JP3947834B2 - ポリマー分散ポリオールの製造方法及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー分散ポリオールの製造方法、及び、ポリマー分散ポリオールを用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関し、特に、寸法安定性が改善された硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは比較的水酸基価の高いポリオールとポリイソシアネートを触媒や発泡剤、整泡剤などの添加剤の存在下に反応させて得られる。その発泡剤としては主にCFC−11が使用されてきたが、クロロフルオロカーボンの全廃が決定し、近年HCFC−141bに代表されるヒドロクロロフルオロカーボン、水や低沸点炭化水素が発泡剤として広く採用されている。
【0003】
さらに、原料使用量削減によるコストダウン及び軽量化のため、フォームの低密度化が要望されているが、CFC−11から上記発泡剤へ切り替えることによりフォームの樹脂強度が低下し、冷蔵庫、冷凍庫、断熱容器、その他の低温雰囲気下に使用される硬質ポリウレタンフォームの収縮が発生する問題がある。この低温におけるフォームの収縮を防止するためにポリマー分散ポリオールを高水酸基価のポリオールに添加し、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が知られている(特開昭57−25313)。
【0004】
ポリマー分散ポリオールとは、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオール中に、重合性不飽和基を有するモノマーを重合して得られるポリマー微粒子が分散したものであり、従来から軟質または半硬質のポリウレタンフォームの原料として使用され、これらポリウレタン組成物の物性を向上させるために用いられてきた。ポリマー分散ポリオールを高水酸基価のポリオールに添加し寸法安定性が良好な硬質ポリウレタンフォームを製造する前記技術においては、このポリマー微粒子が何らかの作用を及ぼしていると考えられる。
【0005】
ポリマー分散ポリオールを製造する方法は、重合性不飽和基を有しない飽和ポリオール中で、場合によっては重合性不飽和基を有する不飽和ポリオールも存在する条件下で重合性不飽和基を有するモノマーの重合を行い、その後未反応分を除去するものが知られている。ポリオールとしては各種のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のポリマー分散ポリオールは、軟質または半硬質のポリウレタンフォームの原料として使用されている低水酸基価(50mgKOH/g以下)のポリマー分散ポリオールである。したがって、従来の低水酸基価のポリマー分散ポリオールは水酸基価の高い硬質ポリウレタンフォーム用ポリオールとの相溶性に乏しく、併用すると低水酸基価のポリオールやポリマー微粒子が分離し、またはポリオール混合物が増粘するため、従来の低水酸基価のポリマー分散ポリオールを硬質ポリウレタンフォーム用原料として使用することは困難であった。
【0007】
一般に、ポリオール中で重合性不飽和基を有するモノマーを重合してポリマー分散ポリオールを合成する際、ポリオールの水酸基価が高くなるほど(ポリオールの分子量が低下するほど)ポリオールによる粒子安定化作用が減少し、重合時粒子が成長する過程での粒子同士の凝集がきわめて起こりやすくなり凝集塊が生成する。
【0008】
特開平2−240125、特公平7−80986には高水酸基価のポリマー分散ポリオールに関する記載があるが、ここで提案されている方法でもポリマー微粒子の分散安定性が充分でなかった。
【0009】
本発明は、以上説明した問題点を解決するため、硬質ポリウレタンフォーム用ポリオールとの相溶性に優れ、分散安定性が良好でしかも低粘度であり、低温において高い寸法安定性を有する硬質ポリウレタンフォームを製造できる高水酸基価のポリマー分散ポリオールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の発明である。
[1]ポリオール(W)中で重合性不飽和基を有するモノマー(M)を重合することにより、ポリマー微粒子がポリオール中に分散した硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリマー分散ポリオール(A)を製造するポリマー分散ポリオールの製造方法において、前記ポリオール(W)が、水酸基価が84mgKOH/g以下であってオキシエチレン基含量40重量%以上のポリエーテルポリオール(X)の5〜97重量%、アミン化合物に環状エーテルを付加して得られる水酸基価250〜900mgKOH/gのアミン系ポリオール(Y)の3〜95重量%、及び、任意にその他のポリオール(Z)の0〜92重量%からなるポリオール混合物であり、かつ、平均の水酸基価が200〜800mgKOH/gであり、前記モノマー(M)がエチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの重量比75:25〜5:95の混合物を含むことを特徴とするポリマー分散ポリオールの製造方法。
[2]前記ポリエーテルポリオール(X)が多価アルコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドをランダムに付加して得られるポリエーテルポリオールである[1]に記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
【0011】
[3]前記モノマー(M)が、エチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの重量比75:25〜5:95の混合物である、[1]または[2]に記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
[4] 反応器に、前記ポリオール(W)の全量、前記モノマー(M)の全量、及び遊離基重合開始剤の全量を仕込んだ後反応を行う、回分法で製造することを特徴とする、[1]から[3]の何れかに記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
【0012】
[5]ポリオール(V)及びポリイソシアネートを整泡剤、触媒及び発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、前記ポリオール(V)のうち0.1重量%以上が[1]から[4]の何れかに記載の製造方法で製造されたポリマー分散ポリオール(A)であり、前記ポリオール(V)全重量に対する前記ポリマー分散ポリオール(A)中のポリマー微粒子の割合が0.01重量%以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
[6] 前記発泡剤が、水、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンから選ばれる1種又は2種以上である[5]に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
[ポリオール]
本発明において、ポリマー分散ポリオールの原料としてまたは硬質ポリウレタンフォームの原料として、使用するポリオールについて説明する。
このようなポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、主鎖が炭化水素系ポリマーからなり末端部分に水酸基を導入してなるポリマー(以下、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー)等があり、特にポリエーテルポリオールのみからなるか、またはそれを主成分としてポリエステルポリオールの少量や末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等の少量との併用が好ましい。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば多価アルコール、多価フェノール等のポリヒドロキシ化合物やアミン類などの開始剤にアルキレンオキシドなどの環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
開始剤として具体的には下記の化合物及びそれらの環状エーテル付加物、それらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0015】
水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークロース等の多価アルコール。ビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物等の多価フェノール。ピペラジン、アニリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、アンモニア、N−アミノメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン類。
【0016】
本発明に使用する環状エーテルとしては環内に1個の酸素原子を有する3〜6員環の環状エーテル化合物があり、具体的には下記の化合物が挙げられる。
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブチレンオキシド、2−ブチレンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、スチレンオキシド、α−メチルスチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピフルオロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−クロロエチルグリシジルエーテル、ο−クロロフェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、ジヒドロナフタレンオキシド、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキサン等の3員環状エーテル基を有する化合物;オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の4〜6員環状エーテル基を有する化合物。
【0017】
好ましくは、3員環状エーテル基を1個有する化合物(モノエポキシド)であり、特に好ましい環状エーテルは、炭素数2〜4のアルキレンオキシドであるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシドである。最も好ましい環状エーテルはプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの組み合わせである。
環状エーテルは2種以上併用でき、その場合、それらを混合して反応させたり、順次反応させたりできる。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルポリオールがある。そのほか、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステル(ラクトン)の重合、ポリカルボン酸無水物への環状エーテルの重付加、廃ポリエチレンテレフタレートのエステル交換反応により得られるポリエステルポリオールなどがある。
【0019】
[ポリオール(W)]
本発明におけるポリマー分散ポリオールにおいて使用されるポリオール(W)は上記ポリオールのうちの下記の特定ポリオールの組み合せである。
すなわち、水酸基価84mgKOH/g以下であってかつオキシエチレン基含量40重量%以上のポリエーテルポリオール(X)5重量%以上、アミン化合物に環状エーテルを付加して得られる水酸基価250〜900mgKOH/gのアミン系ポリオール(Y)3重量%以上、及び、任意にその他のポリオール(Z)からなるポリオール混合物である。
【0020】
ポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリオール(Y)、及び、その他のポリオール(Z)からなるポリオール混合物であることが特に好ましい。
ポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)10〜60重量%、アミン系ポリオール(Y)5〜35重量%、及び、その他のポリオール10〜85重量%の混合物であることが好ましい。
ポリエーテルポリオール(X)25〜50重量%、アミン系ポリオール(Y)8〜25重量%及びその他のポリオール25〜67重量%の混合物であることが特に好ましい。
【0021】
ポリオール(W)の平均の水酸基価は200〜800mgKOH/gであり、好ましくは250〜750mgKOH/gである。ポリオール(W)の平均の水酸基価がこの範囲より低い場合、製造したポリマー分散ポリオールが高水酸基価の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオールとの相溶性に乏しく、併用するとポリオール(ポリマー微粒子)が分離または増粘するため、硬質ポリウレタンフォーム用原料として使用することが困難になる。ポリマー分散ポリオールの製造に用いられるポリオール(W)の平均の水酸基価がこの範囲より高い場合、ポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られにくい。
以下に、ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリオール(Y)、その他のポリオール(Z)について説明する。
【0022】
[ポリエーテルポリオール(X)]
本発明におけるポリエーテルポリオール(X)としては、上記「ポリオール」の項で説明したポリエーテルポリオールのうち、官能基数が3以上のものが好ましい。また、以下に説明するポリエーテルポリオールであることが好ましい。
【0023】
すなわち、開始剤として多価アルコールを使用し、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他の環状エーテルを付加して得られるものが好ましい。多価アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価のアルコールが好ましい。エチレンオキシドと併用する他の環状エーテルとしてはプロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブチレンオキシド、2−ブチレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドが特に好ましい。
【0024】
ポリエーテルポリオール(X)は水酸基価84mgKOH/g以下のポリエーテルポリオールである。水酸基価が84mgKOH/gを超える場合、ポリマー分散ポリオールにおける粒子の分散安定性が低下する。水酸基価67mgKOH/g以下のポリエーテルポリオールであることが好ましく、水酸基価60mgKOH/g以下であることが特に好ましい。ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価の下限は特にないが、5mgKOH/g以上であることが好ましく、8mgKOH/g以上であることがより好ましく、20mgKOH/g以上であることが特に好ましい。
【0025】
ポリエーテルポリオール(X)のオキシエチレン基含量は40重量%以上であることが必要である。オキシエチレン基含量がこれより低い場合、ポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られにくい。オキシエチレン基含量が50重量%以上であることが特に好ましく、オキシエチレン基含量が55重量%以上であることが最も好ましい。オキシエチレン基含量の上限は約100重量%が好ましく、より好ましくは90重量%である。
【0026】
ポリエーテルポリオール(X)の含量は、ポリオール(W)のうち5重量%〜60重量%である。ポリエーテルポリオール(X)の量が5重量%より低い場合、分散性のよいポリマー分散ポリオールは得られにくい。10〜60重量%であることが好ましく、25〜50重量%であることが特に好ましい。
【0027】
[アミン系ポリオール(Y)]
アミン系ポリオール(Y)は上記「ポリオール」の項で説明したポリオールのうち、開始剤としてアミン化合物に環状エーテルを付加して得られる水酸基価250〜900mgKOH/gのポリオールである。水酸基価300〜800mgKOH/gであることが好ましく、水酸基価350〜800mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0028】
アミン化合物としては、脂肪族アミン化合物または飽和環状アミン化合物が好ましい。脂肪族アミン化合物としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。飽和環状アミン化合物としてはN−アミノメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジンなどが挙げられる。
【0029】
アミン系ポリオール(Y)の含量は、ポリオール(W)のうち3〜95重量%である。アミン系ポリオール(Y)の含量が3重量%より低い場合、ポリマー分散ポリオールを用いて製造した硬質ポリウレタンフォームの寸法安定性向上効果が低い。上限は35重量%であることが好ましい。35重量%より高いと低粘度で分散性のよいポリマー分散ポリオールは得られにくい。アミン系ポリオール(Y)の含量は5〜35重量%であることが好ましく、8〜30重量%であることがより好ましく、8〜25重量%であることが最も好ましい。
【0030】
[ポリオール(Z)]
ポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリオール(Y)以外に任意にその他のポリオール(Z)を含有していてもよい。ポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)、アミン系ポリオール(Y)以外にその他のポリオール(Z)を含有することが特に好ましい。
【0031】
ポリオール(Z)としては、水酸基価200〜1000mgKOH/gのものが好ましく、水酸基価400〜850mgKOH/gのものが特に好ましい。
ポリオール(Z)としては、「ポリオール」の項で説明したポリオールのうち、ポリエーテルポリオール(X)とアミン系ポリオール(Y)以外のポリオールを使用できる。
ポリオール(W)におけるポリオール(Z)の含量は0〜92重量%である。10〜85重量%であることが好ましく、25〜67重量%であることが特に好ましい。
【0032】
[ポリマー分散ポリオール]
ポリオール(W)を用いてポリマー分散ポリオールを製造する方法は、一般的には2通り挙げられる。第1の方法は必要に応じて溶媒の存在下、ポリオール(W)中重合性不飽和基を有するモノマーを重合させ直接粒子を析出させる方法であり、第2の方法は必要に応じて粒子を安定化させるグラフト化剤の存在下、溶媒中で重合性不飽和基を有するモノマーを重合させ粒子を析出させた後、ポリオール(W)と溶媒を置換して安定な分散体を得る方法である。本発明では前者の方法を採用する。
【0033】
本発明に用いられる重合性不飽和基を有するモノマー(M)は、エチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの混合物を含む。
具体的には、エチレン性不飽和ニトリルとして、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。2種以上の混合物であってもよい。アクリロニトリルが特に好ましい。
【0034】
カルボン酸ビニルエステルモノマーとしてはモノカルボン酸ビニルエステルモノマーが好ましい。一般式CH2 =CHOCOR(Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるモノマーが特に好ましい。
一般式CH2 =CHOCOR(Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるモノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。2種以上の混合物であってもよい。特に酢酸ビニルが特に好ましい。
【0035】
重合性不飽和基を有するモノマー(M)は、アクリロニトリルと酢酸ビニルの混合物を含むことが特に好ましい。
エチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの混合物は、重量比75:25〜5:95の混合物であることが必要であり、50:50〜10:90であることが好ましく、40:60〜15:85であることが特に好ましい。
【0036】
該混合物中、エチレン性不飽和ニトリルの割合が75重量%より高いと、粘度が低くかつ分散性がよいポリマー分散ポリオールは得られにくい。またエチレン性不飽和ニトリルの割合が5重量%より低いと、ポリマー分散ポリオールを用いて製造した硬質ポリウレタンフォームの寸法安定性向上効果が低い。
【0037】
また、モノマー(M)には、エチレン性不飽和ニトリルおよびカルボン酸ビニルエステルモノマーに加えて両者以外の重合性不飽和基を有するモノマーを使用できる。
両者以外の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのアルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどのスチレン系モノマー;イソプレン、ブタジエン、その他のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル系モノマーなどが挙げられる。
【0038】
モノマー(M)としてエチレン性不飽和ニトリルとカルボン酸ビニルエステルモノマーと両者以外の重合性不飽和基を有するモノマーとを用いて得られたポリマー分散ポリオールは、前記した種々の水酸基価の高い硬質ポリウレタンフォーム用ポリエーテルポリオールとの相溶性に劣り、混合した液を長期保存しながら使用する場合、ポリマー微粒子が凝集、分離をおこしやすくなるため、硬質ポリウレタンフォーム用原料として使用することは困難となりやすい。
【0039】
したがって本発明において両者以外の重合性不飽和基を有するモノマーを用いる場合のその使用量は、モノマー(M)中、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、実質的に使用しないことが特に好ましい。
【0040】
すなわち、重合性不飽和基を有するモノマー(M)は、エチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの両者のみからなり、その重量比75:25〜5:95の混合物であることが最も好ましい。そのうちでもアクリロニトリルと酢酸ビニルの混合物であることが特に好ましい。
【0041】
モノマー(M)の使用量は、特に限定されないが、最終的に得られるポリマー分散ポリオールのポリマー濃度が約1〜50重量%となる量であることが好ましく、特に好ましくは2〜45重量%であり、最も好ましくは5〜40重量%である。
【0042】
モノマー(M)の重合は、通常、遊離基を生成して重合を開始させるタイプの重合開始剤、すなわち遊離基重合開始剤、が用いられる。
具体的には例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル=2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、アセチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド、過硫酸塩等がある。特にAIBN、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル=2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。
【0043】
従来からポリマー分散ポリオールの製造方法には、反応器にポリオールの一部を仕込み、撹拌下、この反応器に残りのポリオール、重合性不飽和基を有するモノマー、重合開始剤等の混合物を徐々にフィードして重合を行う半回分法と、ポリオール、重合性不飽和基を有するモノマー、重合開始剤等の混合物を撹拌下反応器に連続的にフィードし、同時に生成したポリマー組成物を連続的に反応器から排出する連続法があり、本発明はこのどちらの方法でも製造できる。
【0044】
半回分法や連続法では、重合反応は重合開始剤の分解温度以上、通常は50〜150℃で行われることが好ましく、80〜150℃で行われることがより好ましく、100〜130℃で行われることが特に好ましい。
【0045】
さらに、本発明のポリマー分散ポリオールは、分散しているポリマーがポリオールに対する親和性がきわめて高いという特徴を有するため、モノマー重合時における粒子同士の凝集が起こりにくく、従来のポリマー分散ポリオールでは製造できなかった、下記の回分法でも製造できる。
本発明のポリマー分散ポリオールはすなわち、反応器に、ポリオール(W)の全量、重合性不飽和基を有するモノマー(M)の全量、及び遊離基重合開始剤の全量を仕込んだ後昇温を開始し、反応を行う回分法で製造できる。
【0046】
本発明はすなわち、反応器に、ポリオール(W)の全量、重合性不飽和基を有するモノマー(M)の全量、及び遊離基重合開始剤の全量を仕込んだ後反応を行う、回分法で製造する方法である。
回分法では、重合反応は重合開始剤の分解温度以上、通常は50〜120℃で行なわれることが好ましく、55〜110℃で行なわれることがより好ましく、60〜100℃で行なわれることが特に好ましい。
【0047】
一般にポリマー濃度が高くなるほど、モノマー重合時の粒子が成長する過程での粒子同士の凝集が起こり凝集塊が生成しやすい。これを防ぐため溶媒の存在下にポリマー分散ポリオールの製造を行うこともできる。
【0048】
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンジルエチルエーテル、1,1−ジエトキシエタン、アセタール、アニソール、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類;クロロベンゼン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物などがある。
【0049】
本発明ではこれら溶媒を単独でまたは混合して使用できる。モノマー(M)の重合が終了した後、溶媒は除去されることが好ましい。溶媒除去は、通常減圧加熱により行われる。しかし、常圧加熱または減圧常温下に行うこともできる。この際、溶媒とともに未反応モノマーも除去される。
【0050】
上記のような製造方法でポリマー粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られるが、さらに粒子の分散安定性を良くするために、安定化剤またはグラフト化剤として、ポリエーテル鎖やポリエステル鎖を有する化合物であって、分子内に二重結合を有する重合性化合物を使用できる。
【0051】
このような安定化剤またはグラフト化剤としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の二重結合含有基を有する活性水素化合物を開始剤として環状エーテルを反応させて得られた高分子量のポリエーテルポリオールまたはモノオール;ポリエーテルポリオールに無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させた後、必要に応じて環状エーテルを付加して得られた高分子量のポリオールまたはモノオール;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブテンジオール等の不飽和基含有アルコールと他のポリオールとポリイソシアネートとの反応物;アリルグリシジルエーテル等の不飽和基含有エポキシ化合物とポリオールとの反応物;などが挙げられる。これらの化合物は水酸基を有することが好ましいがそれに限定されない。
【0052】
本発明のポリマー分散ポリオールの水酸基価は200〜800mgKOH/gであることが好ましく、200〜750mgKOH/gであることがより好ましく、250〜750mgKOH/gであることが特に好ましい。ベースとして使用するポリオールに比較して、低くなるのが通常である。
【0053】
以上により得られる本発明のポリマー分散ポリオールは静置状態で1ケ月間以上、特に2ケ月間以上分離を起すことがないものが好ましいが、これに限定されない。本発明のポリマー分散ポリオールがこのように分散安定性に優れる理由としては、モノマー(M)を重合して得られるポリマー微粒子の大きさが微細かつ均一であるためと推定できる。
【0054】
また、本発明のポリマー分散ポリオールにおいて、モノマー(M)を重合して得られるポリマーがポリオールに対する親和性が高いことから、該ポリマーの一部はポリオール中に溶解していてもよい。
【0055】
以下、この本発明におけるポリマー分散ポリオールをポリマー分散ポリオール(T)という。
【0056】
[硬質ポリウレタンフォーム]
本発明はまた、上記のポリマー分散ポリオール(T)を含むポリオール(V)とポリイソシアネート化合物を反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法である。すなわち、ポリオール(V)及びポリイソシアネートを整泡剤、触媒及び発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、該ポリオール(V)のうち0.1重量%以上がポリマー分散ポリオール(T)でありかつポリマー分散ポリオール(T)に由来するポリマー微粒子の割合が該ポリオール(V)全重量に対して0.01重量%以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法である。
【0057】
ポリマー分散ポリオール(T)は単独で硬質ポリウレタンフォームの原料として使用できる。すなわちポリオール(V)の100重量%が上記ポリマー分散ポリオール(T)であってもよいが、通常硬質ポリウレタンフォームの原料として使用されているポリオールと混合して使用することが好ましい。
【0058】
該ポリオール(V)の平均の水酸基価は250〜800mgKOH/gであることが好ましく、より好ましい平均の水酸基価は300〜750mgKOH/gである。該ポリオール(V)のうち、0.1重量%以上がポリマー分散ポリオール(T)であり、特に0.3重量%以上がポリマー分散ポリオール(T)であることが好ましい。
【0059】
さらにポリマー分散ポリオール(T)に由来するポリマー微粒子が該ポリオール(V)全重量に対して0.01重量%以上であることが必要である。ポリマー微粒子の割合がこれより少ない場合、低温寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームは得られにくい。0.05重量%以上であることが特に好ましい。また50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることが特に好ましい。さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2重量%未満である。
【0060】
ポリマー分散ポリオール(T)以外のポリオールであってポリオール(V)として使用できるポリオールとしては、上記「ポリオール」の項で説明したようなポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等が挙げられる。また、フェノール類とアルカノールアミン類とアルデヒド類とをマンニッヒ反応させて得られる反応物に環状エーテルを付加して得られるポリエーテルポリオールなども使用できる。また前記した(W)、(X)、(Y)、(Z)も使用できる。
【0061】
鎖延長剤、架橋剤と呼ばれる比較的低分子量のヒドロキシ化合物もポリオール(V)の一部として使用できる。例えば多価アルコール、アルカノールアミン、糖類、多価フェノール類など、またはこれらに少量のアルキレンオキシドを付加して得られる低分子量のポリエーテルポリオール、低分子量のポリエステル系ポリオールなどが使用できる。
【0062】
好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、及び水酸基価が300mgKOH/g以上のポリエーテル系ポリオールが鎖延長剤、架橋剤として用いられる。
【0063】
また、モノアミン、ポリアミンなどのアミン化合物などを、ポリオール(V)と併用することもできる。好ましくはヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどが用いられる。
【0064】
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、または脂肪族系のポリイソシアネート、それら2種類以上の混合物、及びそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートがある。具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートやそれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体などがある。
【0065】
触媒としては、通常、硬質ポリウレタンフォームを製造する際用いられるものが使用でき、第3級アミンなどのアミン系触媒や有機スズ化合物などの有機金属化合物が適する。整泡剤としては、通常、硬質ポリウレタンフォームを製造する際用いられるものが使用でき、有機ケイ素化合物系の界面活性剤が適する。
【0066】
発泡剤としては、水やハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(HCFC−123)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、塩化メチレン、その他のハロゲン化炭化水素が適する。発泡剤は2種以上併用してもよい。
特に好ましい発泡剤は、水、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−245fa及びこれらの組み合わせである。
【0067】
ハロゲン化炭化水素発泡剤の使用量は、ポリオール(V)100重量部に対して1〜70重量部が好ましく、特に10〜60重量部が好ましい。水を使用する場合、その使用量はポリオール(V)(水はポリオールとしては計算しない)100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、特に1.0〜10重量部が好ましい。
【0068】
さらに安定剤、着色剤、充填剤、難燃剤、その他の添加剤を加えてもよい。
本発明における硬質ポリウレタンフォームは上記原料を使用して、従来この種のフォームを製造する種々の公知の方法で製造される。例えば、ワンショット法、スプレー法、プレポリマー法、準プレポリマー法、RIM法などで製造できる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。表中、ANはアクリロニトリル、Stはスチレン、VAcは酢酸ビニル、VPrはプロピオン酸ビニルを示す。表中単位のない数字は重量部を表す。
【0070】
実施例、比較例中に示したポリオールは次のとおりである。
ポリオールA:グリセリンにプロピレンオキシドを付加して得られる水酸基価450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールB:グリセリンにプロピレンオキシドを付加して得られる水酸基価650mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
【0071】
ポリオールC:グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドをランダムに付加して得られる水酸基価50mgKOH/g、オキシエチレン基含有量25重量%のポリエーテルポリオール。
ポリオールD:グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドをランダムに付加して得られる水酸基価50mgKOH/g、オキシエチレン基含有量55重量%のポリエーテルポリオール。
ポリオールE:グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドをランダムに付加して得られる水酸基価50mgKOH/g、オキシエチレン基含有量75重量%のポリエーテルポリオール。
【0072】
ポリオールF:エチレンジアミンにプロピレンオキシドを付加して得られる水酸基価760mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールG:エチレンジアミンにプロピレンオキシドを付加して得られる水酸基価500mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
ポリオールH:フェノール/アニリン/ホルムアルデヒド/ジエタノールアミンのマンニッヒ反応縮合物にプロピレンオキシドを付加して得られる水酸基価450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
【0073】
ポリオールI:グリセリンにプロピレンオキシドを付加した後、エチレンオキシドを付加して得られる水酸基価26mgKOH/g、オキシエチレン基含有量30重量%のポリエーテルポリオール。
ポリオールJ:グリセリンにプロピレンオキシドを付加した後、エチレンオキシドを付加して得られる水酸基価56mgKOH/g、オキシエチレン基含有量10重量%のポリエーテルポリオール。
ポリオールK:ポリオールJ中で、アクリロニトリル/スチレン(=3/1重量比)を重合して得られる、水酸基価45mgKOH/gのポリマー分散ポリオール。
【0074】
(例1〜11、14〜16:ポリマー分散ポリオールの製造例)
5L加圧反応槽に表1〜3に示したポリオール、モノマー及びAIBNを全て仕込んだ後、撹拌しながら昇温を開始し、反応液を80℃に保ちながら10時間反応させた。すべての例においてモノマーの反応率は80%以上を示した。反応終了後、110℃、0.1mmHgで2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオールを製造した。
【0075】
(例12、13:ポリマー分散ポリオールの製造例)
5L加圧反応槽に表3に示したポリオールの混合物のうち70重量%を仕込み、120℃に保ちながら残りのポリオールの混合物、表3に示したモノマー及びAIBNの混合物を撹拌しながら2時間かけてフィードし、全フィード終了後同温度下で約0.5時間撹拌を続けた。すべての例においてモノマーの反応率は90%以上を示した。反応終了後、120℃、0.1mmHgで2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオールを製造した。
【0076】
それぞれの水酸基価(単位:mgKOH/g)、25℃における粘度(単位:cP)、製造したポリマー分散ポリオール自体の分散安定性(以下、分散体安定性)、ならびに、製造したポリマー分散ポリオールとポリオールGとを重量比5/95で混合した液の70℃における分散安定性(以下、保存安定性)を表1〜3に示す。
【0077】
例1〜7は実施例である。例1〜7のいずれにおいても3ケ月以上全く安定な分散体が得られ、またポリオールGとの混合物も3ケ月以上全く安定であった。例1〜7で得られたポリマー分散ポリオールをそれぞれポリオールa〜gとする。
【0078】
例8〜11は、本発明におけるポリオール(W)を使用せずにポリマー分散ポリオールを製造した比較例である。粒子が沈降したり、または激しく凝集したりすることにより、ポリマー分散ポリオール全体が凝固したり、または層分離を起こし、いずれも均一な分散体は得られず、粘度は測定できなかった。
【0079】
例12、13は本発明におけるモノマー(M)を使用せずにポリマー分散ポリオールを製造した比較例である。また例14〜16は、使用比率が本発明の範囲外のモノマーを用いてポリマー分散ポリオールを製造した比較例である。
【0080】
例12〜14のいずれにおいても3ケ月以上全く安定な分散体が得られたが、ポリオールGとの混合物による保存安定性テストでは2ケ月後に若干のポリマー微粒子が凝集しポリオールから分離してくる傾向を示した。例15、16はいずれにおいても3ケ月以上全く安定な分散体が得られ、またポリオールGとの混合物も3ケ月以上全く安定であった。例15、16で得られたポリマー分散ポリオールをそれぞれポリオールh、iとする。
【0081】
(例17〜28:硬質ポリウレタンフォームの製造例)
表4、5に示したポリオール(または混合物)計100重量部、水3.0重量部、HCFC−141bを30重量部、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)を1.0重量部、シリコーン整泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、SH−193)1.5重量部及び難燃剤としてのトリス(2−クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、TMCPP)10重量部、の混合物とポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン社製、ミリオネートMR−200)とをインデックス110となるように撹拌混合後(液温20℃)、200mm×200mm×200mmの木製のボックス内に投入し、発泡させた。
【0082】
コア密度(単位:kg/m3 )、圧縮強度(単位:kg/cm2 )、熱伝導率(単位:kcal/m・hr・℃)、及び低温寸法安定性(表中、寸法安定性、単位:%)を表4、5に示す。なお、圧縮強度は発泡方向に対して平行方向の圧縮強度を示す。寸法安定性は、−30℃で24時間経過後の発泡方向に対して垂直方向の寸法変化率を示す。
【0083】
例17〜23は、例1〜7で製造したポリオールa〜gを用いて硬質ポリウレタンフォームを製造した実施例である。例24〜28とは異なり、他の物性を悪化させることなく低温の寸法安定性が大幅に改善された。
例24はポリマー分散ポリオールを使用せずに、また例25〜28は本発明のポリマー分散ポリオールを使用せずに、ポリウレタン発泡を行った比較例である。−30℃で24時間経過後、フォームはいずれも大きく収縮した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、分散安定性が良好でしかも低粘度である高水酸基価のポリマー分散ポリオールを製造することができる。また本発明により製造されるポリマー分散ポリオールは、それを用いて製造される硬質ポリウレタンフォームの低温における寸法安定性を著しく向上させる。したがって、本発明は硬質ポリウレタンフォームの低密度化に優れた効果を発揮する。
Claims (6)
- ポリオール(W)中で重合性不飽和基を有するモノマー(M)を重合することにより、ポリマー微粒子がポリオール中に分散した硬質ポリウレタンフォーム製造用のポリマー分散ポリオール(A)を製造するポリマー分散ポリオールの製造方法において、
前記ポリオール(W)が、水酸基価が84mgKOH/g以下であってオキシエチレン基含量40重量%以上のポリエーテルポリオール(X)の5〜60重量%、アミン化合物に環状エーテルを付加して得られる水酸基価250〜900mgKOH/gのアミン系ポリオール(Y)の3〜95重量%、及び、任意にその他のポリオール(Z)の0〜92重量%からなるポリオール混合物であり、かつ、平均の水酸基価が200〜800mgKOH/gであり、
前記モノマー(M)がエチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの重量比75:25〜5:95の混合物を含むことを特徴とするポリマー分散ポリオールの製造方法。 - 前記ポリエーテルポリオール(X)が多価アルコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドをランダムに付加して得られるポリエーテルポリオールである請求項1に記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
- 前記モノマー(M)が、エチレン性不飽和ニトリル及びカルボン酸ビニルエステルモノマーの重量比75:25〜5:95の混合物である、請求項1または2に記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
- 反応器に、前記ポリオール(W)の全量、前記モノマー(M)の全量、及び遊離基重合開始剤の全量を仕込んだ後反応を行う、回分法で製造することを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載のポリマー分散ポリオールの製造方法。
- ポリオール(V)及びポリイソシアネートを整泡剤、触媒及び発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、
前記ポリオール(V)のうち0.1重量%以上が請求項1から4の何れかに記載の製造方法で製造されたポリマー分散ポリオール(A)であり、
前記ポリオール(V)全重量に対する前記ポリマー分散ポリオール(A)中のポリマー微粒子の割合が0.01重量%以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。 - 前記発泡剤が、水、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンから選ばれる1種又は2種以上である請求項5に記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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