JP3948541B2 - カムシャフト加工機の位相位置決め装置 - Google Patents

カムシャフト加工機の位相位置決め装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はカムシャフトを加工するカムシャフト加工機の位相位置決め装置に関する
【0002】
【従来の技術】
従来エンジンなどのカムシャフトを加工するカムシャフト加工機においては、加工すべきワークが左右のチャックの間に搬入されたら、まずワークの位相位置決めを行った後、ワークの両端を各チャックでクランプした状態で、チャックによりワークを回転させながらワークを加工する方法が一般に採用されている。
【0003】
また左右のチャックの間に搬入されたワークの位相位置決めを行う位相位置決め装置としては、例えば実開平4−70409号公報や、実開平6−50717号公報に記載されたものが公知である。
【0004】
前者公報の位相位置決め装置は、カムシャフト加工機に搬入されたワークの両端を、チャック本体に設けられたセンタで支持した状態でワーク制動手段によりワークの回転を制止し、次に左右のチャック本体を同期回転させて、チャックに設けられた位置決めピンをワークのノック孔へ嵌入することにより、ワークの位相位置決めを行った後、ワークの両端をチャック本体でクランプするようにしたものである。
【0005】
また後者公報の位相位置決め装置は、チャックに設けられた位相位置決めピンを、チャックの半径方向に移動自在として、位相位置決めピンと、ワークに設けられたピン孔の位置にバラツキがあっても、位相位置決めピンをピン孔へ確実に挿入できるようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし何れの公報の位相位置決め装置も、一方のチャックに設けられた1種類の半径方向に基準位置を有する位相位置決めピンを、ワークに形成されたピン孔へ挿入して、ワークの位相位置決めを行う構成のため、加工すべきワークの種類が変更になって、ワークのピン孔の半径方向の位置が変った場合、ワークのピン孔に応じた位置に位相位置決めピンを設けた別の機械でワークを加工するか、位相位置決めピンの半径方向の位置を変えるなどの段取り替えが必要となり、別の機械で加工する場合は、カムシャフト加工機を複数台必要として設備費が嵩むなどの不具合がある。
【0007】
また位相位置決めピンの半径方向の位置を変えるなどの段取り替えを行う場合は、段取り替えに多くの時間を必要とするため、生産性が低下するなどの不具合がある。
この発明はかかる従来の不具合を改善するためになされたもので、位相位置決めピンを半径方向に調整自在とすることにより、段取り替えをせずに、複数種類のワークの加工を可能にしたカムシャフト加工機の位相位置決め装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、ワークの両端を左右のチャックによりクランプした状態で、チャックによりワークを回転させながらワークをミーリング加工するカムシャフト加工機において、
上記チャックの中心部に設けられ、上記ワークの端面に予め形成されたセンタ孔に嵌合して上記ワークの両端を支持するセンタと、
上記チャックの少なくとも一方に設けられ、上記ワークの端面にワークの種類に応じて半径方向に位置を異ならせて形成されたピン孔に嵌入することにより、ワークの位相位置決めを行う位相位置決めピンと、
ワークの種類に応じて上記位相位置決めピンを、上記チャックの中心に対して半径方向に移動調整する調整手段とを備え、
上記調整手段にはさらに、上記位相位置決めピンに回転不能に接続され、かつ上記チャックの中心に対して半径方向に移動自在な調整部材と、
上記位相位置決めピンと上記調整部材の間を、上記位相位置決めピンがチャックの半径方向に浮動できるよう緩く結合してなる係止ピンとを有する
ことを特徴とするカムシャフト加工機の位相位置決め装置である。
【0009】
上記構成により、加工するワークの種類が変更になっても、調整手段により位相位置決めピンの位置をワークの種類に応じて調整することにより対応することができるため、位相位置決めピンを交換するなどの段取り替えが不要になる。
これによって段取り替えに要した時間と労力が不要となるため、生産性の向上と省力化が図れると共に、ワークの種類毎に予め半径方向に位置の異なる位相位置決めピンを用意する必要もないため、補給部品の管理も容易となる。
また、上記構成により、ワークの位相位置決め時、半径方向の加工位置のバラツキなどによりワークのピン孔と位相位置決めピンの中心が多少ずれていても、ピン孔に位相位置決めピンを容易に嵌挿することができるため、位相位置決め時間の短縮が図れると共に、ピンの挿入不良による機械の停止がないため、稼動率の向上も図れるようになる。
【0010】
上記目的を達成するため請求項2の発明は、調整手段にはさらに、上記調整部材に螺合され、かつ上記チャックの外周側より回転自在な調整ネジと、
上記調整部材を複数位置に位置決めするスペーサを有する請求項1記載のカムシャフト加工機の位相位置決め装置である。
【0011】
上記構成により、調整ねじを回転するだけで位相位置決めピンの移動調整ができると共に、調整部材の移動位置をスペーサにより規定することにより、位相位置決めピンをワークのピン孔と対応した位置に正確に停止させることができるため、ワークの位相位置決め時、位相位置決めピンをワークのピン孔に確実に嵌合することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面に参照して詳述する。
図1において1はカムシャフトをミーリング加工するカムシャフト加工機に設けられた一対のチャック(図1では一方のみを示す)で、接離方向へ移動自在な主軸ヘッド(図示せず)の対向面に回転自在に取付けられている。
【0017】
上記各チャック1の中心部には、ワーク2の両端面に予め形成されたセンタ孔2aに嵌合して、ワーク2の両端を支持するセンタ3がそれぞれチャック1の軸線方向に移動自在に設けられていると共に、上記各センタ3の後方には、各センタ3を接離方向へ移動するセンタ移動手段(図示せず)が設けられている。
【0018】
また上記チャック1には放射方向に複数、例えば3本の凹溝1aが形成されていて、これら凹溝1a内にワーク2の端部をクランプする爪体4が半径方向に移動自在に収容されている。
上記各爪体4はクサビ状の傾斜面5aを介して作動杆5の一端側に係合されている。
【0019】
上記作動杆5はチャック1内に軸線と平行するように収容されていて、各作動杆5の他端側は図示しないクラプシリンダに接続されており、このクランプシリンダにより各作動杆5を前後動させることにより、各爪体4がチャック1の半径方向へ移動されて、ワーク2の端部をクランプしたり、アンクランプしたりできるようになっている。
【0020】
一方上記チャック1の中心部に設けられたセンタ3の周辺部には、ワーク2の端面に当接することにより、、ワーク2の長手方向の位置決めを行う長手基準面6と、ワーク2の端面に予め穿設されたピン孔2bに嵌合することにより、ワーク2の位相位置決めを行う位相位置決めピン7が設けられている。
【0021】
そしてこの位相位置決めピン7は、ワークの2の種類が変ってもワーク2の位相位置決めができるよう調整手段8によりチャック1の半径方向に移動調整自在となっている。
上記位相位置決めピン7は、チャック1の溝1c内に半径方向に移動自在に収容されたブロック7aの内径端側前面に突設されていて、先端部はワーク2のピン孔2bに嵌入しやすいように半球状に形成されている。
【0022】
またブロック7aの外周端側には係止ピン7bが植設されていて、この係止ピン7bは調整手段8を構成する調整部材8aの一端側に開口されたピン孔8bに緩く嵌挿されている。
上記調整部材8aは、チャック1内に形成されたガイド孔1b内に半径方向に移動自在に収容されていると共に、他端側に形成されたフランジ部8cが一対のスペーサ8d,8e間に隙間8fを存して挟入されている。
【0023】
上記フランジ部8cと、一方のスぺーサ8dには、チャック1側に植設された回り止めピン8gが係合されていて、調整部材8a及びスペーサ8dが回転しないようになっていると共に、調整部材8aのフランジ部8c側に形成されたねじ孔8hに、調整ねじ8iの一端側が螺挿されている。
上記調整ねじ8iは中間部に大径部8jが形成されていて、この大径部8jが固着具9によりチャック1に固着された押え板8kの凹部8m内に回転自在に収容されていると共に、調整ねじ8iの他端側は押え板8kを貫通して、チャック1の外周面に突設され、先端部にスパナなどの工具(図示せず)により調整ねじ8iを回転するための多角形部8nと、調整位置で調整ねじ8iを固定するロックナット8pが設けられている。
【0024】
なお図中10は一端側がばね11により調整部材8aのフランジ部8cに当接され、他端側が押え板8kより出没自在に設けられたワーク判別ピンで、このワーク判別ピン10の突出量により、位相位置決めピン7の位置がどのワーク2に対応しているかが目視により判別できるようになっている。
【0025】
また図中12は、切粉などが侵入して、位相位置決めピン7の移動が妨げられるのを防止するゴムシートで、ブロック7aが収容された溝1cの外周端側開口部を覆うように介在されている。
【0026】
次に作用を説明すると、カムシャフト加工機により加工されるワーク2は、ワーク2の種類に応じて半径方向に位置を異ならせたピン孔2bが一方の端面に予め形成されているので、まず加工するワーク2の種類に応じて位相位置決めピン7の位置を調整する。調整に当っては、調整ねじ8iを固定しているロックナット8pを緩めて、多角形部8nに工具をかけ、工具により調整ねじ8iを回転させると、調整ねじ8iの螺合された調整部材8aがチャック1の半径方向へ移動されるので、調整部材8aのフランジ部8cがスペーサ8dまたは8eに当接するまで調整ねじ8iを回転する。
【0027】
これによって位相位置決めピン7の位置が2段階に調整できるため、2種類のワーク2に対応することができると共に、フランジ部8cをスペーサ8dまたは8eに押し当てて位置決めを行うため、位置決め精度も大変よい上、調整位置の再現も容易になる。また調整部材8aの移動に伴い、ワーク判別ピン10の先端が押え板8kより出没するので、位相位置決めピン7の位置がどのワーク2に対応しているかが目視により容易に判別することができる。
【0028】
そして位相位置決めピン7の位置調整が完了したら、ロックナット8pを締め付けて調整ねじ8iを固定し、この状態でローダなどの搬送手段により各チャック1の間にワーク2を搬入して、次のようにワーク2の位相位置決めを行う。
すなわち、各チャック1の間に搬入されたワーク2は、各チャック1に設けられたセンタ3が前進することにより、各センタ3により両端が支持される。
【0029】
次にこの状態で図示しない制動手段によりワーク2の回転を制止したら、チャック1を回転させて、一方のチャック1に設けられた位相位置決めピン7をワーク2のピン孔2bに嵌入させ、ワーク2の位相位置決めを行うもので、位相位置決めピン7と調整部材8aを連結する係止ピン7bが調整部材8aピン孔8bに緩く嵌合されているため、位相位置決めピン7は、チャック1の半径方向に浮動状態にあり、これによってワーク2のピン孔2bと位相位置決めピン7の中心が多少ずれていても、ピン孔2bに位相位置決めピン7を容易に嵌入することができる。
【0030】
以上のようにしてワーク2の位相位置決めが完了したら、爪体4によりクランプ後各チャック1によりワーク2が回転されて、図示しないカッタによりワーク2の加工が開始される。
またワーク2の加工が完了して、次に加工するワーク2の種類が変る場合は、再び上記位相位置決めピン7の調整作業を行えばよい。
【0031】
なお上記実施の形態では、位相位置決めピン7を半径方向に2段階に調整して、2種類のワーク2に対応できるようにしたが、調整ねじ8iにより位相位置決めピン7の位置を無段階に調整することが可能なことから、ワーク2の中心から位相位置決めピン7の中心までの距離を管理することにより、2種類以上のワーク2に対応させることも可能である。
【0032】
また上記実施の形態では、一方のチャック1に位相位置決めピン7を設けたが、両方のチャック1に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態になるカムシャフト加工機の位相位置決め装置を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB円内の拡大図である。
【図4】図1のC方向からの矢視図である。
【図5】図1のD方向からの矢視図である。
【符号の説明】
1…チャック
2…ワーク
2b…ピン孔
7…位相位置決めピン
8…調整手段
8a…調整部材
8d,8e…スペーサ
8i…調整ねじ
10…ワーク判別ピン

Claims (2)

  1. ワーク2の両端を左右のチャック1によりクランプした状態で、チャック1によりワーク2を回転させながらワーク2をミーリング加工するカムシャフト加工機において、
    上記チャック1の中心部に設けられ、上記ワーク2の端面に予め形成されたセンタ孔2aに嵌合して上記ワーク2の両端を支持するセンタ3と、
    上記チャック1の少なくとも一方に設けられ、上記ワーク2の端面にワーク2の種類に応じて半径方向に位置を異ならせて形成されたピン孔2bに嵌入することにより、ワーク2の位相位置決めを行う位相位置決めピン7と、
    ワーク2の種類に応じて上記位相位置決めピン7を、上記チャック1の中心に対して半径方向に移動調整する調整手段8とを備え、
    上記調整手段8にはさらに、上記位相位置決めピン7に回転不能に接続され、かつ上記チャック1の中心に対して半径方向に移動自在な調整部材8aと、
    上記位相位置決めピン7と上記調整部材8aの間を、上記位相位置決めピン7がチャック1の半径方向に浮動できるよう緩く結合してなる係止ピン7bとを有する
    ことを特徴とするカムシャフト加工機の位相位置決め装置。
  2. 調整手段8にはさらに、上記調整部材8aに螺合され、かつ上記チャック1の外周側より回転自在な調整ネジ8iと、
    上記調整部材8aを複数位置に位置決めするスペーサ8d,8eを有する請求項1記載のカムシャフト加工機の位相位置決め装置。
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