JP3948604B2 - 動物細胞培養用担体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動物細胞培養用の担体に関し、さらに詳しくは、単位体積あたり、より多くの動物細胞を培養できる担体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動物細胞を大量に培養する方法として、多孔性担体(マイクロキャリアー)を用いる懸濁培養法が知られている(細胞培養の技術、第三版、朝倉書店発行、日本組織培養学会編、266頁)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
多孔性担体を用いる懸濁培養方法は、細胞接着面積が高いけれども、多孔性担体の細孔内部(特に細孔深部)において、動物細胞に対する培地からの栄養分や酸素の供給が不十分となるという問題がある。
従って、上記方法では、細孔内部で動物細胞の増殖性が不十分になり、結果として動物細胞の大量培養は困難である。
すなわち、本発明の目的は、細胞接着表面積が大きく、かつ、動物細胞に対する培地からの栄養分や酸素の供給が十分行える動物細胞培養担体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の樹脂粒子を用いることにより上記目的を達成し得ることを見いだし本発明に到達した。すなわち、本発明の動物細胞培養用担体の特徴は、樹脂微粒子(A)を樹脂粒子(B)の表面に配した構造を有する樹脂複合粒子(C)からなり、樹脂複合粒子(C)のBET値比表面積が1.0m2/g以上10.0m2/g以下である点にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において、樹脂微粒子(A)は、樹脂(a)から構成される。
樹脂(a)としては、特に制限なく、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
樹脂(a)としては、公知の樹脂が使用でき、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート及びこれらの混合物等が使用できる。
これらのうち、樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点から、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル及びこれらの混合物が好ましい。
【0006】
ビニル樹脂は、ビニルモノマーを(共)重合したポリマーである。
ビニルモノマーとしては、以下の(1)及び(2)に示したビニルモノマー等が使用できる。
(1)ビニル炭化水素
(1−1)炭素数2〜20の脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2〜20のアルケン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及びこれら以外のα−オレフィン等)及び炭素数4〜20のアルカジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン及びオクタデカジエン等)等。
【0007】
(1−2)炭素数5〜18の脂環式ビニル炭化水素
シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン及びビニルシクロヘキサン等)、シクロアルカジエン(例えば、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及びテルペン(例えば、ピネン、リモネン及びインデン等)等。
(1−3)炭素数8〜15の芳香族ビニル炭化水素
スチレン、炭素数9〜15のスチレン置換体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等)及びビニルナフタレン等。
【0008】
(2)ビニルエステル及び(メタ)アクリル酸エステル
(2−1)炭素数3〜10のビニルエステル
例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート及びビニルベンゾエート等。
(2−2)炭素数4〜24の(メタ)アクリル酸エステル
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレート等。
【0009】
これらのうち、細胞に対する親和性の観点から、ビニル炭化水素及び(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、さらに好ましくはビニル炭化水素、特に好ましくは芳香族ビニル炭化水素、最も好ましくはスチレンである。
また、これらのビニルモノマーとともに、他のビニルモノマーを共重合することができる。
他のビニルモノマーとしては、(3)〜(8)に示すビニルモノマー等が使用できる。
【0010】
(3)カルボキシル基(−CO2H)含有ビニルモノマー、これらの無水物、アルキルエステル及び塩
炭素数3〜8の不飽和カルボン酸{例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸及びマレイン酸等}、炭素数3〜8の不飽和ジカルボン酸無水物{例えば、無水マレイン酸及び無水シトラコン酸等}、不飽和ジカルボン酸(炭素数4〜8)モノアルキル(炭素数1〜18)エステル{例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノオクタデシルエステル、フマル酸モノメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル及びシトラコン酸モノメチルエステル等}及び不飽和カルボン酸塩{上記不飽和カルボン酸のアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アンモニウム塩、炭素数1〜8のアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウム及びテトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウム等)塩等}。
【0011】
(4)スルホ基(−SO3H)含有ビニルモノマー及びこれらの塩
炭素数2〜9のアルケンスルホン酸{例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びα−メチルスチレンスルホン酸等}及びこれらのアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アンモニウム塩、炭素数1〜8のアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウム及びテトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウム等)塩等}。
【0012】
(5)炭素数3〜23のヒドロキシル基(−OH)含有ビニルモノマー
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート及びグリセリンジプロペニルエーテル等。
【0013】
(6)含窒素ビニルモノマー
(6−1)炭素数3〜23のアミノ基(−NR2、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のヘテロ原子団を含んでもよい炭化水素基)含有ビニルモノマー
例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール及びアミノメルカプトチアゾール等。
【0014】
(6−2)炭素数3〜23のアミド基(−CONR2、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のヘテロ原子団を含んでもよい炭化水素基)含有ビニルモノマー
例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(6−3)炭素数3〜12のシアノ基(−CN)含有ビニルモノマー
例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びオクチルシアノアクリレート等。
【0015】
(7)炭素数6〜14のエポキシ基含有ビニルモノマー
例えば、アリルグリシジルエーテル、グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
(8)炭素数2〜8のハロゲン含有ビニルモノマー
例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
【0016】
他のビニルモノマー(3)〜(8)と共重合させる場合、ビニルモノマー(1)及び(2)からなる構成単位の含有量は、ビニル樹脂の重量に基づいて、50重量%以上が好ましく、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であり、また、100重量%以下が好ましく、さらに好ましくは99重量%以下、特に好ましくは98重量%以下である。
【0017】
ビニル樹脂としては、ビニルモノマーの単独重合体、ビニルモノマー同士の共重合体、及びビニルモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体が使用できる。
共重合体の場合、モノマーの種類は、2元又はそれ以上(好ましくは2〜4元共重合体)である。
ビニル樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリビニルイクロヘキセン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0018】
ビニル樹脂の重量平均分子量としては、5,000以上が好ましく、さらに好ましくは50,000万以上、特に好ましくは100,000以上である。
また、例えば、ジビニルベンゼン等の2官能性のビニルモノマーを例えば2重量%共重合した場合、ビニル樹脂は全体が架橋体となり重量平均分子量は10,000,000以上となり測定不能になるが、このような架橋体が特に好ましい。
架橋体以外のビニル樹脂の重量平均分子量としては、10,000,000以下が好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される(THF溶媒、基準物質ポリスチレン)。
【0019】
ウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物との重付加物等が使用できる。
ポリイソシアネートとしては、炭素数(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様。)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの変性体等が用いられる。
【0020】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0021】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0022】
ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物、並びにこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]等が挙げられる。
これらのうち、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートが好ましく、さらに好ましくはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0023】
活性水素含有化合物としては、例えば、水、ポリオール、ポリカルボン酸、ポリアミン及びポリチオール等が使用できる。
ポリオールとしては、ジオール及び3〜8価又はそれ以上のポリオール等が用いられる。
ジオールとしては、炭素数2〜14のアルキレングリコール、炭素数4〜300のアルキレンエーテルグリコール、炭素数6〜15の脂環式ジオール、炭素数13〜15の芳香族ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ポリラクトンジオール、並びにポリジエンジオール(重合度:2〜2000)等が用いられる。
【0024】
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度:4〜150)、ポリプロピレングリコール(重合度:3〜70)及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(重合度:2〜70)等が挙げられる。
【0025】
脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びナフタレンジオール等が挙げられる。
脂環式ジオールのアルキレンオキサイドとしては、上記の脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(炭素数2〜6、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びスチレンオキサイド等。以下同じ)付加物(活性水素2個当たりの付加数:1〜150)等が用いられ、例えば、1,4−シクロヘキサンジオールのエチレンオキサイド4モル付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノールのプロピレンオキサイド6モル付加物及び水素添加ビスフェノールAのプロピレンオキシド8モル付加物等が挙げられる。
【0026】
芳香族ジオールのアルキレンオキサイドとしては、上記の芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物(活性水素2個当たりの付加数:1〜150)等が用いられ、例えば、カテコールのプロピレンオキサイド6モル付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物及びビスフェノールSのエチレンオキサイド6モル付加物等が挙げられる。
ポリラクトンジオールとしては、ラクトンの炭素数が5〜7であるポリラクトンジオール等が用いられ、例えば、ポリε−カプロラクトンジオール等が挙げられる。
ポリジエンジオールとしては、例えば、重合度:2〜2000のポリブタジエンジオール等が挙げられる。
これらのうち、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール及び芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、さらに好ましくは芳香族ジオールのアルキレンオキサイド付加物及びアルキレングリコール、特に好ましくはビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物及びアルキレングリコール、最も好ましくはビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物及びこれとアルキレングリコールとの併用である。
【0027】
3〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜6の多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等)、重合度2〜300のノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等)、並びに上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物(例えば、重合度20のフェノールノボラック樹脂のエチレンオキサイド4モル付加物及び重合度10のクレゾールノボラック樹脂のエチレンオキサイド2モル付加物等)等が挙げられる。
これらのうち、多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、特に好ましくはノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物である。
【0028】
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸及び3価又はそれ以上のポリカルボン酸等が用いられる。
ジカルボン酸としては、炭素数4〜18のアルキレンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸等)、炭素数4〜18のアルケニレンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマール酸及びドデセンジカルボン酸等)、炭素数8〜22の分岐アルキレンジカルボン酸{例えば、ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)}、並びに炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。
これらのうち、アルケニレンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸である。
【0029】
3価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数6〜10の芳香族ポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸及びナフタレンテトラカルボン酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸及び3価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上記のジカルボン酸又はポリカルボン酸の酸無水物又は低級アルキルエステル(炭素数1〜3、例えば、メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)等を用いてもよい。
【0030】
ポリアミンとしては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジメチルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン及びキシリレンジアミン等)、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン(例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン及び4,4’−プロピレンジシクロヘキサンジアミン等)、炭素数4〜8の複素環式ポリアミン(例えば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及び1,4−ジアミノエチルピペラジン等)、炭素数6〜15の芳香族ポリアミン(例えば、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン等)等が挙げられる。
これらのうち、脂肪族ポリアミン及び脂環式ポリアミンが好ましく、特に好ましくは脂肪族ポリアミンである。
【0031】
ポリチオールとしては、炭素数2〜6の脂肪族ポリチオール(例えば、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等)、脂環式ポリチオール(シクロヘキサンジチオール等)及び芳香族ポリチオール(例えば、ジチオカテコール等)等が挙げられる。
これらのうち、脂肪族ポリチオール及び脂環式ポリチオールが好ましく、特に好ましくは脂肪族ポリチールである。
【0032】
ポリイソシアネートと活性水素含有化合物との比率は、イソシアネート基[NCO]と活性水素[H]の当量比[NCO]/[H]として、0.5以上が好ましく、さらに好ましくは0.67以上、特に好ましくは0.77以上であり、また、1以下が好ましく、さらに好ましくは0.99以下、特に好ましくは0.98以下である。
3官能以上のポリイソシアネートを使用する場合、3官能以上のポリイソシアネートの含有量は、全ポリイソシアネートの重量に基づいて、0.05重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、また、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。
活性水素を3個以上含有する活性水素含有化合物を使用する場合、活性水素を3個以上有する活性水素含有化合物の含有量は、全活性水素含有化合物の重量に基づいて中の0.05重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、また、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0033】
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリカプロラクトンジオール(重合度=23)とIPDIとの反応物、アルキレンエーテルグリコール(重合度=60、エチレンオキシド含量50重量%、プロピレンオキシド含量50重量%)とHDIとの反応物、ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル付加物とポリエチレンオキシド(重合度10)の等モル混合物とTDIとIPDIの等モル混合物との反応物等が挙げられる。
【0034】
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは50,000以上である。
また、例えば、3官能以上のポリイソシアネートや活性水素を3個以上含有する活性水素化合物を例えばそれぞれ2重量%共重合した場合、ウレタン樹脂は全体が架橋体となり重量平均分子量は10,000,000以上となり測定不能になるが、このような架橋体が好ましい。
架橋体以外のウレタン樹脂の重量平均分子量としては、10,000,000以下が好ましい。
【0035】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシドの開環重合物及びポリエポキシドと活性水素含有化合物との重付加物等が使用できる。
ポリエポキシドは、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。
ポリエポキシドとしては、例えば、芳香族ポリエポキシド、脂環式ポリエポキシド及び脂肪族ポリエポキシド等が使用できる。
芳香族ポリエポキシドとしては、多価フェノール(炭素数6〜2000)ポリグリシジルエーテル、多価カルボン酸(炭素数6〜10)ポリグリシジルエステル及びポリグリシジル芳香族ポリアミン(芳香族ポリアミンの炭素数:6〜15)等が用いられる。
【0036】
多価フェノールポリグリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂(重合度:2〜300)のポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂(重合度:2〜300)のポリグリシジルエーテル及びレゾルシンとアセトンとの縮合反応によって得られるポリフェノール(重合度:2〜300)等が挙げられる。
【0037】
多価カルボン酸のポリグリシジルエステルとしては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ナフタレントリカルボン酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル及びナフタレンテトラカルボン酸テトラグリシジルエステル等が挙げられる。
ポリグリシジル芳香族ポリアミンとしては、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
【0038】
これらの他に、芳香族ポリエポキシドには、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとポリオールとを反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン及びビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジグリシジルエーテル等も含まれる。
【0039】
脂環式ポリエポキシドとしては、炭素数8〜22のエポキシド等が用いられ、
例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンテニル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンテニルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセニルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキセニルメチル)ブチルアミン及びダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
これらの他に、脂環式ポリエポキシドには、前記芳香族ポリエポキシドの核水添化物も含まれる。
【0040】
脂肪族ポリエポキシドとしては、脂肪族多価アルコール(炭素数2〜300)のポリグリシジルエーテル、多価脂肪酸(炭素数4〜18)のポリグリシジルエステル及びポリグリシジル脂肪族アミン(脂肪族アミンの炭素数2〜18)等が使用できる。
脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(重合度:2〜150)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(重合度:2〜75)ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコール(重合度:2〜75)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセリン(縮合度:2〜20)ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステルとしては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。
【0041】
ポリグリシジル脂肪族アミンとしては、N,N−ジグリシジルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルシクロヘキサンジアミンび等が挙げられる。
これらの他に、脂肪族ポリエポキシドには、ジグリシジルエーテル等も含まれる。
これらのポリエポキシドは、2種以上併用しても差し支えない。
これらのうち、脂肪族ポリエポキシド及び芳香族ポリエポキシドが好ましく、さらに好ましくは芳香族ポリエポキシドである。
また、分子中にエポキシ基を2〜6個有するものが好ましく、さらに好ましくは2〜4個有するものである。
【0042】
活性水素含有化合物としては、ウレタン樹脂で使用できるものと同じもの等が使用できる。
ポリエポキシドと活性水素含有化合物との比率は、エポキシ基[EP]と活性水素[H]の当量比[EP]/[H]として、0.5以上が好ましく、さらに好ましくは0.67以上、特に好ましくは0.77以上であり、また、1以下が好ましく、さらに好ましくは0.99以下、特に好ましくは0.98以下である。
分子中に3個以上のエポキシ基を有するポリエポキシドを使用する場合、分子中に3個以上のエポキシ基を有するポリエポキシドの含有量は、全ポリエポキシドの重量に基づいて、0.05重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、また、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。
活性水素を3個以上含有する活性水素含有化合物を使用する場合、活性水素を3個以上有する化成水素含有化合物の含有量は、全活性水素含有化合物の重量に基づいて、50重量%以上が好ましく、さらに好ましくは80重量%以上であり、また、100重量%以下が好ましい。
【0043】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとエチレンジアミンとの反応物、フェノールノボラック樹脂とモノエタノールアミンとの反応物等が挙げられる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは50,000以上である。
また、例えば、分子中に3個以上のエポキシ基を有するポリエポキシドや活性水素を例えば2重量%共重合した場合や、3個以上含有する活性水素化合物をポリエポキシドと反応させた場合は全体が架橋体となり重量平均分子量は10,000,000以上となり測定不能になるが、このような架橋体が好ましい。
架橋体以外のエポキシ樹脂の重量平均分子量としては、10,000,000以下が好ましい。
【0044】
ポリエステルとしては、ポリオールと、ポリカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル等)との重縮合物等が使用できる。
ポリオールとしては、ウレタン樹脂に使用できるものと同じもの等が使用できる。
ポリカルボン酸としては、ウレタン樹脂に使用できるものと同じもの等が使用できる。
ポリオールとポリカルボン、その酸無水物又はその低級アルキルエステルの比率は、水酸基[OH]とオキシカルボニル基[COO]の当量比[OH]/[COO]として、1以上が好ましく、さらに好ましくは1.01以上、特に好ましくは1.02以上であり、また、2以下が好ましく、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下である。
【0045】
3価以上のポリオールを使用する場合、3価以上のポリオールの含有量は、全ポリオールの重量に基づいて、0.05重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、また、10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。
3価以上のポリカルボン酸等を使用する場合、3価以上のポリカルボン酸等の含有量は、全ポリカルボン酸の重量に基づいて、0.05重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、また、10重量%以下が好ましく、5重量%以下である。
ポリエステルとしては、例えば、ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物とイソフタル酸との反応物、ブタンジオールとアジピン酸との反応物等が挙げられる。
ポリエステルの重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは50,000以上である。
また、例えば、3価以上のジオールや3価以上のポリカルボン酸を例えば4重量%共重合した場合は全体が架橋体となり重量平均分子量は10,000,000以上となりで測定不能になるが、このような架橋体が好ましい。
【0046】
樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)及び融点(mp)は、樹脂複合粒子(C)の保存安定性の観点から、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、また、350℃以下が好ましく、さらに好ましくは300℃以下、特に好ましくは250℃以下である。
なお、Tg及びmpは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
【0047】
樹脂微粒子(A)の体積平均粒子径(D VA)は、0.01μm以上が好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、また、100μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。
なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置(例えば、商品名:LA−920(堀場製作所製)及び商品名:マルチタイザーIII(コールター社製)等)で、例えば水を分散媒として測定できる(以下同じ)。
【0048】
樹脂微粒子(A)は、水性分散体の形で製造されることが好ましい。
樹脂微粒子(A)の水性分散体を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、以下の▲1▼〜▲8▼等が適用できる。
▲1▼ビニル樹脂の場合、ビニルモノマー及び必要により他のビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法等により製造する方法。
▲2▼ポリウレタン、エポキシ樹脂又はポリエステル等の重付加又は縮合樹脂の場合、前駆体(ポリイソシアネート、活性水素含有化合物、ポリエポキシド、ポリカルボン酸無水物及びポリカルボン酸低級アルキルエステル)又は前駆体の溶剤溶液を適当な乳化剤あるいは分散剤の存在下で水性媒体中に分散させ、その後そのまま加熱又は硬化剤を加えて硬化反応をさせ、必要に応じて脱溶剤する方法。
【0049】
▲3▼ポリウレタン、エポキシ樹脂又はポリエステル等の重付加又は縮合樹脂の場合、前駆体又はこの溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
▲4▼あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作成した樹脂(a)を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級(風力分級機又はふるい等による)することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
【0050】
▲5▼あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作成した樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得る。次いで、必要により▲4▼と同様に分級した後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
▲6▼あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作成した樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を得る。次いで、必要により▲4▼と同様に分級した後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
【0051】
▲7▼あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作成した樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法。
▲8▼あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により作成した樹脂(a)を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
【0052】
なお、樹脂微粒子(A)は、▲1▼〜▲8▼において得られる水性分散体から水性媒体を除去することにより容易に得られる。
水性媒体を除去する方法としては、以下の(1)及び(2)等が適用できる。
(1)水性分散体を減圧下又は常圧下で、加熱又は常温下に乾燥する方法。
なお、乾燥には流動層式乾燥機、減圧乾燥機及び循風乾燥機等が用いられる。
(2)遠心分離器、スパクラフィルター又はフィルタープレス等により固液分離した後、(1)のように乾燥する方法。
なお、水性媒体を除去した後、必要に応じて風力分級器又はふるい等を用いて分級し、体積平均粒子径を調整することができる。
【0053】
また、溶剤としては、炭素数1〜4の水溶性溶剤及び炭素数4〜8の油溶性溶剤等が使用できる。
溶剤を使用する場合、溶剤の使用量は、樹脂溶液の重量に基づいて、1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは2重量%以上、特に好ましくは5重量%以上でありまた、80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。
水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノイール、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン及びN−メチルピロリドン等)が挙げられる。
油溶性溶剤としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン及びベンゼン等が挙げられる。
また、水性媒体としては、水又は水と水溶性溶剤との混合物等が使用できる。
【0054】
水性媒体を使用する場合、水性媒体の使用量は、樹脂分散液の重量に基づいて、1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは2重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、また、80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。
また、水性媒体として水と水溶性溶剤を使用する場合の水溶性溶剤の含有量は、水性媒体の重量に基づいて、1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは2重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、また、80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは70重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。
【0055】
また、硬化剤としては、例えば、水、ケチミン化合物(例えば、メチルイソブチルケトンとエチレンジアミンから合成されるもの等)及び酸無水物(無水マレイン酸等)等が使用できる。
硬化剤を使用する場合、硬化剤の使用量としては、樹脂中の反応性基100当量当り、硬化剤中の活性水素の当量が、20以上が好ましく、さらに好ましくは30以上、特にに好ましくは50以上であり、また、1000以下が好ましく、さらに好ましくは500以下、特にに好ましくは200以下である。なお、硬化剤として水を使用する場合、水は2価の活性水素含有基を有する化合物として取り扱う。
【0056】
また、乳化剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤が使用できる。
アニオン界面活性剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩及びスルホン酸塩等が用いられる。
カルボン酸塩としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びラウリル安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩及びラウリルオキシエチル硫酸エステルナトリウム塩等が挙げられる。
スルホン酸塩としては、例えば、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム及びドデセンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0057】
カチオン界面活性剤としては、アミン塩及び第4級アンモニウム塩等が用いられる。
アミン塩としては、例えば、ヘキシルアミン蟻酸塩、シクロヘキシルアミン酢酸塩、ラウリルアミン酢酸塩、ミリスチルアミン酢酸塩、セチルアミン酪酸塩、ステアリルアミン酪酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミンのエチレンオキシド2モル付加物の酢酸塩、トリエタノールアミンモノステアレート酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩及び2−ヘプタデセニルヒドロキシエチルイミダゾリン酢酸塩等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルオキソアミノエチルジエチルメチルアンモニウムメチル硫酸塩、ステアリルオキソアミノエチルジエチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルオキソアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、セチルピリジニウムクロライド及びステアリルピリジニウムブロマイド等が挙げられる。
【0058】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤及びベタイン型両性界面活性剤等が用いられる。
アミノ酸型両性界面活性剤としては、例えば、ヘキシルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノメチルプロピオン酸ナトリウム及びステアリルアミノプロピオン酸カリウム等が挙げられる。
ベタイン型としては、例えば、ヘキシルジメチルベタイン、ラウリルジメチルベタイン、エイコシルジメチルベタイン、ヘキシルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン及びエイコシルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。
【0059】
非イオン界面活性剤としては、多価アルコール及びポリエチレングリコール等が用いられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット、ソルビタン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ショ糖、ブドウ糖、ヘキシル酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノペンタエリスリット、ラウリン酸モノソルビット、オレイン酸トリソルビット、ショ糖のステアリン酸モノエステル、ラウリン酸とジエタノールアミンの1対2モル反応物及びラウリン酸とジエタノールアミンの1対1反応物等が挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール(分子量=200)ラウリン酸モノエステル、ポリエチレングリコール(分子量=1540)ステアリン酸ジエステル、ラウリルアルコールエチレンオキシド4モル付加物、オレイルアルコールエチレンオキシド25モル付加物、ノニルフェノールエチレンオキシド40モル付加物、トリスチレン化フェノールエチレンオキシド50モル付加物、ポリプロピレングリコール(分子量=950)のエチレンオキシド2.4モル付加物、ポリプロピレングリコール(分子量=2250)のエチレンオキシド200モル付加物及びオレイン酸モノソルビットのエチレンオキシド8モル付加物等が挙げられる。
【0060】
これらの界面活性剤は、単独でも使用できるが、複数の界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
これらのうち、アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が好ましく、さらに好ましくはスルホン酸塩及びポリエチレングリコールである。
乳化剤を使用する場合、乳化剤の使用量は、モノマー及び/又は樹脂前駆体の重量に基づいて、0.1重量部以上が好ましく、さらに好ましくは1重量%以上、特に好ましくは2重量%以上であり、また、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
【0061】
分散剤としては、例えば、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー及びノニオン性ポリマー等が使用できる。
アニオン性ポリマーとしては、例えば、重量平均分子量200〜500,000のポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
カチオン性ポリマーとしては、例えば、重量平均分子量200〜500,000のポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル及びポリジメチルアミノスチレン等が挙げられる。
【0062】
ノニオン性ポリマーとしては、例えば、重量平均分子量200〜500,000のポリビニルアルコール及びポリ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらのうち、アニオン性ポリマー及びノニオン性ポリマーが好ましく、さらに好ましくはノニオン性ポリマー、特に好ましくはポリビニルアルコールである。
分散剤を使用する場合、分散剤の使用量は、モノマー及び/又は樹脂前駆体の重量に基づいて、0.1重量部以上が好ましく、さらに好ましくは1重量%以上、特に好ましくは2重量%以上であり、また、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
【0063】
また、▲1▼〜▲8▼において、分散乳化装置を使用することができる。
分散装置は、一般に乳化機、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、バッチ式乳化機及び連続式乳化機等のいずれも使用できる。
バッチ式乳化機としては、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)、バイブロミキサー(冷化工業社製)及び超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等が挙げられる。
連続式乳化機としては、例えば、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)及び膜乳化機(冷化工業社製)バイブロミキサー(冷化工業社製)等が挙げられる。
これらのうち、粒径の均一性の観点から、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス及びTKパイプラインホモミキサーが好ましい。
【0064】
本発明において、樹脂粒子(B)は、樹脂(b)から構成される。
樹脂(b)としては、特に制限なく、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
樹脂(b)としては、樹脂(a)と同様のもの等が使用できる。
樹脂(b)としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステルが好ましい。
樹脂(b)のTg及びmpは、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、また、350℃以下が好ましく、さらに好ましくは300℃以下、特に好ましくは250℃以下である。
【0065】
樹脂粒子(B)の体積平均粒子径(D VB)は、0.1μm以上が好ましく、
さらに好ましくは1μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、また、1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下である。
樹脂粒子(B)は、樹脂微粒子(A)と同様にしても得ることができるが、樹脂微粒子(A)の存在下に、樹脂複合粒子(C)を形成させると共に同時に樹脂粒子(B)を形成させることが好ましい。
【0066】
樹脂複合粒子(C)は、実質的に樹脂微粒子(A)及び樹脂粒子(B)から構成され、樹脂微粒子(A)が樹脂粒子(B)の表面に配した構造を有する。
なお、「配した」とは、吸着、付着、融着及び化学結合を含む意味である。
また、吸着又は付着とは、樹脂微粒子(A)の表面と樹脂粒子(B)の表面とが物理的に接合している状態である。この場合の接合力としてはファンデルワールス力及び電荷による吸引力のいずれでもよい。
また、融着とは、樹脂微粒子(A)の一部と樹脂粒子(B)の一部とが溶融又は溶解して、共に混和された状態である。
また、化学結合とは、樹脂微粒子(A)の表面に存在する官能基と樹脂粒子(B)の表面に存在する官能基とが化学結合した状態である。化学結合としては、共有結合、水素結合、イオン結合及び配位結合のいずれでもよい。
【0067】
樹脂複合粒子(C)の体積平均粒子径(D VC)は、0.1μm以上が好ましく、さらに好ましくは1μm以上、特に好ましくは10μm以上であり、また、1100μm以下が好ましく、さらに好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下である。
樹脂複合粒子(C)において、樹脂微粒子(A)の体積平均粒径(D VA)と樹脂粒子(B)の体積平均粒径(D VB)との比(D VA/D VB)は、0.001以上が好ましく、さらに好ましくは0.002以上、特に好ましくは0.005以上であり、また、0.3以下が好ましく、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。この範囲であると担体の表面積がさらに大きく、かつ、動物細胞に対する培地からの栄養分や酸素の供給がさらに十分行いやすい。
【0068】
樹脂複合粒子(C)において、樹脂微粒子(A)の含有量は、樹脂複合粒子(C)の表面積が好ましい範囲になるという観点から、(A)及び(B)の合計重量に基づいて、0.01重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、また、60重量%以下が好ましく、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
樹脂粒子(B)の含有量は、樹脂複合粒子(C)の表面積が好ましい範囲になるという観点から、(A)及び(B)の合計重量に基づいて、40重量%以上が好ましく、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上であり、また、99.99重量%以下が好ましく、さらに好ましくは99.9重量%以下、特に好ましくは95重量%以下である。
【0069】
樹脂複合粒子(C)及び樹脂微粒子(A)の投影面積比(TMA/TMC)は、0.001以上が好ましく、さらに好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.5以上であり、また、1以下が好ましく、さらに好ましくは0.999以下、特に好ましくは0.99以下である。この範囲であると、担体の表面積がさらに大きく、かつ、動物細胞に対する培地からの栄養分や酸素の供給がさらに十分行いやすい。
なお、投影面積比は、試料表面の電子顕微鏡写真(倍率3万倍)を10回撮り、各表面像の画像情報をインターフェースを介して画像解析装置に導入し求められる。
【0070】
樹脂複合粒子(C)のBET値比表面積は、(C)への細胞接着面積及び動物細胞への栄養分や酸素の供給の観点から、0.1m2/g以上が好ましく、さらに好ましくは1.0m2/g以上、特に好ましくは1.5m2/g以上であり、また、200m2/g以下が好ましく、さらに好ましくは10.0m2/g以下、特に好ましくは6.0m2/g以下である。
なお、BET比表面積は、比表面積計(例えば、QUANTASORB(ユアサアイオニクス製))を用いて測定(測定ガス:He/Kr=99.9/0.1体積%、検量ガス:窒素)できる。
【0071】
樹脂複合粒子(C)の製造方法には特に制限はないが、例えば、以下の(1)〜(3)の方法等が適用できる。
(1)樹脂微粒子(A)及び樹脂粒子(B)をそれぞれ製造した後、乾式混合又は湿式混合させる方法。なお、混合後、加熱することもできる。
(2)樹脂微粒子(A)の水性分散液中に、樹脂(b)又はその溶剤溶液を分散させて、樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂複合粒子(C)の水性分散体を得る方法。なお、複合樹脂粒子は、この水分散体から水性媒体を除去することにより得られる。水性除去する方法としては、上記と同じ方法が適用できる。また、水性媒体を除去した後、必要に応じて風力分級器又はふるい等を用いて分級し、体積平均粒子径を調整することができる。
(3)樹脂微粒子(A)の水性分散液中に、樹脂(b)の前駆体(b0)又はその溶剤溶液を分散させて、さらに、前駆体(b0)を反応させて、樹脂粒子(B)を形成させることにより、樹脂複合粒子(C)の水性分散体を得る方法。なお、複合樹脂粒子は、この水分散体から水性媒体を除去することにより得られる。水性除去する方法としては、上記と同じ方法が適用できる。また、水性媒体を除去した後、必要に応じて風力分級器又はふるい等を用いて分級し、体積平均粒子径を調整することができる。
【0072】
また、前駆体(b0)とは、樹脂微粒子(A)の水性分散体を製造する方法において使用できる前駆体(ポリイソシアネート、活性水素含有化合物、ポリエポキシド、ポリカルボン酸無水物及びポリカルボン酸低級アルキルエステル)と同じである。
また、溶剤溶液に使用する溶剤は、上記と同じものが使用できる。
また、樹脂(b)、樹脂(b)の前駆体(b0)又はこれらの溶剤溶液を分散させる場合、乳化剤及び分散剤等を使用することができ、また、分散乳化装置を用いることもできる。
乳化剤、分散剤及び分散乳化装置としては、上記と同じものが使用できる。
【0073】
樹脂(b)を樹脂微粒子(A)の水性媒液に分散させる際、樹脂(b)は液体であることが好ましい。樹脂(b)が常温で固体である場合には、融点以上の温度で分散させたり、(b)の溶剤溶液を用いたり、(b)の前駆体(b0)又はその溶剤溶液を用いることが好ましい。
樹脂(b)、前駆体(b0)又はこれらの溶剤溶液の25℃での粘度は、粒径均一性の観点から、10mPa・s以上が好ましく、さらに好ましくは100mPa・s以上、特に好ましくは200mPa・s以上であり、また、50000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは10000mPa・s以下、特に好ましくは5000mPa・s以下である。
なお、粘度は、ローター回転式粘度計(例えば、ブルックフィールド粘度計(ブルックフィールド社))により測定できる。
【0074】
分散温度としては、0℃以上が好ましく、さらに好ましくは5℃以上、特に好ましくは10℃以上であり、また、150℃(加圧下)以下が好ましく、さらに好ましくは98℃以下、特に好ましくは50℃以下である。
樹脂(b)の溶剤溶液及び前駆体(b0)の溶剤溶液に用いる溶剤は、樹脂(a)で使用可能な溶剤が使用できる。
【0075】
本発明の動物細胞培養用担体は、より動物細胞が接着しやすいようにするため、さらに、樹脂複合粒子(C)の表面は、物理処理及び/又は化学処理することが好ましい。
物理処理としては、細胞の接着性を高める公知の方法が使用でき、例えば、低温プラズマ処理を行う方法や電子線及びX線等の放射線を照射する方法等が適用できる。
また、化学処理としては、細胞親和性ポリマー(E)で処理する方法、過酸化物で処理する方法及び塩基性水溶液で処理する方法等が適用できる。
【0076】
細胞親和性ポリマー(E)としては、細胞接着シグナルを現す最小アミノ酸配列を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(E1)、細胞外マトリックス(E2)及び化学合成高分子(E3)等が使用できる。
細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列としては、接着シグナルとして働くものであればいずれも使用でき、例えば、株式会社永井出版発行「病態生理」Vol.9、No.7、1990年、527頁に記載されているもの等が使用できる。
これらのうち、接着しやすい細胞の種類が多いという観点から、Arg Gly Asp配列、Leu Asp Val配列、Arg Glu Asp Val配列(1)、Tyr Ile Gly Ser Arg配列(2)、Pro Asp Ser Gly Arg配列(3)、Arg Tyr Val Val Leu Pro Arg配列(4)、Leu Gly Thr Ile Pro Gly配列(5)、Arg Asn Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile配列(6)、Ile Lys Val Ala Val配列(7)、Leu Arg Glu配列、Asp Gly Glu Ala配列(8)及びHis Ala Val配列が好ましく、さらに好ましくはArg Gly Asp配列、Ile Lys Val Ala Val配列(7)及びHis Ala Val配列である。なお、アミノ酸配列はアミノ酸3文字表記で現わし、( )内にアミノ酸配列表に対応する配列番号を付記した(以下同様である。)。
【0077】
ポリペプチド(E1)は、細胞接着シグナルを現わす最小アミノ酸配列以外に、(E1)の熱安定性が高まるアミノ酸配列、例えばシルクフィブロイン由来のGly Ala Gly Ala Gly Ser配列(9)を少なくとも2個有することが好ましく、このアミノ酸配列を少なくとも3〜50個有することがさらに好ましく、5〜30個有することが特に好ましい。
【0078】
ポリペプチド(E1)としては、例えば、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とArg Gly Asp配列とを有するポリペプチド、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とTyr Ile Gly Ser Arg配列(2)とを有するポリペプチド、(Gly Ala Pro (Gly Pro Pro)42配列(11)とArg Gly Asp配列とを有するポリペプチド、(Gly Ala Pro (Gly Pro Pro)42配列(11)とTyr Ile Gly Ser Arg配列(2)とを有するポリペプチド、及び(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とIle Lys Val Ala Val配列(7)とを有するポリペプチド(特表平3−502935号公報)等が挙げられる。
【0079】
ポリペプチド(E1)として市場から入手できるものとしては、例えば、三洋化成工業(株)製プロネクチンF(遺伝子組替大腸菌により製造され、1分子中にArg Gly Asp配列と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とを各々約13個有する数平均分子量約11万のポリペプチド)、同プロネクチンFプラス(プロネクチンFをジメルアミノエチルクロライドと反応させて水溶性にしたもの)、同プロネクチンL(遺伝子組替大腸菌により製造され、1分子中にIle Lys Val Ala Val配列(7)と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とを各々約7個有する数平均分子量約9万のポリペプチド)等が挙げられる。また、宝酒造(株)製RetroNectin(リコンビナントヒトフィブロネクチンCH−296){ヒトフィブロネクチン細胞接着シグナルであるCS1シグナルと細胞接着ドメインTypeIII及びヘパリン結合ドメインIIを1つずつ有する数平均分子量約6万のポリペプチド}、同RGDS−Protein A{Arg Gly Asp配列をProtein A(IgG結合ドメイン)に挿入した数平均分子量約3万のポリペプチド}もポリペプチド(E1)として使用可能である。
【0080】
ポリペプチド(E1)の製造方法は特に制限されず、ペプチドを合成する従来既知の方法と同様にして製造することができ、例えば、有機合成法(固相合成法、液相合成法等)及び生化学的合成法[遺伝子組換微生物(酵母、細菌、大腸菌等)]等によって合成することができる。
有機合成法に関しては、例えば、日本生化学学会編「続生化学実験講座2、タンパク質の化学(下)」第641〜694頁(昭和62年5月20日;株式会社東京化学同人発行)に記載されている方法等が用いられる。
生化学的合成法に関しては、例えば、特表平3−502935号公報に記載されている方法等が用いられる。
高分子量のポリペプチド(E1)を容易に合成できる点で、遺伝子組換微生物による生化学的合成法が好ましく、特に好ましくは遺伝子組換大腸菌を用いて合成する方法である。
【0081】
ポリペプチド(E1)の数平均分子量は、細胞に対する毒性が低く、接着性能が高いという観点から、5,000以上が好ましく、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは50,000以上であり、また、5,000,000以下が好ましく、さらに好ましくは1,000,000以下、特に好ましくは500,000以下である。
なお、この数平均分子量は、SDS−PAGE法(Naドデシルスルフェイト−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)で、ポリペプチド(E1)を水中で展開し、泳動距離を標準物質と比較することによって求められる。
【0082】
細胞外マトリックス(E2)としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ゲルゾリン、ビトロネクチン及びラミニン等が使用できる。
化学合成高分子(E3)としては、例えば、ポリリジン及びポリエチレンイミン等が使用できる。
これらの細胞親和性ポリマー(E)のうち、ポリペプチド(E1)及び細胞外マトリックス(E2)が好ましく、さらに好ましくは(E1)である。
ポリペプチド(E1)の中でも、最小アミノ酸配列の含有量が1分子中3〜50個有しているものが好ましく、さらに好ましくは5〜40個、特に好ましくは10〜30個有しているものである。
【0083】
細胞親和性ポリマー(E)で処理する場合の、(E)の含有量は、樹脂複合粒子(C)の表面積1cm2当り、0.01μg以上が好ましく、さらに好ましくは0.1μg以上、特に好ましくは0.3μg以上であり、また、100μg以下が好ましく、さらに好ましくは50μg以下、特に好ましくは10μg以下である。
【0084】
細胞親和性ポリマー(E)で処理する方法としては特に制限はなく公知のコーティング方法等が適用でき、例えば、細胞親和性ポリマー(E)を溶媒に溶かした溶液を予め作製し、その中に樹脂複合粒子(C)を加え、所定のコーティング時間必要に応じて攪拌した後、必要に応じて余分の溶液を捨て乾燥させるか、余分の溶液を捨てずに乾燥させる方法等が挙げられる。
【0085】
細胞親和性ポリマー(E)の溶液を作製するために用いられる溶媒としては特に制限はないが、無機塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、アミノ酸、ビタミン、アルコール、無機酸、有機酸、無機塩基及び/又は有機塩基を含有する水溶液並びに水等が使用できる。
なお、水溶液を使用する場合、水の濃度は、水溶液の重量に基づいて、50重量%以上が好ましく、さらに好ましくは70重量%以上であり、また、99.9重量%以下が好ましく、さらに好ましくは99重量%以下である。
【0086】
無機塩としては、ハロゲン化金属塩、硫酸金属塩、リン酸金属塩、硝酸金属塩、炭酸金属塩及び過ハロゲン酸金属等が使用でき、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸鉄、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸銅、硫酸鉄、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、過塩素酸ナトリウム及び過塩素酸リチウム等が挙げられる。
【0087】
有機カルボン酸塩としては、炭素数1〜7の有機カルボン酸塩等が用いられ、例えば、蟻酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、安息香酸ナトリウム及び酒石酸カリウム等が挙げられる。
有機スルホン酸塩としては、炭素数6〜10の有機スルホン酸塩等が用いられ、例えば、ベンゼンスルホン酸ナトリウム及びナフタレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
アミノ酸としては、炭素数2〜11のアミノ酸等が用いられ、例えば、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、セリン及びグリシン等が挙げられる。
ビタミンとしては、水溶性のビタミン等が用いられ、例えば、コリン、イノシトール、ニコチンアミド、グルタミン、ビタミンC及びビタミンB12等が挙げられる。
アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール等が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びブタノール等が挙げられる。
【0088】
無機酸としては、例えば、塩酸、燐酸、硫酸、硝酸、過塩素酸及び炭酸等が挙げられる。
有機酸としては、炭素数1〜10の有機酸等が使用でき、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸、蟻酸、フェノール、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸等が挙げられる。
無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及びアンモニア等が挙げられる。
有機塩基としては、炭素数2〜6の有機塩基等が使用でき、例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン及びトリエチルアミン等が挙げられる。
水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水及びイオン交換蒸留水等が挙げられる。
これらの溶媒の中で、無機塩、無機酸、有機酸、無機塩基及び/又は有機塩基を含有する水溶液並びに水が好ましく、さらに好ましくは無機塩を含有する水溶液及び水、特に好ましくは無機塩を含有する水溶液である。
【0089】
細胞親和性ポリマー(E)の溶液の濃度は、溶媒1ml当り、0.01μg以上が好ましく、さらに好ましくは0.1μg以上、特に好ましくは1μg以上であり、また、100mg以下が好ましく、さらに好ましくは10mg以下、特に好ましくは1mg以下である。
コーティング時間としては、樹脂複合粒子(C)の表面積や粒子径によっても異なるが、30秒以上が好ましく、さらに好ましくは1分以上、特に好ましくは3分以上であり、また、48時間以下が好ましく、さらに好ましくは24時間以下、特に好ましくは12時間以下である。
【0090】
必要に応じて行われる乾燥の条件についても特に制限はなく、通常の方法が適用でき、例えば、必要に応じて順風乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、0〜200℃、0.001Pa〜大気圧の圧力下で、1〜100時間乾燥することで行える。
また、必要に応じて行われる乾燥の前又は後で、無機塩等を含有する水溶液又は水で通常の方法で洗浄することもできる。
【0091】
本発明の動物細胞培養用担体は、必要に応じて滅菌処理を施してもよい。滅菌方法は特に制限はなく、例えば、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌及び乾熱滅菌等が挙げられる。
【0092】
本発明の担体を用いて、培養される動物細胞の種類としては特に制限がなく、ヒト、サル、マウス、ハムスター、ラット及び昆虫等の初代培養細胞及び株化細胞等の公知の細胞が使用でき、例えば、Vero(アフリカミドリザル腎)細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、MDCK(イヌ腎)細胞及びWI38(ヒト胎児肺)細胞、並びにヒト由来の幹細胞、内皮細胞、上皮細胞、実質細胞、線維芽細胞及び角質細胞等が挙げられる。
これら細胞の中で、医薬品やワクチン生産用に用いられるという観点から、Vero細胞、MDCK細胞及びCHO細胞が好ましい。
【0093】
本発明の担体を用いて動物細胞を培養する方法としては特に制限はなく、通常の撹拌培養槽、流動層型培養槽又は充填層型培養槽を用いる培養方法等を用いることができる。
動物細胞を培養する場合、本発明の担体の使用量は、細胞の種類等によって異なるが、培地1L当り、0.5g以上が好ましく、さらに好ましくは1g以上、特に好ましくは5g以上であり、また、1000g以下が好ましく、さらに好ましくは100g以下、特に好ましくは50g以下である。
【0094】
細胞培養の培地としては、用いる動物細胞の種類に応じて、MEM培地、BME培地、DME培地、αMEM培地、IMEM培地、ES培地、DM−160培地、Fisher培地、F12培地、WE培地及びRPMI培地等、朝倉書店発行「日本組織培養学会編 組織培養の技術第三版」581頁に記載の基礎培地、これらの培地に血清成分(ウシ胎児血清等)等を添加したもの、並びに市販の無血清培地[味の素(株)製、商品名:無血清培地ASF103,同ASF104,同ASF301、ギブコ社製、商品名:無血清培地CHO−SFM,同VP−SFM等]等が用いられる。
【0095】
さらに必要に応じて、細胞増殖因子を培地中に含有させることにより、細胞の増殖速度をさらに高めたり、細胞活性を高めたり、細胞が本来有する機能を発現させたりすることができる。
細胞増殖因子は、細胞を増殖させる活性のある物質であればいずれも使用でき、例えば、FGF、VEGF、HGF、EGF、PDGF、IGF及びBMP等が挙げられ、この他に、例えば財団法人名古屋大学出版会発行「上田実編ティッシュエンジニアリング(1999年)」43〜51頁及び同文献に付記されている参考文献に記載されているもの等も用いられる。
【0096】
培養条件としては、特に制限はなく、CO2濃度1〜20体積%、5〜45℃で1時間〜100日間、必要に応じて1〜7日毎に培地交換しなら培養すること等が挙げられる。特に好ましい例としては、例えば、CO2濃度5体積%、37℃の条件で、2〜4日毎に培地交換しながら1〜36日間培養することである。
また、細胞の播種方法や播種量についても特に制限はなく、例えば朝倉書店発行「日本組織培養学会編組織培養の技術(1999年)」266〜270頁及び同文献に付記されている参考文献に記載されている方法や播種量が使用できる。
本発明の担体は、動物細胞を効率的に接着・増殖させることができるため、細胞培養実験用担体及び医薬品やワクチンの生産用担体として特に好適である。
【0097】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
<実施例1>
(1)撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、ヒドロキシル価が56のポリカプロラクトンジオール{商品名:プラクセルL220AL、ダイセル化学工業(株)製}2,000部を投入し3mmHgの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いて457部のIPDIを投入し、110℃で10時間反応を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(プレポリマー1)を得た。
ウレタンプレポリマー(プレポリマー1)の遊離イソシアネート含量は3.6%であった。
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、エチレンジアミン50部とメチルエチルケトン50部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(硬化剤1)を得た。
【0098】
(2)撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、スチレン化フェノールポリエチレンオキサイド付加物(商品名:エレミノールHB−12、三洋化成工業(株)製)47部とビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:エピコート828、油化シェル(株)製)232部を投入し均一に溶解させた。攪拌下で反応容器に水を滴下した。水を31部投入したところで、反応系が乳白色に乳化した。さらに水を224部滴下し、乳濁液(1)を得た。
この乳濁液(1)を加熱して、反応系内温度を70℃まで昇温した後、エチレンジアミン20部及び水446部からなる溶液を70℃を維持したまま2時間かけて滴下した。滴下後、70℃で5時間、90℃で5時間反応・熟成してアミン硬化エポキシ樹脂水性分散液(樹脂微粒子(A1)分散液1)を得た。
【0099】
(3)撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、ポリカプロラクトンジオール(分子量2,000)787部、ポリエーテルジオール(分子量4,000、エチレンオキサイド含量50%、プロピレンオキサイド含量50%)800部を仕込み、120℃で減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった。次いでHDI55.5部、水添MDI65.5部及びジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行い、水溶性高分子1を得た。
次いで、(樹脂微粒子(A1)分散液1)100部、(水溶性高分子1)1部及び水107部を混合攪拌し、乳白色の分散液(分散液1)を得た。
【0100】
(4)ビーカー内に(プレポリマー1)150部と(硬化剤1)6部とを混合しておき、(分散液1)250部を添加した後、ウルトラディスパーザー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9000rpmで1分間混合した。
混合後、撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に混合液を投入し、50℃で10時間反応を行い水性分散体1を得た。次いでこの水性分散体1をろ過により水性媒体を除去した後、50℃の乾燥機中で12時間乾燥を行うことにより、樹脂複合粒子(C1)からなる本発明の担体1を得た。
【0101】
次いで、樹脂複合粒子(C1)1部をビーカーに採り、水100部を加え、超音波洗浄器1510J−DTH(ブランソン社製)で50℃で90分間超音波を当て、樹脂微粒子(A1)を脱離させた。この液を目開き32μmの金網でろ過し、樹脂微粒子(A1)と樹脂粒子(B1)とを分離した。ろ液を遠心分離し乾燥して樹脂微粒子(A1)を単離した。また、金網上の粒子を乾燥して樹脂粒子(B1)を単離した。そして、(A1)及び(B1)の重量を測定し、(C1)中の(A1)及び(B1)の含有量を求めた。
また、(A1)、(B1)及び(C1)の粒子を水に分散させた後、レーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で体積平均粒径を測定した。
さらに、(A1)、(B1)及び(C1)の各粒子のガラス転移点(Tg)をDSCにて測定した。
また、樹脂複合粒子(C1)の電子顕微鏡写真(倍率3万倍)を10回撮り、各表面像の画像情報をインターフェースを介して画像解析装置に導入し、投影面積比(TMA/TMC)比を求めた。
【0102】
<実施例2>
スチレン化フェノールポリエチレンオキサイド付加物(商品名:エレミノールHB−12、三洋化成工業(株)製)47部を水700部に溶かした溶液を作製した。
この溶液717部に架橋ポリスチレン微粒子(商品名:SBX−6、平均粒子径:6μm、積水化成品工業(株)製)253部を分散させ、架橋ポリスチレン微粒子の分散液(樹脂微粒子(A2)分散液2)を得た。この(樹脂微粒子(A2)分散液2)100部、(水溶性高分子1)1部及び水107部を混合撹拌し、乳白色の分散液(分散液2)を得た。
次いで、(分散液1)250部の代わりに(分散液2)114部を使用した以外は実施例1の(4)と同様にして、担体2を得た。また、実施例1と同様に各物性値を測定した。
【0103】
<比較例1>
実施例1の(4)において、(樹脂微粒子(A1)分散液1)250部の代わりに(水溶性高分子1)1部と水100部とからなる(水溶性高分子溶液1)250部を使用した以外は実施例1と同様にして、比較用の担体3を得た。
また、実施例1と同様に各物性値を測定した。
【0104】
<比較例2>
市販の動物細胞培養用デキストラン製多孔性担体(アムシャムファルマシア社製サイトデックスI)をそのまま比較用の担体4として使用した。
また、実施例1と同様に各物性値を測定した。
担体1〜4に関する各物性値等を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
<実施例3>
特表平3−502935号公報中の実施例記載の方法に準じて、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(10)とArg Gly Asp配列とを12個含むMn約11万の遺伝子組換え大腸菌の産生蛋白質「SLPF」を調製した。
次いで、「SLPF」の4.5規定の過塩素酸リチウム溶液(SLPFの濃度;1mg/ml)をリン酸バッファー液(PBS)でSLPFの濃度が50μg/mlとなるように希釈し、SLPF溶液を作製した。
SLPF溶液420mlに上記で得られた複合樹脂粒子(C1)からなる担体1を5gを加え、ポリフッ化エチレン製撹拌子で12時間撹拌しビーズスラリーを得た。
得られたビーズスラリーを振盪器上にセットしたステンレス製バットに移し、50℃の熱風を吹きつけながら、24時間振盪乾燥し乾燥ビーズを得た。
得られた乾燥ビーズをPBS50mlで2回洗浄し、PBS中で121℃で20分間オートクレーブ滅菌後、UV照射下に乾燥することで、本発明の担体5を得た。
【0107】
<実施例4>
担体1の代わりに担体2を使用する以外は実施例3と同様にして、担体6を得た。
【0108】
<細胞培養評価>
担体1〜6を用いて以下のようにして細胞培養実験を行った。その結果を表2に示す。
1リットルスピナーフラスコに1gの担体を加え、500mlの血清培地(インビトロジェン社製F-12液体培地90%とインビトロジェン社製ウシ胎児血清10%の混合物)を加え、37℃で20分間撹拌下温調後、Vero細胞[大日本製薬(株)から購入]を細胞濃度:5.0×106個/mLに分散したもの5mlを加えた。
これを18rpmで撹拌しながら、二酸化炭素と空気の混合物(二酸化炭素/空気=5/95体積比)中、37℃で、3日毎に半分ずつ培地交換しながら、9日間培養を行なった。
1日目,3日目,6日目,9日目に撹拌下ビーズ懸濁液をサンプリングし、細胞核数をウィーゼル(Wezel)によるクリスタルバイオレットを用いた細胞核計数法(nuclei-counting method)で計数することで、細胞数を測定した。
【0109】
【表2】
【0110】
【発明の効果】
本発明の動物細胞培養用担体は、極めて多くの動物細胞を短期間に得ることができる。
従って、特に動物細胞を用いる医薬品やワクチンの生産に非常に有用である。
【0111】
【配列表】

Claims (6)

  1. 樹脂微粒子(A)を樹脂粒子(B)の表面に配した構造を有する樹脂複合粒子(C)からなり、樹脂複合粒子(C)のBET値比表面積が1.0m2/g以上10.0m2/g以下であることを特徴とする動物細胞培養用担体。
  2. 樹脂微粒子(A)の体積平均粒径(D VA)と樹脂粒子(B)の体積平均粒径(D VB)との比(D VA/D VB)が、0.001以上0.05以下である請求項1記載の担体。
  3. 樹脂微粒子(A)の体積平均粒子径が0.01μm以上100μm以下であり、かつ、樹脂粒子(B)の体積平均粒子径が0.1μm以上1000μm以下である請求項1又は2記載の担体。
  4. 樹脂複合粒子(C)の表面に、細胞親和性ポリマー(E)を含有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の担体。
  5. 細胞親和性ポリマー(E)が、細胞接着シグナルを現す最小アミノ酸配列を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(E1)である請求項4記載の担体。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の担体を用いて動物細胞を培養することを特徴とする動物細胞の生産方法。
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