JP3950708B2 - 接触型送受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に取り外し可能に接続され、記憶媒体を搭載した付加(付属)装置や消耗部材などとデータ通信を行う接触型送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、膨大な個体数の製品等に対して、個別情報を記憶させ、それらと端末等の間で通信を行い、情報の書き換えを行うことにより、品質や流通等の情報管理が行われている。このようにデータの書き換えが可能な小型の送受信装置(素子)は、将来的には商業製品に限らず、医療や行政における個人のIDカードとして、または電子マネーのような有価証券としての利用など様々な応用展開が期待される。
【0003】
これら装置(素子)の個体数や使用される環境等を考慮すると、各個体に付加する装置は、小型化および低コスト化、さらに耐久性の観点からも、内部回路の構成を簡易にすることが望ましい。同様にそれらと通信を行う送受信装置も簡易化することによって、これら情報管理システムの利便性向上につながると予想される。
【0004】
各個体と送受信装置との通信手段としては、目的用途に合わせて、接触型(有線方式)や非接触型(無線方式)がある。本発明で扱う接触型は、非接触型で用いられる、電磁波により無線でデータ通信するための電磁誘導結合装置(回路)を必要としないため、低コストで小型のシステムが実現される。例えば、プリンタ装置においては、画像形成に必要なトナーや感光体を含む消耗品としてプリンタエンジンに取り外し可能なカートリッジに記憶媒体を搭載し、プリンタエンジンとデータ通信を行うが、カートリッジとプリンタエンジンが必ず接触すること、カートリッジ交換およびジャム処理時のみにカートリッジ挿抜が限定され、接点の摩耗が少ないことの2点を考慮すると、非接触型よりも、低コストで放射ノイズを軽減できる接触型のメリットを生かすことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の記憶媒体とのデータ送受信装置に鑑みて提案されるものであって、本発明が解決しようとする課題には次のようなものが挙げられる。
【0006】
ここではプリンタ装置において、記憶メモリと記憶データを通信するためのインターフェースを有するメモリチップが付加されたカートリッジとの有線通信を行う場合の例について説明する。メモリチップには接点電極面が設けてあり、カートリッジをプリンタ装置に挿入した際に、プリンタ装置内の接点コネクタと接触が保持されることにより通信ラインが確保される。
【0007】
また、メモリチップは、小型化やバッテリー寿命等の問題から、メモリチップ自体は電源を持たず、外部の駆動回路により電源供給を受けるタイプが主流である。そして、駆動回路を通して、プリンタ装置から電源供給を受けながら、データ通信を行う。従って、駆動回路は、メモリチップへの電源供給、通信同期のためのクロック供給、そしてデータの送受信を全て行う必要がある。
【0008】
この駆動回路は、データ信号の変調手段として振幅変調回路を有し、これを実現する手段としては、トランジスタなどのスイッチング素子群で回路を構成するか、専用ドライバICを用いる方法がある。
【0009】
しかしながら、前者のスイッチング素子による構成では、各構成素子全てについての個体ばらつきや温度特性を考慮する必要があり、全体的に回路構成が複雑となりやすく、後者は一般的に高価になりやすいという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、安価でかつ簡易な回路構成となる駆動回路を実現する接触型送受信装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電子機器に取り外し可能に接続され、記憶媒体を搭載している付加装置とデータ通信を行う接触型送受信装置であって、前記記憶媒体と接続して第1通信ラインと第2通信ラインを形成するための接続部と、前記第1通信ラインと前記第2通信ラインとを用いて前記記憶媒体とデータ通信を行う制御手段と、前記制御手段から出力されるクロック信号に応じて前記第1通信ラインに、前記クロック信号と同位相の第1搬送波信号を送信し、かつ前記クロック信号に応じて前記第2通信ラインに、前記クロック信号と逆位相の第2搬送波信号を送信し、前記第1搬送波信号と前記第2搬送波信号による差動信号を送信することによって前記記憶媒体に対する電力供給及びデータ通信を行うCMOSロジックICと、前記制御手段から前記記憶媒体にデータ送信する場合、前記差動信号によってデータ送信するために、前記制御手段から出力されるデータ信号に応じて前記CMOSロジックICに供給する電源電圧の値を変化させる電圧変調手段とを有する駆動回路とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記記憶媒体は、少なくとも2つの電極を有し、前記接続部は、前記記憶媒体の電極と接続するためのコネクタを有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記電圧変調手段は、前記制御手段からのデータ信号に応じてオンオフ動作するトランジスタを有し、該トランジスタのオンオフ動作によって前記電源電圧を第1の電圧と第1の電圧よりも小さい第2の電圧に切り替えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記CMOSロジックICは、CMOSインバータICであり、第1のインバータ素子と第2のインバータ素子と第3のインバータ素子を有し、前記第1のインバータ素子の出力と前記第2のインバータ素子の入力とを結線する構成であって、前記第1搬送波信号が前第2のインバータ素子から出力され、前記第2搬送波信号が前記第3のインバータ素子から出力されることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の接触型送受信装置の一実施例を説明するための構成図で、図中符号1は、プリンタ装置、2はカートリッジ、3はメモリチップ、4は接点コネクタ、5は駆動回路、6は制御回路、7はドアスイッチ、8は挿入口ドアを示している。
【0020】
メモリチップ3は、メモリチップ3に備わる接点電極面とプリンタ装置1内の接点コネクタ4を介して駆動回路5に接続されている。したがって、カートリッジ2がプリンタ装置1から取り外された場合には全ての通信線は物理的に切断される。一方、プリンタ装置1内の駆動回路5は制御回路6により制御され、制御回路6の指示に応じて駆動回路が動作し、メモリチップ3に対して電源供給、データの同期通信を行う。
【0021】
図2は、本発明における2線式接触型送受信装置の構成を示す図で、符号9は接点電極、10,11は信号線を示している。接触型通信には、通信線の本数により様々な通信方式が存在するが、通信線の本数の増加とともに、束線やコネクタの総コストが上昇するため、最も低コストなシステムを実現するには、図2に示すような最小本数の2線式が優位である。
【0022】
図3(a)〜(e)は、一般的に外来ノイズによる影響を受け難い差動伝送方式での通信信号の実施例を示す図で、図3(d)に示す送信信号S3に対して、位相が反転した関係にある図3(e)のような送信信号S4を送信する。常に2信号のうち一方は電位が0Vであるため、これを基準電位とし、もう一方の電位がメモリチップ3で検出される信号電位となる。これらの信号電位の振幅変調を行うことにより、シリアルデータ通信が可能となる。
【0023】
図4は、本発明における接触型送受信装置内の駆動回路を示す図である。
本実施例では汎用CMOSロジックICとして、CMOSインバータICを使用している。CMOSインバータICには1つないしは、複数のインバータ素子が内蔵されており、本実施例では、インバータ素子が少なくとも3回路入りのICを使用している。図4中のINV1、INV2、INV3がロジックIC中のインバータの各素子を表し、これらが共有するICの電源端子にはV2で表される電圧が印加される。なお、図4におけるS3、S4の出力信号が、図2中の信号線10、11を介してメモリチップ3と通信を行う。
【0024】
CMOSロジックは高速応答性に優れ、入力インピーダンスが大きく、出力インピーダンスが小さいという特徴がある。この汎用CMOSロジックICの中で、最も単純な論理素子であるインバータ素子を内蔵したCMOSインバータICは、汎用性が高く、比較的に安価に入手できるため、これを利用することによって駆動回路の低コスト化が期待される。以下、このCMOSインバータICを使用した実施例について詳細に説明する。
【0025】
以下の説明において、駆動回路5からメモリチップ3へのデータ送信を、駆動回路5を上流側として「ダウンリンク」と称し、反対にメモリチップ3から駆動回路5へのデータ送信を「アップリンク」と称することとする。
【0026】
(搬送波信号)
駆動回路5とメモリチップ3がデータ通信を行う際に、通信の同期をとる必要がある。本実施例では制御回路6から出力されるクロック信号(S1)を同期クロックとしている。ここで制御回路6とメモリチップ3の動作電圧が異なる場合、例えば3.3V系と5V系のような場合に対応するために、トランジスタTr2を介して、メモリチップ3の動作電圧に合わせ、電圧V1を抵抗R3とR5で分圧した電圧値に増幅している。この増幅された信号が搬送波信号としてCMOSインバータICの入力端子に入力される。
【0027】
(ロジックICの接続)
CMOSインバータICを変調回路として使用するために、INV1の出力とINV2の入力を結線し、INV1とINV3の入力端子に前述の搬送波信号を入力する。これによりINV2の出力は搬送波信号と同じ位相、INV3の出力は反対の位相となり、INV2とINV3の出力信号を用いることにより差動信号通信が可能となる。このときINV2の出力信号は、インバータ素子を2段、介しているため、INV2とINV3の出力において応答時間の差が発生する。これを補償するためにINV3の入力端子に遅延補償用の抵抗R6を挿入している。
【0028】
(ロジックICの電源端子)
通常のロジックICの使用方法では、電源電圧V2は、出力電圧を一定にするために、一定電圧を印加して使用する。しかし、本発明ではパルス振幅変調を行うために、電源電圧V2を2値以上に変化させる。本実施例ではダウンリンクの際、電源電圧V2を2値(VH、VL)に変化させている。ここでメモリチップ3は電源を持たないために、駆動回路5は信号線を介して電力を供給する必要がある。そこで2値電圧のうち、低いほうの電圧VLをメモリチップ3が動作するために必要な電圧以上とする。これによりメモリチップ3には常にVL以上の電圧が供給されるため、電源が不要となる。またVHおよびVLは、制御回路6からのデータ信号(S2)によりTr1をオン、オフさせることにより、オフのときは、Tr1はオープンとなるため、V2にはV1の電圧がそのまま印加され(VH)、オンのときは、Tr2がショートして電流が流れるため、V2にはV1をR1とR2で分圧した電圧が印加される(VL)。
【0029】
(メモリチップでの復調)
図5は、本発明における接触型送受信装置での信号復調の概要を示す図で、駆動回路5内のロジックICにより生成されたS3,S4の差動信号がメモリチップ3で復調される様子を示した図である。図中符号12は制御部、13は復調部、14は記憶部を示している。
【0030】
差動信号S3,S4は、メモリチップ3内の復調部13により、振幅成分つまりデータ信号が取り出され、その復調信号S6が制御部12へ送られる。このときS6はVL以上の電圧が常に保持されるために、一定値以上の電力が供給され続ける。また制御部12は通信の同期を図るため、S3ないしはS4の立ち上がりもしくは立ち下がりエッジを監視している(S5)。
【0031】
(ロジックICの電源電圧と入力電圧の連動)
ロジックICの電源電圧を変動させる際に重要となるのが、ロジックICの電源電圧V2と入力電圧V3の関係である。通常の使用方法では電源電圧V2を変動させないため、入力信号の振幅V3はロジックICの定格に従い電源電圧V2以下の一定値とするのが一般的である。しかしながら、入力電圧V3を一定値とすると電源電圧V2を変動させたとき問題が発生する。前述のように、ロジックICの破壊を防ぐために、入力電圧V3は常に電源電圧V2以下にしなければならない。図6(a)〜(f)は、本実施例を採らない場合の影響を説明する図で、図6(a)及び(b)に示すように、仮に2値(VH,VL)の電源電圧V2のうちVHに入力電圧V3を合わせた場合、図6(c)に示すように、電源電圧V2がVLとなったときに、入力電圧(V3=VH)が電源電圧を越えてしまい、IC破壊の原因となってしまう。
【0032】
一方、図6(d)及び(e)に示すように、入力電圧をV3=VLに設定した場合、図6(f)に示すように、入力電圧V3は常に電源電圧V2の最小値VL以下となるため、破壊の危険は無いが、VHとVLの差が大きい場合、つまり、変調電圧幅(VH−VL)を大きくとりたいときに、電源電圧V2=VHに対し、入力電圧V3=VLが小さくなると、ロジックICに貫通電流が大量に流れ、電源電圧V2を降下させてしまい、その結果、出力電圧V3はVHよりも低い値となる。
【0033】
一方、V3=0V入力のときは、貫通電流がほとんど発生しないために、出力電圧はVHとなるため、入力信号の電位(Hi,Lo)により、出力信号の振幅電圧にがたつきが出てしまうという問題がある。
【0034】
このような問題に対して、本発明では電源電圧の変化に連動して、入力電圧を変化させる構成を採ることにより、前述のような弊害を回避することができる。実施例としては、図4に示すように、抵抗R4を挿入し、Tr1がオン状態になり、電源電圧V2を下げようとした場合、R4に電流が流れるため、電源電圧V2と連動して、入力電圧V3を降下させることができる。
【0035】
ただし、R4の挿入により、新たに電流経路が発生するため、他の電圧値にも影響を及ぼさないように、R4の抵抗値はR1、R2、R3の抵抗値と比較して十分に大きい値とする。この条件の下にV2とV3の電圧値を式で表すと、以下のようになる。なお、Tr1、Tr2の飽和電圧およびロジックICでの電力損失は無視できるものとする。
【0036】
(A);Tr1およびTr2がオフ状態のとき、すなわち、データ信号が<1>、搬送波信号電位が<H>のとき
【0037】
【数1】
Figure 0003950708
【0038】
Rloadは、メモリチップ3のインピーダンス(抵抗分)を表し、R1をRloadの1/100程度に設定することにより、
【数2】
Figure 0003950708
【0039】
となる。
【0040】
一方、V3は
【数3】
Figure 0003950708
【0041】
従って、ロジックICの電源電圧に対する入力電圧の比率は、
【数4】
Figure 0003950708
【0042】
となる。
【0043】
(B);Tr1がオフ状態、Tr2がオン状態のとき、すなわち、データ信号が<1>、搬送波信号電位が<L>のとき
【0044】
【数5】
Figure 0003950708
【0045】
【数6】
Figure 0003950708
【0046】
(C);Tr1がオン状態、Tr2がオフ状態のとき、すなわち、データ信号が<0>、搬送波信号電位が<H>のとき
【0047】
【数7】
Figure 0003950708
【0048】
次に、V3は、電源電圧V2に近い値を取る必要があるため、R5をR3と比較して十分に大きい値として、
【0049】
【数8】
Figure 0003950708
【0050】
となり、ロジックICの電源電圧に対する入力電圧の比率は、
【0051】
【数9】
Figure 0003950708
【0052】
となる。
【0053】
(D);Tr1およびTr2がオン状態のとき、すなわち、データ信号が<0>、搬送波信号電位が<H>のとき
【0054】
【数10】
Figure 0003950708
【0055】
【数11】
Figure 0003950708
【0056】
となる。
【0057】
以上の式において、式(1)ないしは式(5)で表されるデータ<1>のときの電源電圧と、式(7)ないしは式(10)で表されるデータ<0>のときの電源電圧の差が、変調電圧幅を表し、この中でR1およびR2は、RloadおよびR4に比べて非常に小さく電流変動が大きくなるため、変調電圧幅を決定する主要因となる。
【0058】
また、ロジックICの貫通電流は、入力電圧がグランド電位0Vと電源電圧V2の中間電位に近づくにつれて急激に増大し、0VないしはV2に近づくに伴い、減少する特性を持っているため、入力信号である搬送波信号は0VとV2の2値電位の方形波が理想である。しかし、(B)と(D)の場合は、入力電圧が0Vであるため問題ないが、(A)と(C)の場合は、電源電圧に対する入力電圧の比率(V3/V2)を、1を越えない範囲で近づける必要がある。
【0059】
したがって、R4を始めとする各抵抗値はこの条件を満たすように決定する。これにより(A)と(C)の場合においても、貫通電流による電源電圧降下がほとんど生じないため、図6(f)で示されるような、入力電圧がHiとLoで切り替わることによる電源電圧及び出力電圧のガタツキは解消することができる。
【0060】
(メモリチップからのデータ受信)
これまでダウンリンク、すなわち、駆動回路5からメモリチップ3へのデータ送信について説明を行った。以下はアップリンク、すなわち、メモリチップ3から送信されたデータを駆動回路5で受信する方法について説明する。
【0061】
図7(a)〜(d)は、本発明における接触型送受信装置内でのデータ受信時における伝送信号例を示す図である。
【0062】
まず、駆動回路5とメモリチップ3は、アップリンクとダウンリンクを同じ2本の信号線で行うために、両者のタイミングを分離する必要がある。これを実現するために、データの送受信の開始時と終了時に、制御コマンドを制御回路6から駆動回路5を介してメモリチップ3へ送信し、送受信の衝突を回避している。
【0063】
アップリンク中、Tr1はオフ状態のまま維持される。一方、Tr2は通信の同期をとるため搬送波信号を送信し続ける。この状態ではインバータICの出力信号S3は、図7(a)に示すように一定振幅の無変調信号となる。S4はS3が反転した波形であり、同様に無変調信号となる。
【0064】
この状態において、前記制御コマンドにより、アップリンク、すなわち、メモリチップ3から駆動回路5へのデータ送信の制御コマンドを受けつけた制御部12は、駆動回路5へ送信すべきデータに基づき、信号線間に挿入された抵抗R7と直列接続されたスイッチング素子SW1をオン、オフし(S8)、信号線間のインピーダンスを2値変化させる。なお、ダウンリンク時にSW1はオフ状態となっている。
【0065】
ここで、インバータ素子INV2は、概略としてPチャネルMOSFET素子であるFET1とNチャネルMOSFET素子であるFET2によって図8のように構成される。
【0066】
図8は、本発明における接触型送受信装置内でのデータ受信回路を示す図である。INV3についても同様にFET3とFET4によって構成されている。仮にINV2の入力が<L>、INV3の入力が<H>と仮定するとFET1とFET4がオン状態となり、FET2とFET3がオフ状態となる。したがって、INV2の出力は<H>、INV3の出力は<L>となる。
【0067】
このときの定電源V1からメモリチップ3へ流れる電流は、R1、FET1、Rload、FET4を経由してグランドへ流れる。ここでFET1とFET4のオン抵抗は小さいため無視すると、図8に示される電位V8はR1とRloadの比によって決定される。ここでRloadをR1の100倍程度とすると、SW1がオープン(オフ)の時は、V8はV1の電圧値とほぼ等しくなる。
【0068】
それに対して、SW1がショート(オン)した場合、R7をR1の10倍程度、Rloadの1/10程度に設定すると、メモリチップ3のインピーダンスはRloadとR7の合成抵抗となるため、電位V8はこの合成抵抗とR1によって分圧された値(Von)となる。図7(b)は、SW1のオン、オフによってV8の電位、つまり出力信号(S3)の振幅が変調されている様子を示している。出力信号(S4)についても同様であり、その様子が図7(c)に示されている。
【0069】
この電圧変化を図4に示すようなコンパレータCMP1に入力し、図7(c)に示すような基準電圧V4と比較することによって、メモリチップ3からのデータを図7(d)に示すように受信することができる(S7)。このときのCMP1の入力インピーダンスは非常に大きいため、電位V8に影響を及ぼすことはない。またSW1がオンになり、V8の電位が低下するとき、インバータの電源電圧V2も低下するが、R4を挿入したことにより、インバータの入力電圧V3も連動して電圧低下するため、ダウンリンク時と同様、図6に示されるような問題は起きない。
【0070】
なお、上述した実施例では、プリンタ装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、記憶媒体を搭載したその他の付加装置、交換部材にも適用することが可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電子機器に取り外し可能に接続され、記憶媒体を搭載している付加装置とデータ通信を行う接触型送受信装置であって、記憶媒体と接続して第1通信ラインと第2通信ラインとを形成するための接続部と、第1通信ラインと第2通信ラインとを用いて記憶媒体とデータ通信を行う制御手段と、制御手段から出力されるクロック信号に応じて前記第1通信ラインに、クロック信号と同位相の第1搬送波信号を送信し、かつクロック信号に応じて第2通信ラインに、クロック信号と逆位相の第2搬送波信号を送信し、第1搬送波信号と第2搬送波信号による差動信号を送信することによって記憶媒体に対する電力供給及びデータ通信を行うCMOSロジックICと、制御手段から記憶媒体にデータ送信する場合、差動信号によってデータ送信するために、制御手段から出力されるデータ信号に応じてCMOSロジックICに供給する電源電圧の値を変化させる電圧変調手段とを有する駆動回路とを備えたので、安価で且つ簡易な回路構成となる駆動回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における接触型送受信装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明における2線式接触型送受信装置の構成を示す図である。
【図3】(a)〜(e)は、本発明における接触型送受信装置内で伝送される信号例を示す図である。
【図4】本発明における接触型送受信装置内の駆動回路の構成を示す図である。
【図5】本発明における接触型送受信装置での信号復調の概要を示す図である。
【図6】(a)〜(f)は、本発明の実施例を採らない場合の影響を説明する図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明における接触型送受信装置内でのデータ受信時における伝送信号例を示す図である。
【図8】本発明における接触型送受信装置内でのデータ受信回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ装置
2 カートリッジ
3 メモリチップ
4 接点コネクタ
5 駆動回路
6 制御回路
7 ドアスイッチ
8 挿入口ドア
9 接点電極
10,11 信号線
12 制御部
13 復調部
14 記憶部

Claims (4)

  1. 電子機器に取り外し可能に接続され、記憶媒体を搭載している付加装置とデータ通信を行う接触型送受信装置であって、
    前記記憶媒体と接続して第1通信ラインと第2通信ラインを形成するための接続部と、
    前記第1通信ラインと前記第2通信ラインとを用いて前記記憶媒体とデータ通信を行う制御手段と、
    前記制御手段から出力されるクロック信号に応じて前記第1通信ラインに、前記クロック信号と同位相の第1搬送波信号を送信し、かつ前記クロック信号に応じて前記第2通信ラインに、前記クロック信号と逆位相の第2搬送波信号を送信し、前記第1搬送波信号と前記第2搬送波信号による差動信号を送信することによって前記記憶媒体に対する電力供給及びデータ通信を行うCMOSロジックICと、前記制御手段から前記記憶媒体にデータ送信する場合、前記差動信号によってデータ送信するために、前記制御手段から出力されるデータ信号に応じて前記CMOSロジックICに供給する電源電圧の値を変化させる電圧変調手段とを有する駆動回路と
    を備えたことを特徴とする接触型送受信装置。
  2. 前記記憶媒体は、少なくとも2つの電極を有し、前記接続部は、前記記憶媒体の電極と接続するためのコネクタを有することを特徴とする請求項1に記載の接触型送受信装置。
  3. 前記電圧変調手段は、前記制御手段からのデータ信号に応じてオンオフ動作するトランジスタを有し、該トランジスタのオンオフ動作によって前記電源電圧を第1の電圧と第1の電圧よりも小さい第2の電圧に切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の接触型送受信装置。
  4. 前記CMOSロジックICは、CMOSインバータICであり、第1のインバータ素子と第2のインバータ素子と第3のインバータ素子を有し、前記第1のインバータ素子の出力と前記第2のインバータ素子の入力とを結線する構成であって、前記第1搬送波信号が前第2のインバータ素子から出力され、前記第2搬送波信号が前記第3のインバータ素子から出力されることを特徴とする請求項1に記載の接触型送受信装置。
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