JP3948766B2 - 炭素繊維チョップドストランドの製造方法、及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

炭素繊維チョップドストランドの製造方法、及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、かつ、集束性に優れた炭素繊維チョップドストランドの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形する際に分解ガスの発生が実質的になく、また、成形物の特性も良好であり、熱可塑性樹脂の強化繊維として好適な炭素繊維チョップドストランドの製造方法およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維チョップドストランドを強化繊維とした熱可塑性樹脂組成物において、耐熱性に優れる、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックをマトリックス樹脂として用いる場合、成形温度を400℃近くに設定する必要があるため、炭素繊維チョップドストランドも耐熱性が要求されてくる。
【0003】
従来、耐熱性を有する炭素繊維チョップドストランドとして、特開平5−229869号記載のものが知られている。これは、不活性雰囲気中400℃での重量減少が0.5%以下であり、またサイジング剤で集束させた炭素繊維チョップドストランドを不活性雰囲気中400℃以上1500℃以下で炭化処理することによって製造することができると記載されている。このようにして製造された炭素繊維チョップドストランドは耐熱性が高く、成形時にガス発生がないと記載されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような炭素繊維チョップドストランドは、実質的に樹脂の炭化物にて集束されたものであり、このためガスの発生は少ないが、きわめて解繊し易いという問題点を内在している。すなわち、マトリックス樹脂と混合して成形する際、エクストルーダーのホッパー部において振動等により、炭素繊維チョップドストランドが開繊して綿状のフリーファイバーになり易く、定量供給性、供給の歩留まりが悪くなるいう問題が生じてくる。また、樹脂の炭化物を含んでいるために、成形物の物性も満足するものが得られていない。さらに、その製造方法も、炭化処理に大掛かりな装置が必要であり、コスト的に負担が生じてくる。
【0005】
本発明の目的は上記した問題を解決し、成形時に分解ガスが実質的に発生せず、さらにフリーファイバーの発生もなく、定量供給性に優れ、得られる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の機械特性も優れた炭素繊維チョップドストランドを工業的に有利に製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した問題点を解決するために、本発明は、エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤、又はウレタン変性エポキシ樹脂を含む集束剤で集束された炭素繊維ストランドを0.1〜10mmの長さに切断し、250〜330℃で加熱処理することにより本発明の炭素繊維チョップドストランドを得る方法である。
【0007】
また本発明の炭素繊維チョップドストランドは、空気中450℃で10分間加熱したときの重量減少が0.5%以下であり、嵩密度が400g/l以上、フリーファイバー発生率が5%以下であることが好ましい。
【0008】
本発明により製造されるチョップドストランドは、熱可塑性樹脂の強化繊維として使用したとき、集束性が良いことから成形時の供給性が良好であり、かつ、耐熱性に優れていることから熱分解によるガスの発生が実質的になく、得られる成形物の機械特性も優れている。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、炭素繊維チョップドストランドに用いる炭素繊維としては、公知の各種炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル、レーヨン、ピッチ、炭化水素ガスなどを原料とする炭素繊維、黒鉛繊維、及びこれらにニッケル、アルミニウム、銅などの金属をコーティングした金属被覆炭素繊維等があげられる。特に好ましくはポリアクリロニトリル系炭素繊維、及び、これから得られる金属被覆炭素繊維である。
【0010】
本発明により製造される炭素繊維チョップドストランドは、空気中450℃で10分間加熱したときの重量減少が0.5%以下であることが好ましい。繊維強化熱可塑性樹脂組成物の成形は空気中で行われているために、空気中での耐熱性が要求されてくる。重量減少が0.5%を越えると、耐熱性が不足するため、スーパーエンジニアリングプラスチックをマトリックス樹脂として成形加工した場合、熱分解により、成形物にボイドが残存し、成形物の物理的特性が低下する。
【0011】
本発明により製造される炭素繊維チョップドストランドは嵩密度が400g/l以上、フリーファイバー発生率が5%以下であることが好ましい。嵩密度とフリーファイバー発生率が前記範囲を逸脱すると、押出成形機や射出成形機のホッパー内で繊維が浮き上がり、定量的に繊維が供給されなくなる。このため、樹脂と炭素繊維の均一な混合状態の樹脂組成物を定常的に得るのが困難になる。
【0012】
本発明の炭素繊維チョップドストランドの製造は次のようにして行われる。数千〜数十万のフィラメントから構成された炭素繊維ストランドを、エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤、又はウレタン変性エポキシ樹脂を含む集束剤で集束させ、1〜10mmの長さに切断し、250〜330℃で加熱処理することにより本発明の炭素繊維チョップドストランドを得ることができる。
【0013】
本発明において用いるエポキシ樹脂は、特に制限はなく、ビスフェノール型、ノボラック型、グリシジルアミン型等の汎用のエポキシ樹脂が使用できる。
【0014】
本発明において用いるウレタン樹脂は、特に制限はなく、汎用のウレタン樹脂が使用できる。
【0015】
本発明において用いるウレタン変性エポキシ樹脂は、エポキシドの間にイソシアネート基が入り込んだ構造を持つ樹脂であればよい。
【0016】
エポキシ樹脂とウレタン樹脂の配合比は、エポキシ樹脂30〜90重量%、ウレタン樹脂70〜10重量%が好ましく、更に好ましくは、エポキシ樹脂40〜80重量%、ウレタン樹脂60〜20重量%が好ましい。エポキシ樹脂が90重量%以上の場合、250〜330℃の熱処理後のチョップドストランドの集束性が低下し、フリーファイバー発生率が高くなる。一方、ウレタン樹脂が70重量%以上の場合、450℃での重量減少が多くなり、耐熱性が低下する。
【0017】
ウレタン変性エポキシ樹脂のウレタン変性度は10〜70%程度のものが好ましい。ウレタン変性度はウレタン変性エポキシ樹脂に対する反応したポリウレタン樹脂の重量%で表す。
【0018】
エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤、又はウレタン変性エポキシ樹脂を含む集束剤の炭素繊維への付着量は0.1〜20重量%が良く、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1.5〜8重量%である。付着量が0.1重量%未満ではチョップドストランドの集束性が十分でなく、フリーファイバー発生率が高くなる。また、付着量が20重量%を超えると、250〜330℃の熱処理に多くの時間を要することから工業的に有利でない。
【0019】
本発明において、集束剤は通常、エマルジョン又は溶液状態で使用され、これを炭素繊維ストランドに含浸させる方法には特に制限はなく、浸漬法、スプレー法、転写法等いずれでも構わないが、好ましくは浸漬法であり、含浸性を向上させるために浸漬時にローラーを複数介するのがより好ましい。
【0020】
本発明において、集束剤を炭素繊維ストランドに含浸させる際、炭素繊維ストランドは無撚りでも良く、0.5〜15turn/mの撚りを付与しても構わない。
【0021】
集束剤を付与した炭素繊維ストランドは乾燥し、1〜10mmの長さに切断する。この際、乾燥温度は100℃前後で行うのが好ましい。
【0022】
本発明において炭素繊維ストランドの切断は熱処理前に行う。熱処理後に切断すると、熱処理により集束剤が硬くなるので、切断時の衝撃により開繊してしまいフリーファイバー発生率が高くなる。
【0023】
こうして得られた炭素繊維チョップドストランドは、空気中250〜330℃で熱処理することによって本発明の炭素繊維チョップドストランドを得ることができる。
【0024】
本発明において、熱処理は空気中の他、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中でも行うことができるが、空気中で行う方が工業的に有利である。
【0025】
本発明において、熱処理は250〜330℃で行う。熱処理温度が250℃未満では、炭素繊維チョップドストランドの450℃での重量減少が多くなり、十分な耐熱性が得られない。熱処理温度が330℃を超えてしまうと耐熱性は得られるものの、集束性が低下し、フリーファイバー発生率が高くなる。また、成形物の物性も低下する。
【0026】
熱処理時間は熱処理温度に影響するので、その都度調整する必要があるが、熱処理温度が250〜300℃の場合、熱処理時間は10〜25時間、熱処理温度が300〜330℃の場合、熱処理時間は5〜15時間が好ましい。
【0027】
加熱処理後の炭素繊維チョップドストランドの樹脂の付着量は0.1〜5重量%が好ましい。付着量が0.1重量%未満では、炭素繊維チョップドストランドの集束性が十分ではなく、フリーファイバー発生率が高くなる。付着量を5重量%以上にした場合、炭素繊維チョップドストランドの集束が過度となり、樹脂中の分散性が低下し成形物の物性が低下する。
【0028】
本発明によって得られる炭素繊維チョップドストランドは、次に挙げる樹脂の強化に使用することが好適である。特に成形加工温度が300〜450℃である熱可塑性樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などの強化材として使用するのに適している。
【0029】
【発明の効果】
本発明によって得られる炭素繊維チョップドストランドは、熱可塑性樹脂の強化繊維として使用した場合、集束性が良いことから成形時の供給性が良好であり、かつ、耐熱性に優れていることから熱分解によるガスの発生が実質的になく、得られる成形物の機械特性も優れている。さらには、硬化剤を含まない汎用の熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂を使用するだけでよく、かつ、熱処理にも大掛かりな装置の必要がなく、工業的に有利に集束性、かつ、耐熱性に優れた炭素繊維チョップドストランドが製造できる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されない。なお、実施例中の炭素繊維チョップドストランドの重量減少、嵩密度、フリーファイバー発生率は次の方法に準拠した。
【0031】
(1)炭素繊維チョップドストランドの重量減少の測定法
予め乾燥してあるルツボの質量を測定し(W1 mg)、これに約10gの炭素繊維チョップドストランドを入れて、その質量を測定する(W2 mg)。この炭素繊維チョップドストランドを入れたルツボを予め450℃に加温した熱風循環式の乾燥器(TABAI ESPEC CORP.製 STRH−100)の中に入れ10分間熱処理した後、乾燥器から取り出す。このルツボをシリカゲル入りのデシケ−タ−中で室温まで自然冷却した後、ルツボの質量を測定し(W3 mg)、重量減少率を次の式1により算出する。
【0032】
【数1】
Figure 0003948766
【0033】
(2)嵩密度の測定法
予め乾燥した、質量(W4 g)及び容積(V ml)の透明プラスチック製円筒容器に、空間を作らないように且つ、振動充填を起こさないように、上部5cmより炭素繊維チョップドストランドを落として山盛り状態まで自然充填を行う。その後、円筒容器の上面以上の炭素繊維チョップドストランドをガラス棒ですり切りまで除去し、このときの質量(W5 g)を測定し、嵩密度を次の式2により算出する。
【0034】
【数2】
Figure 0003948766
【0035】
(3)フリーファイバー発生率測定法
500mlのビーカーに、その上部30cmの高さより炭素繊維チョップドストランドを落として山盛り状態まで充填する。その後、500mlのビーカーの上面以上の炭素繊維チョップドストランドをガラス棒を用いてすり切りまで除去し、このときの炭素繊維チョップドストランド(W6 g)の質量を測定する。さらに、この炭素繊維チョップドストランドを2000mlのメスシリンダーに移し、密閉し、メスシリンダーの高さ方向の中央を軸にして、20分間25rpmで回転する。メスシリンダーの回転を停止し、試料を篩(チョップ長が1〜5mmの場合は5メッシュ、チョップ長が6〜10mmの場合は4メッシュ)に移し、試料が篩の目から落下しなくなるまで前後左右に動かして篩分けする。篩に残ったフリーファイバーを採取し、その重量(W7 g)を測定し、フリーファイバー発生率を次の式3により算出する。
【0036】
【数3】
Figure 0003948766
【0037】
【実施例1】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(「エピコート828」 油化シェルエポキシ株式会社製)を濃度40g/lのエマルジョンに調整し、このエマルジョンに炭素繊維ストランド(東邦レーヨン株式会社製、直径7μm×12000フィラメント)を浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドにエポキシ樹脂を1.3重量%付与した。次に、ウレタン樹脂をメチルエチルケトンに溶解し、濃度を25g/lに調整した溶液中に、この炭素繊維ストランドを浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドに対する集束剤の全付着量を2.5重量%とした。次いで、この炭素繊維ストランドを繊維長6mmに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。このチョップドストランドを熱風循環式炉に入れ、空気中270℃で24時間熱処理を施して本発明の炭素繊維チョップドストランドを作製した。この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0038】
【実施例2】
熱処理温度を315℃、熱処理時間を9時間とした以外は実施例1と同様に行い、本発明の炭素繊維チョップドストランドを作製した。この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0039】
【比較例1】
実施例1において、熱処理を施していない炭素繊維チョップドストランドを比較例1とし、この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0040】
【比較例2】
実施例1において、熱処理を空気中350℃で9時間とした炭素繊維チョップドストランドを比較例2とし、この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0041】
【実施例3】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(「エピコート828」 油化シェルエポキシ株式会社製)を濃度40g/lのエマルジョンに調整し、このエマルジョンに炭素繊維ストランド(東邦レーヨン株式会社製、直径7μm×12000フィラメント)を浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドにエポキシ樹脂を1.3重量%付与した。次に、変性度50%のウレタン変性エポキシ樹脂をアセトンに溶解し、濃度を70g/lに調整した溶液に、撚りを3turn/m付与した先の炭素繊維ストランドを浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドに対する集束剤の全付着量を7.0重量%とした。次いで、この炭素繊維ストランドを繊維長6mmに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。このチョップドストランドを熱風循環式炉に入れ、空気中315℃で9時間熱処理を施して本発明の炭素繊維チョップドストランドを作製した。この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0042】
【比較例3】
実施例3において、熱処理を空気中350℃で9時間とした炭素繊維チョップドストランドを比較例3とし、この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0043】
【比較例4】
実施例3において、熱処理を窒素中800℃で1時間とした炭素繊維チョップドストランドを比較例4とし、この炭素繊維チョップドストランドの嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0044】
【比較例5】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(「エピコート828」 油化シェルエポキシ株式会社製)を濃度40g/lのエマルジョンに調整し、このエマルジョンに炭素繊維ストランド(東邦レーヨン株式会社製、直径7μm×12000フィラメント)を浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドにエポキシ樹脂を1.3重量%付与した。次に、メタノ−ルに可溶なナイロン樹脂をメタノ−ルに溶解し、濃度を60g/lに調整した溶液に、この炭素繊維ストランドを浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドに対する集束剤の付着量を6.0重量%とした。次いで、この炭素繊維ストランドを繊維長6mmに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。このチョップドストランドを熱風循環式炉に入れ、空気中315℃で9時間熱処理を施して炭素繊維チョップドストランドを作製した。この炭素繊維チョップドストランドの嵩密度及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0045】
【比較例6】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(「エピコート828」 油化シェルエポキシ株式会社製)を濃度80g/lのエマルジョンに調整し、炭素繊維ストランド(東邦レーヨン株式会社製、直径7μm×12000フィラメント)を浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドに対する集束剤の付着量を2.5重量%とした。次いで、この炭素繊維ストランドを繊維長6mmに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。このチョップドストランドを熱風循環式炉に入れ、空気中315℃で9時間熱処理を施して炭素繊維チョップドストランドを作製した。この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度、及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0046】
【比較例7】
ウレタン樹脂をメチルエチルケトンに溶解し、濃度を35g/lに調整した溶液中に、炭素繊維ストランド(東邦レーヨン株式会社製、直径7μm×12000フィラメント)を浸漬させた後に乾燥を行い、炭素繊維ストランドに対する集束剤の付着量を2.5重量%とした。次いで、この炭素繊維ストランドを繊維長6mmに切断して炭素繊維チョップドストランドを作製した。このチョップドストランドを熱風循環式炉に入れ、空気中315℃で9時間熱処理を施して炭素繊維チョップドストランドを作製した。この炭素繊維チョップドストランドの450℃の重量減少、嵩密度、及びフリーファイバー発生率を表1に示した。
【0047】
【表1】
Figure 0003948766
【0048】
【実施例4】
実施例1の炭素繊維チョップドストランドと十分に乾燥したポリエーテルイミド樹脂ペレット(日本ジーイープラスチックス株式会社製ウルテム1000)とを炭素繊維が20重量%になるように20kgをタンブラーに仕込み、ドライブレンドした。次いで、このブレンド物20kgを40mmオープンベンド式押出機の、外径80mm・内径40mm・ピッチ80mmのスクリューフィーダーがついたホッパーに全量入れ、シリンダー温度380℃で溶融混練(コンパウンディング)してストランド状に押出し、水冷後3mm長のペレット状に切断して炭素繊維強化ポリエ−テルイミド成形材料を得た。このコンパウンディング時に、押出機のホッパー内に残った炭素繊維チョップドストランドは殆ど無く、押出し量もほぼ一定で安定していた。このようにして得た成形材料を、射出成形機(東芝機械株式会社製IS−100E)でシリンダー温度380℃で試験片を成形した。試験片寸法はJISに準拠した。この試験片の特性を表2に示す。
【0049】
【実施例5】
実施例2の炭素繊維チョップドストランドを使用した以外は実施例4の記載と同条件、方法でコンパウンディングし、さらに射出成形したが何等トラブルは生じなかった。また、試験片の特性を表2に示す。
【0050】
【比較例8】
比較例1の炭素繊維チョップドストランドを使用した以外は実施例4の記載と同条件、方法でコンパウンディングし、さらに射出成形した。また、試験片の特性を表2に示す。
【0051】
【比較例9】
比較例2の炭素繊維チョップドストランドを使用した以外は実施例4の記載と同条件、方法でコンパウンディングしたところ、ドライブレンド時に毛玉が発生し、それがホッパー内の供給口に詰まって安定供給が不可能になり、樹脂と炭素繊維の均一な混合状態の樹脂組成物を得ることができなかった。
【0052】
【実施例6】
実施例3の炭素繊維チョップドストランドを使用した以外は実施例4の記載と同条件、方法でコンパウンディングし、さらに射出成形したが何等トラブルは生じなかった。また、試験片の特性を表2に示す。
【0053】
【比較例10】
比較例3の炭素繊維チョップドストランドを使用した以外は実施例4の記載と同条件、方法でコンパウンディングしたところ、ドライブレンド時に毛玉が発生し、それがホッパー内の供給口に詰まって安定供給が不可能になり、樹脂と炭素繊維の均一な混合状態の樹脂組成物を得ることができなかった。
【0054】
【比較例11】
比較例4の炭素繊維チョップドストランドを使用した以外は実施例4の記載と同条件、方法でコンパウンディングし、さらに射出成形した。また、試験片の特性を表2に示す。
【0055】
【表2】
Figure 0003948766

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤、又はウレタン変性エポキシ樹脂を含む集束剤で集束された炭素繊維ストランドを1〜10mmの長さに切断し、250〜330℃で加熱処理することを特徴とする炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
  2. エポキシ樹脂とウレタン樹脂からなる集束剤の配合比が、それぞれ30〜90重量%と70〜10重量%であることを特徴とする請求項記載の炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
  3. ウレタン変性エポキシ樹脂のウレタン変性度が10〜70%であることを特徴とする請求項載の炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
  4. 250〜330℃の加熱処理を空気中で行うことを特徴とする請求項乃至請求項記載の炭素繊維チョップドストランドの製造方法。
  5. 請求項1記載の方法により得られた炭素繊維チョップドストランドと熱可塑性樹脂とを含む繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
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