2002094666 A JP2002094666 A JP 2002094666A JP 3952278 B2 JP3952278 B2 JP 3952278B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical
- packet
- length difference
- path length
- photonic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フォトニックネットワークに使用することが可能なルーティング方法およびフォトニックルータに関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトニックネットワーク上でIP(Internet Protocol)パケットを送受信する場合に、IPアドレスに応じてIPパケットの経路を制御するフォトニックIPルータが必要とされる。フォトニックIPルータは、光信号を電気信号に一旦変換する従来の電気的なルータに比較してはるかに高速化が可能なものである。図8は、先に提案されているフォトニックIPルーティングの概念図である。IPアドレスとしてアドレス#2が付加されたパケット#2、アドレス#3が付加されたパケット#3、アドレス#1が付加されたパケット#1の順でIPパケット群が光信号入力ポートからフォトニックIPルータ100に入力される。
【0003】
フォトニックIPルータ100は、アドレス#2が付加されたパケット#2は、第2の光信号出力ポート(out2)へ、アドレス#3が付加されたパケット#3は、第3の光信号出力ポート(out3)へ、アドレス#1が付加されたパケット#1は、第1の光信号出力ポート(out1)へそれぞれ振り分けられて出力される。フォトニックIPルータ100は、各IPパケットのIPアドレスを読み取り、各ポートへIPパケットを振り分ける機能を有する。
【0004】
図9は、N個の出力ポートを有するフォトニックIPルータ100の構成例を示す。光入力ポートから入力されたIPパケットが2つに分岐され、それぞれ振分制御部21とスイッチ部22に送られる。振分制御部21では、フォトディテクタ21aによって、光信号が電気信号へ変換され、信号処理装置21bにおいて、IPアドレスが読み取られ、このパケットのルーティング情報がコントローラ21cに供給される。コントローラ21cは、このルーティング情報に基づいてそのIPパケットの振分先を指定する制御信号を生成し、制御信号をスイッチ部22へ出力する。
【0005】
スイッチ部22に送られたIPパケットは、光遅延器22aによって遅延された後、1入力をN出力に振り分ける光スイッチ22bに入力される。そして、振分制御部21からの制御信号によって光スイッチ22bが制御され、光スイッチ22bの出力ポートが切り換えられ、IPパケットがIPアドレスで示される出力ポートから出力される。
【0006】
上述した図9に示す従来のフォトニックIPルータ100では、フォトディテクタ21aによって光信号を電気信号に変換し、信号処理装置21bおよびコントローラ21cが電気的処理によって制御信号を生成している。したがって、振分制御部21で制御信号が生成されるまでの時間、光遅延器22aによって、入力されたIPパケットを遅延させていた。その結果、フォトニックIPルータ100は、パケットルーティングを高速に行うことができない問題があった。
【0007】
かかる問題を解決し、振分制御部21で行われる処理を全て光で行うようにしたフォトニックIPルータが提案されている(特開2001−177565号参照)。ここで提案されているルーティング方法は、パケットに付加する宛先アドレス情報が光の属性を用いて光符号化しておき、フォトニックネットワークの各ノードでは、パケットのアドレス情報を光学的相関演算によって識別し、その識別結果に基づいてパケットの出力経路を制御するものである。
【0008】
先に提案されているルーティング方法では、パケットに付加する宛先アドレス情報の光符号化は、パルス光源から出力される波長λのコヒーレントな光パルスを分波し、チップ数N(但し、N≧2)の光チップパルスに分割し、光チップパルス間に一定の遅延時間差を与え、各光チップパルスの持つ光キャリア位相に0またはπの位相シフトを与えた後、全ての光チップパルスを再度合成することによって、特定の中心周波数と位相の組合せを持つ光符号に相当する光チップパルス列を全光的に生成するものである。
【0009】
具体的には、アドレス情報を大域的アドレスと小域的アドレスとに分割し、大域的アドレスに対応して光パルス列の周波数帯域を割り当て、小域的アドレスに対応して位相を割り当てるようにしている。光遅延線によって5psごとの遅延時間差を持つ等強度の8個のチップパルスを生成し、各チップパルスに対して光位相器によって光キャリアの位相として、"0" または"π"の位相シフトが与えられる。この位相がアドレス情報の各ビットの"0" または"1" に対応付けられている。光符号化によって宛先アドレス情報を付加することによって、フォトニックIPルータの振分制御部では、光復号化がなされ、宛先アドレス情報に基づいて経路制御がなされる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先に提案されているルーティング方法では、光符号化において、光キャリアの位相が"0" と"π"の位相シフトを与えるものである。このように2つの位相としてアドレス情報を光符号化するものであり、"0" と"π"の組合せとてしは、2n個存在するが、その中で互いに直交する組合せしか使用できないので、アドレス情報の種類が制約される問題があった。すなわち、チップパルスの個数のnとすると、アドレス数は、O(n)である。Oは、オーダーを意味する。
【0011】
したがって、この発明の目的は、先に提案されている方法と異なり、アドレス数の制約が少なく、2n/nのオーダーのより多くのアドレスを生成することが可能なルーティング方法およびフォトニックルータを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、この発明の第1の態様は、光伝送線路を用い、多地点間の情報伝送を行うフォトニックネットワークでアドレス情報の付加されたパケットを伝送する際に、複数の伝送路が結合するノードにおいてパケットを適切な伝送路に振り分けるフォトニックネットワークのパケットルーティング方法において、
光送信路では、
パケットに付加するアドレス情報は、光カオスエンコーダによって光の振幅および位相の少なくとも一方をカオス的に変化させる光符号化がされ、
光カオスエンコーダは、
光パルス信号を第1の光路および第2の光路に分岐して入力し、第1および第2の光路を通った光を合波する光干渉計を複数個並列に備え、当該複数の光干渉計の入力に対して生成したコヒーレントな一定周期の光パルスを分波して与え、複数の光干渉計からの光を、それぞれ等差数列的に遅延量が異なる光遅延器に供給し、光遅延器の出力を合波し、合波出力として光符号化アドレス信号を得る構成を有し、
第1および第2の光路に光路長差が設定され、
複数の光干渉計の光路長差が2以上の整数を公比とする等比数列の関係とされ、
光路長差を予め作成された光路長差とアドレス情報とのマッピングテーブルにしたがって変化させることによって、光路長差とアドレス情報を1対1に対応させ、その振幅および位相の少なくとも一方が変化された光符号化アドレス信号を生成するようになされ、
フォトニックネットワークの各ノードでは、
光カオスデコーダにおいて、パケットの光符号化アドレス信号を光学的相関演算によって識別し、その識別結果に基づいてパケットの出力経路を切り換えるようになされ、
光学的相関演算は、光パルス列同士の相関値を求め、求められた相関値と、光カオスエンコーダにおけるマッピングテーブルで表されたアドレス情報と光路長差の対応関係とに基づいて識別結果を取得する、
ことを特徴とするフォトニックネットワークのルーティング方法である。
【0013】
この発明の第2の態様は、光伝送線路を用い、多地点間の情報伝送を行うフォトニックネットワークでアドレス情報の付加されたパケットを伝送する際に、複数の伝送路が結合するノードにおいてパケットを適切な伝送路に振り分けるフォトニックネットワークのフォトニックルータにおいて、
パケットに付加するアドレス情報は、光送信器において光カオスエンコーダによって光の振幅および位相の少なくとも一方をカオス的に変化させる光符号化がされたものであり、
光カオスエンコーダは、
光パルス信号を第1の光路および第2の光路に分岐して入力し、第1および第2の光路を通った光を合波する光干渉計を複数個並列に備え、当該複数の光干渉計の入力に対して生成したコヒーレントな一定周期の光パルスを分波して与え、複数の光干渉計からの光を、それぞれ等差数列的に遅延量が異なる光遅延器に供給し、光遅延器の出力を合波し、合波出力として光符号化アドレス信号を得る構成を有し、
第1および第2の光路に光路長差が設定され、
複数の光干渉計の光路長差が2以上の整数を公比とする等比数列の関係とされ、
光路長差を予め作成された光路長差とアドレス情報とのマッピングテーブルにしたがって変化させることによって、光路長差とアドレス情報を1対1に対応させ、その振幅および位相の少なくとも一方が変化された光符号化アドレス信号を生成するようになされ、
フォトニックネットワークの各ノードでは、光カオスデコーダにおいて、パケットの光符号化アドレス信号を光学的相関演算部によって識別し、その識別結果に基づいてパケットの出力経路を切り換えるようになされ、
光学的相関演算部は、光パルス列同士の相関値を求め、求められた相関値と、光カオスエンコーダにおけるマッピングテーブルで表されたアドレス情報と光路長差の対応関係とに基づいて識別結果を取得するようにしたことを特徴とするフォトニックルータである。
【0015】
この発明では、複数の光干渉計の光路長差が2以上の整数を公比とする等比数列の関係とされ、光路長差を符号に応じて変更することによって、その振幅および位相の少なくとも一方が符号に応じて変化された符号化光パルス信号生成するので、n個のパルスの位相を制御する方法と異なり、より多くのアドレス情報を生成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明によるフォトニックIPルータを含むフォトニックネットワークの概略的構成を示す。参照符号1がフォトニックIPルータを示す。2が送信機を示す。送信機2には、パケット用データ4が供給され、送信機2は、IPアドレスに対応する光信号とデータに対応する光信号とからなる光パルス列を生成する。IPアドレスには、宛先アドレスと送信元アドレスとが含まれている。なお、この発明は、IPアドレスに限定されるものではなく、パケットの経路を制御するためのアドレスに対して広く適用できるものである。
【0017】
送信機2から光信号として送出されたIPパケットが光ファイバ等の光伝送路3を介してフォトニックIPルータ1に入力される。送信機2と表現しているのは、IPアドレスが付加されたIPパケットを送信する機能を有しているからである。実際には、フォトニックネットワークに接続された他のフォトニックIPルータ等を介してIPパケットがフォトニックIPルータ1に入力される。
【0018】
入力IPパケットが振分制御部6とスイッチ部7に入力される。振分制御部6ち供給されたIPパケットは、フォトニックプロセッサ6aによって電気信号に変換されることなく、光信号のままIPアドレス情報の読取とスイッチ制御用信号の生成が行われる。フォトニックプロセッサ6aの出力がフォトディテクタ6bによって電気信号に変換される。フォトディテクタ6bの出力に得られたスイッチ制御信号がスイッチ部7に出力される。スイッチ制御信号は、IPパケットの振分先を指定する。
【0019】
スイッチ部7に送られたIPパケットは、光遅延器7aによって遅延された後、1入力をN出力に振り分ける光スイッチ7bに入力される。そして、振分制御部6からの制御信号によって光スイッチ7bが制御され、光スイッチ7bの出力ポートが切り換えられ、IPパケットがIPアドレスで示される出力ポートから出力される。このように、フォトニックIPルータ1においては、アドレス情報の読取およびスイッチ制御信号の生成処理をフォトニックプロセッサ6aが光学的に行うので、処理時間を大幅に短縮化できる。
【0020】
図2は、IPアドレスを付加する機能を有する送信機2の構成例を示す。参照符号2aが10GHzのジェネレータ(発振器)を示し、参照符号2bがコヒーレントな光パルスの光源としてのモード同期半導体レーザを示す。モード同期半導体レーザ2bは、100psecの周期T(繰り返し周波数で10GHz)で、半値幅が2.0psecで、中心波長λの光パルス列を発生する。光パルス光源としては、モード同期半導体レーザ以外にモード同期ファイバーレーザ、連続波光源と電界吸収型光変調器を組み合わせた構成等を使用することができる。
【0021】
モード同期半導体レーザ2bからの光パルス列が光帯域通過フィルタ2cに供給され、光帯域通過フィルタ2cの出力が光カオスエンコーダ2dに供給される。IPアドレスが大域的アドレスと小域的アドレスとに分けられる。例えばアドレスの上位ビットで表されるものを大域的アドレスとし、その下位ビットで表されるものを小域的アドレスとするように、IPアドレスが分けられる。
【0022】
大域的アドレスによって光帯域通過フィルタ2cの通過帯域特性が切り換えられる。モード同期半導体レーザ2bの発振中心波長と光帯域通過フィルタ2cの通過帯域特性によって大域的アドレスλnが付加された光パルス列が光帯域通過フィルタ2cから出力される。そして、小域的アドレスにに応じて、光カオスエンコーダ2dにおいて、光パルス列の振幅および位相が制御される。光カオスエンコーダ2dにおける光符号化の詳細な説明については、後述する。
【0023】
このようにIPアドレスが波長と振幅および位相とにそれぞれマッピングされた光パルス列が電気光学変調器2eに供給される。電気光学変調器2eに対してパケット用データ4が供給され、光パルスの強度または位相が送信データによって変調される。このパケット用データ4で変調される光パルス列は、IPアドレスの光パルス列とは別の光パルスであり、例えばIPアドレスの光パルス列の後に続くものである。電気光学変調器2eによって、例えばデータの各ビットの値に応じて各光パルスの強度または位相が変調される。電気光学変調器2eは、電気光学効果(Electro-Optic effect)を利用したものであり、以下では、EO変調器と適宜称する。
【0024】
EO変調器2eは、屈折率が電界に比例して変化することを利用して、モード同期半導体レーザ1からの光パルス列をパケット用データ(電圧)4に応じて変調する。すなわち、パケット用データ4に応じて光パルスの強度が変調される。または、光パルス列の位相を変調することも可能である。強度変調および位相変調の何れを使用しても良い。なお、EO変調器に限らず、電界吸収型光変調器等の他の高速光変調器を使用しても良い。電気光学変調器2eの出力が光増幅器2fで増幅され、IPパケットとして光伝送路3へ送出される。
【0025】
なお、一実施形態では、使用帯域λを制限して大域的を付加し、光符号化によって小域的アドレスを付加するようにしている。しかしながら、IPアドレスの全体を光符号化のみによって特定するようにしても良い。
【0026】
アドレス情報をIPパケットに付加するための光カオスエンコーダ2dについて説明する。光カオスエンコーダ2dは、先に本願発明者が提案した特開2000−206472号に記載の光カオス乱数発生装置に基づいたものである。すなわち、この文献では、カオスがX(j+1)=F〔X(j)〕と決定論的な式で与えられながら、初期値X(1)に対して初期値鋭敏性を持つ現象として定義され、本願発明者がカオスであるにもかかわらず、その特性が解析的に得ることが可能なクラスが系統的に存在し、楕円関数の加法定理によってその非線形写像のクラスを構成できることが示されたことが述べられている。光カオスエンコーダ2dは、上記文献に記載の光カオス乱数発生装置をさらに発展させたものである。
【0027】
図3は、光カオスエンコーダ2dを全体として示す。光パルス列が図示を省略した光分波装置によってn個の光パルス列に分けられ、n個の光干渉計101、102 、・・・、10nに対して入力される。1×2(1入力2出力を意味する。)光分岐器によって2つの光路に光パルス列が分ける処理を繰り返すことで、n個の光路に光パルス列が分けれる。
【0028】
光干渉計101〜10nのそれぞれは、図4に示すマッハツェンダー型光干渉計(Mach-Zehnder Interferometer)を用いた構成を有している。マッハツェンダー型光干渉計は、2×2光分岐器13および2×2光結合器14を使用して構成することができる。これらの光分岐器13および光結合器14の間に2つの光導波路が設けられ、2つの光導波路間には、光路長差111が設定されている。光干渉計101〜10nのそれぞれは、入射光を2分岐した後再び合波し、この分岐から合波に至る間の2つの光路の光路長差によって光の干渉効果を生じさせる。
【0029】
各光干渉計の光路長差111,112 ,・・・,11nは、公比m(mは2以上の整数)の等比数列をなすように構成する。すなわち、(m=2)とすると、n個の光干渉計101〜10nの光路長差111〜11nがそれぞれθ,2θ,22θ,・・・,2n-1θに設定されている。但し、θは、定数である。各光路と接続した熱−光位相シフタ(図示しない)によって、二つの光路間に温度を生じさせることで、二つの光路に所定の位相差を生じさせるようになされる。
【0030】
このように光路長差を設定すると、光干渉計101〜10nが出力する光の強度をX[1],X[2],・・・,X[n]としたときに、これらの間には、下記の式(1)の関係(力学系)が成立する。
【0031】
X[j+1]=F(X[j]) (1)
但し、F(sin2θ)=sin2mθである。
【0032】
図4に示すマッハツェンダー型光干渉計の2つの入力ポート(入力1および入力2)の一方(入力1)に対して光信号を入力し、他方の入力ポートには、光信号を入力しない(開放)。すると、各マッハツェンダー型光干渉計の一方の出力ポート(出力ポート1)に出力される光信号の強度が式(1)に示す関係を有する。一方、マッハツェンダー型光干渉計のそれぞれの他方の出力ポート(出力ポート2)が出力する光信号の強度をY[1],Y[2],・・・,Y[n]としたときに、これらの間には、下記の式(2)の関係が成立する。なお、出力ポート1および出力ポート2の何れの出力ポートを使用しても良い。
【0033】
Y[j+1]=G(Y[j]) (2)
但し、G(cos2θ)=cos2mθである。
【0034】
m=2の場合、写像Fは、ロジスティック写像(下記の式(3))であり、m=3の場合、写像Fは、キュービック写像(下記の式(4))であり、一般的にこれらの写像は、チェビシェフ写像と呼ばれる。このような写像Fまたは写像Gを用いた漸化式により出力される信号は、カオス的振る舞いをすることが分かっている。
【0035】
F(x) =4x(1−x) (3)
F(x) =x(3−4x)2 (4)
したがって、ロジスティック写像は、式(1)および(3)から
X(j+1)=4X(j)〔1−X(j)〕 (5)
と表される。
【0036】
この式(5)は、sin2(a)の2倍角の公式sin2(2a)=4sin2(a)(1−sin2(a))と等しくなるため、ロジスティック写像は、カオスであるにもかかわらず、解析的な一般解(X(n)=sin2(2n-1a))を持つため、解けるクラスに属するカオスである。キュービック写像は、3倍角の公式と等しくなり、同様に解けるクラスに属するカオスである。
【0037】
複数の光干渉計101〜10nがパラレルに光信号を出力する。これらをシリアル信号に変換する。光遅延回路121〜12nは、複数の光干渉計101〜10nが出力する光パルス列をそれぞれ所定の時間遅延させて結合したシリアルな光パルス列を出力する。すなわち、光遅延回路121〜12nによってパラレル→シリアル変換がなされる。光遅延回路121〜12nの遅延量がt0,2t0,・・・,nt0と等差数列の関係とされる。
【0038】
さらに、図3の構成によって得られた出力値X[j]を図5に示すように、その値が0.5以上か否かに対して符号"0" または"1" を割り当てると、符号"0" である確率が1/2であり、符号"1" である確率が1/2となり、長さnの2値系列となる。これは、力学系を符号列で観測するというシンボリックダイナミックスという考え方を応用したものである。なお、キュービック写像の場合では、しきい値が1/4および3/4の二つが設定され、符号として"0" ,"1" ,"2"の3値を有する系列を生成できる。
【0039】
図6は、光カオスエンコーダ2dの入力信号および出力信号の波形を概略的に示すものである。図6Aに示すような光パルス列が入力されると、図6Bに示すように、振幅がsinθ,sin2θ,・・・,sin2n-1θをそれぞれ有するn個の光パルスが単位遅延時間t0でもって順次位置する出力パルス列が得られる。この場合、振幅のみならず、位相が変化することが判っている。この出力パルス列が必要に応じて2値化される。
【0040】
ここで、IPアドレスとの関係であるが、上述した光カオスエンコーダ2dに対する光路長差をIPアドレスによって変えることで、IPアドレスを光カオス乱数に1対1に対応させることができる。例えばt0を一定としておいて、光路長差θを各IPアドレスに応じて変更する。光路長差θとIPアドレスとの対応関係は、予めマッピングテーブルとして作成される。θを変えた場合では、光パルス列の振幅および位相が変更される。また、光カオスエンコーダ2dに供給される光の波長をIPアドレスに対応して変更したり、単位遅延時間t0をIPアドレスに対応して変えるようにしても良い。さらに、光路長差、波長、単位遅延時間等を組み合わせても良い。一実施形態では、θを変えることによって、全ての2値系列を生成できるので、θとIPアドレスとを1対1に対応させることができる。但し、後述する相関演算は、2値化していない光信号を使用してなされる。
【0041】
図7は、上述したように、アドレス情報が付加されたIPパケットが供給され、アドレス情報にしたがってIPパケットの経路を制御するフォトニックIPルータ1のより具体的な構成を示す。振分制御部6に入力されたIPパケットは、出力ポート数と同数(図7の例では3)のアームに分岐される。各アームにおいて、光帯域通過フィルタ61a、61b、61cによって周波数フィルタリングがなされ、光カオスデコーダ62a、62b、62cにおいて復号化される。
【0042】
光帯域通過フィルタ61a,61b,61cは、大域的アドレスを読み取るものである。光カオスデコーダ62a、62b、62cは、光信号の相関演算によって小域的アドレスを読み取るものである。すなわち、各デコーダは、3種類の内の小域的アドレスの符号1つ宛を持っており、入力されたIPパケットの小域的アドレスに相当するものとの相関検出を行う。デコーダ自身が持つ符号と入力信号の符号とが一致した場合には、光カオスデコーダ62a、62b、62cの出力が高いレベルとなり、一致しない場合では、低いレベルとなる。
【0043】
したがって、入力されたIPパケットの大域的アドレスを記述している波長λnが光帯域通過フィルタ61a,61b,61cの通過帯域と一致し、小域的アドレス情報を記述している符号が光カオスデコーダ62a、62b、62c自身の持つ符号と一致した場合のみ、高いピーク値を持つ光信号がデコーダの何れか1つから出力される。この光カオスデコーダ62a、62b、62cのそれぞれの出力がフォトディテクタ63a、63b、63cによって電気的なスイッチ制御信号に変換される。
【0044】
一方、スイッチ部7に入力されたIPパケットが光遅延器71によって振分制御部6との光路差に相当する時間的遅延が与えられて後、3つのアームに分波される。各アームには、光ゲート72a、72b、72cが接続されている。光ゲート72a、72b、72cは、振分制御部6からのスイッチ制御信号が高レベルの場合にオンし、スイッチ制御信号が低レベルの場合にオフするものであり、1×3光スイッチとして機能する。例えばLiNbO3 強度変調器をスイッチ部7の各光ゲートとして使用できる。
【0045】
この発明は、上述したこの発明の一実施形態等に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えばアドレス情報を付加するための符号化に限らず、ディジタルデータを光パルス列に対応させるものであれば、この発明を適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
この発明によれば、アドレス情報のようなディジタルデータを光パルス列の振幅または位相の変化として符号化することができる。この発明は、光カオス乱数発生を利用するので、例えば光路長差を変化させることによって、光キャリアの位相の"0" と"π"の組合せを使用するものと比較してより多くのアドレスを発生させることができる利点がある。したがって、アドレスが多い場合にも対応することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されたフォトニックIPルータの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態における送信機の一例のブロック図である。
【図3】送信機に含まれる光カオスエンコーダの一例のブロック図である。
【図4】光カオスエンコーダに含まれる光干渉計の構成を示すブロック図である。
【図5】光カオスエンコーダの説明に用いる略線図である。
【図6】光カオスエンコーダに対する入力光パルス列と出力光パルス列を示す略線図である。
【図7】この発明が適用されたフォトニックIPルータのより詳細なブロック図である。
【図8】フォトニックIPルータの説明に用いるブロック図である。
【図9】先に提案されているフォトニックIPルータの説明に用いるブロック図である。
【符号の説明】
1・・・フォトニックIPルータ、2・・・送信機、6・・・振分制御部、7・・・スイッチ部、2b・・・モード同期半導体レーザ、2d・・・光カオスエンコーダ、101〜10n・・・光干渉計、111〜11n・・・光路長差
Claims (2)
- 光伝送線路を用い、多地点間の情報伝送を行うフォトニックネットワークでアドレス情報の付加されたパケットを伝送する際に、複数の伝送路が結合するノードにおいてパケットを適切な伝送路に振り分けるフォトニックネットワークのパケットルーティング方法において、
光送信路では、
パケットに付加するアドレス情報は、光カオスエンコーダによって光の振幅および位相の少なくとも一方をカオス的に変化させる光符号化がされ、
上記光カオスエンコーダは、
光パルス信号を第1の光路および第2の光路に分岐して入力し、上記第1および第2の光路を通った光を合波する光干渉計を複数個並列に備え、当該複数の光干渉計の入力に対して生成したコヒーレントな一定周期の光パルスを分波して与え、上記複数の光干渉計からの光を、それぞれ等差数列的に遅延量が異なる光遅延器に供給し、上記光遅延器の出力を合波し、合波出力として上記光符号化アドレス信号を得る構成を有し、
上記第1および第2の光路に光路長差が設定され、
上記複数の光干渉計の上記光路長差が2以上の整数を公比とする等比数列の関係とされ、
上記光路長差を予め作成された上記光路長差と上記アドレス情報とのマッピングテーブルにしたがって変化させることによって、上記光路長差と上記アドレス情報を1対1に対応させ、その振幅および位相の少なくとも一方が変化された上記光符号化アドレス信号を生成するようになされ、
フォトニックネットワークの各ノードでは、
光カオスデコーダにおいて、パケットの光符号化アドレス信号を光学的相関演算によって識別し、その識別結果に基づいてパケットの出力経路を切り換えるようになされ、
上記光学的相関演算は、光パルス列同士の相関値を求め、求められた相関値と、上記光カオスエンコーダにおける上記マッピングテーブルで表された上記アドレス情報と上記光路長差の対応関係とに基づいて上記識別結果を取得する、
ことを特徴とするフォトニックネットワークのルーティング方法。 - 光伝送線路を用い、多地点間の情報伝送を行うフォトニックネットワークでアドレス情報の付加されたパケットを伝送する際に、複数の伝送路が結合するノードにおいてパケットを適切な伝送路に振り分けるフォトニックネットワークのフォトニックルータにおいて、
パケットに付加するアドレス情報は、光送信器において光カオスエンコーダによって光の振幅および位相の少なくとも一方をカオス的に変化させる光符号化がされたものであり、
上記光カオスエンコーダは、
光パルス信号を第1の光路および第2の光路に分岐して入力し、上記第1および第2の光路を通った光を合波する光干渉計を複数個並列に備え、当該複数の光干渉計の入力に対して生成したコヒーレントな一定周期の光パルスを分波して与え、上記複数の光干渉計からの光を、それぞれ等差数列的に遅延量が異なる光遅延器に供給し、上記光遅延器の出力を合波し、合波出力として上記光符号化アドレス信号を得る構成を有し、
上記第1および第2の光路に光路長差が設定され、
上記複数の光干渉計の上記光路長差が2以上の整数を公比とする等比数列の関係とされ、
上記光路長差を予め作成された上記光路長差と上記アドレス情報とのマッピングテーブルにしたがって変化させることによって、上記光路長差と上記アドレス情報を1対1に対応させ、その振幅および位相の少なくとも一方が変化された上記光符号化アドレス信号を生成するようになされ、
フォトニックネットワークの各ノードでは、光カオスデコーダにおいて、パケットの光符号化アドレス信号を光学的相関演算部によって識別し、その識別結果に基づいてパケットの出力経路を切り換えるようになされ、
上記光学的相関演算部は、光パルス列同士の相関値を求め、求められた相関値と、上記光カオスエンコーダにおける上記マッピングテーブルで表された上記アドレス情報と上記光路長差の対応関係とに基づいて上記識別結果を取得するようにしたことを特徴とするフォトニックルータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002094666A JP3952278B2 (ja) | 2002-03-29 | 2002-03-29 | ルーティング方法およびフォトニックルータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002094666A JP3952278B2 (ja) | 2002-03-29 | 2002-03-29 | ルーティング方法およびフォトニックルータ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003298512A JP2003298512A (ja) | 2003-10-17 |
JP3952278B2 true JP3952278B2 (ja) | 2007-08-01 |
Family
ID=29387027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002094666A Expired - Fee Related JP3952278B2 (ja) | 2002-03-29 | 2002-03-29 | ルーティング方法およびフォトニックルータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3952278B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4631797B2 (ja) * | 2006-05-23 | 2011-02-16 | 沖電気工業株式会社 | 光ラベルの認識方法、光ラベル認識装置、及び光ラベルスイッチ |
JP5025565B2 (ja) * | 2008-05-30 | 2012-09-12 | 株式会社アドバンテスト | 光信号ビットレート調整装置、光信号発生装置、光試験装置、光信号ビットレート調整方法およびプログラム、記録媒体 |
CN101982782A (zh) * | 2010-09-08 | 2011-03-02 | 西安电子科技大学 | 类微光子源导航体系中的混沌测频系统与方法 |
CN114337832B (zh) * | 2021-12-22 | 2024-02-09 | 杭州电子科技大学 | 基于混沌编码的键控光混沌通信系统 |
-
2002
- 2002-03-29 JP JP2002094666A patent/JP3952278B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003298512A (ja) | 2003-10-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8041214B2 (en) | Photonic network packet routing method and packet router for photonic network | |
Marhic | Coherent optical CDMA networks | |
Blumenthal et al. | All-optical label swapping networks and technologies | |
KR100703410B1 (ko) | 오프셋 직교위상편이 변조 방법과 이를 이용한 광송신기 | |
US5999292A (en) | Sagnac interferometer amplitude modulator based demultiplexer | |
JP4529891B2 (ja) | 光変調回路及び光変調方法 | |
US20020131114A1 (en) | Method and apparatus for optical signal processing using subcarrier multiplexed headers | |
JP3952278B2 (ja) | ルーティング方法およびフォトニックルータ | |
US7120364B2 (en) | Optical modulator and method for polarization bit interleaving | |
JP2010004418A (ja) | 変調ビート光パルス信号生成方法及び光多重信号送受信方法、及びこれら方法を実現する装置及びシステム | |
JP3749151B2 (ja) | 送信装置および送信方法、受信装置および受信方法、並びに送受信装置および送受信方法 | |
Karafolas et al. | Self-homodyne code division multiple access technique for fiber optic local area networks | |
JP3606835B2 (ja) | 光信号発生装置および方法、送信装置および送信方法、受信装置および受信方法、並びに送受信装置および送受信方法 | |
Marhic | Trends in optical CDMA | |
US20050053382A1 (en) | Duobinary optical transmitter | |
JP4490420B2 (ja) | 光パケット交換装置 | |
JP3508901B2 (ja) | 光時分割多重化回路 | |
GB2386728A (en) | All optical exclusive OR (XOR) gate | |
JP2003057702A (ja) | 光周波数掃引装置、波長パケット発生装置および波長パケット通信ネットワーク、ならびに光周波数掃引装置の位相変化測定方法 | |
JP2002040379A (ja) | 光強度変調装置及び両相型ln変調器 | |
JP2007094398A (ja) | 光位相変調装置 | |
WO2012093267A1 (en) | An optical duobinary modulated signal generator | |
JP4249093B2 (ja) | Cs−rz出力波長変換装置 | |
WADA et al. | 3-3 Reconfigurable Optical Packet ADM Experiment using JGNⅡ Network Test-bed | |
JPH08307391A (ja) | 時間多重化光パルス列分離方法及びその装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041201 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041207 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051206 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060206 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060523 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060719 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070320 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070418 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20070418 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120511 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |