JP3948071B2 - 水解性不織布およびその製造方法 - Google Patents

水解性不織布およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水解性不織布に関し、乾燥状態および湿潤状態において、清浄の作業に耐えうる強度を保持し、かつ大量の水流中においては不織布を構成する繊維が離解できる水解性不織布およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、再生セルロース繊維と木材パルプとが交絡、一体化した水解性不織布であって、乾燥状態にある場合は勿論のこと、ウェットティシュ、布巾、掃除用ワイパー等として使用するために水或いは薬液により湿潤状態にある場合、また紙おむつや生理用ナプキンのトップシートとして使用した場合にも実用に耐えうる強度を保持し、かつ水洗トイレットのように大量の水流を用いる場合、その水流により容易に崩壊或いは離解する水解性不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ウェットティシュ、赤ちゃん用のおしりふき、掃除用ワイパー等のウェット製品や紙おむつ生理用ナプキン等の衛生用品の多くは、使用後にゴミとして廃棄されている。例えば、赤ちゃん用或いは介護用のおしりふき用途を考えると、トイレットペーパーで処理する場合に比べてウェットワイパーは、便の拭取性に優れ、衛生面、低皮膚刺激性等において優れた性能を有している。
【0003】
しかしながら、ウェットワイパーは、合成繊維からなる不織布で構成されているため大量の水でシート状の形が容易に崩壊せず、流路の閉塞トラブルのため使用後に水洗トイレットに流して処理することができず、廃棄処理が不衛生になり易いという欠点があった。
【0004】
このため、一般に使用されるおしり拭きは、赤ちゃん用おしりふき、介護用おしりふき等、きわめて限定された用途で使用されているにすぎず、広くトイレットペーパーの代わりに使用されるという状況には至っていない。
【0005】
トイレットペーパーの拭取性や皮膚刺激性を改善する方法として、トイレットペーパーに湿潤剤等を含浸する方法も提案されているが、ウェットワイパーを使用した場合に匹敵する性能を持つまでには至らなかった。
【0006】
ウェットティシュや衛生用品のトップシートとして使用できる水解性紙或いは不織布としては、例えば特開昭47−9486号公報、特開平1−168999号公報、特開平2−149237号公報、特開平3−277335号公報、特開平4−370300号公報等が提案されている。
【0007】
特開昭47−9486号公報には、ポリビニルアルコールとホウ砂を含有するバインダー溶液をシートにスプレーし、次いで加熱乾燥することにより、ポリビニルアルコールとホウ砂が反応し一時的に耐水性を示し、ナプキン、おしめ等の吸収パットとして有用な水解紙が開示されている。しかしながら、この水解紙は水を含浸した状態ではおしり拭きの用途には適さず、またトイレ等の清掃シートのように機械力のかかる清掃作業に耐えうる強度は有していない。
【0008】
特開平1−168999号公報は、水不溶性カルボキシメチル化パルプのカルシウム塩を基紙に用いることを提案している。しかしながら、提案された水解性の紙においては洗浄液中の水の割合は60%が上限であり、そのためアルコールのような有機溶剤を少なくとも30%加える必要があるが、このような多量の有機溶剤を配合した含浸液を使用できる用途は限定され、特におしり拭き等の用途には使いにくい。
【0009】
また有機溶剤を加えることによって、有機溶剤臭を消すため多量の香料を加えることが必要となることと、有機溶剤の揮発による水分割合の上昇によって清掃作業中に強度低下を生じることがあるという欠点を有する。さらに、高濃度の有機溶剤による人体への悪影響も無視できない。
【0010】
特開平2−149237号公報には、特定の水溶性バインダーを含有する水解紙に、特定の金属イオンと有機溶剤を含有する水溶液を含有させることで、水を含有する清浄薬剤を含浸した状態で清掃作業をするのに十分な強度を有し、かつ水洗トイレットで容易に水洗破棄できる水解性能を有する水解性清掃物品の製造方法が開示されている。
【0011】
しかしながら、この清掃物品は、水解紙に含浸させる含浸液中に特定の金属イオンと有機溶剤を含有させる必要があり、含浸液を目的に応じて自由に選択することができないため、その用途がきわめて限定されたものになってしまう。また、特定のカルボキシル基を有する水溶性バインダーとして、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化澱粉等のアルカリ金属塩等の多糖誘導体、合成高分子、天然物等を挙げているが、このような水溶性バインダーを配合することでシートの風合いが硬くなってしまうという欠点を有する。
【0012】
特開平3−277335号公報には、水溶性のカルボキシメチルセルロースカルシウムを基紙の紙力増強剤として用い、さらに洗浄液中にカルシウムイオンを共存させることにより、水分含有量の多い洗浄液中でも十分な強度を示すとともに、水100%においては容易に水に分散する清拭材が開示されている。カルシウムイオン源としては塩化カルシウム、酢酸カルシウム等を使用するが、この清拭材を人体に使用した時、手荒れや肌荒れの原因となり易く、おしり拭きのように人体の肌の清浄には用い難く、また用いる含浸液中の水分も85重量%程度が上限であるという難点がある。今日では、用途の多様化の観点から清拭材としては含浸液中の水分割合がさらに大きくても使用できる基材が望ましいことはいうまでもない。
【0013】
特開平4−370300号公報には、少なくとも2層からなる多層構造を有し、2層構造の場合、一方の最外層が10〜60重量%の紙力増強剤を含み、他方の最外層が5重量%以下の紙力増強剤を含む水解紙が開示されている。この水解紙の最外層に用いる紙力増強剤としてはカルボキシメチル化パルプの塩、水溶性ポリビニルアルコール、水溶性ポリビニルアルコール繊維、またはこれらの混合物が用いられる。この多層構造の水解紙は、紙力増強剤の添加により、抄紙中のドライヤーパートにおける剥離性の悪化を軽減し、生産性を改善しようとしたものである。しかしながら含浸する薬液中の水分が多い場合、使用に耐えるほど十分な湿潤強度を持たせることが困難であるとともに、水解紙の片側の最外層に多量の紙力増強剤が配合されるため風合いが硬いものとなるという難点がある。
【0014】
本発明者は、以上に述べた水解紙の欠点に鑑み、ノーバインダーで、使用に際しての十分な強度と使用後の容易な水離解性とを両立させた水崩壊性不織布およびその製造方法を提案した(特願平8−142825号)。
【0015】
この不織布は、特定の繊維長の再生セルロース繊維40〜85重量%と特定のろ水度のパルプ繊維15〜60重量%とを混合して湿式抄紙して得られるウェブに高圧水ジェット流を施すことにより繊維交絡を付与し、優れた湿潤強度と水解性とを両立させたものである。
【0016】
しかしながらこの水崩壊性不織布は、レーヨン繊維のような再生セルロース繊維の配合量が40〜85重量%と高いため製品コストが高いものとなってしまうため、さらに安価に製造できる水解性不織布が望まれている。
【0017】
また、特願平9−48870号では、特定の繊度およびL/Dを有する再生セルロース繊維55〜15%と特定のルンケル比の木材パルプ繊維45〜85重量%とを混合し湿式抄紙したウェブに特定の付加比エネルギーとなる条件で高圧水柱流処理を施すことにより繊維交絡を付与し、湿潤強度と水解性とを両立させた水解性不織布を得ることを提案している。この提案による水解性不織布は、ある程度の性能は確保されているが、より多くの用途を考えた場合には、湿潤強度と水解性をより高いレベルで両立することが望まれている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、乾燥状態および湿潤状態において、清浄等の作業に耐えうる強度を保持しており、かつ大量の水流中においては不織布を構成する繊維が離解できる水解性不織布とその製造方法を提供することにある。
【0019】
さらに、本発明の目的は、高価な再生セルロース繊維の含有量を減少させて、乾燥状態および湿潤状態において、清浄等の作業に耐えうる強度を保持し、かつ大量の水流中においては不織布を構成する繊維が容易に離解できる水解性不織布を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる現状に鑑み、再生セルロースの含有量が小さくても湿潤状態では使用に耐えうる強度を有し、かつ大量の水流中では容易にシート形状が消失する水解性不織布を安価に製造する方法について鋭意検討した結果、水流中に投入した時に速やかに繊維状に離解する領域と、該領域と比較して相対的に繊維状に離解しにくい領域とを不織布全体にわたって分布させることで、木材パルプが高率で配合されていても湿潤状態での清浄のための使用に十分耐えうる強度と大量の水流中では極めて優れた水解性を示し、こうして高価な再生セルロース繊維の使用量を大幅に低減して製品コストを低減しながら湿潤強度と水解性を両立させることができることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0021】
本発明の第一は、再生セルロース繊維31〜55重量%と、木材パルプ69〜45重量%とを混合して、湿式抄紙法により形成したウェブを有孔支持体上で高圧水ジェット流処理を施し、再生セルロース繊維と木材パルプとを交絡、一体化する不織布の製造方法において、湿式抄紙法により形成したウェブの超音波伝搬速度比がMD/CD=1.5〜3.5の範囲になるように調整して形成した後、高圧水ジェット流処理を施すことを特徴とする水解性不織布の製造方法である。
【0022】
本発明の第二は、再生セルロース繊維と木材パルプとが交絡、一体化した水解性不織布において、該不織布が再生セルロース繊維31〜55重量%と木材パルプ69〜45重量%で構成され、JIS P 8135に準じて測定した湿潤引張強度が、縦方向の湿潤引張強度で200gf/25mm以上、横方向の湿潤引張強度で50gf/25mm以上であり、且つ、湿潤引張強度の縦横比がMD/CD=2.0〜4.5であることを特徴とする水解性不織布である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明においてもっとも重要な点は、水流中で速やかに繊維状に離解できる易水解性領域と、易水解性領域と比較して相対的に速やかに繊維状に離解しにくい反面、強度に優れる準水解性領域とを不織布全体にわたって分布させることにある。
【0024】
一般に水解性不織布を大量の水流中に投入して離解したとき、水解性不織布は、水流の剪断力により、まずいくつかの小片に離解する。さらにその小片が水流により細かく分割されながら、最終的に繊維状に離解するのである。
【0025】
本発明において、水解性とは、5cm角の大きさにした不織布を100mlの純水中に投入して振とう速度300サイクル/分で振とうして不織布を水中に離解し、最大片の大きさが約1cm2になるまで離解される時間で表す。水解性が300sec以下であれば、水流中に投入し離解しようとしたときに速やかに繊維状に離解し、実用上問題ない。すなわち、水解性が300sec以下であれば、水洗トイレ等の水流中に投入してもパイプ詰まり等を引き起こしにくいのである。
【0026】
本発明にかかる水解性不織布は、湿式ウェブの繊維配向を特定の範囲に調整することで、高圧ジェット流処理によるMD方向の繊維交絡とCD方向の繊維交絡の程度を制御し、湿潤強度と水解性とのバランスを得ようとするものである。すなわち、繊維配向をMD方向に特定範囲だけ高くすることで、CD方向への繊維配向は少なくなる。このウェブに高圧水ジェット流処理を施した場合、MD方向には繊維が多く配列しているため、MD方向の繊維の交絡が得やすくなり、シートに十分な強度を付与することができる。またCD方向には繊維の配向が小さく、高圧水ジェット流における繊維の交絡が得にいため、大量の水流中に投入したときにCD方向に繊維がほぐれやすくなり、結果として繊維状に離解する速度が速くなる。
【0027】
本発明にかかる水解性不織布を、該水解性不織布の製造方法の一例を示すことにより詳しく述べる。
まず再生セルロース繊維と木材パルプとからなる原料を公知の抄紙機を用いる湿式抄紙法によりウェブを形成してウェブを用意し、その後このウェブの表面から高圧水ジェット流を噴射して、公知の水流交絡法により再生セルロースと木材パルプの繊維同士の絡合を行わせる。
【0028】
本発明では、水解性不織布とは、乾燥及び湿潤状態においてはシート状の形態を有するが、大量の水流によりシート状の形態が破壊もしくは崩壊により極めて迅速に繊維状に離解しうる不織布のことをいう。
【0029】
本発明で用いられる再生セルロース繊維は、木材化学パルプ、コットンリンター等のセルロースをビスコースの形で溶液とした後、酸の中でセルロースを再生・紡糸したビスコースレーヨン、セルロースを銅アンモニア溶液中に溶解した後、酸の中で再生・紡糸した銅アンモニアレーヨン、N−メチルモルフォリン−N−オキサイドのような非水系セルロース溶媒にセルロースを溶解した後、紡糸して得られる再生セルロース繊維等を挙げることができる。
【0030】
前記再生セルロース繊維の繊度は、1.0〜5.0デニールの範囲である。この繊度が1.0デニール未満では湿式抄紙の際に分散がし難くなり地合の良い湿ウェブが得られない。また、繊度が1.0デニール未満の再生セルロース繊維は安定して製造することが困難なため安価に入手し難い上、繊維自体の剛性が低くなる傾向があり、高圧水ジェット流処理によりウェブ中で強い繊維交絡が生じ、その結果、不織布の水解性が劣るので適さない。逆に、再生セルロース繊維の繊度が5.0デニールを超えると得られる水解性不織布が硬くなり、風合いと手触り感が劣るようになる。
【0031】
使用する再生セルロース繊維の直径をD、長さをLとした時、長さに対する直径の比、L/Dは、250〜900の範囲であることが好ましい。前記繊維のL/Dが250未満では、繊維の屈曲性が不足し、このような再生セルロース繊維を含有するウェブ高圧水ジェット流を噴射して水流交絡を施しても十分な繊維交絡が得られず、得られる水解性不織布の湿潤強度が劣る。逆に、再生セルロース繊維のL/Dが900を超えると、湿式抄紙の際に繊維が均一に分散し難くなり、地合の良いウェブが得られないばかりか、高圧水ジェット流処理により強い繊維交絡が生じるので、不織布の水解性が極めて劣るものとなり適さない。
【0032】
一方、前記再生セルロース繊維と混合して用いられる木材パルプは、カナダ標準ろ水度が550mlCSF以上の木材化学パルプであればどのようなものでも使用することができる。例えば、木材パルプは、針葉樹材や広葉樹材をクラフト法、ソーダ法、ポリサルファイト法等で蒸解した未漂白の化学パルプ、更には未漂白化学パルプを漂白薬品でハンター白色度70〜90%に漂白した漂白化学パルプ等を単独でまたは混合して使用することができる。
【0033】
前記パルプのろ水度は、JIS P 8121に示されるカナダ標準ろ水度で550mlCSF以上のものを本発明では使用する。前記ろ水度が550mlCSF未満では、再生セルロース繊維と混合して不織布として用いる際に、本発明では相対的に結合強度を阻害する再生セルロース繊維の含有量が少ないので、パルプ繊維間の結合力が強くなり過ぎ、これが得られる不織布の湿潤強度を大きくするのには貢献するが、逆に不織布の水解性を著しく悪くするので適さない。
【0034】
パルプのろ水度はパルプを未叩解で使用した場合がもっとも高い値となり、この値は材種、樹種、蒸解法、漂白法等によりかなり広範囲にばらついているが、木材パルプの未叩解(パルプにリファイナー、ビーター等による機械的な摩擦が与えられていない状態)のろ水度は650〜750mlCSFの範囲である。
【0035】
本発明では、再生セルロース繊維と木材パルプの混合割合は、再生セルロース繊維が15〜55重量%、木材パルプが85〜45重量%の範囲である。再生セルロース繊維の割合が15重量%未満では、製品コストは安価になるが、高圧水ジェット流処理による繊維交絡を行わせても、十分な湿潤強度を有し、水解性の優れる不織布が得られない。逆に、再生セルロース繊維の配合が55重量%を越えると、木材パルプの叩解を進めて結合強度を発現し易い状態にし、高圧水ジェット流処理の際に大きなエネルギーを与えないと、十分な繊維交絡が得られない。その上、木材パルプに比べて価格の高い再生セルロース繊維の割合が高くなるので、不織布の製品コストが高くなる。
【0036】
湿式抄紙ウェブのJIS P 8124 に準じた方法で測定した坪量は30〜80g/m2の範囲である。坪量が30g/m2未満では、得られる水解性不織布をワイパー等の用途に使用したときに強度が不足しやすくなり、使用中に破れて使用できなくなる。逆に坪量が80g/m2を超えるとシートの剛度が増し使用し難くなるとともに、水解性不織布を水流中に投入した際の水解性が劣る傾向がある。
【0037】
本発明では再生セルロース繊維と木材パルプの混合物を原料として円網抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機、長網抄紙機等の公知の抄紙機を用いて湿式で抄紙してウェブを形成した後、水流交絡法による処理を行うため前記ウェブの表面から高圧水ジェット流を噴射し、湿式ウェブを構成する繊維相互に交絡を付与する。
【0038】
本発明において最も重要な点は、湿式抄紙で形成したウェブの超音波伝播速度比がMD/CD=1.5〜3.5の範囲になるように調整して形成した後、高圧水ジェット流処理を施すことにある。ウェブの超音波伝搬速度は、(2)式で表すようにウェブの動的弾性率と相関があり、その比は、ウェブ中の繊維配向を表す指標となる。ウェブ中の繊維配向を表すもう一つの指標としては、ウェブのMD方向の引張強度とCD方向の引張強度の比があげられるが、湿式抄紙ウェブの場合、この引張強度の比は、超音波伝播速度比とほぼ等しい。超音波伝播速度比が1に近いほどそのウェブ中の繊維配向はランダムな配向であり、得られる水解性不織布のCD方向の湿潤強度も高い値となる。超音波伝播速度比が高くなるに従い、繊維のCD方向の配列が減少する。
【0039】
超音波伝播速度比が1.5未満であると、CD方向への繊維配向が高くなりすぎ、得られる水解性不織布のCD方向の交絡が多くなるため、水解性が劣るものとなる。
逆に超音波伝搬速度比が3.5を越えると、湿式ウェブに高圧水ジェット流処理を施した場合、CD方向の繊維の配列が小さくなりすぎ、高圧水ジェット流における繊維の交絡が得にくいため、得られる水解性不織布の水解性良好なものとなるが、横方向の方向の強度が低くなりすぎ、実用に適さない。
【0040】
本発明においては、ウェブの超音波伝播速度比は次のようにして求めることができる。
1. まず、湿式抄紙ウェブを準備する。測定に使用する湿式抄紙ウェブは、高圧水ジェット流処理を施さずに乾燥し、JIS P 8111に準じて前処理を行い試料とする。
2. この試料をSONIC SHEET TESTER SST−210A(野村商事(株)社製)により、0度(MD方向)および90度(CD)方向の超音波伝播速度を測定する。
3. (1)式より超音波伝播速度比を求める。
超音波伝播速度比=C1/C2 …(1)
1:0度(MD方向)の超音波伝播速度 km/sec
2:90度(CD方向)の超音波伝播速度 km/sec
また、超音波伝播速度とシートの動的弾性率との関係は(2)式で表すことができる。
E=ρ×C2 …(2)
E :動的弾性率 dyne/cm2
ρ :密度 g/cm3
C :超音波伝播速度 cm/sec
【0041】
得られる水解性不織布の湿潤強度は、高圧水ジェット流処理により付与される繊維交絡に大きく依存する。高圧水ジェット流による交絡は、繊維がランダムに配列している場合がもっとも良く交絡できるものであり、湿式抄紙ウェブのMD方向の繊維配向が高くなると、湿式抄紙ウェブ中のCD方向に配列する繊維が少なくなり、高圧水ジェット流処理によるCD方向に配列する繊維の交絡数が減少することになり強度を付与しにくくなる。またMD方向では、配列する繊維が多くなる反面、繊維が引きそろえられる傾向となり、繊維交絡の程度は、繊維がランダムに配列している場合と大差ないものとなる。すなわち、高圧水ジェット流処理後のシート(水解性不織布)のMD方向の強度とCD方向の強度の比は、繊維の配列に起因する繊維交絡の縦横比の影響を高く受けるため、高圧水ジェット流処理前の湿式抄紙ウェブの強度の縦横比とは必ずしも一致しない。
【0042】
また、高圧水ジェット流処理を施した水解性不織布は、シート表面に高圧水ジェット流に起因する筋状の噴流跡がMD方向に連続して残るため、その噴流跡にまたがった超音波伝搬速度を測定することができない。すなわち超音波の進行方向に垂直にまたがるようにして噴流跡が超音波の伝播を阻害してしまうため、CD方向の超音波伝播速度比は測定できず、超音波伝播速度比を求めることはできないのである。
【0043】
本発明にかかる水解性不織布は、湿式ウェブを超音波伝播速度比がMD/CD=1.5〜3.5の範囲になるように調整して抄紙することで、高圧ジェット流処理によるMD方向の繊維交絡とCD方向の繊維交絡の度合いを制御し、湿潤強度と水解性とのバランスを得るものである。得られる水解性不織布の湿潤強度の縦横比は、湿式抄紙ウェブの超音波伝播速度比により決まる。すなわち超音波伝播速度比が小さい場合、水解性不織布の湿潤強度の縦横比も小さく、超音波伝播速度比が高い場合、水解性不織布の湿潤強度の縦横比も大きくなる。
【0044】
本発明にかかる水解性不織布は、JIS P 8135に準じて測定した湿潤強度の縦横比がMD/CD=2.0〜4.5であることを特徴とするが、これは、本発明にかかる湿式抄紙ウェブの超音波伝播速度比と、高圧水ジェット流処理を施した後の水解性不織布の湿潤強度の縦横比は次のような関係となることに基づく。すなわち超音波伝播速度比が1.5〜3.5の範囲の本発明にかかる湿式抄紙ウェブに、本発明にかかる方法で高圧水ジェット流処理を施した場合、得られる水解性不織布の湿潤強度の縦横比は、およそ2.0〜4.5となるのである。
【0045】
本発明では再生セルロース繊維と木材パルプの混合物を原料として円網抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機、長網抄紙機等の公知の抄紙機を用いて湿式で抄紙してウェブを形成するが、湿式抄紙ウェブの超音波伝播速度比は、湿式抄紙ウェブの繊維配向を従来公知の方法で調整することでコントロールする。たとえば、抄紙液中にポリエチレンオキサイド等の粘剤を添加したり、抄紙工程のワイヤーパートにおいて抄紙液速度とワイヤー速度の比を調整したりしてコントロールすることができる。
【0046】
ついで得られた湿式抄紙ウェブに高圧水ジェット流処理を施す。高圧水ジェット流処理は従来公知の方法により処理することができる。すなわちウェブを金網のような多孔性の支持体上に戴置し、ウェブの上面から、孔径が0.08mm〜0.30mm程度の細孔が多数配列したノズルを通して水圧15〜150kg/cm2の水圧で高圧水を噴射し、ウェブを構成する繊維の相互を交絡させるのである。高圧水ジェット流処理によりウェブに付与されるエネルギーは、(3)式の付加比エネルギーで表されるが、本発明においては0.07〜0.200kWh/kgとなるような条件で高圧水ジェット流処理を施すことが必要である。
E=(A×(2/ρ)1/2×(g×P)3/2)/(M×60×S) …(3)
ただし、A:ノズル孔面積の和 (m2
E:付加比エネルギー(kWh/kg)
ρ:水の密度 (kg/cm3
g:重力加速度 (m/s2
P:ノズル部での水圧 (Pa)
S:ウェブの通過速度 (m/min)
M:ウェブの質量 (g/m2
【0047】
付加比エネルギーが0.07kWh/kg未満であると、高圧水ジェット流処理により付与される繊維交絡が不足し、得られる水解性不織布の強度が弱いものとなるとともに、水解性不織布を構成する繊維がシートの厚み方向に配列しにくく、風合いがペーパーライクになってしまう。逆に付加比エネルギーが0.200kWh/kgを越えると、繊維間交絡が強くなりすぎ、得られる水解性不織布の水解性が劣るものとなってしまう。
【0048】
高圧水ジェット流処理は、湿式抄紙してウェブを形成した直後にオンラインで行っても良いし、湿式抄紙したウェブを一旦乾燥した後、オンラインあるいはオフラインで高圧水ジェット流処理を行っても良い。
【0049】
このようにして得られた水解性不織布の以下に定義される水解性は、300秒以下でなければならない。本発明における水解性は、5cm×5cm(25cm2)の大きさに裁断した水解性不織布を100mlの純水中に投入して振とう速度300サイクル/分で振とうして該水解性不織布を水中に離解し、最大片の大きさが1cm2になるまで離解される時間と定義しする。水解性の評価は、30秒ごとに振とうを一旦停止して水解性不織布の離解状況を観察し、n=5の平均値で評価した。
【0050】
水解性が300秒を超えると、流水中で不織布が離解或いは崩壊し難くなり、水洗トイレットに流した場合にパイプつまりの原因となるので不適である。時間で示される水解性は、短ければ短いほど好ましい。しかしながら、不織布の湿潤強度を所望の範囲の値に保ちながら達成される水解性の値には自ずと限度があり、本発明の方法においては30秒が下限値である。
【0051】
水解性不織布の湿潤強度は、用途により必要な強度は異なるが、本発明に係る水解性不織布の主な用途の一つであるウェットティシュ、赤ちゃんのおしりふき、掃除用ワイパー等のウェット製品として用いる場合、JIS P 8135に準じて測定した湿潤引張強度が、縦方向の湿潤引張強度で200gf/25mm以上、横方向の湿潤引張強度で50gf/25mm以上であることが望ましい。
【0052】
ウェット製品として用いる場合、ウェット製品への加工のしやすさ(加工適性:断紙等によるトラブルの起こりにくさ)、加工後に容器からの取り出す際の破れにくさ(取出適性)、実際の使用に際して破れにくさ(使用適性)等が要求される。加工適性、取出適性は、水解性不織布の縦方向の湿潤強度が200gf/25mm以上あれば使用可能である。また使用適性は、水解性不織布の縦方向および横方向で、50gf/25mm以上の湿潤強度であればほとんど問題ない。また、湿潤引張強度の幾何平均の値が200g/25mm以上あれば一部の掃除用ワイパー等の非常に強い力で拭く用途においても実用上問題なく使用でき、さらに好ましい。
【0053】
本発明にかかる水解性不織布をウェットティシュ、おしり拭き、ワイパー等のウェット製品として使用するためには、所望に応じて水、プロピレングリコール等の湿潤剤、アルコールやパラ安息香酸エステル類のような抗菌、防黴剤、香料、及び特定の薬効を有する各種薬剤を単独或いは混合して含浸させ、使用することができる。
【0054】
また、本発明にかかる水解性不織布を衛生材料の表面材として使用する場合、そのままでも使用できるが、所望に応じて不織布に親水性や撥水性を高めるような処理を施しても良い。
【0055】
以上説明したように、本発明は再生セルロース繊維の使用量を削減して製品コストを低下させ、湿潤強度と水解性をバランス良く付与して水解性不織布を製造することができ、得られる不織布は、乾燥状態と湿潤状態において、清浄のような作業に耐えうる強度を保持しており、かつ大量の水流中においては不織布を構成する繊維が水流中に極めて容易に離解或いは崩壊するので、ウェットティシュ、布巾、掃除用ワイパー等のウェット製品や、紙おむつや生理用ナプキンのトップシートとして好適に使用でき、使用後は水洗トイレットに流下して処理することができる。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において%とあるのは特に断らない限り重量%を示す。
【0057】
測定方法
超音波伝播速度(km/sec)および超音波伝播速度比
まず、湿式抄紙ウェブを高圧水ジェット流処理を施さずに乾燥し、JIS P8111に準じて前処理を行い試料とする。この試料をSONIC SHEET TESTER SST−210A(野村商事(株)社製)により、0度(MD方向)および90度(CD方向)の超音波伝播速度(km/sec)を求める。
超音波伝播速度比は、(1)式により求める。
超音波伝播速度比=C1/C2 …(1)
1:0度(MD方向)の超音波伝播速度 km/sec
2:90度(CD方向)の超音波伝播速度 km/sec
【0058】
水解性(秒)
まず、不織布の5cm×5cm(25cm2)の大きさの試験片を準備し、次いで150mlの三角フラスコに100mlの純水を入れ、前記試験片をフラスコ中に投入した後、振とう速度300サイクル/分で振とうし、30秒ごとに振とうを停止して水解性不織布の離解状況を観察した後振とうを繰り返した。振とうによって不織布の最大片の大きさが1cm2になるまで離解に要する時間を測定して水解性の値(秒)とし、n=5の平均値で表した。
水解性は、300秒以下であれば水解性に優れるとした。
【0059】
湿潤引張強度および湿潤引張強度の縦横比(gf/25mm)
まず、湿潤引張強度を試験片の縦方向と横方法においてそれぞれ裁断して25mm幅のストリップを作成し、JIS P 8135に準じて測定し、求めた。
湿潤引張強度の縦横比は、(5)式により求めた。
湿潤強度の縦横比=F1/F2 …(5)
1:MD方向の湿潤引張強度 kg/25mm
2:CD方向の湿潤引張強度 kg/25mm
【0060】
風合い(点)
モニター20人による触感テストで風合いを判定した。テストの方法は、水解性不織布を手で把持し、下記の評価基準に基づいてモニター一人当たり5点満点で評価した結果の合計点(100点満点)で表した。合計点数が75点以上であれば、風合いが良好であるとした。
5点:非常に手触り感に優れる。
4点:手触り感に優れる。
3点:手触り感が普通である。
2点:手触り感がやや劣る。
1点:手触り感が劣る。
0点:手触り感が非常に劣る
【0061】
実施例1
繊度が1.5デニール、繊維長が7mm、繊維の長さに対する直径の比L/Dが594のレーヨン繊維30%と、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度:720mlCSF)70%との混合物を原料として、傾斜ワイヤー型抄紙機において湿式抄紙してウェブを形成した後乾燥し、坪量50g/m2のレーヨンとパルプからなる不織布(湿式抄紙ウェブ)を得た。この不織布は、抄紙液とワイヤー速度を調整し、超音波伝播速度比=2.6となるようにした。
【0062】
この不織布を50メッシュの金網で形成された移送用支持網上に戴置し、20m/分の速度で移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔を1.0mm間隔で配列した高圧水ジェット流処理装置を用いて、前記不織布の上から50kg/cm2の水圧で高圧水ジェット流を噴射し、その後乾燥して水解性不織布を得た。この高圧水ジェット流処理により不織布に付与された付加比エネルギーは0.29kWh/kgであった。得られた水解性不織布は、上記した試験法により試験し、品質を評価した。結果を表1に示す。
【0063】
実施例2
繊度が3.0デニール、繊維長が5mm、L/Dが300のレーヨン繊維50%と、針葉樹晒クラフトパルプを実験室用ビーターを用いてカナダ標準ろ水度600mlCSFまで叩解したパルプ50%との混合物を原料として、傾斜ワイヤー型抄紙機においてウェブを形成した後乾燥し、坪量65g/m2のレーヨンとパルプからなる不織布を得た。この不織布は、抄紙液とワイヤー速度を調整し、超音波伝播速度比=3.1となるようにした。
【0064】
この不織布を50メッシュの金網で形成された移送用支持網上に戴置し、次いで30m/分の速度で移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔を1.0mm間隔で配列した高圧水ジェット流処理装置を用いて、不織布の上から90kg/cm2の水圧で高圧水ジェット流を噴射し、その後乾燥し、水解性不織布を得た。この高圧水ジェット流処理により不織布に付与された付加比エネルギーは0.17kWh/kgであった。
【0065】
実施例3
繊度が1.5デニール、繊維長が7mm、L/Dが594のレーヨン繊維20%と、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度:720mlCSF)80%との混合物を原料として、傾斜ワイヤー型抄紙機においてウェブを形成した後乾燥し、坪量40g/m2のレーヨンとパルプからなる不織布を得た。この不織布は、抄紙液とワイヤー速度を調整し、超音波伝播速度比=1.8となるようにした。
【0066】
このシートを80メッシュの金網で形成された移送用支持網上に戴置し、次いで20m/分の速度で移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔を1.0mm間隔で配列した高圧水ジェット流処理装置を用いて、55kg/cm2の水圧で高圧水ジェット流を噴射し、その後乾燥して水解性不織布を得た。この高圧水ジェット流処理により不織布に付与された付加比エネルギーは0.21kWh/kgであった。
【0067】
比較例1
繊度が1.5デニール、繊維長が7mm、繊維の長さに対する直径の比L/Dが594のレーヨン繊維30%と、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度:720mlCSF)70%との混合物を原料として、傾斜ワイヤー型抄紙機において湿式抄紙してウェブを形成した後乾燥し、坪量50g/m2のレーヨンとパルプからなる不織布(湿式抄紙ウェブ)を得た。この不織布は、抄紙液とワイヤー速度を調整し、超音波伝播速度比=1.2となるようにした。
【0068】
この不織布を50メッシュの金網で形成された移送用支持網上に戴置し、30m/分の速度で移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔を1.0mm間隔で配列した高圧水ジェット流処理装置を用いて、前記不織布の上から50kg/cm2の水圧で高圧水ジェット流を噴射し、その後乾燥して水解性不織布を得た。この高圧水ジェット流処理により不織布に付与された付加比エネルギーは0.10kWh/kgであった。得られた水解性不織布は、上記した試験法により試験し、品質を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
比較例2
繊度が1.5デニール、繊維長が7mm、繊維の長さに対する直径の比L/Dが594のレーヨン繊維30%と、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度:720mlCSF)70%との混合物を原料として、傾斜ワイヤー型抄紙機において湿式抄紙してウェブを形成した後乾燥し、坪量50g/m2のレーヨンとパルプからなる不織布(湿式抄紙ウェブ)を得た。この不織布は、抄紙液とワイヤー速度を調整し、超音波伝播速度比=4.2となるようにした。
【0070】
この不織布を50メッシュの金網で形成された移送用支持網上に戴置し、30m/分の速度で移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔を1.0mm間隔で配列した高圧水ジェット流処理装置を用いて、前記不織布の上から50kg/cm2の水圧で高圧水ジェット流を噴射し、その後乾燥して水解性不織布を得た。この高圧水ジェット流処理により不織布に付与された付加比エネルギーは0.10kWh/kgであった。得られた水解性不織布は、上記した試験法により試験し、品質を評価した。結果を表1に示す。
【0071】
比較例3
繊度が1.5デニール、繊維長が7mm、繊維の長さに対する直径の比L/Dが594のレーヨン繊維5%と、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度:720mlCSF)95%との混合物を原料として、傾斜ワイヤー型抄紙機において湿式抄紙してウェブを形成した後乾燥し、坪量50g/m2のレーヨンとパルプからなる不織布(湿式抄紙ウェブ)を得た。この不織布は、抄紙液とワイヤー速度を調整し、超音波伝播速度比=2.6となるようにした。
【0072】
この不織布を50メッシュの金網で形成された移送用支持網上に戴置し、20m/分の速度で移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔を1.0mm間隔で配列した高圧水ジェット流処理装置を用いて、前記不織布の上から50kg/cm2の水圧で高圧水ジェット流を噴射し、その後乾燥して水解性不織布を得た。この高圧水ジェット流処理により不織布に付与された付加比エネルギーは0.10kWh/kgであった。得られた水解性不織布は、上記した試験法により試験し、品質を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0003948071
【0074】
表1からわかるように、本発明の水解性不織布は、湿潤引張強度と水解性とのバランスに優れ、風合いも良好であり、水解性不織布としての優れた特性を備えている。これに対し、超音波伝播速度比の小さすぎる場合(比較例1)、湿式抄紙ウェブ中の繊維配向がランダムに配向しているため、高圧水ジェット流処理によってMD方向およびCD方向のいずれにも十分な繊維交絡が付与され、得られた水解性不織布の湿潤強度の縦横比も低くなった。また、MD方向、CD方向のいづれの方向にも繊維交絡が付与されているため、水中に投入して振とうしても離解しにくく、水解性の劣る結果となり実用に供することができない。
【0075】
逆に超音波伝播速度比が高すぎる場合(比較例2)、湿式抄紙ウェブの繊維がMD方向に配列しすぎ、高圧水ジェット流処理によってCD方向の繊維交絡が不足するため、得られた水解性不織布の水解性は非常に優れた結果となるものの、CD方向の湿潤強度が十分に発現せず、実用に供することができないできない。湿式抄紙ウェブの木材パルプ配合量が多すぎる場合(比較例3)、コストは安価なものとなり好ましいが、木材パルプに比べ繊維長が長く、高圧水ジェット流処理による交絡により強度が発現しやすい再生セルロース繊維の配合量が少なくなりすぎるため、十分な強度が得られない結果となり実用に供することができない。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、高価な再生セルロース繊維の含有量を減少させて、乾燥状態および湿潤状態において、清浄等の作業に耐えうる強度を保持し、かつ大量の水流中においては不織布を構成する繊維が容易に離解できる水解性不織布およびその製造方法を提供するという効果を奏する。

Claims (2)

  1. 再生セルロース繊維31〜55重量%と、木材パルプ69〜45重量%とを混合して、湿式抄紙法により形成したウェブを有孔支持体上で高圧水ジェット流処理を施し、再生セルロース繊維と木材パルプとを交絡、一体化する不織布の製造方法において、湿式抄紙法により形成したウェブの超音波伝播速度比がMD/CD=1.5〜3.5の範囲になるように調整して形成した後、高圧水ジェット流処理を施すことを特徴とする水解性不織布の製造方法。
  2. 該不織布が再生セルロース繊維31〜55重量%と木材パルプ69〜45重量%で構成され、JIS P 8135に準じて測定した湿潤引張強度が、縦方向の湿潤引張強度で200gf/25mm以上、横方向の湿潤引張強度で50gf/25mm以上であり、且つ、湿潤引張強度の縦横比がMD/CD=2.0〜4.5であることを特徴とする請求項1記載の製造方法で得た水解性不織布。
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