JP3950495B2 - タンパク質の部位特異的断片化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質工学の分野、特にタンパク質の断片化の効率化に属する。
【0002】
【従来の技術】
ペプチド及びタンパク質を成長の速い生物細胞の中で生産させること、即ち、遺伝子工学技術を用いて異種生物で目的遺伝子を発現させることは生産効率の上で非常に効果的であり、近年盛んになってきている(K.Itakura, T.Hirose, Drea, R. A. Riggs, H.L.Heyneker, F.Bolivar, H.W.Boyer, Science, 198,1056-1063 (1977))。その中でも、「アフィニティーハンドル」技術は、異種細胞での発現が困難であったり、目的タンパク質及びペプチドを精製することが困難な場合、非常に有効である(M.Iwakura, K.Furusawa, T.Kokubu, S.Ohashi, Y.Tanaka, Y.ahimura, K.Tsuda, J.Biochemistry, 111, 37-45(199))。アフィニティーハンドル技術は、「ハンドルタンパク質」と目的タンパク質又はペプチドを含む融合タンパク質を作製し、融合タンパク質の発現およびそれに引き続く高度精製を行った後、目的のタンパク質もしくはペプチドを切り出すことにより達成できる。融合タンパク質から目的物を切り出す方法としては、配列特異的な切断方法が要求される。現在、配列特異的な切断をするためにトリプシン(M.Iwakura, K.Furusawa, T.Kokubu, S.Ohashi, Y.Tanaka, Y.ahimura, K.Tsuda, J.Biochemistry, 111, 37-45(199)、コラゲナーゼ(J.Germino、D.Bastia, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81, 4692-4696(1984))、リジンエンドペプチダーゼ(G.Allen, C.A.Paynter, M.D.Winter, J.Cell.Sci. 3,29-38(1985))、血液凝固因子Xa(K.Nagai, H.C.Thogersen, Nature, 309,810-812(1984))などのタンパク質分解酵素の利用、ブロムシアンによるメチオニン部位での切断(K.Itakura, T.Hirose, Drea, R. A. Riggs, H.L.Heyneker, F.Bolivar, H.W.Boyer, Science, 198,1056-1063 (1977))、などが利用されている。しかし、タンパク質分解酵素を利用する場合は、用いる酵素によっては反応効率に問題があり、さらにコストの面でも問題があった。また、化学的手段を用いる場合は、その反応条件として特殊な有機溶媒を用いたり、また時間がかかることや、副反応が無視できないことなどに問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、切断部位の特異性の高さおよび反応条件として水溶液を利用できることなどから、シアノシステインを介して切断する方法(G.R.Jacobson, M.H.Schaffer, G.R.Stark, T.C.Vanaman, J.Biological Chemistry, 248, 6583-6591(1973))に着目した。この方法は、切断カ所としてシステイン部位に特定できること、弱アルカリ性条件の水溶液中で室温で効果的に行うことができることから、目的タンパク質もしくはペプチドに損傷を与えることなく分離できることに利点がある。この方法は、また、特異的にタンパク質の断片化を行うことも可能にし、その断片化ペプチドの効果的な利用も考えられ、タンパク質の断片化方法としては非常に興味深い方法である。しかしながら、シアノシステインを介する方法は、副反応として、シアノシステイン自体がβ−脱離反応によりデヒドロアラニンに転換することが知られており(Y.Degani, A.Patchornik, Biochemistry, 13, 1-11(1974))、これにより切断反応の効率低下が起こることが問題であった。本発明は、シアノシステインを介する切断方法に含まれる副反応を解消し、効率的なタンパク質の部位特異的断片化方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
シアノシステインを介して切断する方法は、弱アルカリ条件下において、水酸基が求核試薬として作用し、シアノシステイン残基が環化することにより、シアノシステインのアミノ末端側でペプチドの切断を引き起こさせる方法である(図1反応1)。
【0005】
しかし、該方法には、水酸化物イオンが塩基としても作用し、β−脱離反応によってシアノシステインがデヒドロアラニンに転換することによりペプチドの切断効率の低下が起きるという問題点が存在していた(図1、反応2)。そこで、本発明者らは、この副反応を抑制して切断効率の向上を図るべく鋭意研究を行った。
【0006】
反応1は、水酸基が、シアノシステイン残基の一つ前のアミノ酸に由来するカルボニル炭素を求核的に攻撃することによりおこるペプチド鎖の切断反応であり、反応2は、水酸基が酸・塩基触媒として働くことにより、チオシアノ基が脱離するβ−脱離反応で、シアノシステイン残基がデヒドロアラニンに転換する反応である。そこで、本発明者等は、反応1において、N末端側においてシアノシステイン残基に隣接するアミノ酸の側鎖に水酸基より求核性が強い反応基を導入する事を考えた。即ち、リジンのε−アミノ基は、一級アミンであり、アルカリ性条件下に強い求核性を有することから、発明者らは、シアノシステインの前にリジン残基を挿入することを想到した。そして、リジン−シアノシステイン配列を有するペプチドを実際に製造し、この配列を有するペプチドは、反応2のβ−脱離反応が著しく低下し、切断反応が選択的に起こることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明においては、N末端側においてシアノシステイン残基に隣接してリジン残基を配し、リジンのε−アミノ基を求核基として作用させ、ペプチドの切断反応を行なわせることに特徴を有する。「リジンのε−アミノ基によるリジン−シアノシステイン配列のペプチド結合を構成するカルボニル炭素原子への分子内求核攻撃」が、「水酸基による分子間の求核攻撃」(図1、反応1)及び「酸塩基触媒反応」(図1、反応2)よりも優先的に起こることにより、切断が効率よく行われる。
【0008】
即ち、本発明は、「ペプチド内のリジン−システイン配列におけるシステインをシアノ化する過程を含むペプチドの切断方法」に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、タンパク質遺伝子の設計により、目的とする切断部位としてタンパク質中に「リジン−システイン配列」を導入し、導入したリジンのε−アミノ基を求核基として利用し、β−脱離反応を抑制することにより、効率的なタンパク質の断片化方法を提供するものである。本発明において、「リジン−システイン配列」をタンパク質中に導入する方法としては、該配列の導入後のタンパク質に対応する合成遺伝子を作製する方法、部位特異的変異技術を利用する方法(T.A.Kunkel, T.D.Robert, R.A.Zarkour, Methods in Enzymology vol.154, 367-382(1987))等、当業者に周知の方法が挙げられる。「リジン−システイン配列」の導入位置には、特に制限はなく、タンパク質を切断すべき所望の位置に導入することが可能である。
【0010】
「リジン−システイン配列」が導入されたタンパク質を生産するためには、上記合成遺伝子を適当な発現ベクターに組み込み、大腸菌、枯草菌、酵母、放線菌、動物細胞、植物細胞などの宿主に導入して、該宿主内で発現させる方法が挙げられる。ここで、用いられる発現ベクターには、特に制限はないが、pBR322由来のプラスミド、pUC由来のプラスミド、ラムダファージ由来のプラスミドなどのベクターを用いると好適である。また、宿主に、該ベクターを導入する方法としては、形質転換法、リポソーム法、レトロウイルスを利用する方法、電気浸透法などが挙げられる。
【0011】
宿主に発現させたタンパク質の精製は、フレンチプレス、ホモジェナイザー、超音波細胞破砕などによる可溶化処理、各種塩基を含んだ緩衝液による抽出処理、酸またはアルカリによる可溶化もしくは沈殿処理、更には有機溶媒による抽出もしくは沈殿処理、硫安などによる塩析、透析、メンブレンフィルターなどを用いた限外濾過、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、向流分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、等電点電気泳動もしくはゲル電気泳動などを適宜組み合わせて行うことが可能である。
【0012】
精製したタンパク質中のシステインのスルフヒドリル基のシアノ化は、文献(J.Wood, & N. Catsimpoolas, J. biological Chemistry, 233, 2887(1963))記載の方法に従い, スルフヒドリル基のシアンによる直接的酸化、スルフヒドリル基の2−ニトロ−5−チオシアノ安息香酸 (NTCB)による直接的修飾反応(Y.Degani, A.Patchornik, Biochemistry, 13, 1-11(1974))など、当業者に周知の方法によって行うことができる。NTCBを用いたシステインのスルフヒドリル基のシアノ化は、pH7〜9の間で効率よく行うことができ、且つ、遊離するが、チオニトロ安息香酸(thionitrobenzoate)の412nmの吸光度の増加(分子吸光係数=13,600)でシアノ化の反応効率を調べることができる。
【0013】
切断反応は、アルカリ条件下(pH8〜10)に、室温で行うことができる。
【0014】
切断反応の追跡は、高速液体クロマトグラフィーを連結した質量分析装置を用いて、生成物を質量数で同定・帰属し、定量することにより行うことができる。実施例における生成物の同定・帰属・定量は、「LC10A型高速液体クロマトグラフィー」(島津製作所製)を連結した「PE Sciex API III質量分析装置」(パーキンエルマー社製)を用いて行ったが、生成物を正確に同定・帰属・定量できる方法であればどのような方法で行ってもよく、本発明が反応の追跡方法に制限されることはないことは明らかである。
【0015】
【実施例】
[実施例1] N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン-グリシン-(S-シアノ)L-システイン-L-アラニン(以下,「acA-A-K-cC-A」と略す。質量=530)の切断反応。
【0016】
リジン−シアノシステイン配列を含むペプチドとして、「acA-A-K-cC-A」を用いて、切断反応を行った。0.05Mリン酸と0.1Mホウ酸からなる緩衝液(pHは、7〜10まで変動させた)に、終濃度1mg/mlとなるように「acA-A-K-cC-A」を加え、室温で3時間反応させた。本反応の場合、N末端側においてシアノシステインに隣接するアミノ酸がリジンであるため、図1の反応3が生じる。反応1、反応2及び反応3の反応生成物(それぞれ生成物1、生成物2、生成物3)の質量数は、それぞれ、331、471及び313である。この結果を表1にそれぞれ示す。
【0017】
【表1】
リジン−シアノシステインの配列により、切断反応の効率が顕著に上昇し、かつ副反応であるペプチドの切断が生じない反応2、即ちβ-脱離反応の生成が顕著に抑制された。
【0018】
[比較例1] N-アセチル-L-チロシン−L-アラニン-L-アラニン-グリシン-(S-シアノ)L-システイン-L-アラニン(以下、「acY-A-A-G-cC-A」と略す。質量=622)の切断反応
対照実験として、リジン−シアノシステインを含まないペプチドを用いて、切断反応を行った。0.05Mリン酸と0.1Mホウ酸からなる緩衝液(pHは、7〜10まで変動させた)に、終濃度1mg/mlとなるように「acY-A-A-G-cC-A」を加え、室温で3時間反応させた。本反応の場合、N末端側においてシアノシステインに隣接するアミノ酸がグリシンであるため、図1の反応3は、起こり得ない。即ち、反応経路は、図1で示される反応1及び反応2のみである。また、それぞれの反応生成物(生成物1、生成物2)の質量数は、423及び563である。この結果を表2にそれぞれ示す。
【0019】
【表2】
表2から明らかなように、塩基性条件における水酸基が、ペプチド結合上のカルボニル炭素に対して求核攻撃を行う、反応1が主反応となって、ペプチドの切断が起こり、acY-A-A-G(質量数=423)と2-イミノチアゾリジン-4-カルボキシル-アラニン(2-iminothiazolidine-4-carboxylyl-alanine)が生成した。また、水酸基が塩基として作用しβ-脱離反応が起こる結果、ペプチドの切断が生じない反応2が副反応となり、N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン-グリシン-L-デヒドロアラニン−L-アラニン(以下、「acY-A-A-G-dA-A」と略す。質量数=563)が生成した。
【0020】
[実施例2] ジヒドロ葉酸還元酵素の部位特異的切断
システインを含まないジヒドロ葉酸還元酵素(AS−DHFRと略す)の77番目のセリンもしくは111番目のチロシンをそれぞれシステイン残基に転換した酵素タンパク質(S77C−DHFR及びY111C−DHFRと略す)を用いて部位特異的切断を行った。
【0021】
AS−DHFRのアミノ酸配列を配列番号:1に示す。
【0022】
配列番号:1より明らかなように、S77C−DHFR及びY111C−DHFRのうち、システイン残基に転換されたアミノ酸残基のN末端側に隣接するアミノ酸残基はそれぞれリジンおよびロイシン残基である。このことから、S77C−DHFR及びY111C−DHFRのシステイン残基のスルフヒドリル基をシアノ化して得られるタンパク質(それぞれ、「S77cC−DHFR」及び「Y111cC−DHFR」と略す)においては、S77cC−DHFRは「リジン−シアノシステイン」配列を含むが、Y111cC−DHFRRにおいては、「リジン−シアノシステイン」配列を含まない。そこで、S77cC−DHFR及びY111cC−DHFRを作製して、その切断効率を比較した。
【0023】
S77C−DHFR及びY111C−DHFRの作製は、遺伝子工学的に行った。すでに、AS−DHFRの遺伝子が既知であり(M.Iwakura, B.E.Jones, J.Luo, C.R.Matthews, J.Biochemistry 117, 480-488(1995)に記載)、該遺伝子の塩基配列を配列番号:2に示す。なお、AS−DHFRの遺伝子は、「pTZDHFR20」と名付けられたプラスミドに組み込まれている(M.Iwakura, B.E.Jones, J.Luo, C.R.Matthews, J.Biochemistry 117, 480-488(1995)に記載。)。
【0024】
この遺伝子の塩基配列をもとに77番目のアミノ酸であるセリンをシステインに変換できるように2本のDNA、5'-GTTACCTGGGTTAAATGCG-3'(配列番号:3:配列番号:2の塩基配列の214〜231番目に対応するが、229〜231番目に対応する配列はシステインに対応する塩基配列に置換してある)及び5'-TCGACGCATTTAACCCAG-3'(配列番号:4:配列番号2の塩基配列の219〜236番目に対応するアンチセンスであるが、229〜231番目に対応する配列はシステインに対応する塩基配列に置換してある)を合成して、「pTZDHFR20」中のAS−DHFRの遺伝子部分のBstEIIとSalI制限酵素部位の間の配列と置き換えた。置き換えることより生成した遺伝子は、S77C−DHFRをコードし、また、このことにより生成した組換えプラスミドを大腸菌に導入することにより、S77C−DHFRを大腸菌菌体中に大量発現できた。この大腸菌を、3リッターの培地(15gの食塩、15gの酵母エキス、24グラムのトリプトン、30mgのアンピシリンナトリウムを含んでいる)で、37度で一晩培養し、湿重量6グラムの菌体を得た。この菌体の無細胞抽出液に、ストレプトマイシン硫酸処理、硫安分画、メソトレキセートアフィニティークロマトグラフィー及びDEAEトヨパールカラムクロマトグラフィーにより、均一にまで酵素タンパク質を精製し、約100mgの均一なS77C−DHFRが得られた。
【0025】
同様にして、111番目のアミノ酸であるチロシンをシステインに変換するために2本のDNA、5'-AGCTTTGCCTGACGCATAT-3'(配列番号:5:配列番号2の塩基配列の326〜344番目に対応するが、331〜333番目に対応する配列はシステインに対応する塩基配列に置換してある)及び5'-CGATATGCGTCAGGCAA-3'(配列番号:6:配列番号2の塩基配列の329〜346番目に対応するアンチセンスであるが、331〜333番目に対応する配列はシステインに対応する塩基配列に置換してある)を合成して、「pTZDHFR20」中のAS−DHFRの遺伝子部分のHindIIIとClaI制限酵素部位の間の配列と置き換えた。置き換えることより生成した遺伝子は、Y111C−DHFRをコードし、また、このことにより生成した組換えプラスミドを大腸菌に導入することにより、Y111C−DHFRを大腸菌菌体中に大量発現できた。上記、S77C−DHFRの精製と全く同様の手法で酵素精製を行うことにより、約50mgの均一なY111C−DHFRが得られた。
【0026】
得られたS77C−DHFRとY111C−DHFRのシステイン残基のスルフヒドリル基のシアノ化反応は、6Mの塩酸グアニジンと5mMのエチレンジアミン4酢酸を含むTris−塩酸緩衝液、pH7.4中で、室温で4時間反応させることにより行った。反応生成物を、逆相高速液体クロマトグラフィー装置(ウオーターズ社製HPLC装置)を用いて、「YMCD−ODS−5」(20mmx250mm)カラムを用いて10%のアセトニトリルの直線濃度勾配を用いて溶出することによりシアノ化されたタンパク質を分離・精製した。シアノ化の収率は、S77cC−DHFRとY111cC−DHFRそれぞれで、67%および75%であった。
【0027】
得られたS77cC−DHFRとY111cC−DHFRの切断反応は、6Mの塩酸グアニジンと5mMのエチレンジアミン4酢酸を含むTris−塩酸緩衝液(pH9.4)中で、室温で一晩行った。切断反応生成物を、「LC10A型高速液体クロマトグラフィー」(島津製作所製)を連結した「PE Sciex API III質量分析装置」(パーキンエルマー社製)を用いて解析した。その結果、表3及び表4に示す結果が得られた。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
即ち、「リジン−シアノシステイン」配列を含まないタンパク質であるY111cC−DHFRでは、70%の生成物がβ-脱離反応(反応2)の生成物(表4、生成物2)であったのに対して、「リジン−シアノシステイン」配列を含ませることにより、β-脱離反応の生成物(表3、生成物2)を6%にまで抑えることができた。この結果は、分子内に「リジン−シアノシステイン」配列が存在することにより、非常に効率の良い切断が起こることを示している。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、効率的なタンパク質の部位特異的断片化方法が提供された。本発明によるタンパク質の断片化は、タンパク質の機能単位の分離、ひいては抗体作製のためのエピトープの分離など幅広い応用が可能である。従って、本発明は、発酵工業、医薬品工業などの分野において有効利用が期待される。
【0031】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】シアノシステイン残基を介したペプチド切断反応の模式図である。
Claims (3)
- ペプチド内のリジン−システイン配列におけるシステインをシアノ化することにより、該リジン−シアノシステイン配列のペプチド結合を特異的に切断する工程を含むペプチドの部位特異的切断方法であって、ペプチド中の目的とする切断部位にリジン−システイン配列を導入し、該部位において切断する、部位特異的切断方法。
- リジンのε-アミノ基が求核基として作用し、ペプチドが切断されることを特徴とする、請求項1に記載の部位特異的切断方法。
- 前記切断反応を、ph10以上のアルカリ条件下で室温にて行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の部位特異的切断方法。
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