ところで、上記異常は、通常、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じるものである。つまり、例えば、異常の直接的な原因を原因Aとすると、原因Aという現象は該現象の直接的な原因である原因Bにより生じ、原因Bという現象は該現象の直接的な原因である原因C(根本原因)により生じる。
また、通常の推論の過程においては、与えられた条件に基づき、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因(現象)を生じさせる二以上の原因のうちから一つの原因を選択することにより、根本原因の推論を行う。
しかしながら、上記特許文献1の故障診断装置では、上記探求対象および上記点検で観察された現象の原因は表示されるものの、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、或る段階における原因(以下、上位原因)と、該原因(現象)の直接的な原因(以下、下位原因)との因果関係(つまり、下位原因から上位原因が生じる根拠)が表示されない。
したがって、従来の故障診断装置では、ユーザは、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを理解できないという問題点を有している。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを、ユーザが理解可能な情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供するにある。
本発明に係る情報処理装置は、上記の課題を解決するため、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を推論する推論手段と、nを2以上の自然数と、iを1以上かつn−1以下の任意の自然数とし、前記異常の直接の原因から前記推論した根本原因の順に至る前記段階的に特定した原因を、第1原因、第2原因、…、第n原因とし、前記第1原因から前記異常が生じる根拠を第1根拠、第i+1原因から第i原因が生じる根拠を第i+1根拠とし、或る段階における或る原因を生じさせている直接的な原因から、前記或る原因が生じる根拠を、前記或る原因毎に示したデータを根拠データとし、前記第1原因および前記異常を前記第1根拠に関する関連原因と、前記第i+1原因および第i原因を前記第i+1根拠に関する関連原因とすると、前記推論手段が前記根本原因を推論した場合、前記根拠データを記憶した記憶装置から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを取得する根拠データ取得手段と、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に表示装置に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、推論手段により、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を推論することができる。
また、前記推論手段が前記根本原因を推論した場合、根拠データ取得手段により、前記根拠データを記憶した記憶装置から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを取得することができる。
つまり、根拠データ取得手段により、異常から根本原因に至る、推論手段により特定した各原因(根本原因を含む)に関し、この原因から該原因の一段階だけ異常に近い段階の原因が生じる根拠を示したデータを、前記根拠データから取得することができる。加えて、根拠データ取得手段により、前記特定した原因である異常の直接的な原因から該異常が生じる根拠を示したデータを、前記根拠データから取得することができる。
さらに、表示制御手段により、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に表示装置に表示させることができる。
つまり、表示制御手段により、推論手段により特定した各原因に関し、この原因から該原因の一段階だけ異常に近い段階の原因が生じる根拠を示したデータと、前記特定した原因である異常の直接的な原因から該異常が生じる根拠を示したデータとを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、根拠毎に表示装置に表示させることができる。
このため、ユーザは、表示装置の表示内容を確認することにより、推論手段における推論の過程で特定された各原因に関し、この原因から該原因の一段階だけ異常に近い段階の原因が生じる根拠と、特定した原因である異常の直接的な原因から該異常が生じる根拠とを、各根拠に関する関連原因と共に把握することが可能となる。
それゆえ、ユーザは、どのような原因が段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、或る段階における或る原因と該原因の直接的な原因と間の因果関係(つまり、前記直接的な原因から或る段階における或る原因(異常を含む)が生じる根拠)を把握することができる。
したがって、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを、ユーザが理解可能となる情報処理装置を提供できるという効果を奏する。
なお、上記製品は、製造ラインの中間工程で製造される中間製品であってもよい。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、それぞれ、第1データ、第2データ、…、第nデータとすると、前記表示制御手段は、前記第1根拠から第n根拠に関するデータを、第nデータ、第n−1データ、…、第1データの順に、前記表示装置に表示させることを特徴としている。
上記の構成によれば、表示制御手段は、前記第1根拠から第n根拠に関するデータを、第nデータ、第n−1データ、…、第1データの順に、表示装置に表示させる。これにより、ユーザは、表示装置において、第n根拠、第n−1根拠、…、第1根拠の順に、根拠を確認することができる。
それゆえ、ユーザは、根本原因から異常に至る順に、各根拠を把握することができる。
したがって、ユーザは、根本原因から異常が発生する過程における根拠を、該過程に沿って理解することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、各根拠を画像で説明するための画像データを、それぞれ、根拠説明用画像データとすると、前記記憶装置には、前記根拠データとして、各根拠説明用画像データが記憶されており、前記表示制御手段は、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを表示する場合には、それぞれ、各根拠に対応した根拠説明用画像データを表示装置に表示させることを特徴としている。
上記の構成によれば、表示制御手段により、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを表示する場合には、それぞれ、各根拠に対応した根拠説明用画像データを表示装置に表示させることができる。
それゆえ、ユーザは、各根拠を、それぞれ、画像と共に確認することができる。
したがって、ユーザは、根本原因から異常が発生する過程における根拠を、画像がない場合に比べて理解しやすくなるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記製品の品質を検査する検査装置から、少なくとも、第1原因から第n原因の各原因を示す検査結果データを取得する検査結果データ取得手段を備え、前記表示制御手段は、第i+1根拠に関するデータを表示する場合には、第i原因を示す検査結果データを、第1根拠に関するデータを表示する場合には、前記異常を示す検査結果データを、前記表示装置に表示させることを特徴としている。
上記の構成によれば、検査結果データ取得手段により、前記製品の品質を検査する検査装置から、少なくとも、第1原因から第n原因の各原因を示す検査結果データを取得することができる。
また、表示制御手段が表示装置に第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御手段は、第i原因を示す検査結果データを前記表示装置に表示させる。それゆえ、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、該第i+1根拠により生じる原因である第i原因を示す検査結果データを表示させることができる。
また、表示制御手段が表示装置に第1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御手段は、前記異常を示す検査結果データを前記表示装置に表示させる。それゆえ、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、第i+1根拠により生じる原因である異常を示す検査結果データを表示させることができる。
したがって、ユーザは、各根拠に関し、根拠の裏付けとなる、該根拠により生じる原因(異常を含む)を示すデータを確認することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記検査結果データ取得手段は、前記検査結果データとして、さらに、撮影装置により撮影された、該検査結果データ取得時の検査における検査箇所の状態を示した検査箇所状態画像データを取得し、前記表示制御手段は、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、第i原因を示す検査箇所状態画像データを、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、前記異常を示す検査箇所状態画像データを、前記表示装置に表示させることを特徴としている。
上記の構成によれば、前記検査結果データ取得手段により、前記検査結果データとして、さらに、撮影装置により撮影された、該検査結果データ取得時の検査における検査箇所の状態を示した検査箇所状態画像データを取得することができる。
また、表示制御手段が表示装置に第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御手段は、第i原因を示す検査箇所状態画像データを前記表示装置に表示させる。それゆえ、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、該第i+1根拠により生じる原因である第i原因を示す検査結果データを、実際の検査画像として表示させることができる。
また、表示制御手段が表示装置に第1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御手段は、前記異常を示す検査箇所状態画像データを前記表示装置に表示させる。それゆえ、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、該第1根拠により生じる原因である前記異常を示す検査結果データを、実際の検査画像として表示させることができる。
したがって、ユーザは、各根拠に関し、根拠の裏付けとなる、該根拠により生じる原因(異常を含む)を示すデータを画像として確認することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置において、前記製造設備を構成する部品であって、該製造設備にて製造される製品の品質に影響を与える部品を設備部品とし、各設備部品の設定値および/または各設備部品による前記製品に対する処理結果を示したデータを状態データとすると、前記状態データを前記製造設備から取得する状態データ取得手段を備え、前記表示制御手段は、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、第i+1根拠に関連する設備部品の状態データを、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、前記第1根拠に関連する設備部品の状態データを、前記表示装置に表示させることを特徴としている。
上記の構成によれば、状態データ取得手段により、各設備部品の設定値および/または各設備部品による前記製品に対する処理結果を示した状態データを取得することができる。
また、表示制御手段が表示装置に第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御手段は、第i+1根拠に関連する設備部品の状態データを前記表示装置に表示させる。さらに、表示制御手段が表示装置に第1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御手段は、第1根拠に関連する設備部品の状態データを前記表示装置に表示させることができる。
それゆえ、ユーザは、根拠毎に、各根拠に関連する設備部品の状態データを確認することができる。
したがって、ユーザは、各根拠に関し、根拠の裏付けとなる、実際の設備部品の設定値および/または上記処理結果を確認することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理方法は、上記の課題を解決するために、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を、推論手段により推論する推論ステップと、nを2以上の自然数と、iを1以上かつn−1以下の任意の自然数とし、前記異常の直接の原因から前記推論した根本原因の順に至る前記段階的に特定した原因を、第1原因、第2原因、…、第n原因とし、前記第1原因から前記異常が生じる根拠を第1根拠、第i+1原因から第i原因が生じる根拠を第i+1根拠とし、或る段階における或る原因を生じさせている直接的な原因から、前記或る原因が生じる根拠を、前記或る原因毎に示したデータを根拠データとし、前記第1原因および前記異常を前記1根拠に関する関連原因と、前記第i+1原因および第i原因を前記第i+1根拠に関する関連原因とすると、前記推論手段が前記根本原因を推論した場合、前記根拠データを記憶した記憶装置から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを、根拠データ取得手段により取得する取得ステップと、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に、表示制御手段により表示装置に表示させる表示ステップとを備えることを特徴としている。
上記の情報処理方法でも、上述した情報処理装置と同様に、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを、ユーザが理解可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係るプログラムは、上記の課題を解決するために、上記情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
したがって、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る記録媒体は、上記の課題を解決するために、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴としている。
したがって、上記記録媒体に記録されているプログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
本発明に係る情報処理装置は、以上のように、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を推論する推論手段と、nを2以上の自然数と、iを1以上かつn−1以下の任意の自然数とし、前記異常の直接の原因から前記推論した根本原因の順に至る前記段階的に特定した原因を、第1原因、第2原因、…、第n原因とし、前記第1原因から前記異常が生じる根拠を第1根拠、第i+1原因から第i原因が生じる根拠を第i+1根拠とし、或る段階における或る原因を生じさせている直接的な原因から、前記或る原因が生じる根拠を、前記或る原因毎に示したデータを根拠データとし、前記第1原因および前記異常を前記第1根拠に関する関連原因と、前記第i+1原因および第i原因を前記第i+1根拠に関する関連原因とすると、前記推論手段が前記根本原因を推論した場合、前記根拠データを記憶した記憶装置から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを取得する根拠データ取得手段と、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に表示装置に表示させる表示制御手段とを備える構成である。
したがって、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを、ユーザが理解可能となる情報処理装置を提供できるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報処理方法は、以上のように、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を、推論手段により推論する推論ステップと、nを2以上の自然数と、iを1以上かつn−1以下の任意の自然数とし、前記異常の直接の原因から前記推論した根本原因の順に至る前記段階的に特定した原因を、第1原因、第2原因、…、第n原因とし、前記第1原因から前記異常が生じる根拠を第1根拠、第i+1原因から第i原因が生じる根拠を第i+1根拠とし、或る段階における或る原因を生じさせている直接的な原因から、前記或る原因が生じる根拠を、前記或る原因毎に示したデータを根拠データとし、前記第1原因および前記異常を前記1根拠に関する関連原因と、前記第i+1原因および第i原因を前記第i+1根拠に関する関連原因とすると、前記推論手段が前記根本原因を推論した場合、前記根拠データを記憶した記憶装置から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを、根拠データ取得手段により取得する取得ステップと、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に、表示制御手段により表示装置に表示させる表示ステップとを備える方法である。
したがって、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを、ユーザが理解可能となる情報処理装置を提供できるという効果を奏する。
また、本発明に係るプログラムは、以上のように、上記情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
したがって、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る記録媒体は、以上のように、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴としている。
したがって、上記記録媒体に記録されているプログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記情報処理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すると以下の通りである。
本実施の形態に係るシステム1は、図2に示すとおり、製造設備2、検査装置3、および情報処理装置4を備えている。
製造設備2は、所定の製品(例えば回路基板)を順次生産する。ここで、製造設備2を構成する部品であって、該製造設備2にて製造される製品の品質に影響を与える部品を設備部品とすると、製造設備2は、情報処理装置4から所定の指示(以下、第1の指示)があった場合、上記設備部品の状態に関するデータ(以下、状態データ)を情報処理装置4に送る。なお、状態データとは、設備部品の設定値、設備部品による製品に対する処理結果(計測値等)の数値データを指す。
検査装置3は、製造設備2により生産された製品の品質を検査する。さらに、検査装置3は、製造設備2により製造される製品に異常が生じていると判断した場合、異常が生じている旨を自装置3の表示部(図示せず)に表示する。
また、検査装置3は、情報処理装置4から所定の指示(以下、第2の指示)があった場合、各検査の結果を示した検査結果データと、各検査の合否の判定基準となる基準値を示した基準値データとを、情報処理装置4に送る。さらに、検査装置3は、各検査における検査箇所の状態を撮影する撮影装置(図示せず)を備えている。
なお、製造設備2、検査装置3、および情報処理装置4とは、例えばLAN等により、互いに接続されている。
情報処理装置4は、図1に示すとおり、操作部11、制御部12、記憶部(記憶装置)13、および表示部(表示装置)14を備えている。また、制御部12は、データ取得部(検査結果データ取得手段・状態データ取得手段)21、推論部(推論手段)22、根拠取得部(根拠データ取得手段)23、および表示制御部(表示制御手段)24を備えている。
操作部11は、ユーザからの各種の指示を受け付ける。そして、受け付けた指示を、制御部12に送る。例えば、検査装置3の検査結果から、製造設備2で生産される製品に異常が生じているとユーザが認識した場合、操作部11は、ユーザから、異常の根本原因を推論するための指示を受け付ける。
記憶部13には、詳しくは後述するが、推論用データおよび根拠データが記憶されている。なお、記憶部13は、例えば、RAM、HDD等で構成できる。
表示部14は、表示制御部24による表示制御に基づいて、所定の画像を表示する。なお、表示部14において表示される画像の内容については、後述する。また、この表示部14は、例えば、液晶駆動装置および液晶表示パネルを供えた液晶表示装置や、CRT(Cathode Ray Tube、陰極線管(ブラウン管))で構成することができる。
次に、制御部12、および該制御部12の各部21〜24について説明する。
制御部12は、操作部11を介して、ユーザからの上記指示を受け付ける。ここで、制御部12が、上記根本原因を推論するための指示(推論指示)を受け付けた場合、データ取得部21が、上記第1の指示を製造設備2に、かつ、上記第2の指示を検査装置3に送る。これにより、データ取得部21は、製造設備2から上記状態データを取得すると共に、検査装置3から検査結果データおよび基準値データを取得する。さらに、データ取得部21は、検査装置3の撮影装置により撮影された、検査結果データ取得時の検査における検査箇所の状態を示した画像データ(以下、検査箇所状態画像データ)を、検査装置3から取得する。そして、データ取得部21は、これらの取得した各データを推論部22に送る。なお、上記状態データ、検査結果データ、および画像データは、検査装置3において異常と判断された製品に関連するデータである。
推論部22は、データ取得部21から、上記状態データ、検査結果データ、基準値データ、および、検査箇所状態画像データを受け付ける。ここで、推論部22は、これらの各データおよび記憶部13に記憶された上記推論用データに基づいて、上記異常の根本原因を推論する。ここで、上記状態データ、検査結果データ、基準値データ、および、検査箇所状態画像データについては、推論部22により、記憶部13に記憶される。
なお、以下では、推論用データの説明をした後、根本原因の具体的な推論手法について説明する。また、あわせて、根拠データの説明も行う。また、以下では、上記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合であって、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる原因が二以上ある場合について説明する。
まず、推論用データについて説明する。
推論用データは、各現象を表記した現象データ、および、或る現象と該或る現象の直接的な原因となる現象との関連性を、少なくとも該或る現象の現象データに対応付けて、現象データ毎に示したデータ(以下、関連性データと称する)を有している。さらに、推論用データにおいては、或る現象に対して上記直接的な原因が複数存在する場合には、該或る現象を示した現象データ毎に、所定の条件式を示した条件式データが関連付けられている。この条件式データは、上記或る現象に対する直接的な原因を一つに特定するために用いられるデータである。また、推論用データは、上記関連性データ毎に、ID(以下、関連性データID)を有している。さらに、推論用データにおいては、条件式データが関連付けられた現象データに関しては、現象データ毎に、条件式データと関連データIDとが関連付けられている。
このような推論用データを概念的な構成として表すと、例えば図3のようになる。ここで、同図のA〜Iのそれぞれが上述した現象に相当し、矢印が関連性データに相当する。また、同図においては、例えば上記或る現象をAとした場合、上記直接的な原因となる現象はBおよびCとなる。
さらに、この場合、上記条件式データは、部品ズレが「小」であるか「大」であるかといったデータに基づき、部品ズレが「小」であるなら、上記関連性データで特定される2つの直接的な原因のうち一方の原因であるBを特定するデータであり、部品ズレが「大」ならば他方の原因であるCを特定するためのデータである。また、同図に示すとおり、関連性データ毎に、上記関連性データIDとしてA1〜A9が対応付けられている。
ここで、図3におけるAという現象が、上述した製品の異常(異常現象)とした場合、Aという現象の直接的な原因として、Bという現象またはCという現象が考えられる。また、Bという現象の直接的な原因として、Dという現象が考えられる。さらに、Cという現象の直接的な原因としてEという現象またはFという現象が考えられる。また、Dという現象の直接的な原因として、Eという現象またはGという現象が考えられる。さらに、Fという現象の直接的な原因としてHという現象またはIという現象が考えられる。
また、同図においては、E、G、H、およびIの各現象に関しては、各現象の直接的な原因となる現象との関連性を有した関連性データを有しておらず(つまり、E、G、H、またはIが起点となる矢印が存在していない)、各現象の直接的な原因が存在しないことを示している。
つまり、同図においては、E、G、H、またはIの各現象のうち何れかの一つの現象が、Aという現象(異常)の根本原因となる。言い換えれば、Aという現象の根本原因の候補として、E、G、H、Iの4つの現象が挙げられ、そのうちの何れか1つが根本原因となる。
また、同図にも示すとおり、Cという現象に関連付けられた条件式データは、半田の印刷高さが「高」であるか「低」であるかといったデータに基づき、印刷高さが「高」であるなら、上記関連性データで特定される2つの直接的な原因のうち一方の原因であるEを特定するデータであり、印刷高さが「低」ならば他方の原因であるFを特定するためのデータである。
さらに、Dという現象に関連付けられた条件式データは、半田の粘度が「大」であるか「小」であるかといったデータに基づき、粘度が「大」であるなら、上記関連性データで特定される2つの直接的な原因のうち一方の原因であるEを特定するデータであり、粘度が「小」ならば他方の原因であるGを特定するためのデータである。
また、Fという現象に関連付けられた条件式データは、半田印刷に用いるマスクの押し込み量が「小」であるか「大」であるかといったデータに基づき、押し込み量が「小」であるなら、上記関連性データで特定される2つの直接的な原因のうち一方の原因であるHを特定するデータであり、押込量が「大」ならば他方の原因であるIを特定するためのデータである。
なお、以下においては、部品ズレが「小」、部品ズレが「大」、半田の印刷高さが「高」、半田の印刷高さが「低」、半田の粘度が「大」、半田の粘度が「小」、マスクの押し込み量が「小」、マスクの押し込み量が「大」であるかといった、上記直接的な原因となる現象を特定するために用いられる各情報を、特定用データと称する。なお、この特定用データは、条件式データを構成するデータでもある。
ところで、特定用データは、上記或る現象の直接的な原因となる現象を特定するものであるため、推論用データに同一の特定用データが存在しない限り、該特定用データから、上記或る現象と上記直接的な原因となる現象とを、それぞれ1つに特定することが可能となる。つまり、例えば、「印刷高さが低」という特定用データから、上記或る現象をCと、該或る現象の直接的な原因となる現象をFと特定することができる。なお、このような特定は、詳しくは後述するが、推論部22において行われる。
次に、根拠データについて説明する。
根拠データは、例えば図4に示すとおり、上記関連性データIDと、根拠説明情報と、根拠画像アドレス情報と、関連設備部品情報と、関連検査情報とが、根拠データID毎に、関連付けられたデータである。
ここで、或る現象を上位現象と、該或る現象(上位現象)の直接的な原因となる現象を下位現象と称した場合、根拠説明情報とは、該根拠説明情報と関連付けられた関連性データIDによって特定される2つの現象(つまり上位現象と下位現象)において、下位現象から上位現象が起こる根拠を文字で示したデータである。
つまり、根拠説明情報とは、上位現象(例えばA)から下位現象(例えばC)を特定するのに用いた特定用データ(つまり、部品ズレが「大」というデータ)で示される状態であれば、「何故、下位現象(C)から上位現象(A)が生じるのか(つまり、発生理由)」を文字で示したデータである。
根拠画像アドレス情報とは、根拠説明で示される内容の理解を促進するための画像データ(以下、根拠説明用画像データ)が記憶されている、記憶部13内のアドレスを指定したデータである。
関連設備部品情報とは、根拠説明情報に関連する設備部品の情報を示したデータである。この関連設備部品情報としては、例えば、図4に示すとおり、「マスクの押し込み量」、「印刷機の基板厚さ設定」、「部品装着率」、「マスク認識率」、「部品認識率」等の項目情報が挙げられる。なお、関連設備部品情報には、例えば「マスク押し込み量」に関する押し込み量の実際の数値データは含まれていない。また、以下では、「マスクの押し込み量」等の各項目を、関連設備部品情報の項目と称する。
関連検査情報とは、根拠説明情報に関連する、検査装置3における検査項目を示したデータである。この関連検査情報としては、例えば、同図に示すとおり、「印刷面積」、「部品ズレ」といった項目を示したデータである。
次に、根本原因の具体的な推論手法について説明する。
推論部22は、まず、上述した検査結果データおよび基準値データに基づいて、上述した特定用データのうちで、該検査結果データおよび基準値データから得ることができる特定用データを生成する。例えば、推論部22は、「部品ズレが大」、「部品ズレが小」、「印刷高さが高」、「印刷高さが低」といった特定用データを生成する。
また、推論部22は、上述した状態データに基づいて、上述した特定用データのうち、該状態データから得ることができる特定用データを生成する。例えば、「マスク押し込み量が大」、「マスク押し込み量が小」、「半田粘度が小」、「半田粘度が大」といった特定用データを生成する。なお、製造設備2が、マスクの押し込み量を基準値と比べて大きいか否かを示す情報を生成したり、マスク上の半田残りから半田の粘度の大小を示す情報を生成することにより、このような特定用データを情報処理装置4で得ることができる。
さらに、推論部22は、該推論部22が生成した特定用データを用いて、異常の根本原因を推論する。以下では、製品の異常が図3に示したAという現象であって、かつ、該生成された特定用データが、「部品ズレが大」、「半田粘度が小」、「マスクの押し込み量が大」、および「印刷高さが小」の4つである場合を例に挙げて説明する。
推論部22は、推論用データ内において、上記4つの特定用データと一致する特定用データを検索し、一致した特定用データを一致データとして取得する。図3に示すような関係の推論用データにおいては、推論部22は、「部品ズレが大」、「半田粘度が小」、「マスクの押し込み量が大」、および「印刷高さが小」という全ての特定用データを上記一致データとして取得する。
さらに、推論部22は、上記4つの各一致データに関し、上位現象と下位現象とを特定する。つまり、まず、「部品ズレが大」という一致データに関して、Aという上位現象と、Cという下位現象とを特定する。また、「半田粘度が小」という一致データに関して、Dという上位現象と、Gという下位現象とを特定する。さらに、「マスクの押し込み量が大」という一致データに関して、Fという上位現象と、Iという下位現象とを特定する。また、「印刷高さが小」という一致データに関して、Cという上位現象と、Fという下位現象とを特定する。
また、推論部22は、上記特定した4つの、上位現象と下位現象との組み合わせ、つまり、(上位現象・下位現象)=(A・C)、(D・G)、(F・I)、(C・F)という関係を用いて、異常(Aという現象)から、該異常の根本原因となる現象を推論する。この場合、推論部22は、上記の関係より、Aの下位現象がCであって、Cの下位現象がFであって、Fの下位現象がIであると判断し、Iという現象(原因)を異常の根本原因として推論する。なお、図5は、上記推論の過程を、現象と矢印とを用いて示した図である。
このように推論部22は、或る現象の下位現象が複数存在する場合には、該下位現象のうちから1つの現象を選択的に特定している。
以上のように、推論部22は、製造設備2により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、上記異常が、複数の原因(現象)の段階的な積み重なりにより生じている場合、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、上記原因(現象)を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因(現象)を生じさせる二以上の原因(現象)のうちから一つの原因(現象)を選択的に特定することにより、上記異常の根本原因を推論するものである。
ここで、前記異常の直接の原因(現象)から推論した根本原因の順に至る前記段階的に特定した原因を、第1原因、第2原因、…、第n原因とすると(n:2以上の自然数)、上記の例では、nが3であって、第1原因がCという現象に、第2原因がFという現象に、第3原因がIという現象に該当する。
また、第1原因から前記異常が生じる根拠を第1根拠、第i+1原因から第i原因が生じる根拠を第i+1根拠とすると(i:1以上かつn−1以下の自然数)、上記の例では、第1根拠が、上記A1という関連性データIDと関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および関連検査情報で示される根拠に該当する。さらに、第2根拠が、上記A2という関連性データIDと関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および関連検査情報で示される根拠に該当する。また、第3根拠が、上記A3という関連性データIDと関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および関連検査情報で示される根拠に該当する。さらに、第1原因および異常を第1根拠に関する関連原因と、前記第i+1原因および第i原因を前記第i+1根拠に関する関連原因とする。
推論部22は、さらに、推論部22が生成した各特定用データをまとめて、図6に示すとおり、記憶部13に履歴情報として残す。
ところで、上述したように、推論用データにおいては、条件式データと関連データIDとが関連付けられている。また、特定用データは条件式データを構成するデータである。そこで、推論部22は、この関係を用いて、推論用データにおいて、上記一致データと同一の特定用データに対応付けられた関連性データIDを取得する。具体的には、上記図3の場合、推論部22は、A1、A2、およびA3という関連性データIDを取得する。
そして、推論部22は、上記取得した関連性データIDを、図6に示すとおり、上記履歴情報として残す。さらに、推論部22は、上述した一連の推論処理が終了した場合、終了したことを示す情報を根拠取得部23に送る。
なお、上記A1という関連性データIDと関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および関連検査情報が、特許請求の範囲に記載の第1根拠に関するデータに対応する。また、上記A2という関連性データIDと関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および関連検査情報が、同様に、第2根拠に関するデータに対応する。さらに、上記A3という関連性データIDと関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および関連検査情報が、第3根拠に関するデータに対応する。
次に、根拠取得部23について説明する。
根拠取得部23は、推論部22から上記情報を受け付けた場合、記憶部13から上記履歴情報を読み出す。さらに、根拠取得部23は、履歴情報の中から、関連性データIDを取得する。また、根拠取得部23は、記憶部13に記憶されている推論用データから、この取得した関連性データIDによって特定される上位現象と下位現象との情報を取得する。
さらに、根拠取得部23は、記憶部13に記憶された上記根拠データから、上記取得した関連性データIDに関連付けられた、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および、関連検査情報を、関連性データID毎に取得する。また、根拠取得部23は、記憶部13から、上記取得した根拠画像アドレス情報で示されるアドレスの根拠説明用画像データを、関連性データID毎に取得する。
さらに、根拠取得部23は、記憶部13から、上記状態データ中の、関連設備部品情報の各項目についての数値データ(設定値、計測値等)を取得する。つまり、「マスクの押し込み量」という項目についての数値データ、「印刷機の基板厚さ設定」という項目についての数値データ、「部品装着率」という項目についての数値データ、「マスク認識率」という項目についての数値データ、「部品認識率」という項目についての数値データ等を取得する。
また、根拠取得部23は、記憶部13から、検査項目についてのデータ(検査結果データ)を取得する。つまり、「印刷面積」という項目についての数値データ、「部品ズレ」という項目についての数値データ等を取得する。さらに、根拠取得部23は、記憶部13から、各検査項目における基準値データ(閾値データ)も、あわせて取得する。
さらに、根拠取得部23は、記憶部13から、上記取得した検査結果データに関連する検査箇所状態画像データを取得する。
そして、根拠取得部23は、上記取得した関連性データID毎に、根拠説明情報、根拠説明用画像データ、関連設備部品情報、関連検査情報、関連設備部品情報の各項目についての数値データ、関連検査情報の各検査項目についての数値データ、検査箇所状態画像データ、上記基準値、上位現象の情報、下位現象の情報、該関連性データIDに関連付けられた条件式データにおける特定用データ、および該特定用データを生成する際に用いた検査結果データを表示制御部24に送る。なお、この特定用データに関しては、根拠取得部23が記憶部13から読み出した上で、表示制御部24に送る。
次に表示制御部24について説明する。
表示制御部24は、根拠取得部23から、根拠説明情報、根拠説明用画像データ、関連設備部品情報、関連検査情報、関連設備部品情報の各項目についての数値データ、関連検査情報の各検査項目についての数値データ、検査箇所状態画像データ、上記基準値、上位現象の情報、下位現象の情報、該関連性データIDに関連付けられた条件式データにおける特定用データ、および該特定用データを生成する際に用いた検査結果データを、上記関連性データID毎に受け付ける。そして、表示制御部24は、これら受け付けた情報に基づいて、表示部14に情報の表示を行う。以下、表示部14の表示画面に表示される内容について説明する。
表示制御部24は、関連性データID毎に、表示部14に画面を表示させる。図7は、該画面の一例である。同図に示すとおり、表示制御部24は、上位現象の情報と下位現象との情報を用いて、例えば、「「印刷機の基板厚さ設定が大」から「印刷面積が大」が発生する」といった情報(以下、タイトル情報)を表示部14に表示させる。なお、ここでは、「基板厚さの設定が大」が下位現象に該当し、「印刷面積が大」が上位現象に該当する。
また、表示制御部24は、根拠説明情報を、同図における解説の項目に表示させる。さらに、表示制御部24は、根拠説明用画像データを、同図における発生イメージの項目に表示させる。同図の場合においては、根拠説明用画像データは、3つの画像データ(スキージがマスクの開口部を通過する前、通過中、通過後の画像データ)で構成された場合を示している。
また、表示制御部24は、同図に示すとおり、関連設備部品情報および該関連設備部品情報の項目についての数値データを、同図における装置情報の項目に表示させる。なお、同図では、「印刷機の基板厚さ設定」および「マウンタの基板厚さ設定」が関連設備部品情報に該当し、「3」および「4」が上記数値データに該当する。
また、表示制御部24は、同図に示すとおり、検査箇所状態画像データを、同図における検査情報の項目に表示させる。なお、同図では、半田の印刷状態を撮影した画像が表示されている例を示している。さらに、表示制御部24は、同図に示すとおり、関連検査情報、該関連検査情報における検査の基準値、関連検査情報の各検査項目についての数値データを、同図における検査情報の項目に表示させる。なお、同図においては、「印刷面積」が関連検査情報に該当し、「100」が基準値に該当し、「120」が数値データ(検査値)に該当する。
また、表示制御部24は、同図に示すとおり、該関連性データIDに関連付けられた条件式データにおける特定用データ、および該特定用データを生成する際に用いた検査結果データを、推論条件・判断の項目に表示させる。なお、同図においては、この特定用データが、「全ランド平均転写率」と「大」とに分けて、それぞれ、特徴量、判断結果の欄に表示され、「117」という検査結果データが、取得値の欄に表示される。
また、表示制御部24は、操作部11がユーザから所定の指示を受け付けた場合、表示画面を、上記関連性データID毎に順に切り換える。例えば、上記履歴情報に示された関連性データIDの場合には、A3→A2→A1の順に、表示画面を切り換える。
この場合には、「Iという現象からFという現象が発生する」というタイトル情報を有する表示画面が表示され、次に、「Fという現象からCという現象が発生する」というタイトル情報を有する表示画面が表示され、最後に、「Cという現象からAという現象が発生する」というタイトル情報を有する表示画面が表示されることになる。
また、切換は上記の方法に限定されず、ユーザの指示に従った表示画面を表示する構成としてもよい。また、表示の順番も特に限定されるものではない。ただし、A3→A2→A1といったように、根本原因(現象)から異常(現象)への順に、各表示画面を表示することが好ましい。
このように、表示制御部24は、上述した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、根拠毎に表示部14に表示させるものである。
ここで、上述したように、nを2以上の自然数と、iを1以上かつn−1以下の任意の自然数とし、前記異常の直接の原因から前記推論した根本原因の順に至る前記段階的に特定した原因を、第1原因、第2原因、…、第n原因とし、前記第1原因から前記異常が生じる根拠を第1根拠、第i+1原因から第i原因が生じる根拠を第i+1根拠とし、或る段階における或る原因を生じさせている直接的な原因から、前記或る原因が生じる根拠を、前記或る原因毎に示したデータを根拠データとし、前記第1原因および前記異常を前記第1根拠に関する関連原因と、前記第i+1原因および第i原因を前記第i+1根拠に関する関連原因とすると、情報処理装置4は、以下の構成を備えていると言える。
つまり、情報処理装置4は、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を推論する推論部(推論手段)22と、推論部22が前記根本原因を推論した場合、前記根拠データを記憶した記憶部13から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを取得する根拠取得部(根拠データ取得手段)23と、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に表示部14に表示させる表示制御部(表示制御手段)24とを備えていると言える。
この構成によれば、製造設備により製造される製品に異常が生じた場合であって、かつ、前記異常が、複数の原因の段階的な積み重なりにより生じている場合、推論部22により、少なくとも予め記憶された推論用データを用いて、前記原因を段階的に、かつ、少なくとも或る一つの段階では該段階における原因を生じさせる二以上の直接的な原因のうちから一つの原因を選択的に特定することにより、前記異常の根本原因を推論することができる。
また、推論部22が前記根本原因を推論した場合、根拠取得部23により、前記根拠データを記憶した記憶装置から、前記根拠データのうちの前記第1根拠から第n根拠に関するデータを取得することができる。
つまり、根拠取得部23により、異常から根本原因に至る、推論部22により特定した各原因(根本原因を含む)に関し、この原因から該原因の一段階だけ異常に近い段階の原因が生じる根拠を示したデータを、前記根拠データから取得することができる。加えて、根拠取得部23により、前記特定した原因である異常の直接的な原因から該異常が生じる根拠を示したデータを、前記根拠データから取得することができる。
さらに、表示制御部24により、前記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、前記根拠毎に表示部14に表示させることができる。
つまり、表示制御部24により、推論部22により特定した各原因に関し、この原因から該原因の一段階だけ異常に近い段階の原因が生じる根拠を示したデータと、前記特定した原因である異常の直接的な原因から該異常が生じる根拠を示したデータとを、各根拠に関する関連原因と対応付けて、根拠毎に表示部14に表示させることができる。
このため、ユーザは、表示部14の表示内容を確認することにより、推論部22における推論の過程で特定された各原因に関し、この原因から該原因の一段階だけ異常に近い段階の原因が生じる根拠と、特定した原因である異常の直接的な原因から該異常が生じる根拠とを、各根拠に関する関連原因と共に把握することが可能となる。
それゆえ、ユーザは、どのような原因が段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、或る段階における或る原因と該原因の直接的な原因と間の因果関係(つまり、前記直接的な原因から或る段階における或る原因(異常を含む)が生じる根拠)を把握することができる。
したがって、どのような原因がどのような順で段階的に積み重なって異常が発生したのか、および、各原因が、各原因の直接的な原因から、どのような根拠で生じるのかを、ユーザが理解可能となる情報処理装置を提供できるという効果を奏する。
また、上記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを、それぞれ、第1データ、第2データ、…、第nデータとすると、情報処理装置4の表示制御部24は、第1根拠から第n根拠に関するデータを、第nデータ、第n−1データ、…、第1データの順に、表示部14に表示させる構成と言える。
この構成によれば、表示制御部24は、第1根拠から第n根拠に関するデータを、第nデータ、第n−1データ、…、第1データの順に、表示装置に表示させる。これにより、ユーザは、表示部14において、第n根拠、第n−1根拠、…、第1根拠の順に、根拠を確認することができる。それゆえ、ユーザは、根本原因から異常に至る順に、各根拠を把握することができる。したがって、ユーザは、根本原因から異常が発生する過程における根拠を、該過程に沿って理解することができる。
また、情報処理装置4は、記憶部13には上記根拠データとして各根拠説明用画像データが記憶されており、表示制御部24は、上記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを表示する場合には、それぞれ、各根拠に対応した根拠説明用画像データを表示部14に表示させる構成であると言える。
この構成によれば、表示制御部24により、上記取得した第1根拠から第n根拠に関するデータを表示する場合には、それぞれ、各根拠に対応した根拠説明用画像データを表示部14に表示させることができる。それゆえ、ユーザは、各根拠を、それぞれ、画像と共に確認することができる。したがって、ユーザは、根本原因から異常が発生する過程における根拠を、画像がない場合に比べて理解しやすくなる。
また、情報処理装置4は、上記製品の品質を検査する検査装置3から、少なくとも、第1原因から第n原因の各原因を示す検査結果データを取得するデータ取得部(検査結果データ取得手段)21を備え、表示制御部24は、第i+1根拠に関するデータを表示する場合には、第i原因を示す検査結果データを、第1根拠に関するデータを表示する場合には、前記異常を示す検査結果データを、表示部14に表示させる構成であると言える。
この構成によれば、データ取得部21により、上記製品の品質を検査する検査装置3から、少なくとも、第1原因から第n原因の各原因を示す検査結果データを取得することができる。
また、表示制御部24が表示装置に第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御部24は、第i原因を示す検査結果データを表示部14に表示させる。それゆえ、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、該第i+1根拠により生じる原因である第i原因を示す検査結果データを表示させることができる。
また、表示制御部24が表示部14に第1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御部24は、上記異常を示す検査結果データを前記表示装置に表示させる。それゆえ、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、第i+1根拠により生じる原因である異常を示す検査結果データを表示させることができる。
したがって、ユーザは、各根拠に関し、根拠の裏付けとなる、該根拠により生じる原因(異常を含む)を示すデータを確認することができる。
また、情報処理装置4は、データ取得部(検査結果データ取得手段)21が、上記検査結果データとして、さらに、上記検査箇所状態画像データを取得し、表示制御部24は、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、第i原因を示す検査箇所状態画像データを、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、上記異常を示す検査箇所状態画像データを、表示部14に表示させる構成であると言える。
この構成によれば、データ取得部21により、上記検査結果データとして、さらに、撮影装置により撮影された、該検査結果データ取得時の検査における検査箇所の状態を示した検査箇所状態画像データを取得することができる。
また、表示制御部24が表示部14に第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御部24は、第i原因を示す検査箇所状態画像データを表示部14に表示させる。それゆえ、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、該第i+1根拠により生じる原因である第i原因を示す検査結果データを、実際の検査画像として表示させることができる。
また、表示制御部24が表示部14に第1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御部24は、上記異常を示す検査箇所状態画像データを表示部14に表示させる。それゆえ、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、該第1根拠により生じる原因である上記異常を示す検査結果データを、実際の検査画像として表示させることができる。
したがって、ユーザは、各根拠に関し、根拠の裏付けとなる、該根拠により生じる原因(異常を含む)を示すデータを画像として確認することができる。
また、情報処理装置4は、上記状態データを製造設備2から取得するデータ取得部(状態データ取得手段)21を備え、表示制御部24は、第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、第i+1根拠に関連する設備部品の状態データを、第1根拠に関するデータを表示させる場合には、第1根拠に関連する設備部品の状態データを、表示部14に表示させる構成であると言える。
この構成によれば、データ取得部21により、各設備部品の設定値および/または各設備部品による前記製品に対する処理結果を示した状態データを取得することができる。
また、表示制御部24が表示部14に第i+1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御部24は、第i+1根拠に関連する設備部品の状態データを表示部14に表示させる。さらに、表示制御部24が表示部14に第1根拠に関するデータを表示させる場合には、表示制御部24は、第1根拠に関連する設備部品の状態データを表示部14に表示させることができる。
それゆえ、ユーザは、根拠毎に、各根拠に関連する設備部品の状態データを確認することができる。したがって、ユーザは、各根拠に関し、根拠の裏付けとなる、実際の設備部品の設定値および/または上記処理結果を確認することができる。
ところで、上記においては、推論部22が、上述した検査結果データおよび基準値データに基づいて、該検査結果データおよび基準値データから得ることができる特定用データし、かつ、上述した状態データに基づいて、該状態データから得ることができる特定用データを生成する構成を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、推論部22が上記特定データを生成する代わりに、ユーザが、操作部11を介して、特定データを、制御部12の推論部22に入力する構成としてもよい。また、推論部22が上記特定データを生成すると共に、ユーザが、操作部11を介して、特定データを推論部22に入力する構成としてもよい。
また、検査装置3が検査結果データおよび基準値データを情報処理装置4に送る構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、検査装置3が、特定用データを生成する機能を備えている場合には、検査装置3が、特定用データそのものを情報処理装置4に送る構成としてもよい。
また、上記製品は、製造ラインの中間工程で製造される中間製品であってもよい。
また、推論部22における推論の仕方は、上述した例に限定されない。例えば、図3に基づいて説明すると、まず、Aという現象(つまり異常)に対して、ユーザに対して、部品ズレが大きいか、あるいは、小さいかを問うような内容の表示を、表示制御部24が表示部14に表示させ、ユーザに、部品ズレが大か小の何れであるかを選択させる。
さらに、例えばユーザが部品ズレが大を選択すると、今度は、ユーザに対して、印刷高さが低いか、あるいは、高いかを問うような内容の表示を、表示制御部24が表示部14に表示させ、ユーザに、印刷高さが高か低の何れであるかを選択させる。
さらに、例えばユーザが印刷高さが小を選択すると、今度は、ユーザに対して、マスクの押し込み量が低大きいか、あるいは、小さいかを問うような内容の表示を、表示制御部24が表示部14に表示させ、ユーザに、マスクの押し込み量が大か小の何れであるかを選択させる。
ここで、例えば、ユーザが、マスクの押し込み量が大を選択すると、推論部22は、異常の根本原因をIという現象と推論する。
推論部22で行われる推論方法は、このような方法でも構わない。また、上記では、ユーザに選択させたが、情報処理装置4で特定できるのであれば、ユーザの選択は不要である。
次に、情報処理装置4で行われる処理のフローについて、図8に基づいて説明する。
まず、推論部22により、異常の根本原因を推論する(S1)。S1の後は、推論部22が、上述した一致データと同一の特定用データ、および、該特定用データに対応付けられた関連性データIDを、記憶部13に履歴情報として記憶する(S2)。S2の後は、根拠取得部23が、記憶部13から、上記履歴情報として記憶させた関連性データIDを取得する(S3)。
S3の後は、記憶部13から、根拠取得部23が取得した関連性データIDと関連付けされた、根拠データ内の、根拠説明情報、根拠画像アドレス情報、関連設備部品情報、および、関連検査情報を、関連性データID毎に取得する(S4)。
S4の後は、根拠取得部23は、記憶部13から、検査項目についてのデータ(検査結果データ)、各検査項目における基準値データ、上記取得した検査結果データに関連する検査箇所状態画像データ、上記取得した関連性データIDによって特定される上位現象と下位現象との情報、上記取得した根拠画像アドレス情報で示されるアドレスの根拠説明用画像データを、関連性データID毎に取得する(S5)。
S5の後は、表示制御部24が、根拠取得部23が記憶部13から取得した上記各データに基づいた内容を、関連性IDデータ毎(根拠毎)に表示部14に表示させる(S6)。以上により、一連の処理が終了する。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、情報処理装置4の制御部12の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、情報処理装置4は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである情報処理装置4の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記情報処理装置4に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、情報処理装置4を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。